2008年5月31日土曜日

Problems of NTT Do Co Mo’s International Roaming and Calling Service

Problems of NTT Do Co Mo’s International Roaming and Calling Service:ドコモはドコへ? ドコモの今次事業報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業省における第四の価値「感性」(2008-5-30記事)

 NTT Do Co Moの今次報告(2007-4-1~2008-3-31期)が届いた。とにかくNTT Do Co Moの情報発信は連続的に華やかで、「最新ニュース更新」が連日である。今、NTT Do Co Moのサイトを見ているが、明日(2008-6-1)発表が既にonで、「プッシュトーク期間限定値下げ」は、年末まで、1push 税込1円5銭で最大30秒話せる(通常料金5円25銭)。機能では、906i シリーズ新製品8機種の発表(2008-5-27)が、「高画質でシアター感覚でワンセグ視聴可能」、「直感的にメディアと光を操る進化ケータイ」「スマイルフェイスシャッターダブル補正対応5.2メガカメラケータイ」等々、いずれも芸術品の装いで、しなやかな指先の躍動に、最先端の知的・感性的反応を示すこととなる。

 普及機数上は国内は飽和に近付き、海外市場はどうなのか、機能革新による買換えの頻度は高まるのか、国内シェアや機器メーカーの交替はどうなるのか、画面意匠権や動画著作権、イノベーション特許権はどのように国内国際で競われるのか、素子を構成するレアメタルの需給はどうかなど、関心は尽きないが、NTT Do Co Mo自体の「今後の課題」記述を先ず見る。

1. NTT Do Co Moの今次報告「企業集団が対処すべき課題」(SANARI PATENT要約)
1-1 新ドコモ宣言
1-1-1 ブランドを磨き直し顧客との絆を深める。
1-1-2 顧客の声を受け止め、期待を上回る会社になる。
1-1-3 イノベーションを起こし続け世界から高評価される。
1-1-4 人材、夢、チャレンジが溢れる。
1-2 コアビジネスの基盤強化による総合的競争力強化
1-2-1 高品質・安定ネットワークの構築、アフタサービス充実、新料金サービスの提供、端末ラインナップ拡充
1-2-2 地域ドコモ8社のNTT Do Co Moへの統合・業務プロセス見直し
1-3 新価値創造による収益拡大
1-3-1 クレジット事業拡大、海外ケータイとのローミングサービス普及、法人市場のソリューション提案拡大など、成長領域での収益機会増強
1-3-2 ケータイ検索連動コンテンツサービス、生活嗜好適合行動支援、パートナ企業連携の付加価値・利便向上
1-3-3 次世代ネットワーク構築による新サービス創造
1-3-4 戦略的出資・提携
1-4 コスト削減・効率化(新販売モデル)

2. SANARI PATENT所見
  今次報告期は、営業収益4兆7118億円を達成し、営業利益4.5%増、税引前利益3.6%増、純利益7.4%と順調であり、海外を含めて、上記課題への積極的取組が、充実した経営体質をもって遂行されると期待する。特にグローバルな知的財産の開発におけ、るケータイ検索機能の寄与が望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
NTT Do Co Mo、ケータイ、ローミングサービス、ケータイ検索、レアメタル

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2008年5月30日金曜日

METI Requests Public Opinion for Plant Engineering

METI Requests Public Opinion for Plant Engineering Policy:「プラントエンジニアリング業の活力再生」について経済産業省が意見公募(期限6-28)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog Volk’s Wagenと共同開発など「三洋電機の三発表」(2008-5-29記事)

 内需低成長期の日本産業において、プラントエンジニアリング業は海外需要の活発をグローバルに充足すべき中核分野である。経済産業省はプラントエンジニアリング業についての基本指針案を発表し(2008-5-28)、意見を公募している。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. プラントエンジニアリング業に対する基本認識
1-1 プラントエンジニアリング業は、国内外の企業等から、石油精製、化学、製鉄、発電等の製造設備の企画、設計、調達、施工、施工管理を一括して請け負う産業である。プラントエンジニアリング業は、わが国製造業の競争力を強化し、産業インフラ、生活インフラの整備に貢献すると共に、海外各国におけるプラントの建設を通じて世界のエネルギーの安定供給、環境・資源エネルギー制約に対応した国際貢献、現地国産業の高度化への寄与を果たしている。
1-2 わが国のプラントエンジニアリング業事業者全体の年間受注高は約12兆円(2006年度)で、2002年度の約10兆円から増加傾向にあるが、その要因は、国内では電力プラント等の重要の堅調、海外では世界的に大規模なプラント新設ラッシュである。
1-3 売上高の構成は、業界全体では約75%が国内であるが、プラントエンジニアリング専業者では6~7割が海外である。

2. プラントエンジニアリング業における新技術開発
2-1 プラントエンジニアリング企業の競争力は、顧客が求める最終製品を、より経済的・高度技術的に生産し得るプロセスを提供し、顧客に高付加価値を提供できる程度によって評価される。従って、より大規模なプラントを設計・建設する技術や、既存の科学的知見の応用を活かした大量生産技術を開発・提供し、既存技術の総合化によって技術を差別化することが重要である。
2-2 また、気候変動等の環境問題や資源エネルギー制約が課題として益々重要になるので、プラントエンジニアリング業が有する工業化技術力や総合力が必要とされ、国主導等の技術開発プロジェクトへの積極的貢献が期待される。

3. プラントエンジニアリング業が当面するその他の課題
3-1 資材価格の高騰、人材確保難等によるプロジェクトリスクの増大
3-2 プロジェクトマネジメント人材の育成・確保
3-3 プラント建設という単一ビジネスモデルからの脱却(プラントの運営・保守管理に進出し、受注変動による経営の不安定性を緩和する。)
3-4 グローバル展開とローカリゼーション要求(技術移転・人材育成を含む)の双方への対応
3-5 マネジメント効率向上のためのITの活用
3-6 雇用・中小企業・社会的責任への対応

4. SANARI PATENT所見
  今次意見公募の対象指針は、産業活力再生特別措置法(1999)に基づいて策定されるので、プラントエンジニアリング業が全般的に「再生」対象であるかのような印象を与えるが、同法の「事業分野別指針」は、「過剰供給構造にある事業分野」または「生産性の向上が特に必要な分野」について策定されるものであり、プラントエンジニアリング業について見れば、供給力逼迫の好況のうちに過剰供給化の時流変動を孕むところに特徴があると解される。
  産業として対外的にも重要であり、このような潜在的特徴に対応する技術的・経営構造的イノベーションを企図する指針として、成案が期待される。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Plant Engineering、経済産業省、石油精製、産業活力再生特別措置法、プラントエンジニアリング業

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2008年5月29日木曜日

Indian Retail Market Reported by METI

Indian Retail Market Reported by METI:インド小売市場への参入について経済産業省調査結果(2008-5-23)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業大臣のアフリカ・アジア対比論(2008-5-28記事)

 インド政府の工業立国政策が急速に実現し、諸国企業の対インド市場戦略は商工業ともに著変しつつある。経済産業省主導で、三菱商事、伊藤忠、ファーストリテイリング、イオン、ファミリーマートと大学教授で構成した小売業の国際展開に関する研究会報告(2008-5-23)のインド編は、上記の現状下におけるわが国企業のインド市場参入への指針を示している。

1. 報告の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 インド経済
2003年以降、インドの実質GDP成長率は7.5%を超え、消費支出も伸長している。しかし小売業の大部分は小規模で、近代化企業の割合は1割程度である。
1-2 参入時の問題点
2006年以降、インドにおける流通業の設立は、所定条件のもとで限定的に認められている。具体的には、シングルブランドでの参入、卸売業(cash- carry)形態での参入は認められる。また、インド企業をフランチャイジーとするフランチャイズ形式の展開も認められる。これらは欧米系企業を中心として展開しつつある。
1-3 参入後の課題
1-3-1 現状は規制があり、全面的参入は困難だが、インド財界には流通近代化のノウハウ供与や雇用創出面から外国企業の市場参入を歓迎する意向がある。将来的には大きな市場性が見込まれるが、現在はインフラ等も未発達で、開発には相応の投資が求められる。
1-3-2 コビニエンスストアや駅中ビジネスなど、インド側からノウハウを求められ、参入可能性ある分野も存在する。
1-3-3 実際の交渉に入ると、日本側の意思決定遅滞のため機会を逸する可能性もある。
1-4 人口
国連推計では、2005年の11億3440万人が、2015年13億、2030年15億を超える。
1-5 経済状況
2006年のGDP 8273億ドル、一人当たり785ドル、実質GDP成長率9.4%

2. SANARI PATENT所見
 この報告は戦略の実際的アドバイスを詳述していることが有益である。例えば、「パートナリング」について次のように述べている。
2-1 将来、独資で経営するビジョンを持つのは当然としても、先ずは地元パートナーと提携し、問題発生時の対応や、細かい事務的な手続を地元パートナーに任せ、市場においてイニシアティブを取り得る環境を作ることが肝要である。
2-2 逆に言えば、最初にどの地元パートナーと組むかが非常に重要な問題である。インドは官民両面でパートナー戦略のリスクが高い特殊な国である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
India、三菱商事、伊藤忠、ファーストリテイリング、イオン、ファミリーマート

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2008年5月28日水曜日

Problems of HITACHI Group

Problems of HITACHI Group: 日立製作所の今次報告書に見るわが国産業の課題
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 日本電産の軌跡(2008-5-27記事)

 日立製作所の今次事業報告書が届いた。日立グル-プの動向は、わが国産業の動向を示す重さを持っている。記載順序を逆転して先ず、そこに述べられた「日立グル-プの対処すべき課題」を考察する。

1.「課題」の記述(SANARI PATENT要約)
1-1 今後の経営環境を見ると、米国経済の減速、わが国輸出と企業収益の伸び悩みが懸念される。一方、社会インフラの整備が進む海外需要の拡大、グローバル環境対策ニーズの高まりなど、日立グル-プの強みを活かす機会も増大している。
1-2 このような状況下で日立製作所は、「技術を通じて社会に貢献する」理念を益々積極的に発揮し、次の項目を実施する。
1-2-1 未だ収益性に課題を残している薄型TV事業においては、日立グル-プの総力を結集し、他社製品と差別化した高付加価値製品を投入するほか、徹底したコスト競争力強化により、収益構造を早期に改善する。
1-2-2 市場動向を的確に見極め、成長期待分野・地域に積極投資すると共に、グル-プシナジーを創出する。
1-2-3 製品の安全性、品質の向上に徹する。
1-2-4 地球環境保全をビジネスチャンスとして、日立製作所環境適合基準を満たす製品を拡販する。(SANARI PATENT注:地球温暖化防止の観点からグローバルに市場拡大する原子力発電についての米国GEとの合弁事業を含む)。
1-2-5 設計と資材調達の連携強化により、開発段階からのコスト削減と、徹底した納期管理により競争力を強化する。
1-2-6 海外大型プロジェクトでのリスク管理を徹底し、海外市場の拡大と収益性向上を実現する。
1-2-7 IT活用により効率的事業基盤を整備し、情報エキュリティを確保する。
1-2-7 事業のグローバル展開をリードする人材の育成と職場の活性化により持続的成長を実現する。
1-2-8 ビジネス倫理の確立とコンプライアンスの徹底により、顧客と社会の確固たる信頼を維持する。

2.SANARI PATENT所見
上記課題の選択は、日立グル-プ当期(2007-4-1~2008-3-31)業績の次の概要(SANARI PATENT要約)に基づいている。
2-1 売上高は海外における伸長もあり、前期を10%上回る11兆2267億円になった。
2-2 電力事業の改善により、電力・産業システム部門が大幅増益した。
2-3 情報通信システム部門ほか各部門(SANARI PATENT注:ソフトウェア部門等)の好調と、上記2-2により、営業利益は3455億円、前期を大幅に上回る89%増となった。
2-4 しかし当期純損益は、薄型TV事業における事業構造改革関連費用と、プラズマディスプレイパネル製造設備の減損損失計上などから、581億円の損失となった。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
HITACHI、GE、日立グル-プ、薄型TV、原子力発電

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2008年5月27日火曜日

IC Tag by STAR Engineering Co.

IC Tag by STAR Engineering Co. as Vital Small Company Praised by Small
Enterprises Agency:中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」の現況
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 中国小売業に参入前後の課題(2008-5-26記事No.2)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 新法・生物多様性基本法と遺伝子組換(2008-5-24記事)

1.「高精度ICタグ」メーカーとして中小企業庁が「スターエンジニアリング株式会社」を顕彰:
1-1 ICタグは、ミリ単位のICチップと小型アンテナによる無線機能部分と、それを支える小型通信機として、発想されてから既に長期間を経ているが、技術開発が急速に加えられて、識別・記録・管理など他分野にわたる応用が展開しつつある。
1-2 ICタグのうち特に非接触ICタグ(REID)についてIT mediaニュース(2008-5-23)は、「米国の調査会社ABI Researchは、非接触ICタグ(REID)の世界総売上高が2008年以降、年間平均成長率15%で伸長し、2013年には97億ドルに達する見込みと報告(2008-5-20)したこと」を伝えている。
1-3 従って、ICタグ関係の国内特許出願も日立、東芝などの総合電機メーカー、松下電器、ソニーなどの家電メーカー、大日本印刷、トッパンフォームズなど印刷関連の大企業が上位を占めてきたが、中小企業庁が「元気なモノ作り中小企業300社」のうちに「スターエンジニアリング株式会社」を数え、「マイクロモーター製造で培った超微細な巻き線技術を応用し、ICタグの小型化、低価格化を同時に実現し、大手メーカーからの引き合いが殺到」と評していることは、中小企業・大企業の優劣が企業規模には依存しない代表的な事例を示したものである。

2.SANARI PATENT所見
2-1 中小企業のHome Pageは極めて多彩かつ懇切に中小企業政策の具体的措置を解説しており、「モノ作り300社」の紹介も中小企業者や知財専門家にとって貴重であるが、知的財産権との関係についてほとんど記載されていない。「スターエンジニアリング株式会社」についても記載がないが、対内外の同業および需要企業との関係において特許権とノウハウを含む知財戦略を展開してきたことは、別途推考されるところである。
2-2 すなわちスターエンジニアリングは現在も、従業員45名、資本金3千万円の、中小企業法上・典型的中小企業であるが、主要取引先は日立製作所、日立化成工業、日立ハイテクノロジーズ、日立電線、ソニー、凸版印刷、ソフエル、アルプス電気、沖電気等で、これら諸社とその関連会社への必須供給元になっている。
2-3 さらに、中国、韓国、タイに、関連会社を有する。
2-4 登録特許としては、「非接触ICカード用アンテナコイルの製造装置」(登録日2004-12-10)、出願特許公開としては「扁平状マイクロチップの生体への挿入装置」(公開日2007-12-6)など約50件が厳選されているが、上記2件等の発明者は星 勝治社長ほか1名であることにも、スターエンジニアリングの「強い中小企業性」が認識される。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
IC Tag、スターエンジニアリング、日立製作所、日立電線、ソニー、凸版、沖電気、中小企業

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2008年5月26日月曜日

Invention and Patent on Net Insurance Business

Invention and Patent on Net Insurance Business:ネット保険の経済合理性と関連知的財産
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 生物多様性新法と遺伝子組換(2008-5-26記事)

 三越などのネット兼業百貨店、巨大ファンド流入を待つネット専業証券、ケータイの億人口対象のネット専業銀行などの実況とアイディアが続出すれば、ネット専業生命保険の相次ぐ開業は当然、というより「なぜもっと早く」の感が強い。生命保険といえば、事故保険は、と相次ぐことが当然である。
 とにかく、訪問販売に依存するサ-ビス業の販売員コストは営業コストにおいて高率であるから、そのサービス価格低下への振り替えは当然期待されるところであるが、少なくとも業法などによって、信頼性が確保されることは必須の前提要件である。

 業法監督のもとに、ネットビジネスの創造が発揮されれば、ネットビジネスの拡大が生活防衛に役立つことは、合理的に期待できる。
 ここには、「保険」について、本年初来の特許出願公開活況の2~3の事例を見る。(SANARI PATENT要約)。

1. 保険加入者情報委託サービス方法、保険加入者情報委託サービスシステム、および、委託情報管理端末: 丸の内コンサルティイング&コミュニケーション株式会社 (公開日2008-5-22)
保険加入者から委託された保険証券やメッセージ情報などの委託情報を、遺族・親戚・友人・知人に速やかに知らせて、保険加入者の愛情や感謝の気持ちを伝え易くするデータシステムを提供する。
2. 健康管理データ通信システム: ハサン マリック エム (公開日2008-4-17)
様々なフォーマットを持つ健康管理データを正規化し、関係者間でデータ交換するシステムを提供する。
3. 保険管理システム: 株式会社インシュアランス・ソリューションズ(公開日2008-4-17)
会員等が契約している保険契約内容について、予めシステムの管理本部の記憶装置に記憶させ、会員からの問い合わせに応じて、会員等が契約している保険の契約内容を確実に示すことができる保険管理システムを提供する。


4. SANARI PATENT所見
  内閣のIT本部や総務省のユビキタスネットワーク計画によって、上記3のような国民年金情報ができれば良かったのであるが、税金の電子申告もシステムの2%程度しか動かず、民間のネット保険システムが追い越して整備されると考える。
Insuranse、ネット保険、生命保険、ネット証券、事故保険

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Performance of EIZAI Co. Stock Holder General Meeting

Innovative Performance of EIZAI Co. Stock Holder General Meeting:エーザイ株式会社株主総会ディスプレイの創造価値
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 消費者庁(2008-5-25記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 生物多様性基本法と遺伝子組換生物(2008-5-24記事)

 エーザイの定時株主総会通知が届いた。前期比売上高8.9%増で、構成比96.9%の医薬品は、売上高の46.1%を北米が占めて11.9%増、次いで日本が39.8%を占めて7.1%増である。研究開発費に売上高の30%を投じ対前年度・倍増である。
 総会資料も220ページに及び、索引も的確であるが、知財専門家が特に関心を持つ事項に限定して考察する。

1. 米国企業買収、技術導入、合弁契約による業容の拡大と知財増強(SANARI PATENT要約):
1-1 癌領域のGloval Pipeline強化のため、米国MGI Pharma Inc.の買収契約を締結し(2007-12-10)、2008-1-28発効、MGI社は米州統括会社EIZAI Co. of North Americaの子会社になった。MGIは癌・救急医療に強みを持ち、Unmet Medical Needsを充足する薬剤の獲得・研究開発・生産・販売機能を有する。
 このほか2007-4以降の買収・提携先は、米国のMorphotech Inc.、Solsutis Neuro Science、キッセイ、米国のSebracall、Accenture LLC、スウェーデンのBio Arcteck Neuro Science、ミノファーゲン、Abot Bio Technology、エムズサイエンス、スイスのRochなどである。
1-2 技術導入等の契約締結先・締結時・契約内容は、
1-2-1 武田薬品工業(1997-9-12) 製剤特許に関するライセンス
1-2-2 ドイツのアボット(1997-12-19) 肥満症治療剤の開発・製造・販売
1-2-3 富山化学工業(1998-9-30) リウマチ治療剤の共同開発・販売提携
1-2-4 ドイツのアボット81999-6-16) ヒト型モノクローナル抗体注射剤の開発・販売
1-2-5 イタリアのユーランド(2003-5-2) 硝酸イソソルビドの輸入・その製剤の製造・販売
1-2-6 スイスのノルバティス(2004-2-6) 抗てんかん剤の開発・製造・販売ライセンス
1-2-7 大日本住友製薬(2005-9-29) 糖尿病合併症治療剤の開発・製造・販売ライセンス
1-2-8 米国のセプラコール(2007-7-26) 睡眠導入剤の開発・販売ライセンス
1-2-9 スェーデンのバイオ・アークティック・ニューロサイエンス(2007-12-3)
  対ルツハイマ―病ヒト化モノクローナル抗体の研究・開発・製造・販売ライセンス
1-2-10 ミノファーゲン(2007-12-18) 肝臓疾患用剤・アレルギー薬販売に関するライセンス
1-2-11 エムズサイエンス(2008-3-12) シグマ受容体作動薬に関するオプション契約
1-3 技術導出等は、契約締結先・米国のファイザー、ベルギーのヤンセン
1-4 合弁契約・提携等の契約締結先は、ロンドン大学、イタリアのブラッコ、アイルランドのエラン、日東電工、米国のライガンド。

2 事業等のリスクの開示
投資判断に重要な影響を及ぼす可能性あるリスクを、事業報告書作成時点での判断・予測に従って、明確に開示し、信頼性を高めている。知財専門家の立場で特に関心が持たれる項目を摘記する。(SANARI PATENT要約)
2-1 知財に関するリスク
特許の不成立や特許成立後の無効審判、または取得した特許を適切に保護できない場合、想定より早く他社の市場参入を招き、売上高が減少する可能性がある。
2-2 医療費抑制策
日本では通常2年に一回程度、医療用医薬品の薬価が引き下げられる。欧米・アジア諸国でも医薬品の価格低減への圧力が高まっている。
2-3 後発医薬品に関する競合・訴訟
米国においては、特許期間内であっても、ジェネリック医薬品の申請が可能であり、現在、2品について米国Hatch Waxman法に基づく申請がなされており、エーザイは特許侵害訴訟を提起しているが、その結果が業績に影響する可能性がある。

3.SANARI PATENT所見
野村証券・東洋経済の会社四季報によれば、MGIは癌治療に伴う悪心・嘔吐抑制剤、脳腫瘍向け抗癌剤、骨髄異形成症候群治療剤を保有し、治療用DNAワクチンも開発中で、今後5年間で35%超の成長を企図。
内閣知財戦略本部は知財戦略の分野別特徴に対応する策定を進めているが、「分野別特徴」自体が個別企業の個性を基盤として著変しつつあることを、エーザイの事例が認識させる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
EIZAI、エーザイ、武田薬品工業、富山化学工業、大日本住友製薬、ジェネリック

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2008年5月25日日曜日

USA CAFC Decision on Patentability of Stem Cell Related Invention

USA CAFC Decision on Patentability of Stem Cell Related Invention:米国連邦控訴裁判所(CAFC)の幹細胞関連発明に対する特許性判断
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業事務次官定例記者会見(2008-5-24記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 生物多様性基本法の成立と遺伝子組換生物

 幹細胞の一系統に属するiPS (誘導多性能性幹細胞)の再生医療適応性、ひいてはその関連特許の経済価値の大きさがグローバルに論議され、特許競争の構えが諸企業・諸国で構築されているが、関連特許をめぐる法的動向に関する具体的なケーススタディの公表が活発でない。
 丁度、日本弁理士会のパテント誌の最近号が届いたが、Scott Daniels 米国弁護士、井出久美子米国弁護士、吉崎修司弁理士の共著で「医薬品発明に対するKSR判決の適用について」と題する論説(以下「今次KSR論文」)が掲載され、幹細胞関連発明の特許性に関する米国連邦控訴裁判所(CAFC)(SANARI PATENT注:一応、わが国の知財高裁と略同等)の2007年判決が引用されているので、要約し考察する。
 なお、米国最高裁のKSR判決は、自動車の制御機構に関する発明の特許性について、非自明性要件(SANARI PATENT注:わが国特許法では「進歩性」要件)の審査基準を判示したものであるが、極めて簡略化した表現をすれば、「従来技術からの容易想性判断を厳格指向にしたもの」、すなわち、「真の革新ではなく、日常的な過程において起こる進歩に対して特許付与することは、進歩を遅らせる」という見地に立っている。
 SANARI PATENTが今次KSR論文を高く評価するのは、第一に業種分野を超えて非自明性要件の適用を論じたこと、第二に、その適用例として、現在最も世界的関心の的となっている幹細胞関連のCAFC(The United States Court
Of Appeals for the Federal Circuit)の2007判決を引用したことである。

1. 今次KSR論文(SANARI PATENT要約)
1-1  米国最高裁はKSR判決において、非自明性判断のためにCAFCが適用した要件、すなわち、先行技術を組合わせてクレーム発明に至るための「厳格な教示・示唆・動機付け」の要件を課するしたを否定した。(SANARI PATENT注:極めて簡単に表現すれば、「従来技術による教示・示唆・動機付け」の存在を厳格に判示さなくても、自明性によって特許性を不定できるということである。)
1-2  製薬業界には、KSR判決は無関係と考える向きもあるかも知れない。KSR事件は単純な機械装置の発明に関するもので、いわば公知の複数のエレメントを、その予測される機能を果たすように組合わせたものである。一方長年、裁判所は、製薬関係における非自明性を認識しており、製薬開発では、予期できなかったり、知られざる効果を発揮することがしばしばあると考えられていたようである。従って従前は、仮に公知事実の組合せであったとしても、特許無効を立証することは必ずしも容易ではなかった。(SANARI PATENT注:この辺の観察は、論者によって異なるであろう)。
1-3  しかしながらKSR判決以来、CAFCは製薬特許についても、従来技術の組合わせである場合に自明であるとして特許無効を認定している。
1-4  Pharmastem Therapeutics Inc vs. Viacell Inc et al.事件判決(491 F.3d 1342:Fed.Cir.2007)
CAFCは、「臍帯血に高濃度な幹細胞が存在するか否かに関して、その存在を示す決定的証拠が従来技術に示されていなくても、当業者は本事件発明の発明時点において、その存在を合理的に予測できた、と判断し、非自明性を否定した。

2. SANARI PATENT所見
要するに、KSR判決以前に比べて、幹細胞関係発明についても、特許性が厳格に審査されるという事例である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
CAFC、Stem Cell、米国最高裁、KRS、幹細胞、再生医療

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2008年5月24日土曜日

Role of JAXA (Japan Aerospace Exploration Agency)

Role of JAXA (Japan Aerospace Exploration Agency):宇宙基本法の体制下における宇宙航空研究開発機構の役割その他、国会質疑応答の考察
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 宇宙開発による国民の実益(2008-5-23記事)

 新設される内閣宇宙開発戦略本部の構成と現・宇宙開発委員会の関係、宇宙開発担当大臣の人選、などと共に審議対象とされたJAXAの役割について国会の質疑応答の内容を考察する。(内容はSANARI PATENT要約)

1. 宇宙開発と一般国民
1-1 質疑(萩生田衆院内閣委委員・自民)
JAXA(宇宙航空研究開発機構)を始め、わが国を代表する宇宙研究開発の権威者の発言が余りにも高い見地に立ち、一般国民にとっては何のために宇宙を研究し開発するのか非常に分かりづらく、生活必需品ではなくて贅沢政策のように思われていると、私は指摘してきた。マスコミのうちには、軍事への拡大を危惧するものもあり、国民生活への寄与を具体的に示すべきである。
1-2 応答(桜田委員)
1-2-1 人工衛星を利用したGPSや放送サービス、災害監視、資源探査等が実用化され、宇宙用に開発された技術、素材等が様々な分野に活用されるなど、宇宙開発利用は我々の身近な生活においても、重要な役割を果たすようになっている。
また、わが国をめぐる安全保障環境の変化や、中国を始めとするアジアや中東など、諸外国における積極的な宇宙開発利用の推進など、国際情勢の変化もあり、宇宙開発利用の重要性はさらに増大している。
1-2-2 わが国の宇宙政策は、これまで宇宙科学の研究などに限定・特化して進められてきたが、今次基本法は、このような宇宙開発利用の重要性増大に対処し、わが国において宇宙開発利用がはたすべき役割を拡大するため、宇宙開発利用を国家戦略として位置づけ、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、これを総合的・計画的に推進するものである。

2. JAXAの役割
2-1 質疑(同)
従来、宇宙開発について独立行政法人JAXAが国の基幹的役割を果たしてきたが、JAXAは2003年に機関を統合して発足し、ロケット打ち上げの失敗もあったが、実は、わが国のロケット打ち上げ成功率は9割以上で、世界一のレベル、8機連続成功などの高水準にある。今後のJAXAの役割は何か。
2-2 応答(文部科学省)
JAXAは、特殊法人・宇宙開発事業団、大学共同利用機関・宇宙科学研究所、独立行政法人・航空技術研究所を統合したので、分散していた人材が一体となって研究開発、信頼性の向上に取り組み得ることになった。
具体的には、ロケット打ち上げ成功率93%(ロケット技術、数値シミュレーション技術、固体ロケットなど宇宙学術の総合)(SANARI PATENT注:「固体ロケット」は「固体燃料ロケット」の略称である:固体の燃料と酸化剤を混煉してロケット本体に充填使用するから、本体の対高温高圧性の開発が必要:「固体燃料ロケット」という呼び名を常用する方が、一般には馴染む)という信頼性の達成、資源探査衛星など科学ミッシヨンの実現、月周回衛星や小惑星着陸の成果を挙げている。

3. SANARI PATENT所見
  JAXAの最近の特許公開事例としては次のように応用性高度なものが多い。
3-1 「直列・並列切り替え式均等化機能付き蓄電セルモジュール」(公開日2008-5-22)
3-2 「飛翔体の流体抵抗を利用した減速方法とその機能を備えた高速移動体」(公開日2008-5-15)
3-3 「放射線検出器および放射線映像装置」(公開日2008-5-1)
3-4 「浸み出し冷却ロケット燃焼器」(公開日2008-5-1)
3-5 「可動ヒンジ」(公開日2008-5-1)
3-6 「飛行データおよび操作手順書を用いた乗員行動再構築システム」(公開日2008-4-24)
3-7 「ボルテックス・ジェネレータ」(公開日2008-4-24)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
JAXA、宇宙航空研究開発機構、宇宙基本法、人工衛星、固体燃料ロケット

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2008年5月23日金曜日

METI Minister Mr. A. AMARI Comments on

METI Minister Mr. A. AMARI Comments on So-Called CO2 Transaction Business Model: 甘利経済産業大臣の記者会見要旨考察
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 米国特許法の宇宙空間発明(2008-5-23記事)

  甘利経済産業大臣の閣議(2008-5-20)後・記者会見質疑応答の要旨を考察する。(「要旨」はいずれもSANARI PATENT要約)

原油高と、いわゆる「CO2取引」のビジネスモデル
1-1 質疑
原油高対策について、1バレル130ドルをうかがう水準まで来ているが(SANARI PATENT注:5-22では134ドル)、米国は戦略的備蓄を一時停止し、サウジも産油国に増産要請しているが、日本はどうか。
1-2 応答
1-2-1 サウジが増産を発表し、現実の需給は不足していない。サウジの言い分では、足りているのに増産すれば、それだけだぶつくから慎重を要するとした上で増産を発表したが、市場が将来の需給を先取りしている(SANARI PATENT注:商品取引市場の本来の機能)。従って私は、産油国全体が将来にわたって供給不足を来さない、需要増大に全力対処するというメッセージを出すことが将来に向けて重要であると考える。
1-2-2 米国が備蓄を取り崩すという報道は不正確で、「備蓄の積み増しを停止する」ということだと考える。備蓄の取り崩しはIEAのルールがあるから、できないと考える(SANARI PATENT注:IEAは国際エネルギー機関:International Energy Agency:第1次石油危機後の1974年に設立)。
1-2-3 日本は積み増しが終わっているから、取り崩すにはIEAのルールによらなければならない。これは量的不足対策で、価格安定要因ではない。世界中が放出すれば、供給量は既に確保されているのだから、産油国は生産調整する。産油国が、「将来にわたって必要量は増産する」と言明することが重要で、将来需給が逼迫しなければ投機資金も石油市場に向かわない。現在300兆円の投機資金は5年以内に1000兆円に膨張すると見込まれており、石油先物取引に行き場を求める可能性がある。
1-2-4 CO2排出権取引ができた場合にも、取引のビジネスモデルの設計を誤ると、そこに投機資金が奔流する可能性がある。従って、排出権取引についても基準点(Bench Mark)を的確に設定して発足しないと、石油価格が6年間に6倍に騰貴したようにCO2価格も数年で数倍の高騰する危険性がある。企業は将来の投資計画、予見可能性を失う。今次石油先物市場における取引価格暴騰を経験値として。誤りないCO2取引の設計を考えるべきである。

2.SANARI PATENT所見
  ビジネスモデル特許がオークションを始めとして米国で発達し、コンピュータプログラム特許の新たな領域を拓いたが、各国の知的財産戦略はどのように対処すべきか、近く決定されるべき内閣知財戦略本部の2008計画はCO2排出権取引について、少なくともその方向性(特許付与の適否を含めて)を明示しないと、事態の急進に間に合わない。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
CO2、METI Minister、甘利 明、排出権、サウジ、石油価格

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2008年5月22日木曜日

Options for Developing Green Energy Utilization

Options for Developing Green Energy Utilization:経済産業省が「グリーン・エネルギー利用拡大」について意見公募(期限今月末)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SNS(社会集団ネットワーク・サービス)の国際展開(2008-5-21記事)

 経済産業省の資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部が「グリーン・エネルギー利用拡大」について報告書案を発表し(2008-5-20)し、5月31日を期限として意見を公募している。先ず報告案の内容を見る(SANARI PATENT要約)。

1. グリーン・エネルギーの利用拡大について
1-1 省エネルギーに加えて、エネルギー供給構造の抜本的変革が必要であり、再生可能エネルギーの抜本的な導入拡大は、その有効な手段の一つである。(SANARI PATENT注:標題に「グリーン・エネルギー」という語を用いているが、報告本文ではもっぱら「再生可能エネルギー」と呼んでおり、同義としていると解する。ただし、水力発電・風力発電。地熱発電も再生可能エネルギーに含めているから、「グリーン・エネルギー」は代表的な呼び名とも解される)。
1-2 再生可能エネルギーは対環境負荷が小で、資源制約の少ない国産エネルギーであり(SANARI PATENT注:食料・飼料バイオ資源を考えれば「資源制約は極めて大」であるが)、エネルギーの安定供給の確保、地球環境への対応、および、新規産業・雇用創造の観点から意義を有している(SANARI PATENT注:わが国産業の国際競争力強化のため最も重要なエネルギーコストの観点を挙げていない)。
1-3 わが国は、再生可能エネルギーの中でも経済性の観点から普及が十分でないものを「新エネルギー」と規定し、従来から官民を挙げて、その開発と導入に取組んできた(SANARI PATENT注:ここで「新エネルギー」の定義が示されているが、要するに「新エネルギー」は企業のコスト合理化、国際競争力強化、また生活費の節約には、経済性上の難点があるという意味になる。従って、この難点にも拘わらず再生可能エネルギーのうちの新エネルギーを普及する適切な方策が求められることとなる)。
1-4 わが国における新エネルギーの導入実績は、発電分野で331万kl(原油換算:一次エネルギー総供給比0.6%)、熱利用分野で829万kl(同1.4%)、一次エネルギー総供給に占める再生可能エネルギーの割合は5.1%(水力発電を含む)で、ドイツ4.7%、英国1.7%、フランス6.9%と比較して遜色のないものとなっている。

2. グリーン電力利用証書
今次報告はその利用拡大に関するものであるが、一般に馴染みが薄く、詳細な記述を要するので、別途考察する。

3. SANARI PATENT所見
  増殖炉原子力発電について上記報告には記述がないので、補完を要する。また、例えば水力発電は、経済性に富むものと難点があるもの、多目的ダム発電のように経済性が不安定なものなどがあり、上記1-3の「新エネルギー」と「再生可能エネルギー」に分属することとなる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Green Energy、資源庁、再生可能エネルギー、新エネルギー、水力発電

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2008年5月21日水曜日

Patent Policy for Stem Cell

Patent Policy for Stem Cell: 内閣知財戦略本部は、iPs特許政策にどのように対処するか
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 産総研・三菱商事・トッキ株式会社の緑色太陽電池(2008-5-20記事)

(Induced Pluripotent Stem Cell=誘導多性能性幹細胞=体細胞由来多分化可能性細胞→いわゆる「万能細胞」)の再生医療応用が、全世界で期待の的となり、特許戦略が国家利益の側面を伴って、政官民の緊急課題とされている。

内閣知財戦略本部の2008年度・知的財産推進計画は、遅くとも来月には決定されるはずであるが、検討の過程が見えない。従って、SANARI PATENTとしては、最近の現象について幾つかの疑問を提起するにとどめる。

1. 内閣の「新健康フロンティア戦略賢人会議」はどうなったか。
1-1  この会議は、医学会や医師のほか、トヨタ自動車:張富士夫会長、東芝・土井美知子研究開発センター技監らで構成され、2006-11-29に総理大臣ほか経済産業・文部科学・厚生労働・イノベーション特命大臣等が出席して発足した。
1-2  「人間活動領域の拡張分科会」、「働き盛りと高齢者の健康安心分化会」などを設け、平成20年度の「新健康フロンティア戦略」予算案を策定(2007-2-28)したが、2754億円(前年度2665億円)の規模で、再生医療技術の研究開発、その臨床研究や治験の実用化、医療技術のイノベーションなどを行うとしている。
1-3  上記案が策定されたのは京都大学のiPS発表と同時点で、具体的な対象には未だなっていないが、その後この会議は開催されていないようである。

2. 京都大学の「iPS細胞特許活用会社設立と、同大学TLOの関係はどうなるか。
2-1 京都大学は、大和証券グル-プ本社と三井住友銀行、および両系列のベンチャーキャピタルから計2億円の出資を得て標記会社を設立すると発表した(2008-5-16:同日asahi.com報)。出資総額は1~2年で12億円に増資する。本年6月に事業を本格化し、iPSの応用研究を加速する。
2-2 上記発表および報道によれば(SANARI PATENT要約)、
2-2-1 様々な臓器の細胞になり得るiPS細胞(SANARI PATENT注:iPs=Induced Pluripotent Stem Cell=誘導多性能性幹細胞=体細胞由来多分化可能性細胞→いわゆる「万能細胞」)は、再生医療などへの応用が期待されるが、特許取得競争が国際的に激化し、特許の管理・活用(特許の戦略的組合わせなど)も課題である。
2-2-2 このため京都大学は、「多額の資金は出しても口は出さない」形で企業と大学が知的財産権管理専門の会社を作るが、文部科学省ではそのような事例を知らない。
2-2-3 新会社は、京都大学のiPS関連特許を独占的に使用する権利を持ち、希望する企業とライセンス契約を結ぶ。将来は、共同研究をしている他大学などの特許の管理窓口としても活用されることを期待する。
2-2-4 京都大学は5月初め、新会社設立準備のための中間法人を登記したが、6月に上記「知的財産権管理活用会社」設立後、新会社が出資を受ける。金融各社は無議決権株主となり、京都大学が中間法人を通じて主導する。

3. SANARI PATENT所見
  内閣知財戦略本部の医療関係専門調査会は再開されるに至らず、経済産業省の産業構造審議会のライフサイエンス関係部会は「特許関係の企業秘密」を理由として審議内容を示さない。
 上記2の新会社についても、内閣知財戦略本部が推進してきた大学TLO(技術移転機構)との関係、国費補助と特許権帰属の関係、全日本関係学界協力構想と果実配分の関係など、想定質疑事項に対して先行的に明示すべきであると考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
iPS、Stem Cell、トヨタ、東芝、京都大学、再生医療、三井住友銀行

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2008年5月20日火曜日

Asahi Beer Invents for Brain Function Improvement

Asahi Beer Invents for Brain Function Improvement: アサヒビール株式会社の「脳機能改善組成物」ほか、ビール関係各社の特許公開
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog ライフスタイル産業のビジネスモデル(2008-5-19記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ シャープ・ダイレクトメタノール燃料電池vs.三洋電機リチウムイオン電池

  生ビールが女性に好まれるためには冷却温度の微妙な設定が肝心と、TV東京WBS(2008-5-15)が放映したが、男性にも好まれる飲食品には「脳機能改善組成物」の含有が必須と、アサヒビールが着想したとSANARI PATENTは推察する。
  
 税法やメタボの関係で、単純に「ビール」の名称は用いられない情勢となり、ビール各社の「発明」、「特許公開」も活発である。(SANARI PATENT要約)
今年に入ってから公開されたビール関係114件(2008-5-18現在)の数例を見る。

1. アサヒビール株式会社の「脳機能改善組成物」(公開日2008-4-3)
脳機能を効果的に改善し、かつ安全な組成物を提供するため、バコバモニエラ抽出物と乳由来のスフィンゴリン脂質とを含有する医薬組成物または飲食品添加剤組成物を解決手段とする。

2. サントリー株式会社の「充填方法、充填装置および容器」(公開日2008-4-10)
不活性ガスを多量に使用することなく、ビールの発砲を抑えるため、解決手段として、充填装置が、容器に所定充填重量の飲料を充填する飲料充填手段と、この飲料充填手段から充填される前の飲料の温度を測定する温度測定手段とを具備し、充填装置においては、温度測定手段により測定された飲料の測定温度が所定の値よりも高い場合には、飲料充填手段から充填される飲料の充填温度を、測定温度の応じて低下させる。飲料の充填温度の低下は、供給管路に設けられた飲料制御弁および/またはブリストレスガス制御弁により行われるのが好ましい。

3. サッポロビール株式会社の「フロロアシルフェノン配糖体、その製造方法、抗アレルギー剤および抗酸化剤(公開日2008-3-27)
抗アレルギー作用に優れ、しかも副作用が十分に抑制された、人体・皮膚に緩和である物質を提供するため、所定の一般式で表わされるフロロアシルフェノン配糖体を用いる。

4. キリンホールディングス株式会社の「ビール混濁乳酸菌検出のためのプライマーおよびそれを用いた検出方法(公開日2008-3-13)
ビールなどの酒類や、その製造環境の検査などにおいて、特にビールのホップに耐性を有するビール混濁乳酸菌を迅速かつ特異的に検出する方法を提供する。解決手段として、ビール混濁乳酸菌検出用LAMPプライマーセットであって、ビール混濁乳酸菌の混濁遺伝子の特定領域にアニーリング可能な、所定塩基配列からなる4種のLAMPプライマーセット、およびこれらのLAMPプライマーセットを用いてビール混濁乳酸菌を検出する方法とする。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Beer、アサヒビール、キリン、サッポロビール、サントリー

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2008年5月19日月曜日

Innovative Development of AEON Business Model

Innovative Development of AEON Business Model:イオン銀行、中国展開、グル-プ再編、スケールメリット発揮などイオンの戦略
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog うつ病対策の特許発明(2008-5-18記事)

 イオン株式会社の事業報告(2007-2-21~2008-2-20)が届いた。新銀行東京と対蹠的に、新しいイオン銀行のアイデアが全国で好感され、大分県知事始め参加の地域地消・地域全消の華やかなTV報道、イオン・プライベ-トブランドの高品質・低価格、68店舗でアジア・中国各地の業務拡大など、小売商業界の新たなビジネスモデル開発の範例として、今次報告を考察する。

1. 報告の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 スケ-ルメリットを活かし、グル-プシナジーを追及する。
1-1-1 グル-プ共通インフラ革新の再革新
1-1-1-1 シナジーを最大化する機能会社3社の設立:
1-1-1-1-1 イオントップバリュ株式会社: プライベ-トブランド「トップバリュ」の商品企画開発と販促
1-1-1-1-2 イオン商品調達株式会社: 加工食品のナショナルブランド商品、生鮮・デイリーの共通取扱商品の調達、生鮮素材の調達
1-1-1-1-3 イオングローバルSCN株式会社: 物流センターの管理・運営、物流業務の受託、物流業務の収集処理
1-1-1-2 品質確保・安全・安心のプライベ-トブランド「トップバリュ」の拡販・共同調達による競争力強化
1-1-1-2-1 当期(2007-2-21~2008-2-20)の売上2647億円(前期比20%増)
1-1-1-2-2 売上目標(2010年度)7500億円
1-1-1-3 地域への密着とグローバルな取組
1-1-1-3-1 地産地消・地産全消による地域振興: 知事みずから来店拡販
1-1-1-3-2 豊富・健康食生活の実現: 食育体験学習会を88回開催の実績(SANARI PATENT注:食育基本法に基づく食育基本計画に適合する)
1-1-1-3-3 グローバルな商品調達
イオンのスケールメリットを活かし、イタリア本場商品など「お値打ち価格提供」している。
1-1-1-4 グル-プ力を活かした生活応援と売り場の魅力
1-1-1-4-1 グル-プ1100店舗で価格凍結宣言を実施
1-1-1-4-2 ライフスタイル提案型のイオンスタイルストアを60店舗構築した。
1-2 新たなグル-プ成長モデルの構築
1-2-1 金融サービス新事業の展開・イオン銀行開業(2007-10)
1-2-1-1 休日・夜間営業、インストアブランチは年中無休で朝9時から夜9時まで営業
1-2-1-2 キャッシュカード(イオンバンクカード)はイオン銀行ATMで何時でも入出金無料
1-2-1-3 電子マネーWAON搭載
1-2-1-4 現在、利用可能店舗24,000店、ショッピングセンタ内インストアブランチ13店舗、口座数25万、預金残高1400億円(2008-2-10)
1-2-2 イオンの電子マネーWAONの全国展開
1-2-2-1 利用エリアを全国24,000店舗に拡大し、発行枚数380万枚になった(2008-3-31).
1-2-2-2 JAl、三井すみともカードと業務提携の合意をした。
1-2-2-3 イオンカードの「ときめきポイント」をWAONポイントに交換するサービスを開始した。
1-2-2-4 ケータイでWAONを利用できるモバイルWAONサービスを開始した。
1-2-2-5 WAONポイントとSuicaポイントを相互交換できるサービスを開始した。
1-2-2-6 JMB WAON、イオンJMBカードによるWAONの買物でJALのマイルが貯まり、貯めたマイルをWAONに交換もできるサービスを開始した。
1-2-3 イオングル-プ3社がそれぞれ展開してきた保険代理店事業を統合し、イオン保険サービス株式会社を設立して効率化した。
1-2-4 アジア・中国での事業基盤確立
1-2-4-1 アジアにおける事業展開は68店舗、営業収益2000億円の規模を超えた。中国に永旺商業有限公司を設立、上海集団有限公司と業務提携を合意した。
1-2-4-2 イオンクレジットサービスマレーシアをマレーシア証券取引所に上場した(2007-12)。

1-2-5 新グル-プ企業、新会社設立
1-2-5-1 グル-プ各社の再編・統合
1-2-5-2 スーパーマーケット光洋を子会社とした。
1-2-5-3 物販とサービスを融合する新業態の株式会社イオンボディを設立した。
2. SANARI PATENT所見
上記のほか、環境政策への協調、純粋持株会社への移行など、対外・対内の課題に即応しつつイノベーションを展開してゆく旨を述べており、わが国次世代小売業界の全体像を展望するために、必見の報告である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Aeon、食育、プライベートブランド、電子マネー、マレーシア

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2008年5月18日日曜日

Aspartame in the Metabolic Generation

Aspartame in the Metabolic Generation:メタボ時代のアスパルテ-ム関係特許発明
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog うつ病関係の特許発明(2008-5-18記事)

  ノ-カロリ-・ノ-砂糖が標榜されるメタボ時代で、SANARI PATENTでも甘味料は「味の素のパルスイ-ト」を用いている。パルスイ-トは  、味の素の株主優待・新製品プレゼントで知ったが、1.2gづつの小型袋に小分けされていて使い易い。1.2gであるが、砂糖6gと同じ甘さで、カロリ-は12分の1と示されている。「PAL SWEET DIETは味の素のアスパルテ-ムの登録商標です。アスパルテ-ムは、アミノ酸から生まれた甘味料です。パルイ-ストの甘さの約6割はアスパルテ-ムに由来するものです」と、流石に明確な表示である。

 WIKIPEDIAには、「アスパルテ-ムの甘味は砂糖の約200倍」と記述しているから、上記の味の素記述の倍率はかなり控え目とも見られる。

 アスパルテ-ムは米国のサ-ル薬品が1965年に開発し、味の素が製法を開発して世界的に製法特許を有した。米国FDA(Food and Drug Administration:食品薬品局)は、「経口摂取されたアスパルテ-ムの大部分は分解・代謝せず排泄される」と審査し、その後の40年余の全世界使用を経て疫学的に「欧州での疫学調査の結果、アスパルテ-ムの発癌性を示すデータは発見されなかった」と発表している(2006-5-8)。

 ここでは、わが国におけるアスパルテ-ム関係特許公開を見る(SANARI PATENT要約)。

1.森下仁丹「シ-ムレスカプセル」(公開日2008-2-7)
喉に爽快感および潤いを与え、ミントによる初期刺激を緩和したシ-ムレスカプセルを提供する。解決手段として、甘味剤、フレ-バ-およびミントを含む内容物と、これを被覆する皮膜とを含む。

2.田辺三菱製薬「造粒物」(公開日2008-1-17)
口腔内でザラツキ感がなく、優れた口溶けを有しながら、薬物の苦味を抑制しした造粒物を提供する。解決手段として、アスパルテ-ム、スクラロ-ス等の甘味剤、流動化剤を用いる。

3.ペプシコ「ゼロまたは低カロリ-飲料・食品におけるエリスト-ルおよびD-タガト-スの使用」(公開日2008-1-10)
完全カロリ-飲料または食品の味に実質的に類似する味を有する、ゼロまたは低カロリ-飲料・食品を提供する。解決手段として、複数の非栄養性甘味料(SANARI PATENT注:「複数」用いるのは、各甘味料の風味の特徴を最適調合するためと解する)と、糖アルコ-ル、D-タガト-スを用いる。

4.小林製薬「口中清涼化組成物」(公開日2007-8-30)
清涼化剤および甘味剤を含む組成物において、安定性、すなわち、甘味剤が沈殿せず見た目が良いことに優れ、食感が良く、さらには清涼感の持続性に優れた口中清涼化組成物を提供する。解決手段として、ジペプチド甘味剤、特にアスパルテ-ム、中鎖脂肪酸トリグリセライド等を用いる。

5.SANARI PATENT所見
サッカリンと対比すると、その発見は1879年に遡り、戦中戦後、愛用されたが、発癌性を指摘する実験結果が流布されて使われなくなった時期があり、その後、2000年に米国国立衛生院(NIEHS)が発癌物質リストから削除したけれども、好感されないイメ-ジが残存した。発癌性の試験は現在、極めて厳密に行われるが、SANARI PATENTがJFDA(食品薬品安全センタ-)常任監事在任のころには、コ-ヒ-についてまで発癌性を指摘するレポ-とが発表された。しかし、上記サッカリンの場合と同様、過度の高濃度で実験動物に強制投与した結果の異常には措信しない見識も培われてきた。
  毒性(日本では安全性という語が好まれる)は合成化学物質に限らず、在来食品の過剰摂取も広義の毒性を有するから、現在のメタボ流行は奨励さるべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Aspartame、FDA、森下仁丹、田辺三菱製薬、ペプシコ、小林製薬

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2008年5月17日土曜日

Patents for Audition Ability

Patents for Audition Ability:高齢化社会対応で聴力回復新商品の活況
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT 
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SHARP/Yahoo新インターネット連携(2008-5-16記事)

 日本国民の平均寿命(精確には零歳児平均余命)が、この50年間に約20年も伸びたのに、定年年齢は数年延びたに過ぎないのは、心身機能の減衰曲線にはほとんど変化がないためと考えられる。聴力の加齢減衰はその一つで、職業機能における聴力の重要性は職種による差異がなく、またそのために定年後は無職生活を営むにしても、聴力の残存度はQOL(Quality of Life)に大きく影響する。
 最近、新聞等の広告欄には、ほとんど毎日、補聴器・集音機などの名称で聴力回復の新商品が登場しているのも、需要の著増を物語たり、聴力分野の特許発明の有望性を示している。
 ここには現時点での聴力関連特許公開の事例を見る。

1. 松下電器産業「無線電話装置」(公開日2007-3-29)
ノイズ磁界をさらに抑制することにより、難聴者にとって、より聴き易い無線電話装置を提供する。解決手段として、子機は、通話を電波として送受信する送受信部と、これを制御する制御部と、送受信部に電源を供給する電池および安定化電源部と、この電源部から送受信部および制御部に接続する電源ラインに直列接続され、導線を周回させたコイル部と電源ラインとを接続する接続ラインを有し、この接続ラインとコイル部を並行して隣接させたツイストベア線とした磁界相殺コイルを備える。

2. 富士通ゼネラル「空気調和機」(公開日2007-2-15)
本体に備えた報知手段により運転内容を音声で報知しつつ、音声に合わせて運転内容をリモコン装置に備えた表示部により切換表示することによって、聴覚と視覚により互いに補完して運転内容を正確に理解でき、また、ユーザーが弱視者あるいは難聴者であったとしても。聴覚もしくは視覚の何れかによって運転内容を理解できるようにした空気調和機を提供する。

3. 小野薬品工業「内耳疾患治療剤」(公開日2008-2-1)
突発性難聴等に代表される内耳疾患の予防、治療、症状進展抑制剤を提供する。解決手段として、複数のPGE結合活性を有する化合物、特にEP2アゴニストを用いる。

4. リオン「補聴器」(公開日2008-5-8)
難聴者にも電池残量の程度が認識し易く、円滑に電池交換できる補聴器を提供する。解決手段として、電圧検出部が検出した電圧に基づいて電池残量を算出し、発光手段を点灯制御する。

5. JST(独立行政法人・産業総研)「聴覚機能訓練方法および装置」(公開日2007-11-1)
難聴の種類に拘わらず聴覚機能を効果的に向上できる聴覚機能訓練装置を提供する。解決手段として骨導振動子を用いる。

6. SANARI PATENT所見
ヘッドフォン難聴など、難聴の原因も電子聴音機器の副作用として多様化し、伝音難聴・感音難聴など難聴現象も様々な様相を呈してきたが、高血糖値による合併症の場合、有毛細胞の減衰による場合など原因の究明も進み、その結果に基づく特許発明が人材の潜在能力発揮に役立つことが期待される。国費助成しても、その生産性効果は極めて大きいと考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Audition、松下電器産業、富士通、小野薬品、JST、リオン

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Patents for Audition Ability

Patents for Audition Ability:高齢化社会対応で聴力回復新商品の活況
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT 
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SHARP/Yahoo新インターネット連携(2008-5-16記事)

 日本国民の平均寿命(精確には零歳児平均余命)が、この50年間に約20年も伸びたのに、定年年齢は数年延びたに過ぎないのは、心身機能の減衰曲線にはほとんど変化がないためと考えられる。聴力の加齢減衰はその一つで、職業機能における聴力の重要性は職種による差異がなく、またそのために定年後は無職生活を営むにしても、聴力の残存度はQOL(Quality of Life)に大きく影響する。
 最近、新聞等の広告欄には、ほとんど毎日、補聴器・集音機などの名称で聴力回復の新商品が登場しているのも、需要の著増を物語たり、聴力分野の特許発明の有望性を示している。
 ここには現時点での聴力関連特許公開の事例を見る。

1. 松下電器産業「無線電話装置」(公開日2007-3-29)
ノイズ磁界をさらに抑制することにより、難聴者にとって、より聴き易い無線電話装置を提供する。解決手段として、子機は、通話を電波として送受信する送受信部と、これを制御する制御部と、送受信部に電源を供給する電池および安定化電源部と、この電源部から送受信部および制御部に接続する電源ラインに直列接続され、導線を周回させたコイル部と電源ラインとを接続する接続ラインを有し、この接続ラインとコイル部を並行して隣接させたツイストベア線とした磁界相殺コイルを備える。

2. 富士通ゼネラル「空気調和機」(公開日2007-2-15)
本体に備えた報知手段により運転内容を音声で報知しつつ、音声に合わせて運転内容をリモコン装置に備えた表示部により切換表示することによって、聴覚と視覚により互いに補完して運転内容を正確に理解でき、また、ユーザーが弱視者あるいは難聴者であったとしても。聴覚もしくは視覚の何れかによって運転内容を理解できるようにした空気調和機を提供する。

3. 小野薬品工業「内耳疾患治療剤」(公開日2008-2-1)
突発性難聴等に代表される内耳疾患の予防、治療、症状進展抑制剤を提供する。解決手段として、複数のPGE結合活性を有する化合物、特にEP2アゴニストを用いる。

4. リオン「補聴器」(公開日2008-5-8)
難聴者にも電池残量の程度が認識し易く、円滑に電池交換できる補聴器を提供する。解決手段として、電圧検出部が検出した電圧に基づいて電池残量を算出し、発光手段を点灯制御する。

5. JST(独立行政法人・産業総研)「聴覚機能訓練方法および装置」(公開日2007-11-1)
難聴の種類に拘わらず聴覚機能を効果的に向上できる聴覚機能訓練装置を提供する。解決手段として骨導振動子を用いる。

6. SANARI PATENT所見
ヘッドフォン難聴など、難聴の原因も電子聴音機器の副作用として多様化し、伝音難聴・感音難聴など難聴現象も様々な様相を呈してきたが、高血糖値による合併症の場合、有毛細胞の減衰による場合など原因の究明も進み、その結果に基づく特許発明が人材の潜在能力発揮に役立つことが期待される。国費助成しても、その生産性効果は極めて大きいと考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Audition、松下電器産業、富士通、小野薬品、JST、リオン

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2008年5月16日金曜日

Patents for Decreasing Diabetes

Patents for Decreasing Diabetes:イノベーションの阻害原因・糖尿病蔓延防止の特許発明
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog Yahoo/Sharpのインターネット・TV連携(2008-5-16記事)

 イノベーション促進の知財研究が活発であるが、イノベーション阻害原因の最たるものは、人材活力を減殺する糖尿病合併症の蔓延である。その防止について関心が高まり、糖尿病関係の特許公開も活発である。その事例(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 第一三共「新規セルコスポラミド誘導体」(公開日2008-5-1)
良好な血糖値低下作用を有し、糖尿病の治療薬・予防薬において有用である新規セルコスポラミド誘導体、その薬理上許容される塩またはそのエステルに関する一般式を提供する。

2. 中外製薬「代謝調節剤として有用なマロニル-CoA脱炭酸酵素阻害剤」(公開日2008-5-1)
マロニル-CoA脱炭酸酵素の阻害によって調節される疾患の治療に有用な、「新規化合物」、「それらのブロドラッグ」、「薬学的に許容される塩」、「そのような薬学的組成物」を提供する。

3. カネカ「血糖値上昇抑制剤」(公開日2008-4-17)
安全な食品素材由来である血糖値上昇抑制剤およびその製造方法および組成物を提供する。(シソ・perilla Frutescensを素材とする。)

4. 伊藤園「成長ホルモン分泌促進用組成物」(公開日2008-5-8)
安全性の高い成長ホルモン分泌促進用組成物、血糖値上昇抑制用組成物、およびこれら組成物を含有する飲食物を提供する。

5. 三洋電機「血糖値測定装置および血糖値測定方法」(公開日2008-5-8)
血糖値測定装置を小型化し、かつ非侵襲として容易な測定を可能にする。(被測定部位に、グルコ-スによる吸収率の高い近赤外レ-ザ-と、グルコ -スによる吸収がない可視線とを透過させる。)
6. イ-エヌ大塚製薬「糖尿病または血糖コントロ-ル用栄養組成物」(公開日2008-4-24)
糖尿病患者の血糖コントロ-ルおよび合併症予防に有効で、かつ十分な栄養管理を実施でき、風味も良好な糖尿病または血糖コントロ-ル用栄養組成物を提供する。

7. アステラス製薬「リン酸化-脱リン酸化反応検出用基質群およびそれを用いた検出方法」(公開日2008-5-8 )
プロティンキナ-ゼまたはプロティンホスタファ-ゼの反応性を簡便に測定できる手段を提供する。

8. 大日本住友製薬「インド-ル類およびそれを含む医薬組成物」(公開日2008-5-8)
経口吸収率のよいべ-タ3-アドレナイン受容体刺激作用を有する化合物を提供する。

9. 花王「脂質代謝改善剤」(公開日2008-4-17)
クロロゲン酸類からなる血糖値上昇抑制剤を提供する。

10.SANARI PATENT所見
  厚生労働省の調査によれば、わが国で約1620万人が糖尿病患者またはその可能性が強く疑われる人であり、無自覚症状のうちに血糖値が上昇して網膜症,腎症、神経障害、昏睡などの合併症を起こすことが知られている。エネルギッシュで栄養摂取豊富な知財人材が美食飽食と代謝不全のために罹患する場合も多いと推測される。イノベーション阻害現象となることは疑いなく、関係知財によって防止の知識を会得すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Diabetes、アステラス、伊藤園、第一三共、カネカ、中外製薬、花王、大日本住友製薬、大塚製薬、三洋電機

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2008年5月15日木曜日

Reverse Engineering of Computer Program

Reverse Engineering of Computer Program :コンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングの適法性検討を早急課題に(内閣IP本部調査会)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 検索サービスについて内閣知財戦略本部の調査会が検討(2008-5-14記事)

 内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代の知財制度調査会が。5月会合において早急解決課題の一つとしたのが「コンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングの適法化」である。この問題が発生するのは、コンピュ-タ・プログラムが特許権と著作権の双方の対象であることに基づく。
 以下その検討内容を考察する。

1. 課題の概要(SANARI PATENT要約)
1-1 技術の発展には、他社製品を解析し、その製品に化体された技術を理解するリバ-ス・エンジニアリングが不可欠である。このため特許法は「特許権の効力が及ばない範囲」として、「特許権の効力は、試験・研究のためにする特許発明の実施には及ばない」と定めて、特許権を制限している。
1-2 しかしながら、コンピュ-タ・プログラムについては、リバ-ス・エンジニアリングの過程で生ずる複製や翻案が著作権侵害に該当するおそれがあるため、プログラムの脆弱性発見・修正のためのプログラム解析等に委縮効果が作用している。
1-3 欧米ではFair Use(フェアユ-ス)規定等に基づいて、相互接続性確保のためのリバ-ス・エンジニアリングは権利侵害に当たらないとされ、かつ、プログラムの脆弱性発見・修正のためのプログラム解析も広く行われており、わが国の現状を放置したままでは、革新的なソフトウェアや情報セキュリティの確保に 際して著作権法が障害となる結果も想定される。
1-4 従って、わが国の主要な情報産業事業者が加盟する(社)電子情報技術産業協会(JEITA)からも、知的財産推進計画2008において「リバ-ス・エンジニアリングを広範に認めるべく」、「コンピュ-タ・プログラムの研究開発、性能の検証、バグの発見・修正、相互運用性確保等を目的とする他社コンピュ-タ・プログラムの複製・翻案を可能とする権利制限規定を積極的に検討すべきである」という意見が提出された。
1-5 このような状況を踏まえ、少なくとも相互接続性や情報セキュリティ確保のためのコンピュ-タ・プログラムのリバ-ス・エンジニアリングに必要な範囲において、その過程で生ずる複製・翻案を行うことができるよう、早急に法的措置を講ずべきである。

2 SANARI PATENT所見
2-1 上記1-3のフェアユ-スを米国について見る。米国著作権法のフェアユ-ス条項(第107条)も具体性を欠くという見方があるが、少なくともわが国著作権法が第1条の「法の目的」規定にのみ「公正」の語を用い、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図る」とするにとどまるのに対して、米国においては、既に1841年Folsom V.Marsh判決により4つの判断要素が判示され、これが実質的に1976年著作権法に条文化されていること、1976年著作権法はさらに「批評・解説・ニュ-ス報道・教授・研究・調査」をフェアユ-ス該当として明示していること、そして何よりも現に、コンピュ-タ・プログラムの研究開発や検索サービスの世界市場制覇的発達を見ていることに、著作権制限の在り方のイノベーション適合を見るべきである。
2-2 なお上記2-1の判断要素は次のように定められている
2-2-1 抜粋の性質・目的=利用の目的と性格(利用が商業性を有するか、非営利の教育目的か
2-2-2 著作権対象著作物の性質
2-2-3 利用された部分の量と質=著作物全体との関係における利用された部分の量および重要性
2-2-4 原作品の売上の阻害、利益の減少、目的の無意味化の度合=著作物の潜在的利用・価値に及ぼす影響
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Reverse Engineering、Computer Program、JEITA、Fair Use、米国著作権法

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2008年5月14日水曜日

Results of iSP International Symposium held by JST

Results of iSP International Symposium held by JST:科学技術振興機構主催国際シンポジウム「iPS細胞研究が切り拓く未来」の成果
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 米国著作権法「フェアユ-ス」条項の導入(2008-5-13記事)

1. 標記国際シンポジウム(2008-5-11~12)の内容
1-1 JST(科学技術振興機構)は次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 山中伸哉京都大学教授らによって生み出された画期的研究成果であるiPS細胞の研究を一層推進するため、JSTは国際シンポジウム「iPS細胞研究が切り拓く未来」を開催する。
1-1-2 山中伸哉京都大学教授のiPS細胞研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業チ-ム型研究(CREST)「免疫難病・感染症等の先進医療技術」研究領域における研究課題「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」などの中で進められているもので、JSTはこの研究を加速するため様々な支援を行っている。
1-1-3 今次国際シンポジウムは、iPS細胞研究に関する研究活動の重要性を踏まえ、世界の幹細胞研究のリ-ダ-に最新の研究状況について発表していただき、この研究分野における世界の研究者・研究機関・国などの取組の現状を報告し合うと共に、国際協調の在り方についての方向性を見出す機会として行う。
1-1-4 講演者は、山中教授のほか、英国カ-ディフ大学・マ-ティン・エヴァンス・生物科学部学部長(2007年ノ-ベル医学・生物学賞受賞者)、ドイツ・マックスプランク分子医薬研究所・ハンス・シェラ-所長、米国マサチュ-セッツ工科大学ホワイトヘッド研究所ルドルフ・イェ-ニッシュ教授等、イスラエル・オ-ストラリア・スエ-デン・シンガポ-ル・中国・韓国・日本などの研究者である。
1-2 今次国際シンポジウムにおける発表内容は、学会やマスコミによって逐一報告され、グローバルにiPS細胞研究開発への関心と期待を高めたと考える。
2 マスコミ報道の事例(SANARI PATENT要約)
  朝日新聞(2008-5-12)は「iPS細胞リスク減:米国研究所・化合物使う新製法」と見出して、次のように報じた。(SANARI PATENT要約)
2-1 「3~4個の遺伝子を体細胞に送り込んで作製するヒトの万能細胞(iPS細胞)」(SANARI PATENT考察:この括弧の意味は微妙で、万能細胞=iPS細胞とする意味の=ではない、と考える)について(SANARI PATENT考察:京都大学のiPSを含むと解する)、米国スクリップス研究所・シェン・ディン准教授は、「2個の遺伝子と化合物で作製することに成功し、遺伝子を1個に減らす研究も進めていることを、JST主催・国際シンポジウム「iPS細胞研究が切り拓く未来」で明らかにし、「数年以内に化合物だけを使ったより安全な方法を確立したい」と述べた。
2-2 iPS細胞については、体細胞の「初期化」(SANARI PATENT注:分化開始前の状態におくことと解する)を促す遺伝子の運び屋(SANARI PATENT注:ベクタ-、キャリヤ-)として使うウィルスの、発癌性を含む副作用の可能性があり、人工的に合成できる化合物で代替できれば、このリスクがなくなると見られる。

2. SANARI PATENT所見
2-1 上記2-2については、その化合物の非発癌性・非副作用性が毒性試験によって立証されなければならないが、2-1の発表では、化合物の内容は示されなかったようである。特許性については、医薬等の医療関係発明について、毒性の存否と治療効果の相関が重要な課題であるが、特許法と薬事法の2本建ての構造で安全性が確保され「産業上利用可能」となる。
2-2 「万能細胞」の語義については、文部科学省の資料には、幹細胞(Stem Cell)の定義として「分化が終了しておらず、いろいろな種類の細胞に変わる能力と、自ら増殖を続ける能力を有する細胞。通常の幹細胞は変化できる細胞の種類が限られているが、受精卵等を利用して作る胚幹細胞(ES細胞)は「万能細胞」と呼ばれ、あらゆる種類の細胞に変わる能力を持つ。幹細胞は、ほとんどの臓器や組織から発見されている」と述べている。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
JST、iPS、幹細胞、京都大学、文部科学省、万能細胞

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2008年5月13日火曜日

Points at Issue in the May Meeting of Digital Net

Points at Issue in the May Meeting of Digital Net Committee:内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代知財制度調査会5月会合の論点
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog リチウムイオン電池の三洋電機・Volkswagen共同開発(2008-5-12記事)

標記会合(2008-5-9)におけるDigital Net Societyに関する論点を考察する。

1. 論点(SANARI PATENT要約)
1-1 デジタル・ネット社会における著作権制度の役割
1-1-1 著作者・利用者間の利用に関するルールを示す調整機能を担うべきである。
1-1-2 著作権法の財産権・人格権の両側面について、ビジネス法の性格が強まっており、ビジネス発展を阻害しない制度とすべきである。
1-1-3 著作物は利用により利益を生ずるのであるから、利用を促進してその利益の対著作権者還元を考えるべきである。
1-1-4 著作物創作のインセンティブを金銭対価に限定せず、何がインセンティブであるのか、広く検討すべきである。
1-1-5 日本社会では未だ精神的創造物や無体財産に対する評価が低いから、これを是正する視点もあるべきである。
1-1-6 伝統的コンテンツホルダ-が権利を保有していて、新規事業者が参入しにくい状況がある。新規事業者のコンテンツ市場参入が続出し、コンテンツ市場規模を拡大させる観点が必要である。
1-1-7 デジタル・ネット時代には、創作者と利用者とが相互に入替りを繰返す融合現象が顕在化するから、この相互性に注目すべきである。
1-1-8 インターネットによる超国境の情報流通、情報共有についての対応策検討が重要である。
1-1-9 デジタル・ネット時代には個人による複製・頒布が容易になるから、安新して著作物を流通できるよう、違法行為を防止する意味で制度が大きな役割を持つ。(SANARI PATENT注:どの行為が、どういう理由で違法になるか、制度を明確にし、法抵触の危惧から流通の委縮を招かないようにすべきであるという趣旨と解する)。
1-1-10 著作権処理のコスト、業界内商慣習の問題を含めて、柔軟な展開を可能にすべきである。(SANARI PATENT考察:著作権処理のコストを低減することは、著作権の活用をビジネスの側面から考える場合に極めて重要であり、著作権管理機構の在り方も、この視点から考えるべきである)。
1-2 フェアユ-ス規定
1-2-1 インターネットビジネスの視点から、フェアユ-ス規定は必要不可欠である。この立法化が遅滞すると、国際的なコンテンツビジネスの世界で完敗する。(SANARI PATENT考察:新設された、このデジタル・ネット時代知財制度調査会の最大の現実的課題で、その具体的解決ができれば、新設の意味があったといわれよう)。
1-2-2 新規参入事業者にとっては、自らリスクをとって挑戦できるフェアユ-ス規定がないと、著作権制度が大きな壁になってしまう。(SANARI PATENT考察:極めて重要な指摘で、デジタル・ネット社会の発展の成否を左右する課題である)。
1-2-3 米国著作権法のフェアユ-ス規定は、若い人達が少なくともある種の哲学的条件のもとで自由にやってよいという勇気を与える制度として機能している。(SANARI PATENT考察:日米の大きな格差であり、この点を度外視して人材育成を論じても意味がない)。

2. フェアユ-ス規定の具体化については、
 別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 2008-5-13ご参照
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Digital Net Society、著作権処理、フェアユ-ス、インターネットビジネス

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2008年5月12日月曜日

JST e-Learning Curriculum for IP Strategy

JST Offers Excellent e-Learning Curriculum for IP Strategy:科学技術振興機構の技術者向けe-Learning Curriculumに知財戦略の新課程
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 慶應大学・中村伊知哉教授の」デジタルネット政策論(2008-5-11記事)

  JST(Japan Science and Technology Agency)は予てより、技術者向けの先端技術e-Learning Curriculumを提供してきたが、進んで知的財産制度の課程を昨年新設し、今春から「知的財産戦略」の科目を加えた。その整備された体系と共に、「標準化戦略」、「オ-プンソ-ス戦略」などの、内閣知財戦略本部計画においても的確な表現が付与されていない戦略項目について明確な定義を示しつつ、技術者の自己研修に資していることは極めて賞賛に値する。
 その体系を評価するに先立ち、特に注目すべき記述を見る。

1. JSTの「知財戦略」(SANARI PATENT要約)
1-1 例えば「知的財産の戦略的活用」の章は、次のように分節されている。
1-1-1 事業戦略に」応じた知的財産の柔軟な活用
1-1-2 囲い込み戦略
1-1-3 クロスライセンス戦略
1-1-4 標準化戦略
1-1-5 オ-プンソ-ス戦略
1-1-6 ライセンスビジネス戦略
1-1-7 知的財産権の売却戦略
1-1-8 知的財産権の併用戦略
1-1-9 権利化後における知的財産の評価
1-1-10 技術者が留意すべき事項
1-2 このうち例えば「標準化戦略」は次のように定義されている。
 「標準化戦略=知的財産権を緩やかな条件で広くライセンスして、自社の技術を標準技術へと導く戦略」、すなわち、自社技術を他社A、他社B、他社Cへとライセンス先を拡大してA/B/C社以下各社をライセンスにより取込む戦略である。これにより自社技術を「事実上の標準技術」化してゆく。

2.SANARI PATENT所見
  現行の内閣知財戦略本部・知的財産推進計画2007(2008が未だ決定されていないので)には「国際標準化活動を強化する」と題する節を設け、「世界市場の一本化や国際標準を国内標準の基礎とすることを義務付けるWTO/TBT協定の発効、特許権を含む国際標準の増加など、国際標準を取り巻く環境は著しく変化している」と述べ、「企業における経営者層の、国際標準に関する理解の増進を図る」などの「意識改革」を対策のトップに掲げている。
  既に数十年にわたり国内外にわたる企業グル-プの構築によって、世界市場の占有率増大に熾烈な競争を展開し、その勝利によって「事実上の標準化」(de fact standardization)を国際標準として(ただし厳密には国際標準の一つとして)勝ち取ってきたグロ-バル展開企業の経営者・技術者にとっては、上記内閣知財戦略本部の記述には、かなり違和感があるはずである。
  このたびのJSTの1-2定義は企業戦略が標準化形成の出発点であり起動力であるという当然のことを述べたものともいえるが、行政主導で標準が設定された旧JISとの混同まで残存しているわが国の現状においては、極めて適切な教材である。
(修正の御要求・ご意見等は、sanaripat.@gmail.com へ!)
IP Strategy、JST、国際標準化、ライセンス、de fact standardization

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2008年5月11日日曜日

Law Attorney, Ms. M.Miyagawa Opines on Copyright

Law Attorney, Ms. M.Miyagawa Opines on Copyright Problems: 内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代の知財制度専門調査会・宮川弁護士意見
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 訪日外国客著増の動因(2008-5-10)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 中山信弘内閣知財戦略本部員意見(2008-5-10)

知的財産制度の改革について。当面の課題は、わが国デジタル・ネット社会のイノベーションが世界を先導する意気込みで展開するために、著作権問題を円滑に処理する方途が、そのほとんどを占めているとSANARI PATENTは考える。この意味で、「弁護士として、あるいは著作権者側、あるときは利用者側、メディア側に立って著作権の侵害、あるいは著作権に関する紛争解決に関与しております」と自己紹介(2008-4標記調査会発足に際して)された宮川美津子弁護士の意見を考察することが重要である。

1. 宮川弁護士の意見(SANARI PATENT要約)
1-1 弁護士の業務上、著作権の保護という視点と、著作物の自由な利用の促進という視点と、この二つの視点が対立する場面にも遭遇するが、著作権制度・著作権法はむしろ、公正利用のルールとか権利の範囲の明確化といったルールづくり、権利者と利用者の間のルール作りの役割を有すること、すなわち、調整役を担うものであることを、もっと強調すべきであると考える。
1-2 デジタル・ネット社会の進展のなかで、著作権制度が不適合を起こしているのはどのような点かという課題については、先ず現状の分析としてデジタル・ネット時代の到来により複製や頒布が容易になり、ネットを通じて個人の行為が影響する範囲が非常に拡大している。そして、従来「私的利用」と言われていたものが、果たしてどの範囲まで私的利用と言えるのか、不明確になった。
1-3 このような状況下で、著作権者は、著作物の流通促進、文化発展のための利用促進を言われても、違法な複製・頒布を防止することができない以上、侵害が怖くて、流通促進の声に賛同し難い気持ちであることも理解できる。
(SANARI PATENT考察:この「違法な」の範囲をどのように定めるべきかが、課題である。)
1-4 侵害の阻止、発見、防止について、技術的解決も考えられるが、さらに、違法行為防止の意味で、著作権法・著作権制度に大きな役割がある。(SANARI PATENT考察:「違法行為防止」の前に「何を」「違法行為」と定めるべきか、が課題である。 )
1-5 フェアユースが一般的な規定の課題として挙げられているが、一般的に権利濫用、あるいはフェアユースという命題で権利制限規定を立法すると、一体何が著作権者の権利濫用、あるいは利用者側のフェアユースという点は、結局裁判にならないと分からないということになり、現実の利用の際に委縮してしまう、あるいは使用許諾も委縮することになり、実際の場面では適切に作用しないおそれがある。現在のように、個別的、具体的な権利の規定というものを時代に合わせて作るのが、著作権制度のルール作り、調整役機能の在り方である。
2 SANARI PATENT所見
 宮川弁護士の1-5も結びが適切であって、「権利濫用」・「フェアユース」という概念が、イノベーションの進展過程においてどのように変動し、また、イノベーションを起動・促進するためにどのように変動すべきかを判断し、その判断を個別的・具体的な立法と司法の双方に顕現することが、内閣知財戦略本部の役割である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Law Attorney、弁護士、著作権、権利濫用、フェアユース

ラベル:

2008年5月10日土曜日

Media Policy at Government IP Headquarters Committee

Sophia University Prof. Y.Oto States Media Policy at Government IP Headquarters Committee:内閣知財戦略本部・デジタル・ネット時代専門調査会委員・上智大学・音 好弘教授(メディア論)の意見
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 幹細胞関係特許公開(2008-5-9記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 日本総研法務部長の著作権意見(2008-5-9記事)

  「デジタル・ネット時代の知的財産制度専門委員会」が昨日の第2回会議を経て論点ごとの検討に進むが、先ずメディア論の音教授の意見を要約・考察する。

1. 音教授の意見(SANARI PATENT要約)
1-1 論点の第一、「デジタル・ネット社会における著作権制度の役割をどのように捉えるべきか」について、上野委員は「精神的な所有権に関して著作者の権利を憲法上の基本権に由来するとした上で、著作者と利用者を調整する役割を担うものとして著作権制度を捉える考え方もあり得る」と指摘された。
1-2 内閣知財戦略本部はこの論点について、創作へのインセンティブ(文化政策的アプローチ)から、「創作者の利益の保護が更なる創作を生みだし、文化や産業を豊かにする」としているが、この「創作へのインセンティブ」というアプローチからは、わが国の現在のメディア状況はクリエイティビティ、やる気を出させるようになっているのか、検討が必要である。すなわち、片方で精神的な所有権というものを重視しつつも、もう片方で非常に大局的な状況の中で、創作者達が、よりやる気を出せる、文化を創る気持ちになれる状況を一層提示する必要がある。
1-3 メディア産業の現状は、プレーヤーが同様な人達で占められて、新規参入が難しい状況が見受けられる。これを政策的に広げる仕組をデジタルによって生み出す生み出すことが望まれる。
1-4 論点の2、すなわち、「デジタル・ネット社会の進展の中で、著作権制度が不適合を起こしている具体的な問題は何か」については、色々あると考えるが、様々なプレヤー達の参入に当たっての障壁、手続、商慣習、などの、ビジネス・文化活動の柔軟な展開を阻害する要素、ブレーキをかける状況を政策的になくすべきではないか、と考える。
2 SANARI PATENT所見
内閣知財戦略本部は「戦略」本部であるから、「基本的人権論」は日本国憲法改正案の「知的財産権と公益との調整」理念を起点とすれば足り、改めて議論所見の時間を費やすべきでない。現に提起されているiPod課税案などの具体的案件について迅速に判断と共に、課金するならば、その徴収金額が、音委員提案の「クリエイティビティ発揮」に、いかに直接的(管理機構を膨らませるのではなく)に作用させるか(創作者に対して)、現実的措置を立案すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Sophia University、上智大学、メディア論、デジタル・ネット社会、商慣習

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2008年5月9日金曜日

Patent for Foreign Exchange Dealing

Patent for Foreign Exchange Dealing: 中国人民元相場への注目:外国為替取引に関する特許の動向
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 雪印チーズのパテント150(2008-5-8記事)

 中国・胡錦濤国家主席の今次訪日を契機として、「日中戦略的互恵関係」が経済面で益々進捗する機運に乗じ、中国人民元相場への注目が高まることも必至である。丁度届いた野村証券の資産管理誌・最新号が「米ドル・円相場および人民元のここがポイント」を掲載したことは、時宜を得たものである。

1. 上記記事の内容(SANARI PATENT要約)
1-1  米ドルに対する中国人民元の上昇ペースは2007-11以降加速し、2008-4-10には、2005-7の中国人民元切り上げ(約2%:1米ドル=8.11中国人民元)後、初めて1米ドル=7.0中国人民元を超え、6元台に入った。
1-2  中長期的には、中国人民元の対米ドル相場は1989-6の天安門事件以前の水準に下がると考える。中国当局は、天安門事件後の中国経済の悪化懸念に対処し、市場レートから見て4割以上の中国人民元安を誘導し、1994-1に二重レートを一本化し、公定レートを、市場の実勢を反映した外貨調整センターレートの水準に切り下げた(1米ドル=5.76元から8.7元に)。この切り下げが、その後の対米など貿易不均衡をもたらし、現在の中国人民元高圧力に反映している。
1-3  すなわち、中国人の中国人民元建て賃金が更に4割も低下し、外国企業の中国進出、低価格製品の大量生産、輸出の拡大、中国経済の高度成長をもたらした。一方、中国に生産拠点を奪われた諸国は、中国発の不均衡問題解決のため中国人民元レートを元に戻すことが必要となる。
1-4  しかし、中国の輸出が既に緩やかに減速し始めていることもあって、中国政府が一度に大幅に中国人民元を切り上げる可能性は小さい。要するに長期的に見れば、中国人民元は緩やかな上昇が期待される通貨に一つである。

2. SANARI PATENT所見
外国為替取引が情報通信技術の対象として高度かつグローバルに発展することは、世界経済の合理的な発達をもたらす。外国為替取引に関する最近の特許公開の事例としては次のようなものがあるが、進歩性に富むビジネス方法の創出が望まれる。
特に現在、外国為替については一般顧客にとって指値注文の方法が提供されていないが、下記2-3などの考案によって、これが円滑に実施されることが望まれる。

2-1 自動取引装置および自動取引装置による振替予約方法:沖電気工業(公開日 2008-2-28)
  外国為替相場における為替レートが、顧客が予め指定した為替レートになったことを条件とする振替予約を行うことができるようにして、顧客の要望に合致した振替取引を行うことができ、為替差損が発生することなく、取引機会を逃すことがないようにする。
2-2 証券・外国為替・商品先物注文プログラム、その記録媒体および出来高管理装置、ならびにそれらのフロントシステム:フラクタルシステム(公開日 2008-2-21)
従来のコンピュータを利用した売買システムによるトレードは、発注者側のコンピュータから証券会社・為替会社・先物会社へ情報を得るための操作として、それぞれの会社専用の画面を表示して個別に注文や情報を得るようにしなければならない。すなわち、各画面間に連携されたインタフェイスが存在しないため各画面の連携性が関連する為替相場や証券の発注に時間がかかるという制限があったのに対して、各取引内容をExcel上で一元管理できるフロントシステムを提供する。
2-3 金融商品取引管理装置:マネースクェアジャパン(公開日 2008-1-17)
金融商品の指値注文における金融商品の取扱業者および顧客の不利益を回避し、指値注文による取引を効率的かつ円滑に行う方法を提供する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Foreign Exchange、中国人民元、沖電気工業、外国為替相場、胡錦濤中国国家主席

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2008年5月8日木曜日

Nippon Oil Co. is Operating Energy Business on a Global Scale

Nippon Oil Co. is Operating Energy Business on a Global Scale:新日本石油が、中国石油天然ガス集団公司と石油精製合弁会社を設立(2008-5-7発表)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 京都大学の幹細胞関係特許公開(2008-5-7記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 日立製作所が中国で省エネインバータ(2008-5-7記事)

 日中首脳会談の石油開発協力合意(2008-5-7)と同日、新日本石油は、中国石油天然ガス集団公司との間の「石油精製合弁会社の設立に関する意向書」締結について発表した。
 中国を始め、アジア・太平洋市場への製品輸出を主目的とし、新日本石油の研究開発の蓄積(環境ハイオク・ヴィーゴ、サルファーフリー軽油の製造技術など)を活かすプロジェクトとして、エネルギーの共同戦略を含め、日中共栄の新時代開幕にふさわしいタイミングの発表である。

1. 発表内容(SANARI PATENT要約)
1-1 新日本石油は、中国石油天然ガス公司との間で、これまでの長期にわたる協力関係を基に、アジア・太平洋地域における両社の更なる発展を期すべく、精製子会社である新日本石油精製・大阪製油所の合弁製油所化い向けて意向書を締結した(2008-5-7)。
1-2 合弁会社の所在地は大阪府高石市、出資比率は新日本石油51%、中国石油天然ガス集団公司49%とする。
1-3 事業内容は、大阪製油所において原油を精製し、アジア・太平洋市場で販売する。
1-4 上記合弁会社設立の背景は、
1-4-1 原油価格高騰、環境規制の強化に伴う燃料転換、省エネの進展で、国内石油需要の大幅な縮小が見込まれ、過剰設備解消など抜本的構造改革が国内で必要である。一方、アジア・太平洋地域の石油製品需要は着実に増加し、中長期的観点からビジネスチャンスが拡大する。
1-4-2 このような事業環境についての共通認識のもとで、新日本石油と中国石油天然ガス公司とは新日本石油グループの製油所運営能力と中国石油天然ガス公司の優れた製品マーケティング相互に有効活用すべく、合弁会社設立の検討を開始する。
1-4-3 具体的には、新日本石油の子会社である新日本石油精製が所有する大阪製油所の優位性(製品の高品質、大容量タンク)を最大限に活かし、この製油所を国内市場向け製油所から、アジア市場に向けた輸出型製油所に転換する。

2. SANARI PATENT所見
本年初来の諸学会における新日本石油の研究開発発表は広汎かつ活発に見受けられる。例えば
2-1 クリーンエネルギーとして注目されている水素を高効率で貯蔵・輸送できる技術の開発(日本金属学会)
2-2 家庭用燃料電池システムにおいて、耐久性10年(4万時間)を目標とする水素製造触媒の開発(触媒討論会)
2-3 水素製造触媒の一つであるPROX触媒において、反応解析によりCO燃焼とメタネーション反応を同時進行させ得る二元機能触媒の設計(日本化学学会)
2-4 ZDTPの代替技術による長寿命・低被毒性エンジン油の開発(急くユ学会)
2-5 水素化バイオ軽油によるディーゼル新技術(自動車技術会)
2-6 液晶ディスプレイ用COP位相差フィルムの開発(ポリマー材料フォーラム)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Nippon Oil Co.、中国石油天然ガス集団公司、新日本石油、新日本石油精製、日中合弁

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2008年5月7日水曜日

Copyright Problem on iPod

Copyright Problem on iPod:明日8日の文化審議会(私的録音録画小委員会)動向に注目:iPodに課金対象拡大提案が内包するグローバルな著作権料問題
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 産総研のイノベーション直結研究開発(2008-5-6記事)

  本年度・内閣知的財産戦略計画の決定を目前にして、「iPodなどの携帯音楽プレヤーと、テレビ録画のハードディスク内蔵型レコーダに著作権料を課金する制度改正」の文化庁案が報道され(朝日新聞2008-5-6)、連休明け早々大きな議論を再燃させると予想する。

1. 上記報道の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 私的録音録画補償金をiPodやハードディスク内臓型レコーダに課金する制度改正の骨子を文化庁がまとめ、8日の文化審議会に提案する。文化庁は4年来の論議に決着をつけたいとしている。
1-2 私的録音録画補償金は、既にMDレコーダやDVDレコーダのような録音・録画専用機器に対して課金され、価格の数%をメーカーが実質的に支払っている。
1-3 iPodなどの携帯音楽プレヤーについては、著作権団体の要望を受けて文化庁が文化審議会に諮り、4年間にわたる検討を続けてきた。今回の文化庁提案は、
1-3-1 携帯音楽プレヤーとHD内蔵型録画機器について、「私的録音録画補償金の課金対象とすべき」旨を初めて明言する。
1-3-2 録音・録画機能を有する機器のうち、パソコンのような高汎用性機器や、携帯電話のように主たる機能が別にある機器への課金は見送る。
1-4 課金予定額は文化庁案に明記しないが、従来と同程度以下(1台数百円、年間総額数十億円)と想定する。
1-5 私的録音録画小委員会審議で、メーカー側委員の反対が予想されるが、「ダビング10」(SANARI PATENT注:「私的」の範囲を9回複製まで認める)導入方針と相関する。

2. SANARI PATENT所見
2-1 iPodに対する私的録音録画補償金課金については、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に2005年来、JASRAC等から提案されたが、データソースに対する著作権料との二重取りになるなどの反対意見により結論が見送られてきた。法制問題小委員会は「平成19年度・中間まとめ」(2007-10-12)を公表しているが、ここには結論を示していない。
2-2 現行内閣知的財産推進計画(本年度計画未決定のため、2007年度計画)の策定に際して内閣知的財産戦略本部が求めたパブリックコメントには、私的録音録画補償金制度そのものの妥当性を疑問とするものが多く見られた。
2-3 iPodは、Apple Inc.による開発後、第6世代に至るソフトウェア・ハードウェア、互換性にわたる研究開発を経てグローバルに普及しており、知的財産の国際調和の見地から、著作権料についても、国際的に検討されるよう、SANARI PATENTは要望する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
iPod、Copyright、私的録音録画補償金、文化審議会、Apple

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2008年5月6日火曜日

Diet Discuss Tamivir and New Type Influenza virus

Diet Discuss Tamivir and New Type Influenza virus:タミフル、プレパンデミックワクチン備蓄など国会審議
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog デジタル映像の著作権(2008-5-5記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ キャノンのトナーカートリッジ米国新工場(2008-5-4記事)

  新型インフルエンザウィルス対策は、医薬品特許権の独占性に対する国際的対応の課題を内包している。先ず新型インフルエンザウィルスに対する認識を、現国会における質疑応答によって考察する。「地球規模課題審議官」というポストが外務省にあるが、その答弁も見られる。

1. 鳥インフルエンザH5N1型の各国発生状況
1-1-1 質疑(2008-4-24参議院厚生労働委員会:家西 悟委員)
韓国の危機警報レベルでは上から2番目に当たる段階に引き上げ、国防軍の出動により鳥を埋没しているが、その国防軍に感染が生じたと報道されている。韓国全土が高度警戒レベルのもとにあるが、日本政府の把握はどうか。
1-1-2 答弁(厚生労働省・西山正徳健康局長)
全世界で現在鳥インフルエンザ感染者が381名で、うち死亡者は240名である。中国・ベトナム・インドネシアは感染者が多く、韓国については、まだ人への感染事例は確認されていないと承知している。四月に入ってから家禽の農場に鳥インフルエンザH5N1型が発生し、11例が確認されている。国防軍出動については新聞報道で承知している。(SANARI PATENT注:「承知」の内容が矛盾している)。
1-2-1 質疑
新聞報道依存のみで危機管理できるのか。政府間で情報交換すべきである。
1-2-2 答弁(外務省・鶴岡公ニ地球規模課題審議官)
国連の鳥インフルエンザ担当官と国際情報交換のネットワークを構築している。年に一度は閣僚レベルの会合を持ち、また、最近の国際会議(28国)に両省出席した。(SANARI PATENT注: 1-1-2答弁の不完全さを質疑者も感じたようである。)
1-3-1 質疑
今次・感染症予防・医療法改正における「疑似症患者」「無症状病原体保有者」の分かりやすい定義はあるか。
1-3-2 答弁(西山)
疑似症患者は、38度以上の発熱および咳を主症状とする呼吸器症状を呈している方である。(SANARI PATENT注:省略したが、再度の同一質問でやっとここまでの答弁が出る)。無症状病原体保有者は、潜伏期間にある方である。

2. 治療薬およびワクチン
2-1-1 質疑(山本博司委員)
治療薬およびワクチンの備蓄状況について、予防効果があるといわれているタミフルなどの抗インフルエンザウィルス薬やプレパンデミックワクチン備蓄の現状はどうか。
2-1-2 答弁(西山)
タミフルについては、流通・備蓄と合わせて2800万人分を備蓄目標とし、平成19年度に備蓄を完了した。ワクチンについては、医療従事者等に接種するプレパンデミックワクチンを、平成18年度にベトナム・インドネシア株については約1000万人分、平成19年度に中国安徽株について1000万人分を備蓄した。
2-2-1 質疑(山本)
プレパンデミックワクチンの有効性・安全性の確認と備蓄量増加の体制はどうか。
2-2-2 答弁(西山)
新型インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンの製造は、わが国では国内4社行うことができるが、4社合わせても国民の必要量には全く足らず、総合的に検討している。(SANARI PATENT注:「総合的」の内容の量的説明がない)。
プレパンデミックワクチン早期確保の方策として細胞培養等の技術開発、米国も5年間で細胞培養技術を開発すると発表しており、わが国でも予算要求してゆきたい。

3. SANARI PATENT所見
3-1 タミフルの副作用について審議が望まれる。
3-2 経口投与剤であるタミフルのグローバルな使用便益性が認められるが、経皮投与剤の普及も考究すべきである。
3-3 ロシュのタミフル特許権と、途上国タミフル需要即応対策の調整を円滑化すべきである。
3-4 新型インフルエンザウィルスの「新型」は、ウィルスの突然変異によって続出するが、備蓄と予見との調整を要する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Influenza virus、Tamivir、新型インフルエンザ、H5N1型、プレパンデミックワクチン

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2008年5月5日月曜日

Over Seas Originated Spam Mail

Over Seas Originated Spam Mail:海外発「迷惑メール」対策等、衆議院審議
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ CANON Virginia新工場によるグローバル輸送環環境境負荷軽減(2008-5-4記事)

  迷惑メール対策には、KDDIのファジー理論応用など技術的研究開発と、国際的な制度革新が必要であるが、当面、わが国における制度面の実効性について、今次国会での審議状況を考察する。

1. 現行「特定電子メール法」による取締効果(SANARI PATENT要約)
1-1-1 質疑(寺田 学・衆総務委委員)
現行法自体、本当に機能しているのか、総務省の評価に基づく今次改正の目的は何か。
1-1-2 答弁(寺崎総務省総合通信基盤局長)
わが国から発信される迷惑メールについては、国際的な迷惑メール発信国順位が大幅に低下して9位から31位になり、一定の成果はあった。
1-2-1 質疑(寺田)
今の答弁がおかしいのは、特定電子メール法の目的を質問すると「受信者の負担軽減、ネットワーク側の負担軽減を挙げるのに、国内発の迷惑メールについてのみ答弁し、受信迷xわメールの総数の増加について答えていないことである。
1-2-2 答弁(寺崎)
オプトアウト規制(SANARI PATENT注: オプトアウトは、ユーザーの許諾なく一方的に広告メールを送信すること、また、それを拒否して広告不送付を企業に依頼することをいうが、ユーザーの事前許諾なく送信されるメールをオプトアウトメールともいう)とか、検討を要する。国際的な動向から見ても、迷惑メール受信数全体は増加している。オプトイン(SANARI PATENT注: ユーザーが広告メールの受信を明示的に承諾することを意味するが、ダイレクト電子メールの一種として、ユーザーが受診承諾するジャンルを登録し、それに限定して受信許諾する方式も指す)の取締については、総務大臣による措置命令の実績は5件あるけれども、最近の迷惑メールの送信方法は、表示の隠蔽、偽装などによる巧妙化、悪質化が進み(ポットネットなど)、海外発迷惑メールの急増もあって、これら問題の解決を色々考えなければならない。送信者が国外に所在する場合には、送信委託者が国内に居る場合でも、執行管轄の関係から、現行法では措置命令を行うことはできない。
1-3-1 質疑(寺田)
前回法改正に際しては、オプトイン規制は営業の自由に大きな制約をもたらすということで、総務省が難色を示す答弁をしたが、今回はどうか。
1-3-2 答弁(寺崎)
ご指摘の通り、前回の特定電子メール法改正においては、営業の自由に大きな制約をもたらすこと、また、当時は諸外国においてもオプトイン方式の導入が開始されたばかりで、その有効性についてもう少し経過を見ないと効果が分からないということもあって、オプトイン方式の導入については継続的に検討するにとどめた。オプトアウトからオプトインへの変更は、規制強化という側面もあるので、慎重にした。
しかしながら、現行の規制方式であるオプトアウト方式では、受信拒否の通知として電子メールアドレスの通知を要するため、悪質送信者に通知すると却って迷惑メールを招く問題が顕在化した。現在は、正当な営業活動で広告宣伝メールを送信する場合は、実際にはオプトイン方式によるのが大勢である。

2. SANARI PATENT所見
  GoogleやNiftyのサービスにおいて、迷惑メール排除の様々な配慮がなされてきたことをSANARI PATENTも経験してきた。これらは更に改善が加えられつつあるが、インターネットプロバイダや検索サービス業者の負担が過重にならないよう、法制面の措置を迅速に適正化し、デジタル・ネット時代のインフラである電子メールシステムの機能が阻害されないことを切望する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Spam Mail、Opt-in、Opt-Out、KDDI、迷惑メール、総務省

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2008年5月4日日曜日

IP Innovation in the Republic of China

IP Innovation in the Republic of China:中華民国 Tai E International Patent & Law Office のNews Letter
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 欧州共同体における著作権問題(2008-5-3記事)

  アジア諸国の経済発展に先駆けて、台湾の産業は顕著な高度化を遂げてきたが、台北市に本部を置くTai E 国際特許法律事務所から、News Letter のご送付をいただいた。台湾におけるイノベーションの進展を支援する同事務所のご活躍に改めて敬意を表する。

  特に台湾の液晶パネル大手5社の好調については、NIKKEI NET(2008-5-1)が、友達光電・奇美電子の利益水準高位を報じている。

1. 台湾の近況
Tai E Reportに見入るに先立ち、最近の台湾情勢をわが国外務省の資料によって外観する。
1-1 九州よりやや小さい3万6千平方Kmに、人口2295万人(2007-11)、うち台北市263万人。
1-2 政体は、三民主義(民族独立、民権伸長、民生安定)に基づく民主共和制で五権分立(行政、立法、監察、司法、考試)
1-3 主要産業は電気・電子、鉄鋼金属、繊維、精密機械
1-4 GNP(2006)は3660億米ドル(SANARI PATENT注: 日本4兆3755億、中国2兆6668億、韓国7876億米ドル)。一人当たりGNPは16,098米ドル(2006)(SANARI PATENT注: 日本31,919、韓国23,038米ドル)
1-5 実質経済成長率は4.62%(2006)
1-6 貿易総額4267億米ドル(2006)、輸出先:中国、香港、米国、日本、シンガポール、輸入元:日本、中国、米国、韓国、サウジアラビア

2 Tai E Reportの内容の例示(SANARI PATENT抜粋・要約)
2-1 知的財産権訴訟の新システム
今年6月に施行される新システムは、裁判所手続の大幅な迅速化により知的財産権者の時間とコストを減縮する。すなわち、「管轄の簡素化」、「裁判所による特許権の無効・失効の判決」、「裁判官に対する技術アドバイザの活用」、「営業秘密保持の措置」、「遠隔地間の立証手続」などが新たに設けられる。
2-2 知財裁判所の独立管轄
新システムにおいて、知財裁判所には独立した管轄が定められるが、それには第一・第二の提訴、刑事告発、最初の行政措置が包含されるから、一つの知財事件についての全ての争点が知財裁判所で解決され得る。
  新システムにより矛盾した判断の回避によって特許性判断の恒常性が向上し、判決に対する予見可能性が高められて、関係者すべての利益をもたらす。
2-3 裁判官の機能を強化するため、裁判官の指令に基づいて技術審査官が、技術情報を収集し、分析・評価し、助言する。これにより裁判官の決定を早め、また訴訟当事者の悪意の遅延行動を抑止できる。

3 SANARI PATENT所見
今次Tai E Reportは、中華民国(台湾)における知財訴訟システムの革新について上記2-1~2-3のほか、新旧対比表のもとに、知財紛争に関する私法と行政法、刑事法と民事法の対応分岐を総合することの利点、特許権の取消について裁判所が行政庁の判断を待つことによる遅延解消の利点、営業秘密保持の手続を合理化したことの利点、遠隔視聴機器の使用対象を拡大したことの利点などを明確に記述している。
また、視聴電子機器の使用、特に学校教育におけるそれについて、著作権法の適用,試験研究における特許権の適用、商標法の改正動向、著名商標保護に関する新しいガイドラインなどについて、懇切に解説している。

台湾新幹線の開通を契機として、中華民国の領域が一体的に高度開発され、米国等留学により培われた多数電子技術者などの活躍と相まって、知財の振興が加速されると考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.Com に送信下さい)
Republic of China、台湾、友達光電、三民主義、GNP、知財裁判所

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2008年5月3日土曜日

Orphan Works Problem in USA

Orphan Works Problem in USA: 米国における著作者不明著作物対策
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 高島屋の新ビジネスモデル展開(2008-5-1記事)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SANARI PATENTの対内閣知財戦略本部要望提出(2008-5-1記事)

 来週9日には、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」(内閣知財戦略本部)の第2回会議が開催されるが、内閣知財戦略本部事務局が用意した著作権制度の各国比較は貴重な労作であり、先ずここには「米国における著作者不明著作物」を要約・考察する。

1. 上記資料の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 米国では、著作権保護期間の延長を背景として、著作者不明著作物(Orphan
Works)に対処する新たな制度が検討されている。著作権当局により法案が提示されたが、業界団体の反対意見もあり、成案に至っていない。
1-2 米国の現行法においても、著作者不明著作物関連の問題については、幾つかの対応制度は存在する。
1-2-1 図書館・文書資料館による利用:米国著作権法108(h)条
1-2-2 一定の場合の強制使用許諾:米国著作権法115条
1-2-3 善意侵害に対する法定賠償の減免:米国著作権法504©(2)条
1-3 しかし、1998年の著作権保護期間延長が合憲であると判示した米国最高裁Eldred判決(2003年)を背景として、著作者不明著作物侵害への懸念や、利用者の過大な負担への意識が高まり、1-2の諸規定では、著作者不明著作物問題解決に限界があると認識されるに至った。
1-4 このような趨勢のもとで2005年に、米国上院法務委員会のHatch議員およびLeathy議員の依頼により米国著作権局が調査を開始し、「著作者不明著作物に関する著作権局長報告書」(Report on Orphan Works)を提出した(2006-1)。
1-5 この報告書は、次のように述べている。
1-5-1 著作者不明著作物は現実の問題である。
1-5-2 著作者不明著作物問題を計量化し包括的に説明することは困難である。
1-5-3 現行著作権法では対応不可能な多くの問題がある。
1-5-4 現在の問題に効果ある対応をするためには、新たな立法が必要である。
1-5-5 米国著作権法第5章を改正し、「真摯に調査したが著作権者の所在を特定できな場合、かつ、可能な限り適切に著作者・著作権者を表示したことを利用者が証明した場合には、著作権者が後に出現して著作権侵害に係る訴求をしても、損害賠償等の金銭救済手段を制限する」と定めるべきである。
1-5-6 著作者不明著作物法案(Orphan Works Act of 2006 H.R.5439,109 Cong)および著作権現代化法案(Copyright Modernization Act of 2006 H.R.6052, 109 Cong)が提出されたが、業界団体の反対のため取り下げられている。なおその内容は、1-5-1の規定に加えて、「真摯な調査」の要件、合理的な補償金の算定基準等である。

2. SANARI PATENT所見
わが国著作権法第67条(著作者不明等の場合における著作物の利用)は、「公表された著作権物について、相当の努力をしても著作権者と連絡できない 場合、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料額を供託すれば、その著作物を利用できる」趣旨を定めているが、デジタルコンテンツ流通の現実に即しないことは明白と考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Orphan Copyright、米国著作権法、著作者不明著作物、著作権、デジタル・ネット時代

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2008年5月2日金曜日

National Institute of Informatics States on Digital Net

Vice President of National Institute of Informatics States on Digital Net :国立情報学研究所・東倉洋一副所長意見の考察
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SANARI PATENTは内閣知財戦略本部に要望(2008-5-1記事)

  新たに発足した内閣知財戦略本部「デジタル・ネット時代における知財制度専門委員会」の第二回会議は来る5月9日に開催されるが、既に委員・国立情報学研究所・東倉洋一副所長の意見が提出されているので、その内容を考察する。

1. 国立情報学研究所・東倉副所長の意見(SANARI PATENT要約)
1-1 デジタル・ネット社会における著作権制度の役割については、次の3視点から考究すべきである。
1-1-1 創作者である作家、画家、写真家、歌手、音楽家、演出家、演奏家等にとって、著作権制度の理解が困難であることが問題である。
1-1-2 誰にでも簡単に使える電子化された仕組みが必要である。
1-1-3 創作者の利益を金銭面に限定せず、なにがインセンティブになるかを検討・試行してみることが重要である。
1-2 デジタル・ネット社会の進展の中で著作権制度が不具合を起こしている点はどこにあるか、また、その具体的な問題はどこに生じているか、については、次の5論点が考えられる。
1-2-1 コンテンツのダウンロードやストリーミング配信のパッケージ処理の経費負担の重いことが、デジタル流通市場の発展を阻害している。
1-2-2 デジタルコンテンツの不正流通、不正利用の防止には、コンテンツ流通経路のトレーサビリティ(デジタルID、メタデータ、電子透かし、電子指紋)技術が必要となるが、個人購入財としての個人利用(私的利用)との両立が問題である。
1-2-3 デジタルコンテンツの流通市場は動き出しつつあるが、個人コンテンツ流通の側面からのDRM(デジタル著作権管理)へのソリューションが明確でない。
1-2-4 デジタルコンテンツ素材流通などの市場活性化には、著作者とコンテンツの認証、識別、複製、視聴、加工編集などの利用・再利用制御、課金、利益分配契約など、ビジネスルールが安全・確実に実行できる技術の研究開発が必要である。
1-2-5 E-Learning利用に関しては、教育利用の識別、視聴者の認証、デジタル教材の共有者数、ネットワークの範囲(Subnetの範囲か)の議論が未解決である。

2 SANARI PATENT所見
2-1 上記1-1-1については、次の問題を重要と考える。
2-1-1 著作権の所在(「職務著作物著作権の法人帰属」と「職務発明特許権の発明者帰属」との整合を、プログラムなどの著作権・特許権双方対象となる創出について、どのように調整すべきか、デジタル・ネット社会における創作のコラボレーションによる創作の著作権帰属をどのように定めるか)。
2-1-2 著作権法の有権解釈が示されず、例えば検索エンジンの適法視可能性について、文化審議会自体が、引用・黙示許諾など多数選択肢を列挙するにとどまる。
2-2 上記1-1-2については、「簡単に使える電子化された仕組み」の意味が、著作権処理に関することを明示して検討されたい。
2-3 上記1-1-3については、「インセンティブ」の多様性に即応する制度を構築すべきであり、著作権管理機構の画一的処理が著作者の意思に反しないよう、その運営の即刻反省、増設の慎重が必要である。
2-4 上記1-2については、情報通信審議会各委員会の技術的検討の経緯を活用して、速やかな結論に至ることが望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Informatics、国立情報学研究所、デジタル・ネット社会、電子透かし、DRM

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2008年5月1日木曜日

Image of Digital Network Generation

Image of Digital Network Generation:「次世代ネットワーク社会」(NGN)と「デジタル・ネット時代」(内閣知財戦略本部に新設の調査会主題)は同義
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog SANARI PATENTが内閣知財戦略本部に要望(2008-5-1記事)

  内閣知財戦略本部に「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」が設置され(2008-4)、同本部では「デジタル・ネット時代」という用語が頻用されるであろうが、例えば総務省の「次世代ネットワーク社会」(NGN)と同義であると、SANARI PATENTは考える。政府全体として効率的に調査検討を行い、迅速に知財制度の在り方に関する結論の導出とその実施に至ることが、産業界と国民全体の希求するところであるから、従来の各省検討の成果を活用した論議を、新設調査会に望みたい。
 上記の趣旨で、先ず情報通信審議会の「インターネット高度化委員会」議事内容における「IT社会」や「インターネット高度化社会」を「デジタル・ネット時代」社会に置き換えて考察に資する。

1. デジタル・ネット高度化のためには、利用の具体的イメージの提示が必要である。
2. デジタル・ネットのポジティブな側面を積極的に周知し理解を深めることが必要である。
3. 双方向性と高解像度が共に重要である。解像度の高度化により双方向通信が頻繁に行われるようになり、リアリティに大きな差が出る。高解像度の映像を扱う技術・感覚、国民の経験が重要である。
4. コンテンツの権利者から利用者まで全ての関係者がリーズナブルと感じることができるルールの整備が必要である。
5. コンテンツ提供者は、ビジネスが成立する環境であれば必ずコンテンツを提供する。現状は、著作権処理の問題に加えて、システム投資の所要額のためビジネスとして成立させるのが難しい。
6. 今までのビジネスモデルはコンテンツ著作権利者の権利を最大限に侵さないないものであったが、今後はコンテンツの権利を関係者でシェアできるビジネスモデルを提示することが重要である。
7. コンテンツ制作過程におけるIT活用の推進が重要である。
8. パブリックドメイン(著作権が放棄されたソフト)に関する推進施策を検討すべきである。
9. インターネットは既にライフラインの一つであり、国がきちんと整備する方針を示すべきである。
10.光回線の多機能使用により、アクセス用光ファイバのコストダウンが可能になる。
11.光ファイバが一般家庭の通常のツールになれば、コンテンツの流通が促進され情報を装備した知識社会が構築される。
12.日本のケータイ会社は、サービス編成、アプリ、ネットワーク、端末、集金を各一社が行っており、ビジネスモデルとして成功している。バックボーンを全国に整備するというのではなく、キャッシュサーバも含めた特定の地域を一社が担当するという、エリアごとの新しい事業展開を検討すべきである。
13.双方向になったとき、3000万同時同報で通信保証ができるか疑問である。ビジネスとしては先ず通信利用が成立する。次にVODのように通信の保証がなく、少し遅れてもつながればよいというビジネスが成立する。電波から有線に置換するビジネスは時間がかかるので、段階を意識しつつビジネスモデルを考えるべきである。
14.現状ではISP間のトランジットサービスが高いため、結果として囲い込みのモデルになる。解約しなければ他社のコンテンツを見ることができない等の弊害があるが、囲い込み以外のビジネスモデルの構築を検討すべきである。
15.PC登録して、その端末以外ではコンテンツ利用ができないのではなく、対価支払いによりその権利を確保できるようにするための認証システムが必要である。
16.端末、個人の認証に加え、コンテンツ、サービス自体のID体系化・認証基盤等の検討が必要である。
17.コンテンツやサービスの不正用途抑制の技術整備、実施スキーム、制度の構築が必要である。
18.ICタグ、コンテンツサービスID、国民IDなど、民間・企業単独であは解決できない。
19.ノンPC端末の認証機能、少額課金、操作性等の標準化が必要である。
20.通信とカメラの融合が進むと、プライバシーが重要課題になる。
21.今後のヒューマンインターフェースにおいては、音声認識、画像認識、機械翻訳等をある程度組み合わせ、パーソナルなソリューションを作り得る人材が必要である。
22.放送コンテンツが広帯域普及のテコになると考えられるが、この局面では著作権、DRM(SANARI PATENT注:Digital Rights Management: デジタルコンテンツの利用を制御する技術の総称)、認証手続、伝送路の質が問題である。
23.端末面では、DRM,認証の標準化、端末実装が必要である。
24.IT浸透のためには、操作性が容易なものの開発が必要で、パソコンでは操作が複雑であった部分がテレビ端末の活用により簡易になるといった分かり易いイメ^ジを提示すべきである。
25.光波長多重による番組配信技術については、IP通信と映像配信の双方を連携して使うなど、今後の活用方法を検討すべきである。
26.無線LAN、電波といった機能的なコラボレーション環境の整備と共に、
サービスとしてのコラボレーションイメージの創出も必要である。放送そのものを置き換えるのではなく、両方を巧くコラボレートできるサービスを検討すべきである。
27. コンテンツ流通の促進にはTVの受動的な見方を能動的な見方に変える方策が必要である。
28.パソコンかテレビかという二者択一ではなく、コンテンツ、アプリケーション、エンドユーザに応ずる端末の整理が必要である。
29.利用者の時間を広帯域に向かわせれば、同時間帯に複数の端末で、放送、インターネットそれぞれのメディアを利用し情報を得るという利用環境の融合が必要である。

3.SANARI PATENT所見
  内閣知財戦略本部に新設された「デジタル・ネット時代における知財制度の専門調査会」は、「知財制度」の主たる対象が著作権であることは当然ながら、電気通信事業法、放送法、電波法など、デジタルコンテンツの流通媒体の制度に深く係るものであり、「知財制度」には「情報通信制度」を包含することを明示すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Digital Network、NGN、デジタル・ネット時代、情報通信審議会、インターネット

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