2010年12月31日金曜日

売上高低迷でも合理化で増益体質

弁理士 佐成 重範   ケータイ検索 SANARI PATENT
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大晦日を迎えたので、一年を回顧すると、「売上高増・営業利益増(赤字から転換)」の企業数と共に、売上高低迷でも収益力を構築し「売上高微減または微増・営業利益著増(赤字から転換)」の企業数が非常に多く、合理化による収益体質の構築が進んでいることは明白である。同時に、それには雇用の合理化も寄与しているのだから、「雇用なき景気回復」は、いわば必然的であり、ただし、この「雇用なき」は「大企業への就職増」が少ないこと意味で、中小企業の求人すなわち雇用は、求職を上回っていることを十分認識する必要がある。大学生の家庭が考える就職は、「大企業への就職」に限定されているから就職難なのである。また、それは無理もないと思われるような企業規模格差が存在することも事実である。
そこで今後の覚悟だが、SANARI PATENTは榊原英資本の「フレンチ・パダドクス」を次のように読み解いたので、箇条書きする。
(1) 市場の一体化がグローバルに進み、国際競争によって商品価格は平準化していく。給与も、そのコストである生活水準も同様である。
(2) 従って、中国やインドの生活水準上昇に対して、日本の給与は逆に、中国やインドの水準に下がるまで下げやまない圧力を受けている。
(3) 中国やインドの経済水準・教育水準が上昇するに伴って、グローバライゼーションの影響を受ける範囲は広がり、ホワイトカラーの仕事もまた、世界的な給与競争の時代になった。(SANARI PATENT考察: ここで「ホワイトカラー」には技術者やプログラマーなどの資格取得者も含むと解すべきで、現に、高度技術者給与のグローバル上昇と、一般技術者の給与平準化が、格差拡大的に進行している)。
(4) 他の誰にもできない何か技術のある人(SANARI PATENT考察: 独占的収益性技術を意味し、工業生産技術に限らずコンテンツ創出なども含む)、あるいは世界的企業の経営者や金融関係者、巨額の資産を活用できる一部の人には、超国境で富が集中している。
(5) グローバリズムの社会は、否応なく人びとを二極化する社会だが、広がるグローバリズムの世界のなかでしか、日本に住む(SANARI PATENT注: 精確には「日本に生まれた」)私たちは、生きていくことはできない。(SANARI PATENT考察: それにもかかわらず、大企業以外では、日本の大学生もその家庭も、海外に職域を求めることを、ほとんど欲しない)。
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2010年12月30日木曜日

日中の「アニメフェスティバル」と「映画・テレビ・ドラマ週間」

弁理士 佐成 重範   ケータイ検索 SANARI PATENT
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先般(2010-05)日中首脳会談(中国・温家宝総理来日)で「来年開催」と合意された「映画・テレビ・ドラマ週間」「「アニメフェスティバル」実施のための連絡協議会を立ち上げたと、経済産業省が発表した(2010-12-28)。
この交流事業により、日中両国民レベルだ関心が高まっていて、波及効果が大きい映画・テレビ・ドラマ・アニメなど映像分野の交流とビジネスを拡大することによって、日中親密関係の基礎が益々強固になる。
経済産業省発表の今次「連絡協議会」は先ず国内関係機構の「連絡」で、映画産業団体連合会、日本映画製作者連盟、東京国際映画祭、ユニジャパン、日本動画協会、映像産業振興機構、NHK、日本民間放送連盟が民間機関メンバー、国際交流基金、JETRO、国際観光機構が政府関係機関メンバーである。事務局長は複数で、経済産業省商務情報政策局長と外務省アジア大洋州局長。
SANARI PATENT所見
今年1300年記念の奈良文化は中国文化継承の要素が多く、漢字文化の日中2大国、史記・十八史略など中国古典が能舞台の謡曲には随所に出現しているが、現代文化は日中交流に成るものが続出している。なお、上記の日本動画協会は2010-12-21に、「東京都青少年健全育成条例に関して」と題し、「マンガ・アニメの販売規制・表現内容規制」に対して「極めて遺憾」と表明しているが、日中間では、文化感覚・コンテンツ感性の親密な融和が促進されていく。
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2010年12月29日水曜日

電気自動車普及の経済産業行政と国土交通行政

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来年2011-02-04に経済産業省と国土交通省が「EV-PHVが走るまちシンポジウムを京都国際会館で共催する。「まち」と書いて「都市」とも「街」とも書かなかったのは、都市の規模に限定されないと共に、「街」を含む地域共同体が対象であることを示すと解する。経産省は「タウン」と呼び、国交省は「まち」と呼んできたのも日本の官庁的である。Smart Community構想とも大いに関係するはずだが、今次発表にはその関係に言及していない。いずれも経済産業・国土交通の両行政分野にわたる課題だが、「初の合同」の「初」が気になるところである。
このシンポ発表(2010-12-27)の内容(SANARI PATENT要約)を見ると、
(1) 経済産業省と国土交通省は、それぞれ電気自動車等(SANARI PATENT考察:「等」はプラグインハイブリッド車、燃料電池車、一般ハイブリッド車・超小型モビリティと解する)の普及に向けた実証事業を行っている。このたび、両省の取組成果を全国に広げるため、合同シンポを開催する。
(2) 自動車交通分野における低炭素社会の実現、排出ガスの抑制による生活環境改善のためには、電気走行時にzero-emissionでenergy効率の高い電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の本格普及が不可欠である。
(3) 経済産業省は、EV・PHVの普及に先進的に取組む自治体を「EV・PHVタウン」としてモデルtに選定し、各タウンでの集中的な取組の結果から普及モデルを確立する。
(4) 国土交通省は、電動バス・電気自動車・超小型モビリティなど環境対応車を活用するまちづくりを推進するため、環境対応車の導入に向けた課題や、都市交通施設の在り方について実証実験している。
SANARI PATENT所見
スマートコミュニティ構想との整合も早期に行うべきである。
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2010年12月28日火曜日

日本から中国に人材流、中国から日本にマネー流

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日本の自動車企業定年技術者が中国で職を得て、中国国産車の振興に寄与しているが、「月給3分の1の金の卵、企業の中国進出を安い給料で支える日本人たち、就職難も背景に急増したが、辛い現実も」(朝日2010-12-24)の日本青少年の中国への流出や、「還暦、上海で婚活したが」(同2010-12-27)など高齢者も中国指向など、日本から中国への人材流は、アジア経済圏の成長のためにも、積極的な考え方で促進する方が、定年無気力・大卒無職・孤独死恐怖より遥かに望ましい。中国13億人の胃袋は、メタボ恐怖・日本人のそれの10倍以上の容量だから、伊藤忠などの食市場進出も、日本外食産業と共に中国展開して、流出日本人の中国生活を安楽化すると考える。
一方、中国マネーの日本への流入はSankeiBiz2010-12-27が次のように報道し(SANARI PATENT要約)、証券市場・株主総会発言・不動産投資への影響が注目されるが、いずれにせよ日中の交流密接化は双方の利益であり、必然である。
(1) 中国系投資ファンドが日本企業株式を大量購入し、東証1部企業85社の大株主とまった。保有割合と株主順位は、NEC 2.26% 3位、日立製作所2.09% 6位、大成建設1.54% 7位、三井物産 1.52% 6位、みずほFG 1.47% 3位など。
(2) 時価総額や流動性の高い銘柄に、4~9月だけでも合計約1兆円を投じている。中国マネーは、東京都内の高級マンションやリゾート地での土地の購入も目立ち、中国政府のバブル抑制方向への対処も見られる。
(3) 特に資金が多額な中国ファンドには、中国の政府系ファンドである中国投資有限公司や、中国政府の認可による機関投資家などが資金を供給していると見られる。
翻って、中国で民間企業に勤める日本人は2009年に約7万人で、10年間に3倍以上に増えたが、増加分の多くは、日系企業の現地法人で直接採用される「現地採用者」であり、中国並みの給料で済ませることが、コストダウンにもなり、中国人従業員との格差摩擦もなくて済む。日本国内で大卒就職が大企業就職を当然のように意味し、中小企業を志望しないために就職難を招いているが、むしろ中国人並み給与で在中国日本企業に雇用されることが、様々な不具合はあっても、中国通のキャリアにな得ると考える。
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2010年12月27日月曜日

「カーソル初期化」と「カーソル位置の初期化」

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「カーソル」とか「初期化」とか、現代社会の慣用語だが、「カーソル初期化」と「カーソル位置の初期化」とは、どう違うのか、知財高裁の判断が示されたので、今後のデジタル発明に備えて以下に要約しておく。この知財高裁訴訟事件(平成22年行ケ10112号 審決取消請求事件:判決言渡2010-12-22)の原告は、被告パイオニア株式会社の「データ表示装置及びデータ表示方法」特許権の無効を主張し、その理由として被告による「明細書訂正」が「要旨の変更」に該当すること、および、「容易推考性」を挙げたが、知財高裁はそのいずれをも認めず、被告パイオニア(訴訟代理人・広瀬隆行弁理士ほか)が勝訴した。
(1) 原告は、リセット要求により行われる「カーソル初期化」と基準初期化状態にする「カーソル位置の初期化」とは異なるから、リセット要求に応じて表示状態を基準初期化状態に更新することは、被告の本件訂正前明細書に記載されておらず、従って、本件訂正事項について訂正前明細書記載の範囲内のものであるとした審決の判断は誤りであると主張しているが、訂正前明細書において、「カーソル位置の初期化」は、「途中から異なる路線に進入した場合」、「前回の初期化だカーソル位置に対応していた施設を通過してしまい、進行方向前方の最も近い近い施設が変更された場合」等に自動的に行われるもので、進行方向前方の最も近い施設を最下段として上下に施設名称を表示し、かつ、最も近い施設の位置をカーソル位置の基準初期化位置として、カーソルを表示する処理である。
(2) これに対して、「カーソルの初期化」については、ユ-ザ-からリセットあるいはカーソル初期化要求された場合に、表示画面を更新する旨の記載はあるが、更新の結果としていかなる表示を行うかに関する明確な記載はない。
(3) ところで、訂正前明細書には、全体の処理の流れを記載した図面があるが、「カーソル位置の初期化」と「カーソル初期化」の処理は別個の処理と認められる。
(4) 従って、「カーソル初期化」によりいかなる処理がなされるかが問題となるが、「カーソル」の文言は、画面上の位置によって、その画面に表示された施設名等の表示物が選択された状態であることを示すため、下線、色、記号等を意味するものと解されるから、「カーソル初期化(リセット)」については、カーソルの位置を「基準初期化位置」である最下段に戻すと共に、カーソルを上下キーによって移動させる前に選択されていた施設に戻す意味であると解するのが相当である。
(5) この場合、前回の「カーソル位置の初期化」の処理からリセット要求に基づく「カーソル初期化」の処理までの短時間の間に最も近い施設を通過している可能性もないとはいえず、その場合、「カーソル初期化」の結果として、その時点で進行方向前方の最も近い施設ではない施設が選択される事態もないわけではない。
(6) しかし、そのような場合に関しては、技術常識に照らし、「カーソル初期化」から短時間の後になされる「カーソル位置の初期化」の処理によって、最も近い施設を選択し直すことが予定されているものと解されるから、結局、リセット要求の結果として、「カーソル初期化」と「カーソル位置の初期化」の処理により、必ず「進行方向前方の最も近い施設」が「基準初期化位置」である最下段に表示された上でカーソルによって選択されている状態になるのであり、ユーザーによるリセット要求もこれを前提としてなされる。
(7) 従って、訂正前明細書には、「カーソル要求」に従って、カーソルを単に基準位置に位置付けるに止まらず、仮に進行方向前方の最も近い施設が変更された場合にあっても、最も近い施設を基準初期化位置に表示した上で、そこにカーソルを位置付けることが記載されているものといえる。
(8) 従って、カーソル要求に応じて表示状態を基準初期化状態に更新することは、訂正前明細書に記載されている。
SANARI PATENT所見
カーナビに慣れた現代社会で、グローバルに理解され易い判決だが、関連発明も続くと思われるので、判例として熟読を要する。
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2010年12月26日日曜日

 武田薬品工業  専用実施権 特許権

武田薬品工業を専用実施権者とするエティファーム特許権の存続期間
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知財高裁の審決取消請求事件判決(2010-12-22)として、原告・エティファーム、被告・特許庁長官の「平成21年(行ケ)10062号」事件は、「特許権存続期間の延長登録出願」に関する特殊な案件であるので、知財高裁の「審決取消」すなわち、原告勝訴判決の理由を、以下に考察する。特許権の存続期間は、出願から20年であるが、医薬品等においては、安全性確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分を受けることが必要となるため、特許発明を実施することができなかったときは、5年を限度として、延長登録の出願によりその特許権の存続期間を延長できる。
エティファームは発明の名称を「急速崩壊性多粒子状錠剤」とし、武田薬品工業を専用実施権者とする特許権について、存続期間延長登録を出願したが、この出願は、武田薬品工業が受けた錠剤「タケプロンOD錠15」(販売名)に関するものである。
上記延長登録は、特許法所定の要件に該当する場合に認められるので、本件訴訟の争点は、この要件への該当性の有無である。
今次知財高裁判決は、次のように判断して原告の請求を認容し、特許庁の審決を取消した。
(1) 特許権の存続期間延長における「特許発明」とは、その条文の記載から明らかなように、一般に「特許を受けている発明」と解され、特定の特許発明に限って存続期間の延長を認められるわけではなく、また、「実施」とは、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡、輸入、譲渡の申出をする行為をいう。
(2) 特許請求の範囲の記載によって特定される特許庁発明が、様々な上位概念で記載された場合でも、その物が客観的に明確に記載され、その特許庁発明に含まれるものであることが認識できれば、登録の延長は認め得る。
(3) 特許庁の審決が、「医薬品についての処分が特許発明の実施に必要であったというためには、少なくとも、その処分によって特定される「物」すなわち「有効成分」が特許発明の構成要件として明確に特定されていることを要する」としていることは、知財高裁の上記判断に反する。
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2010年12月25日土曜日

百貨店11月売上高実績の前年同期比微減と革新構想

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小売業界地図で百貨店の売上高は関心の的だが、2101-11の全国91社261店舗の売上高総額は5556億円、昨年11月からマイナス0.5%と、百貨店協会は発表した。総従業員数は9万3570人で前年同月比6.2%減と示しているが、店頭店員の減少数と合致しているのか、良く分からない。同協会は、基調を示す3か月移動平均はマイナス1%台まで水準を戻したこと、前年11月より日曜日が1日少なかったこと、おせち料理やクリスマスケーキの受注は好調だったこと(SANARI PATENT考察: クリスマスケーキの高価格品が売れたようだが、レストランから家庭内に移行し、若干の節約疲れも加味されている) 、化粧品が2年ぶりにプラスだったこと、家庭回帰志向で家庭用品が好調のことなどを述べている。
なお、2005年の全国百貨店の売上高7兆8415億円に対して2009年は6兆4784億円で、17.5%減であった。
とにかく、百貨店の経営理念の革新が必要と、SANARI PATENTは論じてきたが、伊藤忠ファッションシステム・マーケティングマネージャ川島蓉子氏著「モノ・コトづくりのデザイン」は、西武池袋本店の実例によって、「編集セレクト」を新コンセプトとして提起しているが、今後の成果が注目される。その内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 1980年代以降に生まれ、豊かな消費社会で育った層にとって、百貨店は豊かさを象徴する場ではなくなった。今の10代、20代には、ショッピングの場として百貨店が、選択肢にさえ入らない人がいる。
2. 今の消費者は、単体としてのモノではなく、それを「組合せて見せるシーン=コト」に魅力を感じている。
3. しかし、百貨店の通例では、例えば和ものと洋もの、和食器と洋食器は必ずコーナー分けされ、テーブルやソファなど「脚もの」と箪笥やチェストなど「箱もの」は別部署が別場所に陳列している。
4. 西武池袋店は先ず「インテリア」という概念で、家具と雑貨を一緒に揃えることで、垣根を超えた品揃えを行い、一つのシ-ンを展開した。
SANARI PATENT所見
生活のシーンという視点で、和物・洋物、脚物・箱物などを一緒に配置するデザインは、シーンの演出であり、「コトのデザイン」であり、「編集」という、百貨店の新機能を喚起する提示として、高く評価すべきである。
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2010年12月24日金曜日

アニメにおける日本の倫理観

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(6)(承前2010-12-23記事)日本における倫理観の独自性がユニークさを生んだ。アニメを輸出すると言いながら条例などで規制するのは可笑しい。Fair Useも進めるべきである(SANARI PATENT考察: 未成年者sexのアニメ規制を非難しているように受け取れるので、にわかに賛同し難い意見である。日本アニメの同性愛許容的な内容ないしはnon-sex的なcharacterが、「カワイイ」印象で世界的に愛好されていることは事実だが、幼年ポルノ、イスラム女子観など流動的ながら倫理観の相違をどのように超克できるか、課題である。Fair Useは全く別個の問題である)。
(7) Cool Japanという言葉を聞いたとき、違和感があった。クール・ブリタニアという言葉を真似していると感じた。日本的な言い方を考えたい(SANARI PATENT考察: Smartとcoolは全世界の流行語で、これに同調することが得策である)。      
(8) 外食は国内市場的な産業で、旨みや味覚は体感しないと共感を得られない。文脈やコンテクストを作っていく流れが重要である(SANARI PATENT考察: それよりも現に、牛どんや和風焼き肉の外食企業が中国などアジアや欧米に進出している現況を声援すべきである)。
(9) Cool Japanの発信において「文明にどう文化をまとわせるか」は、重要な問題である(SANARI PATENT考察:「発信」より手前に、日本人自身の認識が問題である)。
(10) 外資ブランドのように、日本も戦略的になるべきである。世界の富裕層が訪れるSingaporeや香港を始めとして、華僑印僑ネットワークに展開すべきである。
(11) 日本には温泉や海があるから、アジアを横断的に動き回っている人の休息方法を想定し、旅館を展開すべきである。
(12) 伝統産業は、最先端技術と結びつけて、現代の生活に合わせるべきである。日本独特の技術、職人の精神性、背景を表現することにより、物語性が出てくる。
(13) 才能とマネーの結びつきが重要である。Produce能力を持つ人材の育成が急務で、弱者救済ではなく、投資して大いに稼ぎ、循環させる仕組みが大事である。
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2010年12月23日木曜日

Cool-Japan官民有識者会議

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「クールジャパン官民有識者会議」という会議を経済産業省が設けて(2010-11-19)、第2回会議を昨日(2010-12-22)開催したが、どういう方々が「クールジャパンの有識者」で、どんなことを「クール」と考えているのか、先ず関心が持たれよう。
座長は、資生堂の福原義春名誉会長、民間委員は、ジャーナリストの生駒芳子氏、ワイデン+ケネディトウキョウの伊藤直樹エグゼクティブ・クリエイティブディレクター、チームラボ株式会社の猪子寿之社長、A.T,カーニー株式会社の梅澤高明・日本代表パートナー、フォト・ジャーナリストのエバレット・ブラウン氏、カフェ・カンパニー株式会社・楠本修二郎社長、株式会社アパレルウェブ・千金楽健司代表取締役、日本デザインせんたー・原デザイン研究所・原研哉氏、株式会社掘木エリ子andアソシエイツ掘木エリ子代表取締役、株式会社リステアホールディングズ古川稔副社長、シャネル株式会社リシャール・コラス日本法人社長の各氏である。
これまでの発言としては、
(1) 日本は大きな「ものがたり」を失っている。日本独自の方法によるシナリオ作り、文化産業政策を担うプロチームを作ることが課題である。
(2) プロデューサーを育てることが大切である。また、世界性と強さを兼ね備えた、サブカルチャーを超越したメインストリーム文化を作ることが必要である。
(3) 政府側の問題として、総合的継続的戦略の不在が問題である(SANARI PATENT考察: 内閣知財戦略本部がその任務に当たっているはずだが)。資本力・人材力の不足という企業の問題を解決しなければならない。
(4) 日本の文化政策は権威主義で、価値が確定したものだけに投資してきたが、若手の才能を育てることが必要で、メディアの役割も重要である(SANARI PATENT考察:「政策」は、外国で受賞すると日本政府が慌てて授賞するように見られているが、民間でタレント発掘などの努力は見られるから。メディアの協力が望まれる)。
(5) 最後に人の心を動かすのはcommunication とdesignである。また、「ものがたり」とplatformが重要である。日本も、platformを輸出していくべきである。(以下次回)
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2010年12月22日水曜日

「自動車マフラ最大手」のフタバ産業

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「自動車マフラ最大手で、海外比率34%」(会社四季報)のフタバ産業(東証1部)の業績に、世界景気の動向はどのように反映しているか。フタバ産業の上半期報告は、「当社グル-プの徹底した収益改善と、世界経済の回復基調もあり、世界全地域で黒字化。セグメント別の状況は、売上高で日本1256億円、北米246億円、欧州135億円、アジア310億円。営業利益は、日本12億円、北米10億円、欧州4億円、アジア35億円となった」旨を述べているが、地域ごとの売上高対営業利益の著差にも経営環境が反映している。
Smart City構想のモデル都市で電気自動車と充電拠点が整備される構図が目立って、自動車energy動向の大局を見失いがちだが、石油系の比重は排気処理技術の向上と共に高位存続が予測されるし、「各国の排出ガス規制強化により、フタバ産業のDiesel Particulate Filter販売は自動車業界以外にも拡大」と同社は予測し、その役割を自負している。
従って、特許庁の特許技術公開を見ても、フタバ産業出願に係る最近の特許庁公開事例は次のように活発である。
(1) 排気管継手(特許庁公開日2010-11-11)
(2) 排気浄化装置(特許庁公開日2010-07-16)→ 熱歪みによる変形を招くことなく、組立て易い排気浄化装置を提供する。
(3) バブル開閉装置(特許庁公開日2010-04-02)→ Thermo-Actuatorの交換作業が容易なバブル開閉装置を提供する。
(4) 燃料電池用筐体(特許庁公開日2010-02-25)→ Seal性を確保し、挿入管の取付が容易な燃料電池用筐体を提供する。
(5) パイプ部品(特許庁公開日2010-02-12)→ 軽量で、」製造も容易なパイプ部品を提供する。
SANARI PATENT所見
フタバ産業が「次世代自動車向けLithium電池パックの開発に着手し、2012年メドに量産化」(会社四季報)することは、自動車種別の変動に即応する極めて適切な企業動向である。
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2010年12月21日火曜日

Google-Yahoo提携と電子出版が著作権法改正加速

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文部科学省の文化審議会が、ようやく著作権法の一部改正に動き始めたが、社会経済、特に技術的イノベーションが法体系の改変をもたす顕著な事例となることを切望する。Google-Yahoo提携と電子出版が、その最大の起動力である。
Googleは、「全世界の情報の組織化と、それへのuniversalなaccess可能性」を企業理念として、Google-Map、Google-Earth、Google-Booksなどを次々に実現してきたが、旧弊な既存権益との摩擦を伴う場合もあり、世界市民の支持がこれをGoogle側の優勢に向けて支持したことは、疑問の余地がない。
日本国民としては、例えば著作権の体系が国際調和を欠くために電子書籍・電子出版の、日本における展開が米国等に後れを採ることは極めて国益に反すると自覚すべきである。米国著作権法の「Fair-Use」条項を日本著作権法にそのまま入れるべきであるのに、既存権益がそれを妨害して、内閣知財戦略本部の熱意を阻害してきた。今次文化審議会は、ようやく若干の改正を試みそうだが、案を見ると不十分と考えざるを得ない。第2次・第3次改正が必須である。
弁理士の非専権業務として著作権法関連業務が法定され、弁理士試験のテキストにもベルヌ著作権条約が必掲されるようになったが、1886年に締結されたこの古い条約が、既得権益擁護の要砦とされてきた。著作権の対象である「著作物」はしかし、技術革新が著しく、革新の都度、旧体制著作権法との相克に悩まされ続けてきた。しかもその悩みの態様が、各国著作権法の不調和によって増幅されてきた。電子書籍・電子出版が、米国では発達しているのに、日本ではこれからというのは、まさに「Fair-Use」条項の有無が原因である。例えば電子書籍では、電子化された書籍数が、利用価値すなわち利用者数を決定するのに、日本では「著作権者許諾」の規定に阻まれて、電子化自体が極限されている。
電子書籍・電子出版の促進いかんは、国際競争力をも左右する。内閣・政府機構が最優先すべき具体的課題は、「Fair-Use」条項の米国並み設定である。
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2010年12月20日月曜日

MID REIT、産業用不動産特化REITの特徴

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日銀の買入対象化で新たな脚光を浴びている各J-REITは、それぞれの特徴を発揮して投資家の着目を吸引しているが、野村証券のJ-REITセミナ(2010-12-17)で会社説明したMID-REATは、「日本初の産業用不動産特化型REITとして、独自のビジネスモデルを展開している。
三菱商事がメインスポンサーであり、その総合商社としての知見とネットワークを活用していることが先ず、MID-REATの信頼性を認識させている。物流施設・工場および研究開発施設・産業インフラ施設の3分野に適切なバランスで投資することを基本としている。
上記野村セミナでのMID-REAT説明で示された貴重な資料は、日本の不動産市場の大局的把握であって、国民経済計算年報・土地基本調査総合報告書・不動産の証券化実態調査の3公的調査に基いて、次のように示している(SANARI PATENT要約)。
(1) 日本の不動産市場規模は、法人所有・個人所有・国や地方の公的セクタ所有の不動産を総計して2300兆円である。
(2) うち、事務所・店舗・工場・福利厚生施設等の法人所有不動産は490兆円である。(SANARI PATENT考察: 個人所有不動産が1810兆円と解する。)
(3) 上記490兆円のうち、賃貸オフィス・賃貸商業施設等の収益不動産は68兆円である。
(4) うち証券化された不動産は、25兆円である。
(5) うちJ-REATは5兆円である。(SANARI PATENT考察: 現在のシェアは低率だが、それだけに、今後発展の舞台が大きい)。
MID-REATの現時点でのポートフォリオの構成は、地域別では東京圏81%、大阪圏15%である。不動産種別では、インダストリアル不動産が50%~80%、インフラ不動産が20%~50%である。
SANARI PATENT所見
産業界のコスト低減戦略が国際競争力緯持強化のため必須であり、不動産利用コストも削減を指向するが、立地・利用環境・シェアリングなどの総合的見地から、国際競争に有利な条件を産業界に提供しつつ、投資家への収益分配を確保して財務基盤を強固に構築することが、不動産REITの経営手腕の見せ所である。
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2010年12月19日日曜日

J-REIT AA銘柄の堅実性

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J-REITは日本産不動産投資信託で、金融商品の一つであり、かつ不動産関連商品であることから、Lehman-Shockの後遺症で、警戒感を持つ向きもあったと思う。2011-10~11の日銀・金融政策決定会合において、J-REITが日銀による資産買入の対象とされたことは、世上の認識を改める効果を持ったこと、疑問の余地がない。野村証券はこれに先立ち、そのIR誌によってJ-REITの仕組みの解説をしてきたが、更にJ-REITセミナを開催して(2010-12-17:野村証券本社にて)、代表的な投資法人の説明会を併催した。
基調講演において野村証券の渡邊 晶氏は、J-REIT(Japanese Real Estate Investment Trust:日本版不動産投資信託)の仕組みとして次の3点を示した(SANARI PATENT要約)。
(1) 投資家の投資資金で、投資法人が不動産を購入し運用する。
(2) 運用収入による収益を投資家に分配する。
(3) 証券市場に上場され、流動性・換金性を具備している。
次に、J-REITの魅力とリスクについて次のように示した。
(1) 魅力
(1-1) 現物不動産投資に比べて、小額投資単位の投資が可能である。
(1-2) 資産運用会社が、不動産を厳選して投資し、その運用収益を投資家に分配する。
(1-3) 不動産の緯持管理は、資産運用会社が選定した専門の管理会社が行う。
(1-4) 金融商品取引所(SANARI PATENT注: 東証など)に上場し、換金性に富む。
(2) 主なリスク
(2-1) 元本保証商品ではない。
(2-2) 分配金は変動する。
(2-3) J-REITの価格は、不動産市場・金利環境・地震などにより変動の可能性がある。
SANARI PATENT所見
当日のセミナでは、ジャパンエクスセレント投資法人、MIDリート投資法人、および、産業ファンド投資法人が法人説明したが、いずれもAA格付けを有し、それぞれ、首都圏」・大阪圏・産業用の各優良不動産を取得運用して成果を収めていることが、具体的に示された。
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2010年12月18日土曜日

在宅介護企業と臨床検査企業の提携

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「医療総合サービスの新展開」という、全世界市民が理想とする目標を掲げる「ファルコSDホールディングス」(東証大証1部)の、Corporate Data 2010が届いた。会社四季報は、「臨床検査受託大手、調剤薬局展開、ドラッグストア示野薬局を傘下に」と特色づけているが、更に「ロングライフ傘下の在宅介護等2社と連携、顧客情報提供や販促、ドラウッグストアは来期3~4出店の意向」と特記していることが注目される。医師大幅増員は短期には実現し難く、医療技術と機器は先端化・高度化・専門化が高速度で進むから、「総合性」による全分野対応と規模メリット・効率化の推進が、全世界市民のため必須だが、ファルコSDは、業歴22年余(前身の関西医学検査センタから起算すれば48年余)を、この目標に沿って着実に業績を挙げてきたと、SANARI PATENTは考える。
経営の業績も逐年拡大し、2010年度上半期売上高289億8300万円で2008,年度同期比52.8%増、経常利益は8億4900万円で47.7%増を示している(2009年度は決算期変更で異例)。
1992年に臨床検査事業を開始以来、1999年に調剤薬局事業、2000年にヒト遺伝子検査事業および遺伝子組換え食品検査事業、2006年にファーマコゲノミス事業、2007年にORCA導入支援サービス、2010年にドルッグストア事業を開始し、総合性を充実してきた(SANARI PATENT注: ORCAは日医標準レセプト:Online Receipt Computer Advantage)。
冒頭にSANARI PATENTが注目したロングライフホールディングス(JASDAQ-S)は、「介護付き有料老人ホーム、グル-プホームと在宅介護を展開、老人ホーム新設は社有地中心、手薄な首都圏等でM and Aも企画、中国の合弁設立」と海外にも志向(会社四季報による)。ファルコSDとの提携で、総合効果が一層期待される。 
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2010年12月17日金曜日

日本アラブ閣僚会議におけるSaudi Arabia王国

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Arab諸国の中でもSaudi Arabiaは、日本が、原油供給の30%を依存している極めて緊密な間柄の国である。Saudi Arabiaは、世界最大の石油埋蔵量(Yahoo!ニュースによれば原油の確認埋蔵量は世界の25%)・生産量・輸出量を誇るenergy大国である。輸出総額の約9割、財政収入の約8割を石油に依存しており、OPECの指導国として国際原油市場に強い影響力を有する。日本の5.7倍の国土面積、2400万人の人口、対Arab圏外交上も、民族はArab人、言語はArabia語、宗教はIslam教という典型的Arab国家として認識される。
従って来年2月以降に、Saudi Arabia原油の第一船(約30万KL)が沖縄石油基地に入港し、その貯蔵が現実に開始することは日本・Saudi Arabia両国にとって極めて意義深い。以下、「Saudi Arabia王国との共同プロジェクトの開始について:沖縄において、Saudi Arabiaの原油の貯蔵をsタートします」と題する資源エネルギー庁の発表(2010-12-14)を要約する。
1. 去る2010-06-14に、資源エネルギー庁とSaudi Arabia国営石油会社Saudi Aramco社(SANARI PATENT注: Wikipediaでは、保有原油埋蔵量・原油世界生産量・原油輸出量が世界最大:2006年度売上高1998億ドル、従業員数51,336人)との間で基本的事項について合意していた協働プロジェクトについて、2010-12-14に、独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構とSaudi Aramco社との間で、原油タンク賃貸借契約等を締結した。
2. 日本は、Saudi Aramco社に対して約60万kl分の、沖縄石油基地原油タンクを貸与し、Saudi Aramco社は、そこにSaudi Arabia王国の原油を蔵置して商業的に活用する。
3. 日本はこのプロジェクトにより、石油の供給不足時に、この貯蔵原油の優先的な供給を受けることができ、Energy Securityが向上すると共に、Saudi Arabia王国との戦略的関係が一層強化される。
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2010年12月16日木曜日

フロン冷媒の回収等について経済産業省検討

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空調や冷蔵冷凍で、職場でも家庭でも密接に馴染んでいる影武者である「冷媒」だが、国際的にも、国内でも、その生産・排出・回収が大きな課題となっていることは、それ程周知されていない。
その冷媒について経済産業省(担当:製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室)は、来る2010-12-21に、産業構造審議会の「第5回qq対策ワーキンググル-プ」を開催する。
このWGの専門的な審議内容を見るに先だって、上記「オゾン層」について先ず確認する。オゾン層は、太陽からの紫外線のうち、有害なものの多くを吸収し、ヒトを含めて地球の生態系を保護している。紫外線は波長によりUV-A、UV-B、UV-Cに分類されるが、このうちUV-Cは最も波長が短く、生態系に有害だが、従来、オゾン層によって全て吸収され影響を及ぼしていないと考えられている。UB-Bは中間波長だが、その一部が地球に到達して皮膚癌の原因になっている。
最長波長であるUV-Aは大部分が地球に到達しているが、「皮膚の弛みやしわ」の原因だと聞けば、UV-Aの名は一挙に周知されるかも知れない。
空調や冷蔵冷凍庫の冷媒として使用されてきたフロンなど、ハロゲン化合物の排出量が著増し、オゾン層の破壊が「オゾンの生成と破壊の自然バランス」を崩す域に達するに及んで、冷媒問題が浮上し、既に、約10年前から家電リサイクル法などが順次施行されてきたが、標記WGはその強化刷新を目指すものであり、知財開発のテーマとしても注目すべきである。
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2010年12月15日水曜日

Yahooの「電子商店における商品の陳列決定装置」発明

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ヤフー株式会社が、その発明「電子商店における商品の陳列決定装置」について特許出願したが拒絶査定(2008-05-20)されたので、不服審判請求したが、請求項不成立と審決(2010-03-15)ので、ヤフー株式会社は、特許庁長官を被告として、知財高裁に対し、こんも審決の取消を訴求したが、知財高裁は、ヤフー株式会社の請求を棄却した(2010-12-08)。
上記ヤフー株式会社の発明内容の一部を要約すれば、「インターネットを通じて、利用者のコンピュータと、httpリクエスト/レスポンスのやり取りをし、利用者コンピュータのプラウザにより可視化される電子商店をweb pageにより表現して送達すると共に、その電子商店を介して商品の販売手続を処理する電子商店サーバーにおいて、電子商店における商品の陳列決定装置であって、販売対象商品に関する情報を各商品ごとに区分して集約して商品データが記録されると共に、各商品データに付帯して、各商品のカテゴリーなどの属性情報や、各商品に関心を抱くと予測される消費者に関する属性情報を体系化してデータ表現した商品属性データが記録された商品データベースと、利用者コンピュータによりこの電子商品サーバーにアクセスする来店者の個人情報を含む来店者データを取得する手段と、アクセスした来店者についての来店者データに含まれる個人情報と商品データベースにおける各商品属性データとを照合して所定のマッチング演算処理にかけ、個人情報と商品属性データとの一致度・類似度・関連度を判定し点数化することにより、その来店者が各商品に抱く関心の大きさに相関する予測の推定値である訴求点を計算する手段と、一定以上の訴求点が計算された商品群の中から所定の規則で、または、ランダムに、陳列対象商品を選出する手段と、選出された各商品の陳列位置を、各商品の訴求点と、商品データの大きさまたは色に基いて決定し、各商品を位置割当に従って、web pageデータとして生成する手段とを備えることを特徴とする電子商店における商品の陳列決定装置」である。(SANARI PATENT注: 上記、文法上は一パラグラフで判決文に示され、「と、」の段落で適宜行を換えている。)
特許庁と知財高裁が、ヤフー株式会社のこの発明に対して特許性を認めなかった理由は、要するに、この発明が先行技術から当業者が容易に想到可能であり、進歩性の特許要件を欠くというにある。しかし、その判断は、先行技術の内容の認識を前提とするから、出願者と特許庁・知財高裁間でそのに関する中国シクに齟齬があれば、想到容易性の判断に影響することは必然的である。知財専門家としては、この齟齬と、想到容易性の具体的な判断手法を、判決文に即して究明することが必要である。
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2010年12月14日火曜日

Methane Hydrate開発研究など日本海洋掘削業績

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尖閣問題などを内包しているものの、日本は領海に富み、新エネルギー源Methane Hydrateの海底埋蔵も豊富だから、資源各社と共に日本海洋掘削の活躍が期待されるし、その技術を海外に展開することが国際貢献上重要である。
丁度、日本海洋掘削(東証1部)の上半期報告が届いたが、米国Mexico湾事故に伴う米国政府の「新規深海掘削作業停止措置」(2010-10-12解除)影響下のグローバルな事業環境(日本海洋掘削の海外比率は7割強)においても、前年同期比微減ながら前前年同期比増の売上高・経常利益を示している。
日本海洋掘削は、「国内で唯一、海底石油・天然ガス田の試掘や生産井掘削を受託」、「Brazil、西Africa等での深海大型開発をにらみ、大水深掘削ノウハウ蓄積し、船体底部増強で深海対応している」(会社四季報)が、今次報告にも次のように好展望・内外積極展開状況を述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 石油・天然ガスの世界需要は今後も増勢が予想され、探鉱開発活動も堅調に推移するものと考えられている。
2. 日本海洋掘削は、Spainの国家プロジェクト「天然ガスの圧入・備蓄」のための掘削工事に従事している。備蓄のための坑井を掘削するという新ビジネスモデルであり、工事案件の拡大に繋がる。
3. India・Bengal湾での掘削工事を2010-06に完工した。
4. Indonesiaにおける操業準備に、2010-09に着手した。
5. Malaysia国営石油との契約期間を5年間更新した。
6. 世界で初めて海底熱水鉱床を和歌山沖で掘削し、地質サンプルを採取した結果、熱水貯留帯や硫黄鉱物生成層の存在を発見した。
7. 地デジ放送通信ケーブル管路設置工事を、沖縄南大鳥島等で実施している。
8. 経済産業省の「Methane Hydroid開発計画」に一貫して参画中である。
SANARI PATENT所見
米国政府は、Mexico湾事件にかんがみ、新たな安全管理ルールを発表したが、これに基づく新たな規制要件を日本海洋掘削は既に充足しており、国際競争力を結果的にも強めたと考える。
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2010年12月13日月曜日

「アートのデジタル化」を立ち上げたCASIO

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CASIOの中間報告が届いた。経営改革と事業強化により黒字基調を回復し、新たな成長に向けて確実な一歩を踏み出したとしている。上半期売上高の微減は、連結対象の異同によるもので、時計や電子辞書などは引続き高収益を緯持し、全体が黒字化した。
新規時の具体的展開として樫尾和雄社長は「アートのデジタル化」について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. これまでもCASIOは、電卓・時計・電子楽器・デジタルカメラなど分野を、デジタル技術だ革新してきたが今、挑んでいるのが「アートのデジタル化」という新たなコンセプトである。
2. ハイスピード技術を活かして芸術的な写真を撮影するHDRアート機能(SANARI PATENT注: HDRは、High Dynamic Range Imaging: 被写体に対する露光明暗差を異にする複数撮影の合成により動的・絵画的・芸術的映像を得る手法)を備えたデジタルカメラや、撮影した写真を絵画調に変換できるフォトプリンタなど、特別な技術がなくても誰でも、絵やアートを気軽に楽しめる画期的な提案により、新しい市場を開拓する。(SANARI PATENT考察: 既に類似技術が公開されているが、CASIOの、より高度な技術が希求されることとなる)。
3. 画像は、見るだけでなく、プリントして人に見せたり、様々な形でアウトプットしてこそ楽しめる。お互いに連携する多採なアウトプットのサービスを新規事業として立ち上げ、早期の業績貢献を目指す。
その他の事業として注目されるのは、
1. 時計事業
1-1 アジアで好調なブランド「SHEEN」を国内でも投入し、女性向けメタルアナログウオッチ市場で拡販する。
1-2 耐久性に優れた強靭バンドの「S-SHOCK」は、時計本体の耐衝撃性能に加えて、バンドに炭素繊維を封入して耐久性を高めた、世界6局の標準電波に対応し、引続き世界各地で「Shock the World」イベントを開催し、グローバルブランドとして確立する。
1-3 モータースポーツなどで使われる「EDIFICE」は、1/1000秒計測が可能であり、グローバルブランドとして確立する。
2. 電子辞書は、カラー図面を活かして、中国で拡販する。
3. インド式桁表示(千の位で区切った後、十万、千万と2桁ずつ区切りを入れる)と、3桁づつ区切る桁表示の切り替えを可能にした電卓「MJ-120D」を発売した(2010-08)。
SANARI PATENT所見
上記新規事業のいずれにも、グローバル市場指向と、中国・インドなどの巨大新興国市場展開が実践され、CASIOの国際的ブランド価値を高めると考える。特にインド式桁表示は、ソフトウェア人材に富み、日本の公文式数学塾も発達したインドにおいて、拡販効果が期待される。
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2010年12月12日日曜日

TOPPANの今次事業報告に見る印刷業界の変容

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凸版印刷株式会社TOPPANの上半期報告が届いたが、大日本印刷と共に「印刷業界の二強」と呼ばれるTOPPANは、売上高7628億円で前年同期比5.5%増、営業利益は156億円で前年同期の2.1倍に達し、「新たな収益モデルの早期確立」に歩を進めている。
しかしTOPPANのセグメント別報告を見ても、情報・ネットワーク系事業、生活環境系事業、エレクトロニクス系事業と分画され、紙印刷を想起する「印刷」の文字はない。報告内容においても、「通帳や商品券などの有価証券が好調に推移し」とあるものの、「商業印刷関連は、チラシやパンフレット、通販カタログは前年より減少」、「出版印刷関連は、雑誌・書籍ともに前年より減少」、「ビジネスフォーム関連は、ビジネスフォームが微増の一方、データプリントサービスは、前年を下回った」とあって、総じて紙印刷の減少傾向が認識される。
一方、情報・ネットワーク系事業においては、
(1) ICカードはCashless CardやDigital放送向け受注が好調
(2) POP(SANARI PATENT注:Point of Purchase Advertising:キャラクターなどによる店頭広告)は好調に推移し、エコポイント関連の業務受託ビジネスも拡大した。
(3) 電子チラシサイトは事業基盤が更に強化された。
(4) Digital Contents流通サービスは、順調に拡大した。
生活環境系事業においては、
(1) 紙製飲料缶が、触感訴求の新製品受注増した。
(2) 高機能バリアフィルムが堅調に推移した。
(3) 太陽電池バックシートが伸長した。
(4) 建装材関連で、エコシートなどの環境配慮型製品が伸長し、欧米向け受注も順調に推移した。
エレクトロニクス系事業については、
(1) 半導体関連のフォトマスクが、国内外とも好調に推移した。
(2) ディスプレイ関連のカラーフィルタが、スマートフォンなどの需要拡大による中小型サイズを中心に順調に推移した。
(3) 反射防止フィルムは、液晶テレビ向け中心に需要が拡大し、順調に推移した。
(4) プリント配線板は、産業用電子機器、通信機器向けに需要が拡大し、堅調に推移した。
SANARI PATENT所見
書籍等出版においても、電子出版が増加し、電子工業の中核として在来印刷業界が変容していく局面を想定し、経済戦略・知財戦略を刷新すべきである。
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2010年12月11日土曜日

人材育成におけるDevelopmental Disorders

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人材の育成は知財立国の柱だが、ITの高度かつ普遍的な機能が、作用のさせ方を誤れば、子供の発達障害を来すという趣旨を、新刊の「電子メディアは子どもの脳を破壊するか」(講談社)(R Site12-10ご参照)は述べていると解する。しかしこの著作はむしろ、知財人材と呼ばれるべき人達、更には社会人たる大人達にも、医学用語の発達障害が存在することを示唆していると、SANARI PATENTは類推する。従って先ず、上掲書を若干抜粋する。
1. 広汎性発達障害とは、コミュニケーション(意思の疎通)の障害、社会性の障害、社会的な想像性の障害の三つの特性を示す障害を言う。「特定不能の広汎性発達障害」とは、この3つの障害の一部のみが軽度に出現する場合を言う。
2. コミュニケーションの障害とは、相手に自分の意向をうまく伝えられない、あるいは、相手の意思を正しく受け取れないことを言う。電子メディアに過度さらされたが故のコミュニケーション障害がある。
3. 現代の環境要因、すなわち映像メディアへの不断の情報曝露によって歪み偏った認知思考特性が、乳幼児期の脳というコンピュータハードに、新しいタイプのOS(Operating System)としてinstallされてしまう。High Visionによる視覚系優位の情報によって「知識」が一方的に流入し、想像力の欠乏、抽象的概念の構成能力が欠乏する。
4. 潜在的に発達障害のある子供が成人になる過程および成人後に、神経症や鬱病を生じ易い。
5. 自己管理が未熟な子供に、個室を与え、デジタル機器を無制限に買い与え、目と指だけを使って異常に興奮する反応に委ねると、興奮性神経系が抑制性神経系を上回って発達する。
6. Virtual Realityの世界に慣れ親しんでいると、米国の9-11事件のように、あり得ないようなことが実際に起こったときに、それを正確・迅速に認識して判断することができなくなる。
SANARI PATENT所見
金沢治医師は、独創的学説が世界に顕著な京都大学医学部出身で、この著作も米国等の学説を引用しつつ、独自の見解を展開している。従って、「――ではないか」「――とも考えられる」という非断定的な記述が多いが、上記抜粋引用では、簡潔に警告的表現とした。要するに、Real社会とDigital社会との調和ある接触を、子供の時から心掛けないと、成長、成人後に、社会人として、更には知財専門家としても、知識に偏した、「意思疎通等障害人」を輩出しかねないという結論である。
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2010年12月10日金曜日

三井物産、最近の海外投資事業

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中国の豊富な外貨保有による海外投資が注目されているが、日本企業の海外投資も活発である。qqの会社説明会(2010-12-08)(12-09 http://bit.ly/9vFECy ご参照)では同社の最近実行済み投資事例が次のように述べられた(SANARI PATENT要約)。
1. 米国Shale Gas開発生産事業→ 権益取得対価最大14億ドル。Anadarko社が保有するプロジェクト全体の約50%の権益のうち、32.5%、すなわち、全プロジェクトの約15.5%相当権益を取得する。
2. Mexico発電事業買収案件→ 買収金額約12億ドル。Spain/Gas Natural社が所有していたMexico北東部の天然ガス火力発電事業5社およびガス輸送会社などを買収する。
3. Peruリン鉱石生産事業→ 拠出額2億7500万ドル。2010-07に生産開始済み。
4. 米国Dow Chemicalsとの電解共同事業→ 出資額1億4000万ドル。出資比率50%。年間生産量・苛性ソーダ90万トン、塩素80万トン。2011年央に生産開始。
上記を含めて、三井物産の組織体制と各事業分野の事例が次のように示された(SANARI PATENT要約)。
(1) Australiaでの鉄鉱石生産
(2) Chiliでの銅開発・生産、2013年生産開始
(3) 世界最大の総合リサイクル企業・Systems Managementへの出資参画
(4) 上記を含めて、鉄鉱石・銅・Nickel・Aluminumなど金属資源権益の拡大・安定供給体制の構築、Metal Scrapを中心とするリサイクル・廃家電や二次電池材料など。
(5) Australia原油・石炭開発・生産、Sakhalin原油開発・生産
(6) 中国・India・Brazil・Rusiaなどでインフラ事業展開
(7) Shale Gas向け鋼材供給
(8) 自動車向けサービスセンター網のグローバルな供給体制構築
(9) Indonesia二輪車販売金融事業
(10) 自動車、建設・鉱山機械、工作機械の海外販売Value Chainの構築
(11) 米国における自動車生産部品物流事業
(12) 新興国の次世代車両に関連する新事業
(13) 石油化学製品のアジア物流市場における三井物産のシェア、Ethylene 40%、Benzene20%、p-Xylene23%を緯持拡大する。
(14) 上記のほか、プロジェクト本部・船舶航空本部・物流本部・食料リテール本部・Consumer Service事業本部・情報産業本部・金融市場本部において、内外の新事業を展開する。
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2010年12月9日木曜日

Japan-Arab Economy ForumをTunisiaで開催

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経済産業省(担当:通商政策局中東アフリカ課)は、2010-12-11~12に、Tunisiaにおいて「第2回日本・アラブ経済フォーラム」を開催する。経済産業大臣・外務大臣のほか経済界要人(後記)が参加を予定している。
現在、アラブ各国(後記)の主要課題は経済・産業の多角化である。日本企業にとっては、インフラ輸出のチャンスである。このフォーラムによって日本の存在感を示し、発信力を高めることは、資源外交上も非常に有効と考えられる。
2010-12-11には、新規プロジェクトの発表、エネルギー・環境・人材開発・教育・科学技術の閣僚級会合と、太陽光・太陽熱・水ビジネス・日本企業のアラブ地域でのビジネス活動の各セクター別セミナーを行う。
2010-12-12には、原子力・インフラ・IT・ハイテク・衛星の各セクター別セミナーと、投資・観光・金融・貿易分野における協力の各課題について閣僚級会合を行う。
アラブ側はアラブ連盟メンバーの21国1機構、すなわち、アラブ首長国連邦・アルジェリア・イエメン・イラク・エジプト・オマーン・カタール・クウェート・コモロ・サウジアラビア・ジブチ・シリア・スーダン・ソマリア・チュニジア・バーレーン・モーリタニア・モロッコ・ヨルダン・リビア・レバノン・パレスチナ暫定自治政府が参加する。
日本側は、経済産業大臣・外務大臣・経団連・中東協力センター・JERTRO・国際協力機構・国際協力銀行・日本貿易保険・新エネ産業技術総合開発機構・日本貿易会・中東調査会・日本アラブ協会・企業関係者が出席する。
SANARI PATENT所見
アラブと中東、アラブとイスラム、中東とアフリカなど、認識を深めるべき事項が多く、別掲する。
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2010年12月8日水曜日

Global Man Power Symposium、人材ボーダレス社会対応

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経済産業省が「人材ボーダレス社会に向けた産学官提携への挑戦」を主題とする「グローバル人材シンポジウム」を2010-12-14にベルサール秋葉原で開催する。担当は経済産業政策局の産業人材政策室だが、既にこのような室が特設されていることに先ず、時流を認識すべきである。
開催の趣旨を経済産業省は次のように述べている。
「経済のグローバル化に伴って産業界では、人材の育成・活用のグローバル化対応が経営の大きな課題になっています。このシンポジウムでは、人材ボーダレス社会の到来に向けて、産学官が連携し、いかに「グローバル人材」育成に取組んでいくかをテーマとし、有識者の講演、パネルディスカッション、交流会などを実施します。」
経団連、経済同友会、日本商工会議所、国立大学協会、日本私立大学連合会、公立大学協会が後援し、文部科学省が協力する。
基調講演は「グローバルに活躍できる人材の育成」と題して明石 康氏(元国連事務次長、国際文化会館理事長)、パネルディスカッションは「日本企業における高度外国人育成・活用」について、パナソニック・グローバル採用チーム・杮原健太郎リーダー、楽天・樋口将嘉・執行役員、立命館アジア太平洋大学国際経営学部・横山研治・学部長、経済産業省産業人材育成室、文部科学省高等教育学生留学生交流室、エーオンヒューイットジャパン株式会社・大滝令嗣・会長。
SANARI PATENT所見
いきなり「グローバル」まで行かなくても、日本語と中国語の双方に達者な人材(「人材」の幅も広く考えるべきである)を養成するのに、中国人に日本語教育するのが能率的というのが、日本産業界の常識になっている。青年層のファイトの差の問題である。ソフトウェア技術者やアニメータについて、インドや中国の人材との比較も必要。
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2010年12月7日火曜日

キッツ・KITZのバルブ、インドに展開

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バルブ(Valve/中国語・閥門)は、流体の配管の開閉や流量を制御する機器だから、家庭内でも産業界でも極めて馴染み深いが、その国内首位企業である「キッツ」の社名は周知とまでは言い難い。しかし、中国に続いてインド市場にも大いに展開する計画を、今次キッツの中間報告が述べているので、その内容(SANARI PATENT要約)を知る必要がある。
1. キッツは、2010-07にインド西部のムンバイに駐在員事務所・KITZ COPORATION INDIA LIAISON OFFICEを開設した。現在人口12億人、経済成長率8%台で推移しているインドでは、高級ホテル・病院・ショッピングモールなどの商業施設、地下鉄や空港のインフラ整備の需要が高まり、建設ラッシュが続いている。キッツは、この大市場を新規開拓するため、上記事務所を開設し、ビルの空調や衛生・防火設備向けのバルブを中心として、高品質ブランドのキッツ商品をインド市場に浸透させたい。
2. キッツは2010-05に、長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」を発表し、2009年度の海外売上高比率21%を2020年度には50%(1250億円)とする目標を掲げた。インドについては、東西南北に4区分して、今次ムンバイのほか、ニューデリー・コルカタ・チェンナイに販売拠点を構築する。販売ネットワークについては、メガディーラー・サブディーラーとの契約を進めている。
SANARI PATENT所見
キッツの2010年度上半期売上高は513億4400万円で前年同期比11.2%増、経常利益25億8900万円で0/9%増である。
キッツのタイ工場が生産している青黄銅製バルブ(ビル・住宅など向け)の需要が、中国・インド・タイ・インドネシアなどで伸長しているので、通期業績が期待される。
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2010年12月6日月曜日

豊田自動織機が米国市場に新型電動産業機器

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豊田自動織機という和名は機種限定的だが、英名は「Toyota Industries Corporation」で、すこぶる広汎である。同社の今次報告にも、「米国市場に新型電動フォークリフトを投入」が特報されて、電化が自動車以外の機器の電動化に広く及んでいく趨勢を示している。上記特報(SANARI PATENT要約)は、
1. 豊田自動織機は、米国における産業車両の生産拠点であるToyota Industrial Equipment Mfg.Inc.において、20~32トン積みの新型電動フォークリフト「Bシリーズ」の生産を開始し、米国市場で発売した。
2. 米国産業車両市場における電動車比重は、2009年に67%まで上昇している(SANARI PATENT考察: 乗用車における電動車比重より遥かに高率であることが注目される)。豊田自動織機は、高い安全性能・操作性、および低メンテナンスコストを兼備した今次新製品により一層拡販する。
豊田自動織機は、特許庁公開件数1万1829件(2010-12-05時点)の特許発明を有するが、最近(2010-11-01~2010-12-03)の特許庁公開のみでも58件を数え、電動化指向が加速している。例えば、
1. 発明の名称「モータ駆動システムおよび車両」(特許庁公開日2010-12-02)→Zソース昇圧回路による昇圧動作と、インバータによるモータ制御を両立させる。
2. 発明の名称「電力変換器」(特許庁公開日2010-12-02)→マトリックスコンバータとインバータのスィッチング回数を抑えると共に、インバータのP-N間に接続されているコンデンサに流入するコンデンサリオウル電流を低減する制御を行う電力変換器を提供する。
3. 発明の名称「電力変換装置とその電力変換方法」(特許庁公開日2010-12-02)→マトリックスコンバータとインバータのスイッチ回数を抑える制御を行う電力変換装置とその電力変換方法を提供する。
豊田自動織機は、乗用車についても、プラグインハイブリッド車および全電気自動車用の新型充電スタンドを、日東工業株式会社と共同開発し、2010-10に発売している。利用者の操作性を向上させると共に、充電インフラ網の構築に不可欠の通信機能を標準車載した先駆製品である。
なお豊田自動織機の上半期業績は、前年同期比・売上高16%増で7298億円、経常利益は9倍の383億9300万円を示している。
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2010年12月5日日曜日

電子情報技術産業協会・製薬工業会など特許法改正に参画

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特許庁が、特許法改正についてのPublic Comment募集を開始したが(2010-12-03)、パブコメの対象は、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の「特許制度に関する法制的な課題について」(2010-12)である。この報告作成には、上記小委員会の委員として生産業界から、電子情報技術産業協会の法務・知的財産権運営委員会委員長・亀井正博・富士通知的財産権本部長、経団連知的財産委員会企画部会部会長代行・沢井敬志・NTTアドバンステクノロジー取締役・知的財産ビジネスセンタ所長、日本製薬工業協会知的財産委員会委員長・渡辺祐二・アステラス知的財産部長ほかが参画している。特許権の取得や活用の態様が電子業界と製薬業界とでは対蹠的であることなども反映しているとSANARI PATENTは解する。
特許についての問題点意識は、業種業態によって異なるが、共通的な課題は先ず、特許権の安定性、すなわち、一旦付与された特許権が審決や訴訟によってその有効性を左右されることについて提起される。上記案はその背景を、「特許の有効性判断についてのダブルトラックの在り方」という表題で次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 特許の有効性の判断は、特許庁での無効審判の手続によらなければならない。とされてきたが、特許庁における無効審判の審理期間が長期化した状況のもとで、2000-04に、いわゆるキルビー最高裁判決において、侵害裁判所は、特許に無効理由が存在することが明らかであるか否かについて判断することができ、無効理由が存在することが明らかであるときは、その特許権に基づく請求は特段の事情がない限り、権利の濫用に当たり許されないと解すべき旨が判示された。
2. その後、特許法104-3が施行され、特許権侵害訴訟において、その特許が「特許無効審判により無効にさるべきものとみとめられるとき」は、その特許権の行使はゆるされないこととされた。
3. これにより、特許の有効性に関する判断が、無効審判ルートと侵害訴訟ルートの二つのルートで行われ得るという、ダブルトラックの問題が生じた。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)ダブルトラック

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2010年12月4日土曜日

Yahoo・Google提携について公取発表

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公取が2010-12-02に、「ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジン等の技術提供を受けることについて」という題名で見解発表したが、事件化していない個別案件についての異例な説明発表として注目される。内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 公取委員会は、ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジンおよび検索連動型広告システムの提供を受けることについて、ヤフーとグーグルから相談を受け、2010-07に両社が説明した内容を前提とすれば、この技術提供は独禁法上問題となるものではないと回答した。
2. 一方、この技術提供によって日本国内における検索エンジン等の技術の約9割が米グーグルのものとなることなどから、この技術提供がヤフー・グーグルの説明通りに実施されないなどの場合には、この技術提供は、インターネット検索サービスと検索連動広告の分野に大きな影響を与える可能性がある。
3. また、この技術提供については、独禁法45-1に基づく申告を含め、多方面から様々な意見や情報が公取に寄せられている。
4. 従って、公取は、この相談への回答後、この技術提供の実施に向けた進捗状況等について調査してきた。その結果を発表する(SANARI PATENT注:「現時点では、独禁法上の問題とはならないという判断だが、詳細は別途考察する)。
5. 上記相談における説明内容は、
5-1 ヤフーは、自社のウェブサイト等に用いる検索エンジン等を有しておらず、これまで米ヤフーから検索エンジンの提供を受けていた。しかし、米ヤフーから検索エンジン等の提供を受け続けることができなくなったため、新たな検索エンジン等として、米グーグルの検索エンジン等を自社に最適なものとして選択することとした。
5-2 ヤフーとグーグルは、この技術提供実施後も、インターネット検索サービスと検索連動型広告の運営をそれぞれ独自に行い、広告主・広告主の入札価格等の情報を完全に分離保持して、競争関係を緯持する。
5-3 この技術提供の契約期間は2年間で、ヤフーは2年後に、どの検索エンジンを利用するかを選択でき、かつ、契約期間中であっても、ヤフーが他の検索エンジン等を利用することは何ら妨げられない。
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2010年12月3日金曜日

Nifty Cloud Computing 国産クラウドの順調な拡大

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Niftyの上半期事業報告(2010-04-1~2010-09-30)が届いた。冒頭に「大幅増益を達成いたしました」と元気一杯である。売上高は5232億2700万円で前年同期比4.9%増、営業利益は18億6500万円で前年同期の3.6倍。生い立ちのInternet Service Provider事業については、ADSL接続会員が必然的に減少する一方、光ファイバ接続会員獲得について、チャネル別にキメ細かい獲得戦略を推進すると共に、急速に拡大するモバイル接続サービスについて、@Nifty WiMAX用に機器レンタルを開始した。
Webサービス事業について、広告ビジネスは、検索数増加に伴い検索連動型広告・タイアップ広告・モバイル広告が伸長しているが、今後NiftyのICT業界における地位を決定するものとして、Nifty Cloudの順調な拡大に最も注目すべきである。
内閣知財戦略本部のコンテンツ担当委員・角川歴彦・角川会長が夙に、「カウラウド時代とクール革命」と題してベストセラーズの著作を警世の書としたが、「カラウドの奇跡」と題する章まで設けられ、その革新的意義が解説されている。
Niftyは、今次報告で次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. Niftyは2010-01-27からニフティクラウドをサービス開始したが、2010-05の「第1回Cloud Computing EXPO」に出展したほか、Cloud Seminarを他社と共同開催するなど拡販に注力し、Service Menuを継続的に高度化(enhance)してユーザーの要望に応えたことにより、2010-09-30時点の利用者数は462社に達した。
2. Niftyでは、internet serviceがbroadband化した2000年以降、サーバ運営の標準化や仮想化にいち早く着手し、大規模システム環境を柔軟・効率的に利用できる環境づくりを続けてきたが、その延長線上で、Cloud Serviceを今後の成長分野と位置づけ、Niftyが拡張し続けてきた自社サービスインフラを基盤として提供する。
3. Nifty Cloudの特長は、
3-1 顧客の利用状況に応じて、サーバやメモリの増設に、on demandで対応できること
3-2 1時間単位の利用でコストを最適化できる従量制の料金プランを設けたこと
3-3 大規模システムを運営する仮想化技術を応用してシステム構成したこと
3-4 新機能を次々にリリースしていること
3-5 APIにより外部接続を可能にしたこと
SANARI PATENT所見
Nifty Cloudについては例えば東洋経済誌(2010-10-02)が「多様なクラウドサービスを適材適所で使い分けよう」広告特集のもとで、Nifty Cloudを「企業規模、利用形態に捉われない、豊富な運営ノウハウと使い易さ、高信頼のサーバー環境を提供」と題し、「セットアップ僅か5分! 利用者と提供者二つの立ち位置、だから可能なニーズ優先サービス」と副題して詳述している。
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2010年12月2日木曜日

JFE Cooperates with India JSW Steel in Indian Steel Market

 JFE がインドJSWスチール社との戦略的包括提携契約を具体化
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JFEの2010年度上半期報告は、連結売上高1兆5722億円で前年同期比20.3%増、経常利益1049億円で前年同期の574億円損失から大幅反転した業績を内外に発展させ、特に、アライアンスの拡大を始め、アジア新興国での事業を推進するとしている。
具体的には、 インドJSWスチール社との戦略的包括提携契約具体化について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. JFEは、インドの大手民間鉄鋼メーカー・JSWスチール社と2009-11に戦略的包括提携契約を締結し、その具体化について協議を重ねてきた。
2. 具体化の第一歩として、JEFからJSWへの資本参加・技術供与について合意し、2010-07にその契約を締結した。出資比率は14.99%を予定し、自動車用鋼材の製造、JSWビジャナガール製鉄所の操業全般の改善に関する技術を供与する。
3. JFEは、この契約締結によりインド市場に本格進出し、生産・販売基盤を確立すると共に、JSWとの提携を更に深化させ、インド市場での成長戦略を一層強化推進する。
SANARI PATENT所見
JFEの海外比率はすでに約4割に達しているが、インドは自動車産業の急成長を始め、鉄鋼需要急増の大きな潜在量を有し、JFEの国際協調と自社発展の最適の場と考える。JFE自体の技術が極めて活発であり、1万2153件の特許庁公開特許発明(2010-12-01現在)のうち1000件余が今年度に入ってからの公開件数だが、うち昨11月分のみでも125件を数え、例示すれば、
(1) 鋼板表面欠陥検査方式および装置(特許庁公開日2010-11-25)
(2) 金属の腐食診断方法(同)
(3) 製鉄用容器の耐火物ライニング構造(同)
(4) 復水器冷却管漏洩検査装置(特許庁公開日2010-11-18)
(5) 錫メッキ鋼板およびその製造方法(同)
などが注目される。
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2010年12月1日水曜日

Pet Industry in Japan is Thriving as Pets Population Reached 22.4 Million

 ペット数2234万超(犬・猫)の日本家庭の優しさ
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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英国の諺には、「晩年になってから必要なのは、老妻とペット犬と、幾らかのお金だ」とあるが、ペットへの愛着は、その在り様や動機は国・民族・個人によって様々であるにしても、今やグローバルに共通な現象である。日本での状況については、アニコム株式会社の説明会(11-30 R Site 記事)に関する関連して述べたが、子供産業よりも対象数が遥かに多くなるペット対象の産業を、上記アニコム説明(SANARI PATENT要約)によって展望する。
1, アニコムのペット保険は、アニコム保険株式会社が損害保険事業の免許を取得(2008-12)して行っているものだが、損害保険1契約当たりの年間保険金支払回数は、火災・自動車・自賠責・傷害の諸保険に比べて圧倒的に多数であり「小額・多頻度」である(SANARI PATENT考察: 保険の日常有用性を生活者がひろく意識する)。アニコムでは、契約者の約半数から年に3~4回の請求を受け付けている。
2. 日本での犬・猫ペット数は2234万を超え、15歳未満の子供1750万人に対してよりも、家庭の対病院支払額は多く、保険が有用である。例えばペットが皮膚炎で通院したら2万5000円かかったという場合、90%プランでは1日1万8000円まで保険金が支払われ、骨折で6泊7比の入院中の手術1回で24万円の病院代の場合21万6000円支払われる。
3. アニコムのペット保険売上高(正味収入保険料)は、2005年43億9000万円から2009年89億8000万円に急成長している。
4. 英国のペット保険市場規模は、日本の7.5倍である。英国(人口6000万人)の犬・猫ペット数1470万ペットで、日本の2234ペットより少ないが、ペット保険加入率は遥かに高く、市場規模は750億円で日本は100億円である。(英国Datamonitor、日本・富士経済が出典)
SANARI PATENT所見
アニコムの競争企業が続出するのではないかという疑問については、アニコムのシ-ムレスネットワークというビジネスメソッドがそれに答えている、すなわち、アニコムは、契約者・ペットショップ代理店・動物病院をシームレスにネットワーク化しているので、顧客の利便性を高めると共に、参入障壁を構築した結果となっている。そしてアニコムのビジネスメソッドは、国民健康保険における保険金受領より便利で、対応動物病院の窓口で「どうぶつ保険証」を提示することにより、保険金受領と同一のサービスを受け得る。
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