2011年6月30日木曜日

内閣知財戦略本部コンテンツ強化調査会委員・角川歴彦氏

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内閣知財推進計画2011(2011-06閣議決定)の主要な柱であるコンテンツ強化政策は、角川歴彦(つぐひこ)氏ほかの委員による標記委員会で策定された。その内容は、「グローバルネットワーク時代の到来は、コンテンツ分野にも大きな変革をもたらし、ひいては経済社会の在り方を変えつつあり、スマホなど様々な機器の登場を契機としてグローバルネット上のコンテンツビジネスが急速に拡大し、様々なジャンルやメディアを超えたコンテンツの融合を促している」との認識のもとに、「日本がデジタルネットワーク社会の先端を切り拓く国となること」、「クールジャパンの人気を拡大させること」などを計画している。
一方、角川グル-プ会長として角川歴彦氏は、今次年度報告において次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. プラットフォーマーとして電子書籍マーケットで存在感を高めるという選択こそ、ネット時代に生きる角川グル-プが挑戦すべき次世代の事業領域である。
2. 角川は、2011-10にニコニコ動画のドワンゴと包括的業務提携を結び、BOOK☆WALKERでの連携を発表した。
3. BOOK☆WALKERは1010-12にアップルの正式承認を得てスタートした。ランキングも上位を保持し、2011-04にはAndroid版に進出した。
4. 2011-12には、電子書籍を中心にデジタルコンテンツを販売する独自のプラットフォームを、iPad、iPhoneで開始した。
5. 2011—1に、角川書店と角川映画の合併など、新デジタルメディア時代に対応するための企業統合を実施した。
6. 2011-02に、グリーと業務提携を発表した。
SANARI PATENT所見
角川歴彦会長は、今後の角川グル-プを「メガアプリ・パブリッシャー」と性格付けている。佐藤辰男社長は、2011-03期の売上高1401億円、前期比3%増、営業利益78億円、前期比5割増の成果を踏まえて、書店・映画製作のプロデュース力の相乗、出版を含む一気通貫のメディアミックス展開の活況を期しており、メガアプリ・パブリッシャーの具体的顕現を、全国民が目視できよう。
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2011年6月29日水曜日

2011-03期無配NECの「対処すべき課題」

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今次総会でのNEC遠藤信博社長挨拶は、「国内のIT投資の回復遅れや、海外の通信事業者の投資の遅れに加えて東日本大震災の日本経済への影響等により」、「NEC中期基本計画に基づく施策もタイムリーに効果を出せず、期初計画の業績を達成できなかったこと」、「連結売上高は前期比13.1%減少したこと」、「純損益は125億円の損失で、無配当となり、深くお詫びする」と述べている(SANARI PATENT要約)が、証券コードが次番の富士通の純利益551億円、1株当たり配当金10円と対比して、その事情差に関心が持たれる。
NECの主事業は、ITサービス、プラットフォーム、キャリアネットワーク、社会インフラ、パーソナルソリューションの5事業分野だが、「ITサービス事業についてはクラウドやアウトソーシングは堅調ながら、国内IT投資大型案件は減少」、「プラットフォーム事業についてはハードウエアは減少したがソフトウェアは堅調」、「キャリアネットワーク事業については無線通信機器やケーブルテレビ関連システムは増加したが為替変動やシステム契約手続の遅れ」、「社会インフラ事業については航空宇宙・防衛システムは減少したが交通・消防などは増加」、「パーソナルソリューション事業についてはケータイの販売不振ながら、日立モバイルコミュニケーションズとの事業統合や、海外ディスプレイ事業は好調」などを特記している。
今後対処すべき課題として挙げた「IT基盤や電子データ取込みセンサなどクラウドサービス利用のための多機能端末までのトータル提供」、「スマホ・タブレット対応の高速・大容量モバイル通信システムの提供」、「グローバル5極(北米・中南米・中華圏・APEC・EMEA(欧州・中東・アフリカ)の各地域を統括する会社を軸とする現地主導型事業運営)、「日産自動車との協業でリチウムイオン二次電池拡販」、「スマグリ開発」などを特記しており(SANARI PATENT要約)、いずれもわが国経済発展の中枢事業として計画の達成が希求される。
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2011年6月27日月曜日

住友電気工業の新型二次電池「溶融塩電解液電池」開発に注目

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住友電気工業の今次総会報告には新型二次電池「溶融塩電解液電池」開発成功を特報している。流石に気配りが周到で、「二次電池とは、充電して繰返し利用できる電池です」、「溶解塩とは、酸とアルカリの中和反応などによりできる塩(えん)が液体となったものです」と解説している。この開発の意義を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 住友電気工業は、不燃性や不揮発性等の特長をもつ溶融塩のみを電解液に使用した新型二次電池「溶融塩電解液電池」を開発した。溶解塩は、塩を溶融状態に保つために高温が必要であり、これまで、100℃未満に融点をもつものは実現していなかった。住友電気工業は、京大と共同で57℃という低融点の溶融塩を開発すると共に、長年培った二次電池システム化技術を用いて、高エネルギー密度および不燃性について特長をもつ二次電池を開発した。
2. エネルギー密度については、290Wh/Lという高エネルギー密度を実現している。エネルギー密度とは、電池の体積1L当たり充電可能電力量である。
3. 不燃性については、不燃性材料のみで構成し、地震などの事故衝撃による外部空気の混入に対しても発火しない。
4. 防火・防爆装置が不要で、電池間を詰めて配置可能であり、組電池を小型化できる。同一電力量において、体積はリチウムイオン電池の半分、ナトリウム硫黄電池の4分の1である。(SANARI PATENT考察: 住友電気工業の売上高構成において自動車関連が46%を占めるが、今後電気自動車の開発競争が全世界で激化する趨勢において、電池の小型化は決定的に重要である)。
住友電気工業の2011-03期業績は、売上高2兆0338億2700万円で前期比8%増、営業利益は1038億1000万円で倍増、経常利益は1290億9900万円で89.3%増、純利益は706億0800万円で2.46倍と好調だが、スマグリ(次世代電力網)、超高速光伝送技術など研究開発を新成長分野に傾斜し、海外展開(中国江蘇省に切削工具の量産拠点設立)(住友電気工業の海外比率・現44%)や、新処理法によるタングステンリサイクルプラントの稼働開始による超硬工具の国内リサイクル体制確立によって、「2012年度目標の売上高3兆円、営業利益2100億円の達成に向けグル-プ一丸となって邁進する」と松本正義社長は挨拶しているが、括弧内の数値はかなり目標的と思われる。
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2011年6月26日日曜日

NTTグル-プは重要機能の地域分散・多ルート化・幅輳対策を推進

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今次NTT連結報告は、売上高(営業収益)10兆3050億円で前期比1.2%増、営業利益1兆2149億円で8.7%増を示しているが、東日本大地震による被害損失の今期計上額は300億円で、2012-03期に600億円(設備投資300億円、損失300億円)の計上を予定している。
NTT連結は、子会社756社・持分法適用会社102社を含み、特にドコモの売上高4兆2243億円を始め、NTT東日本の1兆9571億円ほか1兆円超の数社を含む。売上高(営業収益)の増加要因としては、「フレッツ光」契約者の増加・ドコモのパケットARPU上昇(SANARI PATENT注:Average revenue Per Userは、iPhoneゲームなどで大幅上昇と見られる)・M and Aによるシステムインテグレーション収入の増加を挙げている。
今年初来の動向として注目されるのは、「日米間の国際IPバックボーンを400Gbpsに増速」、「米国のITサービス企業Keane International, Inc.の完全子会社化」、「スマホ向け電子書籍ストア2Dfacto」の開設」、「セブンイレブンなどと提携して集合住宅における在宅高齢者向けサービスのプロジェクト開始」、「イオンやシャープと連携してタブレット端末活用のオンラインショッピングプロジェクト開始」、「クラウド型サービスでモバイルセキュアデスクトップの提供開始」、「グローバルレベルのSAPビジネス(SANARI PATENT注:包括的ソリューションサービスの意味と解する)推進」などである。
本年度2012-03期の取組としては、「法人・公共向けにデータセンタやアプリケーションのサービス・オリューション充実」、「消費者向け移動通信の新規格LTEの利用」、「Dimension Data社やKeane社の強み融合によるグローバル事業展開」を強調している。
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2011年6月24日金曜日

わが国システムインテグレータ最大手・NTTデータの方向性

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NTTデータの今次総会(2011-06-21)報告は、山下 徹社長の「グローバルトップ5に向けて一気に加速」と題する挨拶で始まっているが、その内容(SANARI PATENT要約)は、
1. NTTデータの2011-03期業績は、連結子会社の拡大により、売上高は1兆1619億円に伸びた。
2. NTTデータは2013-03の海外売上高3000億円を目指し(2011-03期実績は1000億円)、米国Keane社およびIntelligroup社を子会社化して、世界のIT市場の約4割を占める米国において、総合的なITサービスを提供する体制を整えた。
3. 今後の課題は、急速に拡大するNTTデータグル-プのシナジーの最大化を追求することである。グル-プの力を結集して、グローバルトップ5に向けて一気に加速する。
「SI専業最大手」というのが会社四季報のNTTデータ代名詞だが、System Integratorという用語はNTTデータの今次報告に現れない。しかし上記3の「総合的ITサービス業者」とSIがイコールと解したのでは範囲が広汎に過ぎて、「グローバルトップ5」の具体名(今次報告に記載されていないが)も直ぐには思い浮かばない。
実は2011-03に、「システムインテグレーション登録制度の廃止」という行政措置があって、僅か1年9カ月前に創設されたこの制度が廃止されているのだが、創設に際して経済産業省は「システムインテグレーション」の内容をどう解していたのか顧みるべきである。同省商務情報政策局の解説(2009-09)を要約すれば、
(1) システムインテグレーションサービスは、情報システムの企画から構築・運用までに必要なサービスを一括して提供するものであり、21世紀においてわが国産業が国際競争力を発揮し、経済成長を実現する基盤となる。
(2) システムインテグレーションとは、情報化についてのノウハウを持たない企業等であっても安心して投資できるための前提となるものである。
(3) 産業活動における情報化は、補助的または定型的な分野から、企業の経営戦略の意思決定に関する分野へと、その適応領域を拡大している。
(4) 社会分野では、技術進歩により情報機器が廉価で提供されるようになり、情報のパーソナル化が進行すると共に、情報化が日常生活に浸透している。
(5) また情報産業に対する需要構造は、ユ-ザ-ニーズの変化と共に、質的に大きく変化しつつある。すなわち、単一業務に対応した情報システムから同一企業内の複数業務に対応する総合的システム、複数企業間・異業種間を結ぶネットワークに対する要請などである。
以下、この経済産業省解説はかなり長文でもあり、NTTデータの抱負との関連は別途考察する。
SANARI PATENT所見
「システムインテグレータ」としての活動をテレビ東京WBSで大きく広告しているのはオービック(東証1部)だが、会社四季報は「独立系SI」と特色付けている。NTTデータはNTT系で、独立系ではないということになろう。
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2011年6月23日木曜日

三井金属の「自走する中核三事業部本部制」、6月29日発足

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三井金属は今次総会(2011-06-29)との同日付けで事業部門を改編し、「機能材料」「金属・資源」「電子材料」を「自走する中核三事業部本部」として特に注力すると共に、「素材関連」「三井金属アクト」を加えた5事業体制度とし(SANARI PATENT考察:「機能材料」~「素材関連」は事業本部と称するが「三井金属アクト」は事業本部と称さないので「5事業本部」とも言えない。外部の関係者に対しては不親切な名称整理である。「三井金属アクト」の役割を、自走との関連で明確に表示すべきである)、「事業体が自立自走していくために必要な執行権限を強化する」改革を上記総会同日付けで実施すると発表した。具体的には例えば、これまで以上に積極的に新しい商品を生み出す機能を持たせるため、各事業体に企画部、開発センターを設置し、マーケティング機能を強化する。
翻って三井金属の2011-03期業績は、売上高4464億円で前期比13.8%増、営業利益は302億円で8.2%増、経常利益は340億円で32.3%増、純利益は211億円で51.8%増と好調を示した。売上高については円高と液晶部材販価低落の減収要因を上回る増販・金属価格上昇の増収要因、営業利益については設備・リサイクル・分社機構の革新という増利要因を特記している。
品目別に銅箔については、スマホ・自動車・通信インフラの市場の本格回復、機能材料については、電子材料・二輪車向け触媒の需要拡大を特記している。
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2011年6月21日火曜日

製粉トップの日清製粉、次世代新製品・新ビジネスモデル志向

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今年の夏も日清製粉は、夏休み恒例の親子体験イベント「親子手づくり動物パン・サマースクール」を2011-07-22から2011-08-22にわたって銀座・渋谷・横浜・梅田・神戸等で開催すると発表した(2011-06-13)。「わくわく・こなブログ」で「から揚げ粉」の様々な使い方紹介(2011-06-03発表)など新ビジネスモデルと共に、次世代新製品創出を今次総会(2011-06-27)資料でも強調しているが、その技術基盤は、研究開発の特許発明化にも顕れている。日清製粉出願の特許庁公開発明を見ると、最近の事例としては、
(1) 発明の名称「ヌードル品種小麦の判定方法」(特許庁公開日2011-06-09)→ヌードル品種小麦と非ヌードル品種小麦が混合されたオーストラリア・スタンダード・ホワイト小麦中に含まれ、うどん等の麺類の製造に適するヌードル品種小麦の混合割合を簡便に判定する方法を提供する。
(2) 発明の名称「電子レンジ調理用即席中華麺類の製造方法」(特許庁公開日2011-06-09)→水を加えて電子レンジで調理し、喫食時に湯切りを必要としない電子レンジ調理用即席中華麺類であって、生麺を調理したかのような優れた食感および食味を有する電子レンジ調理用即席中華麺類およびその製造方法を提供する、など。
今次資料で日清製粉は、今後の経営戦略を次のように述べており(SANARI PATENT要約)、その成果が注目される。
1. 製粉事業においては、国内での圧倒的な競争優位を更に確固にするため、顧客ニーズを捉えた新製品の提案など、新市場を創造する。また、工場を集約してコストダウンする。
2. 加工食品事業においては、独自技術の新製品を積極投入し、業務用プレミックスなど成長分野を拡大する。
3. 傘下のオリエンタル酵母株式会社において、無限の可能性を秘めた「酵母」を事業の原点として技術立社する。
4. 傘下の日清ファルマ株式会社において、科学的根拠重視の健康食品メーカーとして新素材・新製品を開発する。
5. タイでプレミックス事業を行っているタイ日清テクノミック株式会社、および、カナダで製粉事業を行っているロジャーズ・フーズ株式会社において、更に事業拡大する。
6. アジアにおけるパン品質改良剤等の事業に業務提携および出資したフランスのユーロジャーム社との取組を推進する。
SANARI PATENT所見
NBCメッシュテック株式会社の業績について、今次資料には記述が不足している。
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2011年6月20日月曜日

会社四季報のソニー評と文芸春秋の「さよなら!僕らのソニー」

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ソニーの特色は会社四季報で「AV機器大手、海外でブランド力絶大、ゲーム・映画・金融等に多角化、生産は外部委託に移行中」と評されている。この評価と文春2011-05「さよなら!僕らのソニー」(立石泰則氏)(以下「さよなら僕らのソニー論」)とはどのように整合または不整合なのか。
「さよなら僕らのソニー論」は、「技術者は韓国に流出、経営は米国グル-プに乗っ取られた。戦後復興と物作りの象徴だった日本のソニーはもういない」と副題されている。この副題は次のことを言おうとしている。
1. 日本の企業社会では経営のトップは社長であって会長ではない。米国では経営のトップはCEOであって、会長や社長の肩書は意味がない。2005-03にソニーの出井伸之会長と安藤国威社長と社内取締役7名が辞任し、ストリンガー氏が、ソニーグル-プ全体の最高責任者であるCEOに就任した。
2. ストリンガー氏は、独自技術依存の製品開発を否定し、標準規格(Open Technology)による製品の互換性を消費者は期待するとして、製品の価値を製品そのものにではなく、インターネットなどネットワークに繋ぐことによってもたらされるサービスやコンテンツの価値こそが製品に付加価値を与えるとする。従ってストリンガーCEOは、標準化され使い易く手ごろな価格を目標とし、工場を持たないメーカー、例えばパソコンのデルや液晶テレビのビジオなどを理想としているかも知れず、現にソニーは、製品の製造を外部のメーカーに委託する比率を50%まで高めると発表している。自社製造ではコストが高いから外部に任せるというなら、全製品を外部委託するのが合理的だから、これは「脱メーカー宣言」に等しい。
3. 出井氏は、ソニーの本業はエレクトロニクス事業で、エンタメやゲームなどはエレキを強化するものと位置づけていた。ストリンガーCEOは、コンテンツやネットワークビジネスなど広義のエンタメ事業を中心とし、エレキはエンタをエンハンスするものと位置付けると解する。
SANARI PATENT所見
日産がゴーン社長に経営を委ねても、日本の日産であり、ソニーの製造技術者多数がソニーを離れてサムスンなどの韓国・中国企業に吸収されているにしても、それらの行先外国企業から日本のソニーなど日本の市場がハード製品を調達し、ソニーのエンタメを購入するならば、ソニーの旧技術者は海外在籍で日本のGNP/GDPに寄与していると考える。会社四季報の評価は、大局的に適切である。一方、「僕らのqq」への郷愁も捨て難い。
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2011年6月18日土曜日

国際競争力決定の要衝、大容量蓄電池を三菱重工

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エネルギーの需給構造最適化がグローバルな課題となった現在、蓄電池能力の開発は産業の国際競争力を左右する決定的な要素の一つである。この意味で三菱重工 が「国内初リチウムイオン二次電池搭載のコンテナ型大容量システムを開発、出力1000kWで移動が容易、長崎造船所で電力安定化実証試験を開始」と発表したこと(2011-06-16)が注目される。その内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 三菱重工は、リチウムイオン二次電池を搭載した国内初のコンテナ型大容量蓄電システム(Energy Storage System)を開発した。最大出力は1000kWで、移動が容易、非常用など幅広い用途に対応する。実証機を長崎造船所に設置し、商品化に向けた電力安定化実証試験を2011-07に開始する。
2. このコンテナ型メガワット級大型蓄電システムは、三菱重工のリチウムイオン二次電池を2000箇以上収めた40フィートコンテナと、電力の貯蔵と取り出しのため交直流変換機能を営むパワーコンディショナーを搭載した20フィートコンテナとで構成する。それぞれをトレーラーで目的地まで運ぶ。蓄電容量は408kWhである。
3. この設備により、一般家庭100世帯が3~8時間程度使える電力を貯蔵することができる。コンテナ増設により、出力を数万kWまで拡張できる。
4. 実証機は設置を完了し、工場内の電力負荷平準化試験に向け調整中である。試験の内容は、風力発電や太陽光発電などの変動が激しい発電量を平準化する短周期調整、数時間レベルの電力変動を平準化する中・長周期調整、送配電線の敷設が困難な地域で、風力や太陽光による電力を蓄えて安定供給するマイクログリッド対応などを想定して行う。
5. 大型蓄電システムの研究開発は、発電量が変動する再生可能エネルギー利用割合の大きい国域で進んでいるが、特に電力密度が高いリチウムイオン二次電池を使ったシステムは、次世代における期待が大きい。
SANARI PATENT所見
今次原発事故後、自家用の発電機や蓄電池の需要が急増しているが、各能力と電力使用条件の整合を充分に見極めずに購入しているため、多くの不具合を発生している模様である。新たな電力需給体制に即応する発電・蓄電の基礎知識から、急遽涵養する必要がある。
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2011年6月17日金曜日

日本触媒は電子情報材料を収益の柱に、新エネを次世代コア事業に

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円高・原油価格上昇・海外石油化学大プラント始動の諸環境にもかかわらず、増収増益決算をもって国際競争力の優位を示している日本触媒は、今年に入ってからの特許庁公開発明数(2011-01-01~2011-06-16)も148件に及び、研究開発の方向性を示している。例えば、
1. 発明の名称「非水二次電池用水系電極組成物用バインダー」(特許庁公開日2011-06-16)→水系での使用が難しいといわれるリチウム塩を活物質として含みながら、非水二次電池用の正極としての性能を充分に発揮する正極を形成する水系の正極組成物を実現し、また、負極組成物にも好適に用いることができる水系電極組成物用バインダーを提供する。
2. 発明の名称「位相差フィルム」(特許庁公開日2011-06-16)→低分子化合物から成る位相差向上剤と、主鎖に環構造を有するアクリル樹脂とを含む樹脂組成物から成る位相差フィルムであって、大きな位相差を実現できる位相差フィルムを提供する。
日本触媒の2011-03期売上高2883億4500万円(前期比18%増)の構成は、基礎化学品43.4%、機能性化学品49.1%、環境・触媒7.5%だが、高吸水性樹脂については、「円高の影響等により販売価格が低下したものの、需要が堅調に推移するなかで、生産能力を増強したことにより、販売数量を伸ばし、増収となりました」と今次報告に特筆している。(SANARI PATENT考察: 会社四季報には「紙おむつ向け高吸水性樹脂は姫路増設が通年寄与」「インドネシアの増設3万トンを9万トンにし、現47万トン体制を2015年に65万トンに増強すべく、アジアでの新立地模索」と特記されているが、中国・インド。アセアンなど30億人の人口の幼児・高齢者に、日本「おむつ」の快適性は極めて好評のようである。)
アクリル酸とアクリル酸エステルは、需要が堅調に推移し、大幅増販している。日本触媒はアクリル酸で世界3位(会社四季報)。
自動車触媒・プロセス触媒・燃料電池材料は大幅拡販、大幅増収している。
SANARI PATENT所見
日本触媒は新規事業として電子情報材料分野の光学材料用アクリル樹脂を中心とし、新エネルギー分野では燃料電池材料を中心として設備増強・拡販を進めるが、いずれも時流に適合し国際競争力も具備する有力分野と考える。
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2011年6月14日火曜日

関西電力今日の株価修正高は、原子力損害賠償支援機構法案関連か

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東電株価が今日(2011-06-14:1448)は前日比50円高の249円で25.13%高となっているが、日経が紹介した見方では、今日、原子力損害賠償支援機構法案が閣議決定され、当面の市場の懸念が薄らいだことによる。関西電力も1230円(2011-06-14:1454)で前日比73円高の1230円で6.31%高となっているのは、東電株価関連と見られている。
いずれにせよ関西電力業績への関心があらゆる分野と立場から高まるが、関西電力の総会(2011-06-29)資料を精読するに先立ち、昨日発刊の会社四季報を見ると、「波紋」と見出して「原発安全対策に700億円を追加。福井・美浜1号の後継機計画歯当面見合わせ。ピーク時電力確保や中部電力への融通要請で定期点検中の原発再稼働が焦点」とあり、原発依存度が東電よりも高いこと、燃料価格上昇、定期点検数増加などのコスト要因が「反落」懸念をもたらしている。
翻って今次総会資料では、2011-03期において、関西電力の総販売電力量は1510億8000万kwhと前期比6.7%増、従って売上高は2兆7697億円、前期比6.3%増、経常利益は2379億円で23.2%著増し、好調である。
今後の課題を関西電力はどう表明しているか。要約すれば、
1. 電気事業、特に原発に対する信頼が大きく揺らいだことは、わが国の電気事業者全体のとって非常事態と、重く受け止めている。具体的には、大地震・津波対策を自律的かつ徹底的に実施すべく、安全確保の多重性・多様性を拡充する。
2. 電気の安全・安定供給に万全を期したうえで、顧客と社会の役に立つ価値の創造のため、省エネ・省コストの高効率機器提案、スマートグリッド構築などを情報通信サービスと組合せてソリューションと共に提供する。
SANARI PATENT所見
10電力をめぐる諸般の動向は、電力使用技術のイノベーションとビジネスモデルの変革と直結し、間断ない注視を要する。
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2011年6月13日月曜日

Micro-Technologyスター精密の海外売上高比率79.6%の動向

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Lehman Shock後への対応も、東日本大震災の影響脱出も、業種業態による相違が多様だが、 「今、世界を駆け、次世代拓く、マイクロテクノロジー」のスター精密(東証1部)の2011-02業績報告は売上高も利益も前期比著増の活況を示したが、東日本大震災後の業績予想は2011-06末に発表予定としているので、海外売上高比率79.6%の好調企業・スター精密の場合はどのようか、頗る関心が持たれるところである。
スター精密・佐藤 肇社長の最近挨拶は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. スター精密は、1950年に設立以来、小型精密加工・組立技術をコアとし、「最小の材料で最大の効果を挙げる事業」を目指し(SANARI PATENT考察: 日本企業が国際競争力を発揮し得る最適分野)、高付加価値製品を創出してきた。小型精密部品の加工に始まり、スイス型自動旋盤、小型音響部品など時代のニーズに即応して活動領域を拡大し、その各分野で確かな存在感を示すと共に、早期から生産・販売をグローバルに展開した。
2. 特機事業では、伝統の精密加工技術と先端エレクトロニクスの融合で、独自のメカトロニクス技術を確立した。小型プリンタ、リライトカードリーダ・ライタなど。(SANARI PATENT考察:スター精密の小型プリンタはスーパーマーケットやレストランで使用されるPOS用プリンタとして広く使われ、消費者にも身近な製品である。海外では宝くじ発券用プリンタとして使用されるなど、意外に広汎な用途にまで拡散している。リライトカードリーダ・ライタも、スーパーなどの会員カードや診察券カードの美麗印字や書換え機能が充実し、身近な存在である。)
3. コンポーネント事業では、「音」の探求から生まれた超小型・薄型、高音質の技術を背景として、委託先ブランド受託生産を含めて、グローバルに供給を拡大している。(SANARI PATENT考察: ケータイのレシーバーやマイクロフォンに使用されているから、極めて身近である。)
4. スター精密のマシンは、「ユ-ザ-が、ユ-ザ-のために作るマシン」の考えのもとに生みだされている。そのグローバル展開は1962年の英国向け自動旋盤の輸出に始まり、新世代最適制御技術として独自のスターモーションコントロールシステムを開発し、グローバルに応需している。
SANARI PATENT所見
スター精密の売上高構成比は、2011-02期において日本21.4%、欧州27.9%、米州23.8%、アジア26.9%と報告されているが、東日本大震災の影響を含む業績動向については2011-06末に発表するとしており、注目される。
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2011年6月12日日曜日

リアル社会のセキュリティ、綜合警備保障のイノベーション

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ネット社会のセキュリティがIT技術の攻防のもとに戦略展開しているのと同様、リアル社会のセキュリティも総合警備技術のイノベーションのもとに展開されている模様が、総合警備保障((東証1部)の総会(2011-06-24)資料にも現れている。先ず「警備保障」の内容が現在はどのようか、認識しておかなければならないが、総合警備保障は次のように事業内容を述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 機械警備業務→ 契約先に警報機器を設置し、通信回線により侵害情報をガードセンタで遠隔監視し、異常事態に対して待機警備員が出動する。
2. 常駐警備業務→ 契約先施設に警備員を配置する。イベントや要人の警備を含む。
3. 警備輸送業務→ 契約先の指定場所に現金等を輸送する。流通業の売上金回収や釣銭配金、金融機関のATM総合管理を含む。
4. その他業務→ 設備管理、環境衛生管理、清掃管理、消防設備点検等。
総合警備保障の2011-03期業績は増収増益だが、その状況を見ると、リアル・ネット両社会にわたるセキュリティのイノベーション進捗が今後も期待される。例えば、
(1) 高齢者向けホームセキュリティ機能を集約したシルバーパックの発売
(2) ガードセンタの運用統合や適正定数管理によるコスト低減
(3) モバイル端末を利用する警備隊員指令システムの更新
(4) 入金機オンラインシステムの販促
(5) エネルギー使用状況を報告するのための「エコミエール」の発売
SANARI PATENT所見
リアル・ネットの両セキュリティ技術が融合して機能すべきイノベーション分野である。
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2011年6月10日金曜日

「東京スカイツリー」「東京ソラマチ」は東武鉄道グル-プの商標

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先端技術の結晶「東京スカイツリー」を建設し所有する東武タワースカイツリー株式会社は東武鉄道の子会社(直接77.59%)であり、「東京スカイツリー」「東京スカイツリータウン」「東京イーストタワー」「東京ソラマチ」「ソラカラちゃん」は東武鉄道鉄道株式会社ないし東武タワースカイツリー株式会社の登録商標であることは、未だそれほど周知ではないが、東武鉄道の今次株主総会(2011-06-29)資料には、東京スカイツリーの間近な完工を控えて、意欲的な営業活動が様々に予告されている。例えば、「来年春の東京スカイツリー開業を見据え、玄関駅となる業平橋駅を「とうきょうスカイツリー駅」に改称することを発表し、駅舎のリニューアル工事に着手したほか、駅長が制服姿でお客様をご案内する「駅長さんと歩く東京スカイツリー散歩」の開催、記念乗車券やオリジナルグッズの販売を行いました」と述べている。
東武鉄道の2011-03期業績については、「安全が全ての事業の根幹であるとの認識のもとに、東京スカイツリーを核とする業平橋押上開発プロジェクトを着実に推進したこと」、「運転士異常時列車停止装置の設置を全車両対象に進めていること」、「顧客の快適性向上と電力およびメンテナンスコスト削減の両立を図ったこと」、「バス事業は羽田空港国際線旅客ターミナルに乗り入れを開始したこと」、「パソコンやケータイから利用できる運賃検索サービスを開始したこと」、「東武ホテルで東京スカイツリー眺望を目玉にした宿泊プランを設定すると共に、中国のホテル運営会社との連携を開始したこと」、「東武百貨店では東京スカイツリ公認ライセンス商品を先行販売したこと」などを挙げ、経常利益が258億円2600万円で前期比13.3%著増したことを述べている。
SANARI PATENT所見
東京スカイツリーは東日本大地震による被害もなく、安全性を将来に向けて実証する結果となったが、大地震後1週間目の2011-03-18には、自立式電波塔として世界最高の634mに到達した。根津嘉澄現社長は東武創業者初代根津嘉一郎氏の孫で、佐成重範弁理士と同様、初代根津嘉一郎氏が設立した武蔵高校の卒業生だが、634、すなわち、「むさし」には特別の感懐があろう。世界的知名度において、初代・二代目に勝る「三代目」の大業績である。
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2011年6月9日木曜日

フジクラ「電子部門の需要急変、極短サイクル新機種対応」

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フレキシブルプリント基板など電子部門の需要変動が、フジクラ定時株主総会(2011-06-29)資料では特に強調されている。すなわちフジクラの今次業績は、全体として売上高増ながら電子電装部門については次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
「電子分野では、主力のFPC(SANARI PATENT注:Flexible Printed Circuits: フレキシブルプリント基板)が売上・利益ともに大幅に減少した。激しい需要変動に生産が必ずしも応えきれなかったことや、品種構成の変化で売上高が減少し、主要な生産拠点が所在するタイ国の通貨高(対米ドル)などにより、採算も大幅に悪化した。」
FPS以外の製品については、
1. 情報通信部門
1-1 国内では自治体による地域情報化事業があり、光ファイバケーブルが売上高増加した。
1-2 北米ではネットワーク上のデータ保管場所となるデータセンタの設備投資増加により、データセンタ内の情報伝送機器の配線に使用する光部品の売上が増加した。
1-3 光融着接続機や光部品は、円高にもかかわらず大幅増益した。
2 電子電装備部門
2-1 コネクタは、設備投資の回復により産業機械向けが好調であり、ケータイ向けではスマホの需要拡大で大幅増収した。
2-2 自動車電装品では、中国向けが引続き好調、欧州市場も回復して増収した。欧州の生産拠点は、体質改善による収益力向上と新受注獲得によって大幅収益増した。
3 ケーブル機器関連部門
3-1 架空送電分野は、北米など海外市場で光ファイバ複合架空地線事業を中心に、安定収益を得た。
3-2 産業電線分野では、銅価格上昇と販売価格低迷で、売上高増加したが採算は悪化した。
フジクラは今後の計画を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 中国での需要地一貫生産体制を整備する。
(2) 内視鏡など医療向け光ファイバ応用製品を強化する。
(3) 金属加工やレーザマーカ用のファイバレーザ事業を育成する。
(4) FPCなどの電子部門と自動車用ワイヤハーネスなどの電装部門について、顧客や製品のライフサイクルが大きく異なることに即応して、それぞれ独立した経営単位と位置付け、機動的効率的なマネジメントを進める。
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2011年6月7日火曜日

韓国特許庁への出願数著増、登録件数100万超

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韓国の最も著名な特許事務所KIM,HONG and ASSOCIATESからNews Letterをお贈り頂いた。アジアの経済大国・韓国の知財戦略を支えてきたKIM特許事務所の解説は誠に貴重で、厚く御礼申し上げる。
「景気回復で2010年の韓国企業の特許出願は大きく増加」、更に「大企業、中小企業の特許出願が、それぞれ9.3%、14.0%増加」と副題して、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 世界不況で減少した特許出願が、2010年の景気回復と共に増勢、年間出願受付数は17万0600件で、2009年の16万3523件に比し4.3%増えた。特にサムスン電子の7179件、LG電子の5876件、現代自動車の2454件が目立つ。
2. 外国企業から韓国特許庁への出願は、クアルコム1389件、ソニー569件、東京エレクトロン459件などが上位で、出願者の国別では、日本の2万0020件、米国1万7533件、ドイツ4178件、フランス2271件などが上位である。
3. 国際特許出願の著増も注目すべきで、PCT(Patent Cooperation Treaty)による出願が9639件で、2009年の8026件に比し20.1%著増。
意匠出願数でも韓国特許庁の受付規模は世界3位を記録した。首位は中国特許庁、2位は欧州特許庁である。韓国企業のデザイン国際競争力も高くなっている。
一方、外国の特許庁審査官が韓国特許情報を検索する事例が増加している。英訳された韓国特許情報の検索件数は、2006年に3000件余だったが、2010年には約20万件に著増した。
SANARI PATENT所見
KIM HONG News Letterは、「韓国特許庁の審査処理期間は2009年の実績で15.4月、米国の25.8月より迅速であるから、同一出願を外国特許庁が審査するときに先ず、韓国の審査情報を参照することができる。これにより、韓国内で登録された特許は海外で、より迅速な審査が行われることと見込まれる」と述べているが、成長力豊かな韓国産業の意気込みが、このような観測にも横溢している。
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2011年6月6日月曜日

丸紅、水事業・不動産事業の海外展開

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6-19(承前C Site 2011-06-05)丸紅は水事業分野では、チリの大手フルサービス水事業会社アグアス・ヌエヴァ社、および、豪州大手産業用水処理エンジニアリング会社オスモフ社への参画を実現し、より多彩なポートフォリオを提供した。
6-20 プラント分野で丸紅は、アンゴラ向け織維工場リハビリ案件、中国向けパルプ製造プラント案件などを受注した。
6-21 交通プロジェクト分野で丸紅は、米国・豪州での鉄道貨車リース事業が順調に推移した(SANARI PATENT考察: 鉄道関連の海外進出において、車両リースは最も低リスクの態様である)。
6-21 丸紅の海外不動産開発事業では、中国上海市で「好世皇馬苑」の販売を開始し、順調に成約している(SANARI PATENT考察: 丸紅がスポンサーであるアーバン投資法人が日本コマーシャル投資法人と合併し、総合型の日本式不動産投資信託J-REATとしては業界第一位の資産規模となったことも、丸紅の不動産関連業務のノウハウと資産規模を強化したと考える)。
6-22 物流分野において丸紅は、中国・アセアンを重点として顧客基盤を強化した。
6-22 上記を総合して、丸紅の海外支店・現法の2011-03期売上高は1兆6346億円で前期比23.2%増、売上総利益は976億円で6.8%増、丸紅総売上高9兆0205億円に対する比率は18.1%となった。
SANARI PATENT所見
丸紅は、新興国を中心とする海外市場の成長を取り込むべく、中長期的見地から注力すべき市場として、中国・インド・アセアン・南米・北米の5地域を重点地域としているが、現時点の世界人口70億人の過半人口の、成長かつ国リスク低位の国域を発展の舞台とするものであり、いわゆる日本独自の総合商社機能の利点が発揮されれば、わが国の前途に明るい希望を復活させることとなろう。
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2011年6月5日日曜日

プラントや電力でも強みの丸紅、増収増益の世界経済環境

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紙パルプ・穀物取扱高では総合商社首位の丸紅は、株主総会(2011-06-21)資料で次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 2011-03期の世界経済は、一時的減速局面はあったが、全世界的な景気刺激策・金融緩和策が奏効し、総じて緩やかな回復が続いた。商品市況は、緩和的金融環境における投機資金流入もあって、上昇基調で推移した。
2. 米国経済は、年度半ばにかけては、景気刺激策や金融緩和策の一部の期限到来により一時減速したがその後、長期国債買入や減税延長で再び緩やかな回復基調になった。
3. 欧州経済は、担保付債券の購入など金融緩和策の浸透により、ドイツ等では堅調な成長が続く一方、ギリシャ等、緊縮財政下の諸国景気が低迷し、明暗が分かれた。
4. アジア経済は、おおむね内需の拡大が続き、全体として堅調な成長が続いたが、中国・インド等における景気刺激策の終了や金融緩和政策の段階的解除と共に、景気拡大のペースはやや鈍化した(SANARI PATENT考察: アジア経済を総括叙述することは、中国とインドの相違から考えても困難な作業だが、良くまとめた叙述である)。
5. 日本経済は、年度前半は、新興国を中心とする海外経済の回復による外需が下支えし、景気刺激策・金融緩和策の効果も加わってやや強めの回復を見せたが、年度後半は、海外経済回復ペースの鈍化や、一部景気刺激策の期限到来や大震災により、景気回復の動きが弱まった。
6. 丸紅の業績は、
6-1 売上高は、主にエネルギー・金属・海外支店・現法で増収し、902億0500万円、前期比13.3%増、営業利益1458億円で22.6%増となった。当期純利益は、営業利益の増益に加え、チリ銅事業、豪州石炭事業、鉄鋼製品事業の増益、および、前期計上した流通関連会社株式の評価損の反動を主因とした持分法による投資損益の改善があったことにより1365億円に達し43.3%著増した(SANARI PATENT注: 会計関係の記述に解説が望まれる)。
6-2 世界一の穀物輸入国・中国への大豆販売量を伸ばし、丸紅の供給量は同国大豆輸入量の約20%のシェアに達した。
6-3 ライフスタイルの分野で、中国・東南アジアにおける委託先ブランド製品生産体制の強化、および、インド・バングラディシュ等で新規生産拠点を開発したことにより、衣料・生活用品・フットウエアの国内向け取引が好調に推移した。
6-4 新興国向けを中心に、ゴム原料・タイヤ製品の取扱が増加した(SANARI PATENT考察: 天然ゴムの需給について、動向を注目すべきである)。
6-5 マレーシア最大手の段ボールメーカーに事業参画し、生産拠点を確保した。
(以下C Site 2011-06-05)(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2011年6月4日土曜日

インドネシア最大の石油化学プラント制御システム更新を横河電機

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工業計器首位の横河電機・定時株主総会(2011-06-24)の「当期業績」報告後も横河電機は、「インドネシア最大の石油化学プラント向け制御更新プロジェクトを受注」と発表(2011-05-26)するなど、海外比率・現56%の伸長に向けて活発である。上記受注に成功できた要因として横河電機は、「高い信頼性を有し、世界各地で実績を重ねているCENTUM VPとProSafe-RSのそれぞれの長所に加え、両システムの統合によるプラント運転の操作性向上」「ヨコガワ・インドネシアとアジア地域を統括するヨコガワ・エンジニアリング・アジア(本社シンガポール)が協力して行う高いプロジェクト遂行能力」「顧客に密着した保守・サービス体制」が評価されたとしている。
翻って2011-03期業績は、売上高3256億2000万円で前期比2.8%増、営業利益110億7900万円で4.2倍、経常利益85億9000万円で83億5100万円増と収益体質の強化が示されたが、このためには構造改革費用などの特別損失計上を要し、投資有価証券の評価損と相俟って、当期純損益は66億9200万円の損失(81億0600万円損失減)となっている。会社四季報の横河電機欄は「大ナタ」と見出して、「管理職130人に続き一般職も早期退職募集。半導体テスターを分社化、他社との合併・売却も。光通信は新規開発停止し撤退へ。脳磁計も事業化断念、人員半減」と、構造改革の様子を評価しているが、横河電機の今次報告も、「固定費の削減では当初目標を上回る削減を達成し、事業ポートフォリオの見直しでは、ほぼ全ての不採算事業において撤退・縮小の方針を決定した。2012年度は、制御事業を中心とする事業の構築を完遂する」と述べており、体質強化の効果を国内外に発揮することが期待される。
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2011年6月3日金曜日

NTTデータは、34国145都市に現2万4000人要員体制

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System Integration専業最大手NTTデータ定時株主総会(2011-06-21)の資料は景況と経営方向をどう示しているか(SANARI PATENT要約)。なおSystem Integratorは一般的に、顧客の業務内容を分析し、問題に合わせた情報システムの企画・構築・運用などを一括して行う企業と解されている。
1. 情報サービス産業においては、outsourcingやcloud serviceへの需要など、一部に回復の兆しが見られるものの、新規システム構築の抑制や保守・運営コストの削減など、全般的にはIT投資の抑制傾向が続いている。また、東日本大震災およびそれに起因する電力供給の問題等が、今後日本経済全体に大きな影響を及ぼし、IT投資が更に抑制されることが懸念される。
2. この状況下でNTTデータグル-プは、「質を伴う量の拡大」のため、「サービス提供能力の強化(Project Management手法の高度化やproactive testing専門組織の設置など)」「グル-プ事業拡大・強化(米国IT service企業・Kean International,Inc.およびIntelligroup, Inc. の経営権を取得)」、「環境志向経営の推進(Smart Comminity戦略)」に取組んでいる。
SANARI PATENT所見
国内産業動向が上記の模様だから、北米に続いてアジアでもM and Aなどを推進し、業務のグローバル拡大を進めることは必然的である。2011-04-22のNTTデータ取締役会において、イタリアのValue Team S.p.Aの発行済株式の100%譲受・子会社化を決議しているが、これを加えてNTTデータの海外要員が、34国145都市・2万4000人体制を確立したことが、顧客ニーズに対するグローバル対応能力強化として注目される。
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2011年6月2日木曜日

第一三共の今次事業報告におけるインド・ランバクシー(Rambaxy)

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製薬国内3位の第一三共・定時株主総会(2011-06-27)の通知だ届いたが、第一三共については会社四季報が「上期にインド子会社が後発医薬品の独占販売で荒稼ぎ」と特色づけるなど、ランバクシーの業績が注目されたところ、上記総会資料では次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. ランバクシーグル-プの売上高は、米国における抗ウイルス剤パラクロビルの売上などが寄与し、1719億円(前期比20.1%増)となった。
2. 2010-08、ランバクシーは医薬品業界における豊富な経験・見識を有するアルン・サウニー氏を社長に据え、新たな経営体制をスタートさせた。第一三共は、インドの上場企業としてのランバクシーの立場を尊重しつつ、ランバクシーの更なる成長は勿論、第一三共グル-プ一体としての意思決定および業務執行を一層迅速にする。
3. 第一三共グル-プとランバクシー(SANARI PATENT注: 第一三共の報告において、セグメントは、「第一三共グル-プ」と「ランバクシーグル-プ」の2分されている)との協業面においては、インド・ルーマニア・南アフリカ・シンガポール等、これまで第一三共のプレゼンスが必ずしも高くなく、今後市場の急速な拡大が想定される国域において、第一三共オリジンのグローバル製品を、ランバクシーの強力な販売網を活用して販売している。
4. また、ランバクシーの新薬研究部門を第一三共の研究開発機能に取り込み、指揮系と実行系が一元化された効率的なグローバル研究開発体制を構築した。
SANARI PATENT所見
「第一三共とランバクシーの新薬研究開発体制の一元化について」、第一三共は既に2010-07-02発表で、「第一三共と連結子会社であるランバクシー・ラボラトリース(本社:インド共和国デリー市)(以下「ランバクシー」)は、このたび、第一三共グル-プのグローバル研究開発強化の一環として、ランバクシーの新薬研究部門(New Drug Discovery Research)
の第一三共インドへの譲渡を行った」と述べ、詳細記述している。
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