2010年3月31日水曜日

Cabinet Headquarters of Intellectual Property Discuss Cool-Japan by Contents

内閣知財戦略本部のコンテンツ強化戦略案
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 2010年度の知財推進計画は2010-06に閣議決定予定(SANARI PATENT考察: 本来、年度開始までに、すなわち、2010-03に決定すべきだと思うが、例年6月めで平気で遅れている)、その一章を占めるコンテンツ戦略の内容案(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) 「クールジャパン」として世界に高く評価されるなど、わが国コンテンツの潜在力は高い。しかし、これまで国内指向が強く、海外に繋ぐ人材もいなかったために、海外において十分な収入を挙げていない(SANARI PATENT考察: アニメやマンガ、さらには最近のカワイイ・ファッション製品・ユニクロヒートテックなどのグローバル展開ぶりを、ここでも指摘しておくべきである)。少子高齢化で国内市場が伸び悩む可能性も高い中、伸長するアジア市場等を取り込むための戦略が必要である(SANARI PATENT考察: 先ず、現にこれら地域に進出しているコンテンツ企業の戦略を叙述すべきである)。
(2) わが国は、個人・ユーザーレベルの質は決して低くないものの、ビジネスモデルに繋がっていない。一方、特に映像分野では、構造変化によって人材の育成基盤が弱体化しているなど、将来が懸念される状況にある。また、クリエーターに対する利益還元が十分でない等のために、優秀な人材がコンテンツ業界に入りにくいという構造的問題もある。
(3) デジタルネットワーク化が進展し、原作となるマンガ、音楽、映像などわが国のコンテンツは、米国等において次々と創造される新たなコンテンツプラットフォームの攻勢に晒されて後手に回りがちであり、国際競争力があるゲーム分野ですら必ずしも安泰でない。デジタル化・ネットワーク化は海外と並んで新たなビジネスを生み出す重要な出口であり、電波の利活用の促進も含めて積極的に戦略を進めるべきである。
(4) コンテンツを、デザイン、映像、音楽等の創造的活動による新たな価値の創造と捉えれば、約14兆円の産業たるにとどまらず、ファッション、工業製品、教育等の様々な分野に波及するものであると共に、わが国の「国の在り方」をも、海外に分かり易く発信するものである。
SANARI PATENT所見
上記(4)は、コンテンツのSoft Power性、また、米国Hillary R.Clinton国務長官のSmart Power性と同趣旨と解する。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月30日火曜日

Buying Price of Solar Power Determined by METI 

2010年度の太陽光発電電力量買取価格を経済産業省が決定
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 新エネ・代エネの研究開発は知財分野の重要な課題であるが、その経済効果について、知財対象の新エネ・代エネ価格は、研究開発のインセンティブとして極めて重要である。このことに関連して、経済産業省は「平成22年度の太陽光発電電力量買取制度に係る余剰電力の買取価格の決定について」発表した。その下記内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) 2009-11に開始した太陽光発電電力量の新たな買取制度について、2010年度に適用する余剰電力の買取価格を決定した。
(2) 2010-04から適用される買取価格は、2009年度と同価格で、具体的には、住宅用(10kW未満)は48円/kWh、非住宅用は24円/kWh(ダブル発電の場合、住宅用(10kW未満)は39円/kWh、非住宅用は20円/kWh)である。
(3) 2009-11から、太陽光発電電力量の新たな買取制度が開始され、買取価格のうち、自家消費せずに余った電気を、これまでの2倍程度の価格で、電力会社が買取ることになった。2009年度に契約申込した場合の価格が、上記(2)の価格である。
(4) 2011年度の買取価格は、2011-01に決定する見込みである。
SANARI PATENT所見
 太陽光発電電力量の増加は、化石燃料への依存を減少する意味で、極めて望ましいが、そのコストの負担が課題である。家庭に対する説明は、10年程度の期間における採算合理性を主としているが、太陽光発電電力量のコスト自体が、その研究開発の進捗により変動する。実際の耐用年数《災害破壊など》や、歴史的景観との調和なども残された課題である。地域的には、多積雪地域の太陽光発電効率の格差に加えて、そもそも温暖化を有利とする地域においては、グローバルな利益を実現するための利他協力という観点が強調されよう。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月29日月曜日

Indication of High Function Chemical Textile should be Established 

日本繊維業界の強み、高性能・高機能繊維の特性表示
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(8) (承前2010-03-28記事) 新市場の創出、用途開発への取組状況は、現在、高性能・高機能繊維についてメーカーがユーザー企業に対し個別にコンタクトしたり、逆にユーザー企業が所要の素材を個別に探すなど、個別企業が行っている。
(9) 一方、北陸地域では、産地繊維産業活性化のため、全国初の広域連携型クラスターとなる「北陸3県繊維産業クラスター」を2009-04に創設し、人材育成分野、研究開発、販路開拓の3分野において、3県連携のスケールメリットを活かした取組を実施している。
(10) 繊維の非衣料用途は、自動車・航空機などの運輸、土木、建築、環境保全、医療、農林水産、電子・情報など多種多様である。繊維メーカーが市場を創出するには、このような多種多様な用途の個別のニーズをタイムリーに把握し、適切な情報を得ることが必要だが、現状では十分に対応できていない。
(11) ユーザー企業にとって、高性能・高機能繊維の特性に関する情報は、繊維メーカーのHP等で提供されるが、これらのデータだけでは多様な個々のニーズに対応するには不十分あり、また、特性などの術語が難解である。繊維メーカー側も、ニーズを十分には把握せず、情報の共有が不十分である。
(12) 繊維の潜在的用途開拓に当たっては、繊維メーカーとユーザー企業とが高性能・高機能繊維の特性に関するシーズやニーズの情報えお共有することが重要である。
(13) 繊維の素材・製品の規格に関しては、その評価試験方法について、繊維メーカーが繊維の開発と共に適用しているものや、繊維の検査機関が適用しているものなど、複数存在する。また、大手ユーザー企業における性能表示では、企業の基準に委ねられ同様の機能・名称を有する繊維製品であっても、機能性の評価方法や性能表示が異なるなど、消費者が製品間の機能の違いを比較し難い場合がある。
(14) 高機能繊維・製品は、日本企業の強みとされる分野であり、また、厳しい環境の中でも市場が拡大している有望分野であり(SANARI PATENT考察:ユニクロのヒートテックが想起される)、高機能性をアッピールして国際競争力を強化すべきである。
(15) 一方、海外では、高機能繊維・製品を海外の技術で評価する国際標準化の取組が活発であり、これに対して、日本企業の強みを明確化し差別化する適切な評価と表示方法の確立が遅れている。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月28日日曜日

Market Exploitation of Chemical Textile Industry Discussed by METI 

繊維産業の新市場開拓についての諸視点
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(16) (承前2010-03-28記事) 日本繊維産業の高い技術力や、技術の多様性を活かした、世界有数の高性能・高機能繊維や、これらの繊維・技術の活用により如何に新市場を創出するかが重要な課題である。新たな市場に対して、各企業・各業界がその枠を超えて連携することが重要で、そのための仕組みづくりが必要である。また、同一業界内においても、協調と競争のバランスを取りながら、協調できる領域について企業間の連携を推進することが重要である。
(17) 目指すべき新たな市場は具体的には、「環境・エネルギー」や「健康・医療分野」、また、「安全・安心に係る分野」など、現在社会的な課題となっている分野について、繊維産業が積極的に貢献すべきである。
(18) 個別繊維毎の生産・供給量は、必ずしも大きな市場でないニッチ市場である場合も考えられるが、このような多品種・小ロットにも柔軟に対応する供給体制を整備すべきである。
(19) 不織布については、世界の全生産量は609万トンであるが、日本のシェは僅か6%である。しかし金額では11%を占め、他国に比し高付加価値のものを生産している。ところが、最近は中国が日本を追い抜いて存在感を増している。
(20)  不織布には、一次電池や二次電池のセパレータ、使い捨てオムツなどの広汎な用途があり、特にオムツは新興国の需要が著増すると期待される(SANARI PATENT考察: 高齢化が著しい中国始め、吸着・貯留性能が良好な日本製オムツが好評である)。
SANARI PATENT所見
 繊維産業を、どのような視点から政策対象とするのか、経済産業省において先ず整理すべきである。合成繊維、半合成繊維、天然繊維は、衣料用としても他産業素材用としても機能を異にするから、先ず分別して検討すべきである。
 完成形態で「布状」製品の素材としての繊維と、不織布も分別して検討すべきである。
 更に、炭素繊維のように先端技術と密着した素材については、「繊維・ファッション産業研究会」のもとに置くこと自体、疑問である。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル:

2010年3月27日土曜日

The Meaning of Bill Gates-Toshiba Collaboration for Next Generation Atomic Power Generation 

次世代原発共同開発に関する東芝とビル・ゲーツ氏の取組に期待
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 直嶋経済産業大臣の記者会見において、次のように質疑応答された(最終更新日2010-03-25)(SANARI PATENT要約)。
Q1  2010-03-23の一部報道で、東芝とビル・ゲーツ氏が次世代原発を共同開発するという話が出ていたが、日本のフロントメーカーがビル・ゲーツ氏と組むことについての意義と、期待されていることは何ですか。
A1 私もその話は今朝(2010-03-25)の報道を見て知ったぐらいで、本格的にどこまで進んでいる話なのかというのは、分らない。 従って、現段階で良否のコメントはなし辛い。
Q2 東芝の佐々木社長は、今朝これについては、認めているようだが。
A2 何か具体的なものが決まったわけではないというような言い方で、接触はあるようだ。個別の企業の接触だから、それ以上のことは聞いていないし、あまりどうこう言うのはよくないと思っている。ただ、原発そのものは、地球環境対策を含めて、これまで以上に重要視されつつあるから、途上国・新興国でも、これから原発を推進すると思う。その際に例えば、安全性の確保とかに、日本は相当のノウハウを蓄積しているので、我々が手伝う分には、そういう意味では心配は要らないと思うが、色々な国が色々なところから調達することになると、安全性をどう確保していくかという意味での国際的な何らかのものを検討する必要はあるかも知れない。今、国際原子力機関があるが、これは核不拡散を中心にした仕組みだから、原発の安全確保ということで言えば、あれでは十分でないと思うので、これからそういう議論も出てくるのだはないか。ただ、ビル・ゲーツ氏の話は直接関係はないが。
SANARI PATENT所見
 まさに「ビル・ゲーツ氏の話直接関係ない」応答をされたわけで、SANARI PATENTも東芝・ビル・ゲーツ氏の行動を見守るほかない。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月26日金曜日

METI Minister Emphasizes Encouraging Policy of Re-Produce Possible Energy

直嶋経済産業大臣が再生可能エネルギーの再生可能エネルギー政策を説明
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 エネルギーに関連する特許など知財の開発は、全世界企業の戦略的課題だが、その前提要件であるエネルギー政策の一環として、直嶋経済産業大臣が再生可能エネルギーの再生可能エネルギー政策について説明および応答した(最終更新日2010-03-25)。その内容(SANARI PATENT要約)を以下に考察する。
(1) 説明
再生可能エネルギーの導入拡大は、エネルギー源の多様化や、地球温暖化対策のみならず、環境産業関連の育成の観点から、わが国の成長分野における未来への投資としても極めて重要である。全量買取制度は、そのための主要な柱というべき政策である。他方、導入拡大のためには、国民各位に負担や、エネルギー安定供給への配慮など、バランスの取れた制度にすることが重要である。経済産業省のプロジェクトチームでまとめた意見をここで発表するが、今後2月程度、意見募集や全国各地での説明会を実施する。
(2) 質疑応答
Q1 選択肢が4つに絞られたが、大臣としてはどれが良いか。
A1 難しい質問だが、今回のオプションは、あくまでもニュートラルな立場で、代表的なケースを4つ示したものであって、これらのオプションに基いて。再生可能エネルギーの導入拡大や、国民負担の水準、電力の安定供給という、3つの要素のバランスに配慮しながら、制度の大枠を検討していく。(SANARI PATENT考察: この時点では、経済産業大臣としてニュートラルな立場ということを示した)。
Q2 系統安定対策を含むと、開始から10年で標準家庭の負担が月1000円程度に達するが、産業界の負担とのバランスはどうか。(SANARI PATENT考察: この項、質問趣旨の意訳。電力事業者も役員報酬の抑制など、負担を分かつべきである)。
A2 今回示した案には、基本的に、家庭と産業という形での負担の区分はしていない。全体的な費用を想定される使用量で割って、標準家庭の場合の毎月の負担と、国民一人当たりの年間の負担を数字として出したので、質問ような区別はしていない。(SANARI PATENT考察: 質問の趣旨は、もっぱら国民の負担において、再生可能エネルギー奨励政策を実施することの公平性を問うているのだから、この応答では応答になっていない)。
Q3 政策者度設計をいつまでに終えるか。
A3 夏ぐらいまでに大枠を決定する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月25日木曜日

Strategies for the Next Generation Auto Industry Studied By METI 

次世代自動車戦略研究会会合(本日、経済産業省)
 弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省の次世代自動車戦略研究会自動車全体ワーキンググル-プは今日(2010-03-25)、中間とりまとめの会合を開く。
 この研究会には、業界から自工会、自販連、石連、部工会、電池工業会、電事連の各団体と、ホンダ、マツダ、スズキ、三菱等のメーカーが参加し、全般論としては、次のように問題点を指摘している(SANARI PATENT要約)。
(1) 現時点では、日本は次世代自動車の開発について各国をリードしているが、(SANARI PATENT考察: 本当にそうであるのか、検証が必要。広義の安全技術についてトヨタ事件の反省も必要)、10年、20年後も日本がリードし続けるために、社会の在り方、自動車産業の在り方を議論すべきである。
(2) 社会産業構造の変化に関わる議論を具体的に進めることにより、生産から廃棄に至る全体像が導出される。それらを踏まえて必要な段取り、取組むべき方向性を明らかにしたい。
(3) 全てのガソリン車を完全に電気自動車に代替できるものではない。国や地方により、選ばれる自動車は異なる。そのため、ガソリン車はもちろん、全ての次世代自動車を並列で検討すべきである。(SANARI PATENT考察:「国や地方により」という点が重要であると共に、国の戦略としてはどのように選択されることが適切か、考究すべきである。)
(4) 電気自動車に偏っているが、従来車が基本であると認識している。(SANARI PATENT考察: この認識の当否を先ず、検討すべきである)。与える影響(電力供給、部品産業)を分析し、その上で従来車、次世代自動車への対応についてそれぞれ整理すべきである。(SANARI PATENT考察: かなり保守的な人達が揃ったかのようだが、自動車産業の構造自体が根本的に変革し、参加している人達の職域自体も解消する局面を想定すべきである。)
(5) 電気自動車だけでなく、燃料電池自動車も含めて検討すべきである。
(6) トラック・バスなどの重量車について、物流の在り方、バスの特性などを踏まえて議論すべきである。
(7) エネルギー源について、供給の安定性、コストを含む検討が必要である。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)自動車 電気自動車 燃料電池

2010年3月24日水曜日

Bill of Free High School Amended by the House of Representatives

 高校無償化法案は衆議院で修正可決
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 いわゆる高校無償化法案は2010-03-16に衆議院で修正の上、可決し、参議院に回付された。高校無償化という言葉がマスコミで独り歩きし、衆議院でも多くの議論を誘発したが、無償化という言葉は、法案には皆無で、法律名も、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」である。
 「授業料」は、例えば神奈川県教育委員会のサイトに、全日制の課程については11万8800円と示され、これが不徴収となる。授業料等(この「等」は、 入学検定料2200円、入学料5650円だが、「授業料等」のほか、生徒会費、PTA会費、教材費、修学旅行積立金などの費用が必要となります、と示しており、かつ、これら費用の種類、金額などは学校により異なりますので、詳しくは各学校にお問い合わせください、と同教育委員会は述べている。
 文部科学省の発表によれば、学習費総額は年間公立51万6186円、私立98万0851円だから、それぞれ39万7386円、96万8971円の負担が、今後も必要である。
 しかし、公立での負担は私立のそれの4割で、月額4万7632円も安いのだから、高校が義務教育化すれば、公立高校の増設、教育内容の革新・向上と共に、公立高校の、高額負担に見合う利点が求められることは当然である。
 横浜市教育委員会は、「横浜市立中高一貫校の設置に関する基本方針]を発表したが(2009-11)、公立高校の団体は、公立高校の在来の特徴を模するものとして、入学志願者の公立への移動を警戒している。
 専修学校、各種学校、ブラジル人学校など、多くの問題点が十分には解決されずに2010-04-01施行となるので、衆議院は可決(2010-03-16)に際して、「政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする」という修正(付則追加)を加えた。
SANARI PATENT所見
 上記末尾の「施行後3年経過後」が、「次回衆院総選挙後」と時点一致することを、どう考えるべきか、予断を許さない。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月23日火曜日

The House of Representatives Defines Various Problems of Free High School Scheme 

高校無償化の衆議院審議により顕示された諸問題
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
衆議院文部科学委員会参考人・三輪定宣千葉大学名誉教授の意見
1.無償化の対象
1-1 高校無償化対象の局限
無償化が、公立高校の授業料の不徴収、私立高校の授業料支給限度額以下に局限され、高額な家計負担教育費や私立高校の、限度額以上の授業料は対象外である。家計消費支出は、1988年から2008年まで、年間358万円から364万円(SANARI PATENT注:1.7%増)と、10年間ほとんど横ばいだが、教育費は上昇し続け、2008年度の家計負担教育費年額は、公立高校で51万6000円(SANARI PATENT注: 上記家計消費支出額の14.2%)、私立高校で98万1000円(同27.0%)に膨張している。
1-2 上記教育のうち、統計上の学校教育費、学校に支払う費用が公立で35万7000円、授業料11万4000円の3.1倍、私立では78万2000円で、授業料31万7000円の2.5倍に上る。公私ともに授業料が完全無償化しても、公立40万2000円、私立66万4000円の負担が残る。
1-3 子ども手当が、中学生以下に年額31万2000円、これと高校無償化との整合性・一貫性を図るべきである。
2 公私の格差
2-1 家計負担教育費の公私立格差は、総額で2倍、授業料で約3倍。従って、私立高校の授業料が無償化されても、約2倍の格差が残る。生徒数の3割、29.8%を占める私立高校は特別の学校ではなくて、生徒家庭の所得階層は多様であり、一部の私立高校を除き、学力などの都合で私立選択を余儀なくされている。(私立児童数の比率は、小学校1.1%、中学校7.2%)。
2-2 私立高校特有の問題としては、学校納付金の学校間格差があり、千葉県の例では、初年度学校納付金の最高と最低の倍率は1.6倍である。
2-3 また、自治体の財政力、高校政策、高校無償化への対応の差により、地域格差の広がりが懸念される。
SANARI PATENT所見
「高校無償化」という用語が、極めて曖昧で誤解を生み易いことに先ず注目すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください

ラベル:

2010年3月22日月曜日

Practical Education should be Subsidized by Free High School Policy 

高校無償化政策を専修学校・各種学校に適用すべきこと
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(6) (承前2010-03-21記事) 高等専修学校は、中学校卒業者を対象として、高校とは異なる柔軟な制度的特徴を活かし、職業や実際生活に役立つ教育を行う。中学校卒業の時点で自らの職業的方向性を見出し、積極的に職業教育を受けようとする生徒が多い(SANARI PATENT考察: 今後の日本産業振興のために、最も期待される生徒群である)。
(7) 高校は全て3年制だが、高等専修学校のうちには、一年課程あるいは二年課程、三年課程といった多様な学科がある(SANARI PATENT考察: まさに、理想的な学制である)。例えば、調理師を養成する学科では一年制、准看護師あるいは理容師、美容師を養成する学科については二年制の学科もある。このほか、経理系、服飾系、情報系については三年制の学科が非常に多い。この三年制の学科については、文部科学大臣の指定を受けた大学入学資格、これを付与される学科ということになっている。このような制度は1985年に定められ、その時点で、三年制の高等専修学校については、高校と同等の扱いを受けている。
(8) 2009年度では、高等専修学校全体で494校、生徒数3万8000人、うち大学入学資格を付与されている指定校は195校、生徒数2万1000人である。(SANARI PATENT考察: この指定校が、私立高校のライバルになる可能性があるが、一校当たり生徒数107人という規模は、私立高校の約500人と対比して、教育基盤・経営基盤の質的な相異を示唆していると考える。例えば、この生徒数は、一年制・二年制の併設コースのそれを含むのではないか)。
(9) 今回の就学支援金案については、私立高校と同様に措置されると聴き、非常に有難く思っている。現在、高等専修学校については国からの財政的支援が基本的にないからである。
(10) 専修学校高等課程の中には、一年制あるいは二年制の学科を開設している部分もあるが、これらについても、予算計上されていると聴いており、是非そのように措置されたい。
SANARI PATENT所見
 高校無償化に要する国の予算は3933億円であって、「子育て給付金」の2兆円(初年度)ないし4兆円(平年度)に比べて、財源問題は持続容易であり、しかも対象を拡大して、政権への信頼感を高める余地に富む。都道府県の付加政策が、域内立地や居住を吸引する手だてともなろう。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月21日日曜日

Various Kinds of Professional School should be also Subsidized 

全国専修学校各種学校総連合会・菊田事務局長の意見(衆議院)
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 高校無償化法案の審議によって、専修学校や各種学校の現状が明確にされたことは、一つの収穫とも言うべきである。特に「各種学校」は、文部科学省の学校統計の対象外で、社会的需要が多岐のわたるのに関わらず、全体像が不明確であった。なお、各種学校の所管官庁は、特段の定めがない限り、現在は、経済産業省であるとSANARI PATENTは解している。
 今月末(2010-03)の大学卒業生の就職内定率が8割という数字が普及しているが、この8割というのは、就職希望者数の8割である。卒業者の約9割が就職希望者であるが、不希望者の中身にも注目すべきであり、女性の婚活専念者のほか、専修学校や各種学校に入って実技を身につけてから改めて就活という大学卒も増加している模様である。大学院進学は、博士浪人という言葉が流行して、むしろ実技に向かっている。要するに、工学部を出ても特許出願書を書くことすらできないような、非実用的大学教育の結果である。
 さて今次課題は、専修学校や各種学校に対する高校無償化政策の適用範囲である。衆議院文部科学委員会(2010-03-09)において、全国専修学校各種学校総連合会の菊田 薫事務局長は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 正式には「専修学校高等課程」の問題であるが、「高等専修学校」と通称されている、「高校と並びの専修学校」が、今次課題の対象である。もともと専修学校の制度は、1976年に、それまでの各種学校の制度をもとにして、各種学校を振興するために創られた、職業教育を中心とする教育制度である。その中には、入学資格の区分によって、専門課程、高等課程、一般課程という三つの課程がある。
(2) 専門課程は、専門学校と通称され、高校卒業程度以上の入学資格を要する(SANARI PATENT考察: 一般高校卒業生も、大学に進学するより、専門学校に進学する方が就職率は高いようである)。
(3) 高等課程は、高等専修学校と通称され、中学校卒業程度以上を入学資格とする。
(4) 一般課程については、入学資格に関する限定がない。
(5) 上記の3つの課程で専修学校の制度が成り立っているが、本日(3010-03-09)国会でお話するのは、高等専修学校、すなわち、専修学校の高等課程についてである。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月20日土曜日

For Free High School Education Includes Various Problems 

知財教育基盤としての高校の無償化に関する諸問題
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 高校無償化と略称されているが、正式には「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」である。
 日本私立中学高校連合会の吉田 晋会長は、衆議院文部科学委員会(2010-03-09)で次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 今回の政策の中で、私立高校の生徒の取扱いについては、若干の違和感を抱かざるを得ない。
(2) 確かに、公立私立の高校生全員に対して一律年額11万8800円を支給されることは、形式的には平等だが、私立高校生は、それだけでは無償化は実現せず、有償部分が多く残る。財政状態が厳しいので、実現に時間を要するかも知れないが、私立高校生も含めた実質的な平等の実現に向けて、政策的な道筋が示されるべきである。
(3) 現在、この高校無償化、就学支援金政策については、2010-04からの実施に向けて、様々な実際の事務手続が検討されている。
(4) その問題点として先ず、公立高校については、無償化に要する国費というものが学校設置者に交付されて手続完了となる。すなわち、機関補助であるが、私立高校については、形式的には都道府県が責任主体となって実施することとなっている。そしてその先を見ると、実際の事務手続の多くの部分が私立高校の現場に委ねられる。この関係の事務負担が学校現場にとって過重とならないよう、また根拠のない新たな支出が生ずることがないよう、手続を簡素化されたい。
(5) つまり、私立高校の場合には、生徒本人が申請書を記入し、提出し、都道府県と対応する。特に年収250万円、350万円以下の家庭については、色々の手続があり、それらの意味で、私立学校にとっては、今、非常に大きな課題になっている。
SANARI PATENT所見
 日本私立中学高校連合会の吉田会長は、「何よろも、私立高校生は、なぜ就学支援金を受けるに当たって、個別に署名入りの申請書を提出しなければならないのか、私どもには判然としない」と述べているが、吉田会長のみならず、生徒各自も判然と理解できるよう、配慮すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)  

ラベル:

2010年3月19日金曜日

NISSAN to Build LEAF Electric Vehicle and its Battery in SUNDERLAND 

日産自動車は電気自動車の蓄電池を含めて海外生産を急速展開の活況
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 日産自動車は、「ルノー・日産アライアンス、インド・チェンナイ新工場の竣工式挙行」の発表(2010-03-17)に引続き、「日産自動車、英国サンダーランド工場で電気自動車・日産リーフを生産」と発表(2010-03-18)したが、SANARI PATENTは、英国における生産が、電気自動車の心臓にあたる蓄電池を含むことに注目し、日本基幹産業の活発な海外展開を、国内雇用を含む日本経済全体像の一環としてグローバルな産業構造を計画すべきことを、この際、提言する。
 今次(3010-03-18)日産自動車の発表(SANARI PATENT要約)は、「英国が日産の3番目の電気自動車生産拠点に」と副題して、次のように述べている。
(1) 日産自動車は、2010-03-18、日産リーフの生産を英国サンダーランド工場で行うと発表した。サンダーランド工場での生産は、2013年初頭に、年間約5万台の規模で立ち上がる。2010-04には、サンダーランド工場内に昨年(2009)発表した高性能リチウムイオンバッテリーの生産工場を着工する。生産開始は2012年で、日産およびアライアンスパートナーであるルノー向けのバッテリーを生産する。
(2) サンダーランド工場における日産リーフおよびバッテリーの生産には、計4億6820万ユーロ(約581億円}以上を投資する。また、日産自動車および英国内のサプライチェインにおいて、約2250名の雇用が緯持されることが見込まれる。投資については、英国政府から2310万ユーロ(28億円)の事業投資援助を受け、また、欧州投資銀行から最大2億2000万ユーロ(273億円)の融資枠を確保している。
SANARI PATENT所見
 日産自動車・電気自動車事業の蓄電池を含むグローバルな生産展開を慶祝すると共に、日本政府が、国内雇用の確保にも繋がる施策を、コスト政策を重点として推進するよう、期待する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月18日木曜日

Beijing Based China PR Company Establishes Joint PR Co. with Dentsu 

電通が中国最大手のPR会社・北京藍色光標品牌管理顧問有限公司と合弁
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 商品の製造・流通について、中国との世界交流は著増しつつあるが、情報産業については「Googleの中国問題」など、難渋のニュースも見られるところ、電通の「中国最大手のPR会社と合弁でPR会社・電通藍標を北京に設立」の発表(2010-03-17)は、日中連携の基盤を一層強化する拠点として、その発展が切望される。
 先ず発表内容(SANARI PATENT要約)を見ると、
(1) 電通および電通パブリックリレーションズは、中国における電通グル-プのPR事業領域の強化・拡大を目的として、中国23都市にネットワークを持つ中国最大手のPR会社・北京藍色光標品牌管理顧問有限公司と、中国でPR事業を手掛ける合弁会社・電通藍標を2010-05上旬に設立する。
(2) 最近、中国のPR市場は急進し、従来のコミュニケーション領域のサービスに加えて、販促領域、デジタル領域など、専門事業領域のサービス力を強化している。今回、中国最大のネットワークを展開し、PR領域において卓越したノウハウとリソースを持つ中国最大手のPR会社の一つである北京藍色光標品牌管理顧問有限公司と、電通藍標を設立し、PR事業領域のサービス力も強化することにより、クライアント企業に、トータルなコミュニケーションサービスを提供する。
(3) 電通藍標への出資比率は、北京藍色光標品牌管理顧問有限公司51%、電通34%、電通PR15%で、北京藍色光標品牌管理顧問有限公司は、新会社電通藍標に対して、全国ネットワーク、メディアレレーションズ、ガバメントリレーションズ等のノウハウとリソース面で協力し、電通および電通PRは、PRプラニング、危機管理コンサルティング等のPRノウハウ等を提供することにより、トップレベルのPRサービスをクライアント企業に提供する。
SANARI PATENT所見
 知的財産に関する適切かつ日中双方に有利な実務的情報も提供されることが期待される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月17日水曜日

Public Service Corporations to be Re-examined by Administration Reform Program 

経済産業関係・独立行政法人・公益法人の見直しについて経済産業大臣発言
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省所管の独立行政法人・公益法人には、研究開発、知財創出に関連するものが多く、現政権の行財政合理化政策に基いて、「事業仕分け」がどのように発動されるか、関心を深めるべきである。
 その開始に先立って、直嶋経済産業大臣は、次のように対記者発言している(最終更新2010-03-15:(SANARI PATENT要約)。
「先ほどの閣議でも、行政刷新会議の報告があって、独立行政法人や公益法人の見直しについて改めて確認したが、以前から、独立行政法人や公益法人の見直し、また公務員制度について、私から仙谷大臣や枝野大臣に幾つかの提案をした。特に独立行政法人・公益法人の見直しについては、全体を一つのものとして、同じ切り口でやるのではなく、むしろ法人の機能、事業ごとの必要性や効率性を検証した上で、制度的な問題まで踏み込んで行ってもらいたい、と申し入れている。
 例えば天下りを始めとする公務員制度改革との関連性や、予算の効率的な執行、それから、国として行う必要がない事業の廃止・民営化・地方移管を検討し、一方、国が直接行うべきものについては、国の直接執行に切り替える。その場合に、公務員の定員の問題等もあるから、これらの問題も視野に入れて整理した上で取組んで欲しいと申し入れた。今般の方針は、代替その線に沿って行われると思う。」
SANARI PATENT所見
 直嶋経済産業大臣は、上記発言に続けて、公務員制度の在り方について、所見を述べているが、所管する経済産業省職員が、中小企業を含めて、中央官庁以外の職域においても、その貴重な知見を活用できる方策を熟考されていることが窺われ、感銘深い。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月16日火曜日

Difference between IT and EV Charger as to Global Standardization

電気通信の国際標準化と電気自動車急速充電器の国際標準化の相違
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 電気自動車のグローバルな普及が現実化するに伴って、産経の「EV急速充電器、全日本で東電方式を普及へ」(2010-03-15:1826)、日経の「急速充電器の規格統一、トヨタ・日産・東電などが協議会」(2010-03-15:2217)など、電気自動車(EV)の急速充電器規格統一の動きが具体化していることは、EVの国際競争力確保の見地からも極めて重要である。この際SANARI PATENTは、電気通信の国際標準化とEV急速充電器の国際標準化とは様相を異にすることを指摘し、欧米の動向への対処に誤りなきよう、注意を喚起したい。すなわち、電気通信はそれ自体がグローバルな流通サービスであるから、標準化は即国際標準化であるのに対して、EVは広域流通商品であり、急速充電器はアダプターの開発によりグローバルな適用可能性が大きいことである。
 しかし、このような特質があるにせよ、de fact standard的に日本の急速充電器規格がグローバル市場で適用されることが望ましいことは言うまでもない。この意味で先ず、昨日(2010-03-15)来の諸news内容を要約しておく。
(1) 東電とトヨタ自動車、日産自動車など大手自動車メーカー社を中心とする158社・団体が、EV急速充電器の規格統一協議会を発足させた(2010-03-15)。自動車、電力、流通、商社などの関連業種の企業が幅広く参加し、日本発規格の国際標準化を目指す。
(2) 東電が開発した技術規格を国内だけでなく、世界で普及させることを目指す。
(3) 一方、米国・欧州でも、同様の動きが活発化しており、国際標準化をめぐる主導争いが熾烈化する(SANARI PATENT考察: 電気通信の国際標準化においてへ、欧州共同体を母体とするETSIが国際標準化を主導した)。   
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年3月15日月曜日

Subsidy to Juridical Persons for Education Should be Rigidly Examined 

対公益法人事業仕分けに、学校法人も対象とすべきこと
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 内閣知財戦略本部が産学連携の知財開発を強調するなど、「学」の文字に安易な信頼を無差別に寄せるのが、わが国の風潮である。毎日Jp(2010-03-15)が、「東北文化学園大・補助金不正受給事件の住民訴訟において、仙台市民オンブズマンの請求を仙台高裁が全額認める判決を下した」旨を報じているが、これも、「学」を営利目的に用いる企業としての「学」に、公費を安易に支出している現状を示すものである。学校法人・東北文化学園大が、1997年、大学の設置認可申請時に、虚偽の財産目録により市の補助金8億1000万円を不正に受給した事件で、判決は市の「学」に対する粗雑な高額補助を指摘している。
 学校法人が少子化の現在、なお設立ないし存続していることについては、学校法人に対する高額補助が、その営利目的を支持し、役員報酬などを支えている現実の散在が見過ごされている。特に、学校法人に対する監督・補助権限が国と地方公共団体に分属しているため、今次事業仕分けの「対国」偏重から、「学」に対する見逃し(教育行政からの天下りを含めて)が多発の傾向にある。
 今次「高校無償化」についても、私立高校に対する補助を、都道府県が独自に上積みする動きが見られるが、実質的に義務教育化した高校課程の機会均等を確保するのが目的ならば、公立高校を拡充して、私立高校に入学することが「やむを得ない」事実?を解消すべきである。現実は、公立高校の教育内容が私立高校に劣るため、有名大学に入学するために私立高校を受験している場合が多い。「私立高校にも学費支援」が、学校法人役員報酬の増額などに寄与することがないよう、冷静に考え直すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年3月14日日曜日

Current Status of Tourist Industry 

観光立国へのビジネスメソッド
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 近畿日本ツーリスト(東証・大証1部)の事業報告(2009-01-01~12-31)が届いた。KNTの社名で通っているが、登記社名は近畿日本ツーリストである。業界2位で、「海外・国内の企画・営業力が強く、イベント手配など付加価値化を追求し、販売提携戦略を推進」というのが会社四季報の概観である。国内で不振の百貨店も、ワンストップで多様な商品を中国カードで購入できる百貨店の利点が中国観光客には便利で、2000万円所得層一億人と概算されるに至った中国からの観光客への売上高が1割という店も報道されている。工場が海外へと靡いて立ち去る日本にとって、訪日観光客の増大ぐらいは達成したいものである。
 さて近畿日本ツーリストの今次報告(SANARI PATENT要約)によれば、
(1) 2008年に実施した業界再編を土台として、各事業部門が専門性・独自性・効率性を徹底的に追求すると共に、販売。費用両面において構造改革に取組み、収益力の改善に努めたが、業績の全面的回復には至らなかった。
(2) イベント旅行では、トカラ列島皆既日食観測、祭りインハワイ、インフルで中止した修学旅行の再実施などが奏効した。
(3) 業界で初めて、「国連の友、Asia-Paxific」と提携した。
(4) 他業種との協力を進め、3400万人会員を擁するTポイントに加盟し、同業他社との差別化を図った。
(5) 環境・景気政策としてのエコポイント交換対象商品に、ツーリスト力県が採用された。
(6) 神田外語学院と、旅行業界初の、教育実習制度業務提携を行った。
(7) アジア地域におけるグローバル戦略の拠点強化のため、韓国に現地法人を設立した(2009-09)。
SANARI PATENT所見
 インターネット販売の強化は、店舗母体を有する近畿日本ツーリストにとって、経費と販域の両面から推進されよう。グローバル事業について、2010-02に中国・アジアセンターを新設した成果が期待される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月13日土曜日

Info-Service Software to be Studied by METI Meeting

経済産業省産業構造審議会情報経済分科会の情報サービス・ソフトウェア小委員会
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 ITソリューションは、多くの情報関係企業が掲げる営業項目であるが、その産業としての現状と競争力強化を主題として、経済産業省(担当:商務情報政策局情報処理振興課)が標記会合を2010-03019に開催する。前回(2010-02-04)までの検討状況を先ず概観する。
1. 情報サービス産業の現状は、ITによる企業等の生産性・信頼性向上の必要性が高まっているのに対して、技術構造の変化に対する対応が遅れ、取引の不透明性による問題が顕在化しつつある。
2. 特にソフトウェア産業については、「外国系ベンダーによる寡占化」、「圧倒的輸入超過、すなわち、輸入額が輸出額の30倍」」、「組込ソフトウェアの重要性の高まり」などが課題である。
3. 一方、変化の兆しとして、情報サービス産業において、「先導的なIT経済産業省英を行うユーザーの出現」、「Webをプラットフォームとした新たなビジネスモデルの出現」が見られる。
4. 特にソフトウェア産業については、「OSSを始めとするオープンイノベーションの出現」、「組込ソフトウェアの規模拡大とピラットフォーム化への動き」が見られる。
5. 従って、構造改革の方向性としては、「透明で価値創造型の産業構造と市場の創出」、「国際競争に打ち勝つイノベーションの促進」、「優秀な人材を吸引するメカニズムの構築」が必要である。
6. この必要に対応して、情報サービス産業の在るべき姿として、「価値に基く取引により、能力ある企業・人材が生み出され、評価され、発展する市場の形成と緯持」、「明確化された各種機能に基く役割分担が行われる産業構造の構築」が必要である。
7. 特にソフトウェア産業については、「多数のプレイヤーが、それぞれの強みを活かして、局面に応じた競争と協調により、持続的にイノベーションが生み出される産業構造」を構築すべきである。
SANARI PATENT所見
 SaaSとCloudの定義や関連も明確にされずに、各社各様の意義づけのもとに、顧客の囲いこみが行われている。従って、、上記「在り方」についての具体的取組について、C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog (2010-03-13)において考察する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年3月12日金曜日

Concerns for Renesas with Portfolio of Global Market-Leading Semiconductor Products

 日立次期社長発言で、ルネサステクノロジーの動向に関心高まる
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 ルネサステクノロジーは、日立製作所55%、三菱電機45%の出資比率(資本金1045億円)で2003-04-01に設立され、連結従業員数2万5000人を擁してマイコン、ロジック・アナログ等のシステム製品、ディスクリート半導体製品、SRAM等のメモリ製品の開発・設計・製造・販売、サービスの提供を事業内容とし、グル-プ会社数は国内19社、海外20社に達している。2009-04に就任した赤尾 泰社長は、「ルネサステクノロジーの半導体製品が様々な電子機器に搭載されることを通じて、豊かなユビキタスネットワーク社会の実現に貢献すべく事業を進める」と述べている。
 従って、Reiter 2010-03-11:2018JST報道の、日立・中西宏明次期社長「半導体事業には距離を置く措置を採った」発言の帰趨が、ルネサステクノロジーについて極めて注目されることとなる。同報道によれば、日立・中西宏明次期社長は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 三菱電機と共同出資の半導体会社ルネサステクノロジーは、NECエレクトロニクスと2010-04に合併する。半導体事業には距離を置く。2010-04以降、合併新会社に対する日立の出資比率は30.62%に下がる予定だが、ずっと持ち続ける予定はない。今後、段階的に出資比率を下げていく。
(2) 今の日立グル-プのカバレッジは大き過ぎる。日立は総合電機路線を修正し、社会インフラ事業に経営資源を重点配分する方針である。
(3) 日立グル-プ経営について選択と集中を進め、今後、遠ざける事業が出てくる。ボラタイルで市場変化が激しく、安定収益をあげ難いものについては、距離を置く。
(4) すでに液晶事業についても距離を置く措置を採っており、中小型液晶パネル製造の日立ディスプレイや、液晶パネル事業のIPSアルファテクノロジーの売却交渉を進めている。
(5) 冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの白物家電事業については、中国やインドでの展開により生き残る力があり、あきらめていない。
(6) 英国運輸省の鉄道車両正式契約延期には、正直に言ってがっかりしたが、「延期」と受け止めている。
SANARI PATENT所見
 日立は2010-03期に4年連続の最終赤字の見込であり、2011-03期の黒字化には尋常でない決意をもって臨むと解する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月11日木曜日

METI Minister Don’t Play Twitter 

直嶋経済産業大臣の対記者応答(最終更新日2010-03-09)
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 ツイッターの活用について次のように質疑応答した(SANARI PATENT要約)。
Q 経済産業省で、ツイッターで政策提言の意見募集などを以前されていたが、例えば経済産業大臣もされていないし、副大臣も政務官もされていないが、今後、始める考えはないか。原口大臣のような感じで。
A 個人的にというのは、なかなか大変なので、むしろ大臣という立場で言えば、公式の話はきちっと省として言うということでやらなければいけないと思う(SANARI PATENT考察: 極めて適切な応答である)。 個人的な勉強は色々やり方があると思うので、別にそれを否定しているわけではないが、今は念頭にない。今の御指摘があったので、ちょっとよく考えます。多分私はやらないと思います(SANARI PATENT考察: 誠にソツのない応答だが、経済産業省の施策に対する国民のツイッターには、傾聴して欲しい)。
その他の懸案のうち、イラクのナシリア油田開発交渉の現状については次のように応答された(SANARI PATENT要約)。
「なかなか交渉が進展していないが、イラク政府側が交渉を打ち切ったという話は聞いていない。まだ継続中と理解している。選挙の結果を踏まえて、今後どうしていくか、考える。」
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)  

ラベル:

2010年3月10日水曜日

Overseas Investments Increase While Home Investments Stagnate 

Overseas Investments Increase While Home Investments Stagnate 産業構造審議会が論点とする諸現象
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 日本企業による対外投資が増加する一方、国内投資が停滞する傾向は、今次世界金融危機を経て一層顕著になった観がある。特に内需の沈滞を新興国市場への進出で補うことが不況からの脱却上、必須と考えられたから、政策論を別として企業の存続を賭する行動となっている。
 一方、経済産業省「日本の産業を巡る現状と課題」(2010-02)は、「日本経済の行き詰まり」の一要素として「海外進出の進展と国内事業活動の低迷」を掲げ、「日本企業による対外投資は増加、他方で国内への投資は停滞」の状況を表示しているが、その内容は今次世界金融危機表面化に至る2008年までの数値であるから、その後の「海外投資積極、国内投資消極」の数値を明示するに至っていいない。すなわち、対外直接投資額(ネット)の推移は、2000年350億円,2002年450億円、2005年510億円、2006年580億円、次いで2007年860億円と著増し、2008年に1320億円と飛躍している。一方、国内設備投資の対前年比は、2005年に25%減と急落し、翌2006年に15%増を示したものの、2007年に14%減、2008年には37%減と急落している。
 企業の意向としては、「今後、国内の生産機能、開発機能、研究機能、本社機能を海外に移転するか」という設問(経済産業省のアンケート調査283社)に対して、生産機能については、26社が「一部または全部を移転する」、64社が「一部または全部の移転も視野に入れて検討中」、84社が移転しない、と回答している。経済産業省は、「今後、海外シフトが更に進展」と見出している。
SANARI PATENT所見
 内需の拡大が雇用拡大に必要と強調されるが、例えばユニクロのヒートテックに内需が拡大したに関わらず、その製造は中国・ベトナム等で行われ、生産雇用は海外で拡大し、国内販売の雇用増は百貨店等の雇用喪失によって相殺されている。今後も、国際競争力の確保は雇用の抑制によるから、雇用対策は産業構造問題として取組まなければならない。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月9日火曜日

SUMINOE Takes Pride in Being a Pioneer in the Interior Design and Furnishing Industry

 産業用製品と機能性資材に知財を発揮する住江織物
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 設立80年の住江織物と聴けば、関西の優雅な織物がイメージされるが、そのホームページは先ず製品情報として、自動車関連、鉄道・バス関連、カーアクセサリー等の産業用製品、次いでエアフィルター、スミトロン、3Dファブリクス、遮水シート、クリーニングブラシ等の機能性資材の先端知財製品が紹介され、華麗な織物の映像には直面できない。
 既に中間報告(2008-06-01~11-30)は届いていて、自動車・車両内装事業等における非常に厳しい事業環境が述べられていると共に、コスト削減や事業構造改革を積極的に遂行した結果、上記報告対象期間の営業利益は前年同期比65.6%増の7億6900万円を計上しており、関西繊維業の事業魂を見る思いがする。
 昨日(2010-03-08)も、「ピアノ教室パワーアップ大作戦」2010-03号にインテリア防音編としてスミノエ商品が掲載されましたとNews Releaseしているが、上記「大作戦」は、ヤマハミュージックメディアが発行している、ピアノの先生を応援する雑誌で、住江織物の防音カーテンと防音カーペットの2商品が紹介された。
 機能性資材として消臭・脱臭フィルター「トリプルフレッシュバイオ」は、染色技術を応用して、特殊コルゲートに人工酵素を付与した新しい発想のフィルターとして拡販しているが、即効性に優れた吸着作用によって悪臭をすばやく引き付け、人工酵素の作用で継続的に悪臭ガスを分解する。冷蔵庫・空調機・生ゴミ処理場などに使われている。熱源や紫外線などの装置およびエネルギーを必要とせず、抗菌性により食品安全にも適合する。(SANARI PATENT考察: 臭覚に過敏な世相にも適合しているが、「空気を洗う壁紙」の、ホテル、医療向け販売が奏効しよう。)
 また、3Dファブリックスは、立体構造の高機能織物・編み物で、用途に応じて様々な機能性を与えることができる。
 海外では、米国子会社の売上が前年同期を下回ったにかかわらず、利益面では収支改善活動の積極展開により大幅改善していることは、売上高減少以上の減益率を示している多くの企業と比べて、評価に値する。中国では、売上高が前年同期比2倍となり、利益面も順調と報告している。
 国内では、JR東日本の成田エクスプレス真が他車両の量産車全内装材を受注しているので、その耐摩耗・市松柄が広く永く親まれるであろう。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年3月8日月曜日

Hitachi should also By-Produce Aluminum Body Hybrid Auto 

次世代自動車メーカーとして日立の進出を期待
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
「いま日立は、地球と共にはしり続ける鉄道(A-Train)を創り始めています」と、日立はPRしている。 A-Train は、Aluminum、Advance、Amenity、Abilityの4Aによって大幅な軽量化を実現し(車体にアルミ素材)、リサイクル性に優れると共に、走行時の省エネに大きく貢献するものである。日立の A-Train は、いまや鉄道の母国・英国でもデビューし、また、JR東日本と共同開発したハイブリッド駆動システムも、走行→停止時の速度変化エネルギーを電気に変換して、日立独自のリチウムイオン電池に蓄電し、再利用するというもので、省エネの大成功例である。「従来であれば、電線のないディーゼル気動車では不可能だったエネルギー回生をあのうにしたもので、車両そのものから駆動システム、情報技術を駆使した運行管理や情報サービスまで、鉄道の全てに携わる日立なればこそ」と日立は解説している。
 SANARI PATENTが予てから強調してきたように、次世代自動車の技術革新は、自動車業界の構造を一変すべきものである。国内鉄鋼大手と英豪資源大手が原料炭55%値上げを合意し、鉄鋼大手は自動車メーカーに、鋼材の大幅値上げを求めると報道されているが(朝日2010-03-06)、自動車がA-Trainと共にA-Carを本格生産することは容易なはずである。A-Motorcycleも勿論で、新興国市場は広大であり、原料炭や鉄鉱石値上げの外圧を根本的に排除すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月7日日曜日

SHOEI as an Investment Company Underpinned by Real Estate 

知財とビジネスメソッドの変遷を経た昭栄の現況
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 昭栄(東証1部)の事業報告(2009-01-01~12-31)が届いた。証券コード3003が示すように、生糸事業を中心とする繊維業界の名門であったが、電子機器業界での知財発揮を経て、不動産賃貸事業に新たなビジネスメソッドを展開している。その業績を考察することは示唆に富む。先ず今次報告の内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 2009年度の日本経済は、輸出増加などに底入れの兆候は見られたものの、デフレ、円高、経済政策の息切れ懸念など、多くのリスク要因を抱える厳しい状況が続いた。
(2) 昭栄の中核事業である不動産賃貸市場では、都心オフィスビルの空室率が約6年ぶりに8%を超えるなど、一段と不況色を強めた。また、不動産投資市場では、2009年初の極端なCap Rateの上昇(SANARI PATENT注:還元利回り、すなわち、資産による収益から資産価格を元本化算定する際に用いる利率)が落ち着きを取り戻すと共に、2009年末にかけてJ-REIT(SANARI PATENT注:Japan Real Estate Investment Trust:上場不動産投資信託)による物件取得再開の兆しが見られたものの、総じて低調なまま推移した。
(3) 昭栄は、2005~2007年の景気回復期に、開発プロジェクトを中心として不動産投資を進め、借入金が増加した。その後、リーマンショック以降の、予想を超える資産デフレ進行により、収益水準の低下、減損リスクの増大を来した。よって財務リストラに本格着手し、新規プロジェクトの中止に加えて、当面収益を生まない開発プロジェクトを圧縮することとした。
(4) 最大の開発案件であった千代田区四番町プロジェクトについては、あらゆる角度から再検討し、売却して借入金を圧縮する。すなわち、このプロジェクトは、2007-12-20に、取得価格377億円で、旧東亜建設本社ビル跡地を取得し、隣地との共同開発を企図したが、隣地との一体開発は昭栄の開発スケジュールと対比して時間を要すること、単独開発は当初の期待利益を大きく下回ること、売却して金融費用を圧縮する方が昭栄にとって得策と判断したこと、減損のみでは無税化ができないことのため、譲渡価格231億5000万円で、2009-12-16に売却契約した。
SANARI PATENT所見
 三菱商事の都心5区データによれば、2009-12現在で東京オフィスビル市場の空室率は8.09%だが昭栄のそれは2.43%であり、平均賃料(SANARI PATENT注:平方メートル当たり月額)は、市場1万8978円に対して昭栄は2万0078円であるから、企業努力の成果と考える。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月6日土曜日

Rapidly Changing World Market of Next Generation Auto Battery 

チウムイオン二次電池の国際開発競争
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省(担当:製造産業局自動車課)は、2010-03-09に「第3回次世代自動車戦略研究会の電池戦略WG」を開催する。2010-01-04に新たに発足したWGであるが、電池の研究開発の現状を把握し、論点を整理した段階に在る。その状況(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 次世代自動車の大部分に高性能・大容量蓄電池が搭載されており、次世代自動車の国際競争力の核心をなしている。ここに次世代自動車とは、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイbリッド自動車、水素自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル乗用車、CNG自動車を総称する。
2. 二次電池市場は、一次電池からのシフトもあって、2010以降の拡大が予想され、特にリチウムイオン二次電池は、次世代自動車向けが大幅に拡大する。
3. 次世代電池メーカーの生産能力は、日系電池メーカーの比重が高かったが、中長期的には海外メーカーの生産量が著増し、EV台数換算での電池生産能力は、2015において、全世界152万台の55%が海外企業製品と予想する。
4. 海外では、ベンチャー等、新規参入企業を含めた多くの自動車メーカーがリチウムイオン電池搭載EVへの参入を表明し、2~3年以内の販売開始を予定している。(SANARI PATENT考察: 電池産業の構造自体が著変し、電池メーカー発の新自動車組立メーカーなどが続出する)。
5. リチウムイオン二次電池の新素材は研究開発の最中で、主流となる素材が確定していないが、現在の主流は、コバルト酸リチウムである。
6. リチウムイオン電池の性能向上には、正極材料の結晶構造が特に重要である。現在、レアメタル等を組合せた材料開発が活発である。
7. リチウムイオン電池の世界市場シェアは、2000~2008の間に著変した。2000年には、1位:三洋電機・三洋GSソフトエナジーが33%を占めたが、2008年には1位を維持しつつも23%に低下し、2位は、2000年にソニー21%であったのが、2008年には韓国サムソン15%に代わられた。
8. 電池のバリューチェーンの中で、様々なな企業が事業領域を拡大し、市場参入している。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル:

2010年3月5日金曜日

Technical Study for Access Control Function 

アクセス制御機能に関する技術開発状況
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省(担当:商務情報政策局情報セキュリティ政策室)が「不正アクセス行為の発生状況およびアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況について」と題して、現況を発表した(2010-03-04)。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 不正アクセス行為の認知状況: 2009年中の認知件数は、2008年より506件増加し、2795件であった。うち、海外からのアクセスは40件、アクセス元不明が82件である。
2. 被害に係る特定電子計算機(ネットワークに接続されたコンピュータ)のアクセス管理者(特定電子計算機を誰に利用させるかを決定する者): プロバイダが最も多く2321件、次いで一般企業が466件である。
3. 認知の端緒: 警察職員による被疑者の取り調べ等の警察活動によるものが最も多く2277件、次いで利用権者からの届け出によるもの487件、被害を受けた特定電子計算機のアクセス管理者からの届け出によるもの21件、発見者からの通報によるもの7件である。
4. 不正アクセス行為後の行為: インターネット・オークションの不正操作(他人になりすましての出品等)が最も多く2152件、次いでオンラインゲームの不正操作(他人のアイテムの不正取得等)345件、情報の不正入手(電子メールの盗見等)185件、インターネットバンキングの不正送金34件、ホームページの改竄・消去33件、不正ファイルの蔵置(不正なプログラムや、フィッシング、すなわち、金融機関を装って電子メールを送信するなどして、受信者が偽りのウェブサイトにアクセスするように仕向け、そこにID・パスワ-ドなどをを入力させる行為)2件である。
SANARI PATENT所見
 インターネットが政治・経済・社会の各分野にわたって影響力を著増しているから、この報告が指摘する「利用権者が講ずべき措置」「アクセス管理サービス者が講ずべき措置」を励行することは、自己の被害防止のみならず、社会公共的責務であると自覚し、励行すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月4日木曜日

Next Generation Apparatus for Medical Treatments Studied by METI 

経済産業省の次世代医療機器研究会を2010-03-15開催
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 医療産業の技術的経営的発達は世界共通の課題であり、産業所管省としての経済産業省においては、医療産業研究会、健康サービスビジネス研究会、医療機器に関する経済社会ガイドライン準備委員会、医療機器に関する経済社会ガイドライン関係委員会、次世代医療機器評価指標検討会、医療機器開発ガイドライン評価検討委員会、医療介護関連産業活性化のための事業インフラ研究会を相次いで設立し、活発に運営している。
 次世代医療機器に関する研究会は、次回を2010-03-15に開催するが、これまでに、体内埋め込み型材料(骨形成因子含有人工骨)、再生(重症心不全細胞治療用細胞シートおよび角膜上皮細胞シート)、ナビゲーション医療(骨折整復支援装置、関節手術支援装置および軟組織を対象とする装置)などについて開発ガイドラインを設定してきた、
 既に医療機器に関する経済社会ガイドライン委員会では、医療機器の経済社会評価について次のように報告している(SANARI PATENT要約)。
1. 近年、わが国における革新的医療機器の開発は、欧米より遅れており、特に、付加価値が高い植え込み型の治療機器分野において遅れている。その結果わが国は、世界第2位の医療機器市場を有しているにもかかわらず、医療機器産業全体の国際競争力は強化されていない。
2. その結果、医療機器の国内市場に占める輸入の割合が逐年増加し、4割に達した。
3. 遅れの原因としては、薬事法の安全性承認、医療保険収載などの規制などが考えられ、対策を講ずべきであるが、その前提として、革新的医療機器に対する経済社会評価の迅速な実施が必要である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年3月3日水曜日

WIPO High Level Forum on Global Intellectual Property Infrastructure for Innovation

WIPO High Level Forum on Global Intellectual Property Infrastructure for Innovation 世界知的所有権機関の東京会合(2010-03-01~02)の成果:例えば量子ドットは?
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 日本特許庁とWIPO(World Intellectual Property Organization)は、2010-03-01~02の二日間、イノベーションの促進に資する知的財産権制度の在り方をテーマとしたフォーラムを、東京で開催した。世界50国以上の特許庁長官級を招いて開催されたこのフォーラムでは、知的財産権制度が有効に機能するための法制度や、人的基盤・情報システムについて活発な意見が交換され、これら諸要素整備の重要性が確認された。
 経済産業省の発表(2010-03-02)によれば、フォーラム冒頭の開会式では、日本政府を代表して松下経済産業副大臣が、WIPOを代表してガリ事務局長がスピーチし、経済発展に資する知的財産権の保護と活用の重要性について発言した。
 その背景には、経済のグローバル化と技術の急速な進歩により、知的財産のグローバルな保護・活用が一層重要性を増しており、知的財産の活用を通じて更なる経済発展を図るための取組が、世界各国で進められているという状勢がある。わが国は既に、APEC閣僚会議などにおいて、「イノベーション促進に資すグローバルな知的財産基盤」るグローバルな知的財産基盤」というコンセプトを提案している。
「グローバルな知的財産基盤」とは、法制度、人的資源、機関・組織体制、情報技術などの諸要素により構成される、国境を越えてのイノベーションを促進するためのインフラである。わが国はこのような考え方に基いて、これまで知的財産権制度に関する人材の育成やIT化などの対途上国支援を行ってきた。
 今次WIPOハイレベルフォーラムは、わが国がWIPOへの拠出金を通じて、日本をホスト国としてWIPOに協力して行ったものである。
SANARI PATENT所見
 イノベーションに直結する知的財産の在り方をグローバルに検討し実践することは、世界経済の発展に寄与し、ひいてはわが国経済の発展にも資するものである。問題は「在り方」の方向性をどのように打ち出すことが、国益にも適合するか、である。ここ数年、わが国デジタルに産業製品等の世界市場シェアは急減しており、例えば量子ドット技術について、「ブラックボックス化と標準化」を主張する向きもあるが、世界標準化は特許権の相互利用を基盤とするものであるから、ブラックボックス化とどのように調和するのか、説明が及んでいない。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル:

2010年3月2日火曜日

Education-Science Minister Expresses Urgent Problems 

川端達夫文部科学大臣の所信表明(2010-02-19)
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 知財教育と科学政策の見地から、文部科学大臣の現国会冒頭所信表明の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. わが国は、直面する困難(経済低迷・国際競争・少子高齢化)の克服に向けて、  人と知恵を育むことを国政の中心に据え、国民の潜在力を最大限に発揮させなければならない。
2.幼児教育を含め初等中等教育から高等教育に至るまで、学校間の連続と社会との連携を重視しつつ、様々な分野で活躍する多様で重厚な人材層を育むことが、経済成長の土台になる。そのため、現在、国際的に見て低い水準ある教育への投資を確保し、ヒューマン・ソフト・ハードのあらゆる面で学校の教育力を高めなければならない。(SANARI PATENT考察: この「投資の確保」の在り方が決定的に重要である。例えば高校教育について公立高校生徒数の比率を大幅に増大し、名実ともに高校教育の全面無償化を推進するのか、私立高校への助成を増やして実質家計負担が大きい現状を放置するのか)。
3.教材のデジタル化、ICTの活用、指導・学習方法の変革により、次世代にふさわしい学校教育に転換する。
4.公立高校の授業料は不徴収、私立高校等では就学支援金を支給することにより、高等学校を実質無償化することとし、予算案と関連法案を今国会に提出した。(SANARI PATENT考察:「実質無償化」という言葉が、公立高校授業料相当額を大幅に超える私学授業料を考えれば、私立校については空疎に近い)。
5.理科や数学の好きな子供を増やし才能を伸ばすと共に、トップ人材への支援強化やキャリアパスの明確化により、若者が将来への大きな期待を胸に研究者などの道を志し活躍できる体系的な人材育成を進める。(SANARI PATENT考察: それも悪くはないが、米国ビル・ゲーツが大学を中退してMicro-Softを創出したように、「大学卒」や「体系」に依存しない人材がイノベーションに直結することを強調すべきである。)
(コメントは sanaripat@gmail.Com にご送信ください) 

ラベル:

2010年3月1日月曜日

Overseas Orders to U-SHIN continue to pour in from GM, Ford, Opel and Other Automakers 

ユーシン(東証1部)の自動車部品受注状勢、特に海外
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 トヨタの米国議会公聴会応答において、部品のグローバルな現地調達状況が示されたが(そして同一部品の多様性に基いて発生する問題点も開示される結果となったが)、日本の自動車部品供給企業がグローバルに展開して、諸国自動車メーカーに自動車部品を供給している具体的事例はどうか。丁度ユーシンの事業報告(2008-12-01~2009-11-30)が届いたので、その内容(SANARI PATENT要約)を下記に考察する。
1. ユーシンの自動車部品においては、当期初から自動車販売の落ち込みと生産台数の減少が顕著になったが、2009-04頃から、世界各国の自動車購入に対する優遇税制や、スクラップインセンティブの効果に加えて、自動車メーカーの在庫調整も一段落したことから、生産は急速に回復し、当下期においては、ユーシングル-プのほとんどの拠点で計画を上回る好調な売上を確保できた。
2. キーセットについては、フォルクスワーゲンの北米工場からの受注に続いて、ドイツのBMWとアウディからも受注に成功した。
3. メカヒーコンについては日野自動車から、小型トラック用を受注した。
4. ラッチ、ハンドルについては、欧州のトラックメーカーMAN向けにトゥールボックスクラッチの量産を開始しているが、更にBMWからはリフトゲートハンドルを受注した。
5. 既存主力製品のほか、スマートエントリーシステムモデルに不可欠な伝導ステアリングロックについて、マツダ、ホンダ、スズキ、三菱自動車向けに量産中ないし受注済みである。
6. 海外の地域別では、中国国内の好調な自動車需要に支えられて拡販できた。ハンガリーでは、マツダ・フォード共同開発のステアリングロックボデーを欧州フォード向けに出荷しているが、北米のフォードモデルへの供給も2010-03に始まる。ミュンヘンの新設営業拠点も2009-03から活動している。
SANARI PATENT所見
 各国各地域の自然環境・生活慣習への個別的対応にも留意すべきであることを、今次トヨタ案件は示したが、自動車部品供給の立場からも、同様の意識を持つことが得策である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル: