2007年12月31日月曜日

Cross Media Business by KADAKAWA

Cross Media Business by KADAKAWA 角川グル-プが今期サ-ビス開始した新サ-ビス:クロスメディア事業
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ 2007-12-17 知財フロンティア

1. クロスメディア事業
1-1  情報通信分野やコンテンツ分野の企業が、クロスメディア事業として開始している事業の内容は、各事業の業種・業態によって異なるから、定義することは尚早である。丁度、角川グル-プの中間事業報告を受信したので、角川グル-プの場合を考察する。同報告は次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 角川グル-プではクロスメディア事業を、2011年に向けた戦略部門として展開するため、基礎構築している。一方、既に事業化され、会員募集やサ-ビス開始したサイトも多い。
1-1-2 事例として、ケ―タイ動画配信サイトは、アニメ、ム-ビ-、グラビア、ミュ-ジックの全てを楽しめるサイトである。
    このうちiム-ビ-ゲ-トはドコモのiモ-ドに対応した動画配信サイトで、話題のアニメ、懐旧映画、グラビア、ミュ-ジックビデオまで、多彩なジャンルの作品を配信する。
1-1-3 今までの動画サイトのようにデモ映像や作品の一部を見るのではなく、例えば映画ならば全編まるごとを楽しむことができる。11月15日現在、1000コンテンツ以上が視聴可能である。
1-1-4 バ-チャルワ-ルドウォ-カ-は、本年秋にサ-ビス開始したが、仮想世界のポ-タルサ-ビスで、クロスメディアにサ-ビスを展開し、セカンドライフだけでなく、新しいバ-チャルワ-ルドの最新情報を速達している。わが国のセカンドライフ参加者の半数がこのサ-ビスの会員である。
1-1-5 街ログは本年10月2日からサ-ビス開始したが、角川グル-プがソネット、電通と共同で設立したソネット・カドカワ・リンクが運営する地域探訪サイトである。

2. 出版事業
角川会長は、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-1  出版部門は、前期に「ダ・ヴィンチ・コ-ド」や「ブレ-ブ・スト-リ-」など超メガヒットがあって、対前年比ハ-ドルが高いなか、前期に迫る売上となった。良質作品の安定生産で、中ヒット作品をコンスタントに送り出すことができた成果である。
2-2  特にコミックは、大手出版社がスポットを当てなかったジャンルや作家にも積極的に働きかけ、作品と市場を創出してきたことが、「新世紀エヴァンゲリオン」、「ガンダム」など、ヒット作品として結実した。
2-3  さらに、角川グル-プのコンテンツは、メディアと国境を超えて活躍しつつある。昨年のヒット作「涼宮ハルヒ」は、動画投稿サイトのYouTubeに関連映像が超多数投稿・閲覧され、日米でDVDがヒットし、世界各国で認められる作品になった。
2-4  本年4月にアニメ化した「らき☆すた」も、YouTube やニコニコ動画で圧倒的に支持され、アジア、米国、欧州へとファンを拡大している。
2-5  世界でク-ルジャパンとして高評価のわが国コンテンツの三大表現手法は、「手書きアニメ」、「劇画」、「ライトノベル」であるが、Web2.0時代の新たなメディアが、角川グル-プのこのようなコンテンツを世界に発信し、日本コンテンツの世界先陣を勤めている。

3. SANARI PATENT所見
3-1クロスメディア事業は、角川グル-プの今次中間期売上高構成において18.6%を占めるが、この売上高139億円の営業利益は対前年同期を上回る6億6000万円と報告されている。今後メディアが益々多様化するので、この部門にはユ-ザ-の需要が著増すると考える。
3-2 日本コンテンツの対外発信が知財政策の課題であるが、本年は、カンヌ国際映画祭で「もがりの森」がグランプリ受賞、ミスユニバ-スに森 理世さん優勝、ミシュランの星が117店で星数がパリの倍になった、などの朗報もあった。(朝日新聞2007-12-30)
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Cross Media、角川グル-プ、クロスメディア事業、セカンドライフ、Web2.0

ラベル:

2007年12月30日日曜日

Function of TV Station Including

Function of TV Station Including Digital, Analogue, Live Contents テレビ朝日の今次中間報告に見るテレビ局業務の多様化
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-12-5 ICT知財戦略

1. 情報通信のイノベ-ションとテレビ局
1-1 ICTイノベ-ションとコンテンツイノベ-ションの起動
  国民生活に占めるテレビ局活動の比重は、ケ―タイテレビの発達と三次元ライブ放映の実現、さらに、固定・ケ―タイ双方のネット取引の増大によって、今後さらに著増すると考えられる。
1-2 融合の重合
「放送と通信の融合」、「有線と無線の融合」、「固定と移動の融合」、「ライブ・アナログ・デジタルの融合」など、情報通信分野の融合現象が急進し、今後も加速するが、これらの諸融合は更に重合して、クロスメディアの展開など、情報通信分野の新たな局面を創出し、国民生活のイノベ-ションを実現してゆくと、SANARI PATENTは考える。

2. テレビ朝日の業務多角化
   先日、テレビ朝日の今次中間業務報告を受信した機会に、テレビ局業務多角化の現状を具体的に考察し、今後の展開を期待したい。(以下今次報告をSANARI PATENT要約)
2-1 テレビ朝日の「その他事業」が先ず関心の対象である。
2-1-1 「その他事業」は、テレビ朝日では、テレビ放送事業、音楽出版事業以外の事業であるが、ここでは、「テレビ放送事業」以外の事業をいうものとする。今次報告における売上構成比では、「テレビ放送事業」が84.3%(半期1494億円)で「その他事業」は15.7%(204億円)であるが、うち「音楽出版事業」が3.3%(43億円)、その他の「その他事業」が12.4%(
161億円)と報告されている。
2-1-2 情報通信革新によって、「テレビ放送事業」の態様が著変するが、ここでは先ず、「その他事業」の内容を見る。
2-1-2-1 映画事業
   テレビ朝日が出資している映画事業では、ゴ-ルデンウィ-ク恒例の「クレヨンちゃん」が大ヒット。「武士の一分」などの二次利用収入も順調。
2-1-2-2 イベント事業
定番になった「Summer sonic 07」や、韓国トップスタ-のイベントを開催し、大観客を動員した。
2-1-2-3 ビデオ・DVD化事業
ドラマ、オリジナルバライエティなどをリリ-スして順調な売上を得た。
2-1-3-4 インタ-ネット事業
ケ―タイ向け会員制有料情報サ-ビスが引続いて堅調。番組との密接な連携のもとでクロスメディアを展開している。
2-1-3-5 ショッピング事業
毎日、午前、深夜に各特色のあるを拡販している。ブランドを「Ropping」に統一した。

3. SANARI PATENT所見
  ライブ・アナログ・デジタルの全分野にわたって、コンテンツ分野の人材の育成と、情報通信インフラの新たな利用の創出にも、テレビ局が計画的・結果的に寄与するところ大であると考える。
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テレビ朝日、テレビ局、インタ-ネット、ショッピング、イノベ-ション

ラベル:

2007年12月29日土曜日

Self-Googlizing as Best Intellectual Production

Self-Googlizing as Best Intellectual Production Technique 「自分をグ-グル化する方法」(新知的生産術)がベストセラ-に
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-11 YouTubeとBlog

1.「グ-グル化」が現代用語辞典に
1-1 ダイヤモンド社から経済評論家・公認会計士・勝間和代公認会計士の新著「効率が10倍アップする新知的生産術―自分をグ-グル化する方法」が発刊され、Wall Street Journalから「世界の注目すべき女性」に選出された海外実績と共に、ネット、講演会、サイン会での売行きが予想通り好調の模様である。
1-2 SANARI PATENTは、「グ-グル化」という言葉が、この機会に現代用語として定着し、知的生産の効率化(コスト低減)がわが国各層に浸透することを、国際競争力の見地から強く期待している。

2.検索におけるGoogle
2-1 日本弁理士会事務局やSANARI PATENTのインタ-ネット・サ-ビスプロバイダであるNiftyの検索エンジンも「Enhanced by Google」と常に注記して機能しており、検索業界におけるグ-グルの地位はグロ-バルに強力である。
2-2 検索のほか「先進的サ-ビス」を著増して、検索機能との相乗効果を挙げてゆくが、最近の新しい「グ-グル先進的サ-ビス」としては、「お気に入りサイトの新着情報を直ぐお届け」、「路線と地図で目的地までのル-トを案内」、「オリジナル動画をアッピロ-ド&共有」、「ケ―タイでグ-グルマップ」などが見られる。

3.わが国のインタ-ネット利用動向におけるグ-グル
   ニ-ルセン系列のネットレイティングスが2007年5月度の月間インタ-ネット利用動向を既に発表しているが、わが国におけるヤフ-の比重とグ-グルの急成長率を次のように強調している。(SANARI PATENT要約)
3-1  企業(「プロパティ」と呼称している)別集計における家庭からの月間利用者数でYahoo! Japanが初めて4000万人の大台を突破した。わが国のインタ-ネット視聴者全体に占めるYahoo! Japanの利用者比率(リ-チ率)は88%に達し、ネットユ-ザ-の約9割が月に一度はYahoo! Japanが運営するいずれかのウェブサイトを利用していることになる。(SANARI PATENT 注:ネットユ-ザ-は複数のプロパティ=企業を利用し、利用された複数プロパティのうち、Yahoo! Japanはその複数の内に入っていた回数が極めて多かったという意味である)
3-2  対前年同月における成長率を上位企業で見ると、Googleが58%増と圧倒的な成長を遂げている。すなわち、今年5月の家庭パソコンからのアクセス数の成長率は、グ-グル58%、ヤフ-10%、NTT3%、楽天2%、マイクロソフトはマイナス6%であった。
3-3  グ-グルは、主要サ-ビスである検索のほかに無料のWebサ-ビスを投入したことや、人気の動画共有サイトYouTubeを傘下に入れて、圧倒的な成長を遂げた。今後、ヤフ-とグ-グルの両メガポ-タルの競争激化が予想される。

4.SANARI PATENT所見
  グ-グルやヤフ-をプロパティと呼ぶか、ポ-タルと呼ぶか、いずれにせよ、その先端機能をフルに活用することが、知財の活用である。
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Google、Yahoo、グ-グル化、楽天、検索、メガポ-タル

2007年12月28日金曜日

Vision of Vaccine Industry

Vision of Vaccine Industry by Welfare Ministry: IP on Vaccine ワクチン産業ビジョンの展開(厚生労働省ワクチン委員会の多彩な大量発言の今後)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT


1. ワクチンに関する特許公開
  始めに、ワクチンに関する特許公開の状況を見ると、今年10月1日から12月25日までの3か月足らずに、159件の特許公開が見られる(うち1件は実用新案)。例えば、
1-1 魚類ストレプトコックスガラクティエを抗原とするワクチン(共立製薬)(特許公開日2007-12-20)
1-2 イミダジキノリン化合物(カイロンコ-ポレ-ション)(特許公開日2007-12-13)
1-3 ブタ生殖および呼吸症候群ウィルス(PRRSV)のヨ-ロッパワクチン株(インタ-ベット・インタ-ナショナル・ベ-・ベ-)(特許公開日2007-12-13)
1-4 ワクチン(グラクソスミスクライン バイオテクノロジカルズ ソシエテアノニム)(特許公開日2007-12-13)
1-5 LEC284293バリアント遺伝子ならびに遺伝子がコ-ドするCD8+細胞傷害性Tリンパ球mHAエピト-プペプチドおよびその用途(愛知県)(特許公開日2007-12^13)
1-6 インフルエンザ血球凝集素多価ワクチンの製造方法(プロティンサイエンシ-ズ)(特許公開日2007-12-6)
1-7 粘膜ワクチンアジュバンドのスクリ-ニング方法(独立行政法人科学技術振興機構ほか1名)(特許公開日2007-12-6)
1-8 グラミジアワクチン(グラクソスミスクライン バイオテクノロジカルズ ソシエテアノニム)(特許公開日2007-11-29)

2. ワクチン産業ビジョンの経緯
2-1  厚生労働省(医薬食品局血液対策課)は、第1回ワクチン産業ビジョン推進委員会(2007-3-22)において「ワクチン産業ビジョンの紹介」、「米国ACIPの活動報告」、「危機管理ワクチンの開発状況と技術的課題」を議題とした。(SANARI PATENT 注:ACIPは、Advisory Committee on Immunization Practices)
2-2   ワクチン産業ビジョンは、危機管理的な社会需要の増大や、少子化による市場性の縮小もとで、良質な小児医療の維持向上にワクチンが不可欠であることを確認し、国の関与ももとでわが国に必要なワクチンを開発し、安定的供給体制を確保するものである。
2-3   このため、ワクチンの基礎研究から臨床研究への橋渡しを通じて、実用化が円滑に進むよう、国内のトランスレ-ショナルリサ-チ体制の整備が必要としている。
2-4   厚生労働省のワクチン産業ビジョン推進委員会は第3回(2007-11-30)を開催したが、第2回(2007-7-13)の速記録を見ると、次のように多様な発言があり、第3回以降、検討が深耕される。
2-4-1 インフルエンザの感染防御には、3つの大きな要因がある。
2-4-1-1 粘膜の免疫で重要な粘膜防御IgA抗体の誘導
2-4-1-2 血中のIgG抗体の誘導
2-4-1-3 インフルエンザウィルスに感染した細胞を殺す細胞傷害性T細胞の誘   導である。
2-4-2 インフルエンザウィルスの変異に応じてワクチン開発を進めているが、もし、変異を超越するワクチンによる交差免疫が誘導できれば、変異ごとにワクチンを作成する必要がなくなる。
2-4-3 上述のこと(2-4-1と2-4-2)から、効率的な感染防御の誘導と、交差免疫の成立に注目した課題が重要である。
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Vaccine、ワクチン、グラクソ、交差免疫、抗体の誘導

2007年12月26日水曜日

IP high Court Revivals Invalidated Package Making Method Patent

IP high Court Revivals Invalidated Package Making Method Patent (On 25 Dec.2007) 知財高裁12月25日判決、特許庁の特許無効審決を取消
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-10-23 当業者

1. 経緯(SANARI PATENT要約)(平成19行ケ10148 審決取消請求事件・平成19年12月25日判決言渡)
1-1 エアパックス(エアパックスほか1名)(今次訴訟代理人・尾崎雄三弁理士ほか)は、「フィルム製容器の製造方法」発明について特許出願し(2002-9-18)、特許査定を得て、設定登録した(2005-8-5)。
1-2 奈良アルミ箔(今次訴訟代理人・足立 彰弁理士)は、この特許について特許庁に、特許無効審判を請求した(2007-3-28)。
1-3 特許庁は、エアパックスのこの特許の、請求項1の特許を無効と審決した(2007-3-22)。
1-4 エアパックスは、この無効審決の取消を知財高裁に求め、知財高裁は、エアパックスの請求を認容した(2007-12-25判決)。

2. エアパックスの特許の請求項1(SANARI PATENT要約)
次の特徴を有するフィルム製容器の製造方法
2-1 印刷面を内側に含む、2枚以上の樹脂製フィルムを積層したラミネ-トフィルムを熱成形して製造する方法である。
2-2 この樹脂製フィルムの1は、少なくとも一方の表面がマット加工され、20μm以上の厚みを有すると共に、前記ラミネ-トフィルムの複数枚を互いに異種フィルムである透明な二軸延伸ポリプロピレンフィルムとマット加工された面を挟んで重ね合わせる。
2-3 この重ねあわせたフィルムを、130~170℃に予熱した金型でプレス成型加工して製造する。

3. 特許庁の特許無効審決理由(SANARI PATENT要約)
エアパックスのこの発明は、周知技術に基づき当業者が容易に想到できたものである。

4. 奈良アルミ箔の主張(SANARI PATENT要約)
エアパックの、このエアパックス発明と周知技術との相違点についての判断は誤りである。

5. 今次知財高裁の判断
   周知技術の、「離型性ワックスコ-トを加工」を、マット加工に置換することが、エアパックスのこの特許出願当時の当業者において容易になし得たものと認めるに足りる証拠はない。特許庁のこの点についての容易想到性判断は、マット加工の技術的意義を正解せずになされたもので、誤りというほかない。

6. SANARI PATENT所見
  エアパックス・奈良アルミ箔とも詳細な刊行物・周知技術資料を引用しており、特許庁、知財高裁ともに緻密な判断を」示した。特許庁の無効審決判断理由のうちには、知財高裁が「誤りない」と判断したものも見受けられる。
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Patent、Package、エアパックス、奈良アルミ箔、知財高裁、特許庁

2007年12月25日火曜日

Proportion of Japanese Medicine Enterprise

Proportion of Japanese Medicine Enterprise 製薬企業の企業規模と国際競争力
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-24 医薬品の貿易収支

1. 清訳企業の企業規模と国際競争力
新医薬品産業ビジョンは、「企業の国際競争力は、必ずしも売上高のような規模のみによって決まるものではないが、多額の研究開発投資を継続して、かつ、世界各国で並行的に行っていくためには、ある程度の売上高(企業規模)必要内閣知財戦略本部ことも事実である」と前書きして、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1 わが国の大手製薬企業は、海外展開の進展等により売上高を伸ばしているが、世界の各大手製薬企業が合併や欧米の市場拡大によってさらに売上高を伸ばしたため、現在、世界上位の一桁台は皆無で、武田第16位、アステラス20位、第一三共22位、エ-ザイ23位、大塚25位に名を連ねる。一方、バイオベンチャ-であったアムジェンが11位、ジェネンテックが17位、後発医薬品企業であるテバ製薬が19位に躍進するなど、従来と異なるタイプの製薬企業がわが国の製薬企業に追いつき、追い越し始めている。
1-2  医薬品売上高上位30社の国籍熱シェアは、米国が12社で43.4%を占め(SANARI PATENT 注:単純平均で1社当たり3.6%という見方をしている)、英国2社で14.9%(同7.5%)、スイス・フランス各2社で各13.0%および9.6%(同6,5%および4.8%)を占めるが、わが国は5社で7.8%(同1.6%)であるから、類似した規模の中規模の企業がひしめいている。
1-3  世界上位20位に入る米国の企業は、拡大する米国内市場を足場としてシェアを拡大し、自国での活動を基盤として海外市場で売上を拡大した。わが国の製薬企業も、米国市場等に進出して積極的に規模を拡充し、売上シェアにおいて外国企業に匹敵する国際競争力をつける必要がある。

2. SANARI PATENT所見
  現時点では明らかに妥当でない見方となったが、日本の製薬企業は、わが国の健康保険制度によって国内市場の利益率が高いため、海外市場進出の意欲を阻害されている、という見方があった。
  上記1-3のように、国全体、すなわち、5社計の売上高では米国・英国・スイス・フランスに次いで第5位(世界上位20社集計における)であるが、5社の各%が平均1.6%から3.2%に倍増すれば、世界第2位の売上高シェアを占める計算となる。
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武田薬品、アステラス、第一三共、エ-ザイ、大塚製薬

2007年12月24日月曜日

Government Budget for Life-science Aiming at Medicine

Government Budget for Life-science Aiming at Medicine 新医薬品産業ビジョンにおける政府予算の日米欧比較
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 2007-12-24 薬事法承認の日米欧調和

1. 制科学(Regulatory Science)の必要性
1-1 新医薬品産業ビジョンは、規制科学(Regulatory Science)という、他の分野の知的財産政策では余り登場しない語を用いて次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
-1-1-1 政府が先端医薬品を迅速・適切に審査し、市販後の有効性・安全性を確認するためには、薬事行政自体が技術の進展に沿い、精確な審査を可能とする規制科学を有することが必要である。
1-1-2 新健康フロンティア戦略(2007-4)においても、「革新的技術を用いた製品の有効性・安全性の適切な評価手法に関する調査研究を推進する」として、規制科学を今後の重要施策としている。
1-1-3 米国では国立衛生院(National Institute of Health:NIH)が政府研究開発予算の25%を占める。単独の研究所では困難な、複雑な生物系解明、学際領域、ハイリスクけ、臨床研究の再構築などについて、組織横断的研究を進めている。
1-1-4 EUでは、新薬の探求と開発を進める「革新的イニシアティブ」が展開され、創薬プロセス上のボトルネックを特定した「戦略的研究アジェンダ」が2006年にまとめられた。特に英国では、臨床研究推進を目的とするUKCRC(UK Clinical Research Collaboration)の創設(2004)、OSCHR(Office for Strategic Coordination of Health Research)(2006)等が設立された。
1-1-5 産業界の創薬戦略の国際化が進み、知的財産集約性が高い医薬品開発においては、開発に有利な地域への研究開発拠点の移転などの流動化が発生している。従って、国としての産業の国際競争力を考慮した場合、各国が実施するイノベ-ション創出施策の重要性が増している。

2. SANARI PATENT所見
2-1 特許審査の日米欧アジア調和が進捗して実質的世界特許に徐々に近接すれば、企業が各国特許庁を選択することになる。これは薬事承認において、企業が各国の薬務当局を選択する傾向に向かうのと類似する。少なくとも世界市民の立場からは当面好ましく、長期的には諸国の国益にも資すると考えられる。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)Regulatory Science、NIH、UKCRC、薬事法

2007年12月23日日曜日

New Vision of Medicine Industry

Aiming at Innovation and International Competitiveness 平成20年度内閣知財計画を支える新医薬品産業ビジョン
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-15 分野別知財戦略

1. 内閣計画と各省計画
1-1  内閣の計画は総合調整をその機能とするから、実施の具体化は各省計画によることとなる。平成20年度内閣知財計画についても、ライフサイエンスが重点分野とされるが、その中核をなす医薬産業の知財計画は、本年8月末に公表された「新医薬品産業ビジョン」(副題:イノベ-ションを担う国際競争力のある産業を目指して)を基盤として策定され、かつ、その実施を新医薬品産業ビジョンの具体化に委ねることとなる。
1-2  従って、平成20年度内閣知財計画の医薬品分野を理解するためには、新医薬品産業ビジョンが現にどのように製薬産業界の具体的戦略として選択されつつあるかを把握することが必要である。

2. 新医薬品産業ビジョンの要旨(SANARI PATENT要約)
2-1 新医薬品産業ビジョンの考え方は、次のように構成されている。
2-1-1 医薬品産業ビジョン策定後5年間の変化と新ビジョン策定の考え方
2-1-1-1 前回ビジョン策定後5年間の変化
2-1-1-2 国際競争力の強化とドラッグ・ラグ解消の要件
2-1-1-3 新ビジョンによる施策の動向
2-1-2 医薬品産業に求められるもの
2-1-3 この新医薬品産業ビジョンのポイント
2-2 前項2-1-1のうち、環境の変化は、次のように把握されている。
2-2-1 生命科学の発展
2-2-1-1 生命科学分野の研究開発の動向、近年の変化 (SANARI PATENT 注: 科学技術会議や内閣知財戦略本部は「ライフサイエンス」と呼んでいるが、別段相違はないし、違った呼び方をしているという意識もないようである。)
2-2-1-2 新薬の開発に繋がる研究開発
2-2-2 グロ-バル化の進展と本格的国際競争
2-2-2-1 グロ-バル化の進展
2-2-2-2 研究開発国際競争の激化
2-2-2-3 アジアとの連携
2-2-3 M&Aの増加、資本市場の変化
2-2-4 医薬関連産業の機能分化
2-2-5 高齢化進展による医療費増大の影響
2-2-6 医療に対する国民意識の変化
2-2-7 予防医療に対するニ―ズ
2-3 前項2-1-1のうち、医薬品産業の現状と課題は次のように把握されている。
2-3-1 医薬品市場の規模と構造
2-3-2 医薬品産業の、産業構造、国際競争力、企業規模、技術・研究開発、販売力の特徴
2-4 前項2-1-1のうち、医薬品産業のイノベ-ション主導による発展のメカニズムと将来像は、次のように構想されている。
2-4-1 医薬品産業の特色、イノベ-ション主導によるその発展、その波及
2-4-2 製薬産業の将来像(国際競争力ある構造)
2-4-2-1 製薬企業の方向性
2-4-2-2 新しく起こる産業
2-4-2-3 異業種からの参入と融合
2-4-3 医薬品卸売業の将来像
2-4-3-1 現状
2-4-3-2 課題と将来像
2-4-4 医薬品産業政策の基本的考え方
2-4-4-1 企業自身による戦略的な経営展開
2-4-4-2 国の役割
2-4-4-3 革新的新薬創出のための集中期間の設定と政策の実施
2-4-4-4 イノベ-ション主導型新薬開発促進のための産業政策
2-4-4-5 イノベ-ションの波及効果に着目した産業政策
2-5 革新的新薬創出のための集中期間(5年以内)に行う具体策
2-5-1 政府の取組の強化
2-5-1-1 政府全体の総合的対応
2-5-1-2 関係省庁等の取組
2-5-2 このビジョンのアクションプラン
2-5-2-1 研究開発を支援
2-5-2-2 治験」・臨床研究を推進
2-5-2-3 承認審査の迅速化と質の向上
2-5-2-4 薬価制度・薬剤給付の在り方
2-5-2-5 後発医薬品市場の育成
2-5-2-6 一般用医薬品市場の育成
2-5-2-7 流通機能の効率化・高度化
2-5-2-8 医薬品の適正使用
2-5-2-9 官民推進体制の整備
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Innovation、医薬品産業、新薬開発、生命科学

2007年12月22日土曜日

Induced Pluripotent Stem Cell

Induced Pluripotent Stem Cell (iPS Cell):誘導多能性幹細胞(iPS)関連の知財権政策を明示する必要性
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-12-22 ヒトES細胞

1. 文部科学省と内閣知財戦略本部の対応の整合が必要
1-1 京都大学・山中伸弥教授らのチ-ム(SANARI PATENT 注:研究の単独性・チ-ム性については別論)が体細胞から誘導多能性幹細胞(iPS)を得たことは、米国等の同分野研究成果と時を同じくして全世界に周知され、極めて重要な反響をもたらした(SANARI PATENT 注:生殖細胞由来でないこと)。
1-2 従って、文部科学省は、次の対応を決定した(2007-12-20)。
1-2-1 本年度中に、誘導多能性幹細胞(iPS)研究者間のネットワ-ク組織として「誘導多能性幹細胞(iPS)研究コンソ-シアム」を発足させる。
1-2-2 このコンソ-シアムは、京大の誘導多能性幹細胞(iPS)研究センタ-を中心として組織し、研究用に限って細胞を原則無償提供する。
1-2-3 特許について、京大に知財専門家を置き、取得を支援する。
1-2-4 同じく、米国における誘導多能性幹細胞(iPS)関連などの特許権の取扱に関する調査を支援する。
1-2-5 文部科学省は、本年度中に、「幹細胞・再生医学戦略委員会」を設置する。
1-2-6 誘導多能性幹細胞(iPS)の医療応用についての研究を公募する。
1-2-7 多くの幹細胞研究者が情報を共有し、オ-ルジャパンの支援体制を構築する。

2. 平成20年度内閣知財計画案におけるライフサイエンス
2-1 内閣知財戦略本部の「知的財産に関する競争力強化専門委員会・ライフサイエンス分野プロジェクトチ-ム」の報告(2007-10-30)に基づき、案が策定されつつあるが、今次誘導多能性幹細胞(iPS)創出(SANARI PATENT 注:ここでどの用語をもちいるべきかは、実は難しい問題で、ほかに、「生成」、「制作」など)が上記報告後に公表されたためか、前項1のような政策意識が存在していない。
2-2 すなわち、上記「知的財産に関する競争力強化専門委員会・ライフサイエンス分野プロジェクトチ-ム」報告の「検討の視点」は、次の記述にとどまっている。(SANARI PATENT要約)
2-2-1 ライフサイエンス分野の基幹技術の柱であるバイオテクノロジ-の急速な発展は、生物機能を利用した物質生産技術として、医薬、農林、食品産業等へ大きな影響を与え、新産業創出の期待も大きく、国際的に開発競争が激化している。(SANARI PATENT 所見:「物質生産」とあるが、「生物生産」、特に「新生物生産」に重要な課題がある)
2-2-2 しかし、わが国のライフサイエンス分野の競争力は、個別領域で欧米と競う水準にあるが、全般的には遅れている。(SANARI PATENT 注:具体的例示もないので、報告時点での誘導多能性幹細胞(iPS)研究の評価は不明)
2-2-3 この分野では基礎研究コストが膨大でリスクも大きいが、完成した技術の模倣が容易である場合が多い。従って、知的財産権による保護が重要である。

3. SANARI PATENT所見
  上記2-2-3について、誘導多能性幹細胞(iPS)の利用価値が絶大に評価・周知されたので、模倣意欲も大と考えられる。1-2-3と1-2-4の措置が重要である。
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Stem Cell 、iPS 、京大、誘導多能性幹細胞、ライフサイエンス

2007年12月21日金曜日

2008 IP Policy for Medium and Small Sized Enterprises

2008 IP Policy for Medium and Small Sized Enterprises 平成20年度内閣知財計画について中小企業に関する要望(内閣知財戦略本部あて)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-15 分野別知財戦略

 SANARI PATENTは、標記の中小企業知財政策について下記のように内閣知財戦略本部に要望した。
     記
                    平成12年12月20日
 平成20年度内閣知財計画の策定について、中小企業に関する要望
 弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

  予算案編成に引続いて、平成20年度内閣知財計画をご策定のことと存じますが、中小企業につきまして、下記2項目のご高配をいただきたく、措辞不行き届きではございますが、要望申しあげます。
     記
1. 内閣知財計画における中小企業対策の位置づけ
1-1 知財計画は、農林水産分野について農林水産省知的財産本部による知財計画、地方公共団体による地域計画など、多くの主体によって策定されているが、内閣知財計画においては、これらを総合する視点に立って、中小企業の知財政策における位置づけを先ず明確にされたい。
1-2 この意味で、平成19年度内閣知財計画の記述について、平成20年度内閣知財計画の策定に当たり、次の事項を改められたい。
1-2-1 要望その1
第1章「知的財産の創造」に、中小企業の節を設け、知的財産の「創造」段階における中小企業の役割とその重要性を明示されたい。
  (理由)
    平成19年度内閣知財計画においては、中小企業に関する計画は、第3章「知的財産の活用」の第3節に「中小企業を支援する」という項目が設けられ、その冒頭主文中にも、「中小企業が知財を有効活用し発展することができるよう、国・地方公共団体・大企業が一丸となって支援策を強化してゆくことが重要である」と述べているに過ぎない。
  換言すれば、知財の創造・保護に関する「中小企業に特化した諸課題に対する政策と計画」を記述する場が置かれていない。
  しかし、「活用」の段階よりも先ず、知財を創造し保護する段階において、中小企業特有の困難な課題が存在することは明白である。 
1-2-2 要望その2
  内閣知財計画に付属する「知的財産戦略の進捗状況」に、中小企業の知財活動に対する評価を明示されたい。
(理由)
平成19年度内閣知財計画の上記資料には、前項「理由」に引用した第3章に対応して、「知財駆け込み寺の設置数と手引書の作成・配布」、「特許料の減免制度利用実績が2006年度に8293件に達したこと」、「先行技術調査支援制度の利用実績が2006年度に3008件に達したこと」、「中小企業のためのガイダンスソフト」を作成したこと」、「中小企業向け知的財産・企業秘密保持の指針を策定したこと」、「中小企業経営革新支援法改正法、中小企業ものづくり基盤技術高度化法が施行されたこと」が記述されたに過ぎない。
換言すれば、知財駆け込み寺によって中小企業の知財創造が成立した実績」、「特許料の減免制度利用数が、わが国最近の年間特許出願数の2%に過ぎない事情」(最近の中小企業庁統計によれば、わが国の中小企業数は321万7945で、特許出願の多くを占める証券上場企業数約1000の3000倍以上である)、「先行技術調査支援の利用数がわが国最近の年間特許出願数の1%未満に過ぎない事情」、「ガイダンス・指針・改正法の効果報告がないこと」が、今後の政策立案に迫力を欠く結果をもたらす惧れがある。(以上)
Medium and Small Sized Enterprise、知的財産、中小企業、特許出願、特許料

2007年12月20日木曜日

Information Retrieval Japan Inc. Reported by TV Tokyo

Information Retrieval Japan Inc. Reported by TV Tokyo WBS:TV Tokyo WBSにおいて紹介された日本アイア-ル、中国弁理士を活用
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-4-26 中国におけるポロシャツ事件
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-12-20 本田技研・エフテックの請求棄却・知財高裁12月18日判決

1. 知的財産問題のテレビ番組
1-1  テレビ東京WBSが実業界人に圧倒的な人気を博していることから、知的財産問題が登場する頻度が高い。特に高度経済成長下の中国との国際知財問題の放映(2007-12-18)は、特許法・商標法の国際制度の整合性(特許性、識別性)、商標法違反の裁判所管轄や、わが国の特許明細書記述の「明確な翻訳のし難さ」(簡単に言えば「曖昧であったり分かり難い」と思われること)などにも指摘が及んで、NECやカツラメ―カまで多様な業種の対処ぶりが窺われた。
1-2  さらに、日本アイア-ルの活躍ぶりが紹介された。(SANARI PATENT 注:アイア-ルという社名の企業は数多い。特に新システムの提案を事業とするアイア-ル、医療関係の提案を事業とするアイア-ルも注目される。「日本」を冠した「日本アイア-ル」は、上記テレビで千代田と所在表示されたが、本社社屋は新宿(四谷)に在る)。
1-2-1 日本アイア-ルの業務案内を見ると、「内外国の特許包袋資料等の取寄せ」、「内外国特許資料のSDIサ-ビス」(SANARI PATENT 注:SDIは、Single Document Interface、または、Strategic Decision Initiative、または、Strategic Defense Initiativeが普通だが、別の意味か、不明)、「筋の良い研究テ-マを生み出すパテントマップソフト」、「創造技法のソフト」、「知的財産総合コンサルタント」など、知財フロンティア開拓の新展開に臨むわが国企業にとって最も必要な業務を網羅している。
1-2-2 また例えば、知財・特許業務マニュアルなどの価値高い参考書を公けにし、判例解説の2007版も、プリンタインキカ-トリッジのエプソン事件の方を詳述して、解説が溢れたキャノン事件の蔭に存在した詰替え業者側勝訴の判決(SANARI PATENT 注:争点は両事件間に著しい相違がある)に注意を喚起したことが注目される。なおエプソン事件について
 関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-11-12 エプソン

2.日本アイア-ルが、中国弁理士の知見を尊重し、明細書記述が翻訳におい
ても、精確な権利主張に役立つよう、明確で理解容易であることの必要性に論及したことは、平成19年度内閣知財計画の「明細書の明瞭・易読」計画と考え併せて有意義である。

3.なお上記テレビ東京WBSにおいて、ポ-ルヘイスティング法律事務所のNEC顧問・高取芳宏弁護士が「アジア他国で生産して日本国内では販売しない場合、日本商標法の違反としての立件対象にはならない」と解説されたことも、復習しておくべきである。
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TV Tokyo WBS、 日本アイア-ル、NEC,商標法、特許明細書

2007年12月19日水曜日

NEC at NGN (Next Generation Network)

NEC at NGN (Next Generation Network) :NEC が描く次世代ネットワ-クの具体像、それを実現する新製品の内外展開
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

1. 現世代と次世代の分画
 「次世代」という語が頻用されるが、現世代と分画する識別子が、情報通信の分野では今は殆どない。通信と放送、無線と有線、アナログとデジタル、固定と移動などの融合が、急速ではあるが連続的に進捗しているからである。
  むしろ各種システムを個別化して見れば、ケ―タイにおけるCDMAが第3世代ケ―タイを分画したように、世代数値を分け得るが、例えば、Web2.0
がWeb2.5になっているのか、定かでない。
  内閣知財戦略本部や総務省の情報通信政策にも「次世代」の語は頻用されが、次世代になると産業や生活がどのような点で異別のものになるのか、具体的でない。

2. NECの次世代像
2-1 NECの本年度上半期事業報告を受信したが、「次世代ネットワ-クを軸とした成長戦略を実行中」として、次のように事例を挙げているので、理解し易い。ただし、もっと多くの生活局面の事例を描くことが望まれる。
2-1-1 NGNでショッピングが変わる。これは、街の小さなワインショッピングの例です。現在のインタ-ネットを使ったサ-ビス以上に便利で快適なショッピングが実現します。
2-1-2 気になったワインは: 店舗のディスプレイから、原料になる葡萄など、ワイナリ-見学をしているような臨場感のある映像を、ハイビジョンによる美しい画質で必要なときに見ることができます。
2-1-3 ワインに合う料理を知りたい: その場でソムリエに、高品位な映像と通話環境を活用して、商品の説明やワインに合った料理のアドバイスを直接受けることができます。
2-1-4 ワインを購入するときは: 電子マネ-を始め、購入履歴、ポイントの管理に加えて、個人の誕生年に生産されたワインを紹介されるといったショッピングの楽しみ方も広がります。
2-2 NGNに向けたNECのトピックス(SANARI PATENT要約)
2-2-1 PASOLINKの拡大
   簡易型マイクロ波通信システムとしてNECが開発したPASOLINKは、今次報告で「主にケ―タイ事業者の基地局を結ぶ通信システムとして使われているパソリンクの海外向け累計出荷台数が67万台に」、そして出荷台数の世界シェア2位を獲得した(2006)旨が記された。本年9月末に、海外累計出荷台数が67万台(129国)まで拡大したが、4年前には13万台(89国)であったから、革新的著増である。
2-2-2 このほか、「海外におけるWiMAX事業」、「ワンセグ+ヤマハサウンドのケ―タイ」、「DVDレコ-ダの25db静音レベル」、「有効画素数198万、顔認証1秒のノ-トパソコンLaVie」に、次世代の具体増がイメ-ジされる。なお、WiMaxについては、
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ WiMAX ご参照
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NEC、NGN 、PASOLINK、ケ―タイ、ヤマハサウンド

2007年12月18日火曜日

Creating New Market and New Business Model

Creating New Market and New Business Model by IP Application:平成20年度内閣知財計画案の「知的財産を活用して新たな市場・ビジネスモデルを切り拓く」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-18 知財フロンティア開拓の具体的方策

1. 知財フロンティア開拓とイノベ-ション
1-1 「イノベ-ション」の定義は諸政策、諸機構によって多様に表現されているが、SANARI PATENTは、「技術と制度の革新による社会経済の変革」と解するので、平成20年度内閣知財計画案の「知的財産を活用して新たな市場・ビジネスモデルを切り拓く」ことを最重点課題と考える。
1-2 計画案のSANARI PATENT要約と考察
1-2-1 課題
 (計画案)
技術革新が進捗しても、知的財産制度上の隘路が解消されないと、イノベ-ションの創出は実現できない。知的財産制度やル―ルが未整備であったり、現在のビジネス実態と乖離していることにより、新たな事業の円滑な活動に支障が生じている例が見受けられる。
(考察)
極めて率直に申しあげて、粗雑な表現である。
(1)「知的財産制度の隘路があっても」、「技術革新が進捗して」、イノベ-ションが進捗する場合もある。制度の弾力的解釈や運用によって、または法律や政省令以下の通達段階で、制度を改革できる場合も多く、関係者の利害関係がこれを妨げている場合も多い。特に著作権関連。
(2)「新たな事業の円滑な『活動』に支障が生じている例」より前に「新たな事業の『創業』自体が妨げられている場合も多い。特に薬事・医療関連。
1-2-2 人材
 (計画案)
新たなビジネスモデルを世界に先駆けて構築するためには、独創的なアイデアと実行力を有するクリエイティブな人材が求められているが、わが国はこのような人材を十分輩出できていない。
 (考察)
例えば、米国」のコンテンツ事業分野では、コンテンツ事業の関連制度と経営特質を知った弁護士が「独創的なアイデアと実行力を有するクリエイ ティブな人材」として輩出している。米国の弁護士員数は約100万人で、わが国弁護士数2万余に比べて圧倒的に層が厚い。
また、わが国では理工医薬系大学学部ですら、特許出願書類の作製技術を課程に置いていないから、着想を自己資金で権利化できない。
さらに、例えば韓国のサムスンは、テレビ東京WBS(2007-12-13)によれば、「ケ―タイ学科」を学生の生活費まで負担して大学に開講したが、わが国の産学連携は、ライセンス料の取得を急ぐ大学と、未実施特許のライセンス料支払いを拒む企業との相克が問題になっている現状である。

2. SANARI PATENT所見
2-1 上記のように、新たに「知財フロンティアの開拓」と称するまでもなく、既存の課題を既存の計画で直ちに実現できる項目も多いと考える。
2-2 また、知的財産権に依存しない国際競争力との競争も重要である。例えば、LCC航空(Low Cost Carrier)の日本市場進出をasahi.com2007-12-17が報じたが、徹底したコスト削減で国内大手の5分の1の運航コストというから、LCCビジネスモデルの多様化と併せて、国際競争力を総合的に検討しなければならない。
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IP Application、イノベ-ション、韓国、サムスン、ビジネスモデル

2007年12月17日月曜日

Where and What is Japanese IP Frontier ?

Where and What is Japanese IP Frontier ? 平成20年度内閣知財計画における「知財フロンティア開拓」の3局面
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-15 分野別知財戦略の構成

1. 知財フロンティアの開拓
1-1  平成20年度内閣知財計画には、「目指すべき基本理念と基本戦略」として先ず、「知財フロンティアの開拓」が掲げられる。(以下SANARI PATENT要約)
1-1-1 イノベ-ションの連続的な創出を促進して国際競争力を強化することは、先端的技術領域でより独創的な技術を開発し、その技術を新たなビジネスに活かすことで、グロ-バルな市場を勝ち抜く力を獲得することに他ならない。
(SANARI PATENT考察)
 上記は原案そのままの文章であるが、役所流に添削・加筆している間に、変な文章になっている。簡潔に知りたい国民のためには、次のように書く方が良い。
1-1-1-1 「国際競争力の強化」とは、「グロ-バル市場で勝ち抜く力を獲得すること」である。
1-1-1-2 「国際競争力を強化する」ためには、「イノベ-ションの連続的な創出を促進しなければならない。」
1-1-1-3 「イノベ-ションの連続」のためには、「先端的技術領域でより独創的な技術を開発し、その技術を新たなビジネスに活かしてゆかなければならない。」
1-1-2 上記国際競争力の強化を実現するためには、より大きくかつ力強い「知的創造サイクル」を実現し、知的財産の創造・保護・活用を従来以上に活性化することが不可欠である。今回の4つの最先端重要技術分野における検討の結果、「知的創造サイクル」を次の3つの方向に大きく舵を切る必要があると考えられる。
1-1-2-1 「技術フロンティア」に向けた拡大
1-1-2-2 「制度フロンティア」に向けた拡大
1-1-2-3 「市場フロンティア」に向けた拡大
1-1-3 「知財フロンティアの開拓」とは、上記3つのフロンティアを同時開拓することである。

2. SANARI PATENT所見
  上記のように、1-1-3まで読むと、「知財フロンティアの開拓」の意味が分かるようになっている。要するに従来の、平成19年度内閣知財計画までの知的財産の「創造・保護・活用」を、「技術フロンティア」「制度フロンティア」「市場フロンティア」もそれぞれに向けて拡大することが「知財フロンティアの開拓」であると、理解すべきである。
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IP Frontier、知財フロンティア、内閣知財戦略本部、イノベ-ション、知的財産

2007年12月16日日曜日

SANARI PATENTK DDI Offers Business Port Service

KDDI Offers Business Port Service Cooperating With Microsoft 企業向けSaaS型ソリュ-ションサ-ビスをKDDIが開始
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 2007-12-16 KDDIのSaaS業務
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-1216 東京アニネセンタ-
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/2007-12-16 高級鋼市場

1.SaaSという用語
1-1 新世代ネットワ-クサ-ビスの例示として、内閣知財戦略本部や総務省の政策に「SaaS」という用語が登場しているが、直接一般ユ-ザ-には馴染んでいない。しかし、ゆうちょ銀行、すなわち郵便局の「顧客対応システム」としてSaaSを日立ソフトウェアが提供することは、別サイト、
http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-11-08 日立ソフトウェア」に述べた。
1-2 KDDIが提供開始
 KDDIの「TIME & SPACE」誌の最新号には次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-2-1 KDDI とマイクロソフトは、SaaS型ビジネスに関する包括提携契約に基づき、企業向けの新しいSaaS型ソリュ-ションを、「Business Port」のブランドで提供開始する。
1-2-2 「Business Port」によってユ-ザ-は、ソフトウェアベンダ-やソリュ-ションパ-トナ-が提供する多様なアプリケ-ションを、ネットワ-カ-を通じて、必要に応じて月単位で利用できる。
1-2-3 複数のアプリケ-ションを連携させるマイクロソフトの技術を用いて、KDDIの協業パ-トナ-の各アプリケ-ションを連携させ、協業パ-トナ-が企業利用者に新しいサ-ビスを提供してユ-ザ-ゆくための基盤となる。
1-2-4 パソコンだけでなく、auケ―タイからも利用可能なソリュ-ションを提供する。
1-2-5 以上を総合して、要するにユ-ザ-は、アプリケ-ションの利用登録、料金請求、ヘルプデスク対応などをKDDIの一括処理に依存できるため、ワンストップで多様なアプリケ-ションを使い勝手良く利用できることとなる。
1-2-6 「Business Port」業務アプリケ-ションの第1弾としてKDDIは、
  Microsoft Office Outlook 2007のメ-ルやスケジュ-ル機能などを統合し、パソコンとauケ―タイの双方から利用できるビジネスコミュニケ-ションウエア「KDDI Business Outlook」を、来年3月から提供する。
1-2-7 KDDIは、「Business Port」を通じて、パソコンとケ―タイの垣根を超えて、わが国におけるSaaS市場の本格的な創出・拡大に取組んでゆく。
2.SANARI PATENT所見
   SaaSは、「Software as a Service」のことである、と言われても、実感が湧かない。冒頭に引用した「日立ソフト・ゆうちょ銀行」や、上記KDDIの事例を具体的に考察して評価することが適切である。
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SaaS、KDDI、Microsoft、日立ソフト、ゆうちょ銀行、アプリケ-ション

2007年12月15日土曜日

Taiyo Ink Co.’s Resist Ink for Printed Wiring Board

Taiyo Ink Co.’s Resist Ink for Printed Wiring Board プリント配線用レジストインキのグロ-バルリ-ディング企業・太陽インキ製造をテレビ東京WBSが知的立国で詳報
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-14 東洋インキ

1. インキ製造各社の個性
1-1 「インキ」を冠する各社は、それぞれ自社の特色を掲げているが、テレビ東京WBS(2007-1-2-11)が「知財立国」への福田内閣の取組みを放映するに際して、太陽インキ製造の映像を詳報製造ことから、一般の視聴者にも、「インキ」業界の先端性が周知される契機ともなった。
1-2 太陽インキ製造は、「プリント配線用レジストインキのリ-ディングカンパニ-」を自負し、上記番組もこれを裏付けたが、その内容を以下考察する。

2.「プリント配線用レジストインキ」の機能
2-1 「プリント配線板」は、絶縁基板上に導電性の配線パタ-ンをメッキやエッチングなどの化学的手法、または誘電性ペ-ストによって配線を形成した板」である。
2-2 「レジストインキ」は、プリント配線板上に施す耐熱性被覆材料で、後工程のハンダ付けで不要な部分にハンダが付かないようにすると共に、回路パタ-ンや基板を保護・絶縁する機能を営む。
2-3 プリント配線板には、リジッド基板、モジュ-ル基板、フレキシブル基板、ビルドアップ基板などの種類があるが、基板の種類を問わず、レジストインキは欠かせない。太陽インキ製造はレジストインキの専業メ―カで、特にリジッド基板に使われるソルダ-レジストインキの製造販売で世界のリ-ダ-になっていることが上記テレビ東京WBSでも注目された。
  なお、「リジッド基板」とは、硬い材質の絶縁基板を使用した配線板である。

3.太陽インキ製造の特色
  プリント配線用レジストインキでトップ。海外比率77%に達する。主力のプリント配線板用部材の需要を、中国の伸びが牽引し、高付加価値のモジュ-ル基板用も国内・台湾向けが原料高をこなす価格を形成している。韓国・中国での生産を増強する。(野村證券・東洋経済の会社四季報による)
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Resist Ink、太陽インキ製造、プリント配線板、リジッド基板、モジュ-ル基板

2007年12月14日金曜日

Innovation of Company vs. Innovation of Nation

Innovation of Company vs. Innovation of Nation:「国策としてのイノベ-ション」と「企業戦略としてのイノベ-ション」: 参考例として大日本印刷の場合
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 「偽」に克つ東洋インキ新製品
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ ブログの進化
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ ブル-レイの現在シェア

 内閣知財戦略本部の平成20年度知財計画は、国策としてのイノベ-ションを推進するための知財戦略であるが、イノベ-トされた国家像がどのような構造と内容を具備するのか、示すものではない。

 「国策としてのイノベ-ション」に対して「企業戦略としてのイノベ-ション」は、企業が日々熾烈な企業間競争で優劣を明示されることから、極めて具体的に計画され実現に導かれる。

 従って、企業のイノベ-ションによる変容は、半期ごとの事業報告を見ても  剋目に値する場合が多い。その例として、大日本印刷の今次中間報告を見る。

1. 大日本印刷が今次トッピックスとして掲げた事業(SANARI PATENT要約)
1-1 ケ―タイ向けに週間コミック雑誌「ANGIE」の配信開始
  週間コミック雑誌「ANGIE」の、大日本印刷が運営するケ―タイ向けコミック専門サイト「まんがごっち」における独占配信を開始した。今後も、コンテンツの品揃えの拡充、サ-ビスの向上を図り、電子書籍配信事業を拡大する。
 (SANARI PATENT考察)
  内閣知財戦略本部の「コンテンツの創造・流通・活用政策」の新たな担体として、印刷業界の潜在力が発揮されることとなる。
1-2 印刷用画像デ―タ制作ガイド「デジタルカメラ入稿ガイド」を配布
  印刷物の原稿に適した画像デ―タを制作するための基準を定めたもので、得意先やプロカメラマンに配布する。今後は、この基準を浸透させると共に、画像デ―タ処理の技術を開発する。
 (SANARI PATENT考察)
  印刷会社が、所与の画像を印刷するのではなく、画像デ―タの制作を先導する局面となる。
1-3 東京大学とバイオ微小電子機械システムを共同開発
大日本印刷は、微小電子機械システムの設計から試作・量産まで一貫したサ-ビスを展開しており、今回、医薬品開発支援などに使用されるバイオ微小電子機械システムの分野でも、試作・量産サ-ビスを本格的に開始する。
1-4 18ナノメ-トルの半導体プロセスに対応:ナノインプリント用テンプレ-トの開発に成功
   大日本印刷は今回、半導体基板シリコンウエハ上への18ナノメ-トルの微細なパタ-ン転写に成功した。これにより、次世代半導体など将来拡大が見込まれる市場に先行参入する。
1-5 米国パロアルト研究所と共同でケ―タイ向け情報推薦システムを開発:現在地や時間から予測した行動に生活者の嗜好を加味した「街なか」の情報を配信
    「街なか」の情報は、生活者が居る場所や時間帯、個々の嗜好に応じてケ―タイに配信されるため、生活者は、自ら情報を探索することなく、最適なタイミングで状況に適した情報を入手できるようになる。
  (SANARI PATENT考察)
   次世代ネットワ-クの特質として、総務省が掲げる「ネットワ-クの予測機能を先行して具体化したものと考える。

2. SANARI PATENT所見
   大日本印刷は、印刷の製版工程で用いられる「版画像制作および焼付における微細加工技術」を応用して、既に半世紀前、カラ-ブラウン管シャドウマスクの開発に成功している。ケ―タイなどのフォトマスクにも、この技術が活かされている。
   大日本印刷は、この技術の応用対象をバイオ・医療分野に拡大することとなる(Bio Micro Electro Mechanical System)。印刷業界にとどまらないイノベ-ション効果を、企業自体のイノベ-ションと共に顕現してゆくと考える。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Micro Electro Mechanical System、大日本印刷、印刷、東京大学、微細加工技術

2007年12月13日木曜日

SANARI PATENT Innovating Materials

Innovating Materials 三菱ガス化学のメタキシレン系事業を範例として
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 明電舎の新製品
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 中国・フランスのMIKI
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 高純度化学の貴金属関連

  平成20年度内閣知財計画の柱の一つが「ナノテクノロジ-・材料分野」の知財政策である。そこでこの分野名称の検討から始める。

1.「ナノテクノロジ-・材料」という用語
1-1 この用語で一つの分野を表現することは、科学技術的でない想いがするが、内閣知財戦略本部、そしてその典拠である内閣科学技術会議自体がこの用語を用いているから、意味を理解して慣用することおなる。最小限、認識できることは、「ナノテクノロジ-・材料分野」という用語は、「ナノテクノロジ-分野」および「材料分野」という意味で用いられていることである。
1-2 新しい材料の開発がイノベ-ション(社会経済の跳躍的進歩)(SANARI PATENT 注:非連続的革新という表現の方が多い)に直結することは明らかであるが、どのような材料の開発が、どのようなイノベ-ションに直結するかが課題である。
1-3 その範例を求める意味で、本年度上半期の事業報告から先ず、三菱ガス化学のトッピックスを考察する。

2.三菱ガス化学のメタキシレン系事業(SANARI PATENT要約)
2-1 メタキシレンは、混合キシレンに含まれる成分のうち、最も分離が困難な成分である。三菱ガス化学は、このメタキシレンの商業生産を超強酸HF-BF3を用いた高度技術によって世界で始めて成功させた。
2-2 三菱ガス化学は、その誘導品の製造研究と用途開発を続け、独自の機能を持つ多様な製品を創出してきた。この結果、三菱ガス化学は、メタキシレン系事業においてグロ-バルトップシェアを有する。
3-3 三菱ガス化学水島工場で生産されたメタキシレンは、その大半が三菱ガス化学グル-プ内で自消され、多様な製品、例えば、MXナイロンになる。MXナイロンは、ガスバリア性に優れた樹脂で、食品の風味を保つために用いられている。
3-4 また同じくメタキシレン誘導体レニ-(三菱ガス化学の登録商標)は、機械的強度・防振性に優れたエンジニアリングプラスチックで、ケ―タイの筐体などに用いられている。
3-5 同じくメタキシレンから誘導される高純度イソフタル酸は、PETボトルの透明性と品質改善に使われるほか、ピ-チスキン、シルク調と言われる風合いの高級ポリエステル繊維や、プレジャ-ボ-トに使われる強化プラスチックの原料として用いられる。

4.SANARI PATENT所見
  電気通信分野に対比すれば、メタキシレンが基本特許・ノウハウに相当し、メタキシレン系誘導品が周辺特許・ノウハウに相当すると、SANARI PATENTは考える。誘導品の一つ、MXナイロンについては、米国にMGC Advanced
 Polymersが既存し、製造を開始しているなど、三菱ガス化学がメタキシレン系事業の世界的リ-ディングカンパニ- として地位を固めていることは、国際競争力強化の知財政策上、一つの範例と考える。
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三菱ガス化学、メタキシレン、NXナイロン、高純度イソフタル酸、強化プラスチック

2007年12月12日水曜日

SANARI PATENT IP Policy for Info-Telecom

IP Policy for Info-Telecom: 情報通信の共通基盤・インフラについて相互利用・オ-プン化の推進、パテント・トロ-ルの権利濫用性不明確な場合への対応
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイトhttp://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ NTTデ―タの方向性
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 組込ソフトウェア
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ パテントトロ-ル対策

  先ず、内閣知財戦略本部・情報通信プロジェクトチ-ム報告(2007-10-30)の「対応策」の章を要約し考察する。
1. 共通基盤に対する知的財産制度の在り方
(要約)当面の重要課題「情報通信技術に関する権利者の分散と権利関係の錯綜化」に対応するため、次のモデルが提案されている。
1-1 相互運用性を確保するため、共通基盤・インフラについて相互利用・オ-プン化を進める。
1-2 個別技術の部分では知的財産権による差別化・囲い込みにより利益を確保する。
(考察)共通基盤の「共通」、「インフラ」の受益範囲の広狭によって対応策が異なる側面がある。例えば、国際電気通信のようにグロ-バルな範囲にわたるインフラについては、国際標準化と、それを基盤とする個別差別化による競争が並存することが望ましい。
2. 技術の相互利用の取組方法
(要約)クロスライセンス、パテントコモンズ、パテントプール、国際標準、OSS等の枠組みを活用する。
2-1 パテントコモンズ
ソフトウェア分野を中心として、パテントコモンズという新概念が欧米で導入され始めた。相互接続に不可欠なエッセンシアル・ファシリティとして広く使用すべき基盤技術のパテントは共用すべきであるという制度論である(SANARI PATENT 注:「共用」であって、「共有」化ではない。特許権者が特許権を保有しつつ、一定条件下でその自由使用を認める)。
2-2 パテントプール
複数権利者が、ライセンス権限を特定の企業・組織に委託する枠組みであるが、非参加者との排他的独占関係や参加者間の関係(SANARI PATENT 注:有力特許権を有する特定参加者への特別対応など)が、不公正取引に該当する場合がある。
2-3 国際標準化
「共通パテントポリシ-の実施ガイドライン」(ISO/IEC/ITU 2007-3)の具体的化が課題である。
(考察) わが国企業が、デファクト国際標準を樹立できるよう、特許戦略を強化し、内外の市場制覇を達成することが必要であり、諸般の共同化形式は、この前提が実現されなければ、いずれも意義がない。

3. 知的財産権濫用への対処
(要約) パテント・トロ-ルについては、「権利行使の態様が、明らかに知的財産権の濫用である」という見方と、「どのような態様を想定し、どのような措置を講ずるのか、詰めることが困難である」という見方がある。換言すれば、濫用性が明確な場合と、線引き困難な場合がある。
(考察) わが国にも、パテント・トロ-ル的現象が発生する可能性に対処し、米国最高裁判決(2006-5-1 MercExchange・eBay事件判決)が示した差止請求認容の4条件、すなわち、「差止を認めないと、原告(実際上パテント・トロ-ル業者)が回復不能な損害を受ける」、「損害賠償だけでは救済できない」、「原被告双方の損害バランス」、「(差止めても)公共の利益に反じない」を準用するなど、対応を平成20年度内閣知財計画に予定すべきである。
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国際標準化、パテントプール、包括ライセンス契約、パテント・トロ-ル

2007年12月11日火曜日

SANARI PATENT 日本触媒の知財戦略

Nippon Shokubai Acquires Sino-Japan Chemicals Shares from Daiichi Sankyo for Producing Variety of Surfactants 日本触媒の界面活性剤事業等
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

重要材料分野の国際競争力強化がわが国知財政策の眼目であるが、例えば日本触媒が、高吸水性樹脂で世界トップ、アクリル酸で世界第2位を占め、新分野の電子材料分野で高成長を示していることは、上記政策達成の意欲を高揚する。
 わが国のGDP成長率が2%前後を動揺しているのに対して、本年度上半期の日本触媒事業報告は、同上半期売上高が1484億5500万円(売上原価1197億円4200万円)、全年同期比18.9%の増収を記録している。

 
 野村證券・東洋経済の会社四季報によれば海外比率47%で、国際展開力に富む企業と評価される。以下上記報告を要約・考察する。

1. 日本触媒の機能性化学品事業(SANARI PATENT特記事項)
1-1  高吸水性樹脂は、世界的に需要が拡大し、中近東、欧州、南米向けを中心に拡販した。(SANARI PATENT 注:高吸水性樹脂、すなわち、アクリル酸重合体ナトリウム塩架橋物は、スポンジや綿の数百倍の吸水性・保水性を有し、工業・農作・生理衛生の広汎な用途に応用される)。
1-2  電子情報材料は、新規製品を中心に拡販した。
1-3  その他の営業品目は、医薬中間原料、コンクリ-ト混和剤、無水マレイン酸、沃素など。

2. 環境触媒事業
2-1  自動車触媒は、貴金属価格の高騰を受けて販売価格が上昇したことにより増収となった。(SANARI PATENT 注:淡々とした表現であるが、価格シフトのバランス関係が推測される)。
2-2  プロセス触媒、脱硝触媒、ダイオキシン類分解触媒、排ガス処理触媒は、順調に推移した。

3. 日本乳化剤と中日合成化学股扮有限公司の子会社化
 日本触媒は、「日本乳化剤と中日合成化学股扮有限公司の子会社化」について公表したが(2007-11-30)、次のような内容で、国内外にわたるエチレンオキサイド事業の編成動向が観察される。(SANARI PATENT要約)
3-1  日本触媒は、昨年度にスタ-トさせた中期経営計画に基づき、「個性的な技術で新たな価値を創造する国際企業」を目指した取組を行ってきた。
3-2  その中でエチレンオキサイド事業については、市況に左右されない事業基盤の確立を目指し、汎用品化が進んだエチレングリコ-ルの生産比率を低め、それ以外のエチレンオキサイド誘導品事業を拡充するエチレンオキサイドセンタ-化構想を推進して、事業全体の高付加価値化を進めている。
3-3  上記方針の一環として日本触媒は、第一三共の100%子会社である日本乳化剤の全株を取得すると共に、第一三共の子会社である中日合成化学股扮有限公司(台北)の第一三共持分株式全分野を取得することとした。
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日本触媒、第一三共、エチレンオキサイド、高吸水性樹脂、界面活性剤
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 松下電器産業の知財戦略
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 帝人の知財戦略

2007年12月10日月曜日

SANARI PATENT

Furukawa Denko Places Chief Strategy Officer 古河電工総合技術展の成果
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-9東洋紡の機能樹脂
 材料分野が平成20年度知財戦略の一つの柱になるので、古河電工の本年度上半期事業報告に、SANARI PATENTの関心が強かったのも、必然的である。
 以下、同報告を要約し、考察する。

1. CSO(Chief Strategy Officer)設置の主眼
 (要約)
1-1  経済のグロ-バル化による国際競争の激化、世界的な環境問題の深刻化、わが国の少子高齢化など、時代が大きく変わりつつある。今や、戦略を強化しなければ企業の存続も発展もない。そのため、本社の大半の部門を「戦略を持つ集団」にすることが必要と考えた。
1-2  戦略性を発揮するためには、各部署の専門性を追及した上で、豊かな発想力と行動力が必要である。従来のCAOでは、administration(管理)で、客観的な立場での整理や事務処理が主となりがちであった。そこで、自発的に戦略性をもって行動できるよう、意識変革のためCSO(Chief Strategy Officer)を設置することとした。
(SANARI PATENT考察)
 CSOの職務が、経営企画、法務、人事総務、資産運用を含み、古河電工グル-プ全体の戦略の立案・実施を推進し、新事業の創出、子会社の統合、買収防衛に至るまで、総合的かつ能動的に構成されていることに、改革の意欲が強烈に感じられる。

2. 古河電工グル-プ総合技術展の成果
 {要約}
  本年10月に東京国際フォ-ラムで開催したが、テ-マを「価値創造の種が、ここにある」とした。「Bound to Innovate」の旗印のもと、製販一体となって「顧客価値創造企業」への発展を具体的に提示できた。すなわち、
2-1 エレクトロニクス
ケ―タイなどの最終製品の中で利用されている製品・技術を可視化(大型Visual Mock Up)して紹介した。
2-2 エネルギ-およびコンストラクション
送電の安定・確実を継続する製品群を展示した。
2-3 フュ-チャ-テクノロジ-
メタル・ポリマ-・超伝導・フォトニクスの最先端分野をプレゼンすると共に、古河電工の素材力のロ-ドマップを紹介した。
(SANARI PATENT考察)
「素材力」という戦略が、平成20年度内閣知財計画のキ-ワ-ドになると考える。
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古河電工、ケ―タイ、価値創造、素材力

2007年12月9日日曜日

地域ブランドの農工連携

Promotion of Local Brand by Electronics-Agriculture Cooperation:地域振興に株主優待の活用:日本電子材料と七城のお米の連携
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Web検索SANARI PATENT

 最近の株主優待著増は、敵対的M&A対策としての安定株主増加手段であるとか、様々な解説が経済雑誌を賑わせている。受け取る側から言えば、例えば、味の素は、新製品を次々に開発しており、その紹介を株主優待品に託しているので、新製品の知識を得るのに好都合である。低カロリ-甘味料の新「パルスイ-ト」 も、味の素アスパルテ-ム由来の開発製品として紹介されたが、適正血糖値を保持するための甘味料として好適であり、優秀な薬局では常備している。

 いま届いた産直の菊池川流域米「七城のこめ」は、日本電子材料の株主優待品であった。地域ブランドの電子・米作連携振興として、SANARI PATENTもここでPRの一端を担うこととする。

1. 日本電子材料(東証1部)
1-1 野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、日本電子材料の特色は、半導体検査用のブロ-ブカ-ドの大手で、ブラウン管カソ-ド等から出発して、海外比率向上にも注力し、現在その比率35%。
1-2 マイクロマシン技術を用いたブロ-ブカ-ドの新製品を今期投入。
1-3 原価低減策として、中国・ベトナムの協力工場への生産移管比率拡大を検討している。(SANARI PATENT 注:半導体メ―カの側では、テストコスト低減のため、テスト工程の集約化を進め、ファイナルテストを極力省いて、ウエハレベルでのブロ-ブカ-ド)テストを増加している)。
1-4 日本電子材料は、半導体素子の多機能化に伴う多様な特性のブロ-ブカ-ドを開発供給してゆく。

2.「七城のこめ」と日本電子材料
2-1 日本電子材料の主力工場である熊本工場の所在地・菊池七城の特産品が「七城のこめ」である。菊池地域農協の七城支所が「江戸時代から、うまい米の代名詞といわれた菊池川流域米七城米」として、次のように推奨してきた。
2-1-1 七城の水田地帯は、花崗岩を母材とした美味米最適の砂壌土である。菊池川の水は豊富なミネラルと酸素を含む。内陸盆地で稲作に最適気候である。
2-1-2 農水省所管の日本穀物検定協会による「米の食味ランキング」の最高位「特A」を獲得している。
2-2 日本電子材料と菊池地域農協の、次の合同挨拶は、地域ブランド振興の農工連携の模範例であるとSANARI PATENTは考える。
2-2-1 半導体の製造に欠かせない良水に恵まれた九州、熊本には半導体メ―カの工場が数多く存在しています。日本電子材料は昭和60年に菊池に、半導体ウエハの検査用部品「プロ-ブカ-ド」の製造を開始しました。現在、世界各国へのプロ-ブカ-ド供給拠点として半導体産業の発展を支えております。
2-2-2 七城のお米は、農工一体のまちづくりの一環であります。
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日本電子材料、プロ-ブカ-ド、味の素、熊本、七城