2007年12月11日火曜日

SANARI PATENT 日本触媒の知財戦略

Nippon Shokubai Acquires Sino-Japan Chemicals Shares from Daiichi Sankyo for Producing Variety of Surfactants 日本触媒の界面活性剤事業等
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

重要材料分野の国際競争力強化がわが国知財政策の眼目であるが、例えば日本触媒が、高吸水性樹脂で世界トップ、アクリル酸で世界第2位を占め、新分野の電子材料分野で高成長を示していることは、上記政策達成の意欲を高揚する。
 わが国のGDP成長率が2%前後を動揺しているのに対して、本年度上半期の日本触媒事業報告は、同上半期売上高が1484億5500万円(売上原価1197億円4200万円)、全年同期比18.9%の増収を記録している。

 
 野村證券・東洋経済の会社四季報によれば海外比率47%で、国際展開力に富む企業と評価される。以下上記報告を要約・考察する。

1. 日本触媒の機能性化学品事業(SANARI PATENT特記事項)
1-1  高吸水性樹脂は、世界的に需要が拡大し、中近東、欧州、南米向けを中心に拡販した。(SANARI PATENT 注:高吸水性樹脂、すなわち、アクリル酸重合体ナトリウム塩架橋物は、スポンジや綿の数百倍の吸水性・保水性を有し、工業・農作・生理衛生の広汎な用途に応用される)。
1-2  電子情報材料は、新規製品を中心に拡販した。
1-3  その他の営業品目は、医薬中間原料、コンクリ-ト混和剤、無水マレイン酸、沃素など。

2. 環境触媒事業
2-1  自動車触媒は、貴金属価格の高騰を受けて販売価格が上昇したことにより増収となった。(SANARI PATENT 注:淡々とした表現であるが、価格シフトのバランス関係が推測される)。
2-2  プロセス触媒、脱硝触媒、ダイオキシン類分解触媒、排ガス処理触媒は、順調に推移した。

3. 日本乳化剤と中日合成化学股扮有限公司の子会社化
 日本触媒は、「日本乳化剤と中日合成化学股扮有限公司の子会社化」について公表したが(2007-11-30)、次のような内容で、国内外にわたるエチレンオキサイド事業の編成動向が観察される。(SANARI PATENT要約)
3-1  日本触媒は、昨年度にスタ-トさせた中期経営計画に基づき、「個性的な技術で新たな価値を創造する国際企業」を目指した取組を行ってきた。
3-2  その中でエチレンオキサイド事業については、市況に左右されない事業基盤の確立を目指し、汎用品化が進んだエチレングリコ-ルの生産比率を低め、それ以外のエチレンオキサイド誘導品事業を拡充するエチレンオキサイドセンタ-化構想を推進して、事業全体の高付加価値化を進めている。
3-3  上記方針の一環として日本触媒は、第一三共の100%子会社である日本乳化剤の全株を取得すると共に、第一三共の子会社である中日合成化学股扮有限公司(台北)の第一三共持分株式全分野を取得することとした。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
日本触媒、第一三共、エチレンオキサイド、高吸水性樹脂、界面活性剤
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 松下電器産業の知財戦略
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 帝人の知財戦略

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