2008年7月31日木曜日

TOSHIBA Intellectual Property Report 2008

TOSHIBA Intellectual Property Report 2008 : 東芝の4~6期決算におけるセグメント別状況の多様性と、今次東芝知的財産報告書
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog マネジメントシステム規格認証制度の信頼性確保のためのガイドライン(20080730記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 松下電器産業の特許開発(20080730記事)
別サイト http://sanaripat.exblog.jp 内閣知財戦略本部調査会における三尾美枝子弁護士のブランド政策論(20080730記事)

  本年度第1四半期の東芝売上高は1兆6187億円で、前年同期比3%減と発表されたが、セグメント別状況の相違が顕著に見受けられる。
 一方、本年3月期の東芝知的財産報告書は、グローバルな経済・技術動向に対応しつつ活発な知財開発が進められていることを示している。

1.東芝第1四半期のセグメント別状況(SANARI PATENT要約)
1-1 デジタルプロダクツ: 売上高3%減、大幅増益。 増益はパソコン事業、テレビ、ハードディスク装置の好調による。
1-2 電子デバイス: 売上高3%減、減益。 半導体事業が、システムLSI事業の不振、NAND型フラッシュメモリの価格下落、円高により減益し、液晶事業は改善したが、セグメント全体としては減益した。
1-3 社会インフラ: 売上高4%増、増益。 発電システム事業、昇降機事業、電力流通・産業システム事業が好調であった。
1-4 家電: 売上高8%減、減益。 個人消費の低迷、照明事業・空調事業に対する建築基準法改正が影響した。
2 東芝の今次知的財産報告書(SANARI PATENT要約)
2-1 東芝は知的財産戦略を、事業成長・研究開発と三位一体化して推進し、知的財産権の出願・活用・管理を三本柱として、利益ある持続的成長実現の具体的施策を推進している。
2-2 東芝の知的財産部門は、事業環境の変化に対応し、グローバル化,グル-プ化を強化している。すなわち、グローバル化では、事業のグローバル化加速に対応する知的財産力の強化を、知的財産要員のグローバル化対応などにより進めている。グル-プ化については、東芝本社の知的財産部が、社内の研究所・カンパニーだけでなく、関係会社との連携も密にして、東芝グル-プとしての知的財産管理を推進している。特に、東芝テック、東芝松下Display Technology、東芝エレベータ、東芝ソリューション、東芝メディカルシステム、東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングスとの関係を強化し、独自性を保ちつつ、東芝グル-プにおけるデジタルプロダクツ等の開発を進めている。

2.SANARI PATENT所見
電気・電子機器各社の今次4~6四半期の業績は多様な状況を示している。わが国の輸出減少も顕著となり、インド等への事業進出が活発化しつつあるが、各社の知的財産報告書も、東芝のそれと同様に、イノベーションとの関連など広い視野に立つ記述が望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.Com に送信下さい)
TOSHIBA 、Intellectual Property Report、東芝テック、東芝松下Display Technology、東芝エレベータ

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2008年7月30日水曜日

COSEL Offers Ultra Smaii Size Ac-DC Power Supplies

COSEL Offers Ultra Smaii Size Ac-DC Power Supplies, DC-DC Converters of the State-of the-Art Technologies, Effective Noise Filters :二人起業からグローバル企業に
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  Secret Patent System etc, METI Releases Report on Business Secrets Policy(20080729記事)

 ものづくり優秀中小企業の事例を中小企業庁が毎年発表しているが、「現中小企業」を対象とするため、小規模企業からグローバルに独自製品を拡販して東証1部の企業に列した事例は対象外という、おかしな結果になっている。
 丁度、コーセル株式会社の事業報告(2007-5-21~2008-5-20)が届いたので、富山市に電器販売の個人企業として発足以来の知財開発ぶりを参考とする。

1.コーセルの現況
1-1 コーセルのWeb Siteトップページには、Select Your Languageとして、English、Chinese、Korean、German、Frenchが掲げらているが、全て国語版と完全に整合していることが、多くのわが国大企業の場合以上に優秀であると、SANARI PATENTは考える。従って例えば、Noise Filterを中国語で、というときに、「和躁声濾過器」という常用漢字表現がひとまず発見できる。汎用語としては、「可満足不同客戸的需求」が、カスタマイズ応需(「重点顧客における提案能力」を含む)の強みを示す。
1-2 今次報告では、「新商品であるノイズフィルタと組込電源の拡販に注力し、海外営業においては、引続き新規引き合い獲得の増加と新規ユーザーの開拓に注力してきた」と述べている。特に前年度に開設したインド、中国、スェーデンにおいて営業活動を活発化している。
1-3 本月に入って発表した「分散型電源システムの構成に最適なアルミベースモジュール」の新製品は、「並列運転や出力可変などの各種機能を搭載」するDC-DCコンバータである。「金属基板の使用により高電力密度・大電力出力を実現「、「広い出力電圧可変範囲により任意の出力電圧設定が可能」「過電流保護・過熱保護回路」「インバータ動作モニタ・過熱検知信号出力」「入力・出力双方側からリモートコントロール可能」「並列運転可能」「N+1冗長運転可能」と説明している。
2 SANARI PATENT所見
2-1 コーセルは、キムラ電器販売の個人店として発足し(1967)、これを発展的に解消してエルコー株式会社を設立(1696)、TOC導入等を経て、優良企業として中小企業表彰(1984)、トヨタ生産方式導入(1988)、社名をコーセルと変更しVI(視覚統合)を導入(1992)、東証1部上場(2000)と経過し、この間、アジア・欧州等の各地に事業所を開設している。
2-2 最近の特許公開状況を見ても、スイッチチング電源装置(低コストで遅れ時間が比較的大きなコンパレータを制御回路に使用しても、出力電圧安定性が高く、スイッチング周波数を高周波化することが可能となり、低コストのスイッチチング電源装置を提供する)(公開日2008-6-5)など、技術開発が活発である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい
COSEL、コーセル、Noise Filter、DC-DC Converter、分散型電源システム

2008年7月29日火曜日

NAMA (Non Agriculture Market Access)Fields

NAMA (Non Agriculture Market Access)Fields’ WTO Negotiation:「非農産市場アクセス」に関するWTO交渉について経済産業事務次官応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog ORIXの金融・資本ビジネスモデル(20080728記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  角川のクロスメディア(20080728記事)

 今次WTO交渉の結果が国際価格体系と国際物流に影響をもたらし、知財開発に新たな動因を誘発することは確実であると、SANARI PATENTは考える。その意味で、昨日の経済産業事務次官・定例記者会見の内容を考察する。

1.WTOについて(SANARI PATENT要約)
1-1-1 質疑: ラミー事務局長が合意案を提示し、最終合意に向けて大詰めの交渉をしていると思うが、見通しはどうか。
1-1-2 応答: 調停案は、多くの国から、収れんに向けた交渉のベースとして受け入れられているが、依然として各国間の意見の相違が見られる論点も少なくない。今日以降も引続き少数国会合や全体会合が開催され、農業とNAMAのモダリティ合意に向けて、ぎりぎりの政治判断がなされる交渉が続くと思う。わが国の立場を最大限反映させるよう、引続き閣僚レベル交渉に取組むという現状である。
1-2-1 質疑: ミラー案における途上国のNAMAの税率上限は、20%、22%、25%とあるが、これの相場観はあるか。
1-2-2 応答: これは関係者が多く、各国の立場により評価が違うと思うが、一応多くの国は、ある種のレンジに入っているのではないかと思う。少し細かいところを見ると、途上国に引っ張られているかなというところは勿論ないわけではないが、交渉妥結に向けてのベースとして受け取られている部分であろう。
1-3-1 質疑: NAMAの分野について、経済産業省としてはミラー案は容認できる範囲内か。
1-3-2 応答: 交渉の土台としては一定の評価あると思う。ただ、途上国に若干寄り過ぎている部分はあるので、市場アクセスの改善に関して不満を残すというところは日本側から見ても有ると思う。各国間での議論進展の過程で、そのような部分も含めて、できる限り私どもの主張も受け入れられるように努力し、最終合意に至りたい。

2.原油価格について
2-1 質疑: 「明日(2008-7-29)、漁業関係者向け原油価格対策をまとめる」と官房長官が先ほど言明したが、経済産業省は、どのように対処するか。
2-2 応答: 官房長官は、石油製品高騰で悲鳴を上げている漁業関係者についての対策を、取敢えず近々にまとめるという意味で発言したと思うが、全体対策としては6月に対応策がまとめられており、特に中小企業について金融面、セーフティネット面、保証面で着実に実効を挙げつつあると思うので、そういうわけでいま考えている。

3.SANARI PATENT所見
国際交渉中であり、工業製品の輸出先別、製品別の国際競争力への影響や、農産構造の改革への影響については、別途考究すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
WTO、NAMA、経済産業事務次官、ラミー事務局長、石油製品

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2008年7月28日月曜日

President of SQUARE ENIX Co.LTD., Comments on

Mr.Y.Wada, President of SQUARE ENIX Co.LTD., Comments on Brand Policy: 内閣知財戦略本部コンテンツ・日本ブランド専門調査会委員・スクウェア・エニックス和田洋一社長の意見
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://sanaripat.exblog.jp フジテレビ中村光一相談役の日本ブランド発信戦略(20080727記事)

  先ずスクウェア・エニックスの活動状況を見る。
1. スクウェア・エニックス(東証1部)の現況
1-1 野村証券・東洋経済の会社四季報最新版によれば同社の特色は、「スクウェアとエニックスが2003年に合併。「ドラクエ」「FFシリーズ」保有(SANARI PATENT注:「「ドラクエ」については「ドラゴンクウエストの公式サイト」、{FF}については「ファイナル・ファンタジーの公式サイト」に詳しい」。タイト―(SANARI PATENT注:ゲーム機製作、ゲームセンタ運営)を買収。再編効果発現、出店再開、業務用ゲーム機・出版堅調。
1-2 コンテンツ開発手法の革新加速、新型機投入、他業種と組んだ出店積極化を指向。
2 標記内閣知財戦略本部調査会(2008-7-22)における和田洋一社長の意見(SANARI PATENT要約)
2-1 日本ブランド構築の政策目的の明確化: 今次内閣知財戦略本部・知的財産推進計画2008において、「分野横断的」日本ブランド戦略の構築を打ち出されたが、ブランドは、個別具体の商品・サービスに付随して構築し、あるいは結果として醸成されるものであり、コンテンツ・伝統文化を包含する広汎な概念としての日本ブランドを構築するためには、その各構成要素を特定して、それぞれの「振興・保護・誘致」などの戦略目的を明確にしておくべきである。これを欠くと、分野横断的取組の進め方について、戦術策定を進め難い。
2-2 日本ブランド構築の定量目標の設定: ブランドの構築には費用と時間を要し、その効用として超過収益を得ることを目的とするが、日本ブランドの超過収益として、どてくらいの経済効果の創出を目指すのか、そののためにどれだけの費用と時間をかけるのかを、定量的政策目標として掲げる必要がある。「日本ブランド」というような抽象的概念を取り扱おうとするためには、極力、定量的な議論をしないと、単なる掛声倒れに終わるおそれがある。
2-3 ブランドとコンテンツの関係の調整: 日本ブランドの対象としてコンテンツを取り込むに際し、次の2点に注意すべきである。
2-3-1 デジタルコンテンツは超国境で瞬時伝搬する即時性と、複製・改変の容易性とを併有し、ネット上に、受信側独自の文化・コミュニティを形成する原動力ともなる。このようなデジタルコンテンツの特質を活用する意義と課題を認識する必要がある。
2-3-2 コンテンツに係るブランドイメージは変化・遷移し易い。世界的に受容されるコンテンツは、地域性と汎世界性を具備するが、普及の過程で両者ノバランスが変化する。日本アニメ、日本ゲームのイメージも、それぞれの市場が世界的に拡大・多様化する中で、継時的に変化している。

3. SANARI PATENT所見
  上記2-1については、「分野横断」よりも「分野結合」ないし「分野総合」の相乗効果を戦略指向すべきであると考える。例えば、FORTUNE誌最近号で「キッコーマン主催の音楽会」の好評が大きく報道されたが、食文化のブランドに、日本発の音楽ブランドが相乗することが望ましい。
  上記2-2については、定量化は困難であるにしても(世界経済情勢が流動し、トヨタほか、販売台数の定量宣言を止める傾向が見える)、最大限、具体的計画を明示すべきである。
  上記2-3については、「日本ブランド」と「日本発ブランド」の概念を画定すべきである。南米では「寿司の天ぷら」も流行しているようで、デジタルコンテンツに限らず、ブランドの地域特性化は、ブランド普及の戦略でもある。「変化・遷移」の在り方(望ましい方向性)を検討し、誘導することの可能性と意義を、内閣知財戦略本部が示されたい。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
SQUARE ENIX、和田洋一、デジタルコンテンツ、ゲーム、日本ブランド

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2008年7月27日日曜日

Law Attorney Mr.N. Nakayama Comments on Japan Brand Policy

Law Attorney Mr.N. Nakayama (Ex Professor of Tokyo University) Comments on Japan Brand Policy: 中山信弘弁護士・内閣知財戦略本部員意見の考察
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ ソニー木村敬治執行役がソニーブランドについて(20080726記事)

1. 中山信弘先生が、内閣知財戦略本部のブランド専門調査会7月会合で意見を示されたので、以下に考察する(ご意見の内容はSANARI PATENT要約)。

1-1 日本ブランド保護強化の必要性
  現状では、世界的に日本文化への関心が低い。平泉が世界遺産に落選したことも、日本の仏教文化への関心の低さを示している。日本のイメージを向上すべきであるが、知的財産法の観点からは、日本のブランド(商標)が世界的レベルで保護されるように努めることが必要である。

1-2 特に団体商標・地名について
  団体商標については従来、立法・廃止・再立法と、試行錯誤を繰り返してきたが、今回の改正には関心が高く、成功しそうな雰囲気がある。地方の名産等が地名と結合して保護されるが、海外でも保護されるようにすべきである。

1-3 海外における商標権の取得
  日本の地名や地域団体商標等が、外国で登録されてしまうことは、ある程度やむを得ないが、地域興しを世界レベルにまで高めるという観点からは、わが国の商標を海外でも権利として確立し、かつ、海外企業等により不正に取得されたものについては手を打つべきである。

1-4 特許庁の取組
  日本特許庁も既に、中国・台湾対策として、「商標検索マニュアル」「冒認対策リーフレット」「商標冒認出願対策マニュアル」を関係各所に配布し、企業の自主的取組を支援し、JETROも対応しているが、これら支援を更に強化すべきである。

1-5 一般論
  一般論としては、わが国の地名等の著名性を諸外国にアピールすることが必要であり、諸国特許庁との意見交換を急ぐべきである。

2.SANARI PATENT所見
  わが国内の顕著地名の商標登録について、現在、特許庁が意見公募の段階という現状である。商標法審査基準の改訂が予定されているが、地名商標登録の要件をこの際、明示すると共に、外国の地名の商標登録出願についても、その拒絶要件を明示して、相互主義を貫くべきである。
  なお、日本文化は感性の文化でもあるから、外国の多くで許容されつつある音、動き、香り、ホログラムなどのいわゆる新商標についても、特許庁が迅速に明示すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Brand、中山信弘、地域団体商標、地名商標、JETRO、特許庁

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2008年7月26日土曜日

Super Clusters for Innovative Medical Treatment

Designating Super Clusters for Innovative Medical Treatment: 先端医療開発特区の公募開始(2008-7-25)と特許出願審査
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  高効率熱電変換素子の日米大学共同開発成果(20080725記事)
別サイト http://sanaripat.exblog.jp  デルの日本コンシューマ事業統括責任者に米国著名弁護士(20080725記事)

1. 先端医療開発特区の公募(20複合体を予定)開始
1-1 内閣府、経済産業省(担当:製造産業局生物化学産業課)、厚生労働省、文部科学省の4省庁共管事業として、先端医療開発特区の公募が昨日、開始された。 「経済財政改革の基本方針2008」に基づく。
1-2 公募対象は、「高度医療専門センターや大学病院などの研究施設を中核とし、他の研究機関や企業を結んだ複合体に所属する研究者のグル-プが、先端医療開発特区で実施可能となる支援方策を活用して行うプロジェクト」(SANARI PATENT注:国文としては悪文だが、官庁表現は上記)であって、重点分野が次のように示されている。
1-2-1 iPS細胞応用
1-2-2 再生医療
1-2-3 革新的な医療機器の開発
1-2-4 革新的バイオ医薬品の開発
1-2-5 国民健康に重要な、重大疾患領域・希少疾病領域等の治療・診断に用いる医薬品・医療機器の研究開発(癌、循環器疾患、精神神経疾患難病)

2. 先端医療開発特区創設要綱(特許審査など)
  上記1-1の内閣決定に基づいて所管4省庁が定めた要綱(2008-5-23)は、この特区で実施される施策内容について、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
2-1 先端医療分野での知的財産を迅速に保護するため、特許審査においては、早期審査制度の活用を促進する。
2-2 平成20年度から実施された高度医療評価制度を活用し、高度医療の医療保険との併用を円滑に行い、薬事法による申請に必要なデータ収集を迅速化する。
2-3 各複合体に参画した研究機関と関係府庁および研究資金配分機関が連携し、研究資金の統合的・効率的な運用の方策を決定する。
2-4 医薬品医療機器総合機構を含めて、開発と並行して継続協議の場を設け、安全性・有効性の検証方法やリスクの考え方を検討する。

3. SANARI PATENT所見
  佐成重範弁理士は以前、米国のFDAに試験機能で対応するJFDA(食品薬品安全センター)常任監事を務めたが、物質の毒性試験を行う希少な中立機関である同センターも、当然、上記2-4の協議の場に加わるべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Super Cluster、FDA、先端医療開発特区、特許審査、iPS

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2008年7月25日金曜日

Circumstances Are Changing For IP Innovation

Circumstances Are Changing For IP Innovation: 知財開発によるイノベーションを起動する諸環境の変動
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  コンテンツ産業のアジア展開(20080724記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  高度組込ソフトウェア技術者塾を産業技術総合研究所が開設・定員超の志願者(200807-24記事)

  わが国は領海面積に恵まれ、海底下の熱水鉱床開発によるエネルギー・鉱物資源の収得に希望が託されているが、企業ベースに乗るための条件として、油価や希少金属の価格水準と政策助成がある。また地震多発国としては、原子力発電立地の経済性との関係がある。
 これらを含めて、昨日の経済産業事務次官の定例記者会見における質疑応答を考察する(内容はSANARI PATENT要約)。

1. 昨日未明に発生した東北地震(次官説明)
1-1 原子力関連施設は安全に運転継続中である。女川の原子力発電所3号機にの管理区域内のサービス建物に水たまりの発生が発見されたが、放射能は検知されていない。
1-2 ガスの微小漏洩確認個所については、順次所要の措置を講じている。
1-3 停電は全面復旧した。

2. 油価
2-1 質疑: 油価の若干低下の原因は何か。
2-2 応答: 油価の変動要因として、「需給」、「金融市場」、「地政学的影響」の3つがある。需給要因を含めて、市場軟化の方向に色々な数字が出ていると思うし、本来であれば、実需ベースのレベルに向かって下がってゆくのが常識的だと思う。事態について、できるだけ適切な透明性ある情報を提供し、実勢が適切な水準に赴くよう、国際会議を始め努力する。
  一方、当面の需給や油価に対する評価とは別に、中小企業・農林水産業、国民生活に対する影響については、セーフティネット保証対象の拡大など、政策手段を活用する。

3. WTO
3-1 質疑: 少数国会合の結果はどうか。
3-2 応答: 断続的に行われているが、予断を許さない。しかし、論点は相互に深まっていると思う。

4. SANARI PATENT所見
  マスコミには多様な発言が溢れつつある。例えば、北極における温暖化現象の早期発現が、解氷による、「北極地下資源(エネルギー・鉱物)の開発を容易にする」、「地球物理学的には、地球冷却化にも対処すべきである」、「北関東以北では、温暖化による果実収穫増加が期待される」、「温暖化は国内(台湾に途中持ち込みを短期間で)鰻養殖(「畜養」と養殖の2形態)に適する」などであるが、これらも踏まえて、政府の懇切な政策解説が、経済産業事務次官会見と同様に各省で行われることを期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
IP Innovation、地震、原子力発電、温暖化、WTO、油価

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2008年7月24日木曜日

ORIX Announces Stake in Chinese Academy of Science Private Equity Fund

ORIX Announces Stake in Chinese Academy of Science Private Equity Fund: 中国の政府系ファンド「国科瑞華基金創業投資企業」にオリックスが出資
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  ファンドの活用と対ファンド防衛(20080723記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  アップルの技術者ケータイ、弁護士ケータイ(20080723記事)

 中国科学院のPrivate Equity Fundへの出資(最大3億元:約47億円)をオリックスが発表(2008-7-21)
したことは、日中国際協力の知財・金融両面にわたる新たな展開を示すものとして、高く評価すべきであるとSANARI PATENTは考える。

1. オリックスの上記発表(SANARI PATENT要約)
1-1 中国科学院は中国最高レベルの科学技術学術機関・ハイテク総合研究センターとして、中国のIT、バイオなど先端業界をリードする政府組織である。中国科学院国有資産経営有限責任公司は中国科学院の100%出資・資産管理会社で、これが主体となって設立したPrivate Equity Fund「国科瑞華基金創業投資企業」にオリックスが出資した。
1-2 中国科学院国有資産経営有限責任公司はレノボの大株主であり、有人宇宙船「神船」プロジェクトの推進など、中国科学院傘下約500企業の経営・監督を行っている。
1-3 中国科学院とオリックスは従前から、リースビジネスにおいて協業や情報交換をしている有力パートナーであるが、今回の出資は純投資であるため、オリックスは投資の意思決定には参加しない。一方、オリックスは、中国科学院国有資産経営有限責任公司から、例えば、国科瑞華基金創業投資企業が投資する対象企業に日本の先端知財企業を紹介することや、Joint Venture企業を設立する際の共同出資の検討など、様々な役割も期待されている。
1-4 このためオリックスは、国科瑞華基金創業投資企業のアドバイザリーボードに一名派遣し、投資先企業のマネジメント力の向上や、運営システム改善に関する助言など、投資先企業の価値向上を実現し、上海証券市場等への上場を目指す。

2. SANARI PATENT所見
オリックスのIR誌最近号が届いたが、同社・宮内義彦会長の経営理念・戦略が多角的に表明されていて、オリックス事業の先進性・独自性を改めて認識する。例えば、オリックス自体について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
「オリックスでは株主構成においても、外国人投資家が6割以上を占めている。また、取締役11名のうち5名が株主の代弁者である社外取締役であり、指名委員会、報酬委員会、監査委員会といった主要な意思決定機関は全て社外取締役で構成されている。」
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
ORIX、中国科学院、中国科学院国有資産経営有限責任公司、ファンド、宮内義彦

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2008年7月23日水曜日

Technocrati Mobile By Apple, For Getting Popular News, Blogs,

Technocrati Mobile By Apple, For Getting Popular News, Blogs, Movies, Books and Tags: アップル・ケータイのカテゴリー → 技術者ケータイ、弁護士ケータイなど
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  わが国情報通信機器の世界市場売上高ランキング(20080722記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  中国「レノボ」商標とIBM
「ThinkPad」商標のグローバル統合(20080721記事)

 アップルの4~6月四半期の業績が極めて好調で注目されたが、SANARI PATENTは、アップル諸製品の革新が間断なく行われ、職域的にもカスタマイズされてゆくことに、業績好調の要因を見る。

1. AppleのTechnocrati Mobileの内容(SANARI PATENT要約)
1-1 ブログ
  July 22, 2008 6:48AM{現地}の投稿から遡って見てゆくと、そのテーマは例えば、
 BBtvTCHO Chocolate, part 2: marginal machines, mysterious molecules.
Stephenson’s Anathem was inspired by Clock of the Long Now.
 25 spots open for Cor’s talk tonight in Cambridge.
1-2 ニュース
 最新の科学技術ニュースが列記されている。

2. AppleのLawyer Appの内容(SANARI PATENT要約)
2-1 米国法曹の完全なケータイ資料(The complete mobile resource for US. Attorneys)と法律関係情報である。
2-2 弁護士(qualified attorneys)の学歴、業績、電話、Mail アドレス、Google Map、iPhone番号を表示
2-3 米国の主要法律学府150の全貌を表示
2-4 米国法曹界に関する全索引

3. SANARI PATENT所見
  上記のような諸カテゴリーの展開は、アップル製品の拡販によって、影響力をグローバルに強化する。その意味で、今次アップルの業績発表(California-July 21, 2008)を要約しておく。
3-1 この四半期にアップルは、Macintosh Computerを249万6000台出荷(前稔同期比41%増)し、売上高は43%増を示した(SANARI PATENT注: 諸国のPCメーカーの多くがが価格引下げによる販売台数維持ないし増加を図り、売上高と売上台数の離れが見られるのと対照的である)。
3-2 またこの四半期にアップルは、iPod 1101万1000台を販売し、前年同期比で台数は12%、売上高は7%の増を示した。
3-3 iPhoneは71万7000台販売し、前年同期の27万台の2.7倍に達した。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Apple、Macintosh、iPod、iPhone、技術者、弁護士

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2008年7月22日火曜日

World Sales Share Ranking of IT Equipments

World Sales Share Ranking of IT Equipments:情報通信機器全体の企業ランキングとPCの企業ランキング
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  IBMの4~6四半期売上高2兆8千億円(対前年同期比12.1%増)における新興国市場展開(20080721記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  中国レノボ商標とIBM ThinkPad商標のグローバル統合(20080721記事)

 本年4~6月期(暦年第二四半期)の世界パソコン出荷台数が7185万5000台に達し、前年同期対比16%の増を示したこと、特に米国では1650万台で4.2%増であったのに対し、EMEA地域(SANARI PATENT注:Europe, Middle East and Africa)では2310万台(23.5%増)、アジア・太平洋地域では、2010万台(18.1%増)に達したことなどを、Gartner(July 16, 2008現地)が報じ、グローバルな経済動向との関連で注目されたが、ここには、企業ランキングという観点から、PC およびPCを含む情報機器全般について、わが国企業の地位を考察する。

1. GartnerによるPC企業の世界出荷ランキング(台数は2008-4-1~6-30、増加率は対前年同期比)(SANARI PATENT要約)
Hewlett-Packard:1302.8万台、17.1%増、シェア18.1%、Dell:1120.4万台、21.9%増、シェア15.6%、Acer:674.9万台、18.9%増、シェア9.4%、
Lenovo:558万台、14.2%増、シェア7.8%、東芝313.7万台、29.2%増、シェア4.4%、その他3215.7万台、12.3%増、シェア44.8%。
 このような動態の要因として、Gartnerは次のことを指摘している。
1-1 Desk Based PC に比べてMobile PCの価格が大幅に低下し、Mobile PCの出荷数が著増した。
1-2 米国・欧州等では、経済不安定によるASP(Average Selling Price:PC平均価格)の下落が、PC販売収入を圧迫した。
1-3 Hewlett-Packardが、世界出荷増加率16.0%を上回る17.1%の増加率をもって、シェア首位を保持した。
1-4 Dellは、小売市場および間接販売市場に注力し、21.9%の増を示した。
1-5 ミニ・ノートブックPCの新機種が期中に米国市場に投入されたが、伸長初期の段階にある。
1-6 東欧・中東・アフリカのPC需要の伸びは著しい。
1-7 アジア・太平洋地域では、Hewlett-Packard、Dell、Lenovoが多国籍企業としてMobile PCの出荷を45.6%増加した。

2 経済産業省「主要製造業の課題と展望」(2008-5)の「情報通信機器」における企業ランキング
情報通信機器の売上高総額についてランキングを表示している。Siemens、日立製作所、Hewlett-Packard、IBM、サムスン、松下電器産業、ソニー、東芝、Dell、富士通と続くが、その内容は
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  情報通信機器企業ランキング(20080722予定記事)ご参照。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Share Ranking、Hewlett-Packard、 Dell、Lenovo、東芝、サムスン

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2008年7月21日月曜日

For Small Businesses, Lenovo Launches PC Solution With

For Small Businesses, Lenovo Launches PC Solution With New ThinkPad SL Notebooks: 連想集団のLenovo商標とIBMのThinkPad商標のグローバル統合
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  GoogleとロシアZAO Begunの検索・広告相乗効果(20080720記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  任天堂の海外売上高比率81%の増勢(20080720記事)

 北京オリンピックの開幕間近となったが、既にレノボは、「同オリンピックにおけるコンピュータ機器の独占的プロバイダ」としての包括リハーサル実施発表(2008-5-29) に続き、全世界に向けてレノボ商標とIBM商標を結合したNew ThinkPadシリーズの発売を発表した(2008-7-16)。
 グローバル企業としてのレノボのブランドが北京オリンピック開幕と共にグローバルに進展速度を速めることも予想されるので、レノボ新製品の来月6日、本格発売を前にして、上記発表等を考察する。

1. 北京オリンピックについてのレノボ発表(SANARI PATENT要約)
1-1 レノボは、北京オリンピック組織委員会主導による包括的テクニカルリハーサルにおいて、300名以上のレノボ・エンジニアと数千台のレノボPCを配備し、全てのシステムを対象とする最終テストを行う。
1-2 レノボは世界で最も技術力に優れたPCメーカーの一つである。レノボのビジネスモデルは、技術革新、優れた動作効率、顧客満足度と、将来市場への投資という視野のもとで構築されている。Lenovoグル-プによる旧IBMPC部門の買収によって設立されたレノボは、主要な研究開発センターを日本・中国・米国に置いている。
2 ThinkPad新シリーズについてのレノボ発表(SANARI PATENT要約)について考察
2-1 「Lenovo Launches Complete PC Solution for Small Business with New
ThinkPad SL Notebooks」と題して、グローバルに発信している。英文は前文で「高付加価値性」を強調しているが、レノボ・ジャパン株式会社の発表においては、「ThinkPadブランド(SANARI PATENT注:旧IBMのブランド)の堅牢性や信頼性、耐久性とパフォーマンスのバランスの良さ」を強調しているが、この差異は極めて意味深いと、SANARI PATENTは考える(後記3)。
2-2  シリーズの内容は、
2-2-1 中小企業・SOHO向けの14インチ・ワイド型「ThinkPad SL400」
2-2-2 モバイル・ワークステーションThinkPad T61pの後継機として、15インチ・ワイド型「ThinkPad W500」(SANARI PATENT注:日本文においても、これについては、高性能・技術先端性を強調している。)
2-2-3 インテルの最新技術を搭載したノートブックPC5機種

2. SANARI PATENT所見
  PCとケータイを含めて、新興国インターネット人口が、先進国のそれを圧倒することは明白であるが、それ以上に注目すべきことは、インターネットの実質的活用水準である。多種多様な高機能の相互干渉がPCの日常性を阻害する場合がある。必要機能に限定して、かつ、「スタイイシュなデザインを追及し、黒く光沢のあるトップカバーを実装」(レノボ)した5万円以下価格のPCが、日本を含めて、通商白書2008の「50億人口圏」を席巻する場合、実質的にインターネット社会、デジタルネット社会がグローバルに実現するとSANARI PATENTは考える。
 レノボが同時に、先端性を誇る新機種を来月にかけて発売することは、上記と並行してイノベーション促進の意義を有するものである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Lenovo、IBM、ThinkPad、北京オリンピック、レノボ、中小企業

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2008年7月20日日曜日

Google Gets Russian Ads Service ZAO Begun

Google Gets Russian Ads Service ZAO Begun:ロシアにおけるデジタル広告の急成長市場にGoogleとBegunの相乗効果 →知財検索の高度グローバル機能
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  いすず自動車の対アフリカ・中南米資源国向けトラック販売の活況(20080719記事)

 Google検索によるグローバルな情報入手に慣熟している世界市民にとって、G8メンバとしてのロシアの知財動向にも、Google検索によって豊富にアクセスしたいと考えることは当然である。
 従って、米国GoogleのPress Centerが「Google To Acquire Russian Context
Service Begun」と題いて発表し(July 18, 2008現地)、「Combination Will Create New Opportunities for Russian Users, Publishers and Advertisers」と副題したことは、ロシア国民にとっての関心にとどまらないグローバルな関心事であると考える。

1. Googleの上記発表(SANARI PATENT要約)
1-1 Googleは、ロシアの広告サービスをリードするZAO Begunを、1億4000万ドルの対価で取得(acquire)する合意をRambler Mediaと締結した。この合意には、デジタル広告が急速に成長 しつつあるロシアにおいて、Googleがユーザーや広告業者に対するサービスを向上させることが強調されている。
1-2 この合意により、広告者は一層広いサイトネットワークにアクセスでき、広告効果を拡大できると共に、ユーザーは、より広汎なウェブサイトへのアクセス可能化によって、より実際的価値ある広告(more relevant advertising across a much wider sets of websites)に接し得るであろう。
1-3 Begunの総括役員(General Director) Mr. Alexey Basovは、「今次合意はGoogleのデジタル検索技術(visionary technology)と、Begunのロシアにおける広告業の立上げ、流通ネットワーク、ネット直接販売成功の経験との、相乗効果の高度な潜在力によって、全産業を益するであろう」と述べている。
2 SANARI PATENT所見
現在、わが国でロシアに関する一般情報を取得するために、在ロシア日本国大使館は、「福田総理のロシア非公式訪問結果概要」(2008-4-26)など外交解説と共に、「鉄腕アトムをご存じですか」と題して、モスクワ市内映画館での日本アニメ上映を知らせるなど、多大かつ広汎な業務を遂行している。
 しかし、わが国におけるGoogle利用の日常性が益々高まるから、今次Google発表のシナジー効果を、積極的に享受すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Google、Russian Ads、Begun、在ロシア日本国大使館、鉄腕アトム

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2008年7月19日土曜日

Foods Security, IP on Foods Industry Relating to WTO

Foods Security, IP on Foods Industry Relating to WTO: 食糧安全保障、食糧生産イノベーション知財と今次WTO
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  ブランド・商標のデジタル革新と制度の国際調和(20080718記事)

 今次WTOにおいて貿易立国のわが国が望む関税障壁撤廃の進捗が期待されるが、一方、食糧自給率40%のわが国食糧安全保障のため、食糧国産確保の関税措置が必要とされる。
 SANARI PATENTは、農産の工場化、遺伝子組換蛋白質の汎用、大規模養殖漁場の開発による自給率の革新的向上と、食糧原価の国際競争力強化が必須と考えるが、経済産業省の立場では極めて慎重な発言を要するところと推察されるので、昨日の経済産業事務次官定例記者会見の質疑応答を考察する(SANARI PATENT要約)

1. WTO非公式会合
1-1 質疑: WTO の非公式会合が始まるが、大枠合意の見通しと、その意義はどうか。
1-2 応答: 明日、明後日、非公式な閣僚バイ会談を行う。これまで7年間の流れの中で、ある意味では成果を区切りとして挙げるためには、ぎりぎりの最も重要なタイミングに来ている。かなりの確率で合意の可能性も期待される。これがまとまれば、貿易立国である日本にとってみれば、色々な面で経済が閉塞状態にある中で、大変意義があり、ぜひ基本的合意ができることを望んでいる。

2. WTOと食糧安全保障
2-1 質疑: 確かに貿易立国の日本としては、世界的に関税が低下するメリットが大きいが、原油と同様、食糧もお金さえ出せば買える時代が世界的に遠ざかる趨勢のもとで、恐らく今回大枠で合意できるとなった場合には、ある程度農業について日本は妥協せざるを得ないのではないかと思う。そうなった場合、食糧の安全保障も含めたトータルとしての今回の交渉の、日本にとってのメリット・デメリットはどうか。
2-2 応答: 食糧の安全保障については、私どもが第一義的に責任を負っている官庁でもないから、こうあるべきだと、なかなか言い難いところではあるが、国の基本的政策の柱である。農林水産省を挙げて、食糧のセキュリティ、安定供給については、WTOがどうなろうが、きちっと変わらずやってゆくことは大政策である。
   他方で、WTOの交渉については、全体パッケージという格好になるか、予見を言えない。経済産業大臣と農林水産大臣が協力しながら、日本のために最もよい姿をつくっていただくことが重要である。
   きちんとしたルールももとで貿易が行われることが食糧の世界でも重要であり、セキュリティを考えながら、消費国の立場であること、自給率、安定供給と、複雑ではあるが全体をよく考えて、国として一致団結して対応すべきである。

3. SANARI PATENT所見
農商工一体化が国内地域振興についてのみ実施されようとしているが、農林水産の工業化(特に遺伝子工業化と工場生産化)を基軸とする国際総合政策が緊要と考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Foods Security、WTO、食糧安全保障、関税、経済産業大臣

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2008年7月18日金曜日

Murata With New Quality Materials, New Quality Components

Murata With New Quality Materials, New Quality Components, New Quality Electronic Equipment: 村田製作所のグローバル・イノベーター性
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  デジタル・ネット時代対応の日米差(20080717記事)

 TVの「理科は好きですか」で一般にも馴染まれている村田製作所が、本年度の村田学術振興助成金・総額1億3千万円(昨年より3割増)の贈呈式予定を昨日発表した。自然科学系124件、人文科学系25件で、東京大学・田畑 仁教授(バイオエンジニアリング専攻)の「リラクサーおよびスピングラスを利用した生体機能模倣素子の研究」、大阪大学・木村 剛教授(物質創成専攻)の「高温動作のマルチフェロイクス機能発現に向けた研究」などが対象とされている。村田製作所の、「New quality electronic equipment begins with new
Quality components, and new quality components with new quality materials」という社是に基づく広汎な対象範囲に及んでいる。
 野村証券・東洋経済の会社四季報最新版によれば、「村田製作所はセラミックコンデンサーで世界トップ。原料からのセラミック技術に強み。海外75%」と特色づけられており、その現況が注目される。

1.村田製作所の「2008 Annual Report: Year ended March 31, 2008」
 「Everywhere in the world, wherever we are, Murata’s electronic compo-
nents are invisibly at work」と副題して次のように述べている(SANARI PATENT要約)。1ドル100円前提で表示している。
1-1 売上高は前期比11.4%増の6316億5500万円となった。中国のAV機器向け、通信機器向け、コンピュータおよび関連機器向けが大幅に伸長したことにより、アジア・その他((SANARI PATENT注:日欧米以外)の製品売上高は対前期比14.2%増の3491億5400万円(SANARI PATENT注:全売上高の55.5%)となった。南北アメリカは、通信機器向けやコンピュータおよび関連機器向けが増加し、対前期比16.4%増の536億8800万円となった。欧州は、コンピュータおよび関連機器向けやカーエレクトロニクス機器向けの増加により対前期比3.4%増の728億6000万円となった。営業利益も増加し、1157億5200万円となった。
1-2 コンデンサ(積層セラミックコンデンサ、円板型セラミックコンデンサ、トリマコンデンサ)については、主力のチップセラミックコンデンサの大容量品がAV機器、通信機器、コンピュータおよび関連機器など全ての用途で大幅に増加した。
1-3 圧電製品(表面波フィルタ、セラミック発振子、圧電センサ、セラミックフィルタ、圧電ブザー)については、表面波フィルタが通信機器向けに、圧電センサがHDD向けの衝撃検知用センサや、カーエレクトロニクス向け超音波センサが増加した。
1-4 高周波デバイス(近距離無線通信モジュール、多層デバイス、コネクタ、アイソレータ、誘電体フィルタ)については、近距離無線通信モジュールが無線LAN向けに伸びた。
1-5 モジュール製品(電源、回路モジュール)については、ケータイ用の地デジチューナや通信機器用モジュールが大幅に増加した。

2.SANARI PATENT所見
  地域別売上高構成が、日本24.4%、南北アメリカ8.5%、欧州11.6%、アジアその他55.5%で、グローバル性が顕著であるが、このようなグローバル性企業の伸展に、内需・人口・所得総額飽和の日本経済の未来が託されていると考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Electronic components、村田製作所、ケータイ、セラミックコンデンサ、回路モジュール

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2008年7月17日木曜日

Yasukawa Elec. Co. as World No.1 Servo-Motor, Inverter and Industry Robot

Yasukawa Elec. Co. as World No.1 Servo-Motor, Inverter and Industry Robot: 安川電機・本年度第一四半期(2008-3-21~6-20)報告、中国・アジア成長市場の増勢と液晶・省エネ分野の堅調
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  経済産業大臣、新興国関係・通商白書分析を 強調(20080716記事)

1. 安川電機の第一四半期報告(2008-7-15発表)(SANARI PATENT要約)
1-1 事業環境は、米国の景気減速やエネルギー・資材価格の高騰が続く一方、安川電機グル-プに関連する中国・アジア等の成長市場の増勢に加え、液晶関連分野での設備投資は回復、省エネ関係需要も堅調を維持している。
1-2 このような状況下で安川電機は、シェア・事業規模・収益性における真のNo.1事業の確立、新規事業の立上げ・育成を基本方針とし、次のように事業展開した結果、この第一四半期においても、前年同期比増収・増益した。
1-2-1 事業別:
1-2-1-1 モーションコントロール事業→ 2007年度に新製品を市場投入したサーボモータ・インバータの品揃えを進め、独自の製品力でグローバルに受注を拡大している。
1-2-1-2 ロボット事業→ 自動車業界、液晶業界に新製品を投入している。 1-2-2 地域別:
1-2-2-1 成長市場である中国・アジア地域での戦略を強化している。
1-2-2-2 インドを始めとする次の発展市場への展開を促進している。
1-2-3 社会現象対応面:
  高度自動化、省エネ、新世代ロボットにより、少子高齢化、環境、労働合理化の諸現象・諸要請に即応しつつある。

2. 安川電機のグローバル市場における地位
  野村証券・東洋経済の会社四季報最新号によれば、「安川電機は、独自の制御技術でサーボモータとインバータ世界首位。産業用ロボットは世界首位。
3. SANARI PATENT所見
3-1 上記1-2-2の地域別方策は、今次通商白書(20080715発表)が指摘する「新興国経済の拡大」に即応するものである。すなわち、白書は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
3-1-1 新興国市場は、新たな世界市場としての「50億人市場」に拡大しつつある。
3-1-2 新興国・途上国の、購買力を有する所得層についての動向を確認すると、確実に世界共通の消費志向を持つと考えられる富裕層が増加している。例えば、百万ドル以上の金融資産を保有している人口は、世界全体で950万人に達したが(2006)、うち260万人がアジア・太平洋地域に存在し、その伸び年率は、世界全体の8.3%に対して、インド20.5%、ロシア15.5%である。
一方、中国は伸び率は世界並みでも13億人口規模を擁し、富裕層が34万5千人を超えている。
3-1-3 上記富裕層の消費動向に多様化・高度化が見られる。
3-2 安川電機の今次年度報告における売上高3823億円の構成は、国内が
61.6%、アジア11.1%、欧州15.0%、米州12.2%と概算されるが、中国・インド(26億人口)の富裕層絶対数の著増に対応する売上高の著増が期待される。
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Servo-Motor,、Inverter、Industry Robot、安川電機、通商白書

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2008年7月16日水曜日

eBay Inc. Applauds Court’s Rejection of Tiffany Counterfeit Claims

eBay Inc. Applauds Court’s Rejection of Tiffany Counterfeit Claims:商標権者Tiffanyの自己防衛責任遂行の在り方(eBay勝訴が示唆)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  電子タグ、SaaSの利用企業増加状況(20080715記事)

 News ebay.com (2008-7-14-Calif.)が、Tiffany対eBay「模造品オークション事件」訴訟におけるeBay勝訴を報道したことは、商標権者の自己防衛遂行の在り方を示唆するものとして、グローバルに関心を集めるものと予想される。以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1.米国連邦地方裁判所(Southern District of New Tork)がTiffanyの請求を棄却(20080714現地):
1-1 オンライン取引のeBayにTiffanyの模造品が出品されていたことに対して、Tiffany がeBayの管理責任を追及した事件について、請求棄却の判決が示された。
1-2 裁判所は、eBayが模造品排除のため適切な処置を行っていたと指摘した上で、商標権者であるTiffanyがeBay画面を監視して商標を防衛する責任があると判示した。
1-3 eBayは、「この判決は、eBayが模造品を排除すべく努力し、消費者が真正品をオンラインで売買する選択を支援してきたことを認めたものとして、高く評価する」と述べている。すなわち、この判決は、「eBayの安全・安心な売買受委託のオンラインの場を提供するための付加的努力(Additional efforts to provide a safe and trusted marketplace)」を認めた。
1-4 この判決は更に、「TiffanyはeBayの場において、自己の商標を防衛すべく監視する責任を負う(Tiffany was responsible for policing its own trade mark on eBay)と判示した。

2.SANARI PATENT所見
eBayは、「この判決はわれわれのシステムによる売買のグローバルコミュニティの重要な勝利(an important victry for our global buyers and sellers)と述べ、グローバルという言葉を用いていることに、SANARI PATENTは特に注目する。オンライン取引のグローバル性は、商標権者の自己防衛責任遂行を前提とするものであり、わが国の内閣知財戦略本部の模造品対策を含めて、商標権者の自己防衛責任が統一された考え方で認識されることを期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
eBay、Tiffany、模造品、米国連邦地方裁判所、商標権者

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2008年7月15日火曜日

Children’s Investment Funds (TCI) vs. J-Power

Children’s Investment Funds (TCI) vs. J-Power:J-パワーに関するファンド対策について望月経済産業事務次官の所見(20080714記者会見)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  ミネベア海外工場の航空機用ベアリング 製造関係国際特殊工程認証システム認証取得(20080714記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  横河電機がロシア・ガスプロムと提携・制御技術(20080713記事)

 新任した望月経済産業事務次官の初定例記者会見(20080714)の冒頭質疑応答は、J-パワーに関するファンド対応をテーマとした(以下SANARI PATENT要約)。

1. 日本政府の中止命令後
1-1 質疑: TCIによるJ-Power株買い増しの中止命令に対して、本日が不服申立の最終日であるが、TCIから何らかのアナウンスメントなどがあったか。
1-2 応答: 私どもの方には、まだ何の連絡もない。
2. National Securityの考え方
2-1 質疑: 一連の流れがあると思うが、いわゆるヘッジファンドや政府系のファンドによる日本企業への投資に対して、National Securityという観点から、どのように考えているか。
2-2 応答: TCIのJ-Powerに対する株の買い増しという観点から見ると、この問題は非常に限定された範囲の特別のケースと思う。私どもは基本的には、できるだけ開かれた市場にして、外資による対内投資を推進してきたが、その点については、これからも何ら変わらないと思う。たまたまJ-Powerに対するTCIの株の買い増しの案件が、Energy Securityという観点から様々な問題点を含んでいることを審査した結果、判断をして中止命令を行ったということであるから、ある面では非常に特殊なケースと思う。ただし、そういう面で中止命令を行ったのが初めてのことであったということもあって、私どものものの考え方を理解していただくには、非常に重要なケースだったと思う。途中のプロセスでは説明不足ということなど、色々言われたことも私どももよく覚えているけれども、できる限り、その都度の限られた条件のもとで、私どもの考え方について丁寧に説明し、説明不足と言われないように努力したつもりである。

3. SANARI PATENT所見
  National Securityの構成要素は、Energy Securityに限定されないが、基本特許を含むNational Security直結の知財・ノウハウを保有する企業を、外国ファンドが取得する想定ケースについて、知財専門家も各企業の防衛策を基盤として、考究する必要がある。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
J-Power、TCI、National Security、Energy Security、ファンド

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2008年7月14日月曜日

Superconductivity Display After G8 by FURUKAWA Electric

Superconductivity Display After G8 by FURUKAWA Electric: 超電導への将来展開と「ロシア・中国・インド」での現実提供(古河電気工業・新社長)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  新日鉱と東邦チタニウム(20080712記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  横河電機がロシア・ガスプロムと戦略提携(20080713記事)

 イットリウム系超電導電力ケーブルを今次G8において古河電気工業が展示したことは、送電損失の大幅削減を実地に検証したものとして、拡大参加国(全世界のCO2排出総量の8割を占めるといわれる)の注目を集めた。このイットリウム系超電導電力ケーブル展示は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からISTEC(国際超電導産業技術研究センタが受託した共同開発における古河電気工業の実績が評価された結果と思われる。

 今次古河電気工業株主総会で社長に新任した吉田政雄氏は更に、同社の本年度(2008年度)事業について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
「2007年度連結売上高は1兆1742億円で対前年度比6.3%の増であるが、2008年度は1兆2100億円と見込んでいる。」
「電気通信分野では、光ファイバケーブル市場のグローバルなインフラ主要増に対応して、OFS(古河電気工業の米国100%子会社)の海外拠点を増強すると共に、国内においては、NGN(SANARI PATENT注:次世代ネットワーク)投資の本格化による光デバイスの需要拡大に対応するフォトニクスネットワークの新商品を市場投入する。」
「エネルギー分野では、海外での高圧電力ケーブルの需要拡大に対応してグローバルに生産増強する。」
「自動車・電子分野では、引続き高シェア・ニッチ素材の事業展開を強化する。」

1. 古河電気工業の今次報告におけるグローバル展開(SANARI PATENT要約)
1-1 ロシア
急激な経済成長により通信インフラ整備が加速し、光ファイバケーブルの需要はこの6年間年率16%の高伸び率を示している。古河電気工業グル-プは長距離系・メトロ系などの光ファイバケーブルを、OFSロシアの生産能力増強、寒冷地直接埋没耐性被覆技術の開発により、これに即応している。
1-2 中国
送電インフラの整備が急務とされており、高電圧ケーブル市場はこの6年間年率13%の高伸び率を示している。古河電気工業は、現地生産拠点である瀋陽古河電爛纜有限公司を通じて中国全土に供給し、ている。トップシェアを獲得している。
1-3 インド
自動車産業の成長が著しく、古河電気工業は小型軽量のワイヤーハーネスの現地生産を本年9月から開始すべく、現地合弁会社を昨年8月に設立した。

2. SANARI PATENT所見
  佐成重範弁理士がJTEC(電気通信の国際協力機構)専務理事在任当時、途上国、新興国の「後発利益」が強調された。金属通信回線や移動通信システムが未開発な国域では、直接先端技術による電気通信インフラを構築するメリットがあるとするものである。わが国のようにADSLが普及すると、マンション等で光化が却って遅延する事例も見受けられたが、金属通信回線は盗取適性もあり、途上国・新興国の光処女敷設や、固定電話省略のケータイ普及が容易であったという意味である。
 状況は変化していると思うが、例えば、光ファイバケーブルの冷温耐性等に関するITU国際標準化においてはわが国も大いに寄与しており、古河電気工業のBRICsを含むグローバルな展開に、これらの基盤と同社の研究開発が様々に活用されることを期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Superconductivity、古河電気工業、NEDO、ISTEC、NGN、ロシア、インド

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2008年7月13日日曜日

Marriage Partner Introduction Business Guideline

Marriage Partner Introduction Business Guideline Announced by METI:「結婚相手紹介サービス業認証制度に関するガイドライン」を経済産業省が発表
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog エネルギー資源・金属資源開発の企業動向(新日鉱ホールディングスと東邦チタニウム)(20080712記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ ヤフー別所法務本部長の「デジタルネット社会フェアユース論」に注目(20080712記事)

 経済産業省が7月11日に、「サービス産業生産性協議会による『結婚相手紹介サービス業認証制度に関するガイドライン』の公表について」と題してNews Releaseした。
 経済産業省の領域の広さに関心する向きが多いかと思うが、行政機構制度上は先ず、「商工業」が経済産業省の所管と規定され、特定の業種が他の省の所管とされた場合に、経済産業省の「商工業」直接当該業種所管リストから移籍する仕組みになっている。

 ビジネスモデル特許出願の事例として「結婚披露引出物贈呈ビジネス方法」などが著名であるが、結婚相手適性の検出に、西独流科学技術が流行していることも顕著である。先ずは経済産業省の今次発表内容(SANARI PATENT要約)を見る。

1.発表理由
1-1 わが国の未婚化・晩婚化は、独身者の9割が結婚希望にもかかわらず急速に進行しているが、その4割が、「適当な相手に巡り会わない」という理由で独身にとどまっている。
1-2 他方、結婚相手紹介サービス業の市場規模は500億円超で、サービスに対する消費者からの苦情・相談件数はここ数年間で倍増している。このためこの業界が比較的ネガティブなイメージを持たれ、結婚希望者の利用が阻害されているとの指摘がある(SANARI PATENT注:営業としての結婚紹介と、大学同窓生や専門職業家を対象とする紹介ビジネスも多く、一律に評価されてはいないが、仲人結婚をより高級とする風潮も残存する)。
1-3 こうした業界イメージを払拭し、業界全体の信頼性を向上することは、各企業の努力に加えて、業界全体としての信頼性と生産性の向上に向けた活動が必要である。
1-4 このため、昨年5月に設立されたサービス産業生産性協議会では、結婚相手紹介サービス業界が自主的に取組むべき認証制度について昨年12月にワーキンググル-プを設置し検討を重ねてきたところ、このほどそのガイドラインを公表する運びとなった。
1-5 経済産業省は、このガイドラインにより、民間の自主的な認証制度が構築され、消費者が安心して利用できることを期待する。

2.SANARI PATENT所見
上記1-4のワーキンググル-プのメンバーには、株式会社・全国仲人連合会代表取締役、財団法人・日本適合性認定協会・認定部専門部長、結婚相手紹介サービス連合会会長等の有識者が名を連ねている。
経済産業省が消費者保護の立場から所管する「冠結葬祭互助会」(通称)の前受金保全機構の設立運営に佐成 重範弁理士はかつて携わったが、玉姫殿。平安閣、高砂殿等の著名披露施設を全国に連携展開する理想的な公益産業として確立されるに至った。ソフトウェア業界もその合理化進展を支援している。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Marriage Partner、未婚、晩婚、結婚相手紹介サービス、冠結葬祭互助会

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2008年7月12日土曜日

METI Minister Evaluates G8, Comments on WTO

METI Minister Evaluates G8, Comments on WTO: 甘利経済産業大臣の閣議後記者会見(20080711)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  三菱マテリアルの米国セメント事業(20080711記事)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  特許庁・東大によるイノベーションインフラ検索機構(20080711記事)

 セクター別アプローチ(SANARI PATENT注:知財戦略の「分野別」に当たる)原子力開発など、知財開発の背景として、今次G8および進行中のWTO交渉に関する甘利経済産業大臣の評価と解説(20080711記者会見)を要約する。

1. G8の成果 (SANARI PATENT要約)
1-1 記者質疑
経済的課題が多かったが、経済産業大臣の評価はどうか。
1-2 応答
1-2-1 総合評価の例:
毎回、サミットを評価する格付け機関が幾つかあるが、最も権威ある機関の格付けでは、洞爺湖サミットは総合評価78点、B+、総理の指導力85点、Aというランキングの高い評価である。
1-2-2 原油対策の協議と努力の連続性:
 G8エネルギー大臣会合の取りまとめが、ジェッタでの産消国対話の総括表明にインプットされ、続くサミットでの取りまとめができたので、この連続性は高く評価できる。IEAでも将来見通しについて、再度生産側,消費側のデータを整備し、需給が将来にわたってマッチしてゆくような対応について、建設的な提言を行ってゆくということであるし、OPECの事務局長も、将来にわったてOPEC側が設備投資する総額を最近発表している。何とかしなければならないという努力の連鎖が始まったことは極めて高く評価できる。

2. 気候変動問題
2-1 記者質疑
 気候変動問題についてはどうか。
2-2 応答
2-2-1 セクター別アプローチの有用性認識:
 わが国はセクター別アプローチについて、厚い壁にぶつかりながらも、公平・公正なベンチマーキングにとって極めて重要な取組として主張し続けてきたが、このセクター別アプローチの有用性についても共通の認識を得た。
2-2-2 原子力についても極めて有効な手段であることをG8エネルギー大臣会合の共通認識とし、これがそのままG8の共通認識となった。

3. WTO交渉
3-1 記者質疑
 今月21日からの閣僚会議への期待はどうか。
3-2 応答
3-2-1 厳しい交渉と各国の危機感
 極めて厳しい交渉になるが、参加各国閣僚が、このチャンスを逃がすとWTO交渉は何年も先にいってしまう(米国大統領選との関係などで)という危機感を持っている。
3-2-2 WTO交渉の本質
 WTO交渉というのは、世界レベルで各国の体力に応じて負荷のかけ方を微妙に調整しながら、「鎖国から開国」に向かうことにより、開国する国が経済体力を強化すると共に、世界の交易も活発化するということである。

4. SANARI PATENT所見
  各国特許制度について、TRIPS協定もWTOの一環をなしている。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.Com に送信下さい)
G8、WTO、甘利経済産業大臣、気候変動、TRIPS、OPEC

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2008年7月11日金曜日

Approach Classified By Sectors

Approach Classified By Sectors and Breakthrough By Innovation: 経産省北畑隆生事務次官の退官挨拶とG8報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 内閣知財戦略本部専門委でネット法案に対する賛否(20080710記事)

 昨日の経済産業事務次官定例記者会見は、本日の同省幹部異動を前にして、北畑隆生事務次官の退官挨拶と共に、今次G8の成果の説明を主たる内容とした。
先ずG8についての応答(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. G8成果の評価
1-1 質疑: 明確な数値目標、原油高対策について所感はどうか。
1-2 応答: 久しぶりに世界経済が議論対象になった大成功のサミットだったと思う。ロシアの自由経済入りでG8になってから、政治中心のサミットが続いたが、世界が取組むべき課題が生起して経済に焦点が当たったサミットになった。
 温暖化対策の具体的数字については、今次G8は最終決着点ではなく、来年末のCOP会合が最終点であるから、その中間点としては大きな前進であった。また、主要経済16国が参加して、G8が合意した長期目標を踏まえて、それをG8以外の国も取組んでゆくという強い政治的メッセージが発せられたという意味で、大きな前進があった。
 経済産業省の関係では、セクター別アプローチや、技術革新によるブレークスルーが、長年にわたる経済産業省の主張であるが、それが宣言文に大きく取り上げられた。昨年までは、排出量取引や環境税という文章だったが、セクター別アプローチの有用性、技術革新の資金の必要性が盛り込まれたことを評価する。
 セクター別アプローチというのは、二、三年前に経済産業省の若い課長補佐が中心になって発明した概念である。排出量取引は外国の発明であるが、セクター別アプローチについては先ずEUが有効性を認め、他の先進国、途上国も注目して、今次G8の宣言文に入った。

2. その他、経産省北畑隆生事務次官の発言
2-1 国益と地球環境
  地球環境を良くしなければならないという合意はあるが、それをどのように実現してゆくかは、国益を賭けた外交交渉である。利害の衝突が如実に見えた。G8の中でも、米国と欧州と日本で立場が違うし、欧州の中でも、原子力を推進する国とそれ以外の国で温度差があった。
2-2 経済産業政策の現在と今後
 新経済成長戦略、グローバル戦略、新国家エネルギー戦略、この3戦略が具体的に展開しているが、原油・資源が直面している課題である。

3. SANARI PATENT所見
  経産省北畑隆生事務次官は「自分の国民年金手続後、8月中はスペインに滞在する」と語られたが、他の幹部異動の内容と共に、その清新な意図に対する讃辞が、今朝のマスコミを賑わすであろう。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
G8、経済産業省、セクター別アプローチ、原子力、原油、スペイン

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2008年7月10日木曜日

Partnership of Finance and Industry, Reported by METI

Partnership of Finance and Industry, Reported by METI: 経済産業省の「産業と金融の両立を通じた経済成長」中間報告(2008-7-9発表)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 沖電気の新検索技術開発(20080709記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ リチウムイオン電池の安全性措置(20080709記事)

 「産業と金融の両立」という標題自体に違和感を持つ国民が多いと思われるが、例えば英国について、その日本を上回る経済戦略お蝶の現状が、「産業重点から金融重点に移行したことによる」というような論説は、近年多く見られた。短絡的に言えば、新製品の特許発明による世界市場展開よりも、世界金融市場を制覇してゆくことが、国の経済成長を現実的に高めたという見方である。

 わが国について、「産業と金融」という表現のもとで、経済産業省の産業構造審議会産業金融部会が中間報告をまとめ、昨日発表した。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
 なお報告をまとめた同部会には、金融業界から、三菱UFJキャピタル、みずほコーポレート銀行、大和証券SMBC、J.Pモルガン証券、クレディスイス証券、メリルリンチ日本証券、さわかみ投信、野村資本市場研、東京証券取引所など、産業・商事業界から、トヨタ、新日鐵、住友商事、オリックスなどの経営・専門の役員・幹部が参画している。

1. 産業と金融の関係の変化
1-1 今世紀に入って産業と金融の関係が変化し、世界的に金融の拡大が進んでいる。米国や英国では金融を推進力として高い経済成長を実現するなど、世界の経済システムが変化している。
1-2 また、最近の金融動向として、金融危機による景気減速の一方、投機資金による資源価格高騰など、両者の関係が複雑化すると共に、企業レベルにおいては、国際的な事業再編の拡大、新技術・新製品をめぐる熾烈な競争などをめぐって、金融が産業に対して果たすべき役割が益々重要になっている。
2 「産業と金融の両立」の必要性
2-1 わが国は不良債権問題を脱し、金融システムが安定化して経済が回復基調にはあるが、経済成長は低迷し、世界経済に占めるわが国のプレゼンスは低下しつつある。
2-2 一方、米国・英国は金融改革によって金融産業を軸とする持続的経済成長を実現している(SANARI PATENT注:この報告立案時と、現状の経済成長の米英・米欧相違はかなり顕著と、一般に認識されている)。米国・英国において金融産業が成長を牽引している背景として、グローバル化による世界的な金融経済の拡大、これに伴うアジア諸国等の貿易黒字が国際的資金として、米英に還流していることが挙げられ、金融産業発達の背景としてはIT化の進展が挙げられる。
2-3 翻ってわが国の輸出競争力は、アジアに対して相対的に低下している。国内市場を中心とする企業の生産性は停滞する一方で雇用は増加し、一部のグローバル企業のみだわが国経済全体の生産性向上を牽引することは困難になりつつある。
3 金融的課題と金融的解決策
3-1 M&A
3-2 選択と集中
3-3 国際展開
3-4 研究開発投資
3-5 事業再生
3-6 事業リスクの低減
3-7 資金運用
3-8 ベンチャー企業の成長
3-9 不動産担保等に過度に依存しない資金調達

4.SANARI PATENT所見
  この報告は、当面の政策課題として、「年金積立金管理運用独立行政法人の組織変更・運用改善」、「企業金融調査」、「SWF(SANARI PATENT注:政府系ファンド:Sovereign Wealth Funds)からのリスクマネー受け入れ」、「政策投資」を、中長期的検討課題として「金融産業の国際化と投資銀行機能の強化」、「中小企業金融」、「個人の株式投資」を掲げており、それぞれ、これまでも政治局面を含めて議論が重ねらてきたところではあるが、この報告立案中には登場していなかった原油市場への投機資金とその今後の動きおよび影響に対する政策関与の可能性が検討対象外であり、再度中間報告を構成することが適切である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
SWF、産業構造審議会、三菱UFJ、みずほ、大和証券、モルガン、新日鐵、住友商事

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2008年7月9日水曜日

Enlarging Specific Fields of Service Industry as Object

Enlarging Specific Fields of Service Industry as Object of Sales Trend Survey:7月分から「インターネット付随サービス業」「デザイン業」なども
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  沖電気の検索システム開発(20080709記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/ FOMA Ubiquitous Module,
Apple iPhone 3G (20080708記事Ⅱ)

 知財開発の意欲が対象業界の景況によって影響されることは、事実上想定されところである。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」には、その意味でも関心が持たれるが、調査対象の拡充と5月期の調査結果が発表されたので(2008-07-08発表)、要約・考察する。

1. 対象業種の拡充
  7月分から、次の業種を加える・
「インターネット付随サービス業」「映像情報制作・配給業」「音楽ソフト制作業」「新聞業」「出版業」「ポストプロダクション業」「デザイン業」「機械設計業」「機械等修理業」「自動車賃貸業」「CD/ビデオレンタル業」「環境計量証明業」

2. 前年同月比で5月の売上高増減率
2-1 情報サービス業
2-1-1 情報サービス業は、売上高前年同月比2.2%増で、5カ月連続増。特に受注ソフトウェア」は金融業向けなどの増加により4.6%増。その内訳として「システムインテグレーション」は6.7%増。「計算事務等情報処理」は7.3%増、「システム等管理運営受託」は0.9%増。
2-1-2 情報サービス業の内訳として「ソフトウェアプロダクト」は、「ゲームソフト」が国内・国外向けとも減少し、17.0%減となったことに加えて、ゲームソフト以外のソフトウェアも減少したことから、全体では8.5%の減。「データベースサービス」は4.0%減、各種調査は3.8%減。

2-2 エンジニアリング業
 5月の受注高は2.2%増で2か月連続増。国外は化学プラント、電力プラントシステムの大口案件があったことから32.1%増。
2-3 クレジットカード業
 5月の取扱高は4.0%増。業務種類別には、販売信用業務が、利用分野の拡大・利用頻度の増加により7.7%増。一般小売店5.3%増、飲食店10.2%増、百貨店0.9%増。

2-4 映画館
 売上高27.5%減。入場者数26.7%減。内訳は、邦画11.7%増、洋画51.4%減。アニメ17.8%減。
2-5 パチンコホール
 売上高13.6%減で17か月連続減。設置台数6.9%減。事業所数6.3%減(SANARI PATENT注:関係機器メーカーの海外指向を促している)。
2-5 葬儀業
 売上高1.3%増。事業所数4.9%増。従業者数6.7%増(SANARI PATENT注:安定した業界である)。
2-6 結婚式場業
 売上高7.7%増。件数6.4%増。
2-7 外国語会話教室
 売上高12.0%減。17カ月連続減少。
2-8 カルチャーセンタ
 売上高1.2%増。新規受講生10.2%増(SANARI PATENT注:団塊定年退職者かと思われる)。
2-9 学習塾
 売上高2.5%増。

3. SANARI PATENT所見
  どのサービス分野も、ビジネスモデルの革新が企業存続・成長の要件と見受けられる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Sales Trend、システムインテグレーション、ゲームソフト、クレジットカード、パチンコホール

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2008年7月8日火曜日

FOMA Ubiquitous New Module vs. i Phone 3G

FOMA Ubiquitous New Module vs. i Phone 3G(Apple): ドコモとソフトバンクの7月8日発表
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/ 新日鐵化学特許権知財高裁判決(20080708記事Ⅰ)

 ケータイのイノベーションが益々活発になり、今日は次の2つの発表が注目される。

1. ソフトバンクのi Phone 3G発売(20080711)
1-1 i Phone 3Gは、従来のi Phoneが持つ全ての革新的機能に加えて、初代i Phoneと比べ通信速度を2倍に高めた3Gネットワーク機能、位置情報を利用したモバイルサービスを、更に拡張する内蔵GPS、および、Microsoft Exchange Active Synoのサポートを含み、最近リリースされたi Phone SDKIにより制作された圧倒的多数の外部制作会社のアプリケーションが動作するi Phone2.0ソフトウェアを特長とする。
1-2 ソフトバンクモバイル株式会社は、i Phone 3G(アップル社製)を、7月11日の朝7時から「ソフトバンク表参道」で発売する。

2. ドコモのFOMAユビキタスモジュール新製品発売(20080714)
2-1 ドコモは、自動販売機などの各種機器に組み込んでFOMAパケット通信を利用できるFOMAユビキタスモジュールを7月14日から発売する。
2-2 これまでドコモは、様々な分野でマシンコム市場の拡大を図ってきた。FOMAユビキタスモジュールは現在、電力・ガス設備装置などの監視制御、小型情報端末による業務支援、自動販売機の在庫管理など、身近に利用されている。
2-3 今次新製品の特長は、次の通りである。
2-3-1 ソフトウェア更新を遠隔から行うことが可能である。
2-3-2 顧客からの事故問い合わせなどに対して、ドコモが遠隔から装置の状態を確認できる。
2-3-3 FOMAサービス回線を通じて、ネットワーク側でGPS測位をアシストし、より高精度の情報を取得できる

3. SANARI PATENT所見
  ドコモは既に昨日、個人向けBlack Berry Internet Serviceを、8月1日に開始すると発表している。これらが相まってNGNの充実した活用が期待される。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
NGN、i Phone 3G、FOMA、Black Berry、Ubiquitous Module

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Nippon Steel Chemical Co.’s Patent Dispute

Nippon Steel Chemical Co.’s Patent Dispute: 新日鐵化学株式会社のフェノール性化合物およびその製造方法特許無効審決を知財高裁が支持(20080703)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 北米・欧州新ゲーム機向けJCM貨幣処理機の市場拡大(20080707記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 周知著作物題号・祭り名称の商標登録拒絶(20080707記事)

 新日鐵化学が有する「フェノール性化合物およびその製造方法」特許権の無効審決の取消を、新日鐵化学が知財高裁に請求したが、知財高裁は新日鐵化学の請求を棄却した(20080703判決:平成19行ケ10160審決取消請求事件)。

 知財高裁における被告エア・ウォータ株式会社の勝訴判決であるが、特許庁の本件特許無効理由「新日鐵化学の本件発明には、特許付与要件としての進歩性・新規性が認められない」ことを、知財高裁が支持した判決である。

 新日鐵化学・エア・ウォータ間、特許付与・特許取消間の、進歩性・新規性判断の相違に対して、知財高裁の判断を見る(SANARI PATENT要約)

1.「少量成分」の規定の不備について
  本件新日鐵化学特許明細書において、「所定フェノール性化合物を少量成分として含有するフェノール性化合物」と規定しているが、この「少量成分」について、主成分であるn=0体よりも少量であることのほかに、n 1体の含有量を規定する記載がない。

2.「少量成分」の技術的意義の記載の不備について
  新日鐵化学は、本件特許明細書実施例において得られたエポキシ樹脂が、従来のものに比べて優れた性質を有することが、「少量成分」が実質的な量存在することによる効果であり、少量成分の技術的意義は、本件訂正明細書に記載されていると主張する。いかしながら、その比較対象から見て、エポキシ樹脂の特性改善に有意な量を含有する必要があることを示すものではない。

3.「非結晶性であることの技術的意義の記載不備」について
  新日鐵化学は、n 1体の含有量における有意な量とは、具体的には「生成物たるフェノール性化合物が非結晶の樹脂の状態を維持する量」であるということができる」と主張するが、「実質的な量を含有すること」を「非結晶性であること」に置き換えたとしても、その技術的意義が明細書に記載されていないことは同様である。

4.エポキシ樹脂・フェノール樹脂の技術分野における技術常識の存否
 新日鐵化学が主張しているような技術常識が存在していたとは認められない。

5.異性体混合物であるか否かについて
 新日鐵化学の主張は、本件発明の主成分であるフェノール性化合物が特定の異性体混合物であることを前提としているが、この主張は採用できない。

6.進歩性・新規性の認定
  上記各判断に基づいて知財高裁は、「新日鐵化学の本件発明に進歩性・新規性が認められない(従来技術から容易に相当できる)」という特許庁の特許取消審決に誤りがないと判断し、新日鐵化学の請求を棄却する。

7.SANARI PATENT所見
 明細書記載の戦略性を示す判決である。記載内容の認定が「想到容易性の判断」に直結する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Patent Dispute、新日鐵化学、フェノール性化合物、エア・ウォータ、知財高裁、特許無効

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2008年7月7日月曜日

Ultra Realistic Communication

Highly Actual Spot Feeling (Ultra Realistic Communication) by NGN: ICTによる高臨場感の進展
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  総務省ICT報告(20080706記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  次世代検索サービスの機能(20080706記事Ⅱ)

 ICTの発展過程で、Virtual World、Real Worldという用語が頻用され、最近「仮想的世界特許庁」という構想が特許庁政策として強調されて、Virtual と
Real の相違(例えば、銀行決済や証券取引には、VirtualとRealの実用的相違は全くない)が具体的に問われる局面になっている。

 さらに「臨場感」という用語は、ICTの発達目標の一つとして、その高度化が掲げられ、今次総務省「ICT成長力報告」の主要課題の一つとされている。

 既に「超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム」が平成20年度定期総会(20080604)において、シャープ・水島繁光常務の基調講演やNEC・・山田敬嗣・C&Cイノベーション研究所長ほかのパネルが開催されるなど、動きは活発である。ここでは今次報告中、「高臨場感コミュニケーション」の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 高臨場感の放送サービス
1-1 サービスのイメージ(2015年までに実用化される)
1-1-1 家庭のリビングが超高精細映像と立体音響による高臨場感シアータになる。
1-1-2 人に優しい、自然な高臨場感放送を実現する。
1-1-3 五感放送の基礎研究を推進する。
1-1-4 空間再現メディアを開発する。
1-2 要素技術
1-2-1 超高精細映像技術
1-2-2 立体音響技術
1-2-3 立体音響符号化技術
1-2-4 多重伝送技術
1-2-5 任意・多視点映像生成・表示技術
1-2-6 五感放送技術

2. リアルとバーチャルが融合した新オミュニケーション
2-1 サービスのイメージ(2015年までに実用化される)
2-1-1 センサーやディスプレイなどの進歩により、ネットワークの仲立ちを意識せず直接相手と接しているように感ずるなど新たなコミュニケーション形態が出現する。
2-1-2 香りや手触りも伝える五感通信・五感放送を実現する。
2-2 要素技術
2-2-1 実写・CG三次元映像合成技術
2-2-2 立体映像技術(リアルタイムホログラフィ生成・表示技術、複数視差映像撮影表示技術)
2-2-3 センサーとアップリケーションの連携技術
2-2-4 立体音響技術
2-2-5 五感情報伝達技術(香り情報、体性感覚情報、味覚情報)

3. SANARI PATENT所見
  高臨場感技術の研究が多分化化しつつある。例えばNKH放送技研の高臨場音響研究の最近の成果として、「22.2マルチチャンネル音響システム」「22.2ヘッドフォーン」「リアキャンセルマイク」「超高帯域マイク」「音による感動の心理モデル」が紹介され、特許登録された発明として「多チャンネル音声再生装置」「音量制御装置」「音源信号推定装置」がある。
  多分野技術を総合する「総合臨場感」の研究促進が必要である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Ultra Realistic Communication、シャープ、NEC、NHK、高臨場感、ICT

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2008年7月6日日曜日

Technical Image of Contents/Application Layer

Technical Image of Contents/Application Layer: Image of ICT Services Brought to Practice by 2015: 総務省「ICT成長力」報告における検索機能
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/ 新商標の検討(20080706記事Ⅰ)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ ICT活用の現況(20080706記事)

 次世代情報検索(Search Engine)について、総務省「ICT成長力懇談会」(座長・野村総研・村上輝康シニアフェロー)の検討結果報告(20080703)のうち、「2015年までに実用化されるコンテンツ・アップリケーション層の技術イメージ」は、下記の点で注目される(報告内容・SANARI PATENT要約)。

1. 次世代情報検索
1-1 ユーザーの状況を考慮した検索・解析
1-1-1 サービスのイメージ
1-1-1-1 個々のユーザーの嗜好や、置かれた状況に適した検索・解析
1-1-1-2 対話型インタフェイスなど、新しいインタフェイスによる検索
1-1-2 要素技術
1-1-2-1 状況理解技術
1-1-2-2 実世界インタフェイス(物体特定技術)
1-1-2-3 対話型のユーザーインタラクション適応

1-2 マルチメディア情報の検索・解析
1-2-1 サービスのイメージ
    画像・映像・音・センサー情報の検索・解析
1-2-2 要素技術
1-2-2-1 メタデータの自動作成
1-2-2-2 音声認識技術
1-2-2-3 音響認識技術
1-2-2-4 画像認識技術
1-2-2-5 検索結果の表示インターフェイス

1-3 様々な端末を活用する検索・解析
1-3-1 サービスのイメージ
   情報家電などの端末による様々な場面で使用される検索・解析
1-3-2 要素技術
1-3-2-1 サービス連携技術(端末属性によるプロファイル管理)
1-3-2-2 ユーザー認証・アクセス制御
1-3-2-3 アプリケーション連携技術
1-3-2-4 検索インタフェイス

1-4 大量なデータ・集合知の活用
1-4-1 サービスのイメージ
   センサーネットワークからの計測データや、インターネットの「くちコミ」など、大量のデータ、情報から集合知や未来予測を発掘する解析
1-4-2 要素技術
1-4-2-1 ゾ同レポート生成
1-4-2-2 データマイニング技術
1-4-2-3 情報の因果関係推論技術
1-4-2-4 異種システム連携技術
1-4-2-5 分散処理技術

2. SANARI PATENT所見
  Google検索のイノベーションなど、上記革新は標記報告が想定したロードマップよりも高速に展開することが考えられる。内閣知財戦略本部は検索に関する著作権問題の処理等を計画しているが、米国Fair Use法制の実質に早急に同調すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Search Engine、Google、次世代情報検索、ICT、総務省

ラベル:

Definition of Trade Mark: JPO vs. USPTO

Definition of Trade Mark: JPO vs. USPTO :「商標」の解説、日本特許庁と米国特許商標庁の対比:経済産業省・新タイプ商標検討Working Groupの発足
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  経済産業省が新車販売業の活力再生案(20080705記事)

 現代から次世代へ、IT-IP Innovationの達成態様による国際競争力の格差が企業と国民の盛衰を決定する。
IPは創造権(Creation Rights)と識別権(Identification Rights)の総合であるから、JPOとUSPTOのIT窓口である両庁の最近のHome Pageを先ず対比してみる。創造権による独占権は、識別権によって保護されるが、識別権を代表して商標権は、日米どのように定義されているか。

1. 米国特許商標庁(USPTO)の商標解説
1-1 United States Patent and Trade Mark OfficeのHome Page Topには、
「What Are Patents, Trade Marks, Service-marks, and Copyright ?」と題する記事がある。その「What is a Trademark or Service-mark?」の項は先ず次のように述べている。
「A trademark is a word, name, symbol or device which is used in trade with goods to indicate the source of the goods and distinguish them from the goods of others.」
この「device」という用語は「デバイス」で通用するが、強いて「仕掛け」と和訳bにしても、IT技術の将来にわたるイノベーションが識別方法にもたらす革新を全て包含できる広汎性を具備している。
1-2 現在、経済産業省の産業構造審議会では、商標法による保護対象適格性について、「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググル-プ」を新設して(2008-6-10設置決定)、わが国商標法における「商標」の可視性文字・図形の従来観念を超える「音、動き、色彩変化、ホログラム」などを商標法対象とすることの検討を開始しょうとしているが、IT革新急進のグローバル状況から考えて、欧米諸国のみならず、中国・韓国の商標法改正動向から見ても、遅れが認識されているところである。

2.「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググル-プ」の新設
2-1 上記1-2のグル-プについて、その新設必要性は次のように述べられている(SANARI PATENT要約)。
2-1-1 企業活動におけるブランド価値創造の重要性が高まっているが、情報伝達手段としてのインターネットの普及に伴い、商品・サービスの広告・販売活動において、その差別化やブランド力向上のため新たな取組として従来の文字・図形から成る伝統的商標と異なる新標識が、識別子として用いられるようになった。Singapore Treaty on the Law of Trademark(2006)によって、その国際的趨勢も顕著である。
2-1-2 そこでこのWorking Groupにおいて、商標として保護すべき対象、権利範囲と特定方法、同一・類似の範囲、著作権との調整、商標の定義の見直しを検討する。
2-2 このWorking Groupは、産業界や法学者など10名程度で構成する。

3. SANARI PATENT所見
 丁度、NECソフトのIT’s VALWAY誌最新号が届いたが、NECの「VALWAY+」(VALWAY+ Information 、VALWAY+ Foodなど)もSolution Serviceの識別子(Service Mark)と考えられる。なお、上記1-1のUSPTO-HPは、次のように述べている。
「A service mark is the same as a trade mark except that it defines and
Distinguishes the source of a service rather than a product. The term “trademark” and “mark” are commonly used to both trademarks and service
Marks.」
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Trademark、service mark、JPO、USPTO、NEC、VALWAY、新商標

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2008年7月5日土曜日

International Competitiveness of Electronics Industry

International Competitiveness of Electronics Industry:「エレクトロニクス産業の国際競争力の向上方策」(経済産業省2008-07-04発表)について意見公募
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 原油価格について経産省北畑隆生事務次官応答(20080704記事)
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/ ITサービス事業におけるリスク評価(20080704記事)

 経済産業省(担当:商務情報政策局情報通信機器課)が標記方策案を発表し、来月2日期限で意見を公募する。以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

 案を作成した経済産業省の研究会は、10名の委員で構成され、関係企業から、富士通総研・安部忠彦取締役、松下電器産業・桂 靖雄常務、エルピーダメモリ・坂本幸雄社長、トヨタ自動車・重松 崇常務役員、日立製作所・武田英次執行役常務、ソニー・原 直史業務執行役員SVP、日本IBM・丸山 宏執行役員、UBS証券・山本高稔副会長が委員として参画している。

1. エレクトロニクス産業の現況
1-1 エレクトロニクス産業は、生産総額27兆円、雇用者数121万人を擁するわが国の代表的産業である。社会システムや国民生活に直結する様々な機器を通じて社会全体の生産性向上と豊かな国民生活を実現する。
1-2 しかし、2001年のITバブル崩壊以降、各社業績に概ね回復基調が見られるものの、諸外国の企業との比較において、持てる力を十分に発揮した業績を示すに至っていない。将来に向けての戦略お蝶の軸となる分野への戦略的な集中投資が遅れている。
1-3 また、各社の総花的な事業展開の結果、同質的製品間での過当競争を生じ、値引き・薄利をもたらしている。
1-4 これに対して、AV家電やディスプレイデバイスの分野では、大きな事業再編が進んでいる。その内容が合弁会社設立や生産部門提携を超えて、事業撤退や事業部門買収など経営面における集約化まで進めば、状況の変化が期待される。
1-5 一方、戦士部品に特化して技術を高め、世界のセットメーカーとのビジネスにおいて高い売上高営業利益率を獲得している企業や、半導体製造装置などマザーマシンの分野において、グローバル競争の中で価格以外の製品付加価値を請求することで高いシェアを獲得している企業もある。

2. 競争力強化の方策
2-1 過去の事例・経験からの教訓を活かすこと
2-1-1 規制・商慣習を含め、様々な既得権益的なものが生まれ、本来の市場メカニズムに何らかのバイアスがかかると、結果的にはグローバルな土俵での競争力がつかず、国内市場の成熟と共に事業が行き詰まる。

2-1-2 競争相手が多すぎると、熾烈な価格競争によって薄利を余儀なくされ、逆にサプライヤーの数が少なく価格支配力があるケースでは、次の研究開発投資・設備投資の原資となる利益を確保してイノベーションを活性化し、競争力を持続できる。

2-1-3 日本のエレクトロニクス企業は、部門ごとの研究開発費は少ない(SANARI PATENT注:分散されているという意味)。
2-1-4 欧米・アジアの企業に比べて、経営者の報酬水準が低く、リスクを取らない傾向をもたらす。

2-2 競争力向上のため必要な能力を開発すること
2-2-1 差別化されたソリューションを提供する力
2-2-2 グローバルマーケティング
2-2-3 グローバル市場の創出とそのコントロール
2-2-4 異用分野の融合
2-2-5 経営者の指導力、迅速な判断
2-2-6 新たなビジネスモデルとサステナブルモデルの創出
2-2-7 競争力指標による「見える化」
2-2-8 選択と集中

3. SANARI PATENT所見
  この研究会としては、国際競争力に関する的確な指標の作成と、諸国政策の客観的に精確な対比を示すことを目的とし、「経営者の報酬水準」にまで検討を拡散させないことが望ましい。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
International Competitiveness、Electronics Industry、富士通総研、松下電器産業、エルピーダメモリ、トヨタ自動車、日立製作所、ソニー、日本IBM、UBS証券

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2008年7月4日金曜日

Innovation of SaaS to PaaS by Salesfoce-Google Conbination

Innovation of SaaS to PaaS by Salesfoce-Google Conbination: GoogleとSakesforceの連携等、SaaSからPaaSへのイノベーション
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
このサイト http://sanaripatent.blogspot.com/  ITサービス継続性ガイドライン案を経済産業省が提示(20080704記事Ⅰ)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  原油適正価格への誘導について経産省北畑隆生事務次官の応答(20080704記事)

次世代ネットワークの活用形態として、SaaSの利用は総務省政策において強調され、既に日立ソフトウェア・Sakesforce連携による「ゆうびん銀行」の巨大顧客応対システムに活用されることが報道されているが、総務省等は、中堅・中小企業のIT利用活発化の見地から、SaaS(SANARI PATENT注::総務省は、SaaSとAPSとを同義として対応している)利用の有利性を示唆してきた。

本年4月来、SakesforceとGoogleが日本市場で「Sakesforce for Google Apps」を推進すると報道されPaaS (Platform as a Service)という用語は用いなかったが、SANARI PATENTはこれを実質上、Google-Sakesforce 連携によるPaaSの展開と解している。両社のApplication の融合によってエンドユーザーの利便に応えるものだからである。

最近のSakesforce→PaaSの動向については。Mycom-Jonernal 2008-7-04が、Sakesforce会長の 発言を報道している。その要点を見る。

1. Sakesforceは、これまで、SaaS (Software as a Serviceの発想で業務を展開してきたが、PaaSではApplication にとどまらず、様々なソフトウェアを活用する基盤、開発環境までをネットワークで提供する手法である。
2. すなわちPaaSは、Application の開発Platformを基本的にネットワークだけで実現するものであり、SaaSを補完してさらに利便性の高いIT環境を構築するものである。Database、User-Interfaceなど既存環境との総合機能が用意されており、Application を迅速・容易に開発できる。
3. Web1.0によりインターネットアクセスが普遍化し、Web2.0でエンドユーザー自らがコンテンツを生成することによってYou Tube[やSNSが発展したが、Web3.0ではPaaSを中心とする新しい領域が展開する。
4. Platformもオープン化の時代を迎え、あらゆるコンピュータ資源をインターネット上から利用するクラウドコンピューティングが次世代のPlatformを担う。

5. SANARI PATENT所見
次世代ネットワークは既に現世代ネットワークであり、その活用のイノベーションを競う場において、わが国企業の経営とわが国政府の知財政策が先導的であることが、切に望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Google、Sakesforce、SaaS、PaaS、次世代ネットワーク、総務省

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IT Business Continuation Plan (IT BCP) by METI

IT Business Continuation Plan (IT BCP) by METI:「ITサービス継続ガイドライン案」(2008-07-03経済産業省発表)について同省が意見公募
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  経済産業省が「知識融合を通じた成長力の強化」について意見公募(20080703記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  「情報セキュリティ管理基準改正案」について経済産業省が意見公募(20080703記事)

 「ITサービス継続」という用語は一般にはまだ馴染みが浅いと思われる。平たく言えば、ITサービス企業が事業継続できない事態にならないこと、そのような事態に至るリスクを認識し回避すること、もっと簡単に言えば「ITサービス事業の継続信頼性」である。
 最も身近には、インターネット社会でISP(Internet Service Provider)にほとど全ての企業と個人が依存して社会経済活動を営んでいるが、契約しているIPS企業の破綻によるサービス断絶というような事態は考えないで過ごしている。しかし、ITサービスの中断は、代替手段の即時供給ができない点で、停電事故よりも深刻な影響を及ぼす。

 経済産業省は「ITサービス継続ガイドライン策定ワーキンググル-プ」を設けて、この問題を検討sてきたが、同グル-プには、産業界からの委員として、富士通総研、日立製作所、日本ヒューレットパッカード、日本電気、富士ゼロックス、新生銀行、損保ジャパン・リスクマネジメントの各ITサービス専門家と、金融情報システムセンター、情報サービス産業協会、日本情報システム・ユーザー協会、日本セキュリティ監査協会の各関係団体専門家が加わっている。

 以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1.「ITサービス継続ガイドライン」の必要性
1-1 情報処理技術やネットワーク技術の発達と低コスト化が進む中で、現代の社会経済は、IT活用により時空を超えるサービス・商品の提供、業務効率向上、意思決定支援の便益を享受している。

1-2 一方、IT依存の急速な増大に潜在するリスクや、依存関係に起因する脆弱性を認識することが重要である。ITサービスの継続性を確保することは、必ずしも事業継続性全てを担保するものではないが、IT依存関係の増加に対処し、ITサービスのマネジメント体制を事故前提の考え方に基づいて構築・維持することは、安心・安全社会に必要不可欠である。

2.ITサービス継続
2-1 ITサービスは、組織における業務の遂行に際して必要となるITおよびIT関連体制の組合せによって提供される機能である。具体的には、財務会計システム、生産管理システム、在庫管理システム、顧客管理システムなどの基幹システムに加えて、電子Mail システム、入館管理システム、スケジューラー、部門毎表計算等が提供する機能である。
2-2 ITサービスの継続を確保するため、次の事項が要素となる。
2-2-1 ITサービス継続マネジメントのフレームワーク
2-2-2 ITサービスの継続戦略
2-2-3 ITサービスの継続計画
2-2-4 ITサービス継続体制の実装、運用、維持、監査

3.SANARI PATENT所見
  今次案には、現在重要性を増大している組込系システムについて、ITサービス継続対策が対象者等との関係などで異なるという理由で、記述対象外としているが、早急な検討着手が望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
IT BCP、富士通総研、日立製作所、日本ヒューレットパッカード、日本電気、富士ゼロックス

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2008年7月3日木曜日

Israeli Hi-tech Venture Capital

Israeli Hi-tech Venture Capital: 中東和平、日本・イスラエル・ヨルダン・パレスチナ自治政府のインフラ整備合意とこれら国域の科学技術
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/ 経済産業省・JTBの観光地顧客調査(20080702記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ Microsoftの自然言語検索イノベーション(20080702記事)

1. YOMIURI ONLINE (2008-07-02-21時22分)は、「中東和平の閣僚級会議、インフラ整備に来年早々着手で合意」と題して次のように報道した(SANARI PATENT要約)。
1-1 中東和平に関する日本、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府の閣僚級会議が2日、東京で開かれ、日本が提唱する開発プロジェクトの具体化に向けて、来年早々、インフラ整備に着手することを合意した。
1-2 この構想は日本の援助で流通拠点等を建設するものである。

2.中東の上記国域の科学技術には、極めて注目すべきであるとSANARI PATENTは考える。例えばイスラエルについて見る。

2-1 Wikipediaは、Israelの科学研究について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
2-1-1「Israelは専門資格を持つ人材資源が豊富であり、自国が持つ科学資源や専門知識を駆使して、国際協力において重要な役割を果たしてきた。Israelは幾つかの分野に限定して専門化し、国際的な努力により国家存続に不可欠な高度の軍事および民生技術を具備しつつある。科学技術研究に従事するIsrael人の同国人口に対する比率、および研究開発資金額の比率は、世界有数の高率である。

2-1-2 また、労働力数との比率で見ると、自然科学、工学、農学、医学の分野における論文執筆者の数は世界一である。医学とその周辺分野、生物工学の分野では、極めて進んだ研究開発基盤を持ち、広範囲な研究に取組んでいる。

2-1-3 軍事目的を主目的として、人工衛星も打ち上げているが、その特殊技術としては、通常の人工衛星は地球の自転を利用して東向きに打ち上げられているが、Israelの人工衛星は西向きに打ち上げられ、アラブ諸国に機体が事故落下するリスクを回避している。

2-2 Israelの科学技術を産業に結び付ける同国のVenture Capitalについては、わが国においては、d.hatena diaryが次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

2-2-1 IsraelのVenture Capitalの歴史は比較的浅く、1993年以前に国内で活動していた企業は1社であったが、Israel政府は自国のVenture Capital企業うぃ育成するため「Yozme Program」(Israel語で、Initiativeの意味)政策を樹立し、世界と伍して戦えるVenture Capital産業の確立を目的として、1億ドルの黄金を先ず割り当てた。さらに外国の主要Venture Capital企業と協力して10基金を設定した。

2-2-2 IsraelのVenture Capital活動を活発にしている要素としては、Israel Venture 協会やIsrael Venture Capital Research Centreの活躍がある。(SANARI PATENT注:例えば後者は、Israel High-tech Company Capital Raising-O1-2008のような最新技術情報を提供している)。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Israel、Venture Capital、中東、ヨルダン、パレスチナ

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2008年7月2日水曜日

Backwardness of Japan Trade Mark System

Backwardness of Japan Trade Mark System (Problems of Trade Mark by Sound, Motion, Hologram) : わが国商標法の後進性(欧米・中韓対比)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
関連サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  「吉田松陰」商標登録拒絶(20080630記事)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  企業買収防衛策の在り方(経済産業省)(20080701記事)

 新興国の巨大人口を含むグローバル経済の進展に対応すべく、経産省産構審商標委の6月会合でも商標法改正の検討が行われているが、わが国商標法規定の後進性が目立ち、審査基準改定で措置できないとすれば、法改正を急務とSANARI PATENTは考える。ここには、「音・動き・ホログラム」などによる新商標についての経産省産構審商標委検討経緯を見る(検討内容はSANARI PATENT要約)。

1. 新商標
1-1 企業活動のグローバルな進展に伴い、自己の商品・サービスを他社のそれから差別化する手法は、ますます多様化している。このような状況のもとで、自己の商品・サービスであることを示す標識について、従来の文字・図形から構成される伝統的なものから、テレビ・ラジオ広告で使用される特徴的な音など、新しいタイプのものが使用されている実態がみられる。
1-2 音・動き・ホログラムなどの新しいタイプの商標は、欧米など主要な諸外国では商標法の保護対象として規定されているのに対して、わが国では現在のところ、保護の対象になっていない。
1-3 国内3100社対象のアンケート調査によれば、新商標のうちいずれかを国内で事実上使用している企業の割合は60%、ニーズ(新商標のうちいずれかの保護を希望する企業は82%に達した。タイプ別のニーズは、音の商標63%、位置商標60%、ホログラム商標58%、動く商標55%、色彩のみの商標42%、香りの商標25%、味・触覚の商標20%である。
1-4 新商標はわが国においては現在、商標法上の保護対象になっていないが、欧米等の主要な諸外国では商標法上の保護対象とされている。従って、次の論点について検討を要する
1-4-1 商標として保護すべき対象
1-4-2 商標の特定方法と権利範囲
1-4-3 商標の同一性および類似の範囲、著作権等の他の権利との調整
1-4-4 新商標の導入に伴う商標の定義の見直し
1-4-5 同じく商標の使用の定義の見直し

2. SANARI PATENT所見
2-1 欧米のみならず中国では、新商標を含む全ての商標を保護対象とすべく法改正を検討中であり、韓国では2007年7月から、視認し得るもの、すなわち、色彩、動き、ホログラム等の商標の保護を開始し、さらに保護対象を全ての商標とする法改正を検討中である。知的財産権制度の国際調和の見地からも、早急な措置を要する。

2-2 従って、審査基準改定で対応可能な限度まで、新商標を法の保護対象として明示すべきである。わが国商標法の「図形・記号」などを、「「必ず視覚によるもんでなければならない」という解釈が「逐条解説」にしめされているが、弾力的に解釈すべきである。

2-3  経産省産構審商標委の委員として、産業界から新たに、富士通・内海法務部担当部長、花王・遠藤ブランド法務部長、カシオ計算機・小山ブランド戦略部長、キッコーマン鈴木知財部主管が加わったので、現在の業界ニーズがより迅速に充足されるよう期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Trade Mark、ホログラム、富士通、花王、カシオ、キッコーマン

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2008年7月1日火曜日

Cost Shift of New Energy, Especially Solar Energy

Cost Shift of New Energy, Especially Solar Energy: 電力料金に新エネルギー開発コスト転嫁の可能性→ 経済産業事務次官応答(20080630)の解釈
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  医療環境著変下の田辺三菱製薬Dynamic Synergy(20080630記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  「吉田松陰」「高杉晋作」の商標登録(20080630記事)

 東京電力が料金の「本格的」値上げ方針を表明し、発電コストが重要関心事となるが、新エネルギー開発のコストはどのように負担されるのか、昨日の経済産業事務次官記者会見の応答から推察を試みる。質疑応答内容はSANARI PATENT要約。

1. 新エネルギー価格の転嫁
1-1 質疑
  新エネルギーの価格を電気料金に転嫁するという報道があるが、どういう狙いで、そのようなことについての検討に入るのか。
1-2 応答
福田総理のビジョンの中でも、CO2対策や今の原油高対策にも関連するので、太陽光発電、その他の新エネルギーをできるだけ拡大してゆくことが必要であると、総理は表明している。このうち太陽光発電については、大部分は電力会社が買い取る形で普及が進んでいるが、採算的には相当高いものである。電力会社の電源としては、石炭や原子力などコスト的に安い部分と(SANARI PATENT注:「など」は既存水力)、太陽光のように非常にコスト的に高いものがある。いま電力会社は23~24円で買い取っていると思うが(SANARI PATENT注:キロワットアワー当たりと解する)、石炭・原子力であればキロワット当たり1桁の値段である(同上)。しかしながら、太陽光を普及させるためには、電力会社にもっと買い取ってもらわなければならない。コスト的には高いものを電力会社に買い取ってもらうためには、どうすればよいのか、資源エネルギー庁で研究会を設ける。報道にあるような、そのための特別な新料金制度を作るという議論ではないのではないか。今の料金制度の中で、太陽光を普及させるために、どういう方策があるかを議論する。太陽光導入促進のための料金制度を新らしく作ることではないと、私は受け止めている。

2. 東電の値上げ
2-1 質疑
  東電を始め、各電力会社が電気料金の1月からの値上げについて、改定を9月にするという発表をしたが、実質的には1月からの値上げを想定しながら、料金改定で許認可を取らずに、届け出だけで実質的には値上げをしてゆくという、普通とは違う手法で値上げをしてゆくようなイメージを持つが、この方法についてはどのような感じを持つか。
2-2 応答
  電力会社の意向を確認していない。料金制度については、規制緩和の中で、一義的には電力会社が先ず考えて、必要な手続をとる形になっている。

3. 東電からの相談
3-1 質疑
  今のところ、電力会社からの相談はないのか。
3-2 応答
  私のとこには、ない。担当課の方にはあるかも知れないが、正式にはそういう相談はまだきていないと思う。

4. SANARI PATENT所見
  エネルギー利用が電力変換によってなされる経済社会であるから、太陽光のみならず、バイオマス発電や、更に将来的には核融合エネルギーを含めて、開発コスト負担の在り方を定める極めて重要な課題である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Solar Energy、東電、電力会社、電力料金、太陽光、バイオマス

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