2009年5月31日日曜日

Advancing NEC to the Next Stage of Growth

Advancing NEC to the Next Stage of Growth by Sharing a Common Vision and Values Cloud-Computing強化方針など、NEC今次報告書の特徴
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 NECと日立製作所の今次報告書(2008-04-01~209-03-31)が同着した。東証6501の日立ほか東芝、三菱電機など「総合電機」がいずれも「選択と集中」への志向を強め、東証6701のNECほか富士通、OKIなど「通信設備機器」がいずれも「構造改革」を企図している。
 株主の立場からは、NECは、「中間配当に続き、期末配当につきましても見送らせていただくという結果となり、深くお詫び申し上げます」、日立製作所は、「期末配当につきましては、誠に遺憾ながら、見送ることとさせていただきました」ということで、同様である。今次報告の主要数字を対比すると、
       NEC      日立
連結売上高 4兆2156億円  10兆0003億円
(前期比)  8.7%減     11%減
連結営業損益   62億円損失  1271億円利益
連結当期純損益 2966億円損失  7873億円損失

 日立の純損失7873億円については、「事業構造改革関連費用に加え、今後の税金費用増加リスクに対応すべく実施した繰延税金資産の一括評価減などにより、7873億円の損失になりました」と説明している。

 NECの連結売上高8.7%減については、「上期に、モバイル/パーソナルソリューション事業における売上が、携帯電話機の出荷増により増加したものの、下期における急激な景気の減速に伴う需要の低迷により、年間ではエレクトロンデバイス事業を中心に、全ての事業において売上が減少したことによるものです」と説明している。

 今後の課題については次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. クラウドコンピューティング時代に向けたサービス事業を強化する。クラウドコンピューティングとは、パーソナルコンピュータやケータイなどの端末から、インターネットを介してネットワークの“どこか”に在るシステムにアクセスすることにより、必要なときに必要なサービスを受けることができる仕組みである。」(SANARI PATENT考察: SaaSとの相違も説明すべきであろう。)
2. 各事業のシナジーを発揮した次世代情報ts端末などの融合製品、新サービスを創出する。
3. 自動車向けリチウムイオン電池事業に注力する。
4. NECエレクトロニクスとルネサンステクノロジの統合効果を実現する。
5. NECグル-プ全体の業務プロセスを、シンプルかつグローバルスタンダードに合致したものに変革する。
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2009年5月30日土曜日

U.S. GM Problem Commented by MOCHIZUKI, METI Vice Minister

米国GM問題等について望月経済産業事務次官応答
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 REUTER PRESIDENT 2009-05-30:0408JSTは、「米国GM株が1ドル割れ、破産法適用申請近いとの見方」と題して、次のように報じている。「GM株価が一時0.74ドルまで下落した。GMについては、破産法の適用申請が近いとの見方が強まっている。」関連して、「フォードモーターの元子会社である自動車部品大手VSTN、PKとその部品サプライヤーが05-29、連邦破産法の適用を申請したことから、米国自動車メーカーをめぐる問題は深刻化している。」

 さて、標記の応答(2009-05-28)(SANARI PATENT要約)を考察する。
Q1 GNが連邦破産法申請に至った場合の、日本の産業、世界経済への影響についての所見はどうか。
A1 米国の自動車産業をめぐる状況というのは、国際経済の中では織り込み済みみのところが随分あると思う。今、米国で行われている話は、GMを如何に再建していくかという議論だと思う。今どういう道筋かということは予測の範囲でしかないが、時期が迫っているので、いずれにしてもその中で、経済産業省としては再建への道筋への結論が出てくればいいと思っているし、その範囲内では世界経済や日本経済あるいは日本企業、関連企業などに対する影響も、ある程度、予測可能な範囲内にとどまると期待している。

Q2 日本の部品メーカーに対する影響も織り込み済みで、対応が事前的に済んでいるのか、若しくは政策的な対応を検討中であるのか。
A2 むしろ米国の中におけるGMと部品の適正なサプライという体制が、今後とも確かに、将来にわたって維持されていくということが大事だと思う。米国政府も、この点に重大な問題意識を持ち、今、ASSPという自動車のサプライ・サポート・プランというものを設けて、損害賠償をするような仕組みを作っている。多くの日本の部品メーカーは、既にその対象になっていると思うので、そういう面でビジネスがおかしくなるという心配はないと思っている。日本企業の部品サプライヤーとの関係を適切に保持することが、GM自体のビジネス存続の前提であり、経済産業省としては注意深く見守るが、仕組みはできていると思う。

Q3 小名浜石炭火力発電所建設計画
http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog に記載2009-05-30記事)
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2009年5月29日金曜日

Meeting For Battery System Industry Started

Strategy Meeting For Battery System Industry Started on May 28 経済産業省「蓄電池戦略研究会」を始動
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 経済産業省(担当:資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課)は、国際競争が激化している蓄電池関連産業の中で、蓄電池の新たなイノベーションや用途の拡大を促し、わが国の競争力を維持・強化する産業戦略が求められているとして、「蓄電池システム産業戦略研究会」を2009-05-28に発足させた。その問題意識と検討課題例を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

1. 問題意識
1-1 蓄電池による社会システム変革
蓄電池と、蓄電池に関する上流・下流の産業は、それ自体が大きな成長可能性を有するが、それに加えて、社会システム全体に大きな発展をもたらす、これは蓄電によって、電力の発生・消費が時点を超え、電力の可搬によって空間を超え、低圧電源の高出力使用によって目的・用途を超えることが可能だからである。
1-2 わが国蓄電池産業の国際競争力
   現在、民生用分野における蓄電池の生産量は、リチウムイオン電池で約6割、ニッケル水素電池で約7割を日本企業が占めるなど、わが国の蓄電池産業は国際競争力を有している。しかしながら近年、中国、韓国等の企業の台頭が著しく、他の諸国でも開発プロジェクトが始まるなど、国際競争が激化している。
1-3 新たなイノベーションの促進
蓄電池関連産業、ユーザーの広がりを踏まえ、蓄電池メーカーのみならず、蓄電池使用事業者、部品関連事業者等の参画を得て、幅広い関係者の連携のもとで新たなイノベーションを促す。

2. 検討課題例
2-1 市場の将来展望: 将来の社会システムにおける蓄電池の機能の活用
2-2 技術力の強化: 研究開発の目標と標準化
2-3 生産・物流・販売の高度化: リチウム等の原料確保、海外生産
2-4 事業間の連携:異業種間連携、充電インフラ整備
2-5 国の政策の在り方:需要拡大政策、規制緩和
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2009年5月28日木曜日

IPEEC Starts at Current G8 G8

エネルギー閣僚会合の成果
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今次G8エネルギー閣僚会合(2009-05-24~)の成果について、経済産業事務次官は対記者、次のように応答している。
「今次会議の大きな意義であった、今のエネルギー情勢についての認識を各国で共有し、今後のエネルギー価格需給の安定化というものの認識を共有するようにするという意味では、重要な意義があった。
加えて、IPEEC (The International Partnership for Energy Efficiency Cooperation) という省エネの国際枠組み、協力枠組みが正式に発足したことも、今後の世界の重要な分野がスタートしたことになる。」

9.(承前2009-05-27記事)サブプライムローン問題顕在化後の原油価格変動:
 原油価格は、2007-09に80ドル超、2008-01に2008-05に100ドル超、130ドル超、2008-06に140ドル超と、記録を更新し、2008-07-11の取引時間中に147.27ドルの史上最高値に達した。
9-1 需給ファンダメンタルズ
 2008年に入ると、米国では景気減速と原油価格高騰により、足元の需要が減速し、在庫も増加した。他方、非OECDの需要は増加は持続した。供給面では非OPECの生産が伸び悩むなかでOPECの増産に依存する状況が続いた。
9-2 プレミアム要因
9-2-1 OPECの高価格志向
 非OPECの生産が伸び悩み、OPECの高価格志向は一層強まる傾向が見られた。例えば、2007-09の80ドル超時点の総会では50万バレル/日の増産を決定したが、それ以降、100ドルを超えても増産決定を見送り続けた。
9-2-2 米国における金融面
 米国の住宅価格が2006年後半をピークに下落し、サブプライムローンの延滞率が高まった。不動産担保債権裏付証券への不安が広がり、金融機関保有証券の損失拡大の限度が不透明化し、サブプライムローン問題が全面的に顕在化した。
9-2-3 欧州における金融面
 欧州大手金融機関傘下の投資ファンドが、2008-08に償還凍結を発表したことにより、欧米の金融市場は混乱の度を強め、低迷する株式市場や証券化商品市場から資金が流出し、商品市場へのマネー流入が加速した。
9-2-4 ヘッジファンド取引の増加
 上記の時期には資源価格全般が大幅に上昇し、インフレ懸念の高まりに対応して、インフレヘッジとして投資家が原油先物への買いを強めたと見られる。(以下次回)
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2009年5月27日水曜日

Oil Price Fluctuation After Sub-Prime-Loan Problem

 サブプライムローン問題顕在後から原油最高値の時期まで
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8.(承前2009-05-26記事) 今次エネルギー白書は、原油価格が80ドルを突破した2007年9月から、147.27ドルの史上最高値に達した2008年7月11日までの10か月を、「サブプライムローン顕在化から原油最高値の時期(2008年7月まで)として、次のように考察している。
8-1 需給ファンダメンタルズ要因
 2008年に入ると、米国では景気減速と原油価格高騰により、足元の需要が減退し、在庫も増加した。他方、非OECDの需要の増加は持続した。供給面では非OPECの生産が伸び悩む中で、OPECの増産に依存する状況が続いた。
8-2 プレミアム要因
 非OPECの生産が伸び悩み、OPECの増産に依存する供給構造となる中で、OPECの高価格志向が一層強まった。原油価格が100ドルを突破しても、増産決定を見送り続けた。
 金融面では、米国の住宅価格が下落し始め、サブプライムローンの延滞率が高まった。不動産担保融資の債権を裏付けとして発行された証券(モーゲージ証券)に対する不安が広がり、金融機関等が保有する関連証券の損失がどこまで拡大するか、不透明感が増し、サブプライムローン問題が一層顕在化することとなった。
 特に2007年8に、欧州大手金融機関傘下の投資ファンドが償還凍結を発表したことにより、欧米の金融市場は混乱の度合を強めた(フランスの大手銀行パリバが傘下の3ファンドを凍結した)。

SANARI PATENT所見
 原油という基幹物資の価格が暴騰すれば、暴騰価格を前提として、新たな産業体系が構築される。暴騰価格が崩壊すれば、また新しい産業体系が構築される。問題はその速度分布であるが、NIKKEI BUSINESS (2009-01-12)は早くも「石油価格崩壊の余波:新規油田・代替エネルギー開発に黄信号」と題して、暴騰・崩落の波形の著しい非対称と、産業のこれにに対する適応こそ重要であると示唆した。すなわち、
「石油価格の暴落は、極めて中毒性の高い鎮痛剤のようなものだ。長期的には深刻なダメージを及ぼすが、それと引き換えに短期的には、痛みを和らげる効果をもたらしている。
 石油価格が2004年の35ドルから2008-07の147ドル超まで4年以上かかったが、上昇分を全て吐き出し、元に戻るまでに要した期間は僅か6月足らずだった、」(以下次回)
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2009年5月26日火曜日

Premium Factors of Oil Price Fluctuation 2009

エネルギー白書における原油価格変動要因の考察
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 ローマで開催されたG8エネルギー閣僚会合(2009-05-24~25)において二階経済産業大臣は、原油先物相場の急激な変動を抑えるため、規制や監督の強化を求め、共同声明には、商品取引所を介さずに売買する店頭市場の監督強化や、先物市場取引の透明性改善が盛り込まれた。しかし、取引量の制限など具体的内容については、主要市場を持つ米英の慎重姿勢により明記されず、「さらなる協調行動の検討」の表現にとどまった。

7.(承前2009-05-25記事)プレミアム要因の考察
  2006年以降のOPEC原油増産により、OPECの余剰生産能力は著しく低下し、地政学的リスクに対する原油価格の変動性が高まった。また、原油価格が60ドル台であった2006年10月のOPEC総会で減産を決定したことにより、OPECは高値で価格を支えようとしているという認識が市場関係者に広まった。OPECの余剰生産能力が低く、OECDの石油在庫も低水準で推移する傾向が見られる中で、イラク等における地政学的リスクが供給面での不安感を煽ったことも、価格上昇に影響した。

 金融の面では、2000年にITバブルが崩壊すると、主要国では経済の悪化とデフレを防ぐため、政策金利が引き下げられ、その後も世界経済の安定成長下で長期金利が低水準で推移したことにより、投資家や金融機関にとっては資金調達が容易になったから、よりハイリターンを得られる投資先を求めて、投資行動を積極化することとなった。

 同時に、米国において、サブプライムローンの普及が、低所得層による住宅担保借入を容易にして消費を拡大し、輸入の増加が米国の経常赤字を拡大し、これに対応してオイルマネーや、外貨準備・貯蓄超過を背景とするマネーが米国金融市場に流入した。
 特に、年金基金や長期運用型のファンド資金が直接・間接に原油先物市場に流入し、取引量は増加し続けた。
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2009年5月25日月曜日

Factors of Oil Price Fluctuation Analyzed by 2009 Energy White Paper

 原油価格騰落の要因をどのように把握するか
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 石油ないし経済全般に関する国際会議は、石油価格の安定が産消国共通の利益に適するとの認識に立脚することを強調し続けている。この認識を深めるために、原油価格騰落の要因と経緯を先ず確認する必要がある。

5.(承前2009-05-24記事)原油先物取引
 原油価格は何故これほど大きく変動したか。その理由を探るためには、先ず現在価格指標とされている原油先物価格の変動要因を考える必要がある。
 およそ市場において価格が決まるのは、様々な認識を持つ市場参加者が一つの市場に集まり、売買の意思表示をすることにより、適正な価格に収斂する仕組みによる。このため、認識に影響を与える要因が刻々と変化すれば、市場参加者の認識は変化し、売買の均衡点が移動して価格が変化する。
 こうした市場参加者の認識は、どの要因を重視し、どの情報を入手できるかにによって変わるため、市場参加者の構成の変化により変動する。
 原油先物市場では、市場参加者は、原油や石油製品の需給ファンダメンタルズ要因、将来の需給、金融動向、地政学的リスクなどのプレミアム要因を考慮し、原油価格に対する認識を持った上で売買すると考えられる。分説すれば、
5-1 原油価格→←[需給ファンダメンタルズ]*[プレミアム]
5-2 需給ファンダメンタルズ←[足元の需要]/[在庫+足元の供給]
5-3 プレミアム←[不確かな見通し情報による将来需給の懸念]*[金利、為替、株価、市場への資金流入・流出、市場参加者の構成変化等の金融要因]*[紛争、暴動、テロ等の知政学的リスク]

6.サブプライムローン問題顕在化前の状況
 2004年以降、原油価格は、2006年後半の一時的な下落を除き、基本的に上昇傾向が続き、2004年の1バレル(150リットル)30ドル台前半から、2007年7月には70ドル台に達した。
 これを需給ファンダメンタルズ要因から見ると、石油需要は2004年に中国等で大幅増となった後、2005年以降は伸びが鈍化したものの増加し続けた。一方、非OPECの石油生産は、2005年のハリケーンカトリーナの被害に続き、2006年以降も北海やメキシコの減産のため低迷し、OPEC原油への需要が高まり、OPECは増産に向かった。(以下次回)
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2009年5月24日日曜日

The Trend of Energy Consumption 

わが国のエネルギー消費動向
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 原油価格の再上昇が注目されているが、わが国エネルギー消費の動向を先ず、今次エネルギー白書(2009-05-22閣議決定)によって考察する。今次白書は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

1.エネルギー消費とGDP
わが国のエネルギー消費は、1970年代までの高度経済成長期には、GDPよりも高い伸び率で増加した。しかし、1970年代の2度にわたる石油ショックを契機として、産業部門の省エネが進み、エネルギー消費抑制と省エネ型製品開発のもとに、経済成長を果たしてきた。しかし部門別には、エネルギー消費動向に顕著な相異が見られる。

2.産業部門と民生・運輸部門の対照
石油ショック以降のエネルギー消費動向は、産業部門がほぼ横ばいで推移する一方、民生・運輸部門がほぼ倍増している。その結果、産業・民生・運輸のシェアは、石油ショック当時の4対1対1から2007年度には、2対1.4対1に変動した。原油価格が比較的に低位水準で推移するなかで、快適さ・利便性を求めるライフスタイルの普及を反映している。
伸び率から見れば、1973~2007年度の34年間に、産業部門はエネルギー消費が横這い(1倍)であったのに対して、民生部門は2倍半、運輸部門は2倍になっている(佐成重範弁理士がエネルギー行政に関与していた当時の常識として、電鉄のエネルギー消費は、速度の2乗に比例した。速度を倍にすれば電力は4倍要するということであった)。

3.エネルギー原単位の国際比較
 このように日本全体のエネルギー消費量は増加し続けているが、GDPの1単位を産出するのに必要な一次エネルギーの量は、海外諸国と比較して少ない。日本は米国に次ぐ経済大国だが、1単位のGDP当たり一次エネルギー供給量の指数(2006年)は、日本を1として、米国2、EU27国1.8、オーストラリア2.5、カナダ3.1、韓国3.1、タイ6.0、中東6.0、インドネシア7.9、インド7.9、ロシア17.5、全世界3.0と概算され、エネルギー利用効率が高い。
4.エネルギー供給の対GDP弾性値
 エネルギー需要と経済成長の関係の指標として、表記弾性値を見ると、第1次石油ショックまでは1.2で、一次エネルギー国内供給の伸びは、GDPの伸びを上回っていた。その後は、省エネ努力や産業構造の変弾性値
化などにより弾性値は0.2となり、経済が成長してもエネルギー供給はあまり増えなかった。しかし1980年代後半からエネルギー供給は再び増加に転じ、1986~2001の対GDP弾性値は1.0で、経済成長とほぼ同じ伸び率だったが、2001年以降の対GDP弾性値は再び0.1と低い値になった。(以下次回)
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2009年5月23日土曜日

Chinese Trade Mark vs. Japanese Trade Mark 

不破農林水産大臣が中国の商標について対記者応答
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 農産品について、日中の商標問題が長引いているが、不破農林水産大臣は、昨日(2009-05-22)の同省記者会見で次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

Q1 中国の企業が「あきたこまち」とか、日本の商標を、中国で登録してしまうことで、農林省も、コンソーシアムの立ち上げとか、話題になっているが、取材してみると、漢字で「越光」という標記を中国で登録しているのは、東京都内の会社であって、これまでは中国や台湾の企業による日本ブランドの「ただ乗り」のようなことだけがクローズアップされてきたのに、日本の会社が中国で登録していることについて、所見はどうか。
A1 中国の国内法が支配するところの中国において、日系企業の行為が、中国の国内法に抵触するかどうかという問題に尽きると思う。法的な議論をすれば。
 だから、有権解釈等々、それが中国の国内法に抵触するのだろうね、という感じは持っているのだけれども、それが抵触するかどうかは、いつにかかって有権的な判断は中国当局がなし得る。
 当然のことだが、中国で「光を越える」と書く「こしひかり」が商標登録されているわけで、日本から輸出する米には、この「越光」という表記をしていない。従って、来月19日に「農林水産知的財産保護コンソーシアム」というものが設立されるが、これに参加する関係団体、地方自治体、有識者が、この場においてよく意見交換して、農林水産物の輸出促進について、どのように対応するかという議論はする。
ただ、全体の繰り返しになるが、やはり中国でこれは行われている、それは日系企業なのだということについて、日本国農林水産省として、これについてどうしたこうしたということは、言える立場にはないということである。

Q2 先ほど、中国の国内法に抵触するかどうかに尽きると応答されたが、この東京都内の会社が中国で商標登録しているのは合法だという、取材をしていると、農林水産省側は、これは合法ではないかと聞いているのですけれども(SANARI PATENT考察: 日本国籍の企業が、中国で「越光」商標の登録を受けたことは、中国の商標法と商標関係の国際協定からどのように評価されるか、日本の商標法との関係は「越光」商標製品の輸入を含めて、どう判断されるか、などの諸点を含む質疑と解される)。
A2(反問) この、現地において、日本企業が設立した合弁会社が、その「越光」というものを中国で売っているということは事実としてあるわけでしょう?
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2009年5月22日金曜日

G8 Ministers of Energy’s Meeting etc. Commented by METI Minister 

二階経済産業大臣が当面の課題について応答
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 経済産業大臣の記者会見(2009-05-19)で、次のように質疑応答(SANARI PATENT要約)された。

1. G8エネルギー大臣会合
 Q: 4月のアジア産消対話の成果を踏まえて、今回日本としてどのような提案をするか。
 A: 私のG8参加について国会の了解が得られるかが、まず一番のポイントだが、得られると仮定してお答えする。
 先般のアジア産消対話には、21国の閣僚と2国際機関の代表が参加し、活発な議論を展開した。産油国にとって原油価格は高いほど良いというものではなく、消費国と同様に安定した価格の維持に努力すべきことが理解され合意された。
 特に私は、地球上、同じ船に乗っているのだから、円満な航海ができるよう協力しなければならないと話したところ、閉会の挨拶でもカタールのアティーヤ副首相は、私の言葉を引用して、同じ船に乗っているという認識を大切にしなければならないと述べた。
 私は、アジア産消対話におけるそのような共通認識を、今次G8エネルギー閣僚会議においても、報告の際に必ず述べなければならないと思っている。
 石油の価格は、刻一刻変動するが、基本的な考え方として、その生産を維持するための次なる投資が円滑に行われるよう、一定の価格を維持しなければならないことを、産油国としても重要と考えているので、その認識のもとで協力すべく、忌憚のない話し合いをしたい。

 SANARI PATENT所見
 グローバルに、石油精製と石油化学の生産能力をいかに適正立地すべきかが、別の基本課題である。産油国から原油を取得するため、産油国自体の石油精製・石油化学生産能力の構築に協力して相互依存の関係に立つことが必須とされているが、石油精製・石油化学生産能力の過剰が、わが国を含めてグローバルに発生していく。この世界産業構造問題が底流に控えている。
2. 新型インフルエンザ
 Q: 都市機能を麻痺させない柔軟な対策について、どう考えるか。
 A: 臨機応変に、その場の環境、活動目的等に即応して、過度に過剰でない対応をなすべきであろう。
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2009年5月21日木曜日

Intellectual Property System as Global Infrastructure 

第2回多国間特許審査ハイウェイ実務者会合の結果発表(経済産業省2009-05-20)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 世界人口が過去百年間に倍増して60億人を超え、更に毎年7000万人の増加を続ける趨勢にあることを認識し、地球環境の変化に対応しつつ、人類共通の福祉を増進するためには、イノベーション促進のインフラストラクチャーとして、持続可能なグローバルパテントシステムの実現が必要である。

 5月18日、19日に東京で開催された多国間特許審査ハイウェイ会合は、この目的に沿うものとして、日本を始め、米国、韓国、英国など世界特許行政上主要な15の国・地域の知的財産庁・機関の実務者等が参加し、特許審査ハイウェイの要件と手続の標準化に向けた取組を検討した旨、経済産業省(特許庁)が発表した(2009-05-20)。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 要約: 今次会合により、特許審査ハイウェイ申請様式の共通化、関連情報をワンストップで入手できるポータルサイトの構築や、機械翻訳等の特許審査ハイウェイ要件の標準化について基本的な合意が得られ、多国間特許審査ハイウェイの基本的枠組みの整備に向けて大きく前進した。
2. 背景: 経済のグローバル化を背景に、一つの発明を複数国に出願する重複出願が増加しており、世界の各特許庁において、審査負担の増加が大きな課題になっている。このような状況に対処してわが国は、二国間において一方の国で特許付与された出願について、他国でその審査結果を参照しながら、早期審査を行う枠組みである特許審査ハイウェイの取組を、各国と共に進めてきた。
3. 今次会合: 現在、特許審査ハイウェイにおける要件、および、手続の各国間での共通化など、特許審査ハイウェイの利用性を更に向上させる取組を検討する段階に入っているので、今年2月に開催された長官級会合の決定に基いて、今次実務者会合が開催された。
4. オブザーバ: 今次会合には、中国、ブラジル等がオブザーバとして参加しており、特許審査ハイウェイに対する国際的関心が高まっている。
5. 今次会合の内容
5-1 参加国・地域・機関: 日本、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、韓国、ロシア、シンガポール、英国、米国、欧州特許庁(EPO)
5-2 オブザーバ参加: ブラジル、ハンガリー、中国、世界知的所有権機関(WIPO)
5-3 上記の通り、全15の国・地域・機関が参加した。
6. 今次会合の成果
6-1 全世界の年間特許出願件数176万件のうち、参加した国・地域(SANARI PATENT考察: 「参加」にはオブザーバ参加を含むと解する)の知的財産庁への出願件数は155万件で、世界全体の約90%に達する。
6-2 次の項目について合意された。
6-1-1 複数の国の特許審査ハイウェイ申請に利用できる共通申請様式を、日本国特許庁(JPO)の提案に基づいて作成する。
6-1-2 各特許審査ハイウェイのガイドラインや統計情報等をワンストップで取得できるポータルサイトをJPOが構築する。
6-1-3 特許審査ハイウェイ申請時に提出が必要な拒絶理由通知等のオフィスアクションの翻訳に関し、機械翻訳を容認する。

SANARI PATENT所見
 上記6-1に示されたように、今次参加国・地域の特許出願における比重が9割に達し、また、世界の科学技術人材の中核をなす知的財産権設定要員のワークシェアリングが実現することは、グローバルなイノベーション促進のため、極めて注目すべき成果である。
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2009年5月20日水曜日

Small Sized Enterprises must be Defended Against New Type Influenza 

経済産業省の新型インフルエンザ対策等
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 事務次官会議(2009-05-18)後の経済産業省記者会見で、望月事務次官が、経済産業省としての新型インフルエンザ対策等について説明・応答している。

 中小企業では事業継続計画などを策定している場合が少なく、国内産業への影響が心配されるが、経済産業省としては、省内の対策本部では情報収集、その共有などの対応に加えて、今回、電力・ガスなどのライフライン、生活必需品の安定供給を確保するために、関係事業者に対する事業継続に向けた協力を要請している。
 加えて、関係事業者団体等に対して、従業員の感染防止、事業運営において感染機会を減らすための工夫などを行うよう要請している。なお、事態が流動的であるので、その推移に応じて必要な対策を講ずるとしている。
 上記について、
Q1 企業への要請は、具体的にはどのような形になるか。
A1 詳細な内容を織り込んで文書で発出する。
Q2 相談窓口の設置、セーフティネット貸付・保証等の支援策の、具体的な基準・要件は何か。
A2 特に中小企業者について、事業者に影響が出てきているという確認できたら、その時点である(SANARI PATENT考察: 具体的な想定が行われていない感がある)。
Q3 現時点ではどうか。
A3 現時点では、そういう必要はないと思うが、準備はしておかなければならない。      

 話題を転じて、民主党鳩山新代表の登場については、
Q4 民主党は、各省の幹部人事について任用は1年間で半年毎に評価することなどを唱えているが、同評価するか。
A4 人事を含めた行政運営の在り方については、様々な考え方があり得るとは思うし、有力政党の党首自身の考え方表明に傾聴する必要があるが、現時点で対応し意見を述べる立場にはない。

Q5 天下りの全廃や行政の無駄遣い指摘についてはどうか。
A5 天下り問題については、国民の要請に応えるための制度改善が逐次行われており、公務員としてはルールに従って、公務員自身の人事の運営をする立場にある。
 無駄遣い指摘についても、随時検討し、改善してきたが、政治の場で更に議論されるのを見守る。
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2009年5月19日火曜日

Selection and Concentration Strategy of HITACHI 

日立の選択と集中における線引きの不透明性、その他、電機大手の事例
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8.(承前 http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 記事2009-05-18)ドイツ証券の宮本氏は、日立が資本増強の可能性を」にじませたことについて、「日立にはまだ売る資産がある。エクイティを出す前に自社でやるべきことがあるのではないか」と指摘する。日立は現在、16社の上場子会社を抱えるが、資本政策とグル-プ運営が適切なのかということを指摘され続けてきた。
 日立の川村 隆・会長兼社長は就任会見(2009-04)で、「総合電機の路線から軸足を少し移す」と述べ、事業の選択と集中を進める考えを示唆した(SANARI PATENT考察:「示唆」よりは、現実化・具体化に近い内容であったと評価する)。一方で川村社長が注力すると強調した社会イノベーション事業は、情報通信、電力、環境、産業、交通、都市システムなど広汎な事業領域を対象としており、注力事業の線引きが不透明だ。日立の資本政策の成否は、経営陣がどのようなグル-プ政策を打ち出すかに依存する。

9.「採算性を気にしながら、そこそこの数字が出ると撤退の決断ができなかった」(電機大手首脳)。経営陣からはこんな反省の弁が聞こえる。ITバブル崩壊後の大リストラと景気回復で「V字回復を果たすと、構造改革のアクセルが緩んだというわけだ。選択と集中という、本来なさるべき決定を先送りしてきたことが、リーマンショックで受けた傷口を広げる結果となった。

10. かくして、日本経済のリード役であった電機産業が現在、岐路にたっている。電機大手9社の2009年3月期連結決算は純損益の合計額が2兆2000億円を超える赤字となり、ITバブル崩壊直後を上回る業績悪化となった。

SANARI PATENT所見
 わが国電機大手の赤字定着が、構造変革の遅滞に起因し、「百年に一度の世界金融危機」は触媒機能を営んだに過ぎないというのが、有力な論説の趣旨である。構造変革は、簡単に言えばコストの低減による国際競争力の完備であって、国内人件費が膠着しているならば、海外に生産拠点を移すほかない。国内の余剰人的資源は増大し、その価格が総合的に国際競争力を具備するに至るまで、電機大手の国内不況が終息しないことは、経済の必然性による。既に、次のように例示されている。
(1) 日立・子会社車載機大手のクラリオンが福島県郡山市から中国アモイに、カーナビ生産設備の一部移管(今夏)。「汎用品になってしまったカーナビは、開発を含めて海外に移さないと競争に対応できない」。
(2)  ソニーは今年に入って、国内4工場の閉鎖を決定。新興国向けの低価モデルは、海外での委託生産を拡大する。
(3) パイオニアのテレビ用パネル工場(鹿児島県出水市)が2009-02に閉鎖。
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2009年5月18日月曜日

Resources Productivity should be Stressed in Japanese Electrical Industry

 ロイターと朝日の同日発信:大手電機不振の真因(危機の真相)
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 Reuter東京と朝日新聞論説が、大手電機の構造問題、危機の真相の解明を試み(2009-05-17)、専ら「百年に一度の世界不況」に不振を帰責することの誤謬を指摘したことは、 極めて意義深い。ロイターが掲げたソニーの事例は、上記
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に要約したので、これを除いて、両報道を総合考察する。

1.1980年代から1990年代初頭まで、日本の電機大手は世界を席巻し、世界の家電輸出額の5割以上を日本が占め、半導体生産では世界一を達成した。しかし、2010年3月期の見通しを含めた10年分を通算すると、電機大手9社の純損益の合計は、1兆2000億円超の赤字である。国内の賃金は高いが、多くの事業を手掛け、一部で不採算になっても高付加価値製品を造り続けるというビジネスモデルが通用しなくなってきたのだ。

2.今後も、大手電機メーカーの業績不振が長期化するおそれが出てきた。大手8社による2010年3月期の業績予想では、景気回復や国内外での政策支援などの外部環境好転の期待に加えて、コスト削減を通じて年度後半、本年秋以降に業績を回復させるシナリオを示しているが、次の成長を牽引する商品やサービスは見当たらず、世界経済が回復局面に入っても、日本メーカーの多くが取り残される可能性も否定できない。

3.低コストが強みの韓国・台湾メーカーは、値ごろ感がある汎用品で、薄型テレビや半導体、パソコンなど主要市場を着々と抑えつつある。例えばケータイ端末について米国ガートナーによると、1094年には世界販売シェアの上位10社にNECやパナソニックなど国内5社が入り、20%超を占めていた。その後、国内偏重の高機能製品で競い合ううちに、日本勢の端末開発は世界標準からかけはなれ(いわゆるガラパゴス現象)、世界シェアは5%未満となった。

4.現在の世界不況が電機業界の業績動向に大きな影響を与えていることは事実だが、業界の構造問題は数年前から指摘されており、昨秋以降の急激な不況は問題の存在を鮮明にしたに過ぎない。電機業界の現在の苦境の原因は経済不況ではなく、収益力・国際競争力の慢性的な低下であって、百年に一度の不況を強調すると、問題の本質を見誤るおそれがある。(以下具体例は、上記
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2009年5月17日日曜日

Toshiba Files Suit for Infringement of its Essential DVD Patents

Toshiba Files Suit for Infringement of its Essential DVD Patents in Federal District Court 15 May, 2009 東芝が、米国での特許侵害訴訟を提起
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1. 東芝は5月14日(米国現地時間)、米国のイメーション社(Imation Corp.)その他3社のDVD記録ディスク製造事業者、および、4社の販売事業者を、東芝が保有するDVD関連特許の侵害を理由として、米国ウィスコンシン州西部地方裁判所に提訴したと発表し、次のように述べた(SANARI PATENT要約)。
1-1 東芝は、今回の提訴により、被告8社に対して、過去の特許権侵害に基づく損害賠償を請求すると共に、当該特許権に関連するDVD記録ディスクの販売、製造、および、米国への輸入の差止めを請求している。なお現在、米国国内で販売されている当該製品のうち、少なくとも「イメーション(Imation)」および「メモレックス(Memorex)」の2つのイメーション社ブランドのDVD記録ディスクは、東芝のDVD関連特許を侵害していると考える。
1-2 東芝は、DVD規格に必要かつ重要な特許を外部に広くライセンスしているが、イメーション社およびその他の被告数社は、書き込み可能なDVDディスクの特許を保有する東芝ややDVD6Cライセンスグル-プから当該特許に関するライセンス契約の締結を得ることなく、無断でこれらのDVD記録ディスクの輸入・販売を行っているものと東芝は考えている。
1-3 こうした事態は、東芝のDVD関連事業に被害を及ぼすと共に、東芝のDVD関連のライセンス活動を阻害する要因となっている。東芝は、今回の提訴により、東芝の金銭的損害が回復されると共に、今後の特許権の侵害を防ぎ、東芝の知的財産権が将来にわたって保護されることを望んでいる。

 SANARI PATENT所見
  「DVD 書き込み 東芝」で特許公開件数を検索すると587件ヒットする(2009-0516現在)。例えば「記録再生装置および記録再生装置における初期設定方法」(公開日2009-04-23)。「DVD」のみで検索すれば9450件である(2009-0516現在)。「関連」特許が多数に及ぶ分野であり、権利化における訴訟力の具備が求められるが、これは法廷の内外を含む。
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2009年5月16日土曜日

Oil Price etc. Commented by METI Vice Minister MOCHIZUKI 

原油価格60ドルなどについて経済産業事務次官の所見
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 経済情勢変化の兆しが出没しているが、どのように判断すべきか。経済産業事務次官の対記者応答(2008-05-14)を参考とする(SANARI PATENT要約)。

Q1 原油価格が、じりじり上がってきて、昨日は半年ぶりに60ドルという一つの段階に来ているが、どう考えるか。
A1 今回のエネルギー白書でも、プレミアムなどについての昨年来の検討を、より一層深めることとなるが、最近の、急騰というほどでもないが、じりじり上がっていることについて十分分析しなければならない。当然、世界経済が少し改善傾向にあることを反映していると思うが、プレミアム的なこともあるかも知れない。
 ファンダメンタルズから考えると、50ドルとか60ドルとかいうところが一つの幅であるという分析もあると思うが、引続きよくウオッチする必要がある。先般の産消対話においても、今後の需給について、安定的な価格を求めてのアジア産消の意見交換がなされ、加えて今月、G8エネルギー大臣会合が予定されているので、G8レベルでも、その必要が言われるのではないか。先ず的確な需給を反映した価格形成が重要であり、世界が喉元過ぎればということにならないように、しなければならない。
 世界の関係者の共通認識が徐々に高まっていると思うが、連絡を密にしながら産消双方が努力する必要があり、その面で今度のG8エネルギー大臣会合は極めて重要な会議になる。

Q2 ベネズエラのチャベス大統領が、国営石油会社と取引のある企業について国有化という方針を打ち出したが、日本は戦犯エネルギー分野での協力文書を交わしているが、今後の影響をどう考えるか。
A2 ベネズエラとはwin-winの関係で協力していくということで合意しており、具体的なプロジェクトも進めるべく、話し合いのフレームワークを作っている。その中で、先方の政策についても質しながら進めるので、それほど心配していない。
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2009年5月15日金曜日

Review of Next Generation Supercomputer System 

理研、NEC、日立製作所の次世代スーパーコンピュータ・システムの構成見直し
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1.理研・NECの発表:
理研とNECは、連名のプレスリリース(2009-05014)「次世代スーパーコンピュータ・システムの構成を見直す」(副題「世界最高性能のスパコン開発計画の着実な推進に向けて」において、まず「ポイント」として次のように表明した。
1-1 次世代スーパーコンピュータ・プロジェクトで、NECが製造段階への不参加を表明
1-2 理研は次世代スーパーコンピュータの構成を見直し、目標達成へ開発計画を遂行
1-3 理研とNECの密接な協力関係は継続し、プロジェクトを推進
 
次いで次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
理研は、文部科学省が推進している「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用プロジェクト」の一環として、世界最高性能の達成を目指しシステム開発を進めてきた次世代スーパーコンピュータ・システムの構成を見直すこととした。
次世代スーパーコンピュータのシステムは、2006年9月から概念設計を開始し、2007年に概念設計を終了、評価を経て開発を推進してきた。システム構成は、スカラ部とベクトル部からなる複合システムで、NECはベクトル部の開発を担当してきた。現在、システム開発は詳細設計の最終段階に進んでおり、今後、製造段階に移行する計画である。この移行期に当たりNECは、理研に対して、製造段階には参加できないと申し入れし、理研は、次世代スーパーコンピュータのシステム構成を見直すこととした。NECは、世界的に経済状況が悪化しているなか、次世代スーパーコンピュータ・プロジェクトの製造段階への不参加を決定した。
理研は現在、文部科学省が実施しているプロジェクトの中間評価の過程で得た技術的な意見も踏まえ、設計活動の成果を基に、速やかに新たなシステム構成をとりまとめていく。
なお、利権とNECは、これまで本プロジェクトで培った技術・ノウハウを生かし、引続き本プロジェクトの推進のために、アプリケーションソフトウェアを通じた次世代スーパーコンピュータと大学・研究機関との連携や、将来の計算システムアーキテクチャの研究などで、密接な協力関係を継続する。

SANARI PATENT所見
 マスコミの反応は、例えば朝日新聞(2009-05-14夕刊)は「次世代スパコン中断へ、NEC・日立、開発撤退」という用語で報じ、「NECは発表した」「日立は決めた」と表現し、05-14夕現在におけるプレスリリースの有無を両社について書き分けている。
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2009年5月14日木曜日

Meanings of Japan-Russia Nuclear Agreement etc. Commented by NIKAI,

日露原子力協定の意義等について、経済産業大臣の応答
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 外交内政共に新たな局面を起動しつつある経済産業省の記者会見において、二階経済産業大臣は次のように説明・応答している(2009-05-12)(SANARI PATENT要約)。

Q1 今次日露エネルギー分野の協力協定によって期待される成果。
A1 パイプラインおよび今後の石油会社等の探鉱のために相互協力が必要だが、埋蔵量が豊富なシベリア油田の開発等について、JOGMEC(独立行政法人・石油天然ガス金属鉱物資源機構)ほか日本の企業が、ロシア側と交渉しながら良い結果をもたらしていくことを期待している。
 昨日(2009-05-11)キリエンコ・ロスアトム社長が私(二階経済産業大臣)方に来訪されたが、同社長は、若いころに首相を務めた政治家で、原子力協定についても極めて積極的で、私との会談では、原子力分野について、お互いにそれぞれの強みを活かして、互恵的な協力関係を深めていくということで一致した。既にロシアとの関係では私は、2年半ぐらい前になるが、お互いに協力関係を進めていく上においても、苦情が出てくる場合が多いが、相互に苦情相談所を設けて相談しようということになっていると話したところ、キリエンコ・ロスアトム社長は、苦情相談所を使わなくてもすむように、自分も努力すると応答した。原子力協定の首脳レベル合意によって、これを前提として今後定期的に対話を行っていくことを合意したことも、ひとつの前進と思う。

Q2 特に、原子力協定をロシアと締結することの意義、協定締結によって、どうもっていきたいのか。
A2 在来エネルギー資源がほとんど無い、少ないわが国にとって、エネルギー源について多方面に幅広く手を打っておく必要がある。従って、アジアにおいて先般も、産油国と消費国の対話などを行っている。今度はまた、欧州との話をしていくが、わが国とすぐ近いところにロシアの豊富なエネルギー資源が埋蔵されており、いままでは政治的理由もあって手が届かなかったが、だんだん雪解けになり、ロシア側も積極的な対応を示しているので、このチャンスを活かして長期的に取組む。

SANARI PATENT所見
エネルギー対策について、「ロシアとも、中東、欧州、その他の国とも綿密に連携して、ぬかりなく、複眼的にしっかりした対応をして、国民を安心させるよう、十重二十重に不断の努力をする」という二階経済産業大臣の今次会見の結語が、通産省資源畑勤務の長かった佐成重範弁理士にとって、まことに感銘深い。
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2009年5月13日水曜日

METI Minister and Russian Energy Minister Signed

METI Minister and Russian Energy Minister Signed Memorandum on Energy Strategy Cooperation 省エネ・再生可能エネルギー協力覚書に日露大臣が署名(2009-05-12発表)
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まえがき: 先日の日ロ首相会談では北方領土問題の具体的解決を、ロシア大統領訪日会談に委ねたが、北方領土は、エネルギー・鉱物の海底資源にも富むようである。

 一方、経済産業省(担当:資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課)は、日露間の省エネ・再生可能エネルギー協力に関する覚書の両国所管大臣署名について、次のように発表した(2009-05-12)(SANARI PATENT要約)。

1.目的:  わが国はロシアと、「エネルギー分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の長期協力の基本的方向性」(2005)に基づいて、エネルギー分野の協力を行ってきた。今般、特にエネルギー効率の向上および再生可能エネルギーの利用の分野における両国間の協力を強化すべく、二階経済産業大臣とシュマトコ・エネルギー省大臣の間で、省エネ・再生可能エネルギー協力に関する覚書に署名した。これにより、今後この分野における協力を深化し、両国のイノベーション促進による経済発展のみならず、両国、ひいてはアジア太平洋地域におけるエネルギー需給の安定を目指す。

2.概要:  
2-1 協力の分野
2-1-1 制度的レベルでの協力強化: 人材育成等により、制度的レベルにおける協力を強化する。
2-1-2 ビジネスベースでの取組の促進: 同分野における、企業による投資を促進する。
2-1-3 技術段階での協力強化: 大学や企業の間の技術・ノウハウ等の情報交換を進める。
2-2 具体的協力内容
2-2-1 省エネ・再生可能エネルギーの分野における情報や統計データの交換
2-2-2 知的財産の保護、ビジネス環境の整備を進めるため、民間企業等が参加する日露ビジネスフォーラムの設立を支援する。
2-2-3 2012年APEC開催地であるルースキー島における同分野の最新技術の導入に向けた取組の推進
2-2-4 協力のための長期的プログラムや、具体的事業を含む年間共同行動計画を毎年策定する。
2-2-5 行動計画のレビューや今後の事業の決定のため、民間企業等も参加する政府間の共同委員会を設置する。
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2009年5月12日火曜日

METI Minister Reports on his Visit to USA 

二階経済産業大臣の米国出張報告
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 中国のIT Security 強制認証制度への対応など、米国通商代表部等との会談成果を中心として、二階経済産業大臣が米国出張(2009-0501~06)結果を、記者会見(2009-05-08)で説明・応答した。内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
(訪米内容のうち)
1. 米国通商代表
カーク通商代表は、オバマ大統領からの指示として、今次新型インフルエンザに伴う豚肉の輸入に関する日本の冷静な対応に対して重ねて謝意を表した。
保護主義の抑止やドーハラウンドの妥結などについて率直な意見交換を行った。中国のIT Security製品への強制認証制度に関する対応について、貿易分野での日米協力の共同声明を発出した際に、日米が協調して中国に対する説得にあたることで合意した。

2.米国エネルギー長官
米国のエネルギー省は、傘下に5つの国立研究所を有するが、経済産業省傘下の産総研との協力覚書を締結に際し、同長官と共に立ち会った。
基準認証制度、中国関係改善全般についての協力に関する率直な意見交換を行った。

Q1 停滞状態にあるWTOラウンド協議を前進させるために、日本としてはどのような立場で臨むのか、交渉の見通しはどうか。
A1 米国がどのような基本的考え方をもってWTO交渉に臨むかが、注目を浴びている。今次訪米会談において、米国としても、WTOの妥結に関しては極めて重大な意義を持ち、真剣に取組んでいくが、これまでのWTO協議において各国が努力してきた経過を尊重すると共に、米国としては、何らかの新しい構想をもって対応しなければならないとも考えている、という意味の発言があった。どういう方向でということに方針が固まっている様子ではないが、とにかく日米協力して(農業関係を含めて)WTOに対応したいという強い意見であった。

SANARI PATENT所見
 経済産業大臣の今次訪米で、日本の植物工場(SANARI PATENT考察:「農業工場」と改称する方が適切)を引用しているが、グローバルな視点から、農業問題をWTO交渉の核とすべきである。
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2009年5月11日月曜日

Countermeasures against the Unemployed in USA must be Studied

 失業率の国際比較と失業対策の国際比較
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 わが国における失業率が4.6%を上回る惧れがあるとして、対策を促す世論が高まっているが、米国の失業率が8.6%に達することが報道され、欧州諸国もほとんど全て日本の失業率を上回る数値を示し、失業率に関するわが国の評価はむしろ高いと思われる。SANARI PATENTはこの際、欧米、特に米国において失業者はどのように対処しているか、実態を把握し、官民共に参考にすること、および、わが国では、在来の農業政策が固守されて、失業者や学卒者の農業参入が妨げられている実情を認識することの2点の必要性を、強調する。

 一方、SANARI PATENTは、現下の失業情勢の逼迫度に注目する。今朝配信されている読売「雇用対策、安全網だけでは支えられない」(2009-05-11:0125)は、極めて注目すべき内容と思うので、その要点をまとめておく。
1. 今年に入って、前年同月比で新規求人は2~3割の減、逆に新規求職者は3割増という状態が続いている。3月の有効求人倍率は0.52倍に連続低下し、2人の1件の仕事しかない。
2. 失業率も3月は4.8%で、2か月で0.7ポイント悪化した。過去最悪となった7年前の5.4%に迫る。
3. そこで現在、雇用調整金が当面の優先制度として拡充されており、今年度当初予算で583億円を計上し、さらに審議中の補正予算案では6000億円と、昨年度の100倍以上の額を積んでいる。
4. これを含めて、今次補正予算案には、総額2兆5128億円の緊急雇用対策費が組み込まれた。
5. 一方、雇用保険二事業特別会計の残高は1兆円余りで、再就職支援の施策も不発に終わりかねない。消費を刺激するためにも、雇用の安定が重要であり、企業努力と政府の景気対策の双方が必要である。
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2009年5月10日日曜日

MUFG Reported Acquiring MORGAN Stocks

MUFG Reported Acquiring MORGAN Stocks While Noticing its Revisions of Earnings Forecasts 巨大なICT機構としての三菱UFJ銀行の動向
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 REUTERS (2009-05-09: 23.08 JST)が「米国MORGANの40億ドル普通株増資、三菱UFJが6億ドル引受へ」と報道し、今朝の各社ビジネスニュースのトップは一斉にこれを主題としている。
 米国で銀行のストレステスト(健全性審査)の結果が、米国株式相場の上昇をもたらしているが、MORGANに必要と判断された追加資本額は18億ドルだったと、上記REUTER電は伝えている。MORGANは普通株発行で20億ドル調達する予定だったが、需要が高いとして40億ドルに倍増させていたところ、MUFGが6億ドルを引受けると、MUFGの広報担当者が明らかにした模様である。

 MUFJが保有する優先株の一部をMORGANが償還し、6億ドルの普通株をMUFJが取得するので、実質的には普通株への転換であり、追加出資ではないが、翻って、MUFJ自体は、月初に「業績予想および期末配当予想の修正」を次のように発表している(SANARI PATENT要約)。

1. 平成21年3月期通期(2008-04-01~2009-03-31)の業績予想を、株価低迷による株式減損の発生等を主因として、次のように修正する。
1-1 連結経常収益を5兆7000億円(2000億円減)、連結当期純利益をマイナス2600億円(マイナス3100億円)に修正する。
1-2 期末配当予想を1株12円に減額する(2円減)。

 MUFJとMORGANは、「日本における証券会社の統合について」既に発表しているが(2009-03-26)、世界金融危機後のグローバルな金融システムが再構築されつつあると、SANARI PATENTは観測する。
 従って、MUFJのICT機能も巨大化するが、弁理士密度が高い四谷のMUFJ支店内に、三菱口座番号とUFJ口座番号が相変わらず並存している理由は、SANARI PATENTも未だ聴いていない。
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2009年5月9日土曜日

Russian Prime Minister, Vladimir Vladimirovich Putin Visits Japan

Russian Prime Minister, Vladimir Vladimirovich Putin Visits Japan プーチン・ロシア首相の訪日等について経済産業事務次官応答(2009-05-07)
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 当面の外交問題等について、望月経済産業事務次官が次のように対記者応答した(SANARI PATENT要約)。

Q1 来週、ロシアのプーチン首相が訪日の予定で、原子力協力協定等が報道されているが、経済産業省関係の議題と、期待する成果は何か。
A1 議題の詳細を承知していないが、ロシア関係の経済的な議題という観点からは、エネルギー政策であろう。
 特に、資源の賦存が、サハリンを含めて東シベリア地域に多く、ロシアとしても開発したいし、わが国にとっても近隣所在の貴重な資源だから、これらの資源開発、それから、ロシア側からすれば、東シベリア地域の産業開発は重要な課題になっている。従って、両国共通の利益として協力することが、極めて重要である。
 その一連の課題として、原子力関係の協力も重要な柱の一つであり、これら二国間の重要経済課題を近隣国として解決、進展させることを期待している。

Q2 WTO閣僚会議の年内再開が一部報道されているが、経済産業省に報告されているか。
A2 WTOの閣僚会議は、このところ4年ほど開催されていなかったが、制度上は2年に一度ということになっている。このところ、交渉のための閣僚会議が頻繁に開催され、開くチャンスを失ってきたと思う。交渉のときの閣僚会議と異なり、全加盟国の閣僚が集まるので、別の意味があると思う。
 今年、4年ぶりにこの閣僚会議が開かれることにより、自由貿易に対する全加盟国共通の問題意識を高め、幅広く深く、WTOの今後の長期的方向性を占う重要な会議になる。
 限定されたメンバーでの閣僚会議も同時並行する必要があるが、定例の全閣僚会議には、目的を分けて対処すべきであろう。

SANARI PATENT所見
 連休中、二階経済産業大臣が訪米したが、米国エネルギー庁長官との間で、エネルギー・環境技術協力の具体化が協議された。またUSTRの通商代表、米国商務長官と、全米商工会議所会頭と、保護主義の阻止等について議論が進められた。
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2009年5月8日金曜日

METI Selects Electric Vehicle/plug in Hybrid Vehicle Towns

METI Selects Electric Vehicle/plug in Hybrid Vehicle Towns (EV/pHV Towns) 経済産業省がEV・pHVタウンを選定
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 本月13日に経済産業省(担当:製造産業局自動車課)は、「EV・pHVタウン構想推進検討会」を開催し、同タウンの選定結果と今後の進め方を検討する。

 EV・pHVタウンは、運輸部門における低炭素社会の実現を目指して、21年夏以降に市場投入される電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(pHV)の本格的普及に向けた実証実験のためのモデル事業である。
EV・pHVの初期需要を創出するためには、充電インフラ整備や、普及啓発などを集中的に行う必要があることから、まずモデル地域を選定し、自治体、地域企業等と連携してEV・pHVの導入、環境整備を集中的に行い、普及モデルを確立して、日本全国への展開を目指す。

EV・pHVタウンは、都道府県を対象として提案を募集し、EV・pHVタウン構想推進検討会に所属する有識者からの意見も踏まえて、次のように選定した(2009-03-31)。

(1)  広域実施地域: 東京都、神奈川県
21年度から、隣接する広域においてモデル事業を実施し、先進的なマスタープランの策定を目指す。 
(2) 実施地域: 青森県、新潟県、福井県、愛知県、京都府、長崎県
   21年度から、地域の特色を生かしたモデル事業の実施を通じて、熟度の高いマスタープランを策定する。
(3)  調査地域: 岡山県、高知県、沖縄県
今後電鄭を目指す。

SANARI PATENT所見
 EV・pHVは、2009年以降、国内市場に投入されるが、それらの初期需要を創出し、加速的に普及させるためには、車両のInitial Costをカバーするためのインセンティブ、運航距離に対する安心感を提供するための充電インフラの整備が不可欠であるとしているが、日産自動車のゴーン社長が言明しているように、バッテリーをレンタル制にすることによるInitial Costの低減など、先ず業界の創意を促すべきである。
 充電コンセントの設置は、公営駐車場の整備と連携して、コンビニ等の商業施設の利益に資する構想で急速・広域に進めるべきである。特に、電気自動車が移動IT機器としての機能を持つことに注目し、国のIT戦略の一環とすべきである。
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2009年5月7日木曜日

Public Comment on Medical Patent Requested by IP Headquarters

「先端医療分野における特許保護の在り方」について意見公募(今月17日期限)
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1 日米欧中韓の特許制度が、法形式上で最も相違してきたのが先端医療分野である。この相違の態様を改めて考察することは後回しにして、内閣知財戦略本部が意見公募の対象としている「今後の在り方」、次の9項目(SANARI PATENT要約)を考察する。
(審査基準における特許対象の明確化)
1-1 「既存物と既存物の新規な組合せに特徴がある発明」について、審査基準における特許対象の明確化
1-2 「生体外で行われる細胞等への処理方法に特徴がある発明」について、審査基準における特許対象の明確化
1-3 「細胞等の成体由来材料の用途に特徴がある発明」について、審査基準における特許対象の明確化
1-4 「細胞の特定に困難性がある発明」について、審査基準における特許対象の明確化
1-5 「アシスト機器技術関連の発明」について、審査基準における特許対象の明確化
(特許対象の見直し)
1-6 「細胞や薬剤の用法・用量に特徴がある発明」について、特許対象の見直し
1-7 「最終的な診断を補助するための人体のデータ収集方法の発明について、特許対象の見直し
(特許取得への支援)
1-8 先端医療分野の特許取得への支援
(その他の検討事項)
1-9 機械・器具の使用方法に特徴がある発明についての定め方

2 必要とされる三つの取組
2-1 現行制度においても保護できる先端医療分野の発明について、審査基準における特許対象を明確化すること

2-2 国民のニーズ、研究開発 の現状に照らして、副作用や生活の質を劇的に改善する医薬の発明、MRI、CTなど、人体のデータの収集に係る発明について、新たに特許対象とすべく審査基準を改訂すること
2-3 先端医療分野の研究成果を適切に知的財産に結び付けること

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2009年5月6日水曜日

REUTERS Report on Fed Chairman Ben Bernanke 

米国連邦準備理事会パーナンキ議長の証言と中国の景況
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 今朝はREUTERSのLatest News(May 5)が、「Bernanke’s optimistic view」と題して、米国連邦準備理事会パーナンキ議長の米国両院合同経済委員会(2009-05-05)における証言を動画報道している内容が、世界活況を再起動し拡大しようとしている知財専門家を元気づけたと思われる。
 グローバルカプリングの情勢下で、米国に次ぐ世界第2位のGDP規模を日本と争う趨勢の中国について、先日届いていた野村證券の資産管理誌(2009-05)が「景気回復期待が高まる中国経済」(野村證券経済研究所・岩田佳也氏)が中国本土系市場の好調を解説したのと併せて、金融危機脱却の契機となることが望まれる。

1 Bernanke議長の「本年後期に米国経済が好転に向かい始める」(US economy will begin to improve later this year)との観測は、次のような例示に基づいている。
1-1 金融危機は再発せず、景気後退は年内に収束する。
1-2 米国内大手銀行の健全性審査の結果、必要に応じて民間からの資金調達が可能と認める。
1-3 米国住宅市場が近く底を打つ(SANARI PATENT考察: TV東京WBS2009-05-04は、米国において、価格1500万円クラスの新築住宅が販促実績を示している状況を放映した)。
2 野村證券の中国経済観測(上記資料)は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
2-1 株式市場にもリスクマネーが回帰する兆しが見える。
2-2 中国政府の景気対策の速度と規模が適切である。
2-3 中国政府の財政状態が比較的健全で、追加的対策支出の余裕がある。
2-4 世界的金融危機が中国の金融システムに与えた影響は比較的軽微であった。

SANARI PATENT所見
 日中首脳会談(2009-05-05)において、ICT技術の提携が協定されたが、佐成重範弁理士のJTEC(電気通信の国際協力機構)専務理事としての勤務経験から考えても、漢字起源の文字文化を共にする中国との情報通信友好を、セキュリティ問題等を円滑に解決しつつ増進することが切望される。
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2009年5月5日火曜日

Mitsubishi Plastics Enters into a Strategic Alliance with QUADRANT, Switzerland 

Mitsubishi Plastics Enters into a Strategic Alliance with QUADRANT, Switzerland 三菱樹脂がスイス・QUADRANT社と戦略的提携 (2009-05-04同社発表)
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 保護主義的な動きが潜在ないし出没する国際経済のもとで、グローバルに事業展開するためには Open Innovation への取組が不可欠である。三菱樹脂が昨日発表した標記戦略的提携の内容(SANARI PATENT要約)を、この視点から以下考察する。

1. 三菱樹脂は、三菱ケミカルホールディングスグル-プの機能性材料事業を担う中核事業会社として新発足し(2008-04-01)、企業ビジョンとして「最適なソリューションを通じて顧客の良きパートナーの役割を担える開発型企業」を目指しているが、今般、世界最大手のエンジニアリングプラスチック製品(以下「EPP」)の加工メーカー、QUADRANT社(本社スイス)と、EPP事業の世界展開の一環として、戦略的提携を行うことに合意した。
2. 三菱樹脂は、2008年度を初年度とする中期経営計画において、事業の規模、収益性、市場における優位性、市場の成長性の見地から、育成事業、集中事業、再構築事業の4象限の事業ポートフォリオを策定したが、その中で、基盤事業に位置づけたEPP事業は、日本のみでの展開にとどまっている現状にかんがみ、事業拡大のためグローバルな展開が不可欠と考える。
3. 三菱樹脂が拡大するEPP事業は、1966年に米国ポリマー社と合弁で日本ポリペンコ社を設立し、日本におけるモノマーキャスティングナイロンを中心とするEPPの加工・販売を展開し、その後、1989年にオランダDSM社がポリマー社を買収、2001年にオランダDSM社がポリマー社を買収、2001年にQUADRANT社がDSM社のEPP事業を買収して現在に至っているが、その優れた特性により、産業機械部品など産業用途で競争力が高く、需要の増大が見込まれる。
4. 現在QUADRANT社は、世界19ヵ所に製造・販売拠点を有する世界最大手の樹脂加工メーカーである。今次戦略的提携により三菱樹脂は、QUADRANT社の生産技術、R&D、販売ルートを通じたEPP事業および高機能繊維複合材事業の拡大により、2012年度に海外売上高比率40%を達成する。

SANARI PATENT所見
 上記3の経緯は、国際的Open InnovationのM&Aによる実現の過程を、典型的に示している。
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2009年5月4日月曜日

Trends of Patent Application for IT Equipments 

情報機器・家電ネットワーク制御技術に関する日米欧中韓の特許出願動向
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 総務省が「ICT国際競争力指標の策定について」に基づき、「ICT国際競争力の各国比較」を行っているので、特許庁のIT関係特許出願国際比較と総合考察することが有用である。なお総務省は、Information and Communication Technologyの所管省、すなわち、情報通信省としてICTの語を用い、経済産業省は情報産業所管省としてITの語を用いるが、国民としては同義である。

 さて特許庁の定義では「情報機器・家電ネットワーク制御技術」とは、「暮らしをより快適にするために、ケータイを利用して外出先から家内の家電機器類を操作したり、複数のTVを連携させ、部屋を移動しても続きの映像を楽しむなど、複数の電気機器類を互いに連携させ、ホームネットワークを形成することで、利便性を向上させる技術」をいう(SANARI PATENT要約)。
 電気自動車が情報機器としての性格を有することは明白であるから、上記の定義には電気自動車に言及することが不可欠であると、SANARI PATENTは考える。

 特許庁の今次考察(2009-04-01)によれば、
1. 日米欧中韓への特許出願において、日本勢は最も高い出願件数シェアを占め、韓国勢、米国勢が日本勢に続いている。
2. 韓国勢の出願件数が増加傾向を示している。
3. 日本勢の海外出願では、米国への出願が最も多く、次いで中国への出願が多く、欧州への出願を上回っている。
4. 米国勢、欧州勢、韓国勢は、日本に対して最も多くの海外出願を行っている。
5. 日本勢の対米国出願件数よりも多数の出願を米国勢は日本に対して行い、欧州勢も、日本勢の対欧州出願の倍以上の出願を、日本に対して行っている。
6. 日本への出願では、上位を日本勢が占めているが、米国、欧州、中国、韓国への出願では、韓国勢が1位を独占している。
7. 米国への出願については、日本勢、韓国勢、欧州勢がランキング上位を三分している。

SANARI PATENT所見
 日本勢の出願内容は、他に比べて応用技術の出願件数が多く、また、ネットワーク技術よりも機器に関する出願が多いと考察されており、総務省の世界市場動向(日本はサーバーと企業向けルータのシェアが低い)と併せて、今後の特許戦略を考究する必要がある。
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2009年5月3日日曜日

Trends of Patent Application for the Internet Search Technology 

特許庁(JPO)「インターネット社会における検索技術」の考察
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 インターネット検索技術に関する特許出願のグローバルな傾向は、新世紀初頭において出願総数がピークに達し、日米が並進していたが、その後は米国勢い(SANARI PATENT注:「勢」は日本特許庁の用語で「米国勢」は「米国側」の意味)が優勢である。以下、標記報告(2009-04-01)の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1.「インターネット社会における検索技術」の定義
  単に「インターネット検索」という用語を普及させる方がよいと思うが、上記を次のように定義している。
「インターネットを利用し検索式を与えることで情報を抽出する仕組みであって、インターネット上で流通する情報の中から収集した情報、またはインターネットを経由してアクセスできる情報を対象として、検索機能を実現する上で必要な技術」

2.出願人国籍別のインターネット検索特許出願動向
 1990~2006の日米欧中韓特許庁へのインターネット検索特許出願件数は13,156件に達したが、出願人の国籍別にみると、米国籍が6343件(48.2%)、日本国籍が3863件(29.4%)、欧州国籍1407件(10.7%)、韓国籍640件(4.9%)、中国籍299件(2.3%)、その他604件(4.6%)である。

3.日米欧中韓における出願件数の収支を見ると、同じく1990~2006において、
3-1 米国への出願が5759件で最多、次いで日本への出願が3368件。
3-2 日本勢の米国への出願件数は514件で、米国勢の日本への出願件数393件より多いが、米国勢は欧州に対して、日本への出願件数の2.5倍の977件を出願している。
3-3 米国勢は、欧州、中国、韓国への出願件数において、各最高のシェアを示している(欧州49%、中国41%、韓国32%)。

4.技術区分別の出願件数
4-1 米国勢からは、特にメディアデータ解析技術に関する出願が多い。
4-2 メディアデータ解析技術のうち、画像・映像や地理。地図データの解析技術については、日本勢が米国勢よりも多くの出願を行っている。

SANARI PATENT所見
 インターネット検索技術について、主要な国際会議における論文発表件数が最多であるのは米国勢で、次いで欧州勢であり、日本勢は中国勢よりも少ないと指摘しているが、中国の検索市場ではBaiduが60.9%を占めるのに、日本ではYahooが56.2%、Googleが31.5%という状況(Nielsen 2008)と関連している。
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2009年5月2日土曜日

China Compulsory Certification for IT Security 

ITセキュリティの中国強制認証制度に関する日中首脳会談結果
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 ITセキュリティ強制認証の問題が、日中首脳会談(2009-04-30)において、(1)中国における実施対象を、政府(国有企業)調達のIT製品に限定すること、(2)実施時期を1年延期して来年5月からとすることの2点が中国側から示されたことは、当面の解決として巧みなものと、SANARI PATENTは評価する。中国における政府調達の範囲は広く、日米欧連携して中国の再考を求める期間を設定したとも解されるからである。
 この件については朝日新聞の社説(2009-05-01)が最も的確に解説しているとSANARI PATENTは考えるので、以下に要約する。

1. ITセキュリティ製品を中国で製造したり、販売したりする企業に、技術情報の開示を義務づけようという「中国強制認証制度」(CCC)の適用問題は、ICカードリーダーなど13品目を対象とする。
2. この認証を得るためには、製品を制御するソースコード(ソフトの設計図)(SANARI PATENT注:Source Codeは、Computerに特定の作業を実行させるため必要な指示列で構成するプログラム)の開示を求められる可能性が大きい。マイクロソフトが基本ソフト「ウィンドウズ」のソースコードを機密情報にしているように、企業にとっては極めて重要な知的財産である。
3. 中国側は、CCCはComputer Virusの侵入などの防止を目的とし、既に2002年から家電製品やPCを対象として実施されており、今次案は対象品目の追加に過ぎないとしている。
4. しかし、情報セキュリティ製品についてこの制度を導入している国はほかになく、麻生首相が「貿易の障害」として撤回を求めたことは当然である。規制対象となった製品はCCC認証を取得しなければ中国内で販売できないが、対象となる日本製品の中国における売上高は1兆円という試算もあるほどで、実施されれば影響は大きい。

SANARI PATENT所見
 上記社説は、「中国市場力の輝きと脅威」という視点からCCC問題を対象としたが、中国から見て「日本市場力の輝きと脅威」の有無を、別途考えたい。
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2009年5月1日金曜日

Administration of the Industry Innovation Organization 

産業革新機構の管理についての産活法規定
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 産業革新機構への政府出資金が増大し、わが国産業のOpen Innovation推進における機能が決定的となれば、産業革新機構の管理に対する関心も重大となる。前回に引続き、改正産活法の関係規定を考察する。

 (取締役及び監査役の選任等の認可)
第30条の14 産業革新機構の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 (産業革新委員会の設置)
第30条の16 産業革新機構に、産業革新委員会(以下「委員会」)を置く。
 (権限)
第30条の17
第1項 委員会は、次に掲げる決定を行う。
1. 特定事業活動支援の対象となる事業者及び当該支援の内容
2. 株式等又は債権の譲渡
第2項 委員会は第1項に掲げる事項の決定について、取締役会から委任を受けたものとみなす。
 (組織)
第30条の18 委員会は、取締役である委員3人以上7人以内で組織する。
 委員の中には、代表取締役及び社外取締役が、それぞれ1人以上含まれていなければならない。
 委員は、取締役会の決議により定める。
 委員の選任及び解職の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 委員は、それぞれ独立してその職務を執行する。
 委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
 委員会の議事については、経済産業省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、経済産業省令で定める署名又は記名押印に代わる措置がとられなければならない。
産業革新機構が株式会社として構成されることは、一般の株式会社と異なる様々な特質を規定されていても、株主に対する取締役・監査役の責任が会社法の規定によって追及され得ることを意味する。産業変革の中枢機能を果たす能力を持ちつつ、そのようなリスクも負担する人材をどのように充足するか、参議院の審議で追及されている。
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