Selection and Concentration Strategy of HITACHI
日立の選択と集中における線引きの不透明性、その他、電機大手の事例
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
8.(承前 http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 記事2009-05-18)ドイツ証券の宮本氏は、日立が資本増強の可能性を」にじませたことについて、「日立にはまだ売る資産がある。エクイティを出す前に自社でやるべきことがあるのではないか」と指摘する。日立は現在、16社の上場子会社を抱えるが、資本政策とグル-プ運営が適切なのかということを指摘され続けてきた。
日立の川村 隆・会長兼社長は就任会見(2009-04)で、「総合電機の路線から軸足を少し移す」と述べ、事業の選択と集中を進める考えを示唆した(SANARI PATENT考察:「示唆」よりは、現実化・具体化に近い内容であったと評価する)。一方で川村社長が注力すると強調した社会イノベーション事業は、情報通信、電力、環境、産業、交通、都市システムなど広汎な事業領域を対象としており、注力事業の線引きが不透明だ。日立の資本政策の成否は、経営陣がどのようなグル-プ政策を打ち出すかに依存する。
9.「採算性を気にしながら、そこそこの数字が出ると撤退の決断ができなかった」(電機大手首脳)。経営陣からはこんな反省の弁が聞こえる。ITバブル崩壊後の大リストラと景気回復で「V字回復を果たすと、構造改革のアクセルが緩んだというわけだ。選択と集中という、本来なさるべき決定を先送りしてきたことが、リーマンショックで受けた傷口を広げる結果となった。
10. かくして、日本経済のリード役であった電機産業が現在、岐路にたっている。電機大手9社の2009年3月期連結決算は純損益の合計額が2兆2000億円を超える赤字となり、ITバブル崩壊直後を上回る業績悪化となった。
SANARI PATENT所見
わが国電機大手の赤字定着が、構造変革の遅滞に起因し、「百年に一度の世界金融危機」は触媒機能を営んだに過ぎないというのが、有力な論説の趣旨である。構造変革は、簡単に言えばコストの低減による国際競争力の完備であって、国内人件費が膠着しているならば、海外に生産拠点を移すほかない。国内の余剰人的資源は増大し、その価格が総合的に国際競争力を具備するに至るまで、電機大手の国内不況が終息しないことは、経済の必然性による。既に、次のように例示されている。
(1) 日立・子会社車載機大手のクラリオンが福島県郡山市から中国アモイに、カーナビ生産設備の一部移管(今夏)。「汎用品になってしまったカーナビは、開発を含めて海外に移さないと競争に対応できない」。
(2) ソニーは今年に入って、国内4工場の閉鎖を決定。新興国向けの低価モデルは、海外での委託生産を拡大する。
(3) パイオニアのテレビ用パネル工場(鹿児島県出水市)が2009-02に閉鎖。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム