2008年2月29日金曜日

Alternatives of Information Technologies

Alternatives of Information Technologies:情報技術の多様化から何を選ぶか:経産省産構審IT経済部会2月会合の本来の課題
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

経産省の産構審では「IT経済」の部会を設けており、この2月には、会長、野村総研(NRI)・村上輝康理事長、委員として、業界からは、石黒不二代・ネットイヤ-グル-プ社長、上野 保・東成エレクトロビ-ム社長、リコ-・遠藤紘一専務執行役員、大歳卓麻・日本アイビ-エム社長執行役員、片岡 政・アルプス電気社長、東電・勝俣恒久社長、角川GH・角川歴彦社長、三菱UFJFG・畔柳信雄社長、三菱商事・佐々木幹夫会長、日立製作所・庄山悦彦会長、電通・高嶋達佳社長、三井物産・寺島実郎戦略研所長、NTTドコモ・中村維夫社長、電機連合・中村正武中央執行委員長、イプシマ-ケティング研・野原佐和子社長、NTTデ―タ・浜口友一取締役相談役、デフタパ-トナ-ズグル-プ・原 丈人会長、ディ-フォ-ディ-ア-ル・藤元健太郎社長、ジェイエムア-ル・松田久一代表取締役、村上憲郎グ-グル社長が、所見を述べた。
務省は「IT」ではなくて「ICT」と称している。これはInformation &
Communication Technology」で、「情報通信」であるが、電気通信よりも広汎である。
 内閣は、IT革新本部を設けている。

  これらの機能と成果が問題であるが、先ず前回記述を継続する。
 
2-26 (2008-2-28記事承継) 電子タグによる製品安全 
ITを活用した製品安全対策として、電子タグの利用が解決の一つだが、その利用は遅れている。製品の長寿命化により長期使用がおおくなってきているが、トレ-サビリティはなかなか進まない。電子タグを社会基盤として早急に推進すべきである。(SANARI PATENT 考察:発火事故の可能性ある電磁気・ガス器具について、現在の銘板装着とコストの対比はどうか、消費者保護庁が新設され初仕事として至急検討すべきである)。

2-27 官と官との繋がり
官官連携して、IT活用に関する規制を緩和するよう求める。税の確定申告に利用するためにも簡素化が必要である(SANARI PATENT 本人同定・認証を、税理士に依頼すれば簡素化できる方法が用意されているようだが、これでは簡素化にも経済化のもならない:特許庁の本人同定・認証も、商工会議所等への登録書類とその維持費を要し、金融・証券機関と比べて簡素でもなく、経済的でもない)。
薬の処方箋も、わざわざ薬局に行くのではなく、パソコン注文できるよにすべきである。(SANARI PATENT 考察:これは非常に重要な提案であり、地域住民の医療福祉に寄与するところ多大と考えるが、既にOTC医薬については、インタ-ネット販売が盛大になされており、先ずその活用から習熟すべきである:また、国民の医薬品使用におけるコンプライアンスが完全であることが前提である)。

2-28 高齢者のIT無知(リテラシ-)
ものづくりの現場に限らず、高齢者のIT無知を解消すべきである。(SANARI PATENT 考察:「無知」というより「半可通」が多い。パソコンを購入しても利用頻度・利用程度が低い)。

2-29 ケ―タイの公的利用
携帯電話は、メ-ル、GPS、ICチップと進化したが、公的利用は災害情報のみである。買換周期も2年と早く(SANARI PATENT 注:今までの実際は1年半)普及が高速であるから、公的利用を拡大できると考える。

2-30 ケ―タイの高度化とグロ-バル市場からの遊離
一方、グロ-バルな視点では、400ドル、500ドルのケ―タイを作っていては国際競争についてゆけない。新しいサ-ビスを提供すればする程、世界の標準から外れている。オ-プンソフトウェアやミドルウェアの共通化を進め、グロ-バルな基盤の上で多様なサ-ビスを展開すべきである。
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IC Tag、ICT、ミドルウェア、電子タグ、処方箋、ケ―タイ

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2008年2月28日木曜日

Change of Innovation:グ-グル村上憲郎社長ほか

Change of Innovation:グ-グル村上憲郎社長ほか、経産省産構審IT経済部会2月会合:電子政府の実績など
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

 日米ともにイノベ-ションを加速しようと政策を連ねたが、加速したのは日本では年金情報の不足・不信であり、米国ではサブプライム・石油高騰であった。SANARI PATENTは、「Change of Innovation !」を唱え、政策目標の曖昧性や概念の不明確性、「つながり力が反イノベ-ションに作用している官官妥協」の摘出・根絶を主張する。
 先ず、標記の記録を継続する。

2-20(2008-2-27承継) 「ものづくり」技能者におけるIT不足
「ものづくり」の現場で力を持っている人(SANARI PATENT 注:ここでは管理者という意味)が、ITで何をできるか知らないことが問題である。実際の現場で、空気を吸うかのようにITを使いこなしている人は、自分より若い人である。
現場の知見とものづくりを、ITによってどのように繋げてゆくのか、ものづくりの現場力を5年後も通用させるためには、技術者がITによって何ができるかを議論していく必要がある。これまで暗黙知であった技術を、ITによって習得期間を短縮すれば、新たな取組に使える。どう繋げるかを考えないで、パッケ-ジとかネットと言っていてはだめだ。(SANARI PATENT :「ITによって習得」できるのか、「伝授」が要るのではないか)。

2-21 経営者のIT学習
経営者がITを学ぶことが、具体的にIT化を進めるために必要である。国が教育の場を設けて経営者に対し、IT化を浸透すべきである。

2-22電子政府の利用率
電子政府の利用率向上のため必要なことは、最初の段階でのハ-ドルを下ることである。(SANARI PATENT 注:「ログインを簡便に」という意味である:電子納税は試みたことがないが、これは、例えば、確定申告書自体は電送できても、付帯書類の郵送を要するから、同時に郵送する方が便利である:税理士会が盛んに電子納税を勧誘しているが、とにかく利用率は極めて低いようである:特許庁の電子出願も、出願人同定の手続とその維持費は個人・中小・ベンチャ-企業の出願人向きでない:セキュリティのためならば、証券会社・銀行のオンライン取引のユ-ザ-フレンドリ-サに模すべきである)。電子署名を使うことになっているが何故普及しないのか。住基カ-ドのリ-ダ-を配布すればよいのか。セキュリティに不安があるにか。よく分析しなければならない。セキュリティについていえば、ネットショッピングはパスワ-ドだけで問題なく回っている。一律ではなく、グレ-ドをつけてやってゆくべきである。

2-23 システムの信頼性
システムを分類して、システムの停止が致命的なもの、若干の停止は許容できるもの、代替手段があれば停止による支障を回避できるものに分けて考えるべきである。

2-24 システム連携に関する政府の関与
情報システム間を繋ぐ際に、政府は基本的事項をガイドラインで勧奨するにとどめ、あとは民間に任せるべきである。

2-25 技術者・科学者の繋がり
客観的に見て、技術者や科学者は自発的には、なかなか繋がらない。繋げるための強力なインフラ、組織が必要である。多くの企業を見て技術と経営に精通した人が評価・目利きする仕組みを構築することが考えられる。(SANARI PATENT 考察:そのような人が存在するのか、疑問である)。
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e-government、グ-グル、経産省産構審、電子申告

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2008年2月27日水曜日

Japanese Skilled Manufacturing in the World Market

Japanese Skilled Manufacturing in the World Market :冶金など「ものづくり」の IT補強を経産省産構審IT経済部会2月会合が検討
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

今月13日に、「特定冶金技術」と「溶接技術」が「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」(H15)に基づく「特定ものづくり基盤技術」に追加指定された旨、発表された。指定原案に対してSANARI PATENTは、これら技術を有する中小企業団体の、上流企業分野別活動について、知財権利関係明確化を重要とする意見を述べ、中小企業庁当局から、発表に先立って検討経過の連絡を受け、発表案に賛意を表した。
 経産省産構審IT経済部会2月会合でも、下記のように、ものづくり技術政策が引続いて考究される。

2-13 (2008-2-26から)「ものづくり」の今後
「もの」自体の価格は次第に低下するから、サ-ビスを付して売る必要がある。「もの」は、それ自体が品質を語るが、サ-ビスについては少なくとも英語に対応して語る必要がある。日本が得意な「アニメやゲ-ム」とハ-ドを組合せたビジネスモデルが考えられる。
2-14 「みえる化」がポイント
また「つながり力」の強化には、「みえる化」がポイントである。日本の「ものづくり力」は世界的に評価されている。人工衛星やジャンボジェットのエンジンの加工には、当社のレ-ザ-が使われている。ロボットや自動車、更には医療の分野などにおいても、重要な部品になっている。
2-15 「ものづくり力」はあるがIT化不備
世界的に見ても高付加価値な「ものづくり」産業に対しては、「サポイン」(SANARI PATENT 注:こういう略語ができて、「サポ-ティングインダストリ-」の意味:経産省が使い始めたと推測される)として平成18年度から経産省で施策を講じている。
一方、こうした企業は、基幹業務がIT化されておらず、大手企業と受発注で繋がっていないのが現状である。ITを使い、大手と中小、中小と中小を繋ぐことが重要である。

2-16 メディア融合がポイント
「つながり力」については、技術革新によるメディア融合がポイントである。教育分野を含めた日本のコンテンツをグロ-バルに展開する好機で、長い眼で見ると、途上国において次世代の親日派を増やし国の将来基盤を築く。

2-17 情報の高解像度化
情報の高解像度化によって、消費者にとって販売市場が可視化されている。これまでレモンマ-ケット、すなわち、中身が判断できないため一律に低評価されてsまう状況であったものが、品質情報が明らかになることにより、良質品は高価格で買われるようになる。実際、日本の農産物はこれまで高く売らなかったが、最近は高品質品として高価で売れている。

2-18 官官連携が先ず必要
官民連携も重要だが、官同士の連携が重要である。今は農商工連携ということで非常にやり易くなったが、以前は地方の通産局と農政局が一緒に事業をするのも大変な時期もあった。地域レベルでの官同士の連携も高めて欲しい。

2-19 コ-ド化・標準化
無形のインフラとして、コ-ド化、標準化の推進も官の重要な役割である。(SANARI PATENT 考察:コ-ド化と並置した標準化であるから、標準的品質保証の意味の標準化と解する:規格競争による市場制覇の結果として成立するデォイファクト標準化は、それを阻害しないことが官の役割である)。その際は、国内に閉じるのではなくグロ-バルな視点が必要である。〔以下2008-2-27に継続〕
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Skilled Manufacturing、溶接技術、冶金、つながり力、メディア融合

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2008年2月26日火曜日

The Roles of Government and Industry

The Roles of Government and Industry:官民関係の在り方にについても多様な発言:2月の経産省産構審・情報経済分科会合
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
  
  内閣知財戦略本部は、産学官連携を毎回強調しているが、「官官連携」が重要という発言に重みがある。NRI、リコ-、IBM、日立、NTT、電通など、情報のネット、機器、コンテンツにわたる諸分野の、官民関係に関する発言の幅も広い。

2-9ソフトとハ-ド((2008-2-25から継続)
ソフトかハ-ドかという二者択一ではなく、グロ-バルな視点から、両者をバランスよく見ていくことが必要である。(SANARI PATENT 考察:内閣知財戦略本部が強調する「ソフトパワ-」すなわち、「ハ-ドパワ-に対するコンテンツパワ-のソフト」と、「ハ-ドウェアに組込まれたソフトウェアのソフト」という、2面のソフトとハ-ドのバランスを指摘した意見と解する)。

2-10 官民の役割分担
官と民の役割分担については、答えが出ていない。インタ-ネットやGPS、燃料電池などは、技術的には民が開発したものではない。(SANARI PATENT 考察:米国の軍事開発等の国家機構開発が強く意識されている感がある)。官のプロジェクトにも民間人が携わっており、要は人の問題ではなく資金の問題である。サムスンは、日本の経済産業省と総務省が一緒になったような会社であり、それが日本でできないのが、弱みでもあり強みでもある。問題は、官が政治を見過ぎて、やることがしょっちゅうぶれていることである。昔の通産省のように、しっかりとした方向性をもってもらいたい。(SANARI PATENT 考察:この発言も、グロ-バル環境変化の急速と、わが国内の諸条件の著変との相関のもとで具体的に対照しないと理解し難い)。

2-11 感性と論理性
住基ネットの例でも分かるように、一つの省だけでできないことは明らかなので、各省で協力すべきである。(SANARI PATENT 考察:ここで論じている「情報」がその最大の事例で、情報通信省は結局できないが、現在最大の課題は、文化庁所管の著作権と情報流通の調整であり、これをさておいて情報経済論は成立しない)。感性と論理性は両方とも大事だが、官はやはり論理性をもってしっかりとしたシステムを、経済産業省も一緒になって作りあげるべきである。

2-12 わが国の得意とするところ
この分科会の対象範囲は極めて広く、いくつかの柱を立てて議論する必要がある。そのためには、わが国の得意とするところを特定した上で、日本国内だけでなく世界中でその役割を果たしていくことが重要である。
日本の「ものづくり」は間違いなく高機能であるから、世界中が喜ぶものを作る必要がある。BRICSやアフリカが飛びつくようなものを作るべきである。(SANARI PATENT 考察:ものづくりによる製品は、先進国において高いシェアを持つものが多いが、BRICSやアフリカには今後、わが国計画の資源依存が急速に高まるから、これら新興国のニ―ズの的確な把握が先ず必要である)。
〔以下2008-2-に継続〕
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government、NRI、リコ-、IBM、日立製作所、NTT、電通

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2008年2月25日月曜日

Mc Donalds vs. Japanese SUSI

Mc Donalds vs. Japanese SUSI:三井物産・三菱商事から委員、経産省産構審情報経済委の2月会合の多彩
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
(別サイト http://blogs-yahoo.co.jp/patenttrend Microsoft Announcement(2008-2-24記事)

   マクドナルドのグロ-バル拡販と、日本寿司屋の海外店数急増の対比も、検討課題とする委員会である。

2-4 (このサイト2008-2-24記事承継) サムスンの例
ハイエンドの領域でもサムスンは強く、海外では高級品として位置づけられている。必ずしもサムスン=標準化領域ということではない。中国ではサムスンのケ―タイはハイエンドだし、プリンタもHPに次いで世界2位になっている。
政府の力を過信しないが、サムスンは、アジア通貨危機の際のニュ-ディ-ル政策によって戦略的に育成された国策会社であり、日本でいうとNTTとSONYが一つになったような企業である。日本の企業もような自由競争の環境とは異なった文化から出現している。わが国政府としても戦略的な政策を採るべきである。(SANARI PATENT 考察:要するに、産業の発展段階に即応しつつ企業の自由競争と政策配慮の最適ミックスが必要という発言である)。

2-5 技術力か市場力か
インタ-ネットの創成期に、シリコンバレ-でコンサル会社を経営していたが、その頃、シリコンバレ-に来て技術を買った日本の大企業は、自社の中央研でも自前の技術を持っていた。今、日本の企業が以前のようなグロ-バル展開ができていないのは、技術の問題ではなく、マ-ケティング力、サ-ビスを展開する点が欠けているためと考えられる。(SANARI PATENT 考察:グロ-バルに市場シェアが高く、サ-ビスネットも有する日本企業も多いから、個別的・具体事例的に考察する必要があるが、事例としては、医薬品やケ―タイを採りあげれば、個別的事情の多様性が把握できると考える)。

2-6 大企業と新興企業の統合
サ-ビスへの展開をする際に、人材が内部にいないということであれば、大企業と新興企業を繋ぐ仕組みが対策として考えられる。新興市場は低迷しており、金融庁の引締めもあって、株式市場にも戻ってこない。このまま潰れてしまうのではないかという危機感をもっている。(SANARI PATENT 注:ベンチャ-株式市場から外れそうな新興企業の人材を、統合・承継する提案と考える)。

2-7 ノウハウの共有
NHKと共同して当社は、「今日の料理」という番組と連動したサイトを作っている。大企業が保有しているデ―タベ-スやア-カイブをネット展開していく際には、自社だけで考えるのではなく、ノウハウを持つ他の企業と繋がって共同して取組むことが適切である。(SANARI PATENT 考察:その大企業にとってはコンテンツの二次利用→収入源となる)。

2-8 マクドナルドと寿司屋の対比
よく言われる問題として、「マクドナルドはグロ-バル展開できたが、寿司屋は何故できないのか」と言われている。この問を突き詰めて考えると、日本の産業が持つ問題が明らかになる。(SANARI PATENT 考察:内閣知財戦略本部のコンテンツ戦略に日本食文化の発信が強調されたことも加わって、寿司屋の欧米における店数は著増している。比喩としては、もっと敷衍して説明されないと、理解し難い)。
(以下このサイト2008-2-26)
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三菱商事、三井物産、High Domain、 サムスン、NHK、マクドナルド

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2008年2月24日日曜日

Specially Ordered IT System etc, MTEI Committee

Specially Ordered IT System etc: METI IT Committee Feb. Meeting:経済産業省産構審・情報経済分科会2月会合の多分野発言
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイトhttp://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 意匠制度改正案 2008-2-23

1. 経済産業省・産構審情報経済分科会委員
会長は、野村総研・村上輝康理事長。
委員は、業界から、石黒不二代・ネットイヤ-グル-プ社長、上野 保・東成エレクトロビ-ム社長、リコ-・遠藤紘一専務執行役員、大歳卓麻・日本アイビ-エム社長執行役員、片岡 政・アルプス電気社長、東電・勝俣恒久社長、角川GH・角川歴彦社長、三菱UFJFG・畔柳信雄社長、三菱商事・佐々木幹夫会長、日立製作所・庄山悦彦会長、電通・高嶋達佳社長、三井物産・寺島実郎戦略研所長、NTTドコモ・中村維夫社長、電機連合・中村正武中央執行委員長、イプシマ-ケティング研・野原佐和子社長、NTTデ―タ・浜口友一取締役相談役、デフタパ-トナ-ズグル-プ・原 丈人会長、ディ-フォ-ディ-ア-ル・藤元健太郎社長、ジェイエムア-ル・松田久一代表取締役、村上憲郎グ-グル社長が、名を連ねている。

2. 今月会合における主要発言〔SANARI PATENT要約〕
2-1 米国と異なるグロ-バル化→ 特注情報システム:
情報システムは、多くの人が使い、コモディティ化するシステムと、特注システムとに分化する。それぞれの戦略を考える必要があるが、コモディティ化は世界均質的に進んでゆくが、特注システムには日本独自の強みを発揮できる。各国の文化に適合する特注システムを強化することにより、米国と異なるグロ-バルな発展を進めるべきである。
2-2 日本業界の国際競争力評価→ 多レベルで: 国策依存は疑問(セキュリティ・インフラは別として):
国際競争力については、色々なレベルでの考え方がある。確かに一部には競争力を失っている部分もあるが、海外考え方見ると、日本はイノベ-ティブであるという評価が9割である。例えば、複合コピ-機は、わが国の利点を活かした「すりあわせ」によってモジュ-ル化されておらず、国際的にも競争力がある。日本はやはり「ものづくりの国」であり、その国際競争力を否定すべきでない。プラズマパネルやケ―タイも、日本がリ-ドしなかったら現在のような発展を見なかったと考える。なお、国際競争力強化のため「政府のなすべき施策」を論ずる向きもあるが、セキュリティやインフラな   どは別として、総論として、国が何か施策を行えば国際競争力が高まるという考え方は奇異である。
2-3 「ものづくり」のみでは国際競争力不備
20年来、情報分野に携わって、執念・愛着があるが、「ものづくり」のみでは世界には勝てないという認識を持っている。
(以下このサイト2008-2-25)
野村総研、METI、、グ-グル、NTTデ―タ、三菱商事、東電

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2008年2月23日土曜日

Revision Plan of Design Rights at METI Committee

Revision Plan of Design Rights at METI Committee (2008-2-22) :産構審知財政策部会の意匠委員会(2月22日開催)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://www.doblog.com/weblog/myblog/82816 2-22キャノンインクタンク関係知財高裁判決(2008-2-21)
別サイト http://blogs-yahoo.co.jp/patenttrend  2-22 HOYA眼鏡レンズ関係知財高裁判決(2008-2-21)

1. 経済産業省が意匠制度小委員会再開(2月22日)
意匠政策を巡る動向と、通常実施権登録制度見直しなどが目的。
1-1 委員長は、東大・大渕哲也教授、業界から、ソニ-・琴寄 俊・知財センタ-部長、本田技研・菅井 孝・知財部企画室長、山本光学・山本為信社長ほか。
1-2 特許庁が、前回の意匠法改正(平成18年)施行(2007-4-1)後の実施状況を説明
1-2-1 「画面デザイン」(SANARI PATENT 注:ケ―タイの画面が改正の一標的とされた)の出願件数は、施行日から2007年末までに約800。電気電子機械器具・産業用機械器具の分野に多い。
1-2-2 「後日の関連意匠」の出願件数は、約900。電気電子機械器具・土木建築用品・事務用品および販売用品の分野に多い。毎月100件前後で推移。
1-3 意匠登録出願件数は、年間4万件前後で推移している。
1-4 部分意匠の出願は、全出願の約24%、関連意匠の出願は全出願の約17%である。
1-5 最近の改正関係の動き
1-5-1 WIPOの「商標・意匠・地理的表示の法律に関する常設委員会」が、「意匠分野における手続の調和」および「意匠と応用美術作品・立体商標との関係」について2006-11から議論を開始したが、次回会合は本年6月。
1-5-2 ヘ-グ協定ジュネ-ブアクトに、無審査国等25国とEUが加盟しているが、日本は未加盟。
1-5-3 意匠の国際分類を制定するロカルノ協定に、49国が加盟しているが、日本は未加盟。
1-5-4 アジア地域等、意匠制度について国際協力している。

2. SANARI PATENT所見
2-1 ブランド戦略として、意匠・商標・著作権・特許の総合的なブランド構成が必要と考える。いずれかの侵害で模造品を排除できる場合が考えられる。
2-2 意匠権の登録要件には、わが国を含めて、美感の新規性を掲げる立法例が多く、審査や侵害判断の国際調和に先立ち、考え方を統一する必要がある。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Design Right、ブランド、ソニ-、本田技研、山本光学、経済産業省

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2008年2月22日金曜日

HOYA Wins Eyeglass Patent Suit

HOYA Wins Eyeglass Patent Suit:HOYAの「眼鏡レンズの供給システム」特許無効を東海光学が主張、知財高裁が東海光学の請求を棄却(2-21)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://www.doblog.com/weblog/myblog/82816 新銀行東京と知財担保(2008-2-21)

1. 「特許の質」「特許の安定性」という用語
1-1 日米ともに、「特許の質を高める」という政策を強調しているが、「特許の質」とは何かを明確に示さずに、「特許付与が無効とされないこと」であったり、「進歩性高度な発明のみに特許付与すること」であったりして、明確でない。
1-2 昨日の知財高裁判決(平成19(行ケ)10175審決取消請求事件・知財高裁判決(2008-2-21)の経緯は、
1-2-1 HOYAの標記特許権(特許3502383)に対して、東海光学は特許無効審判請求し、特許庁は無効審決した(2006-2-19)。
1-2-2 HOYAは、1-2-1の審決取消を知財高裁に求め、知財高裁は、1-2-1の無効審決を取消した(2006-6-2)。
1-2-3 HOYAは、特許請求範囲縮減の訂正請求をなし、特許庁はこれを認めた。
1-2-4 特許庁は、1-2-3に基づき、東海光学に対して「本件審判請求不成立」の審決をなし(2007-4-12)、東海光学は、この審決の取消を知財高裁に請求した。
1-2-5 知財高裁は、東海光学の請求を棄却した(200-2-21判決)。

2.今次知財高裁の特許無効審決支持判決(2008-2-21)(SANARI PATENT要約)
2-1  HOYAの1-2-3の特許権請求項は、「次の特徴を有するヤゲン加工済眼鏡レンズの加工システム」である。(SANARI PATENT 注:「ヤゲン」という言葉は、今次知財高裁事件では「枠入れ加工」の意味で争点とされている。他の分野でも使われるが、眼鏡業界では、広義には、眼鏡のファッション化に伴うレンズやフレ-ム周辺部の加工で、狭義には、眼鏡を顔に安定保持するため鼻梁に接触させる部分である)。
2-1-1 次のコンピュ-タを有する
2-1-1-1 ヤゲン加工済眼鏡レンズの発注側に設置された少なくともヤゲン情報を送信する機能を備えたコンピュ-タ
2-1-1-2 この発注側コンピュ-タへ情報交換可能に接続された製造側コンピュ-タ
2-2 製造側の手元に眼鏡フレ-ムがない状態でヤゲン加工が行われるヤゲン加工済眼鏡レンズの供給システムである。
2-3 発注側コンピュ-タは、所定の入力操作により、ヤゲン加工済眼鏡レンズの発注に必要な処理を行う機能を有する。
2-4 この入力操作(2-3)は、「所望の眼鏡フレ-ムを、三次元フレ-ム形状測定器で測定し、その情報を入力するステップを有する。

3.今次知財高裁の、争点に対する判断(SANARI PATENT要約)
3-1 東海光学は、「特許庁の審決には、従来技術(刊行物)の記載内容と、HOYAの発明の内容の相違点に関する認定の誤りがある」と主張し、この主張は、「製造側においてヤゲン加工まで行われること」を前提にしているが、この前提を欠く。
3-2 東海光学は、HOYAの発明は本件業界の当業者が、従来技術から容易に想到できると主張するが、従来技術の示唆のみで想到容易とはいえない。

4.SANARI PATENT所見
4-1 今次知財高裁判決(2008-2-221)は、「HOYAの本件発明の各構成を容易に想到し得たものではない」とした本件審決の判断の誤りをいう東海光学主張の審決取消事由は理由がない」としている。
4-2 上記1-2-1の特許無効審決以降の段取りを、特許権の安定性の見地から考究することが必要である。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
HOYA、Eyeglass Patent、眼鏡レンズ、東海光学、知財高裁、ヤゲン

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2008年2月21日木曜日

Sanyo Elec. Develops Management Strategies

Sanyo Elec. Develops Management Strategies :三洋電機の経営知財戦略→
臨時株主総会(2008-3-6)に研究開発報告
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
(別サイト http://blogs-yahoo.co.jp/patenttrend 東芝・ソニ-の新合弁発表

1. 三洋電機の新技術・新製品独創
1-1 三洋電機の臨時株主総会(2008-3-6)通知を受信した。野村證券・東洋経済の会社四季報(2008-1集)によれば、「三洋電機のデジカメOEM(SANARI PATENT 注:相手先ブランド製造:相手先のブランドと販売力で生産量を拡大)の台数が急回復。ドル箱の2次電池も数量大幅増で原料高克服。2008年から3年間で2次電池、ソ-ラ-等の中核事業に集中投資」。
1-2 「地球を思う」(Think GAIA)ビジョンの研究開発成果(SANARI PATENT要約)
1-2-1 エアウォッシュ・ワイド機能搭載ドラム式洗濯乾燥機
世界初の「薬剤を使わず空気(オゾン)による除菌・消臭・汚れ分解を広範囲の対象に可能化すると共に、風呂水の浄化・リサイクルによる大幅節水を実現。
1-2-2 ウイルスウォッシャ-機能搭載商品                     
電解水技術の応用により、浮遊ウイルス、雑菌、臭気抑制の家庭・業務用の空間清浄システムを商品化。
1-2-3 ス-パ-ショ-ケ-ス冷凍機システム
複数台のショ-ケ-スと冷凍機を一元管理・制御し、冷凍機のエネルギ-使用量を半減するシステムを商品化。
1-2-4 ノンフロンインバ-タ-ショ-ケ-ス
業界初の、オゾン層破壊係数ゼロの自然冷媒として二酸化炭素を使用する高効率コンプレッサを搭載して商品化。
1-2-5 業務用融合調理器
世界初の、マイクロ波とIH(SANARI PATENT 注:誘導加熱:電磁調理)で同時に加熱調理することにより、美味、速さ、省エネを実現して商品化。
1-2-6 環境対応業務用洗濯機
石油系溶剤・パ-クロロエチレン溶剤に代えて、環境負荷が小で高安全性のシリコ-ン溶剤を用いるドライクリ-ナを商品化。
1-2-7 電解水によるウイルス抑制技術
鳥インフルエンザウイルスなどに対する抑制効果を検証。
1-2-7 太陽光発電システム
セル・モジュ-ルともに変換効率を向上させた195W HIT(SANARI PATENT 注:Hetero-junction with Intrinsic Thin Layer )太陽電池モジュ-ルと、小型システムに最適な2.7kWパワ-コンディショナ-を商品化。
1-2-8 高効率HIT太陽電池セル
優れた半導体ヘテロ接合の形成により、21.8%の高エネルギ-変換効率を実現。
1-2-9 ソ-ラ-充電器
高効率HIT太陽電池を採用し、エネル-プ充電が可能な充電器を商品化。
1-2-10 二次電池充電式カイロ
自己温度制御機能を有する低温ヒ-タと、マイコンによる高精度温度制御を実現し商品化。
1-2-11 デジタルム-ビ-カメラ
ハイビジョンム-ビ-と710万画素高精細写真の同時撮影が可能な小型軽量商品化。
1-2-12 メモリ-ポ-タブルナビゲ-ションシステム
ワンセグチュ-ナ-内蔵の商品化。
12-2-13 短焦点液晶プロジェクタ
   80インチ画面を103cmの 短投映距離でについて商品化。
12-2-14 無線LAN登載ケ―タイ
外出先での高速Webブラウジング、オフィスでの内線(VoIP)通話を可能とするヂュアルモ-ドCDMAケ―タイの商品化
12-2-15 高出力青紫色半導体レ-ザ
次世代DVDレコ-ダの高速書込みや多層記録を可能とする200mW動作技術の開発
12-2-16 ケ―タイ用小型振動モ-タの商品化
12-2-17 導電性高分子タンタル製電解コンデンサの商品化
12-2-18 イヤホンマイク用ワンチップシステムLSIの商品化

2. SANARI PATENT所見
   次世代イノベ-ションに適合する技術・知的財産、特にその商品化・OEM化(1-1注)の迅速な経営戦略を三洋電機は有するが、技術・知的財産の定額的価値評価法が、内閣知財戦略本部による重要性指摘にもかかわらず、日米欧ともに確立に至らない。算式の提案は、学界も含めて多くなされるが仮設条件を最重要な点で必須とするので、財務諸表掲記能力を得ない。
   従って、定性的価値評価が的確になされることが、最も重要である。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
三洋電機、HIT、電解水、太陽電池、VoIP

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2008年2月20日水曜日

Global Distribution of Obscene Contents

Global Distribution of so-called “Obscene Contents” :わいせつコンテンツに関する最高裁判決と「わいせつコンテンツのグロ-バル流通」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ デジタルコンテンツ(2008-2-5)

1. 今次最高裁判決
1-1 原告・映画配給会社「アップリング」(東京渋谷)浅井 隆社長は、「東京税関成田税関支所長による「輸入禁制品該当」通知は憲法21条違反で無効であること、本件写真集が「風俗を害すべき物品」に当たらない」として、関税定率法21-1-4通知の取消と国家賠償を東京高裁に求めたが認められず(平成14行コ59事件:平成15-3-27判決)、最高裁に上告した。
1-2 最高裁第3小法廷は、平成15行ツ157事件として平成20-2-19判決により、国に対する損害賠償請求を棄却したが、東京税関に対する請求を認め、訴訟費用負担は上記によってそれぞれ負担すべきことを判決した(2008-2-19)。

2. 最高裁裁判官のうち1人だけは「わいせつコンテンツ」と認定
堀籠幸男裁判官は、「わいせつ」とは「徒らに性欲を興奮・刺激せしめ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」であって、本件写真はこれに該当するとした。

3. 上記1人を除き今次最高裁裁判官全員「本件のわいせつ性」を否定
否定の理由(SANARI PATENT要約)を、次のように述べている。
3-1 肉体・裸体という人間の存在の根元にかかわる事象をテ-マとし、写真芸術・現代美術に高い関心を有する者の購読・鑑賞を予定している。
3-2 性器写真は、384ペ-ジのうち19ペ-ジに過ぎない。

4. SANARI PATENT所見
人体は、写真のほか、アニメ・マンガ・絵画など、デジタルコンテンツの内容として、言語障壁なくグロ-バルに流通するが、諸国諸民族の芸術文化・風俗の観念が相違する場合があり、国際流通・対外発信における要留意事項の策定を、平成20年度内閣知財計画の内容として要望する。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)Obscene Contents、最高裁、わいせつコンテンツ、性欲

2008年2月19日火曜日

TOSHIBA Manufacturing Center

TOSHIBA Manufacturing Center :東芝生産技術センタ-の「七つのコアテクノロジ-」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ 特許の質(2008-2-19)

  東芝は本日、「HD DVD事業の終息について」と題して、「今後の事業戦略を総合的に検討した結果、同事業を終息することを決定いたしました」と述べ、「当社商品をご愛用いただいている全世界のユ-ザ-の皆様に対しては、安心してお使いいただくために、商品に関するサポ-トおよびアフタサ-ビスは、今後も継続します」と確約した。
 東芝のブランド価値等には影響なく、同社の発展は、下記七つのコアテクノロジ-によって、これも確約されている。

1. 生産技術戦略の着眼点
1-1 「どこに着眼するか」は、全ての戦略の基本であり、この意味で、総合電機大手・東芝の生産技術センタ-が掲げる「七つのコアテクノロジ-」を、知財関係者として注目すべきである。(以下SANARI PATENT要約)
1-1-1 仕組みを作る
  モノづくりの仕組みを構築する統合生産システムは、次の諸システムを包括するが、さらに新たなシステムが開発され、内包されてゆく。
1-1-1-1 製品の受注・調達・在庫情報をシ-ムレスにつなぎ、生産変動に迅速に対応するシステム
1-1-1-2 工場の生産情報(進捗・品質))をリアルタイムに収集すると共に、インタ-ネットを活用して、世界に展開する工場を遠隔管理するシステム(海外製造拠点の製造実行支援システムなど)
1-1-1-3 量産ラインを早期に立ち上げるため、シミュレ-ションしながら製造ラインの最適設計を行うシステム(仮想設計技術など)
1-1-1-4 生産から販売までを管理するシステム
1-1-2 ミクロを探る
   半導体デバイスや液晶ディスプレイなど電子デバイスの高集積化を実現するための薄膜プロセス技術(プラズマ生成、薄膜塗布)などを開発している。
1-1-3 接合をみつめる
ケ―タイなどのモバイル機器の軽量化、薄化、小型化のため、電子部品を実装する配線基盤の小型・高密度・高信頼性を開発している。
1-1-4 光で制する
1-1-4-1 レ-ザ技術分野では、高効率・高出力の加工用レ-ザ光源、エネルギ-制御、波長変換技術、その溶接・切断、マ-カ、半導体・液晶デバイスのリペアへの応用を開発している。
1-1-4-2 検査技術分野では、画像処理技術による微細パタ-ン検査、品質モニタリング技術を開発している。
1-1-5 部品を極める
高精度レンズ金型の加工、シミュレ-ションによる緩衝ゴム形状の適正化、樹脂成形、公差解析技術などを開発している。
1-1-6 動きを考える
低電力・低騒音のダイレクトドライブモ-タ洗濯機(高磁力希土類マグネットを採用)、磁界解析・構造解析の最適設計などを開発している。
1-1-7 製品を造る
マカトロ技術による超精密組立、超量産の可能化により、高速シ-ル(ケ―タイ用液晶パネル)、リサイクル可能熱可塑性樹脂による半導体パッケ-ジなどを開発している。

2. SANARI PATENT所見
  野村證券・東洋経済の会社四季報(2008・1集)によれば、東芝の営業利益は昨年3月期の2584億円から、今年3月期2900億円、来年3月期3200億円としている。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
東芝、コアテクノロジ、ケ―タイ、ダイレクトドライブモ-タ洗濯機、高磁力希土類マグネット

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Quality of Patent

Quality of Patent:東京大学・渡部 俊也教授意見の「特許の質を高める」ことに関する意見の考察
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATEN
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ North-South Problem of
IP

1. 内閣知財戦略本部・「知的財産による競争力強化専門調査会」
1-1  今月5日の会議において、「オ-プン・イノベ-ションと知的財産を巡る現状等について」と題する資料に基づく検討等を行っているが、同日提出された標記資料の内容は、知財関係者が熟読すべき貴重なものであり、SANARI PATENTが敢えてここに、ご意見の要約を試みつつ、考察する。
1-1-1 要約1
  イノベ-ションに資する知財戦略の要検討項目として先ず、「特許の質を高める」ことを掲げる。
企業や大学の特許の質を高める努力を行う必要がある。特許の活用を技術情報の漏洩リスクとのバランスを厳密に評価しながら出願することが求められているが、その特許の技術的価値が高いにもかかわらず、法的な質が低く、結局特許が認められなかったり、特許になっても無効になってしまうという事態を極力避けなければならない。その点、現在企業あるいは大学から出願されている特許の質はバラツキが大きく、向上する必要がある。
 考察1
「特許の質」の意味は、「進歩性(米国特許法の用語では非自明性)が低度か高度かによってその程度が判断されるという意味における特許の質」、「特許の法的有効性に関して、明細書等の記述における訴訟力具備の強弱によってその程度が判断されるという意味における特許の質」、および、「特許が休眠して、イノベ-ションに寄与しないと看做される経済的致命度によってその程度が判断されるという意味における特許の質」に、3大別される。
  
  イノベ-ションは、「技術進歩の累積」または「技術革新の跳躍」によって実現するが、前者の「累積」が高速である場合を含めて、両者共にイノベ-ションに寄与することの可能性自体は否定できない。そこで、累積と跳躍の中間に位置する「低度の進歩性」「中度の進歩性」「高度の進歩性」に、全て特許性を認めるべきか否かが、特許政策の課題になる。
  中度ないし高度の進歩性にのみ特許性を認めるべきであるという意見は、わが国で現に、プログラム特許について論じられているし、米国では、低度の進歩性(米国の「非自明性」)に特許性を認めることが、パテントトロ-ルやパテント促進業者の弊害面を誘発している、と論じられ、先般のKSR米国最高裁判決も、実質的に米国特許商標庁審査官の拒絶査定を裁量的に緩和したと、SANARI PATENTは解する。

  上記の点は、「プロパテント」との関係で検討を尽くす必要がある。最近、特許庁の資料に「プロパテントの強化」という見出しがあったが、特許庁の「イノベ-ションと知財政策に関する研究会」(2008-1-23)においては、米国のアンチパテント時代の事項として、「天才のひらめきを要求する米国最高裁判決、非自明性判断の4基準明示(同)、有用性の証明なき化合物の製造法特許否認(同)、数学的アルゴリズムの特許性否認(同)」が例示され、プロパテント時代の事項として、「人工微生物に特許性認容(同)、ソフトウェア関連発明に特許性認容(同)、ビジネス方法に特許性認容(同)」が例示され、プロパテント政策適正化方向の事例として、「均等論適用の厳格化(同)、侵害差止判断の厳格化(同)、KSR(上記)」が例示されているから、プロ・アンチ・適正化との関連において、「特許の質」を先ず検討すべきであるとSANARI PATENTは考える。
(以下、
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-19 特許の法的安定性
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Quality of Patent、KSR、米国特許商標庁、特許庁、渡部俊也、パテント

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2008年2月18日月曜日

DIAMNOND online Reports PANASONIC Liquid Crystal

DIAMNOND online Reports PANASONIC Liquid Crystal Strategy :パナソニックの液晶傾斜戦略転換と各社液晶研究開発の活況
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連 http://www.doblog.com/weblog/myblog/82816 Blue Ray vs. HD-DVD
(2008-2-17)

1. 電機各社戦略の転換
1-1 昨年末、パナソニック・日立製作所・キャノンの3社が液晶分野の連合を発表し、その後の動きが注目されたが、今朝のDIAMOND Onlineは、「プラズマから液晶へ! パナソニックが液晶傾斜に戦略転換」と報じた。内容を見ると、(SANARI PATENT要約)
1-1-1 「第8世代の量産」に照準を合わせたこの計画には、パナソニックがプラズマテレビ偏重を転換し、液晶への傾斜を加速させる戦略が現れている。
1-1-2 パナソニックは、液晶パネル新工場の立地を姫路の 出光興産製油所跡地と決定した。液晶パネルのマザ-ガラスの基盤サイズは「第8世代」、すなわち、タタミ3畳分に相当する(2.2*2.4m)。40型台のパネルを効率的に切り出し、42型テレビ向けを主力とする。
1-1-3 姫路の最大生産能力は32型換算で月産150万台であり、茂原の50万台を加えると、4倍になる。

2. グロ-バルテレビ市場とパナソニックの戦略
  今朝のDIAMOND Onlineは次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-1  北米市場の薄型テレビ世界数量シェアは、首位サムスン、2位ソニ-で、上位を液晶陣営が独占し、プラズマ陣営のパナソニックは第8位である。
2-2  液晶パネルについて見ると、テレビ向け液晶パネルの世界シェアは、サムスン、LGフィリップスなどの5強で9割を占め、パナソニックが出資するIPSaは3.3%である。
2-3  パナソニックは、中期経営計画で37型以上の大画面テレビ市場の世界シェアを25%獲得するとしており、プラズマと液晶を合わせた戦略で臨むと見られる。

3. SANARI PATENT所見
  液晶テレビ関係の開発は活発で、今年初来の特許公開事例を見ると、
3-1 シャ-プ「液晶テレビ」(特許公開日2008-2-7)
ヘッドフォンを装着して、それぞれの画面を見ている視聴者同士が違和感なく会話を開始することができる液晶テレビを提供する。
3-2 三星電子「液晶モジュ-ル、液晶モジュ-ルの駆動方法および液晶表示装置」(特許公開日2008-1-17)
次フィ-ルドになるまで、画素電極の電位を保持し、目的の表示を保持することができる液晶モジュ-ルを提供する。
3-3 セイコ-エプソン「電気光学装置の製造方法および製造装置」(特許公開日2008-2-4)
液晶パネルにフレキシブル基盤を熱圧着させた後、液晶が十分に冷却していない状態であっても、搬送ヘッドを用いて液晶パネルをステ-ジ上から除材する際に、搬送ヘッドとの温度差により液晶が急冷されることなく、液晶の配列の変化を自然放熱により取り戻すことができるようにする。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Liquid Crystal、パナソニック、日立製作所、キャノン、液晶、シャ-プ

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2008年2月17日日曜日

Comment on IPTV Innovation – Standardization Policy

Comment on IPTV Innovation – Standardization Policy:IPTV電話総務省案についてSANARI PATENTの意見を同省に提出
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://www.doblog.com/weblog/myblog/82816 フィルム型太陽電池 2008-2-16

IPネットワ-クに関する標記の総務省案は、多様な技術開発と標準化関係の課題を含むので、下記のように総務省に意見を送信した。
丁度、テレビ東京「ガイアの夜明け」(2008-2-15)が北海道の遠隔医療でIPTVの機能発揮ぶりを放映したが、その解像度がグロ-バルに多分野に機能すれば、まさにガイア(地球)の新たな夜明けである。
  記
平成20年2月16日
総務省総合的通信基盤局 御中
        弁理士 佐成 重範

 IPネットワ-ク設備委員会報告(案)(20年1月)についての意見
(意見要旨)
  貴案「2.2.3 IPテレビ電話の品質」には、「将来に向けては、映像メディアの品質を定量的に評価するための品質尺度および評価法に関するITU-T等の標準化の進捗状況や当該サ-ビスの普及状況に応じて、必要な課題を明確化しながら検討を行うことが望ましい」と述べられましたが、IP テレビ電話サ-ビスは、遠隔医療診断、国際会議、特許権訴訟事件裁判、科学技術教育などに実用化が急速に進み、関連発明の特許公開も相次いでおりますから、「必要な課題に即応して迅速に検討し、ITU-Tの標準化を促進することが必要である。」とされたく、要望申しあげます。
(理由)
1. IP テレビ電話は、Internet Protocol によって、PC Internet-TV、Cell Phone-TVを融合する機能を有し、貴案「第3章 コンテンツ配信サ-ビス」において掲げられた各配信モデルの全てに、その技術が活用されると考えられます。従って、そのITU-T標準化は、国際電気通信連合の勧告を、ITUパテントポリシ-の弾力的運用および「いわゆるファミリ-コンセプト」の弾力的受容によって早期に達成されるよう、ITUのわが国主務省として総務省の牽引を要望申しあげます。
2. IP テレビ電話サ-ビスに関する最近の特許公開事例も、下記付記のように活発であり、上記国際標準に立脚する独自の創造(差別化)によって、わが国IP テレビ電話サ-ビスの製品・技術・サ-ビスが、知的財産権を基盤とする国際優位を確立することを、貴案の表現に含意されたいと存じます。
       付記(今年初計画のIP テレビ電話サ-ビス関係特許公開例)
2-1 テレビ電話装置およびプログラム(株式会社カシオ日立モバイルコミュケ-ション)(特許公開日2008-2-7)
2-2 通信サ-ビス選択システムおよび携帯端末(日本電気株式会社)(特許公開日2008-1-31)
2-3 テレビ電話システム(沖電気工業株式会社)(特許公開日2008-1-31)
2-4 音声・映像通信制御装置・放送受信端末(株式会社東芝)(特許公開日2008-1-17)
「IPネットワ-クを利用したテレビ電話サ-ビスのユ-ザ-の操作およ  び利便性を向上する制御装置を提供する。」
2-5 テレビ電話着信方法およびプログラム(キャノン株式会社)(特許公開日2008-1-10)  
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
IP テレビ電話、IPTV、沖電気、日本電気、東芝、キャノン

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2008年2月16日土曜日

Contents Distribution Service by IP Network

Contents Distribution Service by IP Network:総務省コンテンツ総合方策2008における「コンテンツ配信サ-ビス」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PAT 
(別サイト http://www.doblog.com/weblog/myblog/82816 Cash Machine)
(別サイト http://blogs-yahoo.co.jp/patenttrend パナソニック斉藤憲団長ら訪インド知財代表団18日出発・経済産業省2008-2-15発表

  総務省は、「InternetのIP化が進展した環境において、映像や音楽、音声、デ―タ等のコンテンツを多数の利用者に配信する「コンテンツ配信サ-ビス」を対象として、基本的な技術課題の抽出と課題解決のための技術的条件・標準化等の方向性について検討した」として次のように述べている(経緯は前掲)。
(SANARI PATENT要約)

1. 基本的モデル
1-1 コンテンツ配信サ-ビスは、「Contents Holder、Contents配信Server、および、利用者端末をNetworkで結んだモデル」である。
1-2 このモデルは、次の2つに大別できる。
1-2-1 配信するContentsを集める区間での通信利用
1-2-2 集めたContentsをEnd Userに配信する区間での通信利用
1-3 Contents配信Serverから利用者端末の区間の通信については、一般の利用者に係る通信であり、Contents配信サ-ビスの共通の技術的課題の抽出、技術的条件の設定の必要性について検討する。
この区間では、Contents配信Serverあるいは配信装置から、多数のEnd UserにContentsを配信するため、多様な形態でNetworkを利用する。
1-4   Contentsの輸送形態は、次のように2分できる。
1-3-1 ファイル型転送: 所定サイズのデ―タファイルの転送
1-3-2 ストリ-ミング型転送: 必ずしも有限とは限らないデ―タを継続的に配信し続ける転送
1-4  Contentsの通信形態は、次のように2分できる。
1-4-1 ユニキャスト型: 配信Serverと個々のUserの1対1の通信
1-4-2 マルチキャスト型: 配信Serverから多数のUserへの1対多の通信
1-5  End Userへの配信方法は、先ず、次のように2分できる。
1-5-1 オンデマンド型: 個々のEnd Userからの要望に応じて個別にContentsを配信する。
1-5-2 常時配信型: 常時Contentsを配信し続ける。
1-6 上記はまた利用の観点から、次のように3分できる。
1-6-1 デ―タ転送: ファイル型ユニキャスト型、ファイル型マルチキャスト型
1-6-2 ユニキャストストリ-ム:  ストリ-ミング型ユニキャスト型
1-6-3 マルチキャストストリ-ム:  ストリ-ミング型マルチキャスト型

2.SANARI PATENT所見
  検討の手法として先ず配信の類型を示されたことが実用的であり、特にzl1-6の3分類は、これらを組合せて利用することにより、実際のサ-ビスの多くが実現できると考えられるので、知財専門家等によって汎用することが望ましい。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
IP Network、デ―タ転送、ファイル型、ユニキャスト型、マルチキャスト型

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2008年2月15日金曜日

Quality of IP TV Phone Service

Quality of IP TV Phone Service :IP テレビ電話サ-ビスの品質に関する国際標準化、研究開発競争
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 知財目的M&Aへの対処(2008-2-14)

次世代Networkで最も注目されるIP テレビ電話サ-ビスについて、総務省資料の考察を進める。資料の性格については、このサイトの2008-2-13ご参照。

1. IP テレビ電話サ-ビスの品質(SANARI PATENT要約)
1-1 端末の多様化やMulti Mediaサ-ビスの提供が進む環境のもとで、動画像が付加されたIP 電話サ-ビス(これを「IP テレビ電話サ-ビス」という)について、利用者がサ-ビスを選択するために、その品質を客観的に示す端末が必要である。
1-2 現状は、ITU-Tにおいて、IP テレビ電話サ-ビスの総合品質評価モデルについて国際標準化勧告(G.1070)がなされ、引続いてパラメ-タ等の算出方法の検討が進んでいる。IP テレビ電話サ-ビスはこれから本格化するもで、現時点においては、電気通信番号を使用する場合はその使用する番号に課せられた品質に関する技術基準を適用すること、すなわち、現在の技術基準に従うことが適当である。
1-3 将来に向けては、映像Mediaの品質を定量的に評価するための品質尺度および評価法に関するTTU-T等の標準化の進捗状況や当該サ-ビスの普及状況に応じて、必要な課題を明確化しながら検討を行うことが望ましい。
1-4 なお、ITU-T国際標準化勧告(G.1070)の概念はおおむね次の通りである。
1-4-1 モデルに入力する「音声品質パラメ-タ」→ 符号化方式・符号化ビットレ-ト、パケット損失率、遅延時間、音量・エコ-量
1-4-2 モデルに入力する「映像品質パラメ-タ」→ 符号化方式・符号化ビットレ-ト、パケット損失率、遅延時間、画像解像度、画面サイズ
1-4-3 音声品質モデル、映像品質モデル、Multi Media品質統合モデルによって、総合品質推定値を得る。

2. SANARI PATENT所見
2-1 米国Advanced Video Communications Inc.と、日本の株式会社E-Times Technologiesが提携して、「最大4人までテレビ電話が利用可能」などの無料提供新システムをWeb PRしている。SANARI PATENTの推定では、広告収入による類似新ビジネスが続出すると考える。例えば、アカデミ-・ジャパン株式会社(大阪)は、IP テレビ電話サ-ビスの主な特徴として、「国内・国際、共に料金無料」「国内多地点同時TV会議可能」「異なるProvider間の接続可能」などを謳い、「在宅勤務接続にも最適」としている(SANARI PATENT 注:特許審査官の在宅勤務は米国特許商標庁が計画し、韓国でも実施している)。
2-2 Wikipediaは、次のようにIP テレビ電話サ-ビスを解説している。(SANARI PATENT要約)
「IP テレビ電話は、ビデオ信号をInternet Protocol Networkで伝送するが、Broad Band回線に接続するIP電話機の形態を採るものが多く、15~30 Frame/s程度を送受信できるものが多い。特に光ファイバをアクセス回線とする場合、動画の円滑性はほとんど問題ないレベルに到達している。」
2-3 知財事件裁判の管轄集約に際して、地方ではテレビ会議システムを使用できる旨の国会答弁がなされたが、IP テレビ電話サ-ビスの機能範囲は広汎と考えられる。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Multi Media、IP テレビ電話、 IP TV Phone、ITU-T、国際標準化

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2008年2月14日木曜日

Countermeasures Coping With Disguised Dispatcher

Countermeasures Coping With Disguised Dispatcher :050-IP電話における発信者番号偽装対策
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 2008-2-12 総務省予算

 「おれおれ」電話詐欺対抗で、発信者番号表示サ-ビスが普及し、更に、発信者番号表示拒否の発信を「留守応答」で拒否するサ-ビスも普及したが、発信者番号偽装の仕組みで「おれおれ」電話詐欺とその亜系が盛行し始めた。
 050-IP電話について、総務省の対策案を見る。なお、このサイトの2008-2-13をご参照。

1. 発信者番号偽装対策(SANARI PATENT要約)
1-1 発信者の電気通信番号の正当性担保の社会的重要性が高まっていることから、0AB~J-IPについて本年4月1日施行の新措置が定められた。050-IP電話においても、端末からの発信者番号の正当性を検証し、正当でない発信者番号が検出された場合には、発信者番号を無効にする等の措置が適当である。
1-2 また、050-IP電話以外の、ケ―タイやPHSの電気通信番号を用いる電気通信回線設備においても、電気通信番号の正当性担保の社会的重要性は変わらないことから、同様の措置を講ずることが適当である。(SANARI PATENT 注:とにかく早急に実施すべきであるが、パブコメ・審議会などに先立つ「経過措置」が望まれる)。

2. 品質確保(同上)
2-1 このたび050-IP電話のNetwork品質についての検討に着手するに当たり、想定する端末について考察したところ、050-IP電話では、既に多様な接続形態で提供されており、今後さらに多様化が想定される。従って、Network品質の検討のみでは実態に即しないおそれがあることを認識した。
2-2 050-IP電話については、End-Endの総合品質が技術基準として規程され、現在まで普及していることを考えると、今後もEnd-Endの総合品質確保が重要である。
2-3 上記2-1および2-2に基づき、以下の検討を行う。
2-3-1 標準的な端末以外については、先ず、接続形態や品質確保の取組を現状把握し、業界標準や端末区間品質表示等の、何らかの品質確保やユ-ザ-保護の方策がないか、それぞれの利害得失などを含めて検討する。
2-3-2 品質が確保できない可能性がある場合のユ-ザ-保護の方策としてト-キ案内等が考えられ、一定の効果は期待できるが、本来望むべき品質確保の努力を行わなくなり、End-Endの総合品質が実態として劣化するおそれもある。従って、UNIで接続されInternet電話へ転送される場合等は、UNIの条件は何か等を明確化する必要がある。

3. 高品質・広帯域IP電話サ-ビスの品質
3-1 端末の多様化やMultimedia サ-ビスの提供が想定され、高品質・広帯域IP電話サ-ビスについて、利用者のサ-ビス選択のため、品質を客観的に示す技術的条件を検討した。
3-2 ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)で標準化が進められており、サ-ビスもこれから本格化するから、現時点においては、その使用する電気通信番号に課せられた品質に関する技術基準に従い、将来に向けては、高品質・広帯域IP電話を対象とするITU-T等の標準化の進捗状況や当該サ-ビスの普及状況に応じて、必要な課題を明確化しながら検討することが望ましい。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
ITU-T、050-IP電話、広帯域IP電話、電話詐欺、偽装電話番号

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2008年2月13日水曜日

Public Comments for IP TV Phone

Public Comments for IP TV Phone :「IP電話」電気通信審議会今次報告書に対する意見(期限2008-2-29)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://blog.goo.ne.jp/sanarishigenori/ 2008-2-12 総務省予算2008

1. 標記報告書の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 疎通確保
1-1-1 輻輳および不正アクセス時の規制・緊急遮断
050-IP電話は現在広く利用され、また、災害発生時や電話予約による通信集中が発生するから、現行の事業用電気通信設備規則の「事業用電気通信回線設備防護措置」の技術基準を踏襲する。緊急遮断については、テレコムサ-ビス協会と日本ケ-ブルテレビ連盟の「電気通信事業者における大量通信対処と通信秘密ガイドライン」(2007-5-30)を参考にすると共に、発信者側への対応については、社会的動向を見ながら検討する。
1-1-2 輻輳の発生・波及抑止のための端末機能
050-IP電話に輻輳が発生し波及することは、最悪の場合にはNetwork全体としての通信疎通に影響するから、OAB-J-IP電話端末に準じて防止機能を具備することが適当である。
 なおこれらの機能については、標準化を図る等しながら、端末への機能実装の普及を促進することが適当である。今後、端末の接続形態の多様性化により、機能の実現について新たな課題が生じる場合は、個別の検討を行うことが望ましい。
1-1-3 緊急通報・重要通信
  NetworkにおけるIP化の進展に伴って、050-IP電話の社会インフラとしての役割は0AB~J-IPと何ら変わるものでないから、重要通信の確保については、現行制度を踏襲すると共に、相互接続された網での信号は、0AB~J-IP電話の整理により標準化された手順(社団法人電気通信技術委員会:TTC標準JT-Q3401)で行うことが適当である。
1-1-2 停電・災害時の疎通
重要通信以外の通信についても、可能な限り通信の疎通確保が求められ、端末への電源供給については、現行、アナログ電話のみが事業用電気通信設備規則に「電源供給」として技術基準に、事業用電気通信回線設備は条件に適合する端末設備等を接合する点において通信用電源を供給しなければならないと定めている。ISDNやその他の電気通信サ-ビスに関してこれに相当する規程がないが、今後、社会的な動向や必要性が高まった段階で検討することが望ましいとしてきた。050-IP電話に関しては、端末における電源供給の実装の状況を注視しつつ、また、今後Home Networkの進展等、端末の接続形態の多様化が想定されるので、今後の社会的な動向や必要性が高まった段階で検討する端末が適当である。(以下次回)

2. SANARI PATENT所見
 「標準化の必要性」と「多様化の進展」が同時進行する分野であり、電気通信審議会および通信業界の間断ない「動向・必要性注視」が継続すると共に、国際競争力強化のため、特許開発の促進が緊要である。 
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
テレコムサ-ビス協会、日本ケ-ブルテレビ連盟、不正アクセス、050-IP電話

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2008年2月12日火曜日

IP Network Policy by Ministry of Internal Affairs

IP Network Policy by Ministry of Internal Affairs and Communications :総務省が「IPネットワ-ク設備委員会報告」に対する意見公募(2008-2-29まで)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2008-2-11 Multi -Use of Contents

1. 意見公募の背景(SANARI PATENT要約)
1-1 わが国では、技術革新や競争政策の推進により、世界最速・最安のBroad Bandが実現し、Internet上で提供されるIP電話等の新しいサ-ビスが急速に普及・拡大している。
1-2 このような状況のもとで、わが国の主要な電気通信事業者はAnalogue電話NetworkのIP化を計画し、海外でも英・独・韓国などで政府・事業者がIP計画を公表している。
1-3 さらにITU-Tにおいては、次世代IP Networkの国際標準化を最重要課題としている。

2. 検討の対象範囲
平成22年頃までに、わが国において次世代IP Networkの本格的稼動が想定される。情報通信審議会は、平成19年諮問対象について、IP電話に関する品質・機能、安全性・信頼性、相互接続性、運用性の視点から、内外の標準化等の動向を踏まえ、以下の点を検討した。
2-1 0AB-J番号使用電話の基本的事項以外のIP電話に関する検討
2-1-1 050番号使用IP電話サ-ビスに最低限必要とされる品質レベル等
2-1-2 IP電話における広帯域音声符号化方式の高品質サ-ビスに関し、その品質レベルおよびNetwork端末間のInterface条件
2-1-3 動画付加テレビ電話等、IP電話に付加が想定される様々なApplicationの品質
2-14 新機能の具体的技術方式の実現に対する端末設備試験方法等の具現化
2-2 新たなサ-ビスについて
2-2-1 コンテンツ配信サ-ビスのNetwork Modelの具現化と共に、品質・機
能・信頼性・相互運用性・安全性の確保、輻輳対応の在り方
2-2-2 固定・移動seamless サ-ビスにおける、アクセス手段の変化に最適な通信品質確保の在り方
2-2-3 Home Networkなど、多様な機能を有する端末網の発展に対応する品質基準、相互接続、Networkと端末の機能分担・連携の在り方 (SANARI PATENT 考察:ここに「機能分担・連携」は、同時に設置・運転に関するユ-ザ-に対する供給者責任の「機能分担・連携」として重要である。これが不明確であると、Home Networkは円滑に機能せず、ユ-ザ-は多大の迷惑を蒙る)。
2-2 050番号を用いるIP電話等
2-2-1 050-IP電話は、電気通信回線設備を設置していない電気通信事業者においても提供可能なサ-ビスであるが、電気通信回線設備所有の有無によって規制の形態が異なってくる。しかし、050-IP電話は既に社会に広く浸透しているサ-ビスであり、今後の次世代IP Networkにおいても、その有用性に変化はなく、さらにユ-ザ-の視点から考えれば、IP電話サ-ビスに対して求めるものは電気通信回線設備設置の有無に関係なく、050-IP電話として具備すべき技術的条件であるから、これを検討課題とする(SANARI PATENT 注:極めて当然のことである)。
2-2-2 具体的検討項目
2-2-2-1 疎通確保
2-2-2-1-1 輻輳・不正アクセス時の規制・緊急遮断
2-2-2-1-2 輻輳の発生・波及を阻止する端末の機能
2-2-2-1-3 緊急通報、重要通信の取扱い
2-2-2-1-4 停電・災害時の疎通対策
2-2-2-1-5 実装基本コ-デック
2-2-2-1-6 発信者番号偽装対策(SANARI PATENT 注:「オレオレ」を始め、消費者の利用が拡大している仕組みを破る偽装で、緊急に検討・成案を要する)。
2-2-2-2 品質の確保
2-2-2-2-1 050-IP電話サ-ビスの品質
2-2-2-2-2 高品質・広帯域IP電話サ-ビスの品質
2-2-2-2-3 IPテレビ電話サ-ビスの品質
2-2-2-2-4 FAX通信サ-ビスの品質
2-2-2-2-5 050-IP電話サ-ビスにおけるNetworkでの品質測定法
2-2-2-2-6 端末側での品質測定・表示
2-2-2-3 その他
2-2-2-3-1 端末・網間、相互接続網間の承継情報
2-2-2-3-2 アクセス手段、サ-ビス事業者の選択
2-2-2-3-3 機能の有無の確認方法
(審議結果は次回に考察)
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
050-IP電話、050-IPテレビ電話、IP Network、総務省、電気通信審議会

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2008年2月11日月曜日

Open Innovation by IP

Open Innovation by IP:内閣知財戦略本部・知的財産による競争力強化専門調査会「オ-プンイノベ-ションと知的財産を巡る現状等(2008-2-5)」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

  標記資料(以下「内閣知財本部Innovation-IP資料(08-2)」は、平成20年度内閣知財計画の策定の核心となるので、次回以降、その各項目を別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ において考察する。

1. 内閣知財本部Innovation-IP資料(08-2)の内容(SANARI PATENT補足)
1-1 Closed Innovation と Open Innovation
1-1-1 Closed Innovationは、研究開発から製品化までを垂直統合の形で全てを自社内で完結させるモデルである。すなわち、自社で技術を「囲い込み」、それに基づいて技術革新を達成するモデルである。
1-1-2 Open Innovationは、外部の知識・技術を活用しつつ研究開発や事業化を行うモデルである。すなわち、一定の技術・情報を幅広く共有し、その成果に基づいて更にInnovationをもたらすモデルである。
1-1-3 技術革新が急速な環境下でInnovationの競争に臨むためには、Open Innovationモデルによるアイディア導入・技術移転が必要である。
1-1-4 Open Innovationモデルが成立するために、知財の効率的管理、アイディア仲介市場の運営が必要である。情報技術がこれを可能にする。

2. 技術移転の類型
2-1 独占的技術移転
2-1-1 M&A
2-1-2 権利譲渡
2-1-3 独占的ライセンス
2-2 非独占的技術移転
2-2-1 選択的ライセンス → クロスライセンス
2-2-2 非差別的ライセンス → パテントプール
2-2-3 コモンズ・Open Source Software → 権利放棄・無償非差別的ライセンス
(SANARI PATENT 考察:パテントプールは、複数企業による包括クロスライセンス契約と実質的に同一であり、プ-ルのために別組織を設けるか否かの相違と解する)。

3. Innovation環境の変化
3-1 グロ-バル経済化によると解する競争の激化
3-2 製品ライフサイクルの短縮
3-3 研究開発コストの上昇
3-4 有用な知識・技術の分散・拡散
3-5 情報化進展による有用な知識・技術の利用可能性の増大

4. 上記3に対する企業の対応
4-1 社内資源の「選択と集中」
4-2 外部資源の活用
4-3 協業によるInnovationの効率化
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Innovation、Closed Innovation、Open Innovation、パテントプール

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IP Policy by the Ministry of Agriculture

IP Policy by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries 内閣知財戦略本部(2007-12-13)における農林水産省説明の考察
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2008-1-26農林水産革新技術10大トッピック

  平成20年度内閣知財計画策定のため農林水産省が示した「農林水産分野における知的財産施策の進捗状況」は、知財専門家にとっては、率直に申しあげて物足らない。この説明が、グロ-バルなエネルギ-および食料需給の変動に対処するバイオ資源の開発や遺伝子組換え技術の活用、さらに、養殖・農産の都市圏内大規模工業化など、世界規模・全国規模の課題に高い比重が置かれていないからである。
 一方、着実な成果を踏まえて記述された報告として評価される。

 後記4に、農林水産省の別途「環境バイオマス政策」を、SANARI PATENTが要約したが、内閣知財戦略本部の議題としては、後記3までと、この4を共に平成20年度内閣知財計画の策定に提示されることが望ましい。

1. 農林水産省知的財産本部が「農林水産省知的財産戦略」を策定(2007-3)
1-1  知財の創造・発掘・活用の促進 → 研究開発、農山漁村、海外の各分野で知財の創造・活用
1-2  知的財産の保護 → 国内外での侵害への対応
1-3  知財の普及・人材育成 → 農林水産分野の知的ストックを知的財産として認識(意識改革)

2. 最近の主な施策
2-1 「食と農林水産業の地域ブランド協議会」を設立 → 情報・ノウハウの交換、支援希望者と支援者のマッチング → 地域ブランド化
2-2 「東アジア植物品種フォ-ラム」を合意(2007-11) → 制度の国際調和
2-3 知財分野での経済産業省との連携 → 両省連絡会議を設置(2007-10)

3. 目標
3-1 農林水産、食品産業の競争力強化
3-2 農山漁村の活性化

4. 農林水産省の環境バイオマス政策
4-1 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大
4-2 農林水産省地球温暖化対策総合戦略
4-3 農林水産省生物多様性戦略
4-4 地球環境対策
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Agriculture、農林水産省、バイオマス、農山漁村

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Under Maintenanse

ただ今、システム事故のためこのサイトの掲載を中止します。
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ をご利用下さい。

2008年2月10日日曜日

US Department of Commerce Shares a Letter

US Department of Commerce Shares a Letter with the Members of the Senate(2008-2-4) :Right of the Inventor to Obtain Damage 関連意見を特許庁に提出
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-10 米国商務省レタ-要旨

 標記についてSANARI PATENTは、イノベ-ションと知財政策に関連する下記意見を特許庁に提出した。
    記
平成20年2月9日
特許庁「イノベ-ションと知財政策に関する研究会の検討課題」に対する意見
(意見)
 「Ⅱ 透明性と予見性の高いメカニズムの構築」の課題「特許制度・運用見直しの在り方」に、「国際調和」と題して、次の記述を付加されるよう要望申しあげます。
 「透明性・予見性・法的安定性は、日米欧とも、特許の質の高度化および特許訴訟の適正化と相俟って、その実現を期するところであるが、米国下院と米国行政府の見解が重要な項目で相違していることなどが顕在化している状勢にもかんがみ、これら目標の具体的国際調和に特に留意することが必要ではないか。
{理由}
1.米国下院特許法改正法案が、下院可決を経て上院に送られたが、米国商務省は、「全分野イノベ-ションの最適バランスを実現する特許革新(balanced
Patent modernization legislation) を強く支持するが、米国下院特許法改正法案中の特許権侵害関係改正案の内容に対しては強く反対する」旨のレタ-を上院全議員に配布した(2008-2-4)。
1-1 商務省レタ-および公表文の内容
1-1-1 公表文(2008-2-5 05;42更新)
1-1-2 ブッシュ政権(the Bush Administration)は、2007年・特許法改正案に対する意見を、上院議員全員に配布した。その要旨は、
1-1-2-1 特許権侵害に関する下院改正案に強く反対する(strongly oppose)。
1-1-2-2 バランス均衡の適切な特許制度革新(balanced patent modernization)の特許法改正案を強く支持する(strongly support)。
1-1-2-3 米国下院特許法改正法案の「特許侵害」関係改正案は、全インベンタ 
間の適正な均衡(the right balance for all inventors)に適合しないと判断するので、これに反対する。インベンタが権利侵害に対して損害賠償等を訴求する権利を制限しようとする米国下院特許法改正法案の改正条文が変更されない限り、米国行政府はこの改正法案に反対する。
1-1-2-4 特許法のいかなる改正も、十分にバランスを考え、全てのインベンタと新しいビジネスモデルの実現を促進(courage)するものでなければならない。
1-1-2-5 米国行政府は、特許の質を向上(improve)し、特許訴訟費用を軽減する特許法改正を強く支持するが、米国下院特許法改正法案の特許侵害関係条項改正案は、この法案による多くの有益な改正の効果を抹殺して弊害の方が大きい(the resulting harm to the U.S. Intellectual Pro-
perty system would outweigh the bill’s many useful reform)。
2. 商務省今次レタ-の内容
2-1 米国の知的財産(IP)システムは世界最優秀な制度であって、そのIP評価総額は500兆円を超えるとも見られている。従って、IPシステムの改善を意図するいかなる改正案も、注意と思慮深く行われなければならない。
2-2 特許の質を向上し、産業と技術の全分野にわたって、インベンタの利益を公正に均衡させるよう特許法を改正することは、過剰な特許訴訟のコストを軽減し、特許権者とそのユ-ザ間の法的安定化を促進するものとして、米国行政府はその成立を強く支持する。
2-3 米国下院特許法改正法案の「特許侵害に対する特許権者の損害賠償等請求」条文改正案を実質的に変更しない限り、当該改正は、他の有用な改正条項の利益全てを覆す結果をもたらすものとして、行政府はこれに全面的に反対する。現行米国特許法の損害賠償等請求関係条文に著しい改正を加えることの正当性を納得させる確たる根拠はないと、行政府は信じている。
2-4 行政府としてはむしろ、特許訴訟提起要件の明確性を加重する方向性をもって改正の選択肢を考究している。米国下院特許法改正法案は、特許権者に対する損害賠償額を裁判所が決定する裁量権を局限し、イノベ-ションに対する報償の減少と特許侵害の助長をもたらす。
2-5 イノベ-ションを全産業分野にわたって促進するためには、各事件のビジネスモデルと技術に即して、適切な経済原則適用による裁量を、裁判官に与えることによって可能である。特定のビジネスモデルあるいは特定の技術分野のイノベ-ションが、他の分野のイノベ-ションを犠牲にすることによって得られてはならないと、行政府は考える。
2-6 米国商務省のこのレタ-は、次のように結論している。
2-6-1 特許発明のライフサイクルの全局面を通じて、その高い質を確保することが、「特許権の尊重」と「過剰訴訟の減少」のため必須である。知的財産権の強固なシステムは、予測可能性、透明性、適時性(迅速性)、公正性を基盤として始めて成立する。
2-6-2損害賠償額評価の弾力性は、事案の特性に対応できる。「全て一律」のアプロ-チは誰も喜ばない。
3. JPOの「イノベ-ションと知財政策に関する研究会・検討資料」(2008-1-13)には、透明性・予見性と共に、「法的安定性」が求められ、米国商務省の今次レタ-と文言の軌を一にするが、司法の羈束性と裁量性の特質など、米国内部で見解や利害を異にしているのであるから、制度と運用の国際調和の見地からも、上記資料の当該項目に特許庁の所見が更に詳示されることが望ましい。

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2008年2月9日土曜日

Bush Administration shares Patent Policy Views With

Bush Administration shares Patent Policy Views With Members of the Senate : 米国特許法改正法案について米国商務省から上院に意見書(2008-2-4)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

  米国下院特許法改正法案が、下院可決を経て上院に送られたが、米国商務省は、「全分野イノベ-ションの最適バランスを実現する特許革新(balanced
Patent modernization legislation) を強く支持するが、米国下院特許法改正法案中の特許権侵害関係改正案の内容に対しては強く反対する」旨のレタ-を上院全議員に配布した(2008-2-4)。

1.商務省レタ-および公表文の内容(SANARI PATENT意訳/要約)
1-1 公表文(2008-2-5 05;42更新)
1-1-1 ブッシュ政権(the Bush Administration)は、2007年・特許法改正案に対する意見を、上院議員全員に配布した。その要旨は、
1-1-1-1 特許権侵害に関する下院改正案に強く反対する(strongly oppose)。
1-1-1-2 バランス均衡の適切な特許制度革新(balanced patent modernization)の特許法改正案を強く支持する(strongly support)。
1-1-1-3 米国下院特許法改正法案の「特許侵害」関係改正案は、全イノベ-タ 
間の適正な均衡(the right balance for all innovators)に適合しないと判断するので、これに反対する。イノベ-タが権利侵害に対して損害賠償等を訴求する権利を制限しようとする米国下院特許法改正法案の改正条文が変更されない限り、米国行政府はこの改正法案に反対する。
1-1-1-4 特許法のいかなる改正も、十分にバランスを考え、全てのイノベ-タと新しいビジネスモデルの実現を促進(courage)するものでなければならない。
1-1-1-5 米国行政府は、特許の質を向上(improve)し、特許訴訟費用を軽減する特許法改正を強く支持するが、米国下院特許法改正法案の特許侵害関係条項改正案は、この法案による多くの有益な改正の効果を抹殺して弊害の方が大きい(the resulting harm to the U.S. Intellectual Pro-
Perty system would outweigh the bill’s many useful reforms)。
1-2 レタ-の要約は、
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-10に掲載

2.SANARI PATENT所見
2-1 上記1-1-1-4の「すべてのイノベ-タ」(all innovator)は、米国の個人発明家集団や情報通信大手などを意識した「全て」(米国下院特許法改正法案について賛否対立が顕在的な諸グル-プ)といったん訳するが、公表文の結語に「米国議会と行政府は、経済の全ての分野にわたるイノベ-ションを促進する特許制度改正のため、協働するしてが可能であり、かつ協働すべきである」と述べており、平成20年度内閣知財計画の策定における業種分野的な見地を含む広汎な「全て」であると解すべきである。
2-2 特許制度の在り方の核心が、「イノベ-ション」「バランス」「特許の質」の三つに集約して明示されたと解する。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Bush Administration、Patent Policy、Senate、innovator、特許権侵害

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IP High Court Supports DAICEL Semi Conductor Relating Patent

IP High Court Supports DAICEL Semi Conductor Relating Patent :ダイセル「放射線感光材料用樹脂の製造方法」特許取消審決を知財高裁が取消(1-31)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-9 Contents Frontier

  ダイセル化学工業所有の「放射線感光材料用樹脂の製造方法」特許権を、特許庁が審決によって取消したが、この特許取消審決の取消をダイセル化学工業が知財高裁に求め、知財高裁がダイセル化学工業の請求を認容して審決取消の判決を同社および特許庁長官に言い渡した(2008-1-31)。(下注)

1.知財高裁が特許庁の本件審決を違法とした理由
1-1 先行技術として特許庁が引用した刊行物の内容について、特許庁の認定には誤りがある。
1-2 特許庁は、この「誤りがある認定」に基づいて、「本件発明は上記引用刊行物に基づき容易に発明できた」という「審決の結論の誤り」を来たしているので、この特許取消審決は違法である。
1-3 従って、この特許取消審決は、取消を免れない。

2.ダイセル化学工業の本件特許権の請求項(SANARI PATENT要約)
2-1 請求項1:次の特徴を有する「ヒドロキシアダマンチル基、および、酸によりアルカリ可溶基を、1分子中にそれぞれ少なくとも1つ以上有する『半導体集積回路用遠紫外線感光材料用樹脂』の製造方法」
2-1-1 加熱された溶媒中に、次の物質を添加する。
2-1-1-1 極性基含有脂環式官能基を有するモノマ-であるヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレ-ト
2-1-1-2 酸によりアルカリ可溶基を生じる官能基を有するモノマ-
2-1-1-3 ラジカル重合開始剤
2-1-2 上記2-1-1の物質を共重合させる。
2-2 請求項2:樹脂がアクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の「半導体集積回路用遠紫外線感光材料用樹脂」の製造方法

3.争点に関する知財高裁の判断
3-1 引用刊行物には、特許庁審決が認定したような、「所定の物質を共重合させて得られる共重合体に係る感光樹脂組成物に用いられる樹脂、および、その製造方法の発明が記載されていると認めることができない。
3-2 特許庁審決の「等価物として実質的に記載されていると評価すべきである」との主張は、採用できない。

4.SANARI PATENT所見
4-1 特許庁「イノベ-ションと知財政策に関する研究会検討資料」(2008-1-23)
には、「審判の審決取消訴訟の審決支持率は80%という高い水準で維持されている」という記述があるが、今次知財高裁判決はその20%に算入されることとなる。
4-2 SANARI PATENTは、この20%の存在が、プロパテントの本質であると考えるので、特許庁およびダイセル化学工業の緻密な主張と反論が知財専門家によって十分検討されることの意義を高く評価する。
4-3 上記3-2の「等価物」という用語から、「均等論」の変遷を想起した知財専門家も多いと考える。その異同を併せて検討すべきである。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
(注)平成18年(行ケ)10346審決取消請求事件」:知財高裁・平成20年1月31日判決
ダイセル化学工業、特許庁、半導体集積回路、知財高裁

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2008年2月8日金曜日

Enlarging The Resources of Radio Waves

Enlarging The Resources of Radio Waves :総務省の「電波資源拡大の新研究開発提案公募」(期限・今月29日)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-8 コンテンツ政策2008

  次世代ネットワ-クの構築によるイノベ-ションの進展には、電波資源の拡大を必須とする。この意味で、総務省の「電波資源の拡大に資する新たな研究開発課題の提案」公募に、関係民間機関など挙っての呼応が期待される。

1. 背景・目的(SANARI PATENT要約)
1-1 ケ―タイや無線LANに代表されるように、電波利用は著しく拡大しており、電波利用に対する需要が増大している。総務省では、新たな電波利用システムの導入など今後のユビキタスネット社会の実現に向けて、有限希少な電波の有効利用を推すべく、電波資源の一層の拡大を可能とする技術の研究開発を、民間機関等に委託して、「電波資源拡大のための研究開発」を実施している。平成19年にまとめられた「電波利用料制度に関する研究報告書」(2007-7)では、国際競争力強化に資する研究開発の推進が求められるなど、この研究開発の重要性が高まっている。
1-2 今般、電波資源の拡大に資する新たな研究開発課題の提案を広く求め、平成21年度から新たに実施する案件の検討資料として活用する。

2. 対象の例示
2-1 既存無線システムのもとで、新たな無線システムの共同利用を可能とする技術
2-2 現在使用されている周波数帯域の圧縮など、電波の効率的な利用を図るための技術
2-3 高マイクロ波帯やミリ波帯等の未利用周波数帯の技術的・経済的な利用を開拓電波資源、これらの周波数帯への移行を促進する技術
2-4 厳密で実用的な共用基準の策定に資する測定技術

3. 現在進行中の研究開発
3-1 移動通信システムにおける周波数の高度利用に向けた要素技術の研究開発
3-1-1 コグニティブ無線通信技術
3-1-2 空間軸上周波数有効利用技術
3-1-3 超伝導フィルタ技術
3-1-4 コグニティブ無線端末機の実現に向けた要素技術
3-1-5 800MHz帯映像素材中継用移動通信システムの高度化
3-1-6 複数基地局連携送信によるユ-ザスル-プット高速化技術
3-1-7 第4世代移動通信システムにおけるモバイルQoS制御技術
3-1-8 安全運転を支援する電車間通信の実現に向けた周波数高度利用技術
3-2 未利用周波数帯への無線システムの移行促進に向けた基盤技術
3-2-1 基幹用ミリ波帯無線電送システムの実現のための基盤技術
3-2-2 無線アクセス用ミリ波帯無線伝送システムの実現のための基盤技術
3-2-3 ミリ波帯無線装置の高能率化技術
3-2-4 ミリ波帯無線装置の低コストの小型ワンチップモジュ-ル化技術
3-2-5 ミリ波帯ブロ-ドバンド通信システム用アンテナ技術
3-2-6 ミリ波帯高速移動体通信システム技術
3-2-7 ミリ波帯高精細映像伝送技術
3-2-8 ミリ波ブロ-ドバンド通信用超高速ベ-スバンド・高周波混載集積回路技術
3-2-9 マイクロ波帯・ミリ波帯の利用拡大のため機器雑音抑制技術
3-3 高マイクロ波帯への周波数移行の促進に向けた基盤技術の高度化
3-3-1 高マイクロ波帯基盤技術の高度化
3-3-2 高マイクロ波帯用アンテナ技術の高度化
3-4 レ-ダ-の狭帯域化技術
3-4-1 クライストロン送信機デジタル波形成形技術、および、固体素子等を用いたレ-ダ-技術
3-4-2 マグネトロンのスプリアス低減技術、および、レ-ダ-の測定技術
3-4-3 固体素子を用いた船舶用)GHz帯レ-ダ
3-5 衛星用周波数の高度利用
3-5-1 衛星通信と他の通信の共用技術
3-5-2 Ka帯を用いた偏波多重衛星通信技術
3-5-3 衛星通信における適応偏波多重衛星通信技術
3-5-4 衛星通信における適応偏波多重(APDM)伝送技術
3-6 周波数有効利用に資する次世代宇宙通信技術
3-6-1 衛星通信用中継器における周波数高密度利用技術
3-6-2 周波数の有効利用を可能とする適応型衛星通信技術
3-6-3 高速・高精度測定技術
3-6-4 空間分布電力測定技術
3-6-5 広域電波強度分布測定技術

4. SANARI PATENT所見
  総務省は、有限かつ希少な電波を、時代のニ―ズに即応して有効活用するため「電波開放戦略」を推進しているが、そのビジョンとして、6GHz以下の周波数帯で4分の1以上の周波数の再編を行うこととしている。現在極めて稠密に利用されている6GHz以下の周波数逼迫状況を緩和電波し、新たな周波数需要に的確に対応しようとするものであり、通信放送・有線無線・移動固定の総融合時代に対応し、わが国国際競争力確保の成否を決する重要性をもつとSANARI PATENTは考える。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
Radio Wave、総務省、電波資源、APDM、衛星通信

ラベル:

2008年2月7日木曜日

Alternative of Search Engine System

Alternative of Search Engine System for Japanese Government and for Microsoft :平成20年度内閣知財計画と米国公取委における検索ビジネス
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-7 端末フリ-のDigital Contents

1. 平成20年度内閣知財計画案における検索ビジネス
1-1 標記の原案は、次の2点でネット検索サ-ビスの重要性を認識している。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 Search Engineは、ユ-ザ-がグロ-バルな情報源から必要なコンテンツを選択し、アクセスすることを可能にする、情報社会の基盤的機能である。
1-1-2 Search Engineで得られるユ-ザ-の消費動向に基づき、広告手法の多様化・大規模サ-バ設置による波及効果をもたらす。
1-2 従って、標記案は、「ネット検索サ-ビスが円滑に展開されるよう、法的措置を講じ、次世代をリ-ドする情報の検索・解析技術の開発を支援し、先進的な事業の出現を期待する」と計画している。

2. SANARI PATENTの考察
  上記案についてSANARI PATENTの疑問は次の通りである。
2-1 わが国の現Search Engineは、主としてGoogleによって「enhance」され機能を果たしている。特許行政においてグロ-バルなワ-クシェリングを推進する立場を内閣知財戦略本部は採っているのであるから、同様に、Search Engineについてもグロ-バルなワ-クシェリングを推進することが適切である。
2-2 上記1-2の「解析技術」をわが国は先端的に開発し、その活用によってグロ-バル市場を制覇することが得策である。

3. Microsoftに対するYahooの選択肢
The Wall Street Journal(2008-2-6)は「Yahoo Studies Alternatives to Microsoft」と題して、次のように述べている。(SANARI PATENT意訳要約)
3-1 消息通の見方によれば、Yahooはその独立存続を認める可能性があるGoogleとの提携を含めて、Microsoftの敵対的買収計画を排除する望みを断念していない。
3-2 しかし、GoogleにとってYahooと提携すること自体は、検索ビジネスにおける米国市場シェア6割超の現状を、8割に高める意味しかない。
3-3 むしろGoogleにとっては、Microsoftの対Google競争力が、Yahoo買収のための資金借入負担によって弱められることに関心がある。
3-4 いずれにせよ、MicrosoftのYahoo買収は、米国連邦取引委員会の承認を得難い。

4. Asahi.com(2008-2-6)の論説(SANARI PATENT要約)
  今次Microsoftの行動についてわが国内でも様々な論説が発表されているが、SANARI PATENTは標記論説が最も適切と考える。すなわち、これによれば、
4-1 発展が顕著なインタ-ネットの世界でも特に覇権争奪が激化する検索エンジンの分野を舞台として、パソコンの鬼本ソフトで圧倒的シェアをもつMicrosoftが検索で米国第2位のYahooに買収を提案した。(SANARI PATENT 注:米国検索市場の現在シェアは、Google60%超、Yahoo 20%超、Microsoft 約10%)。
4-2 Yahooは態度を保留しているが、Googleは、Yahooに支援を申し出た。MicrosoftによるYahoo買収を阻止するためである。
4-3 Microsoftは基本ソフトWindowsで世界考える。パソコンを制したが、その市場が成熟して大きな伸びが見込めなくなったが、ネットの主戦場である検索エンジンでは米国の10%足らずのシェアにとどまる。そこで生残りをYahoo買収に賭けた。市販のパソコンの大半にはWindowsが入っており、Internet Explorerが抱き合わされている。これでネットを開くとYahooのペ-ジが自動的に現れるという新たな抱き合わせが考えられる。
4-4 次世代基幹技術としてのネットには、開放性と多様性が必要であるから、4-3のような結果になることはネットにとってマイナスである。
4-5 その意味では、GoogleがYahooを傘下に入れることにも警戒を要する。検索市場で8割を超え、影響力が強くなり過ぎる。
4-6 Microsoft やGoogleを追い抜く新勢力の台頭(中国語に強い中国の「百度」-baiduu-など)が、ネットの開放性と多様性にふさわしい。
4-7 検索の未来は、動画の識別や文章の脈絡理解など、無限に広がっている。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Microsoft、Google、Yahoo、Search Engine、Windows

ラベル:

2008年2月6日水曜日

Exploitation of Contents Frontier

Exploitation of Contents Frontier 内閣知財戦略本部2008コンテンツ政策の基本理念→ コンテンツ・フロンティアの開拓
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

1. コンテンツ政策の基本理念と基本戦略
1-1 「コンテンツ総合方策2008」案は次のように述べている。(策定の経緯は、
http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-3 コンテンツ新戦略)
1-1-1 デジタル化やインタ-ネットの普及、ブロ-ドバンド化の進展に伴う環境の変化は、コンテンツ産業にとって新たな市場の広がりを意味している。これら環境変化により可能となったインタ-ネット・携帯端末への配信や、海外への販売等の分野への展開は、わが国コンテンツ産業が新たなビジネスチャンスを拓いていく広大な可能性を秘めた領域である。
1-1-2 新たな市場の開拓に際しては、新たな権利処理方法や販売戦略など、コンテンツの円滑・高速な流通システムと、新たな市場に発信可能な魅力あるコンテンツの創造が不可欠である。
1-2 以上、コンテンツの「市場拡大」「流通円滑化」「創造活発化」の3要素の正の循環(スパイラル)を、「コンテンツフロンティアの開拓」という基本的考え方に基づき、次の基本戦略を展開する。
1-2-1 基本戦略1:既存の枠組みにとらわれない新しいビジネスに挑戦する。メディアの大変革に対応した新しいビジネスモデルの構築を視野に入れながら、その実現を側面的に支える知財法制等を構築する。
1-2-2 基本戦略2:グロ-バルにビジネスを展開する。海外の販路を拡大し、海賊版は正規の輸出に転換する。
1-2-3 基本戦略3:多様なメディアに対応したコンテンツの流通を促進する。
その阻害要因を早期に解決する。
1-2-4 基本戦略4:わが国が有するコンテンツ創作の利点を活かし、世界のクリエ-タの目標となる創作環境と、これを支える制度基盤を整備する。 

2. 具体的取組とその課題
2-1 基本戦略1について
2-1-1 動画のネット配信ビジネスの成長
2-1-1-1 コンテンツ共有サ-ビスの適法化
2-1-1-2 端末フリ-のデジタルコンテンツの流通
2-1-2 新ビジネス展開に関する法的問題の解決
2-1-2-1 通信と放送の垣根を超えた新サ-ビスへの対応
2-1-2-2 検索サ-ビスに関する法的問題の解決
2-1-2-3 コンテンツ配信に伴うサ-バ-上の複製行為に関する法的課題の解決
2-1-3 ネット時代に対応する新知財制度の構築
2-1-3-1 コンテンツ市場拡大の新ビジネスモデルの追及と知財制度の見直し
2-1-3-2 新サ-ビスにおけるプライバシ-保護

2-2 基本戦略2について
2-2-1コンテンツ産業のグロ-バル化
2-2-1-1 コンテンツ取引市場の機能強化
2-2-1-2 多言語化の促進
2-2-1-3 情報・統計の整備
2-2-1-4 国際市場における知的財産権活用ビジネスの手法
2-2-1-5 コンテンツの国際共同制作
2-2-1-6 在外発信拠点の拡大
2-2-1-7 発信チャンネルの確保
2-2-2 海賊版の流通防止
2-2-2-1 拡散防止条約の締結促進
2-2-2-2 在外公館の機能活用
2-2-2-3 CJマ-ク(コンテンツ海外流通マ-ク)

2-3 基本戦略3について
2-3-1 市場の透明性確保と取引機会の拡大
2-3-1-1 コンテンツ関連情報の集約
2-3-1-2 コンテンツポ-タルサイトの充実
2-3-1-3 放送コンテンツの取引市場整備
2-3-2 コンテンツ流通拡大の法制度・契約ル―ルの整備
2-3-2-1 所在不明権利者対策
2-3-2-2 少数反対者対策
2-3-2-3 放送コンテンツ二次利用の契約ル―ル
2-2-3 権利処理の高速化
2-3-3-1 集中管理事業の拡大
2-3-3-2 グロ-バル流通に対応するコ-ド付与
2-3-3-3 音楽ネット配信対応の権利処理効率化
2-3-4 わが国コンテンツのデジタル化
2-3-4-1 国会図書館のデジタルア-カイブ化・図書館資料利用の円滑化
2-3-4-2 国等保有コンテンツの公開

2-4 基本戦略4について
2-4-1 創造活動の環境整備
2-4-1-1 コンテン制作に対する投資の活性化
2-4-1-2 コンテンツ制作現場の環境改善
2-4-2 一億総クリエ-タ時代への対応
2-4-2-1 ユ-ザ-の自由な創作・発表の場の提供
2-4-2-2 意思表示システムの開発・普及
2-4-3 コンテンツ創生人材の育成
2-4-3-1 大学レベルの人材育成
2-4-3-2 民間教育機関の外国人学生受け入れ

3. SANARI PATENT所見
  コンテンツ総合方策2008が掲げる課題項目を上記のように整理してゆくと、内閣知財戦略本部が、「(特許等の)知財の基本的法制度整備は一段落して、その実効を挙げてゆく段階としているのに、コンテンツに関しては、これから法制度の整備(特に電気通信および著作権関係)が緒に着く観がある。それはその通りとSANARI PATENTも考える。逐一考察を進める。
Contents Frontier、CJ、海賊版、コンテンツ、内閣知財戦略本部

ラベル:

2008年2月5日火曜日

Public Comment for JPO Innovation IP Policy

Public Comment for JPO Innovation IP Policy:JPO「イノベ-ションと知財政策に関する検討課題に対する意見」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-4 JPO Expects
Public Opinion

特許庁は、「経済のグロ-バル化は、知財システムのグロ-バル化を求める」、「米国を中心として特許権の訴訟リスクが増加している」、「イノベ-ションの高度化に伴い新知財ビジネスが現れる」などの趨勢に対処し、「イノベ-ションと知財政策に関する検討課題」(2008-1-23 :特許庁)に対する意見を公募している。       SANARI PATENTは、下記の意見を提出した。

 なお、3のKSR米国最高裁判決は、非自明性(進歩性)の判断において、先行文献・先行技術による教示・示唆・動機付け(TSM)テストを用いる場合の厳格性を緩和し、特許拒絶査定を容易にして、進歩性要件を高度化する方向性を有すると、SANARI PATENTは解する。
               
            記
 貴庁「イノベ-ションと知財政策に関する研究会 検討資料」(平成20年1月23日)に示されました検討課題のうち、「Ⅱ 透明性と予見性の高いメカニズムの構築」の「検討課題1 特許制度・運用の見直しの在り方」について

(意見)
  下記理由の内容を、標記検討課題に付加されますよう、要望申しあげます。
(理由)
1.「不確実な特許によるビジネスリスクの低減」については、「不確実」の意義、従って、「確実」の意義が明示されていないけれども、「付与された特許権が、審判・訴訟により無効とされる可能性」を「不確実」と称するとすれば、そのような「不確実」によるビジネスリスクは、原則として全て権利者が負担すべきものであること、および、そのような「不確実性」は、特許制度に本質的に内在するものであることを、権利者が十分に認識して権利を取得すべきことを、周知させる行政が先ず必要である。

2.すなわち、特許権は「発明の進歩性」を要件として付与されるが、進歩性には低度、中度、高度の段階差があり、これらが累積してイノベ-ション(高度の技術革新による社会経済の顕著な高度化)を実現する機能を有し、この機能の着想と公開を、独占権の付与により奨励する制度であることには、異議がないと考える。

3.そこで、「低度・中度の進歩性」に対しても特許性を認めるか、「高度の進歩性」に限定して認めるかの政策選択肢が課題となる。貴庁資料「米国特許政策・判例の歴史」が、アンチパテント時代のCuno最高裁判決が非自明性、すなわち、進歩性の要件を厳格化し、天才の閃きを要求したこと、Brenner最高裁判決が有用性の証明がない化合物の製造方法特許は認めないとしたこと、Benson最高裁判決が数学的アルゴリズムに特許性を認めないとしたことが列挙されており、またプロパテント政策適正化の現在(2006~2007)に向かって、Festo最高裁判決が均等論の適用を厳格化したこと、eBAY最高裁判決が侵害差止判断を厳格化したこと、KSR最高裁判決が進歩性判断を適正化したことが列挙されており、上記進歩性の程度に対する特許性付与の選択肢が、アンチパテント時代において高度化し、現在のプロパテント適正化時代においても、低中度から高度への指向が見られる。

4.一方、低度の進歩性に対しても特許性を認めることは、個人や中小・ベンチャ-企業の特許取得の機会を多くし、特許権の流通を活発化する契機となる反面、いわゆるパテントトロ-ルやパテントプロモ-タの、必ずしも適正といえない行動を惹起する。

5.更に、仮想的世界特許庁を指向して特許の制度と運用の調和を図る過程においては、貴庁資料指摘の「南北問題」が伏在し、上記3の選択肢の選択が各国の国益により左右される可能性が多い。

6.わが国を含めて、先進諸国においても、「審査・審判・裁判」の判断が相違する場合があることは、特許性の判断を主として「当業者」という仮想人格の判断に委ねる特許制度の本質に起因し、審査基準を更に緻密・論理的に構成しても「着想」という発明心理の構造を100%論理式化することは不可能である。審級別に「当業者」の判断が異なり得るところに、真の意味での「プロパテント制度」が存在すると考えるべきである。

7.日米ともに、「特許の質の向上」という指向が示されているが、「特許の質の向上」の意味は、「進歩性要件の厳格化」、すなわち、「高度の進歩性」に対してのみ、イノベ-ションへの直結的機能に鑑みて、特許を付与し奨励するものであることを明示すれば、明確に肯定できる。ただし、南北問題との調整は別論となる。
JPO、Public Opinion、innovation、アンチパテント、eBay

ラベル:

2008年2月4日月曜日

Soft Power、Hard Power、Money Power、IP Power

Soft Power、Hard Power、Money Power、IP Power: 国際競争力はソフトパワ-、ハ-ドパワ-、マネ-パワ-、知財権パワ-の総合力
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-4 JPOが提起した14課題

1. 内閣知財戦略本部のコンテンツソフトパワ-
1-1 平成20年度内閣知財計画においては、「デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策」(2008-2-1)に基づいて、「世界を魅了するいわゆるソフトパワ-の強化」が強調される。    関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-3 Content Power。
1-2 「魅了的・感性的」な文化のみならず、市場戦略的ブランド、国際営業力、国際訴訟力、科学技術、ノウハウもソフトパワ-に属し、一方、電子機器・輸送機器等の製品および軍事同盟によるハ-ドパワ-、金融・通貨によるマネ-パワ-、並びに知財権パワ-の総合力として国際競争力は形成されるから、政策のバランスと優先関係も、併せて示されることを、SANARI PATENTは望むものである。
1-3 マネ-パワ-について言及すれば、テレビ東京WBS(2008-2-1)は、グロ-バルに動き出す政府系ファンドとして、産油国の180兆円(アラブ首長国連邦96兆円、サウジアラビア33兆円、ほか9国を含めて180兆円)に、中国・シンガポ-ル76兆円、ロシア他51兆円を加えて300兆円と概算したが、原油価格100ドル超は2010年代は継続との見通しであるから、300兆円は更に累増する。その日本における目標用途として、電機、自動車、空港施設も例示された。同日、マイクロソフトのヤフ-買収提示価格4兆7千億円(米国検索市場ではシェアがグ-グル66%、ヤフ-21%、MSN7%。ネット広告の近未来市場規模8兆5千億円)が報道されたが、パワ-間のパワ-比較も戦略上、必要とSANARI PATENTは考える。

2. コンテンツ発展の環境の急変
今次コンテンツ振興総合方策は、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-1 デジタル化やインタ-ネットの普及、ブロ-ドバンド化の進展により、インタ-ネットやケ―タイを介したコンテンツ供給が増大し、多様なメディアを通じたサ-ビスが展開している。
2-2 このような環境の変化は、新しい市場や需要を生む一方、既存のコンテンツ産業に大きな影響を与えている。例えば、1995年から2005年の10年間でインタ-ネット広告が急増する一方、新聞の広告収入・販売収入は約5%減少し、出版流通総額は約25%減少した。また、テレビよりメ-ルやインタ-ネットを楽しむ消費者が増加し、テレビの広告収入も頭打ちとなっている。音楽は、ケ―タイへの配信が伸長する一方、CDパッケ-ジの売上高は大幅に減少し、2006年のわが国レコ-ド産業の市場規模は前年対比1%増にとどまっている。
2-3 メディアが多様化する中で、日本を含め世界中のコンテンツ産業が新しいビジネスモデルを模索している。例えば、英国BBCでは、テレビをほとんど見ないインタ-ネット世代の急増により、番組を敢えてインタ-ネットに無料で流すことによって視聴者を獲得する試みを始めた。米国TV局では、インタ-ネットによる無料の「見逃しサ-ビス」(放送終了後、一定期間その番組を見られる)を実施している。欧州では、テレビ離れに対処するため、IP技術による双方向サ-ビスを、ユ-ザ-の細かい要求に応えつつ、通信・放送・家電業界が提携するIPTV方式で進めている。
2-4 わが国の音楽、マンガ、小説、ゲ-ム等については、世界最先端の技術を用いて様々なサ-ビスが展開され、コンテンツ市場も毎年拡大している。今後は、ブロ-ドバンド化の進展により、動画コンテンツのネット配信の成長が期待される。既存のビジネスモデルの延長にとどまらず、新たな環境に適合し世界に先駆ける新しいビジネスモデルの追及が求められている。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Soft power、Money Power、 ゲ-ム、マンガ、IPTV

ラベル:

2008年2月3日日曜日

R&D for Hair Regeneration

R&D for Hair Regeneration 人類大関心の頭髪再生研究開発に国立機関も参入
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-3 The Meaning of Soft Power

  話題としてグロ-バルに関心を集める毛髪再生に、国立循環器病センタ-も研究に着手することが、asahi.com 2008-2-1-02-51で報告された。国立機関としては、産業総研の育毛剤特許出願もある。

1. Asahi.comの報道(SANARI PATENT要約)
1-1 美容外科手術などで余った他人の健全な頭皮で、毛の生え易い基盤をつくり、毛髪を再生する研究を国循センタ-が始める。拒絶反応を避けるため、国循センタ-がブタの心臓弁の再生で成功している脱細胞化処理法を用いる。
1-2 この処理によって得たコラ-ゲン基盤に、患者の毛包を付し、患者に移植する。患者から採取した毛頭乳細胞を、この再生頭皮に経皮投与し、頭髪の再生を促す。

2.育毛関係特許公開の活況(最近の事例)
2-1 大日精化工業「細胞活性剤」(特許公開日2008-1-31)
発毛・育毛に有効な細胞活性剤の機能を有する薬剤を安価に提供するため、羊毛由来のタンパク質、ポリペプチド、低級ペプチドおよびアミノ酸から選ばれた、少なくとも1種の成分またはこの成分の誘導体から成るポリペプチドを含む細胞活性剤を提供する。
2-2 独立行政法人・産業総研「繊維芽細胞増殖因子アゴニスト」(特許公開日2008-1-24)
FGF4受容体を活性化するFGF18を始めとするFGFファミリ-の不足が原因で生ずる疾患の治療または予防を目的とする薬剤、特に育毛剤を提供するため、FGF4受容体を活性化する天然物由来成分から成る医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物を提供する。
2-3 ライオン「育毛養毛剤組成物」(特許公開日2008-1-17)
育毛養毛効果に優れ、長期にわたり使用に耐え得る育毛養毛剤組成物を、アポト-シス誘導促進タンパク質の阻害物質、ヒドロキシピリドン誘導体、分子中にヒロドキシ基を有するエステル化合物の配合によって提供する。
2-4 花王「ジペプチド誘導体およびその製造方法」(特許公開日2008-1-17)
症状や体質にかかわらず、発毛・育毛を促進し、種々の脱毛症に有効なペプチドおよびその製造方法、並びにそれを含む育毛剤を提供する。
2-5 東洋新薬「育毛剤」(特許公開日2007-11-29)
精製されたプロアントシアニジンを用いた育毛剤よりも育毛効果が大きい育毛剤を、植物から抽出された植物体抽出物を有効成分として提供する。
2-6 ロ-ト製薬「育毛剤」(特許公開日2007-11-22)
ダイズタンパク質のサ-モリシン分解物を含有させることにより、顕著に高い育毛効果を有する新規の育毛剤を提供する。
2-7 宇部興産「高分子量フコイダン含有育毛剤」(特許公開日2007-10-11)
オキナワモズク属のモズクを原料として、従来の低分子フコイダンでは得られない、優れた育毛効果を有する育毛組成物を提供する。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Hair Regeneration、大日精化、ライオン、花王、ロ-ト目薬

ラベル:

2008年2月2日土曜日

Fuji Xerox’s A4 Capable Color Laser Printer Wins

On January 30, Fuji Xerox’s A4 Capable Color Laser Printer Wins Energy Conservation Prize, While Other Patentability Matter Come Up for Discuss
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-2 五大特許庁

1. FUJI XEROXに二つの注目
1-1 FUJI XEROXのA4カラ-レ-ザ-プリンタ-「DocuPrint C1100」が1月30日に省エネ大賞「省エネルギ-センタ-会長賞」を受賞し、その高い省エネルギ-性能と、モノクロ機並みのコンパクト設計が、経済産業省主催ももとで賞賛された。
1-2 一方たまたま同日、FUJI XEROXの「表示装置、制御装置および表示方法」発明の特許出願に関する「特許拒絶審決取消請求事件」について、知財高裁がFUJI XEROXの請求を棄却する判決を示したので、発明の進歩性判断に関する新たな関心を誘起することとなった。

2. 今次FUJI XEROX受賞のColor Laser Printer
2-1 普通紙カラ-12ppm(Continuous printing of A4 Identical Documents)モノクロ16ppm(同)
2-2 熱効率の改善、電源投入時ウォ-ムアップタイム25秒以下、スリ-プモ-ドから20秒以下
2-3 スリ-プモ-ド時にエンジン駆動系回路の電力消費抑制制御を可能化

3. 今次知財高裁判決(下注)に至る経過
3-1 FUJI XEROXは、「表示装置、制御装置および表示方法」発明について特許出願し、拒絶査定を受けたので不服審査請求したが、特許庁が請求不成立の審決をしたので、FUJI XEROXはその取消を知財高裁に求めた。
3-2 争点は、横河メディカルシステム株式会社の「メニュ-画面式入力装置」発明(特許公開1990-7-3)(以下「引用発明」)との関係における進歩性の有無である。
3-3 FUJI XEROXの本件発明の内容(SANARI PATENT要約)
  次の画面および表示手段を備えることを特徴とする「複数画面切換え表示装置」
3-3-1 所定の機能を実行する複数キ-を備える第1画面
3-3-2 この複数画面のうち第1画面と異なる第2画面
3-3-3 第1画面における複数機能キ-の機能名が表示されると共に、第2画面のお好みキ-が不表示状態になるように表示される設定画面
3-3-4 この設定画面に表示された機能名のうち、ユ-ザ-が選択した機能名の機能を第2画面にお好みキ-として割りつける設定手段
3-3-5 この設定手段による割付設定の終了時に、ユ-ザ-選択機能の機能名が表示された前記お好みキ-を備えた第2画面を表示する表示手段
3-4 特許庁の拒絶査定維持審決の理由は、「本願発明は引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できた」、すなわち、容易想到性である。
3-5 今次知財高裁の判断
3-5-1 FUJI XEROXは、「審決で使用しているカスタムキ-という言葉は、審決において何ら定義されず、意味不明瞭」と主張するが、カスタムとは、標準の型ではなく、注文者に合わせた特別仕様のものという、一般的な意味の言葉というべきである。従って、カスタムキ-の意味は明らかである。
3-5-2 ユ-ザ-に合わせた特別仕様のキ-という意味において、本願発明と引用発明は一致する。
3-5-3 引用発明に、機能の割付を手動で行う周知技術を適用しても、引用発明の目的を放棄することにはならず、適用を阻害する要因にはならない、(SANARI PATENT 注:阻害要因がないから、容易想到性が認定できるという意味)。
3-5-4 設定時に画面に特定キ-を表示したままとするか、非表示とするかは、操作し易さ、見易さの点から、適宜配慮する設計事項に過ぎない。(SANARI PATENT 注:判決は、「(本願発明のこの構成は)直ちに当業者が採用することが通常あり得ない構成ということはできず、設定時にお好みキ-を表示しない構成の採用が、容易に想到できないともいえない」という表現を用いている)。
3-5-5 その他のFUJI XEROXの主張についても、容易想到性の認定を覆すに足りるとは認められないので、本件請求を棄却する。

4.SANARI PATENT所見
   容易想到性の有無の判断が、特許要件としての進歩性判断の核心であるから、「当業者」の水準を含めて、今次判決の含意を十分検討する必要がある。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
(注)平成19年(行ケ)10225審決取消請求事件・知財高裁判決2008-1-30
FUJI XEROX、Laser Printer、知財高裁、表示装置、横河

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2008年2月1日金曜日

Inventiveness of Inverter Related Invention

Inventiveness of Inverter Related Invention :日立製作所・電圧形インバ-タの制御方法特許に対する安川電機無効提訴を知財高裁1月28日判決が棄却
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT

1.インバ-タの技術開発
1-1 例えば三菱電機の新製品ニュ-ズには、「インバ-タは、三相誘導電動機の回転数を簡単自由に変えることができる可変周波数電源装置です。三菱電機では、用途に最適な機種を品揃えしています」「あらゆるニ―ズにベストチョイスで応える」として、小形ボディのオ-ルラウンダ・シリ-ズ新製品が紹介されている。(SANARI PATENT 注:インバ-タを「直交流変換装置」と表示する例の方が一般的である)。
1-2 新年に入って今月30日までの間に特許公開されたインバ-タ関係発明が180件に達する。例えば、(以下SANARI PATENT要約)
1-2-1 トヨタ自動車「電動機ユニットおよび動力出力装置」(特許公開日2008-1-24)
モ-タユニットに取り付けられる端子台でモ-タの複数端子とモ-タを駆動するインバ-タの複数端子とを、各々接続する複数の接族部間の絶縁性を確保しながら、端子台を小型化する。
1-2-2 安川電機「風力発電装置の発電機制御方法およびその装置」(特許公開日2008-1-24)
コンバ-タの出力を所定の電圧と周波数に変換して系統へ出力するインバ-タを用いて、ブレ-キなどの外部装置を用いずに風車の回転を減速すると共に、発電装置の稼働率を向上する。
1-2-3 松下電器産業「過電流検出回路」(特許公開日2008-1-24)
インバ-タと整流平滑手段を用いて、発熱による損失が小さく確実に過電流検出ができる小型の過電流検出回路を提供する。

2.今次知財高裁判決(下注)の概要
2-1 日立製作所は「電圧形インバ-タの制御装置およびその方法」発明について特許の設定登録を受けた(1993-4-8 :1751443)。交流電圧指令に基づいて直流電圧をパルス幅変調制御して交流電圧に変換し、その交流電圧を負荷に供給する電圧形インバ-タの制御装置およびその方法に関する。
2-2 安川電機は特許庁に対して2-1特許の無効審判を請求したが、特許庁が請求不成立の審決をしたので、安川電機はこの審決の取消を知財高裁に求めた。
2-3 争点は、日立製作所の2-1特許の発明が、三菱電機の「インバ-タ装置」発明、日立製作所の「パルス幅変調インバ-タの制御方法」発明、東洋電機製造の「誘導電動機のベクトル制御方法および装置」発明、日立製作所の「誘導電動機の制御方法」発明、明電舎の「インバ-タ装置の保護装置」発明、神鋼電機の「ア-ク長の自動制御方法」発明の各特許公開文献に記載された発明との関係で、進歩性を有するかである。
2-4 安川電機の主張に対する知財高裁の判断
2-4-1 安川電機は、日立製作所の本件発明が、電圧制御形インバ-タと電流制御形インバ-タの両方の構成を含むところ、日立製作所の本件明細書に示された実施例である電流制御形インバ-タ装置は電流検出器を必須とするにもかかわらず、審決がこの点を看過したことを違法である旨主張するが、本件発明は電流検出器を必須とするものでないことは明らかである。
2-4-2 安川電機は、「交流電流実測値」に代えて「交流電流指令値」を採用することは容易であると主張するが、日立製作所の本件発明の認識自体に誤りがあり、主張の前提を欠くと共に、日立製作所の本件発明は、「単なる置換え」ではなく、2-4-1の周知技術と同等ないしはそこから当然に導出される内容であると認めることはできない。
2-4-3 安川電機主張の日立製作所本件特許取消請求事由は、いずれも理由がないから、安川電機の本件請求を棄却する。

3.SANARI PATENT所見
  上記2-4-1の請求項記述内容判断と純技術的判断、2-4-2の「単なる置換え」か「新たな組合せ」か、想到容易か容易でないか、の判断は、知財高裁の緻密な説明によって裏付けられているが、「特許の質」を高める趨勢のもとで、「質の高低=進歩性の程度=容易想到性の程度」とSANARI PATENTは解するので、知財専門家の今次判決熟読・批評を期待する。
(注)平成19年(行ケ)10116審決取消請求事件・判決平成20年1月28日
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Inverter、日立製作所、安川電機、三菱電機、明電舎、松下

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