2008年2月2日土曜日

Fuji Xerox’s A4 Capable Color Laser Printer Wins

On January 30, Fuji Xerox’s A4 Capable Color Laser Printer Wins Energy Conservation Prize, While Other Patentability Matter Come Up for Discuss
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-2-2 五大特許庁

1. FUJI XEROXに二つの注目
1-1 FUJI XEROXのA4カラ-レ-ザ-プリンタ-「DocuPrint C1100」が1月30日に省エネ大賞「省エネルギ-センタ-会長賞」を受賞し、その高い省エネルギ-性能と、モノクロ機並みのコンパクト設計が、経済産業省主催ももとで賞賛された。
1-2 一方たまたま同日、FUJI XEROXの「表示装置、制御装置および表示方法」発明の特許出願に関する「特許拒絶審決取消請求事件」について、知財高裁がFUJI XEROXの請求を棄却する判決を示したので、発明の進歩性判断に関する新たな関心を誘起することとなった。

2. 今次FUJI XEROX受賞のColor Laser Printer
2-1 普通紙カラ-12ppm(Continuous printing of A4 Identical Documents)モノクロ16ppm(同)
2-2 熱効率の改善、電源投入時ウォ-ムアップタイム25秒以下、スリ-プモ-ドから20秒以下
2-3 スリ-プモ-ド時にエンジン駆動系回路の電力消費抑制制御を可能化

3. 今次知財高裁判決(下注)に至る経過
3-1 FUJI XEROXは、「表示装置、制御装置および表示方法」発明について特許出願し、拒絶査定を受けたので不服審査請求したが、特許庁が請求不成立の審決をしたので、FUJI XEROXはその取消を知財高裁に求めた。
3-2 争点は、横河メディカルシステム株式会社の「メニュ-画面式入力装置」発明(特許公開1990-7-3)(以下「引用発明」)との関係における進歩性の有無である。
3-3 FUJI XEROXの本件発明の内容(SANARI PATENT要約)
  次の画面および表示手段を備えることを特徴とする「複数画面切換え表示装置」
3-3-1 所定の機能を実行する複数キ-を備える第1画面
3-3-2 この複数画面のうち第1画面と異なる第2画面
3-3-3 第1画面における複数機能キ-の機能名が表示されると共に、第2画面のお好みキ-が不表示状態になるように表示される設定画面
3-3-4 この設定画面に表示された機能名のうち、ユ-ザ-が選択した機能名の機能を第2画面にお好みキ-として割りつける設定手段
3-3-5 この設定手段による割付設定の終了時に、ユ-ザ-選択機能の機能名が表示された前記お好みキ-を備えた第2画面を表示する表示手段
3-4 特許庁の拒絶査定維持審決の理由は、「本願発明は引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明できた」、すなわち、容易想到性である。
3-5 今次知財高裁の判断
3-5-1 FUJI XEROXは、「審決で使用しているカスタムキ-という言葉は、審決において何ら定義されず、意味不明瞭」と主張するが、カスタムとは、標準の型ではなく、注文者に合わせた特別仕様のものという、一般的な意味の言葉というべきである。従って、カスタムキ-の意味は明らかである。
3-5-2 ユ-ザ-に合わせた特別仕様のキ-という意味において、本願発明と引用発明は一致する。
3-5-3 引用発明に、機能の割付を手動で行う周知技術を適用しても、引用発明の目的を放棄することにはならず、適用を阻害する要因にはならない、(SANARI PATENT 注:阻害要因がないから、容易想到性が認定できるという意味)。
3-5-4 設定時に画面に特定キ-を表示したままとするか、非表示とするかは、操作し易さ、見易さの点から、適宜配慮する設計事項に過ぎない。(SANARI PATENT 注:判決は、「(本願発明のこの構成は)直ちに当業者が採用することが通常あり得ない構成ということはできず、設定時にお好みキ-を表示しない構成の採用が、容易に想到できないともいえない」という表現を用いている)。
3-5-5 その他のFUJI XEROXの主張についても、容易想到性の認定を覆すに足りるとは認められないので、本件請求を棄却する。

4.SANARI PATENT所見
   容易想到性の有無の判断が、特許要件としての進歩性判断の核心であるから、「当業者」の水準を含めて、今次判決の含意を十分検討する必要がある。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
(注)平成19年(行ケ)10225審決取消請求事件・知財高裁判決2008-1-30
FUJI XEROX、Laser Printer、知財高裁、表示装置、横河

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