2008年1月27日日曜日

Pro-Patent and Anti-Monopoly in USA

Balance of Pro-Patent and Anti-Monopoly in USA 米国知財政策の変遷
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
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1. 特許庁イノベ-知財資料(2008-1-23)における米国政策の変遷(SANARI PATENT要約)
1-1 米国では、特許保護政策と反トラスト法(日本では独禁法)による競争強化政策とのバランスが歴史的に変化してきた。(SANARI PATENT 考察:このパラグラフの読み方には注意を要する。「特許保護政策による競争強化政策」と「反トラスト法による競争強化政策」のバランスと解する)
1-1-1 第1次プロパテント時代
連邦特許法の成立(1790)から第1次世界大戦後の世界恐慌(1929)に至るまで、プロパテント政策のもとで産業の発展を遂げた。
1-1-2 アンチパテント時代
上記大恐慌の一因が大企業による市場独占であると考えられ、反トラスト法違反の取締り強化を重視するアンチパテント時代に入った。しかし、1970年代に入って、石油危機や日本産業界の高度成長を経て、米国の貿易収支は赤字化した。
1-1-3 第2次プロパテント時代
上記米国産業界の国際競争力喪失への対策として、1980年代には特許保護強化のプロパテント政策が採られ、人工微生物やソフトウェア関連技術に特許対象が拡大された。
1-1-4 プロイノベ-ション時代=プロパテント適正化時代
21世紀に入って、現行特許システムが、特許の質の低下等によりイノベ-ションを阻害しているとの批判的な見解が見られ(例えば、連邦取引委員会(FCC)報告書2003、全米アカデミ-(NAS)報告書(2004)等)、また、特許の強力な権利を調整する判例(例えば、侵害差止め判断を厳格化したeBay最高裁判決(2006)、進歩性の判断を適正化したKSR判決(2007))など、プロパテント政策適正化の方向へ移行しつつあると考えられるのではないか。(SANARI PATENT 考察:「ではないか」と控えめに結んでいるが、「パテントと他の価値との調整、パテントの質の向上、すなわち、進歩性・非自明性要件の厳格化・高度化であることは明白と考える)。

2. SANARI PATENT所見
2-1  特許庁は現在、「プロパテントの強化」を強調しているが、わが国の国際競争力が綜合的・相対的)には低下の惧れがあるという認識(例えば、国民一人当たりGDP順位や新興国の主要産業分野世界シェアの増大)のもとで、「pロパテント=国際競争力強化」という上記1-1-3の米国第2次プロパテント時代に模している観がある。
2-2  一方、わが国政策におけるイノベ-ションの強調は、「プロパテント=イノベ-ション」ではなくて、「高度プロパテント=イノベ-ション=国際競争力強化」であるとの認識に基づくと解する。換言すれば、従来のプロパテントの在り方そのままでは、「休眠特許の著増」、「低質特許権によるイノベ-ションの阻害」、「特許審査の遅滞」、「特許権に基づく独占の弊害」、「米国のパテントトロ-ル類似現象発生の危惧」などが、わが国でも指摘され始め、イノベ-ションに適合するプロパテントの在り方が考究される情勢となった。
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Pro-Patent 、Anti-Monopoly、ソフトウェア特許、イノベ-ション、プロパテント

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