2008年1月21日月曜日

Technology for Spam (Annoying Mails) 経済産業省の迷惑メ-ル対策案(2008-1-18)の暫定性
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-20 浜松ホトニクスと島津製作所

1. 知財専門家と迷惑メ-ル
1-1 迷惑メ-ルには、出会い系や性薬品販売系、金融系などの業種別と、国内 発・中国発などの発信国別等、多様化かつ累増の趨勢が見られることは、今次案経済産業省の報告で明らかにされた。知財専門家がこれらの迷惑メ-ルに対する行動によって被害を受けることは考えられないが、メ-ルシステムの利用は活発化するから、受信メ-ル整理の煩瑣やアドレス複数化など、少なからず迷惑を蒙っていることは否めない。情報産業技術のイノベ-ションに貢献すべき立場からも、迷惑メ-ル対策の技術開発に協力する必要がある。
1-2 現在、迷惑メ-ルに対する法規制が一応存在するが、それがいかに有名無実のものであるか、今次経済産業省報告が率直に開示したことは、ICT社会の本質を知る契機として評価すべきである。

2. 経済産業省「迷惑メ-ル規制に関する技術的論点WG中間とりまとめ」
  報告(2008-1-18)の内容を先ず要約するが、現行の法規制は「全く」というに近く実効性を欠くことが示されている。
2-1 現行の特定商取引法では、オプトアウト規制が定められた。これは、広告事業主が「事前に相手方から承諾または請求を得ずに送信するいわゆる未承諾広告メ-ルについては、「未承諾広告」を件名の冒頭に付して送信することを義務付けるものである。また、送信先から「広告メ-ルを送信して欲しくない」旨の返信があった場合には、再度送信することが禁止されている。
2-2 上記規制の施行後5年以上経過するが、上記「未承諾広告」の表示を欠くものが、モニタ-調査対象の99.3%を占め、法規遵守は1%未満である。
2-3 「送信をしないで欲しい」というメ-ルの発信については、この発信に関する表示を欠くものが84.8%を占め、表示に従って発信しても届かなかったものが5.6%で、結局、有効アドレスが表示されていたのは、9.6%に過ぎなかった。
2-4 再送信禁止規定に違反して、「メ-ルの送信を欲しない旨を通知したにもかかわらず」送信してきたという消費者の苦情も、年間1866件(2006年)に達した。

3. 海外経由迷惑メ-ル
多くの迷惑メ-ル広告主事業者やその配信事業者は、Internet Service Providerから利用契約を解除されても、別のProviderとの契約に切り替えたり、中国など海外経由で迷惑メ-ルを送信していると考えられる動きもあって、結局、迷惑メ-ルの増勢傾向が続いている。

4.対策
標題の報告は種々の対策を検討し詳述しているが、中間報告の段階でこれを精査する意味も少ないので、しばらくその推移を注視するほかない。

5. SANARI PATENT所見
  電話通信においては、「発信者電話番号表示」のシステムが開発され、この表示をしない発信者の発信に対して自動的に受信拒否できるシステムが開発され普及している。FAXについては、このような仕組みが開発されていないが、発信にコストを要することから、ある程度の抑制がある。メ-ルは送信コストが零に等しく、海外発を考えると刑罰の実効も期待し難いから、知財専門家も、技術的対策の構築に協力すべきである。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
Spam、Mail、迷惑メ-ル、Provider、経済産業省、広告業者

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