2008年2月9日土曜日

IP High Court Supports DAICEL Semi Conductor Relating Patent

IP High Court Supports DAICEL Semi Conductor Relating Patent :ダイセル「放射線感光材料用樹脂の製造方法」特許取消審決を知財高裁が取消(1-31)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
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  ダイセル化学工業所有の「放射線感光材料用樹脂の製造方法」特許権を、特許庁が審決によって取消したが、この特許取消審決の取消をダイセル化学工業が知財高裁に求め、知財高裁がダイセル化学工業の請求を認容して審決取消の判決を同社および特許庁長官に言い渡した(2008-1-31)。(下注)

1.知財高裁が特許庁の本件審決を違法とした理由
1-1 先行技術として特許庁が引用した刊行物の内容について、特許庁の認定には誤りがある。
1-2 特許庁は、この「誤りがある認定」に基づいて、「本件発明は上記引用刊行物に基づき容易に発明できた」という「審決の結論の誤り」を来たしているので、この特許取消審決は違法である。
1-3 従って、この特許取消審決は、取消を免れない。

2.ダイセル化学工業の本件特許権の請求項(SANARI PATENT要約)
2-1 請求項1:次の特徴を有する「ヒドロキシアダマンチル基、および、酸によりアルカリ可溶基を、1分子中にそれぞれ少なくとも1つ以上有する『半導体集積回路用遠紫外線感光材料用樹脂』の製造方法」
2-1-1 加熱された溶媒中に、次の物質を添加する。
2-1-1-1 極性基含有脂環式官能基を有するモノマ-であるヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレ-ト
2-1-1-2 酸によりアルカリ可溶基を生じる官能基を有するモノマ-
2-1-1-3 ラジカル重合開始剤
2-1-2 上記2-1-1の物質を共重合させる。
2-2 請求項2:樹脂がアクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の「半導体集積回路用遠紫外線感光材料用樹脂」の製造方法

3.争点に関する知財高裁の判断
3-1 引用刊行物には、特許庁審決が認定したような、「所定の物質を共重合させて得られる共重合体に係る感光樹脂組成物に用いられる樹脂、および、その製造方法の発明が記載されていると認めることができない。
3-2 特許庁審決の「等価物として実質的に記載されていると評価すべきである」との主張は、採用できない。

4.SANARI PATENT所見
4-1 特許庁「イノベ-ションと知財政策に関する研究会検討資料」(2008-1-23)
には、「審判の審決取消訴訟の審決支持率は80%という高い水準で維持されている」という記述があるが、今次知財高裁判決はその20%に算入されることとなる。
4-2 SANARI PATENTは、この20%の存在が、プロパテントの本質であると考えるので、特許庁およびダイセル化学工業の緻密な主張と反論が知財専門家によって十分検討されることの意義を高く評価する。
4-3 上記3-2の「等価物」という用語から、「均等論」の変遷を想起した知財専門家も多いと考える。その異同を併せて検討すべきである。
(サイト上でのコメントはお受けしておりませんが記事修正のご要求は、sanaripat@nifty.comにご送信下さい)
(注)平成18年(行ケ)10346審決取消請求事件」:知財高裁・平成20年1月31日判決
ダイセル化学工業、特許庁、半導体集積回路、知財高裁

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