2010年8月31日火曜日

Honda Achieves New Growth by World Top-Level Cost Competitive Power in Motorcycles

Hondaの二輪事業は世界トップのコスト競争力で新たな成長を
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Hondaの事業報告が届いた(2010-08-26)。アジアを中心に成長が続くHondaの自動二輪車を特に強調しているが、SANARI PATENTが注目するのは、グローバルなマスプロの規模拡大を核心とするコスト国際競争力の弛みない強化である。報告は「Hondaの自動二輪車のこれからは、世界トップレベルのコスト競争力で新たな成長 をめざす」としているが、このコスト競争力の基盤は、グローバルなマス市場を対象とする大量生産効果と、中国・インドでの競争を超克してきた原価意識に在ると、SANARI PATENTは理解する。しかもこのコスト競争は、中国における「自動車の前半身はホンダで後半身はトヨタのデザインの模倣車」が、中国のみならずアジア各地にも輸出販売されているのと対抗するコストの実現であり、最近の対円人民元低にも対応するものである。
現在(2009)、Hondaの売上高はFORTUNEの世界ランキング表では51位(924億ドル:実績9兆3400億円に比べては過少表示とSANARI PATENTは見る)であるが、その上進が予想される。
Hondaの今次報告に戻って、内容を要約する。
(1) 中国とインドは、自動二輪車市場としても世界1位2位の巨大市場になっている。Hondaは、中国では1992年から、インドでは1985年からHondaの現地生産を開始している。この2国では、従来以上に厳しいコスト競争力が求められている。日本のメーカーが進出して生産体制を築き上げたアセアン地域とは異なり、この2国には現地の自動二輪車メーカーがあり、より廉価な商品も流通しているからであある。
(2) 中国・インド現地の自動二輪車メーカーの競争力の源泉は、部品や素材を供給するサプライヤーであることが分かってきた。そこで、現地のサプライヤーを品質やコストの面から徹底的に調査し、Hondaの品質基準に照らしながら、その力を組み入れて新たな部品調達体制を構築し、現地の自動二輪車メーカーにも負けないコスト競争力を身につけてきた。
SANARI PATENT所見
Hondaなどでは「自動二輪車」と称しているが、Motorcycleに直接見合うのは原動機自動二輪車、オートバイなどで、今後の電気化に対応するのは「自動自動二輪車」という呼称であろう。
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2010年8月30日月曜日

Canon Successfully Develops World’s First Image Sensor With 120 Mega-pixels Resolution

 キャノンが開発成功を発表した「APS-Hサイズ世界最高1億2000万画素CMOSセンサ」
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キャノンの標記発表(2010-08-24)の内容(SANARI PATENT要約)は、
1. キャノンは、APS-Hサイズ(SANARI PATENT注: デジタルカメラの固体撮像素子、通称イメージセンサーのサイズ規格の通称で、30.2*16.7mmだが、今次キャノン開発センサーの撮像画面サイズは29.2*20.2mm)で、世界最高画素数の約1億2000万画素(13280*9184画素)のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーの開発に成功した(SANARI PATENT注:Complementary metal-oxide-semiconductorは、マイクロプロセッサーなどの集積回路構築の要素である)。
2. この新開発センサーは、既にキャノンが製品化している同サイズの最高画素数CMOSセンサーの1610万画素に比して約7.5倍の1億2000万画素を有し、解像度は2.4倍に向上している。CMOSセンサーでは、多数の画素を高速に読みだすため並列処理を行う。並列処理する信号数が増加すると、信号遅延やタイミングの僅かなズレが問題になる。キャノンは、読み出し回路のタイミング制御方法を工夫することにより、センサー信号を高速に読みだすというに成功した。これにより、1秒間に最高9.5コマの速度で出力可能となり、超高精密細画像の連続撮影を実現する。
SANARI PATENT所見
キャノンの「Ambitious Targets」と題してFORTUNE誌(2080-07-26)は、「Canon plans a growth strategy focused on expanding into lucrative emerging markets」および、「Moving into new areas」を挙げているが、結びとして「Canon is already well on its way to its goal of becoming “admired and respected the world over for contributing to society through technological innovation.”」と述べ、キャノン御手洗会長が経団連会長として26国首脳と会談で得たグローバルな視野を評価している。御手洗会長が「百年に一度」と言わずに「一生で一度の」(once-in-a-lifetime)と表現した不況を超えて発展しつつあることを今次発表は象徴している。
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2010年8月29日日曜日

Yamada Denki realized Two Trillion Yen Net Sales in 2009 Fiscal Year 

ヤマダ電機の業績伸長と中国展開
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ヤマダ電機が会社説明会を開催した(2010-08-28:東京・京王プラザホテル)。売上高ランキング(上場会社の2010-03月期、ビッグカメラは2009-08月期)では、1位ヤマダ2兆0161億円、2位エディオン8200億円、3位ケーズHD6486億円、4位ビックカメラ5891億円、5位コジマ4382億円、6位・上新電機3856億円、7位ベスト電機3456億円、8位ラオックス969億円だが、特にヤマダ電機は、5年前に売上高1兆円を超え、売上高2兆円と経常利益1000億円超の目標を、5年後の2010-03期に早くも達成したことは、経営戦略の目覚ましい成果である。
SANARI PATENTが理解するところでは、ヤマダ電機のこの大発展は、二つの要素、すなわち、地方拠点から大都市圏への進出、および、サービス・リユース・SOHO・WEB・物流システム・情報システムを含む総合経営コンテンツの独創性である。
ヤマダ電機は1973年に群馬県で電気店の個人創業から始まり、今も本社を群馬県高崎市に置くと共に、群馬大学医学部に高価な癌関係研究施設を寄付するなど、初心と発祥の追懐を大切にする奥床しさがあるが、2005年に電機量販店・初の売上高1兆円達成を契機として、地域拠点主義から脱却して、2006年に大阪難波に初の都市型大型店LABIなんばを開設し、以後、2007-07に東京都初の都市型店LABI池袋、2008-03に大阪府千里ニュータウンにLABI千里、2008-09に東京渋谷駅前LABI渋谷、2009-09に東京・目黒区にLABI自由が丘、2009-10に東京池袋三越跡にLABI日本総本店池袋、2010-04に東京・LABI新宿東口館を、新宿3丁目の目抜きに、地下2階地上9階の社有ランドマークとして開設するに至った。
2011-03期の第一四半期(2010-04-01~06-30)も、売上高は4643億円で前年同期比7.8%増、経常利益は175億円で2.6倍に達し、SANARI PATENTが特に注目するのは、販売管理費が869億円で、前年同期実績1041億円の84%に合理化されていることである。
今後は、中国展開への取組が注目される。
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2010年8月28日土曜日

Cyber Date Stamp Service Presented by MRI Cyber-Patent and AMANO Time-Business

 電子タイムスタンプによる電子データ存在日付証明
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デジタル情報としての知財創出の時点と内容を証明することが、知的財産権取得・利用のため極めて重要であることは、知財専門家にとっては言うまでもないが、その他のビジネス・生活分野においても、訴訟の防止・勝訴のため必須である。NRIサイバーパテント株式会社とアマノタイムビジネス株式会社が、「電子タイムスタンプ(Cyber Date Stump)を共同で提供」と題し、「インターネットを通じて電子データの存在日付を証明」と副題して発表(2010-08-23)したことは、広い分野で評価さるべきである。上記発表は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 情報の発生時期(その情報がいつから存在したか)を記録することは、特許法における先使用権の証明や、米国における先発明の証明に有効である。従来は、公証人役場に赴き、紙媒体や電磁記録媒体に日付証明(確定日付)を受ける方法が主流だったが、情報の電子化に伴って、電子データそのものにタイムスタンプを押す方法「電子タイムスタンプ」が浸透してきている。
2. 特許庁の「先使用権制度に関するガイドライン」(2006)において既に、先使用権立証の具体的手法の一つとして電子タイムスタンプが紹介されているが、今後その需要は、業界・事業規模を問わず増加すると予想される。
3. 電子タイムスタンプは、電子タイムスタンプが付与された時刻の時点においてそおデータが存在したこと、および、付与された時刻から現時点まで変更されていないことを証明する。しかしながら従来、電子タイムスタンプを利用者するためには専用ソフトが必要であり、専用サイバの導入や、ファイルごとの付与を要すること、付与後、複数関連ファイルの保管があり、管理が煩雑であった。
4. 今次Cyber Date Stampは、これらの課題を解決し、「専用ソフトのインストールの必要がなく、プラウザを通した利用が可能であること」「関連する複数ファイルを一括して電子タイムスタンプを付与できること」「メモを残すことにより、電子タイムスタンプ付与後のファイル検索が容易であること」などを特長とする。
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2010年8月27日金曜日

Leading Coil Company, SUMIDA Provides Digital Convergence Between Tech. and People

 スミダコーポレーションの非接触電力伝送技術開発
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コイル専業で、海外比率8割を超えるスミダコーポレーション(東証1部)の事業報告(2010-01-01~06-30)が届いた。コイルの働き(Working of Coil) については別途、自己誘導作用、相互誘導作用、共振作用、電磁作用、電磁誘導作用の詳細を解説している。
「デジタルを人につなぎ、人をデジタルとつなぐ」スミダコーポレーションの活動はグローバルである。不安定な事業環境下ではあるが、世界経済と事業環境が回復基調にあり、スミダコーポレーションの組織効率化と相まって、増収増益を得た。
中国での数十年にわたる労務管理の経験を活かして、グローバルに製造ネットワークを拡大する意欲を示している。
非接触電力伝送技術の開発状況については次のように説明している(SANARI PATENT要約)。「金属接点やコネクタなどを介さず、充電器に機器を置くだけで充電できるのが非接触電力伝送技術である。ケータイやデジカメ、ゲーム機、電子書籍端末などに利用できる非接触電力伝送技術の開発を、実用化の一歩手前まで進めている。伝送の仕組みには複数の方式があるが、スミダコーポレーションの場合は、磁界を利用した磁束伝送のほか、電界伝送を開発して注目されている。」
製造のシルクロード構想を掲げ、諸国において、ハブ工場を核として、サテライト工場との最適ネットワークを構築するが、既にアジアでは、中国の製造拠点である番禹工場がハブ工場としての機能を有し、サテライト工場としての南寧工場と連携して、Consumer Electronics分野の製品を主力に、自動車関連・エネルギー関連製品を生産している。
欧州では、ドイツのエアラオ工場をハブ工場とし、ルーマニアおよびスロベニアのサテライト工場と連携して、自動車関連・エネルギー関連製品を生産している。
SANARI PATENT所見
外部環境の不安定性について、中国の労働争議、人民元の上昇、ユーロ圏諸国の対外債務などを挙げ、「新しい事態は今後も次々と起こることが予想されます」と述べ、「このような不安定な事業環境と共に歩む術を学ばなければなりません」と結んでいるが、その蓄積こそ、最高の価値あるノウハウとなろう。
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2010年8月26日木曜日

Narita International Airport and Tokyo International Airport Collaboration

成田国際空港株式会社と空港施設株式会社の間柄
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空港施設(東証1部)のIR Handbookが届いたが、売上高構成比(2010-03期)は、東京国際空港(SANARI PATENT注: 羽田空港である。成田の正式名称は「成田国際空港」である)が86.9%、関西国際空港2.8%、大阪国際空港2.6%、新千歳空港1.4%、その他地方空港1.6%である。
成田については、2004-04-01に成田国際空港株式会社法が施行され、それまで成田空港を管理してきた新東京国際空港公団が成田国際空港株式会社に改組、民営化されたことに伴って、成田の名称も「新東京国際空港」から「成田国際空港」に改称された。今夏のお盆休みに海外旅行者数は円高の買物など謳歌しつつ、リーマンショック以前を既に若干上回ったようだが、空港の正式名称の変遷を知らない人達も多いのではないか。
空港施設株式会社は、対象空港に必要な施設と機能を建設・緯持・管理することで安全な空港運営と航空会社の運航サポートをしてきたが、具体的には、「航空機格納庫・整備工場・航空貨物上屋・航空機洗機施設・その汚水処理施設・事務所ビルの賃貸」「冷暖房などのエネルギー供給」「上下水道の運営管理」「通信」などを行っている。空港施設株式会社の業務区域は前国域に及ぶが、現在、東京国際空港を中心に、北は新千歳、南は那覇に至る国内11空港でサービスを提供している。
来る2010-10に、D滑走路が供用開始されるので、空港施設株式会社は上院訓練施設・航空機エンジン整備工場・航空機洗浄施設・航空機の電子電気関連部品等の整備工場に投資してきた。
今後、東京国際空港、すなわち羽田の年間発着回数は、現在の30万3000回が40万7000回と34%以上増加が予想される一方、「航空会社の厳しい経営状況から受ける影響への対処」「空港容量拡大と国際化への対応」「空港外空港関連施設への取組(物流施設・ホテル)」を課題としている。
中国・韓国等の訪日客の著増や、日本の外遊客、双方のビジネス客の多方面化に即応して、評価を高めていくと予想される。
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2010年8月25日水曜日

METI Study Committee on Smart-meter Refers to EU Directive 

経済産業省スマートメータ検討会で三菱総研の説明
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今月末(2010-08-31)に経済産業省(担当:資源エネルギー庁電力市場整備課)は「Smart-meter制度検討会」を開催し、Gas-Meterとの関係や、諸外国のSmart-meter動向を議題とする。この検討会には、パナソニックの石王治之エナジーソリューション事業推進本部長や、日本IBMの中山雅之未来価値創造事業推進理事などが理事として参画している。
前回(2010-07-22)には、三菱総研が「欧州のSmart-meter動向について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. EUは既に「EUエネルギー効率化指令」(2006-04)で、「EU加盟国は、潜在的な省エネルギーに関連して技術的に可能であり、金銭的に合理的・比例的である限りにおいて(SANARI PATENT考察: 生硬な直訳だが含意を解釈するほかない)、電力・天然ガス・地域熱冷熱・家庭用給油を対象とした需要家に対して、最終需要家のエネルギー消費量の実績を精確に反映し、使用時間の実績値に関する情報を提供する価格競争力のある個別のメータが提供されることを保証しなければならない。既存のメーターが取り替えられる場合には、長期的に潜在的な省エネルギーを推測した上で、技術的に不可能であり、費用対効果がない場合を除いて。価格競争力のある個別のメーターが提供されなければならない」と定めている。
2. また、EUの「第三次電力自由化指令」(2009-07)は、「エネルギー管理サービスの提供、革新的な料金制度の構築、Intelligent Meter-systemまたはSmart-gridの導入により、電気事業者が電力利用を最適化すべきことを、EU加盟国または各国規制機関が強く推奨しなければならない。」
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2010年8月24日火曜日

Intellectual Property Professionals in the 600 Occupations

知財職業の実像・虚像・格差
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内閣決定のの知財年次計画は、特許権やコンテンツ創作の人材育成に望みを託しているが、知財人材はやはり、道楽や余技ではなく、知財職業人として知財創造に打ち込んでほしいので、従って、知財職業の実像・虚像・格差などは、知財を志す人々にとって共通の関心事である。作家で評論家である村上龍氏が、新版の「13歳のハローワーク」を著作し、職業不安定な社会情勢の折柄、ベストセラー的な売行きのようである。とにかく約600の職種を網羅して解説しているから、13歳向けの前に、就活学卒、浪人博士、転職物色者、リストラ対象者に先ず広汎な読者層を得た模様である。
非常によく勉強して執筆されているが、例えば「弁理士」について、「国際化が進んでいるので、英語の読み書きはできた方がよい」を含め、10行の記述は、弁理士業務の実像8割程度の感がある。「便利屋」に7行を用いているが、極めて展開性・多様化性に富む職業として描かれ、創意発揮の余地が多いように示唆している。例えば、「仕事によっては高給を得ている人もいる」「やる気さえあれば電話とFAXだけで仕事を始めることができ、多くの得意分野と人脈を持っていると有利になる」など。ss
内閣知財戦略本部は「クリエータ」という用語を好みが、上記ハローワークにはクリエータという職種自体が登載されていない。アニメーターについては13行を費やして「最初からフリーになるのは先ず無理」だが「職場は徹夜も多いなど労働条件は厳しい」と戒めている。「漫画家」も、内閣知財戦略本部の委員になる人もいるが、上記ハローワークは26行を費やして、「新人賞を受賞することが漫画家になる唯一の第一歩と考えた方がいい」など、直木賞受賞の村上氏らしいアドバイスと言えよう。
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2010年8月23日月曜日

Economical Effects by the Realization of Cloud Computing Society 

クラウドコンピューティング社会に移行の経済・環境効果
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クラウドの経済効果と題して経済産業省のクラウド報告書(2010-08-16)は、「今後10年間をかけて高度クラウド社会に移行し、クラウドを活用したイノベーション創発が順次発現在すると、需要創出効果や生産性上昇によって、2020年までに累計40兆円超の新サービス市場の創出が期待できる」と述べている。累計だから、1年当たりは4兆円ということで、子供手当の満額支給時の5兆円超にも遥かに満たず、社会経済構造の大変革をもたらすという説明が前提されているだけに、存外少ない推計をしたものだと、SANARI PATENTは思う。
経済産業省報告書はさらに、「このようなクラウド社会では、情報処理量が大幅に拡大するから、従来の情報処理基盤ではエネルギー消費に負荷がかかる」と述べているが、「巨大になるデータの量と、その検索や利活用に対応するためには、データセンターが巨大となり、その運転に要する電力所要量は非常に大きくなる」という意味に解される。現にこのことを、クラウド社会の問題点に掲げる評論家もいるが、データ量も電力量も、計数的に示すに至っていないから、概念的とも言える。とにかく経済産業省報告書は環境問題に結びつけて、「クラウドは、社会システムの効率的制御を通じて温暖化ガス排出削減に貢献するが(Green by IT)、企業の情報システムが低環境負荷を実現するクラウドに順次移行することによって、情報処理自体に係る温暖化ガス排出は1990年総排出量対比約7%相当の削減が期待できる」と「試算」している。いずれにせよ、米国でも中国でも、温暖化防止ではなくて、クラウドによる経営合理化が、企業の動機として作用しているというのが現実であり、それが適切と私は考える。
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2010年8月22日日曜日

Japanese Government’s Basic Policy for Cloud Computing 

グローバル市場を標的とするクラウドシステムの構築
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クラウド(Cloud Computing)の「時代激変効果」については、角川歴彦氏(内閣知財戦略本部委員)の「クラウド時代とクール革命」副題「iPad、キンドルの登場で時代は激変する!」が2010-03-10初版以来、その電子化と共に極めて急速に普及するなど、一般の関心も深い。政府の基本的考え方は先ず、経済産業省の「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会報告書(2010-08-16)」に次のように示されている(SANARI PATENT要約)。
1. クラウドはIT業界のみならず、農業や商業など、様々な業界からその普及・発展が期待されている。政府として、クラウドの推進に向け、データ利活用による新サービス・新産業の創出支援、関連制度の見直しを含めたルール整備、技術開発、標準化支援などに取組む必要がある。
2. クラウドは、サービス提供と同時に、国内のみならず海外からも利用可能であるという特性を有する。すなわち、これまでのSI(SANARI PATENT注:利用者の需要に合わせた情報システムの企画・構築・運用サービス→System Integration)やパッケージ型のシステムと異なり、最初からグローバル市場を標的とするサービスの展開が可能である。従って、日本のシステムが特徴とする高信頼性とキメ細かいサービスを武器として、国内企業が海外市場を開拓する千歳一遇のチャンスと捉えることができる。
3. 一方、今後の海外市場獲得にはクラウドの活用は不可欠である。海外への売切り方の一過性のシステム輸出ではなく、国内ユーザー企業とベンダー企業が一体となって、国内データセンターを拠点とする高信頼性かつ永続的な運用サービスを提供することにより、現在世界市場の10%程度を占める国内IT企業の世界市場シェアお大幅な拡大を目指す。
SANARI PATENT所見
国内企業と米国企業等との提携によるクラウドの利活用について、積極的な評価をもって臨むべきである。
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2010年8月21日土曜日

Intellectual Property Court Supports TOKUYAMA’s Patent of Window Frame

知財高裁の判決がトクヤマの「合成樹脂製窓材」特許有効判決
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トクヤマ(東証1部)は、「半導体用主体の多結晶シリコンで世界3位級だが、自家発電を強みとし、塩ビの国内大手である(会社四季報)。トクヤマは、「合成樹脂製窓材」を「発明の名称」とする特許権を有するが、この特許は無効であるとして、YKK AP株式会社が特許庁に審決を求め、容れられなかったので、この審決の取消を知財高裁に訴求していたところ、知財高裁は取消請求を棄却し、トクヤマが勝訴した(2010-08-09判決)。
トクヤマのこの発明の要旨は、「この窓材は、各窓枠の長さ方向に、斜めに切断された断面を加熱し、両面から押しつけて溶着した合成樹脂の中空窓材で、塩ビ樹脂などの所定樹脂などを含む廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物から成る内層と、新品の樹脂を主成分とする組成物から成る外層により構成される。そして、各層の全厚さに対する各外層部分の厚さの比が所定の値の範囲内である。」
YKK APは、ドイツの特許を周知技術として引用し、トクヤマの上記特許権はこのドイツ特許から容易に想到できるので、進歩性を欠き、従って、特許はトクヤマのこの特許権は無効である等と主張した。
知財高裁は、「上記の数値限定は、容易に想到できるとは言えない」などの理由で、YKK APの主張を斥け、トクヤマのこの特許権を有効とした(平成21年行ケ10440審決取消請求事件)。
リサイクルやリフォームやエコ住宅振興にも関連し、現代即応的な知財判決である。
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2010年8月20日金曜日

Real Time Space Control by Utilizing Cloud Computing

リアルタイムな実空間制御について経済産業省報告書
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クラウド利活用の諸局面の一つとして、経済産業省のクラウド報告書(2010-08-16)は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. センサ情報などは、情報量が膨大だが、これを十分に解析する術がないために、利活用 効果が大きいことを期待されながら、これまで、解析の試みが十分に行われず、サービスの向上に役立てられなかった。クラウドの活用により、このような潜在的サービスを現実化することが期待できる。
2. 例えば交通分野では、プローブ情報と呼ばれる、自動車から取得可能なブレーキ・ワイパ・速度などの情報をセナサで取得し解析することにより、より安全に走行するための情報を運転者にリアルタイムに伝達することが可能になる。(SANARI PATENT考察: 次世代電気自動車は高度モーバイル電子機器と改称すべきだから、このようなクラウド利活用も必然的である。)
3. また農業分野では、センサを搭載した無線発信装置のnetworkを農場に張り巡らせ、気温・土壌温度・相対湿度・土壌水分量・光・風速・葉の湿り具合や気圧などを直接測定し解析することにより、作物の成長などの状況に合わせて、葉の除去や肥料の追加、必要最低限の農薬散布などが可能となり、生産性が大きく向上することが期待される。(SANARI PATENT考察: 農産・漁産(マグロの陸内養殖等)の工場化を併進すれば、食糧供給のinnovationに資するところ多大であろう。)
4. さらに、再生エネルギーを最大限に活用し、系統の安全性を確保しつつ、最適なエネルギー需給マネジメントシステムを構築し、電気自動車を含む交通システムや家庭。ビルの電気機器制御に活用することにより、Smart Communityを構築できる。(SANARI PATENT考察: Smart Gridがその構成要素となる。)
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2010年8月19日木曜日

The All- New Complete Job Guide for the 13-Years Old by R. Murakami

村上龍氏「新13歳のハローワーク」による知財人材育成
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内閣知財戦略本部の知財計画は結局、知財政策の拠点を人材育成に求めている。一方、現在の学校教育法は、初中等教育から大学教育に至るまで、職業能力を涵養することを教育目的の柱としている。従って、13歳の頃から、知財人材としての志望方向を頭に描くことは非常に重要だが、社会経済の転変が激しいから、志望の成就は極めて予知し難い。
幻冬舎は、2010-03-29に村上龍氏の「新13歳のハローワーク」の第1刷を発行したが、2010-04-30には早くも第4刷を発行という売行き好調ぶりで、子供用というより、大人達が職業の選択に迷っている世相を反映している。
村上龍氏は成功した作家職業人と見られ、そして凡そ作家という職業は、内閣知財戦略本部知財計画が重要とするコンテンツクリエーターの最たるものだが、作家について、この本がどういう書き方をしているか(SANARI PATENT要約)。
「13歳の子から、「作家になりたいんですが」と相談を受けたら、「作家は人に残された最後の職業で、本当になろうと思えばいつでもなれるので、取敢えず今は、他のことに眼を向ける方がいい」とアドバイスするだろう。医師・教師・新聞記者等々から作家になった人々は多いが、その逆は殆どいない。それは、作家が「おいしい仕事」だからではなく、他に転身できない「最後の仕事」だからだ。」
弁護士については、「現在、日本の弁護士の数は約3万人(2010-03)、絶定数が足りないばかりでなく、弁護士のほとんどは都心部に集中しているため、地方の弁護士不足が顕著になっている。この状況を変えるため、2004年に法科大学院が創設された」等と解説しているが、弁護士資格の新規取得者の4割が就職できていないと、TVが放映し、法科大学院の閉鎖も相次ぐ情勢で、どのように辻褄を合せるのか。
SANARI PATENT所見
知財人材育成、職業教育の在り方を、需給計画を含めて再検討すべきである。
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2010年8月18日水曜日

Beauty Sensitivity as to Design Rights Displays Difficult Problems

意匠法の要素「美感」に関する制度課題
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日本人の「感性」を日本コンテンツの特性として。日本ソフトパワーの核心とすることは、内閣知財戦略本部や経済産業省の予てよりの政策だから、感性の最たる美感を要素とする意匠権の制度の在り方は重要な課題である。丁度先日届いた弁理士会のパテント誌から、関係記事を摘記する。
(1) 「美」は、極めて主観的なものである。特定の「形状・模様・色彩の結合」について、それが他よりも美感において優れているか劣っているか、および、美感において相異するかどうかは、全ての人が同じように感じるとは限らない(SANARI PATENT考察: 特に国際間・民族間で美感が著しく異なる場合もある。例えば、日本画の白紙部分は、余韻ないし、それ自体有意であるが、砂漠や雪原の空白を連想させるとして、好まない国や民族も多い)。
(2) 「美」ないし「美感」は、これを定義することすら困難である。主観的であって、時代や流行、判断する人により変化する。また、進歩という考え方も成り立たないように思われる。
(3) 従って、意匠の類否の判断には、意匠制度の目的との関係などを考慮して、できる限り客観的な判断基準を定立する必要があるが、意匠それ自体の固有の性質が、この定立を妨げ、困難な課題である。
(4) そこで以上を総括すると、意匠法は、産業の発展に寄与することを目的とするが、寄与の仕組みは基本的には、独占できる意匠と、できない意匠について、交通整理することにより、ユーザー・製造販売者が意匠を活用し易くするという限度で、産業の発達に寄与し得るものである。
(5) 意匠は、意匠法により権利の客体とされているが、何故意匠を権利の客体として保護しなければならないのか、その根拠は、人の創造的活動の所産としての創作がそこに有るからだと考える。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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2010年8月17日火曜日

NABTESCO Participate in the World Largest Railroad Exhibition in Berlin (Sept.2010)

 NABTESCOの鉄道用精密減速機の中国向けが急成長世界の先端
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NABTESCO(東証1部)の会社案内が届いたが、産業ロボットの関節用精密減速機が世界シェア6割(会社四季報)という核心的優位性を緯持する企業の面目躍如たる叙述(SANARI PATENT要約)である。
1. 世界の先端産業を幅広くサポートするNABTESCOの精密減速機は、産業用ロボットの関節として使われ、緻密な動作を表現すると同時に、力強さを支える要の部品である。高精度・高剛性を保ちながらコンパクトで軽量であることから、工作機械や半導体製造装置など、様々な分野にも用途を拡大している。
2. NABTESCOの産業用ロボット関節用途精密減速機の世界シェアは約60%、工作機械ATC駆動分野の国内シェアは約60%である(SANARI PATENT考察:「ATC」は自動列車制御装置の意味である場合が多いが、ここではAutomatic Tool Controlと解する)。
3. NABTESCOは鉄道車両用機器について長年にわたり培ってきた技術により、鉄道輸送に新たな価値を創出する。NABTESCOの製品はブレーキシステム、ドア開閉装置、シート回転装置、ポイント除雪装置などを、中国・台湾を含めて、広く供給している。
4. NABTESCOの自動車用ウエッジ・チャンバーの国内シェアは約70%、自動車用エアドライヤーの国内シェアは約85%である。
5. NABTESCOの船舶用エンジン沿革制御システムの国内シェアは約60%である。
6. NABTESCOのフライト・コントロール・アクチュエーション・システム(主翼・尾翼の可動翼を作動させ、機体の姿勢を制御する)の国内シェアは約100%である。
7. NABTESCOのパワーショベル要走行モーターの国内シェアは約30%である。
8. NABTESCOの建物用自動ドアの国内シェアは約50%である。プラットフォームスクリーンドア(SANARI PATENT考察: 東京メトロの丸の内線で整備された程度だから、今後の需要は国内のみでも非常に大きい) の国内シェアは約95%である。
9. NABTESCOのレトルト食品用充填包装機の国内シェアは約85%である。
SANARI PATENT所見
上記諸製品の中国における需要のみを考えても、NABTESCOに対する潜在需要は巨大である。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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2010年8月16日月曜日

Functions of Facebook in Japanese Society Compared to Twitter and Blog 

日本社会のSocial Network ServiceにおけるFacebookの機能展望
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鳩山総理辞任で、政治家のTwitter増殖は沈静化している観があり、公選法での利用も改正法案の成立を見ないままに、米国とは異なる活用環境が放置されているが、商業的利用には極めて活発に活用されており、クチコミのデジタル高度化を加速して、消費の合理化や促進にも寄与している。
そこで米国では各方面で利用広汎と伝えられてきたFacebookは、日本ではどうなのか。SANARI PATENTが見るところ、活発とは評し難いように思われる。Wikipediaには、「Facebookは現在、世界中に5億人を超えるユーザーを持つ世界最大のSocial Network Serviceである。5億人のうち日本国内のユーザー数は約10万人」と記述しているが、日本GNPの対世界GNP比は約1割で、それに対応する数値としては約5000万人は数えるべきだから、普及の速度は極めて遅いと言うほかないのではないか。Wikipediaは冒頭に、「Facebookは、Facebook, Inc.が提供する世界最大のSNSである。元々は米国の学生向けに作られ、当初は学生のみに限定していたが、2006-09-26以降は一般にも開放され、その後急速にユーザー数を増やしていった」と述べているが、「お友達同士」という「顔写真帳」登載仲間の範囲内での情報交換という限定があるから、米国の場合のように同級同学の学生仲間という既成の「お友達グル-プ」が情報交換の実益をもって発受信するのを、例えばBarak Obama支持の青年層一般に拡大してFacebookの急成長を見たのと、日本は成長基盤を異にしている。
Twitterの方が仲間限定は遥かに緩く、Followerを多数獲得するためには、顔写真を出して本名でTwitterする方が良いなど、勝間和代氏が指摘の通りだが、その勝間和代氏も未だFacebookについての著書は公けにされていないようである。
佐成重範弁理士の場合も、Blog とTwitterはaccessが多いが、Facebookは、高校・大学・経済産業省、いずれの同級生も、交信にSNSを用いない。精々、Mailの交換、および、弁理士仲間では、例えばバイオ専門弁理士グル-プや米国特許法研究グル-プは、Yahooのグル-プメールシステムで、より便利に情報交換している。
これからFacebookを、日本の特殊事情があればそれも考えて、どのように急速発展させていくか、思案のしどころである。
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2010年8月15日日曜日

Norm of Corporation Governance to be Studied by METI Meeting

 経済産業省の企業統治研究会予定
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来る19日(2010-08-19)に経済産業省(担当:経済産業局産業組織課)は、企業統治研究会を開催し、「独立役員制度のfollow up」、「今後の企業法制の在り方」を議題とする。昨年の報告書(2009-06-17)は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 株主総会は1年に1回のみ開催という場合が多く、一般株主には、企業価値向上についての日常的なmonitoringはできない(SANARI PATENT考察: 最近は4半期ごとの業務報告がネット上に搭載され、状況がかなり改善されている)。
2. 機関投資家などの一般株主(SANARI PATENT考察: 一般株主の意味が個人投資家と解されるのが普通かと思うが、経済産業省資料では「機関投資家などの一般株主」と言っている)は、経営のprofessionalではないので(SANARI PATENT考察:  機関投資家の代表的なものは銀行や政府機関だから、この断定的表現も馴染み難い)monitoringすることは、なかなか難しい。従って、機関投資家などの一般株主には、自分達に代わって、経営者に近いところで、企業価値の向上についてmonitoringする機能を、社外取締役、社外監査役に期待するという意見が根強い。
3. 企業の統治機構については、形式的要件も重要だが、いかにその仕組みを機能させるかという実質の確保が、より重要である。そのためには、投資家と事業会社に相互communicationがとれ、納得感が得られる仕組みが必要である。
4. 日本企業の多くがglobal化し、日本の株式市場も外国人比率が非常に高くなっている。従って、社外取締役・社外監査役の独立性の強化など日本の企業統治に関するルールの在り方について、海外からも提言されている。いたずらに欧米の形式に倣う必要はないが、株式市場に国境がない以上、国際的な納得可能性は必要である。
SANARI PATENT所見
 この研究会には業界から、新日鉄、キャノン、住友商事、野村証券などが参加しているが、業界の事業分野画定が流動している現在、企業連携の前提としても、相互の企業統治の在り方に対する理解が必要である。
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2010年8月14日土曜日

GE’s Health-Imagination Studies Japan’s Aging Population 

GEの健康創造戦略(Healthymagination)が日本の高齢化社会で実証研究
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医療介護分野への資源投入を成長戦略の柱とする日本政府の構想に対して、GEが日本の高齢化社会で健康緯持や医療介護機器などの効率的適用を実証し、グローバルな業務に展開する基盤知見を得ようとしていることは、日本にとって有用であると共に、この分野で日本の成長に先立ってGEが成長するのではないかという予想も高まってくる。
先ずはGE Reportsの「Healthymagination studies Japan’s aging population」の内容(SANARI PATENT要約)を摘記する。なお、「Healthymagination」はGEの造語で、health+imaginationである。
1. Japan currently facing a fast-growing demographic challenge: It’s one of the world’s most rapidly aging countries and also has a low birth rate.
2. This situation creates problems both in healthcare for the aged, and in sustaining economic growth despite a shrinking population.
3. However, there are opportunities to turn the negatives into significant opportunities. It’s why the government of Japan has identified healthcare as a driver of future economic growth and positioned it as a pillar of its new growth strategy.
4. It’s also why GE commissioned The Economic Intelligence Unit, which is the business information arm of The Economist Group, publisher of The Economic Magazine, to study the problem. Their just-issued report, From Silver to Gold: The Implications of Japan’s Aging Population, was one of the key themes at GE Heakthymagination Day 2010, which was held in Tokyo to mark the first anniversary of GE’s new business strategy.
このconferenceの成果について、GEは次のようにThe Wall Street Journalの記事を引用している。
「慢性疾患について、入院治療ではなく自宅において治療することを可能にしたコンパクトな医療機器を開発したことによって日本は、リーダーたるチャンスを獲得した。」
SANARI PATENT所見
政府の経済成長戦略が具体的指摘に乏しいのに対して、GEが日本における開発の意味をその成長戦略に結びつけている記述は明晰である。
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2010年8月13日金曜日

The Dollar Tumbled to a 15-Year Low versus the Japanese Yen 

円高影響の評価を総合的に行う必要性
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15年ぶりの円高水準で、「急回復の製造業に冷や水」といったマイナスマスコミが盛んだが、どの程度の冷や水なのか、プラスマスコミは無いのか、合算すればどうなのか、余り考えていないようだ。対ドルで1円・円高になると、年間の営業利益がトヨタ自動車で300億円、日産自動車で150億円、ホンダで170億円、日立製作所で37億円、富士通で15億円、各減ずるというような数字も、マスコミで流通しているが、対ドル90円の想定が84円となれば、トヨタの年間3300億円営業利益予想(2011-03期)(2010-08-04トヨタ発表)は1500億円(300*6を減算)、日産の同1620億円は720億円になるという具合で、まだ抵抗力は十分のようにも見える。(SANARI PATENT考察: 本当に、このように見て良いのかどうか。日産のカルロス・ゴーン社長は、「円が毎年1円上がるのであれば、生産性の向上などで適応していけばいいんですが、問題は、たった1年でドルに対して115円だったのがいきなり88円になることです。これに対応することは不可能です」とTV東京で語っている(2009-01-05)。115-88=27に、150億円を乗ずれば4050億円で、たしかに、対応不可能であろう。つまり、「過度な為替変動」が恐ろしいということにもなる)。
一方、サントリーは、ビールについては現状が続けば年間20億円近くの原料調達コスト減になるという(朝日2010-08-11)。電力・ガスなどの輸入エネルギー源依存産業、原料ナフサ輸入の石油化学工業界、農産物原料輸入のその他食品業界については、プラス計算の表示がない。
日本自動車工業会は志賀俊之会長名で次のように述べているが(2010-08-09)、数字は示していない。
(1) 急激な為替変動は、企業活動に多大な影響を及ぼすものであり、グローバルに事業展開している自動車業界にとって、その影響は大きい。
(2) 特に、昨今の主要各国通貨に対する円の為替水準は、想定を超えた円高状況にあり、国内生産や雇用に大きな影響を与えかねず、業界として大変危惧している。
(3) 政府におかれては、国際強調の下での為替の安定化に向けた対応をお願いすると共に、あわせて、回復基調にある景気が腰折れ所見ことのないよう、適切かつタイムリーな経済運営の実施をお願いしたい。
日銀総裁は昨日(2010-08-12)、次のように談話した。
「最近の金融資本市場の動きを見ると、米国経済の先行き不透明感の高まりなどを背景に、為替市場や株式市場では、大きな変動が見られている。日本銀行としては、こうした動きや、その国内経済に与える影響について、注意深く見ていく。」
野田財務大臣は、緊急記者会見(2010-08-12)で、「過度な為替変動は、経済や金融に悪影響を与える。重大な関心をもって極めて注意深く見守る」と述べた。
SANARI PATENT所見
EUでは、円高への介入に反対する意向を示した(Reuter2010-08-12)。ユーロ安が欧州圏の輸出増大に有利だからと解される。上記財務大臣記者会見で、「為替介入の可能性」についての質問に対して、「介入についてはコメントを控える」と応答している。いずれにせよ、円高の得失を全産業分野について、計数的総合的に、政府が示すことはできないのか、先ずそれを明示すべきである。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2010年8月12日木曜日

KDDI’s Development Areas Include Technical Product and Frontier Technology

 「国際間トータルナビ」や「光・音楽による空間デザイン」など
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KDDIのTIME and SPACE誌が届いた。「日本国内と海外有名スポット間のルート案内」を実現した国際間トータルナビは、円高を海外で活用するツアー増を含めて、生活者の国際感覚を豊かにする好ましいサービス提供の開始(2010-07-15)である。国際間トータルナビは、国内の自宅や会社・駅などから観光地ほか海外の有名スポットまでのルートを、空路・バス・鉄道・徒歩などを組合せて総合的に案内するサービスだが、海外のスポットから日本国内の目的地へのルート案内も可能だから、訪日観光客年間1000万人を当面の目標とする観光庁は先ずその普及を中国始め諸国で促進すべきであろう。
「光と音楽で空間をデザインするLIGHT POOL」は、ケータイが光と音楽で、空間そのものをデザインすることを意図して開発された。
さらに、昨月(2010-07)のKDDI決算説明会では、最近話題の電子書籍について、「年内に電子書籍末端を発売し、ソニーと事業を立ち上げるということだったが、進捗状況はどうか。SHARPは独自で電子書籍事業に参入すると発表したが、協力体制を採るか」との質問に対して、「電子書籍配信の新会社を設立して、色々な検討をしている。当面行うべきことは事業会社への移行である。事業会社移行後、それに対する端末を出す。年度内には出したい。SHARPとの件は、今の時点では何とも言えない」と応答している。
スマートフォーン戦略の今後の展開については、「今年(2010)の秋冬に次のスマートフォーンを計画通り発売する」と応答した。
モバイルWIMAXの将来性については、「心配していない。台湾・インドでWIMAXのライセンスを導入しようとしている。WIMAXは拡大すると思う」と応答している。
SANARI PATENT所見
佐成重範弁理士はJTEC専務理事在任務中にKDDI研究所を見学などしたが、広範な国際視野と国際文化見識を基盤とすることはKDDIが随一で、その結実を益々期待する。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2010年8月11日水曜日

NIDEC Aims to be World’s Number 1 Maker of Comprehensive Spins and Moves Tech.

HDD用直流モーター分野で世界首位の日本電産が好調
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日本電産((東証大証1部)は、「HDD用直流モーターで世界首位、業績絶好調」(会社四季報)と評されているが、その今次事業報告(2010-04-01~06-30)は、連結売上高1780億円で前年同期比38.3%増、営業利益270億円で2.6倍を示している。報告には、「2010-05からギリシャの財政危機に端を発する一部欧州諸国の財政赤字や信用不安の増大が、世界の金融市場に大きな影響を及ぼし、実体経済にも影響しかねないという二番底リスクの懸念も生じたが、日本電産関連市場では、一部の製品で季節および需要変動に伴う在庫調整の影響が見られたものの、全体としては新興国市場における消費者向け需要の拡大急進を背景として、堅調な回復が継続した」旨を述べている。
SANARI PATENTが注目するのは、日本電産が2010年度戦略の重点テーマとする「成長重視に軸足をシフトし、M and A戦略の再加速すること」、「新興国市場重点型投資、特に現地生産、現地開発、現地営業を再強化すること」および「内製化投資も継続し、飽くなき付加価値向上を実現すること」、特にM and A戦略の再加速である。その利点について、日本電産・永守重信社長は次のように語っている(TV東京2008-05-26)(SANARI PATENT要約)。
「昭和40年代まで、例えば京セラのような会社が自力で良い製品を開発し、世界に販売して高度成長できたのだが、オイルショック後は全てを自力で開発する時間と資金の余裕が乏しくなり、米国でM and Aの盛行を見て、日本でも同様にと思い、先ず米国の会社を買った。」
「優良会社はなかなか売ってくれないが、技術を有しても赤字の会社を買って、一、二年で再生できれば、本来習得するのに十年、十五年かかる技術が三年ぐらいで入手できる。技術獲得の新しい手法であった。」
「今まで私が買った会社は、技術はとても高く、良い製品を作っているが、儲かっていない。その理由はコスト、従業員、経営者など、色々な問題が複合しているが、それらを除去すれば必ず儲かる。」
SANARI PATENT所見
M and Aも広義のOpen Innovation として、適切に加速すべきであるが、いわゆる企業文化の相異が、問題の除去を困難にする場合がある。
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2010年8月10日火曜日

MILBON Will Create Beautiful People with Beautiful Hair all over the World 

ミルボンは美容サロン・ヘア化粧品の国内首位から世界ランク一桁へ
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株式会社ミルボン(東証1部)の中間期(2009-12-21~2010-6-20)事業報告が届いた。美容サロン向けヘア化粧品専業でトップ(会社四季報)だが、「中期事業構想において急務なのが、国内トップという考えを捨て、世界ランクで未だ10位という意識を持つことです。戦うべきライバルは全てグローバル企業。今一度チャレンジャーの立場に戻り、デザイナーが世界で活躍できるフィールドを創るという大義のもとで、事業のグローバル化に全力を尽くします」と述べており、高い気宇を示している。
それだけに知財開発も活発で、例えば特許庁による特許公開対象発明の最近の例を見ても、ミルボンを出願者として、
(1) 発明の名称:シャンプー組成物(特許庁公開日2010-07-29)→洗浄後の毛髪にハリ・コシを付与し得るシャンプー組成物を提供する。
(2) 発明の名称:毛髪処理方法および毛髪処理剤(特許庁公開日2010-07-15)→特定の変性ペプチドを毛髪に十分に固定させることが可能な毛髪処理方法および毛髪処理剤を提供する。
(3) 発明の名称:シャンプー組成物(特許庁公開日2010-07-08)→毛髪のすすぎ時に、毛髪の柔らかさを高め、きしみ感を低減できるシャンプー組成物を提供する。
(4) 発明の名称:毛髪処理剤(特許庁公開日2010-06-24)→ヘアカラー処理により損傷を受けた毛髪であっても、毛髪のしっとり感に優れ、毛先まで良くまとまり、毛髪に触れたときの毛先までの均一感を良好にすることができる毛髪処理剤を提供する、など続出している。
グローバル構想についても、「日本は基盤、北米は象徴、アジアは成長戦略、欧州は源泉」と機能配分し、「米国ではフィールド活動の基盤創りと合わせ、Los Angelesに拠点を作ります。アジアでは、2012年に北京、2014年には釜山に拠点を設立する」と述べている。
SANARI PATENT所見
毛髪文化のグローバルな多様性と、民族の毛髪生理の特異性に対応する研究が必要であろう。日本では、女性人口の58%をアラフォーが占めるという人口動態の、大都市・郊外エリア間反映などキメ細かい社会的考察も行っている模様である。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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2010年8月9日月曜日

Kewpie Aspires to Contribute to a Well-Accepted Dietary System Globally 

キューピーの増収増益、新商品多様化と中国・タイ市場展開
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キューピー(東証1部)の事業報告(2009-12-01~2010-05-31)が届いた。
今次キューピー報告書は先ず、「中期経営計画戦略を着実に実行し、増収・増益となりました」と述べ、特に「食品物流業界においては、燃料価格の上昇基調での値動きや消費の冷え込みによる荷動き減少の中、競争激化の情勢のもとで、連結対象範囲の拡大が売上増に寄与したことに加え、運送機能や倉庫内業務の再構築に向けた合理化策で増収増益しました」と述べている。
さらに海外では、中国への一層の浸透、タイのフードサービス市場の開拓やメレーシアへの進出を図るなど、東アジアでの拡大を推進する旨を述べているが、味の素やキッコーマンと同様、グローバルに愛好される多様化キューピー商品の開発が予想される。食品物流や海外市場展開に積極的なキューピーは、知財開発が活発で、例えば最近の特許公開発明を見ても、
(1) 発明の名称: 多層プラスチック容器およびその容器を用いた容器詰め酸性水中油型乳化食品(特許庁公開日2010-07-29)→ 長期間に渡って酸素透過を実質ゼロに保つことのできる多層容器、特にマヨネーズ等に用いるスクイーズボトルを開発する。
(2) 発明の名称: カートリッジおよびそれを用いたカートリッジ式ガンディスペンサ(特許庁公開日2010-07-29)→ カートリッジ型容器の手軽さと、フィルム容器に匹敵するコストで、しかも前面に設けられた複数の開口弁を具有する蓋と本体」フィルムの袋の内にペースト状食品を充填密閉したカートリッジを提供する、など。
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2010年8月8日日曜日

Japanese First Intellectual Property Fund Starts 

産業革新機構が日本最初の知財Fund設立決定
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リーマンショク前には、起業の資金調達源を多様化するなど、Fundの機能が強調され、経済産業省にも幾つかのFund研究会が設けられていたのだが、米国等でFundが悪役とも目され、Fund論は暫く下火になっていた。しかし、日本経済成長のため知財による起業とイノベーションは必須であり、このたび産業革新機構は、「わが国初の知財Fundの設立を決定」と題して、次のように発表(2010-08-06)するに至った。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 知的財産ネットワーク株式会社と株式会社産業革新機構は、日本初の知財Fund「LSIP」(エルシップ)設立を決定した。
2. LSIPは、Life Science系の知的財産を対象として投資する。Bio-Marker、ES幹細胞、癌、Alzheimerの4分野を対象として、大学・公的研究機関の垣根を超えて知的財産をbundlingし、価値を高めた上でlicenseすることにより、革新的な技術の実用化や、ventureの創出によるLife Siense産業の発展に繋げる。
3. LSIPの運営には、大手製薬企業の知的財産第一線で活躍してきた専門家を中心メンバーとする「知的財産戦略ネットワーク株式会社」(IPSN)が当たる。
4. 産業革新機構は、LSIPに対して10億円を限度として出資する。大手製薬企業を中心として、民間企業の出資も検討されており、既に武田製薬が出資を決定した。
SANARI PATENT所見
産業革新機構は、特別法に基いて設立された投資会社である。従って、投資対象事業は、社会的意義や革新性と共に、収益性が求められる。投資の決定は、法定の「産業革新委員会」により行われ、基本的には投資会社に出資して株式を取得し、対象会社と一体となって企業価値を向上させ、一定期間後に保有株式を売却して投資資金を回収する。この過程は、「Open Innovationによる次世代産業を育成し国富を増大する」missionを実現すべく、案件の組成、投資実行、投資後Value Up、投資回収の各段階から成る。
新たな産業行政の在り方として、成功と発展が望まれる。
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2010年8月7日土曜日

Japanese Enterprises Acquire Intellectual Property Brains in China 

日本の中国現地法人、知財人材を中国で開発獲得
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人口も自動車の国内販売台数も世界首位、GDPも世界2位の中国は、文字文化・歴史・地理的に近接した日本の企業が、中国企業と提携してその発展に携わるべき最重要な新興国である。従って、既に日経ビジネス(2010-06-14)が伝えるように、トヨタ自動車は、中国で数百人の技術者を採用し、大規模な開発拠点を常熟市に設置して、中国での研究開発を本格化する。既に天津市で、トヨタ単独の研究開発のために300人の中国人を雇用しているが、常熟市に新拠点が完成すれば、低価格の小型車などの開発を加速する。
日産自動車も、中国との合弁会社が好調だが、中国で人気を高める要素、例えば競合車と比べて「見た目が大きく見えること」、「後部座席を広くして、友達を乗せた際に自慢できること」など、中国人の知財スタフに開発させている。自動車の部品メーカーにおいても、現地の事情と規制に即応するため、中国人の知財人材が適応する。
富士通総研でも、「日本のメーカーは自国内での研究開発にこだわってきたが、中国の成長を見て、姿勢を変化すべきである」と考えている。
すなわち、世界最大の市場・中国で、知財頭脳の開発獲得をも、中国の産学連携を基盤として、現地化することが日本ほか先進国の戦略となってきた。
翻ってわが国2010-03大学卒の39.2%、8万7000人が2010-05時点で未だ進学も就職もしていない(文部科学省)。高校卒で進学も就職もしていない5万9000人を合算すると14万6000人が知財人材たる発走点に立っていないのではないか。続々発表される上場企業の決算は売上高は微増でも利益は大幅に増加して、収益体質を確保しつつあるが、その要素は人件費の圧縮であり、わが国大卒高校卒の採用数は前年度比むしろ減少していることに、構造的課題を認識しなければならない。
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2010年8月6日金曜日

NTT DOCOMO and DNP to Partner in E-Publishing and Retail Business

  Hybrid Digital/Physical Bookstoresのシステムを構築
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NTTDOCOMOとDNP(大日本印刷)が「電子出版ビジネスで提携」を共同発表したが(2010-08-04)、 韓国のサムスン電子やLG電子が、NECと共に端末供給者として提携するというグル-プの国際性と、「KDDI・ソニー・凸版印刷・朝日新聞社」「ソフトバンク・アップル」「アマゾン」「グーグル」「シャープ」「角川」「日本電子出版社協会加盟35社(2010-07-31現在)、丸善などグル-プリアル書店およびオンライン書店の活動が交錯する分野の、横断・垂直提携として注目される。上記共同発表の内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) NTTDOCOMOとDNPは、ケータイ向け電子出版ビジネスにおける業務提携に向けて基本合意に至った。
(2) 今後、携帯電話やタブレット端末など(SANARI PATENT考察: 呼称としては「携帯電話やタブレット端末など」を総称して「ケータイ」と呼ぶことをSANARI PATENTは提唱する)、多様化する通信端末で、顧客が何時でも何処でも利用できる電子出版市場の発展と、紙の書籍と電子出版コンテンツのhybrid型サービスの普及に向けて、コンテンツの収集から配信、電子書店の運営までを一貫して行う事業を今秋開始する。
(3) 基本合意の主たる内容は、「NTTDOCOMOユ-ザ-を核とする利用者層向け電子出版platformの共同構築」「書籍・コミック誌・雑誌・新聞など10万点を超える電子出版コンテンツの収集・電子化・販売」「NTTDOCOMOの携帯電話・スマートフォン・タブレット型端末・電子書籍専用端末など、様々なdeviceに対応する電子書店サービスの運営」「DNPグル-プのリアル書店(丸善・ジュンク堂・文教堂)やオンライン書店ビーケーワンと電子書店との連携」「NTTDOCOMOユーザー5600万人とDNPグル-プのリアル書店を利用するユーザーに向けた新たな読書市場の創出」である。
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2010年8月5日木曜日

Current Situation of Japan Electronic Publishing Association etc. 

日本電子出版協会 hほか電子出版関係諸団体の活動状況
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ケータイ通信大手3社がそれぞれの提携企業と共に電子書籍に競うことが、NTTドコモ・大日本印刷の提携発表(2010-08-04)で明確となったが、日本電子出版協会関係の業界団体は、業歴最古の「日本電子出版協会(JEPA)」(Japan Electronic Publishing Association)を始め、「電子出版制作・流通協議会(AEBS)」(Association for E-publishing Business Solution)(2010-07-27設立)、「日本電子書籍出版社協会(EBPAJ)」(The Electronic Book Publishers Association of Japan)(2010-02-01設立)と、大規模協会のみでも3協会が並立している。
上記3団体のうち、設立後半年を経た日本電子書籍出版社協会は、新たにエンターブレイン社が会員に加わって、会員数35社となったが、会員の動向を迅速にネットしている。例えば、
(1) ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社が、「電子書籍配信に関する事業企画会社を設立」のリリースを出した(2010-05-27)。
(2) 当協会としては、本件について、事前にお話しを伺っていない。
SANARI PATENT所見
現在の日本電子書籍出版社協会会員は、朝日新聞出版、アスキーメディアウワークス、エンターブレイン、学研、角川、河出書房、幻冬舎、講談社、光文社、実業の日本社、集英社、主婦の友社、小学館、祥伝社、新潮社、世界文化社、ダイヤモンド社、筑摩書房、中央公論新社、東京書籍、東洋経済新報社、徳間書店、日経BP社、日本経済新聞出版社、日本放送出版協会、早川書房、PHP研究所、扶桑社、双葉社、ぶんか社、文芸春秋、ポプラ社、マガジンハウス、丸善、山と渓谷社である。
電子出版事業に関する法環境の整備と提言について、活発な活動が望まれるが、そのHP「電子文庫パブリ」を見るだけでも、社会経済文化のトレンドを把握するため、極めて有用である。例えば、「ブラックタイで革命を」「日中百年史」「ドレスシャツの野蛮人」など。
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2010年8月4日水曜日

Dispersion and Synergy of Multiplied ORIX Business

 ORIXのビジネスモデルと中国発展・米国企業買収
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(3)(承前2010-07-31記事)分散化事業の経営方針→ ORIXでは、「一つの事業が仮に独立しても、上場会社になれる位の力を付けることが重要と考えている。その一方で、単なるコングロマリットにならないよう、各事業に横串を入れてネットワークを形成してきた。ORIXとしての求心力の創出が、同時に必須である。
(4) ORIXの2011-03期戦略→ 目標は先ず全セグメントの黒字化で、ORIXの中長期成長持続のため、既存事業の成長余力を発揮する。これに加えて「アジアでの事業拡大と」と「金融+サービスの推進」を基本戦略とする。
(5) 中国始めアジアには→ 日本にはない収益機会があるから、日本で推進した事業多角化をアジア諸国で、ローカルパートナーとの関係を強化しつつ拡大する。大連市に設立した中国本社を中心に高収益案件を発掘する。
(6)「金融+サービス」は→ ORIXの基盤である金融に、サービスという付加価値を付けるということである。各案件について、金融取引のみでなく顧客の利益に繋がる付加価値を加えることは、ORIX高度な専門性を活かし得る分野である。
(7) 複眼的判断に必要な財務余裕と成功率→ 現行事業のうち現収益事業だけを残しがちだが、将来を見通して先が期待できれば現在赤字でも残し、将来性がなければ現利益事業でも撤退する複眼視点が必要で、その判断には財務的余裕を要する。ORIXは様々な事業に成功しているように見られるが、新規事業の成功率は2割程度である。失敗の仕方を上手にしている。
SANARI PATENT所見
 大手の金融機関やメーカー系統のリース会社が特長を競っているが、「ORIXは総合リース国内首位、リテールは証券など売却だが、生保好調、海外好伸、不動産の賃貸利回り向上」と見られている(会社四季報)。2010-05に買収した米国REDキャピタルは事業用担保ローンを組成し、回収業務で手数料獲得のビジネスモデル」(同)で、日本のファクタリングとの異同が注目される。
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2010年8月3日火曜日

Phases of ORIX Strategies for Changing World Economy Structure

ORIX事業構造 の環境即応変容と利益確保の態様
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(8)(承前2010-07-30記事)不動産販売収入については、需要の後退に対応して新規開発を抑制してきたが、賃貸不動産の売却も控えた。
(9) アドバイザリー業務収益が米州で増加し、船舶関連収益がアジアで増加した。
(10) 子会社オリックスクレジットの株式51%を三井住友銀行に譲渡し、また、オリックス証券株式会社の全株式とメネックスグル-プ株式会社の株式22.5%の交換により、175億円の利益計上を得た。
(11) 海外の持分法適用会社の貢献などにより、持分法投資益86億円を得た。
◎ SANARI PATENT所見
 ORIXの2010-03期純利益が前期比72%増など好調を示したことをめぐって、今次ORIX報告には学識者等に対するトップの応答が披歴されたが、以下に注目点を編集しておく。
(1) 「製造業の環境」と「金融関連サービス業の環境」の変化様相の対比→ リーマンショックの前後で市場のルールが変わり、製造業では、新興国向けをも中心に「モノづくり」しなければならない時代となったが、商社を含めて非製造業では未だ次のルールが見えていない。特に金融の世界では、リーマンショック以前には、「金融の世界は完璧な市場に向かって進化を続けている」という前提が生きていた。全ての取引がその前提で行われてきたのに、その完璧に向かっていた筈の市場がもろくも崩壊してしまった。それでも崩壊以前のルールだけは残っているから、リーマンショックの後遺症から未だ完全には脱却できていない(SANARI PATENT考察: そのような状況のもとで、ORIXのような弾力的金融業務が機能する局面が増えているのではないか)。
(2) 「総合」か「選択と集中」か、を経て「分散」へ→ ORIXが金融危機の中でも黒字経営を緯持できた背景に「分散化」があったかと言えば、結果的に分散したので、意図的にではない。ORIXには現在、6つのセグメント(メンテナスリース、法人金融サービス、不動産、投資銀行、リテール、海外)があるが、事業の柱としては15から20ほどあり、既存部門に隣接する成長性ある事業を手掛けていった結果、その事業が発展して収益源に育った。(以下次回)
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2010年8月2日月曜日

Prime Minister N.Kan as Japan Patent Attorney

 弁理士としての菅総理大臣
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菅直子・総理大臣夫人の著書「あなたが総理になった、いったい日本の何が変わるの」が大好評だが、弁理士出身総理大臣の記念に、その記述の関係箇所を摘記しておこう。
(1) 菅は、東京工大を卒業しても、大企業に入るのは嫌だ。何か資格を取って、自立したいと言って、特許の申請を扱う弁理士を目指すことにしました。この試験は難しく、そう簡単には合格できません。実際、菅は四度目で合格。それまでは、大きな特許事務所で働くことになっていました。(SANARI PATENT注: 婚約時代のこと)
(2) 私(伸子夫人)としては、近い将来、菅は弁理士となり、やがて独立して自分の事務所を開くのだろう、と思っていました。
(3) 弁理士は、真面目にやれば、割と報酬が良い仕事なのです。知り合いの弁理士の先生は、立派な家に住んでいらっしゃいます。ですから、将来は弁理士の奥さんとして、悠々自適に暮らせるだろうと思っていたわけですが、そうはいきませんでした。
(4) 菅の父は、三菱商事に就職したのに、創業当初の宇部曹達の社員になったという、大組織を辞めるタイプで、菅も、特許事務所に就職し、やがて資格をとって独立しました。その菅が、日本最大の組織である政府のトップに立つのですから、世の中、不思議なものです。
(5) 菅のプロフィールには必ず、「弁理士」とあります。いまは、さすがにごく細々としか弁理士の仕事はしていませんが、議員になってからもかなりの間は、しっかりと二足のわらじを履いていました。
SANARI PATENT所見
菅弁理士・総理大臣は、内閣知財戦略本部の本部長として、コンテンツを含む知的財産全般の政策の最高責任者であるが、例えば、数年前の諫早市視察などの具体的案件においても、弁理士としての知見を発揮していることが報道されている。諫早市内のバイオマスプラントを一目見るなり、「これは画期的な発明ですね。特許を取りなさい」と、知り合いの弁理士を紹介している(週刊新潮2010-07-01)。
伸子夫人自身も、サミットで各ファーストレディへのプレゼントとして「漆塗りの美しい箔絵が描かれたUSBメモリー」や、折り畳んで風呂敷パックの形にした風呂敷を、「日本古来のエコパックです」と進呈したり、日本のファッションを、リメイク自在の日本着物姿で外交していることは、ソフトパワーの最たるものである。
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2010年8月1日日曜日

Intellectual Property Disputes Judgments of China, Korea, Taiwan

中国・韓国・台湾の知財判決研究の必要性高まる
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情報通信分野など、中国・韓国・台湾の国際競争力が著増し、日本企業が知的財産権侵害により提訴されるケースも増加しつつある折柄、香港拠点の聯合専利商標事務所のNews Report(C Site2010-07-31)解説の判決理由(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) 「販売の申し出」の意味(台湾知的財産裁判所)→ 特許法に別段の定めがある場合を除き、特許権者の同意なしに、他人が特許権に係る物を製造し、販売の申し出をすることはできないが、「販売の申し出」は売価の提示を要件とする。本件被告はインターネット上に、この係争のミシンを掲載したが、売価の提示がないので、映像のミシンに特許権侵害の事実が顕示されているか否かに関わらず、「販売の申し出」による特許権侵害は認められない。
(2) 「商標の権利不要求」(台湾の制度)→ 商標出願人は、商標に説明的または識別性を有しない事項を含む場合には、その部分を権利不要求とすることにより、その商標の登録を取得できる。また審査官は職権により、該当部分を権利不要求とすることができる。例えば、「福田真珠」の指定商品は真珠だが、「真珠」は通用名称であり、権利不要求対象である。
(3) 識別性を有しない文字・商品名称などの組合せは権利不要求対象である→ 例えば「経典手工巧克力」の「経典」は「古典的」、「手工」は「手作業」、「巧克力」はチョコレートで、「古典的な手作業によるチョコレート」の意味だが、いずれも権利不要求対象で、従って、その組合せも権利不要求対象である。
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