2010年8月13日金曜日

The Dollar Tumbled to a 15-Year Low versus the Japanese Yen 

円高影響の評価を総合的に行う必要性
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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15年ぶりの円高水準で、「急回復の製造業に冷や水」といったマイナスマスコミが盛んだが、どの程度の冷や水なのか、プラスマスコミは無いのか、合算すればどうなのか、余り考えていないようだ。対ドルで1円・円高になると、年間の営業利益がトヨタ自動車で300億円、日産自動車で150億円、ホンダで170億円、日立製作所で37億円、富士通で15億円、各減ずるというような数字も、マスコミで流通しているが、対ドル90円の想定が84円となれば、トヨタの年間3300億円営業利益予想(2011-03期)(2010-08-04トヨタ発表)は1500億円(300*6を減算)、日産の同1620億円は720億円になるという具合で、まだ抵抗力は十分のようにも見える。(SANARI PATENT考察: 本当に、このように見て良いのかどうか。日産のカルロス・ゴーン社長は、「円が毎年1円上がるのであれば、生産性の向上などで適応していけばいいんですが、問題は、たった1年でドルに対して115円だったのがいきなり88円になることです。これに対応することは不可能です」とTV東京で語っている(2009-01-05)。115-88=27に、150億円を乗ずれば4050億円で、たしかに、対応不可能であろう。つまり、「過度な為替変動」が恐ろしいということにもなる)。
一方、サントリーは、ビールについては現状が続けば年間20億円近くの原料調達コスト減になるという(朝日2010-08-11)。電力・ガスなどの輸入エネルギー源依存産業、原料ナフサ輸入の石油化学工業界、農産物原料輸入のその他食品業界については、プラス計算の表示がない。
日本自動車工業会は志賀俊之会長名で次のように述べているが(2010-08-09)、数字は示していない。
(1) 急激な為替変動は、企業活動に多大な影響を及ぼすものであり、グローバルに事業展開している自動車業界にとって、その影響は大きい。
(2) 特に、昨今の主要各国通貨に対する円の為替水準は、想定を超えた円高状況にあり、国内生産や雇用に大きな影響を与えかねず、業界として大変危惧している。
(3) 政府におかれては、国際強調の下での為替の安定化に向けた対応をお願いすると共に、あわせて、回復基調にある景気が腰折れ所見ことのないよう、適切かつタイムリーな経済運営の実施をお願いしたい。
日銀総裁は昨日(2010-08-12)、次のように談話した。
「最近の金融資本市場の動きを見ると、米国経済の先行き不透明感の高まりなどを背景に、為替市場や株式市場では、大きな変動が見られている。日本銀行としては、こうした動きや、その国内経済に与える影響について、注意深く見ていく。」
野田財務大臣は、緊急記者会見(2010-08-12)で、「過度な為替変動は、経済や金融に悪影響を与える。重大な関心をもって極めて注意深く見守る」と述べた。
SANARI PATENT所見
EUでは、円高への介入に反対する意向を示した(Reuter2010-08-12)。ユーロ安が欧州圏の輸出増大に有利だからと解される。上記財務大臣記者会見で、「為替介入の可能性」についての質問に対して、「介入についてはコメントを控える」と応答している。いずれにせよ、円高の得失を全産業分野について、計数的総合的に、政府が示すことはできないのか、先ずそれを明示すべきである。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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