2012年1月31日火曜日

コンテンツ淵源としての宗教法人

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文学・音楽・絵画等々、アンログ・デジタル両コンテンツの淵源として、宗教ないし宗教法人の比重は極めて高い。グローバルコンテンツとも称すべき宗教法人から地域コンテンツとも称すべきローカル宗教法人に至るまで、それらのソフトパワーが浸透している。しかしまた、他の文化関係法人に比し、その実体が知られていないのも宗教法人である。現在、全国宗教法人の数は約18万3000と推計されるが、Mainichi.com 2012-01-30は、「宗教法人、把握が不徹底、名簿未提出率、都道府県で差」と題し、次のように述べている(SANARI PATENT要約および補完)。
1. 宗教法人が提出義務ある役員名簿などの未提出状況が判明した。複数都道府県単位で活動する1065法人は文化庁、都道府県単位の18万2521法人は都道府県が所轄している。
2. 2010年初現在で、上記計18万3586宗教法人のうち、神道系は8万5323、仏教系は7万7700、キリスト教系4509、諸教1万9438である。
3. 宗教法人は、お賽銭やお布施などが非課税のため、活動実態の無い宗教法人が売買され、不適切な使途の場合もある。
この際、昨年改正(2011-06-24)後の宗教法人法の要点を見ておく。
1. この法律は、宗教団体が、財産を所有・維持・運用し、目的達成のための業務・事業を運営することに資するため、法人格をあたえることを目的とする。
2. 「境内建物」には附属の建物・工作物を含み、「境内地」には境内建物・工作物が存在する一画の土地とその定着物、参道、尊厳・風致維持のための土地、歴史密接縁故土地、災害防止土地を含む。
3. 宗教法人は、代表役員その他の代表者(選任方法は規則でさだめる。規則の制定改廃には、所轄庁の認証を要する)がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。目的範囲そとの行為についても行為者・賛成責任役員等は同様。
4. 宗教法人には三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。
5. 代表社員は、規則に別段の定めがなければ、責任役員の互選によって定める。
佐成重範弁理士所見→地域コンテンツの振興においては、地域宗教法人と連携することが奏功する場合も多く、宗教法人の法的性格と実態を知悉することが重要である。
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2012年1月30日月曜日

特許戦略に対する内閣知財戦略本部学識経験者の期待

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「日本に特許出願すれば、世界で一番速く、強い権利が取得できる」となれば、日本の特許のグローバルな相場観を形成することができる」という意見が述べてられている。ここに「相場観」という用語が突然飛び出しているが、発言者はおそれらく、日本の特許庁に対する評価という程度の意味合いでいったのであろう。しかし「世界で一番速く付与された特許」は、「世界で最も「従来技術」から想到可能」として特許無効の訴訟対象になり易いことを、佐成重範弁理士は特に指摘しておく。従来技術の調査を徹底・完璧にすることは、グローバルな従来技術の徹底・完璧な調査を前提とするから、後行審査が日本特許庁の審査の遺漏を発見する機会は、むしろ多いと警戒すべきである。
「企業の新事業を支えるパテントポートフォリオ構築のため、企業が望む特許網を適時に権利化することが重要」という意見が述べてられている。これは企業の特許戦略がそのように在るべきだという意味に佐成重範弁理士は解する、
「国際的に遜色のない品質管理の体制の構築が必要」という意見が述べてられている。「特許の品質」すなわち、「特許の法的安定性」を望む趣旨と解するが、出願者である企業が、先行技術調査を完璧に行い、特許発明の訴訟能力を強力に持つ請求項の構成を行うべきであると、佐成重範弁理士は考える。
「審査基順番待ち期間の短縮により、公開前に特許査定されるものが増加し、特許前に第三者の情報提供できる機会が減少する」という意見が述べてられている。公開は先ず出願者の請求に基いて行われるから、出願により先願権を確保すると共に、出願者も、提供可能性ある情報の収集把握に努めて、対応措置することが当然と、佐成重範弁理士は考える。
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2012年1月29日日曜日

知財システムの競争と調和

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内閣知財戦略本部の新政策が、「競争と調和」を合言葉に掲げて策定されつつあることは極めて注目すべき動向であり、今月会合における論点からこれを考察する(SANARI PATENT要約)。
1. 「競争と調和」は、国際競争力強化と国際標準化主導の両側面を併進させる戦略である。
2. そのため先ず、わが国産業のグローバル展開のためのインフラを整備する。わが国の知財システムの利便性を向上すると共に、国際的な知財システムと調和させつつ、グローバルネットワーク時代に即応する。
3. わが国の知財イノベーションの環境を整備する。このため、テクノロジーとデザインの融合領域を強化し、産学連携・ベンチャーにより知財創造力を強化し、中小企業の知財活動を強化する。
4. 戦略的な国際標準化活動の実効強化のための環境を整備する。すなわち、オープンイノベーションを産業競争力の強化に繋げるため、戦略的な国際標準化活動の実効環境を整備すべく、グローバルネットワーク時代に対応した国際標準化活動の基盤を整備し(佐成重範弁理士考察:このような発言においては、デファクト標準化とデジュリ標準化について分説することが必須である)、また、中小企業による戦略的な国際標準化活動を推進する。
5. グローバルネットワーク時代にの知財イノベーションに資する人材を確保する(佐成重範弁理士考察:文理融合型人材であるべきことを先ず強調すべきである。
上記の具体的展開方策について、C Siteに要約する。
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2012年1月28日土曜日

ドリンクの多品種多様化と紙容器のイノベーション

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多業種から参入で多品種多様化、競争激化のドリンク業界は、紙パックなど紙容器のイノベーションも差別化の用具となっているが、紙容器の側から見ると、そのイノベーションは、缶詰の缶代替となり得たり、掃除機の紙パックの処置簡便化であったり、これまた多様である。この年末年始にも多くの発明が特許庁公開されているが例えば(SANARI PATENT要約)、
1. 出願人:大日本印刷株式会社、発明の名称「紙容器」(特許庁公開日2012-01-19)→従来の紙容器に比し、より優れた保香性と耐熱性を有する紙容器を提供する。
2. 出願人:シナプス・リンク・コーポレーション、発明の名称「飲料容器の開封と同時に気密が壊れて密封された香りを放出するシール」(特許庁公開日2012-01-05)→容器入り飲料の抽出、搾汁後の飲料の香りの低下を解決し、飲料本来の芳醇な香りと共に飲料を飲むことができる、新たな容器入り飲料を提供する。
3. 出願人:日本製紙株式会社、発明の名称「ガスバリア性包装材料」(特許庁公開日2012-01-19)→紙容器の材料として使用するのに好適であり、最表層に樹脂層を設けた包装用材料であって、リサイクル性と、高いガスバリア性を有する包装材料、および、それを用いた包装容器を提供する。
4. 出願人:大日本印刷株式会社、発明の名称「レーザー光を用いた印刷物の作成方法および印刷物」(特許庁公開日2012-01-19)→IDコードーを容易かつ確実に付し得る紙容器を提供する。
5. 出願人:日本テトラバック株式会社、発明の名称「紙容器の開閉再栓装置」(特許庁公開日2012-01-05)→コストが安く簡単な構造で、紙容器の開封および再栓を可能にする紙容器の開封再栓装置の技術を提供する。
6. 出願人:有限会社ヘンミ総合事務所、発明の名称「使い捨て削り節「だし用花かつおパック」(特許庁公開日2011-12-22)→沸騰した湯にバックを入れ、2~3分持ち、パックを取り出してそのままパックを捨てる作業で、本格だしをつくることができる「使い捨て削り節パックを提供する。
7. 出願人:大日本印刷株式会社、発明の名称「ハイバリア性紙容器」(特許庁公開日2011-12-08)→湿気や酸素等を嫌う内容物であっても、これを個別包装することなく、紙箱内に直接収容可能な、バリア性の高い紙容器を提供する。など。
佐成重範弁理士所見→ドリンクと紙容器の双方がイノベートされ、保存性(節電にも直結)、嗜好性を向上することが歓迎される。なお、掃除機用の紙パックも生活に馴染み深いが、そのイノベーションの発明が、三菱電機出願で、最近、特許庁公開されている。
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2012年1月27日金曜日

来月22日が締切、太陽光発電の余剰電力買取価格案に対する意見

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東電の値上げ案も契機となって「東電離れ」の実績?(SANARI PATENT注: どの程度の先見性があるか、疑問)も増大しつつあるが、電力価格への競争導入は供給安定体制整備のもとに進捗を要し、その環境構築の一環として、太陽光発電の余剰電力買取価格の設定が具体的にどのようになさるべきか、極めて重要である。従って、経済産業省が「太陽光発電の余剰電力買取価格案に対する意見」を公募していることに対しては、積極的に意見を表明すべきである(提出期限2012-02-22)。提出先は資源エネルギー庁新エネルギー部エネルギー対策課再生可能エネルギー推進室。根拠法令は、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー源の有効な利用の促進に関する法律。
意見対象の案(2012-01-25)は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 太陽光発電の余剰電力買取制度における買取価格については、太陽光発電設備の実導入状況や市場価格推移などを注視しつつ、毎年度見直す。
2. ただし、再生可能エネルギー特措法が2012-07-01に施行されるので、平成24年度の余剰買取制度の買取価格は、2012-04~06の3ケ月間のみ適用される。
3. 2012-07以降の新制度の価格は、今後決定するが、2012-04~06において新たな買取価格を適用した場合に、短期間に何度も買取価格を変更することとなり、無用な混乱を起こす恐れがあるので、2012年度については、6月までの3月間に限り、2011年度の価格を延長する。
4. 従って、2012-4~06に電力会社に対して新たに買取契約を申し込んだ太陽光発電設備に対する買取価格は、10kW未満の住宅用太陽光発電設備についてはkWh42円、上記で自家発電設備が併設されている場合は、kWh34円、など以下、非住宅について各態様に応じて定める。
佐成重範弁理士所見→ 東電等の電力単価改定の帰趨が未定であり、特に非住宅用について、今後の政策に反映されるべき意見の表示が、制度の理解を深めるためにも必要である。
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2012年1月26日木曜日

中国政府の「自主創新能力向上政策」における「原始創新」「集成創新」

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TPPほかあらゆる政治外交経済政策において、中国への関心は高まる一方だが、知財政策についても、経済産業省産業構造審議会知的財産部会が知財政策について見解を示しており、その内容をここに要約して今後の指針としたい。
1. 中国は、「自主創新」の能力向上を国の方針としているが、その前提である現状認識は、
1-1 中国市場を外資に開放したが、国際的な民族系企業が輩出するに至っていない。
1-2 労賃上昇により、安価な労働力依存の低コスト競争は維持できない。
1-3 高技術力の外資企業が利益の大部分を享受している。
2 従って中国は、産業構造を労働集約型から知識集約型に転換し、国際競争力を高めるため、研究開発能力の向上を必須とする。自主創新の主体として企業を位置付け、財政・税制・金融等の支援を積極化する。特に研究開発費の対GDP比率を、2020年度までに2.5%とする。なお、中国・国家中長期科学技術発展規画綱要によれば、自主創新とは国家創新能力を増強することであり(佐成重範弁理士所見:創新は国家の能力だが、増強する主体は企業という意と解する。極めて適切な考え方である)、原始創新、集成創新、技術導入、その消化・吸収による再創新の強化をいう(SANARI PATENT所見:「原始創新」はいわば純発明、「集成創新」は、特許審査基準の「新たな組合せの発明」に見合っていると解する)。
3 中国国家知識産権局(SIPO)は、2015年の目標として、特許意匠の年間出願件数200万件(SANARI PATENT注:日本の約5倍)、中国人に対する特許権付与年間8万件(佐成重範弁理士所見:出願数とのバランスを欠いている。80万件のミス出力であろう)。
4 特許出願件数が増えただけでは、産業構造の転換に繋がらないから、特許権の産業化や譲渡、ライセンスを積極的に進め、知財を担保とする融資制度を整備する。(佐成重範弁理士所見:この項は、わが国でもおおいに考慮すべきである。)
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2012年1月25日水曜日

次世代ネット社会の問題点をどう捉えるか

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次世代ネット社会は、デジタル化・ネットワーク化が質量共に発達して形成されるが、その問題点をどのように捉えるか、内閣知財戦略本部の論点整理を考察する。
1. クラウドコンピューティングの発展に伴って、映像などコンテンツ通信量が増大し、海外や移動通信での視聴に、遅延やロスが生じているとの指摘があるが、コンテンツユ-ザ-の視点からは、その原因が明らかでないため、情報通信インフラに関する議論が噛み合わない。(SANARI PATENT考察: 光ファイバネットワークによって情報流通容量は画期的に増大し、いわゆるブラックファイバの活用が課題とされてきた。一方、遅延やロスの現象は確かに存在し、ネットワーク全体の均衡ある発達がなされていない、すなわち、隘路・不均衡の存在として認識すべきであろう)。
2. クラウド型サービスに海外プラットフォームが進出する一方、わが国では、クラウド型サービスが著作権侵害に該当するとされる場合があるなど、法的リスクの指摘もあり、新規ビジネスの創出を委縮させているとの指摘がある。また、コストやセキュリティなど、日本発クラウド型サービスを促進するために解決すべき課題が生じている。
3. 電子書籍交換フォーマットの策定など、電子書籍の市場形成に向けた基盤が整備されつつあるが、電子書籍をめぐる国内外の動向は加速しており、本格的な市場形成に向けての取組が求められる。(SANARI PATENT考察: 関係府庁の連携不足と見られているが、その解消こそ内閣知財戦略本部の本務であろう)。
従って、現在、次のように検討を進めるとしているが、今更、「すべきではないか」と疑問符で結ぶべき課題か、と言いたい。
(1) 情報通信インフラについて、コンテンツユ-ザ-の視点に立ち、遅延等の問題を見据え、更なる情報通信インフラの整備の在り方を検討すべきではないか。
(2) クラウド型サービスの法的リスク解消に向けた著作権法等の制度上の課題への対応をはじめ、コンテンツ強化の観点から、クラウド型サービスをめぐる情勢認識および今後の課題について整理し、必要な措置を講ずることが重要ではないか。
(3) 関係府庁が連携した取組について、国内外の最近の動向を踏まえ、新たな課題と工程を整理し、電子書籍市場の本格的な市場形成に向けた取組を加速化すべきではないか。
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2012年1月24日火曜日

スマホ普及・情報蓄積の質・量拡大へ総務省対応

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スマホの国内出荷台数と全ケータイ端末出荷台数に占める比率について総務省は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。ただし、スマホの定義が確定しているのではない旨、総務省自身も別途述べているのだが。
1. スマホの国内出荷台数は、2009年度上半期106万台から、同下半期128万台、2010年度上半期223万台、同下半期632万台、2011年度上半期1004万台と著増した。
2. 全ケータイ端末出荷台数に占めるスマホの比率も、2009年度上半期0.7%から、同下半期6.2%、2010年度上半期11.7%、同下半期34.1%、2011年度上半期49.5%と著増した。
3. 今後、2011年度2330万台・56.0%、2012年度2367万台・60.1%、2013年度2706万台・66.7%、2014年度2896万台・69.9%、2015年度3056万台・74.0%と著増が見込まれる。
スマホにおける利用者情報の蓄積内容は、通話履歴・位置情報・映像写真情報・e-mail・SNS・ネット閲覧履歴・商品購入履歴・アプリ利用情報・ゲーム利用情報・店舗検索情報などに拡大している。従ってライフログ、すなわち、蓄積された個人生活の履歴を活用するビジネスが増大することは必至であり、利用者視点のICTサービス問題を考究することが急務である。
総務省は、「広報、普及・啓発活動の推進」「透明性の確保」「利用者関与の機会の確保」「適正な手段による情報の確保」「適切な安全管理の確保」「苦情・質問への対応体制の確保」を掲げているが、その実施速度が課題である。
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2012年1月23日月曜日

リチウムイオン電池の世界市場シェア

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次世代産業のコア部材として、リチウムイオン電池の供給動向が極めて重要であることは周知だが、先ず市場シェアの現況など基本的な把握から見ると、日経の業界地図2012版は、日本メーカーのリチウムイオン電池販売金額2010年2760億円の金額シェアを、三洋電機47.0%、ソニー26.8%、パナソニック14,6%、日立マクセル5.4%、GSユアサコーポレーション4.2%、その他2.0%と表示している。三洋電機とパナソニックを合算すれば、パナソニック61.6%で6割強を占める。
世界市場シェアについて、朝日新聞(2012-01-22)は、リチウムイオン電池の世界出荷個数39億個(前期比18%増)のシェアを、三洋電機を含めてパナソニック26%、韓国サムスン20%、韓国LG14%、ソニー11%、中国BYD6%、その他23%と表示している。世界出荷個数は2016年に70億個と予測され、シェアの変動が関心の的となる。なお金額シェア(2010年)について日経業界地図2012年版は、三洋電機を含めてパナソニック29%、韓国サムスン21%、韓国LG15%、ソニー14%、中国BYD4%、その他17%と表示しているから、個数比率と対照して、荒っぽい推計ではあるが、単価の相違をうかがうことができる。
上記日経業界地図は、2010年のリチウムイオン電池(「リチウム電池セル」と表示しているが、=「リチウムイオン電池」とみなす)の世界業界規模を6000億円として、うち正極1440億円、負極320億円、セパレータ800億円、電解液560億円と概算しているので、リチウムイオン電池組立工程は2880億円と、SANARI PATENTは概算する。上記朝日記事は、「ソニーがリチウムイオン電池の生産拠点の再編に踏み切ること」「以前は日本が強かったリチウムイオン電池の分野は、韓国勢による価格競争が激化し、海外との分業が必要と判断されたこと」「2011-04~06期には韓国勢出荷数が日本国勢出荷数を上回ったこと」「ソニーは、組立工程をシンガポールと中国に移し、国内は中枢の電極製造に特化する計画であること」などを解説した。
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2012年1月22日日曜日

「ネット上複合著作物」と、これに対する「ネット上複合著作権」の難問題

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内閣知財戦略本部や文部科学省では「インターネットを通じて複数者が創作等に関与した著作物」、「これに対する著作権」と表現し、「極めて困難」「更に困難」な法的課題としているが、SANARI PATENTは「ネット上複合著作物」「ネット上複合著作権」と略称している。更に略称して「ネット上複合著作物・著作権」と呼ぶ。
内閣知財戦略本部は来年度知財推進計画を定めるため、先日(2012-01-18)にもコンテンツ関係の会議を、小学館やヤフーの専門トップクラス参画のもとで開催しているが、著作権所管庁である文部科学省は、「インターネットを通じて複数者が創作等に関与した著作物等の特徴と課題」と題して先ず、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. このような著作権物等は、「関与者が極めて多数であり、不特定または匿名であること」、「関与者の創作に対する寄与度の判断が極めて困難であること」、「共同著作物であるか、二次的著作物であるか等の権利関係の特定が困難であること」という特徴を有する者が多く、権利関係が複雑であるため、利用が困難である。
2. 現在の実態として先ず、「利用規約による取扱」は、「インターネットサービスの利用規約において、投稿コンテンツの著作権等のサービス運営者への移転や、サービス運営者および他ユ-ザ-による投稿コンテンツの利用の許諾を定めることにより円滑な利用を図っている」が、「利用契約による対応は、インターネットを通じて複数者が創作等に関与した著作物等の利用の円滑化に資するものと評価できる一方、契約当事者でない第三者との関係や、他のサービスの利用規約との互換性の問題」など、一定の限界があると述べている。
3. また、利用契約による対応は、インターネットを通じて複数者が創作等に関与した著作物等の利用の円滑化に資するものと評価できる一方、契約当事者でない第三者との関係や、他のサービスの利用規約との互換性の問題など、一定の限界がある。
佐成重範弁理士所見→「電車男」を記憶されている向きには、随分以前から問題であったのに、という印象が強いのではないか。Wikipediaなど、グローバル活用されている「一種の編集著作」についてはグローバルな合意が形成されて、その利用の便益が保持されていると言えよう。
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2012年1月21日土曜日

特許庁の審決を知財高裁が取消判決(気泡シート関連)

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合成樹脂を原料とする気泡シートは、工業用にも生活用にも用途が広汎であり、多様な機能も開発されて、重要な資材であるだけに、特許発明も活発であり、その特許性に関する紛争も多発し易い。特許庁の特許査定が特許庁の審決によって覆されたり、特許庁の審決が知財高裁によって覆されたりすることは、それ自体は、法定安定性が揺らぐ現象として好ましくないが、特許性の有無を精確に判断することの重要性は、特許制度の根幹を堅持するための必須要件であり、再審・三審制度はこの意味で不可欠である。
標題の平成24年行ケ10130号審決取消請求事件(2012-01-16判決言渡)も、この範疇に属する。すなわち、本件原告・酒井化学工業(訴訟代理人・稲葉良幸弁理士ほか)は、名称を「気泡シートおよびその製造方法」とする発明について特許権を付与されたが、本件被告・川上産業は、この特許は特許性を欠き無効であるとして。その無効審判を特許庁に請求した。特許庁は、本件被告・川上産業の請求を認容して上記酒井化学工業の発明についての特許を無効と審決したので、酒井化学工業は、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は川上産業の請求を認容して、特許庁の審決を取消した。すなわち、酒井化学工業の本件特許権は有効と判示された。争点は進歩性の有無であって、本件被告・川上産業は酒井化学工業の本件特許権を無効と主張し、特許庁審判は無効と審決したが、知財高裁は特許庁の当初査定と本件原告の主張通り、本件特許を有効と判断した。進歩性の判断は、従来技術と出願発明との異同を審査し、相違点がある場合にも、それが従来技術から容易に想到できると判断される場合は進歩性を否定される。
佐成重範弁理士所見→発明すなわち技術的思想の創作は、それが先端分野であるだけに文章表現も創作的であり、同一内容が多様に表現される場合もあり得る。従って、従来技術の表現と訴訟対象発明の表現とを、精細に対比し、異同の有無と相違の内容を解明する作業を経て、審査基準による判断が行われるが、審査基準は行政庁の内部基準であり、裁判所がその改正を実質的に触発する場合も見受けられる。
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2012年1月20日金曜日

武田薬品工業のM and A 収支計算に見る定数的評価

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およそ評価には定性的評価と定数的評価とがあって、定性的評価は抽象的主観的評価になり易く、定数的評価は算式因数の設定値に仮設を含む場合(例えば回帰方程式における将来発生利益額の現価還元利率)が多く、いわば一長一短だが、算式がなくても定数評価することが必要な場合もあり、鑑定や競争入札がその手法とされる。いずれにせよ、評価、特に知財評価を含む企業評価が適切を要求されることは、今次オリンパス事件で広く再確認されるに至った。
流石に武田薬品工業の場合は、M and Aを活発化しつつも、その経済効果を計数的に明示し、しかも契約の各過程においてその開示を行っているので、極めて透明である。今次発表(2012-01-18)「スイスNycomed社の買収」についても既に2011-05-19の段階で、「グローバルでの更なる成長に向けて」と副題し、「対価95億ユーロ(株式価値+純負債)で買収が、両社で完全一致議決されたこと」(SANARI PATENT考察: 従って、この発表当時はユーロレート110円超で約1兆1000億円と報道されたが、現時点で約9200億円)、「この買収によって、武田薬品工業が高プレゼンスを有する日米の事業に、Nycomed社の欧州・各新興国の事業基盤が加わること」「将来成長の源泉となり得る慢性閉塞性肺疾患治療薬Daxasを獲得すること」を述べている。
今次武田薬品工業の発表では、「Nycomed社の買収を完了し、真のグローバル製薬企業となるために、事業運営体制とガバナンスの更なる強化を目的として、米国イリノイ州に研究開発拠点、スイス・チューリッヒに営業拠点を設置したこと」、「これら施策の実施による合理化費用として、2011年度から2015年度まで累計約700億円を見込むが、一方、重複する機能・拠点の統廃合によるコスト削減効果を、同期間に累計約2000億円を見込むこと」などを述べている。
佐成重範弁理士所見→武田薬品工業が、M and Aについて、透明度の高い、定数的効果表示を段階ごとに行っていることを高評価したい。

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2012年1月19日木曜日

四つのメガトレンドの一つ、ビッグデータの実況

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現下世界のメガトレンドとして何を挙げるかは、立場によっても異なるが、激変する社会経済技術のグローバルな情勢に即応すべく、メガトレンドを先ず精確に把握したいということは全企業・全社会人の希求である。例えばNikkei BP netは、「勝てる経営」のためのITインフラについて、経営にインパクトを与える「強力かつ長期的な力」として、「ソーシャルコンピューティング」「モバイル」「ビッグデータ」「クラウド」の四つを挙げていた(2011-09-13)。「ソーシャルコンピューティング」とは個々の人間がコンテンツや活動を共有する利用形態、「ビッグデータ」はデータの大容量化・即時化・非定型化トレンドのことで、例えばネット上にある厖大なログなどからどのようなトレンドを読み取るかは、現代企業にとって極めて重要な作業」と解説している。
それから半年を経て早くもWBS(2012-01-16)が「重要な作業」段階を超えて「収益事業化」にも及ぶメガデータ活用状況を放映した。既にデジタルデータの集積は1.8セダバイト(1.8兆ギガバイト)に達しているが、2年で倍増する著増見込みであり、その活用は、自然科学の領域から消費者活動の解析、毎日2000万超のグログ内用語の人工知能による解析で商品・証券等の需給価格変動を予測することなど、あらゆる分野で現実化している現場を放映して、企業に、時流先導の構えを促したと、佐成重範弁理士は解する。
示した事例は例えば、来月(2012-02)開通する東京ゲートブリッジには、センサによる応力分布、歪変動などのデータが毎日億件単位でメガデータ化され、人工知能データ解析して補強・修復等の計画がアウトプットされる。
また、スーパーの買物カードの入力データもメガデータ化され、その解析は顧客の購買行動を精細に解析すると共に、購買内容に即応するレシピを、その顧客からの発信に対して応答し、現に、献立作成の手間省略を喜ぶ「クックパッド」などのサービスが盛業しつつある。
更に、連日2000万を超えるブログ、これに数倍するツイッターの用語内容を人工知能で解析し、株価や金融商品の先物取引トレンド等を予測して運用利益・アドバイス利益を挙げるプルーガAIファンドの成功例が現出している(SANARI PATENT注: AIは人工知能)。
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2012年1月18日水曜日

岡野工業(墨田区:未上場)岡野雅行代表社員の起業業績と人気

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上場会社の現況は、毎四半期の業績報告始めマスコミ報道で刻々知らされるが、ここ数年来の世界経済大変動を堂々と乗り切り、社会経済・産業に極めて有用なイノベーションを創出している未上場の岡野工業(墨田区)のような企業については、間欠的にしか知る機会がない。なお上記括弧書を付したのは、同名会社が多いので、混同に要注意のためである。
岡野工業という社名以上に高名になっており、かつ、長年高名であり続けているのが同社岡野雅行代表社員で、講演業界やハウツー出版社、経済誌が、中小企業ないし中小企業経営者の理想型として、華々しく紹介してきた。果たして現況は?と関心が持たれるが、東洋経済の「ニッポンの工場」がその現況をレポし、相変わらずの健在・活況ぶりを、慶賀することとなった。
上記レポの内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 「痛くない注射針」のうみの親、職人・岡野雅行が日本にエール!(SANARI PATENT注: このレポでは言及されていないが、10年前に知財立国の掛け声で内閣知財戦略本部が発足した初回の会議で、「痛くない注射針」に、当時の小泉総理大臣が議長として、いたく感心したものである)。
2. 岡野雅行氏の人生で最大の転機になったのは、金型製造からプレス業にまで業務を拡げたことだ。金型の販売先であるプレス業者は利益を得たが、金型業者は単価を叩かれて利益が出ない。そこでプレス業に手を拡げたが、最初に入った仕事はミツミ電機からの注文で、赤字が出た。そこで自動機を開発し、コスト引下げで利益を得ると共に、ミツミ電機が台湾に生産を移すときには、自動機を販売し、再度利益を得た。
3. プレス機と金型には相性があって、別々に買うとメーカーはその調整に時間を取られる。従って、岡野工業から、多少高価でもセットで買うメーカーが増えた。
佐成重範弁理士所見→岡野雅行氏は1933年生。既に79歳だが、向島更生国民学校(小学校)卒のみで中学は中退、父親の金型業の手伝いから出発し、40歳で独り立ちして創意工夫を重ねて今日に至った。講演・著作はその創意体験談として、机上論でない実体験価値に富んでいる。
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2012年1月17日火曜日

最先端部品一極生産拠点は空洞化しない(非空洞化ルールその4)

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空洞化しない例示としてデンソーは、「国内最大の自動車部品メーカーで、熱機器、エンジン、駆動系など広範囲にわたり、技術力に定評があり」(会社四季報)、「Volkswagenなどトヨタ系列外にも拡販が進み、新興国、省燃費関連が拡販して、売上高4兆円を目指している」(同)。
トヨタ等の新興国現地生産が拡大し、従ってデンソーも、中国広州のカーエアコン拠点を4割拡張するなど、海外生産が増大しているが、その高槻本社工場は、例えばステップモーターについて、全世界のデンソー工場が使用するものを一極生産しており、国内集中が徹底している。要するに、心臓部は国内で、生産設備の多くを自動化ラインとし、人件費要素を抑制しているものの、この工場のみで4000人を擁する(同)から、「最先端部品は国内一極生産」で、というルール適合と、佐成重範弁理士は解する。
デンソーの、特許庁公開発明数は5万1582件に達し(2012-01-15現在)、うち今年初半月間の特許庁公開発明のみでも132件に及ぶ技術開発の活発ぶりであるから、最先端部門の国内一極集中は至当である。ちなみに、最近の特許庁公開事例は、
1. 「内燃機関の燃料噴射制御装置」(特許庁公開日2012-01-12)エンジンの燃料噴射制御装置を精度良く補正することができ、燃料噴射弁の噴射量のバラツキを小さくする。
2. 「内燃機関の可変動弁装置およびその製造方法」(トヨタと共同出願)(特許庁公開日2012-01-12)→遅角制限機構と進角制限機構の協働により入力回転体と出力回転体とを交互に固定する位相制御機構について、係合体と係合部のクリアランス調整できるようにする。など。
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2012年1月16日月曜日

国内高収益ならば空洞化しない(非空洞化ルールその1)

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空洞化対策に、経済産業省始め政府も躍起だが、空洞化しない、すなわち、国内立地以外を考えない企業のケースを考察すれば、非空洞化のルールを見出すこととなる。実証的に、国内立地の継続ないし発展を合理的とする事例から「非空洞化」のルールを検出してみる。
空洞化して海外に立地する理由の一つ「コスト国際競争力」だから、国内立地がコスト国際競争力と無関係であるほど、国内収益率が高ければ、海外移転は企図されない。会社四季報が「工作機械用数値制御装置世界首位」と特色づけるファナックは、その適例であろう。その高収益率性は、2012-03期の営業利益率予想44.2%(営業利益2385億円/売上高5400億円)に達し、2011-03期実績の42.5%を更に上回っていること(1897億5700万円/4462億0100万円)に、端的に現れている。
ファナックは、工作機械数値制御装置で世界首位の地位を築き上げたのみならず、産業用ロボットでも世界首位級。海外比率75%で国内外工場にロボットを供給しているが、自社工場は勿論、ロボットをフルに活用し、人件費比率はミニマムに低減されている。国際市場では、コスト国際競争力のみでなく価格国際競争力、すなわち、価格交渉能力が収益性を決定するが、3753件に及ぶ特許庁公開発明(2012-01-15現在)のみならず、1972年に現会社設立後も集積されたノウハウなど知的財産の集積が価格国際競争力の基盤をなしていると、佐成重範弁理士は解する。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2012年1月15日日曜日

経済産業省と米国務省の起業シンポで基調講演するグリーの沿革

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来る25日の日米イノベーション・起業シンポ(R Site2012-01-14ご参照)で基調講演するグリーの「始まりと由来」を、この際再読して、シンポ内容の理解に資する。グリーは、「GREEの始まりと由来」を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。なお、講演者・田中良和同社社長は、1999年に日大法卒、ソネットエンタテイメントを経て楽天に入社。2000年に楽天を退社してグリー株式会社を設立した。
1. インターネットの歴史文章に度々見られるように、GREEは、「趣味として成長し、やがて全ての時間を費やす情熱に変わる」という、一つのアイデアから生れた。
2. GREEの開発および起業者である田中良和(上記基調講演者)は、2003年、26歳時に、新しいアイデアをサービスとして生み出すため、独力でGREEの開発に着手、2004年2月にサービス公開後1ケ月の間に、その利用者は1万人を超えた。2004年12月、運営母体としてグリー株式会社を設立、本格的な運営を始めて現在に至った。
3. GREEは、6次の隔たりを意味する「Six De2gree”s of Separation」という統計学・社会学の仮設から名付けられた。これは、米国の心理学者Stanley Milgramの「人は、自分の知り合いを6人以上辿っていくと、世界中の人と繋がりを持っている」という仮説で、1967年に行われたSmall World Experimentによって検証され、広く知られるようになった。
4. GREEという名前には、ネットワークやコミュニケーションに代表されるインターネットの面白さ・便利さ・楽しさを新しく生み出していく存在でありたいというメッセージが込められている。
佐成重範弁理士所見→現時点でグリーは、「ケータイ向け交流・ゲームサイト「GREE」を運営し急成長、業界大手。アイテム販売と広告が収益源。主軸のケータイソーシャルゲームは、利用者増に加えて顧客単価が大幅上昇。スマホ経由の課金収入も立ちあがり順調」と評価されている(会社四季報による)。北米向け自社タイトルの投入など、海外展開を加速しており、インターネットの効用をグローバルに広めて盛業する意気ごみが見られる。
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2012年1月14日土曜日

知財戦略の国際協調性とTPP認識の明確化

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内閣知財戦略本部が「戦略」と名乗っているように、知財は企業にとっても国にとっても戦略的対象だが、同時に、特許審査ハイウエイ構築に見られるように、国際協力・国際調和を必須とする対象である。WTOのTRIPS協定が、かっての南北問題の名残としても解説されているように、先進国・新興国・途上国間の知財格差は、依然として協調調整を待つ課題を残存している。
このような状況下で、野田首相が経団連等の強力な支持のもとにTPP参加に向けての関係国間協議開始を表明したことを受けて、弁理士会においても知財関連の対応を検討していることは当然である。
しかし、知財関連に限らず、TPPそのものについて、正確な理解が周知されていないという危惧も持たれている。この意味で、元通産審議官・畠山 襄氏が「TPP交渉、対中国の政策ではない」と見出された投稿(朝日2012-01-13)で、現在国内で目立つ若干の謬見を批判・解明したことは時宜に適するものであり、精読すべきであると佐成重範弁理士は考える。
畠山氏は特に、「対中国の安全保障という観点」および「日本がTPPに加盟しても、アジアの経済大国である中国と韓国がTPPに入っていないから、無意味だという観点」に立つ諸発言に対して、いずれも妥当でないことを、明晰に解説している。貴重な投稿として推奨する。
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2012年1月13日金曜日

スマートテレビが実用段階に:サムスン、GoogleTVなど



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世界テレビ受像機市場でシェアを急速に高めた韓国メーカー(WBS写真↑)が、今次世界家電ショーども「スマートテレビ」を展示し、GoogleTVなどと共に、の機能が追求される趨勢となった。スマートテレビは、一般的に「パソコン機能を有するテレビ」と理解され、スマホが「パソコン機能を有するケータイ」と理解されているのに対応するというのがSANARI PATENTとしての簡明な解釈である。
一方、Yahoo Japan(2012-01-10)は、「サムスン製スマートテレビ、マルチタスクやビデオ会議に対応へ」と題して次のように報じた(SANARI PATENT要約)。
1. サムスンは、「2o12年の同社「フラッグシップ」は、テレビ番組とアプリケーションを簡単に切り替えられるようになる」と発表した。
2. Samsung Electronics AmericaのTim Baxter社長は、「サムスン製スマートテレビは、「Angry Birds」のon demandアニメチャンネルを提供する最初のテレビとなる」と語った。また同社長は、「サムスンのは、Dual Core Processorにより、マルチタスクに対応する。アプリを終了して別のアプリを起動し直す必要なく、単にアプリを切り替えることができる」と述べた。
3. 同社長はまた、「サムスンのスマートテレビには「Smart Media Hub」を追加する。これによってひとつのメディア端末に置いたコンテンツを、全てのサムスン製端末で視聴できる」と述べた。更に、「ハイエンドのスマートテレビでは、音声およびジェスチャー認識のためにカメラマイクが統合され、ビデオ会議が可能になる」と述べた。(SANARI PATENT所見: 現在のビデオ会議との対比が必要)。
Google TVについては、「テレビとWebの統合」として理解され、従来の「Webテレビ」と異なり「Android 2.1ベースのデバイスで、既存のテレビに対して機能を付加するもの」であったが、今次発表のそれは、「テレビを見ながらネット操作が一つの画面上でできる」、「Androidアプリをテレビで楽しめる」、「Android端末をリモコン代わりに使える」、「無線LANを内蔵している。」、「全てのウェブを視聴可能である」などの性能を有すると見られている。
佐成重範弁理士所見→テレビ自体の社会機能が、80型登場によって本質を変えようとしている。単なる「放送と通信の融合」に留まらない社会イノベーションを起動する可能性を、スマートテレビは秘めていると考える。
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2012年1月12日木曜日

有機ELでサムスン・LG先行の評価、パナソニックは

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開幕したラスベガスCinsumer Electronics Showにおける世界各社のプレゼンスについて、nikkei web (2012-01-10現地)は先ず、「有機EL、サムスン・LGが先行、55型公開、ソニーはLED新型投入」と題し、「広がる「脱テレビ」・家電各社の秘策」と副題しているので、livedoor Blog(2012-01-09)の「ソニーの有機EL撤退でサムスンが特許地獄に突入した件」と合わせ、特許技術の帰趨に関心が深まる情勢である(SANARI PATENT注:「特許地獄」の的確な説明はない)」。更に朝日新聞(2012-01-11)は、「有機EL大型テレビ、パナソニック参入へ」と、ラスベガスでの同社・大坪文雄社長の応答を報じた。
上記nikkei webの内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 韓国のサムスンとLG電子は、画質が高く消費電力が少ない有機ELディスプレイを採用した55型テレビを年内に発売する。次世代テレビの本命として同テレビ11型を2007年に発売したソニーが先行していたが、リビングルーム用の大型製品では韓国勢が先行する。
2. サムスンは次のように述べている。「サムスンは世界の有機ELの90%を生産しており、歩留まり向上など課題を克服した。年内発売の新製品は、利用者が声や手の動きでチャンネル操作などができる機能も搭載する。LGの製品は、本体が4mmと薄く、7.5kgと軽量で、壁掛け用に理想的である。」
3. ソニーは、赤緑青各色の微細な発行ダイオードを全面に敷き詰めた55型「クリスタルLEDディスプレイを公開する。液晶を背面から照らすバックライトとして、白色LEDが普及しているが、ソニーは、LEDに着色することにより明暗比を向上し節電する。
4. パナソニックは、画素数が現在のフルハイビジョンの4倍で、高精細な映像を表示できる20型液晶ディスプレイを出品。
5. シャープは、2012年2月に発売予定の80型大型液晶搭載のタッチパネル方式ディスプレイ展示する。
6. 米国Display Searchによれば、2012年の世界テレビ出荷台数は、2011年比2%増の2億5400万台と低成長が見込まれ、米国で40型液晶テレビの店頭平均価格が500ドルを下回るなど、価格下落が進み、各社時の立て直しが急務である。
佐成重範弁理士所見→特許関係については、日本の消費者は本質を把握している模様で、C Site(2012-01-12)でブログコメントを検討する。
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2012年1月11日水曜日

株式会社グローバルマネジメント研究所による中小企業支援に期待

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大規模市場を目指して、中国進出を企図する中小企業が著増しているが、中小企業の場合は身ぐるみ海外移転が多いから、リスクに対する覚悟を固める勇気(なかには悲壮感)も尋常ではない。やはり中国市場についての知識の習得が先決だが、およそ学習には教科書と参考書があり、例えばJETROは教科書的であっても、参考書として貴重なグローバルマネジメント研究所等の、純在野現実即応性にまでは及ばない。また、15年ほど前の、中国拡張で名を馳せた「やおはん」の破綻も、時代と実相が本質的に異なるので、反面教師にもならない。
従って佐成重範弁理士は、グローバルマネジメント研究所のように、グローバル経営コンサルティング、グローバル人材育成サービス、チェンジマネージャー育成サービスを業務内容とし、2005年設立以来、GML上海、GMLベトナムを擁して、現地立脚の中国・ベトナム進出に関するコンサルを行っている企業の支援に依存することの重要性を強調する。
その実用性は、上記GML上海の江口征男総経理がDIAMOND online(2012-01-10)に述べている「日本人が知らないリアル中国ビジネス」を一読すれば明白である。その要旨(SANARI PATENT要約)は、
1. ブランド力がモノを言う中国消費市場で、日系企業が捨てなければならない「こだわり」とは何か。中国の消費市場では「良いもの」よりも「有名なもの」が売れる。中国で商品・サービスを販売するには、商品力以上に知名度。ブランド力が必要である。
2. 中国で、この知名度・ブランド力を得るためには、多大のカネと時間が必要だが、多くの日系企業は、マーケティングよりも商品力を優先しているため、ブランド作りが十分にできていない。中国で日系企業が使う広告宣伝費は、競合する欧米企業や中国ローカル企業に比べて著しく小額な場合も多い。
3. 今後中国に進出する企業、進出早々の企業は、コバンザメのように、既にブランド力ある中国所在企業の手を借りる心構えが必要だ。
佐成重範弁理士所見→グローバルマネジメント研究所のこのアドバイスの真価は、「手を借りる」具体的手段の教示にあるので、C Site(2012-01-11)において若干要約・考察する。
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2012年1月10日火曜日

コンテンツ発信戦略をコンテンツ国際視聴競争力戦略と改称すべし

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日本政府の知財戦略が「特許商標意匠系」と「コンテンツ系」の二つの柱で構成されていることは周知されたと思うが(内閣知財戦略本部の知財計画を一度でも見るないし読めばわかることだから)、特許商標意匠権の集積である自動車や電子機器などについて世界市場でのシェアが物件ごとに対比されて、日本産品の国際競争力の消長と製品の栄衰が一喜一憂されるのに対して、コンテンツについては、対外発信の増加、例えば国際コンクールや展示会への参加、日本食の普及活動などで、日本コンテンツの国際競争力、シェアの把握などに及んでいない。
例えば先日のNHK紅白歌合戦には、中国公演に成功したAKB24も出演し、舞台も誠に豪華だったから、「紅白歌合戦が中国でも中継放映された」と聞けば、中国人もほとんど、その視聴に惹きつけられたと思い込み勝ちだが、そこに反省を促すのが、DIAMOND onlineの莫 邦富氏「紅白歌合戦の中国放映に思う:ハードからソフト輸出時代到来の予感」だ。かなり長文で品格の高い文章だが、佐成重範弁理士流に無遠慮なリライティングをすれば、「紅白歌合戦が一つの放送局で放映されたが、多数の局が視聴率を競って、中国流行歌手など様々な歌謡番組を放映した中にあって、その局は、遅れじとばかり日本の紅白歌合戦を充てたもので、視聴率が特に高められたとも言えない。中国語の解説も伴っていなかったし」ということである。もっと付言すれば、「コンテンツの発信」というのに、相手国語の解説も付してtないということである。
なお上記子事業題名の「ソフト」は、「コンテンツ」の意味で用いていると思うが、この辺の用語交錯については別論に譲る。
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2012年1月9日月曜日

グッズドミナントロジックとサービスドミナントロジック

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行政分野ごとに繁用される用語が異なるが、総務省の「ICTを活用した街づくり懇談会」では、グッズドミナントロジックからサービスドミナントロジックへと、同懇談会構成員、野村総研の倉上輝康シニアフェローが強調しているので、先ずその内容(SANARI PATENT要約)を見る。
1. ICT活用の街づくりというテーマは、ICTの技術・製品を、どのように街づくりに提供するかという、グッズドミナントロジックによる取組になり易い。
2. しかし、「ITC活用の街づくり」は、あくまで、街づくりの主体が追求する価値を、ICTサービス者と街づくりの主体とが共創するプロセス、すなわち、サービスドミナントロジックに立脚したものであるべきである。
3. 「ITC活用の街づくり」には、様々な個別のアプリケーションの提案があり得るが、それらが、まとまりをもって有効に機能するための連携や信頼醸成、インセンティブの仕組み等を持つ横断的な共通基盤(プラットフォーム)の構築を戦略的に推進する必要がある。
佐成重範弁理士所見→同懇談会において、同じく構成員の東京都・清原慶子三鷹市長は、「街づくりにおいては、上下水道、電力、ガス、道路、鉄道などは、基礎的インフラだが、これらのインフラを安全、快適、効率的に利用するためには、ICTの活用が不可欠であり、ICTは、インフラのインフラ、基盤の基盤となるもの」と述べているが、上記サービスドミナントロジックに立脚したものと解する。「シーズから」でなく「ニーズから」ということでもある。ニーズ(必要)には、狭義のNeedsとWants(欲求)を含む。
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2012年1月8日日曜日

早大政経学生起業、新ビジネスモデルでジャスダック25歳社長に

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日本の青年が起業に成功して日本社会に貢献と認められれば、現下わが国にとって、問題と見られている青年全体の元気不足、起業活動の停滞、社会福祉の不備といったネガティブな現象を一挙に解決する快挙と評価すべきところ、株式会社リブセンス村上太一社長がマザーズ上場を果たして「25歳、上場会社最年少社長」と注目され、その業務実績も、「求人情報サイト運営、成功報酬型ビジネスモデルに特長、不動産や中古車の情報サイトも展開」と特色付けられていることは(会社四季報)、まさに範例といえよう。
村上太一社長自身は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. リブセンスは2006年、私が大学1年生の時に設立した。メンバーは全員、大学生だった。
2. リブセンス初めてのサービス「ジョブセンス」は、私自身が高校時代のアルバイト探しで実感した不便さを解消しようと、ユ-ザ視点で考案したビジネスモデルを実行したものである。サービス提供に係る全工程を内製化し、成功報酬型(SANARI PATENT注: 求職時に求職者から登録手数料等を徴しない)ノウハウを構築した。
3. インターネットメディア業界は、より便利でユニークなサービスを生み出すチャンスに溢れている。リブセンスは、転職、派遣、賃貸住宅、中古車などの広告メディアや、Consumer Generated Mediaに展開し、より画期的で広汎なサービス創出を志向する。
佐成重範弁理士所見→村上太一社長は、既に多くの教育機構で教材化されており、「早稲田大学政治経済学部」1年生のとき、大和総研の寄付講座「ベンチャー起業養成講座」で優勝、などの経緯が述べられており、決意・準備も周到に起業したことが窺われるので、これらのネット情報を、青年諸君が先ず熟読することをお勧めする。
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2012年1月7日土曜日

三井不動産・岩沙弘道会長の「世界1000万人超メガシティ著増」論

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総務省の「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会」は昨年末に発足し、年初から検討を活発にするものと予想するが、懇談会メンバーの三井不動産・岩沙弘道会長は、冒頭に、「都市の持続可能な成長のマネジメントに向けて」と題して次のような趣旨を述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 21世紀は大都市の時代である。国連の定義で、都市圏人口1000万人以上の都市をメガシティというが、その数は、1975年の3都市(東京・ニューヨーク・メキシコシティ)から、2009年には21都市に増加した。増加は主にBRICsの都市である。
2. 都市の成長に伴って、集積の利益と共に、集積の不利益、すなわち、おわゆる都市問題として、交通渋滞、通勤混雑、住宅不足、居住環境の悪化、大気汚染、ゴミ問題、犯罪などが発生した。
3. 集積の利益が不利益を上回ることによって都市は成長してきたが、反面、都市問題への対応は事後的になりがちである。
4. 更に、新たな都市問題として、少子高齢化、環境問題、エネルギー問題、グローバル化などが発生した。
5. 都市の持続可能な成長をマネジメントすることが必要である。すなわち、都市の利便性、快適性、安全性を維持・向上させつつ、都市問題を効率的に解決・軽減すること、すなわち、「都市のマネジメント」が求められている。事後的な対処から事前の構えに転換すべきである。
6. 都市マネジメントシステムのインフラとしてICTは、輸送・交通、電気・ガス・水道、co2排出量抑制、教育、エネルギーの効率的利用、医療・介護・健康、安全・防災、行政サービスの効率化、外国人への利便性の提供などについて整備されなければならない。この場合、コラボレーションと標準化が必要である。
佐成重範弁理士所見→三井不動産は現に、「世界の未来像をつくる街」に取組み、スマートシティ、健康長寿、新産業創造都市の三つの未来を指向しているが、諸分野の企業によるジョイントベンチャーを構成し、更に、海外への「まち丸ごとパッケージ輸出」の展開可能性を示しているところに、次世代ICT技術開発の道標を見出すべきであろう。
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2012年1月6日金曜日

年初、英国NATURE誌に阪大のゲル・紫外線作用の接着剤開発掲載

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新春早々、NATURE誌電子版に、阪大のゲル・紫外線作用接着剤研究が掲載され、高機能接着剤用途から、水に濡れても剥がれ難い絆創膏などの生活直結の用途まで、広汎な実用有益性も期待される明るい初ニュースとなった(nikkei.comによる)。
一方、接着剤に関する発明は極めて活発で、特許庁公開件数は13万2634件(2012-01-05現在)、うち、昨年12月中からこの松の内5日までの新規公開だけでも518件に達する。 ただし、接着剤を必要としないための発明、例えば、デンソー「モータ、および、それを用いた電動パワーステアリング装置」(特許庁公開日2012-01-05)は、マグネットのホルダーへの固定を必要とせず、マグネットのホルダーに対する位置ずれを長期にわたり防止できるモータを提供する、なども含む。以下の例示はSANARI PATENT要約。
1. 日東電工「配線回路基板の製造方法」(特許庁公開日2012-01-05)→接着剤パタ^ンの形成により、ベース絶縁層に用いられる材料の種類が限定されない配線回路基板の製造方法を提供する。
2. JFE鋼板「鋼板一体型太陽電池モジュールおよびその製造方法」(特許庁公開日2012-01-05)→接着剤層を介する接着により、絶縁性・耐食性・耐光性・加工性に優れ、密着性にも優れた鋼板一体型太陽電池モジュールを提供する。
3. 富士電機「接着剤」(特許庁公開日2011-12-22)→対基板作業機の汎用性を向上させるため、接着剤塗布作業を行うための塗布ヘッドなどの構成を提供する。
4. 東京応化工業「基板の加工方法」(特許庁公開日2011-12-22)→高温プロセスおよび高真空プロセスなどの工程を経た後に生ずる接着剤層に起因する不具合を低減させた基板の加工方法を提供する。
5. デンソー「電子装置およびその製造方法」(特許庁公開日2011-12-22)→導電性接着剤によって異なる電位とされる二つのパッドが電気的に接続されることを防止できる電子装置およびその製造方法を提供する。
6. フジクラ「電子装置の製造方法および電子装置の実装構造」(特許庁公開日2011-12-22)→接着剤の配置および塗布行程により、センサ素子基板をモジュール基板に設置」する際、そのセンサ素子比番の傾き、回転、および接続不良を抑制できる電子装置の製造方法および電子装置の実装構造を提供する。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2012年1月5日木曜日

イノベーション拠点立地の推進などに経産省新規予算案

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復興とイノベーションの組合せ政策として、経産省の新規予算案は、「イノベーション拠点立地推進事業費140億円を計上し、「震災の影響に起因する事業環境悪化により、国内における研究開発投資が急速に縮小する中、新技術の実証・評価等に必要な設備の整備・開発への支援により、新技術の実用化を加速し、震災復興を加速する」(新規140億円)を計上。うち40億円は、産学連携イノベーション促進事業費として、東北地方の大学の特色を活かした、産学コンソーシアムでの、共同研究前段階からの産学連携の枠組みの構築や、新産業創出に向けた評価・実証研究等の支援により、産学連携活動の基盤を整備し、復興を加速する。
次に中小企業について経産省の来年度予算案は、強い中小企業の創出に向けて、その潜在力の引出と、海外需要の取込み、事業引継ぎ円滑化、地域コミュニティの担い手としての商店街活性化のため、
1. リレーションシップ・バンキング(佐成重範弁理士所見→ナカポツを置かない方が分り易い)等に係る中小企業信用保証料引下げ(新規2億円)→金融機関による金融・経営取組を促す(経営支援によるリスク提言に応じて、保証料を減額する仕組み)。
2. 高度実践型支援人材育成(新規2億円)→経営支援に実績ある支援機関が。地域金融機関から研修生を受け入れて行う実践的な研修事業を補助。
3. 経営資源を融合する中小企業の資本力強化(新規10億円)→出資による。
4. 戦略的基盤技術高度化支援(132億円)→鋳造、鍛造、切削加工、鍍金などの特定ものづくり基盤技術の高度化に資する中小企業の、研究開発から試作までを含む取組を支援する。(佐成重範弁理士所見→金型はどうか。)
5. 地域イノベーション創出実証研究補助(新規2.8億円)→地域の資源や技術を活かした新事業・新産業を創出するため、産学官のリソースの最適組合せ共同研究対での実証研究を支援。
6. 海外展開する中小企業の経営基盤強化(新規24億円)→海外展開により経営基盤強化を図る中小企業の資本増強を支援する。
7. グローバル技術連携支援(新規6億円)→技術流出対策を念頭に置きつつ、ニッチ分野の世界市場獲得を目指す中小企業の連携体が取組む試作品開発を支援。
8. 地域商業再生(新規15億円)→商店街とまちづくり会社等が連携して、」地域のまちづくり計画と一体となって行う商業活性化を支援。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)信用保証 商店街 中小企業

2012年1月4日水曜日

ミニマルファブなど、経産省の来年度新規予算項目

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1. (承前)革新的製造プロセス技術開発(ミニマルファブ)(新規6.5億円)→多品種少量生産の半導体製造において、エネルギーコストや設備投資を大幅に削減することが可能な「ミニマルファブ」を開発する。
2. 革新炭素繊維基盤技術開発(7.5億円)→2011年度の3倍額。炭素繊維の製造時の消費エネルギー・CO2排出量を半減し、大幅に生産性向上。(佐成重範弁理士所見→国産炭素繊維が米国始め航空機製造の機体材料として高シェアに使用され、自動車車体材としても大量消費される趨勢だから、他の多機能性とも合わせ考え、その製造の革新は極めて重要である)。
3. 革新型太陽電池研究開発(23.6億円)→太陽電池の性能向上と大幅なコスト低減のため、量子ドット型太陽電池など、既存技術の延長を超えた革新的技術の開発を、特定の拠点を中心に、海外先端研究機関との研究協力も含めて実施する。[佐成重範弁理士所見→いわば、国際的なオープンイノベーションだが、関連特許権の共用等について、国際システム構築が並行しなければならない]。
4. 革新型蓄電池先端科学基礎研究(35億円)→現行のリチウムイオン電池の安全性等の向上に資する研究開発や、電池反応メカニズムの本質的解明を行い、大幅な効率向上を見込む。
5. 先進未来開拓技術基盤整備(新規15億円)→新たな未来開拓技術の創出を目指して、新たな原理やメカニズムにより経済社会システムの変革を目指す革新技術の研究開発のうち、現時点では事業化の見通しが立たず、商業ベスでの取組が困難な研究開発について、基盤技術、評価ライン、評価・解析手法等を開発する。[佐成重範弁理士所見→シーズ起動型の社会経済システム変革を目指している感があるが、ニーズ起動型で、社会経済のニーズを先ずどのように構想するかが重要ではないか]。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) ミニマルファブ 炭素繊維 量子ドット型

2012年1月3日火曜日

「未来開拓技術の実現」と銘打つ経済産業省・来年度予算案

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「夢のある」と、経済産業省自身も枕詞しているが、決して「夢」ではない。かってない空洞化の危機と、わが国が抱えるエネルギー・環境制約の構造的課題を克服し、将来の成長の姿を描くためには、既存技術の延長線上にない、夢のある「未来開拓技術」によって日本再生を果たすべく、国が研究開発で新たな道を切り開くべき分野を絞り込み、研究開発投資を重点化する、としている。事業例を次のように挙げている(SANARI PATENT要約)。
1. 高効率モーター用磁性材料技術開発(新規20億円)→シスプロシウム等のレアアースを使用せず、従来以上に強力な、全く新しい磁性体を開発し、日本全体の電力消費の半ばを占めるモーターについて設計と施策を行い、エネルギー損失を25%削減できる高性能モーターを実現する。
2. 超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発(新規28億円)→高屈折率、低減衰率の微細な光導波路の光配線や、小型で低損失な光変調器、受光器等の光素子を開発し、エレクトニクスとフォトニクスの融合した光エレクトロニクス実装システム技術を実現することにより、今後、電力消費急増が予想されるサーバー等の電子機器の消費電力を大幅に削減する。
3. グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発(32.5億円)→石油に依存せず、CO2と水を原料として、太陽エネルギーでプラスチック等の化学品を製造するなど、化学プロセスを抜本的に変革する革新的触媒技術を開発する。
4. 革新的バイオマテリアル実現のための人工遺伝子合成技術開発(新規7億円)→機能性材料等の生産のため、微生物の遺伝子を、目的に合わせて設計および合成し、物質生産を高効率に行うための新たなバイオ技術を確立する。
佐成重範弁理士所見→レアメタル代替技術は、特に喫緊である。上記5以降、次回。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) シスプロシウム ヒカリエレクトロニクス 触媒

2012年1月2日月曜日

ライフライン構築・タンタル回収等、経済産業省新規予算案

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諸般の角度から新規項目が策定されているが、概観すれば、
1. 原子力災害周辺地域の産業復興企業立地補助金→新規140億円
2. ライフライン物資供給網強靭化実証→新規8億円→緊急時に消費財の円滑な供給・調達ができるよう、消費財に関する各企業の在庫・販売・店舗情報等を集約しておく。
3. 復興のため産学連携イノベーションの促進→新規40億円
4. 災害に強い出願ンロウ供給体制の整備→新規145億円
5. 住宅・建築物のネット・セロ・エネルギー化推進→新規70億円→年間の1次エネルギー消費量がネットで概ねゼロとなるよう、高性能設備機器の導入を補助。
6. 温室効果ガス排出削減量連動型中小企業グリーン投資促進事業補助→新規18億8000万円
7. リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発→新規20億円→電気自動車等の動力であるリチウムイオン電池の性能を理論限界まで追求するためのトップランナー型の技術開発を行うと共に、自動車以外のアプリケーションに対応させたリチウムイオン電池の研究開発を実施し、用途を拡大することにより国際競争力の強化に繋げる。
8. 地熱資源開発調査→新規90億5000万円
9. 小水力発電導入のためのモデル事業→新規7億円
10.  原子力発電所の安全性向上の研究開発→新規54億6000万円[佐成重範弁理士所見→対象を「既設炉」に限っていると解する]。
11. リサイクル優先レアメタルの回収技術開発→新規1億円→特にタンタルとコバルトについて
12. 高効率モータ用磁性材料技術開発→新規20億円
13. 災害に強い燃料供給体制の整備→新規145億円→油槽所等における石油製品の供給能力の抜本的向上、災害対応型の中核サービステーションの整備など。
以下、内需活性化等についての新規予算については別掲する。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2012年1月1日日曜日

新春所感:太陽電池・世界市場と関連発明の活況




(SANARI PATENT南窓外・開業間近・東京スカイツリー)

謹んで新春 グローバルにご展開を お慶び申し上げます

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太陽電池生産量の世界市場シェア(2010年)は、1位が中国Suntech Power Holdingsの1584MWで6.6%(売上高29億0200万ドル)、2位が同じく中国JA Solar Holdings の1464MWで6.1%(売上高17億8400万ドル)、3位が米国First Solarの1399MWで5.9%(売上高25億6400万ドル)と続いたが[佐成重範弁理士所見:MW順位と億ドル順位の逆転にご注意]、日本シャープは745MWで8位、京セラは650MWで10位に甘んじ、従って国域別では、中国台湾が1位14193MWで59%を占め、欧州3127MWが2位3127MWで13%、3位日本は2182MWで9%に留まった。僅か5年前2005年に、シャープが428MWで24.8%と首位を占め、2位ドイツのSelzが160MWで9.3%、以下3位・京セラ、4位・三洋電機、5位・三菱電機と日本企業が制圧していたのに比べると、世界生産規模とメーカー数の著増、企業間競争激化に、改めて瞠目する(ダイヤモンドマップ2012版による)。
国際競争場裡でメーカーの太陽電池関連発明も益々活発化し、わが国特許庁の公開発明件数も、今年初(=昨年末)現在で2万4862件に達し、うち、昨年12月に公開の件数のみでも207件を数える。例えば(SANARI PATENT要約)、
1. トヨタ自動車「車両用充電システムおよび電動車両」(特許庁公開日2011-12-22)→太陽電池や系統電源など外部電源の種類に応じて、様々な電源に対応可能な車両用充電システムおよび電動車両を提供する。
2. シャープ「太陽電池モジュールおよびその製造方法」(特許庁公開日2011-12-22)→熱収縮率が十分低くない各種樹脂材料から成る配線基板を用いて太陽電池セルを接続する構成であっても、細かいピッチでの電極設計を可能とし、高い太陽電池特性を発揮する太陽電池モジュールおよびその製造方法を提供する。
3. 独立行政法人科学技術振興機構ほか1名「光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池」(特許庁公開日2011-12-22)→有機材料を用いて、開放電圧が高い光電変換素子を提供する。など。
佐成重範弁理士所見→上掲例示のほか、大日本印刷「有機薄膜太陽電池モジュール」、日産化学「フラーレン誘導体を用いた有機太陽電池」、東洋インキ「太陽電池モジュール」、神戸製鋼「多結晶シリコン太陽電池ウエハの均一テクスチャー構造」、昭和シェル「薄膜太陽電池」、アルバック「太陽電池用透明導電性基盤およびその製造方法」なども2011-12-22付けで特許庁公開され、太陽電池普及の技術基盤が、多角的に研究開発されつつあることを推知できる。
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