2009年7月31日金曜日

METI Requests Public Opinion on the Administration for Town Gas 

資源エネルギー庁が都市ガス料金行政について意見公募(期限2009-08-28)
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 経済産業省(担当:資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課)は、総合資源エネルギー調査会「ガス料金に関する今後の行政関与の在り方」についての中間とりまとめ案を発表し、意見を公募している。
 知財専門家の立場からは、消費エネルギーの形態が、電力、都市ガス、その他エネルギーのいずれに分布することを志向すべきかが、関心の焦点であると考えるが、先ず都市ガスの現況をこの案を通じて把握すべきであろう。案の内容(SANARI PATENT要約)は下記のように構成されている。

1. 新エネ関係費用の見える化: わが国のエネルギー供給における化石燃料への依存状況、化石何両の海外依存状況、エネルギー起源CO2削減の必要性等を背景に、わが国のエネルギー供給構造の高度化を更に図るため、エネルギー供給事業者(電気、石油、ガス事業者)による非化石エネルギー源の利用(SANARI PATENT考察: このうちには、太陽光発電のようにエネルギー生産コストを増大するものを含む。従って、エネルギー供給コストと、その分担政策が課題となり、知財戦略の指向すべき重点が変動する)、化石エネルギー源の有効利用を促進することが求められている。また、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー源の有効な利用の促進に関する法律案」と「石油代替エネルギーの開発および導入の促進に関する法律の改正法案」が国会に提出されている。
2. ガス事業者においても、例えばバイオマス(食品残渣、下水汚泥)から発生するメタンガス(バイオガス)を原料として利用する等の形で非化石エネルギー源を利用することが考えられる。この場合、バイオガスの原料費用は原価に算入され、結果的に料金の一部として需要家に転嫁される。従って、費用負担の透明性を高める観点からは、例えば料金原価上の原料費の中でバイオガス相当分を区分記載することにより、費用を見れる化することが考えられる。他方、バイオガスのエネルギー源としての活用は、現在主として発生源における自化消費(発電用、熱利用)であり(SANARI PATENT考察: そのような利用を促進すべきである。消費エネルギー形態の電力一元化、または一次エネルギーの直接熱利用がコスト的に高効率であり、かつ、電力の多目的適合性を発揮できる)、慎重に検討すべきである。
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2009年7月30日木曜日

Increasing Volatility of the Rare Metals’ Prices 

レアメタル価格変動の諸要因と知財開発
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 先端技術分野を含めて、必須資源の安定的確保が国際競争力維持のため不可欠であり、資源外交と共に、その回収、利用と代替資源開発の知財開発が極めて重要になっている。しかしそれら知財の経済性は、対象資源の価格水準に依存し、需給と価格のVolatilityの増大が、レアメタルをめぐる知財開発の難関を成している。
3.(承前2009-07-29記事)レアメタルの特殊性:
 レアメタルは、一般に希少性や偏在性が強く、生産国の輸出政策、主要西安施設の状況の影響を大きく受ける。また、ベースメタルの副産物として産出される場合が多く、週産物であるベースメタルの生産動向の影響を大きく受ける。
 近年、BRICsを始めとする世界経済の発展によってレアメタルの消費は世界的な規模で拡大し、国際需給が逼迫して、多くのレアメタルの価格が高騰し、平成20年上期にピークとなったが、秋以降の世界的景気悪化により大幅に価格が下落した。このように、レアメタルの価格のボラティリティは高まっており、中長期的には需要の増大によって再び上昇傾向で推移するとの見方が多い。
 また、資源国における資源ナショナリズムの台頭や、一部の国では戦略物資と位置づけ輸出抑制の国家管理を強めるなど、レアメタルの環境には不安定要素が多く、国際的需給逼迫や供給障害発生も懸念されている。
4.戦略的取組の必要性
4-1 わが国はこれまでも、海外資源確保、リサイクル、代替材料開発、備蓄の4つの施策を柱とするレアメタルの安定供給対策に取組んできたが、レアメタルを取り巻く環境には、需給両面にわたる種々の課題や要請が存在し、今後一層の総合的戦略的取組が求められる。すなわち、
4-1-1 海外資源確保については、近年、わが国企業による取組が進みつつあるものの、資源探査のリスクに加えて、国際的な資源権益獲得の競争激化、資源ナショナリズムの台頭、投資規模の増大等の課題に取組まなければならない。
4-1-2 リサイクルについては、世界有数のレアメタル消費国であるわが国国内で発生する使用済製品等を資源と捉え、レアメタルを回収する、いわゆる都市鉱山への期待が高まっている。この実現には、回収システムの整備、抽出技術の開発等に取組まなければならない。(以下次回)
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2009年7月29日水曜日

METI Releases Strategy to Securing Rare Metals 

経済産業省が「レアメタル確保戦略」を公表(2009-07-28)
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1. 経済産業省(担当:資源エネルギー庁資源・燃料部鉱物資源課)が「レアメタル確保戦略」を公表した。知財開発に密接に関係する。すなわち、レアメタルは、自動車、IT製品等の製造に不可欠な素材であり、その安定供給は、わが国製造業の維持・強化の観点から極めて重要である。既に「新経済成長戦略フォローアップと改訂」(2008-09閣議決定)において「資源確保のみならずリサイクル等をも含めた総合的なレアメタル確保戦略を策定する」ことが決定されている。従って、経済産業省は、2008-10から総合資源エネルギー調査会鉱業分科会を開催し、意見公募を経て今次発表に至った。以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
 なお、鉱業分科会の会長は東大大学院・渡辺徹郎・理学系研究科地球惑星科学専攻教授、委員として業界から、井手三菱マテリアル社長、大橋日本電線工業会会長、岡田日本鉱業協会会長、小塚三菱商事常務、鮫島石灰石鉱業会会長、嶋新日鉄副社長、相馬古河機械金属社長、中山日本伸銅協会理事、永井みずほ銀行常務、八幡日本自動車工業会調達委員会委員長、本多電子情報技術産業協会電子材料委員会顧問、松田社会経済生産性本部エネルギー環境部参与、松田日本メタル経済研究所理事長、吉川DOWA HD会長が参加している。
2. レアメタル確保に関する基本的考え方: レアメタルは高付加価値・高機能製品の製造に必須の素材であり、その安定供給はわが国製造業の国際競争力の維持・強化のため極めて重要である。特に今後の普及が期待されるハイブリッド自動車のモーター、蓄電池、また、太陽光パネル等の新エネルギー分野や高効率照明等の省エネルギー分野、さらに、燃料電池用触媒等の環境対策分野でのレアメタル需要の拡大が見込まれており、これらわが国の産業競争力を支える製品の部材に使用されるレアメタルの安定供給確保の重要性が高まっている。
3. レアメタルの特殊性: レアメタルは、「地球上の存在が稀であるか、技術的経済的な理由で抽出困難な金属のうち、現在工業用需要があり今後も需要があるもの、および、今後の技術革新によって新たな工業用需要が予測されるもの」であって、現在は31鉱種を対象としている。(以下次回)
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2009年7月28日火曜日

METI Will Version Up Demand- Supply Plan of Energy 

経済産業省・総合資源エネルギー調査会需給部会本年度第1回会合を8月5日に開催
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1. エネルギー需給部会の経緯
1-1 経済産業省(担当:資源エネルギー庁総合政策課エネルギー戦略推進室)は、総合資源エネルギー調査会・需給部会の本年度第1回会合を8月5日に開催し、長期エネルギー需給見通し(再計算)案を付議する。
1-2 同需給部会は、長期エネルギー需給見通し(平成20年5月)を公表しているが、その内容は次のように構成されている。
1-2-1 2030年エネルギー需給見通し→ マクロフレームの見通し、各ケースの考え方、現状固定ケースの想定、戦略目標と努力継続/最大導入ケースの詳細(エネルギー効率の改善と最終エネルギー消費量の見通し、運輸部門の燃料多様化、原子力利用推進等の電源分野における取組、新エネルギーの導入促進)、一次エネルギー国内供給の見通し、エネルギー起源CO2排出量の見通し
1-2-2 2010年エネルギー需給見通し→ 2010年エネルギー需給見通しの考え方と評価(考え方、評価、追加対策シナリオの評価と京都議定書目標達成計画の改定)、2010年エネルギー需給見通し(各シナリオの考え方、各ケースの考え方、マクロフレームの見通し、部門別動向と各対策の評価(産業、家庭、業務、運輸、供給・転換部門)、試算結果
1-3 平成20年5月時点の考え方
 この時点で同需給部会は次のように述べている。
「国際エネルギー市場の構造変化や地球温暖化問題の深刻化など、エネルギーを取り巻く環境は近年大きく変化している。これらのエネルギー・環境問題解決に地球規模で取組むため、「安定供給の確保」、「環境との適合」、およびこれらを十分に考慮した上での「市場原理の活用」という3原則に沿って、わが国がこれまで積み重ねてきたエネルギー政策を更に進化させていく必要がある。その施策の検討と評価の基礎とするために、今般2030年および2010年におけるエネルギー需給構造を見通すこととする。」

2. 世界金融危機発の経済実体危機とエネルギー需給(SANARI PATENT所見)
 経済危機に伴う産業活動の低下と生活防衛の強化によって、わが国の電力消費量が抑制されているが、エコカーの需要は活発であり、夜間電力を中心として電力需要が増大することは必至である。消費エネルギーの形態が全電化生活的に電力エネルギーに一元化の方向を指向すべきか、エネルギーの最終消費形態からの検討を、今次需給部会に期待する。
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2009年7月27日月曜日

New Contents of ORIX, Pioneer in Lease Financing in Japan 

オリックス宮内義彦CEOと一橋大学・野中郁次郎名誉教授対談のコンテンツ
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 オリックス(東証・大証1部)の報告誌が届いた。社歴45年余。自社紹介は、「法人・個人のお客様に付加価値の高い、ユニークな金融商品・サービスをご提供する金融サービスグル-プです。」 会社四季報はもっと明確に、「総合リース国内首位。金融サービス多角化。米国SEC基準採用(SANARI PATENT注:米国連邦政府の機関・証券取引委員会の監督基準)。金融危機受けてシアン圧縮急ぐ。2010-03売上高9600億円、営業利益4000億円」と記述。Wikipediaは、「オリックスは日本のリース会社。このほか、グル-プで信託銀行、保険、証券会社などを幅広く行うい、オリックスバファローズの親会社」と紹介。「日綿実業(現・双日)と三和銀行を主体に1964年、創業。村上ファンド、福井前日銀総裁との関係、また、オリックス宮内会長が小泉内閣の規制改革民間開放会議議長を務めたこと」などを記録している。
 SANARI PATENTは、今次報告誌の標記対談に、独創的表現・コンテンツを幾つか見出したので、ここに要約・考察する。
1. バーチャルな経済と実体経済の乖離
 宮内: リーマンショックとトヨタショックの二重のショックの中で金融サービス業を経営するという、長年経営の経歴でも初めての経験であった。
 野中: バーチャルな経済と実体経済の乖離を是正することの揺り戻しが、これほど急激に来るということは予測不可能だったと思う。特に金融の世界では変化が瞬時に起こる。オリックスの黒字確保は大変な努力の結果と感ずる。
2. 業績低迷の原因
 宮内: 経済全般の低迷、取引先について貸倒引当金の増加、保有株式の評価損によって業績が低迷した。
 野中: 一般論的な「唯一最善の経営」は存在しない。刻々と変化する状況に対して最適判断をくだす能力が「知恵」(先見性と、日々蓄積された実践知)で、これがオリックスの中に埋め込まれてあったと思う。
3. 意欲に富んで、大打撃
 宮内: 今次激変で印象深いのは、非常に意欲に富んだ積極的経営をしている企業が大きな打撃を受けていることである。バブル崩壊のときにも同様の感想だたが、そうであるなら「経営とは一体何だろうか」と、改めて考えざるを得ない。
 野中: 金融資本主義に走り過ぎたというシステムの問題がある。経済システムの中にバランスを取る仕掛けを、どう組み込むかという問題が浮上した。
4. ソリューションプロバイダへの進化
 宮内: オリックスはどのような企業グル-プだと感ずるか。
 野中: リースを核として連鎖的に関係性を拡げていく、モノだけでなく、コトを提供していく知恵を持った企業であると思う。
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2009年7月26日日曜日

Optimization of Government Information System Studied 

総務省「政府情報システムの在り方研究会」検討状況
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 総務省の「政府情報システム整備の在り方に関する研究会第3回が開催され(2009-07-17)、事業者ヒアリングとして、日本オラクル、NEC、NTTデータ、日本IBM、富士通のプレゼンと質疑応答があり、自由討議されたが、ここではこれまで(2009-06-03~)の検討状況(SANARI PATENT要約)を考察する。なお研究会の構成員8名(官学等)のうち、業界から、三菱総研・村上文洋・地域経営研究本部主席研究員、ローソン・横溝陽一・徐海執行役員CIOの2名が入っている。

1. 背景・目的
1-1 電子政府・電子自治体の推進は、「デジタル新時代に向けた新たな戦略」(2009-04-09 IT戦略本部決定)において三大重点プロジェクトの一つに位置づけられ、行政の業務・システムの全体最適化による更なる行政コストの削減を目指した取組の一つとして、効率的かつ柔軟でセキュアなシステム構築、開発・運用コストの削減、業務の共通化のため、「霞が関クラウド」を構築することとしている。
1-2 この研究会では、クラウド・コンピューティング等の最新技術の動向およびその導入事例等を踏まえ、政府情報システムの更なる全体最適化を推進すべく、その在るべき将来像を明確にすると共に、政府情報システムの統合・集約化や、データ連携の基盤となる共通プラットフォーム整備の課題、方向性等について検討する。
2 現状と課題
2-1 各省庁のレガシーシステムのオープン化等、各省庁における業務システム最適化への取組は着実に進展しているが、その取組は個々の業務やシステムの範囲にとどまり、全体最適化に到達していない。従って、
2-1-1 ハードウェア等のリソースに無駄が発生する← 各システムごとに最大利用時を想定し設計するため、リソースに余剰が発生する。
2-1-2 情報の利活用・供用ができていない← 各システムごとにデータを保有しているため、情報が有効に利活用されていない。
2-1-3 各アプリケーションごとに業務フローが異なる← 業務の標準化が進んでいない。
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2009年7月25日土曜日

METI Minister Answers on Current Problems (Finally Reversed on 07- 24)

:二階経済産業大臣対記者説明および応答(最終更新日2009-07-24)
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1. 小規模企業共済について説明
今次国会最終日(07-21)に、小規模企業共済の問題を審議する段取りとなったが、全国265万の小規模企業者にとって、事業継承の問題(SANARI PATENT注:保有知財の継承を含めて)、あるいは家内工業の状況における退職金確保の問題を、最終日にまで議論し、現与党の共通の選挙公約になるであろうことは、喜ばしい。
2. 政局関係質疑応答(SANARI PATENT要約)
Q1 選挙戦スタートに際して、所見はどうか。
A1 経済対策、金融危機の問題に対しての一段落したこの眼科医で、総理が解散を決断したことは、大変立派な判断と思う。
Q2 津馬議員が、選挙に不出馬と表明したが、影響はどうか。
A2 選挙がなければ、まだまだ政治活動を続ける体力・識見を持っておられるので、不出馬は残念だが、ご本人の決断、大先輩の決断として尊重する。
Q3 選挙戦で目指すラインはどう考えるか。
A3 麻生内閣誕生以来、4回にわたり予算を編成し成立したが、経済危機対策として、国際的にも大変高い評価を受けている。経済産業省においても、10本の法律、また課題を解決してきた。最後の法案(SANARI PATENT注:小規模企業対策)も、このような形で十分な成果ではないが、ほぼ満足すべきところまできた。麻生総理は、「この経済産業省の行動は、ほとんど神業に近いですね」と評された。
 エコポイントや減税、補助金で、自動車や家電製品も、蘇ってきた。まだ十分ではないが、努力を続けることが肝要である。
 さらに、国際社会において日本の名誉ある存在を大きくしていく方策、特に
アジアにおける日本をもっと強調すべきであるが、既に、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を実現し、ジャカルタで堂々たる国際機関として活躍を始めている。日本がリーダーシップをとって、このアジア16国を結集し経済政策を打っていく、これが将来の経済連携協定、アジア全体の協力が実現できる端緒を開いたものであることの意義について、国民がさらに理解を深められたい。
Q4 自民党の統一マニフェストのほかに、独自マニフェストの動きもあるが、所見はどうか。
A4 マニフェストは、実績を踏まえたものであるべきで、単に印刷物に並べるものではない。一本化して戦うべきである。
SANARI PATENT所見
 二階経済産業省大臣、望月事務次官を始め、経済産業省の政官一体の今次経済危機対策の実績を、在来政策・新戦略と併せて、十分に理解することが、今後の企業方途・技術開発を誤らないために絶対必要である。
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2009年7月24日金曜日

METI Releases Revised List of Foreign Users List for World Security 

経済産業省が「外国ユーザーリストの改定について」公表(2009-07-29)
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 経済産業省(担当:貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理課)は、「経済産業省では、大量破壊兵器キャッチオール規制の実効性向上のために、外国ユーザーリストを公表してきたところ」、最新の情報に基づいてこれを改訂し公表した(2009-07-23)。改定は本日付け(2009-07-24)である。経済産業省は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

1. 経済産業省では、大量破壊兵器関連貨物等に係るキャッチオール規制(国際合意によって輸出規制を行うこととなっている品目以外のものであっても、その品目が大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれがある場合には輸出許可申請を義務づける制度)の実効性を向上させるため、輸出者に対して、大量破壊兵器等の開発等の懸念が払拭されない外国企業・組織の情報を提供する「外国ユーザーリスト」を発出してきたが、今般、最新の情報を基にこれを改訂することとした。
2. すなわち、外国ユーザーリストについて、国内外から広範に収集した情報に基づいて検討した結果、北朝鮮の2企業・組織を新規に追加することとした。これにより、外国ユーザーリストの掲載される企業等は、合計247企業・組織とする(北朝鮮企業・組織82、イラン企業・組織80など、合計9国・地域の企業・組織247)。
3. 輸出者は、輸出する貨物等のユーザーがこのリストに掲載されている場合には、その貨物が大量破壊兵器等の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、輸出許可申請が必要となる。
4. 経済産業省貿易経済協力局は、「外国ユーザーリストについて」と題して、更に詳細な要留意事項を示すべく、「案」としてあらかじめその内容を公表している(2009-07-23)。
5. 今次改定リストには、Israel 2、Iran 80、India 26、北朝鮮82、Syria10、台湾1、中国17、Pakistan 27、Afghanistan 2、計247の企業・組織が、企業名。組織名、別名(also Known As)、懸念区分と共に搭載されている。
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2009年7月23日木曜日

Construction of Cooperating Field While Securing Competitive Domination 

競争優位を確保しつつ協調拠点を構築
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22.(承前2009-0722記事)協調領域と競争領域の設定:
 同じ技術分野・事業分野を対象とする場合であっても、どのレイヤーの技術・事業領域の競争力を高め、逆にどこをよわめるかという視点で設定すべきであり、かつ、状況の変化により可変的に設定を見直すべきである。
 また、拠点においては、研究開発に秀でたリーダーだけでなく、拠点の経営・運営のリーダーのもとで、協調に参加するインセンティブが働く組織・制度づくりが必要である。具体的には、世界最先端の研究者や機器の存在など、他では得難い機会の提供、多様な研究主体が組織の壁を超えて協調できる技術研究組合の活用、知財創出への貢献者の権利を確保した上で共同利用を可能とする仕組みにより、人材・知財・資金が集まる場として制度設計すべきである。
23. 標準化のための共同研究開発:
 技術標準の確立を目指した共同研究開発では(SANARI PATENT考察:「確立」という用語を用いる必要はないので、「設定」(初期)で十分である)、その成果(技術標準)に対して員外者利用が可能であることが、独禁法に抵触しない要件であることを踏まえ、協調による研究成果の管理について、適切な体制が求められる。さらに今後は、国際的にオープンイノベーションが進展することを踏まえ、競争優位を得るための標準化戦略への、より積極的な対応が求められる。
24. インターフェース情報の共有化:
 標準化に関連して、競争の土俵を有利に設定する観点と同時に、多数の技術開発主体の参入を促進する観点から、技術要素を結合させる際のインターフェース情報の共有化が重要である。現在、様々な分野のインターフェース情報について国内外で標準化・共有化が行われており、わが国においても自動車の車載電子制御システムのモジュール化とインターフェースの標準化を行うJASPAR (Japan Automotive Software Platform and Architecture)が活動している。
 JASPARは、自動車の電子化に対応するために、国内の自動車メーカーとサプライヤーが協力して、自動車のECU(電子制御ユニット)用のソフトウェアや、車載ネットワーク標準化を推進する団体として2004年に発足した。
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2009年7月22日水曜日

Cooperation and Competition in the Outbound Type Open Innovation 

アウトバウンド型オープンイノベーションにおける協調と競争
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 経済産業省産業構造審議会の新技術政策案は、「競争優位の土俵づくりとしての協調の強化」という表題を設けて、以下の記述(SANARI PATENT要約)に進んでいる。
22.(承前2009-07-22記事) 出口を見据えた協調領域の研究開発拠点:ベースキャンプの整備
22-1 世界的レベルでオープンイノベーションが進展する中、共通基盤技術の高度化など戦略的な協調を実践し、その土俵の上での競争を推進するためには、国の内外から人、資金、情報が集積する場の形成が重要である。また、単に自社にない技術の取得・補完(インバウンド型)ではなく、協働のシナジーによる価値創造(アウトバウンド型)を目指す動きが加速している。
 こうした協調の場において、多様な研究主体(企業、大学、研究所)が知恵を持ち寄って新たな製品サービスモデルを可変的に探究する研究開発に取組むことが、「コンセプト・ドリブン型」の要諦である。(SANARI PATENT考察:  オープンイノベーションの型として、インバウンド型とアウトバウンド型の2類型を掲げているが、前者は、「既存技術の相互補完」、後者は、「資源を出し合い、協働して価値を創出する」型であると特徴づけている。(SANARI PATENT考察: 国際市場のシェア拡大を経てデファクト標準化を形成するための協調は、この二つの型の融合である場合が多いと考えるが、更に重要な型の分類は、国内企業のみの協調か、国際的な多国籍企業協調か、の分類であり、政府の国内政策と、多国籍企業の国際戦略が撞着する局面があり得る)。
22-2 このような状況のもとで、アウトバウンド型のオープンイノベーションを推進する方策として、国による研究開発プロジェクトを通じた拠点の形成が有効である。この拠点において集中研究型のプロジェクトを実施することにより、多様な研究者等の連携・融合の場を形成し、個別企業では対応できない協働によるシナジー効果を生み出す先導モデルを確立することが急務である。このような拠点は、登山におけるベースキャンプに譬えられる。すなわち、到達すべき社会システムのあるべき姿を山頂として明確に見据え、そこに至る新たな製品サービス。市場の開拓のため、一つの屋根の下で数多くの研究機関。研究者が研究開発する拠点である。
SANARI PATENT所見
 これに続いて、「協調領域と競争領域の設定」という、戦略的最重要事項の考察に進む(次回)。
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2009年7月21日火曜日

Constructing the System of R and D for Problem Solution 

課題解決に向けた研究開発態勢の整備
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 産業構造審議会案の考察を進める。研究開発を評価する視点が変わることに関する。原文は、かなりゴタゴタしている。
19.(承前2009-07-20記事) 出口を見据えた研究開発に対する評価の在り方:
  これまで、国が研究開発を評価する場合、科学技術政策の視点として、新規性が重視されたが、イノベーション政策の視点からは、実用化への貢献度が重視sれるべきである。従って、一律の評価ではなく、出口目標への貢献度や達成度など、出口に繋がるインセンティブが働く評価を行うべきである。研究開発予算を所管する省庁において、評価基準や評価システムを確立すると共に、総合科学技術会議における評価も見直すべきである。
20. 独立行政法人や大学に係る一律の制約の除去:
 研究資金配分額当たりの科学技術成果の生産効率という視点も重要で、組織に対する一律の効率化係数を掛けるかんり手法は、一定の意味がある。しかし、一律の効率化を図った上で、評価において生産効率が高いとされた研究機関に対しては、より多くの研究開発投資が行われるといったインセンティブが働く仕組みについても検討が必要である。
 さらに、特定の出口を設定する研究開発投資を行う場合、組織全体の生産性効率だけでなく、出口の目標達成自体が重要であるため、特定の目的を達成するための集中した資源投入が可能になる場合がある。従って、寺院キャップなど一律の制約の除去を図るべきである。
21. 出口を見据えた研究開発システムの強化:
 国の政策として、コンセプトの実現(課題の解決)に向けて、組織や業種、技術分野等の枠を超えて、多様な研究開発主体が競争と協調を戦略的に展開できる研究開発システム(オープンイノベーション)を強化すべきである。すなわち、
21-1 競争優位の土俵づくりとしての協調の強化:
21-2 協調の上に築く競争力を高める研究開発の強化
21-3 研究開発システムの国際対応力の強化
 以上3項目について、以下に文説される。
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2009年7月20日月曜日

Fund Allocation for Fundamental Research

 純粋基礎研究、目的基礎研究に対する資金配分の考え方
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 ニーズ即応の強調から、シーズ創成へ、産業構造審議会案が論点を転回している。
17.(承前 記事)イノベーションの源泉となる基礎科学技術力の強化:
 予算の枠組みの改革と共に、基礎分野と、応用‣開発分野を担う研究開発プロジェクト間の連携を運用面で行うことに大きな意味がある。例えば現在、希少金属代替材料の研究開発を対象として、JSTとNEDO間で基礎から応用への橋渡しの制度的工夫として合同公募が行われているほか、「筑波ナノテクイノベーション拠点」では、経済産業省の産業技術総合研究所と文部科学省の物質。材料研究機構の連携のもとで、融合的な研究が行われる。
 技術シーズの供給という観点で、わが国イノベーションの厳選となる基礎的科学技術力の維持強化のための投資が引続き必要であるし、また、特定の出口を設定しない基礎的研究(純基礎的研究)は、研究の多様性を確保する観点から、世界的な科学技術の動向の変化を踏まえつつも分散投資するというポートフォリオ型管理の中で、一定枠を確保することが必要である。さらに、基礎研究に対する資金については、単なる技術領域ごとの競争的資金配分では、技術分野を超えた研究者・研究体の融合・連携にインセンティブが働き難いことから、採択審査においては、技術分野を超えた融合や連携を促進する評価基準の設定によるインセンティブ付与を行うなど、更なる工夫が必要である。
18. 従来の枠を取り払う制度設計
 以上のような予算の枠組みの改革や省庁を超えた研究開発の連携については、担当する個々の省庁のみでは円滑な推進に支障が起きる面もあり得る。かかる従来の枠を取り払う制度設計については、総合科学技術会議が推進すべきである。また、課題を起点とする分野別資金配分状況や、純粋基礎研究、目的基礎研究、応用研究のステージ毎の資金配分のバランスについて、社会から適切なモニタリングとフィードバックがかかるよう、統計整備も重要である。(SANARI PATENT考察:「統計整備」という用語をここで持ち出したのは、全く場違いで、統計の問題ではない)。
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2009年7月19日日曜日

Changing Pinch to Chance by Needs-Push Type Invention 

ピンチをチャンスに変える課題解決先進国を志向
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  博士就職率(07-19)

15.(承前2009-0718記事)出口を見据えた国家技術戦略への転換:
15-1 重点分野の見直し
15-1-1 課題解決を起点とする重点分野の設定
 第3期までの科学技術基本計画における技術先行の重点4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテク・材料)設定から、新たなコンセプトに基づく社会システムの在るべき姿(低炭素、健康・安全)を起点とする重点分野設定に転換すべきである。例えば、少子高齢化、エネルギー制約など、わが国の課題を起点として、それらを世界に先駆け科学技術で解決する新製品・新市場を生み出すことで、日本の成長力に転換するコンセプト(ピンチをチャンスに変える課題解決先進国)に基づいて重点分野を設定すべきである。
15-1-2 バックキャスト型の分野別戦略
 出口の課題別にバックキャスト型(目指すゴールの絵姿から見て重要技術を特定し目標値を設定する手法)で戦略を策定すべきである。例えば10年後、20年後の製品サービスのイメージを想定し、必要とされる要素技術に分解して重要技術を特定すべきである。
16. 研究開発予算の枠組みの見直し
16-1 出口を見据えた基礎から応用までの一貫した研究開発
 現在、政府の研究開発予算は、目的基礎研究も含め概して基礎研究に関しては文部科学省に、応用分野については経済産業省、農林水産省、厚生労働省など産業所管省庁に計上されている。基礎研究分野のプロジェクトと応用研究分野のプロジェクトとの連携は、個別には図られつつあるが、予算計上省庁が異なるという制度上の限界は否めない。この点、例えば米国のNIH(National Institute of Health)がHealth分野に関して基礎から応用まで一貫した研究開発予算を計上して一体的なプロジェクトを実施しているのと対照的であるが、NIHの方式によるべきである。
16-2 基礎から応用・開発への橋渡し
 予算の枠組みの改革のほかに、基礎分野と応用開発分野を担う研究開発プロジェクト間の連携を運用面で行うことも大きな意味がある。例えば現在、希少金属代替材料技術の研究開発を対象に、JSTとNEDOの間で基礎から応用へのテーマの橋渡しの制度的工夫として合同公募が行われている。
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バックキャスト イノベーション NIH

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2009年7月18日土曜日

Countermeasures for the Decrease of R and D Investment

今次経済不況による企業の研究開発投資減退への対処
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 産業構造審議会提示案の考察を進める。
13.(承前2009-07-17記事)研究開発システムに関する制度上の制約の除去:
 経済成長戦略大綱(2006-07)に掲げられたイノベーションスーパーハイウエイ構想によって、研究開発システムをめぐる制度上の壁の除去に取組んできたが、引続き、出口に向けたオープンイノベーション強化のための制約の除去が必要である。例えば、基礎研究から出口の応用・研究開発までのシームレスな支援を可能とする予算執行の仕組みや、研究開発独立行政法人など公的研究機関について予算[人件費など]に関する一律のキャップの見直し等、阻害となりかねない制約を除去していく必要がある。
14. 第4期科学技術基本計画に反映すべき政策
14-1 研究開発投資の維持強化
14-1-1 民間による研究開発投資の維持拡大: 今次経済危機を踏まえ、民間による研究開発投資を維持・拡大するため、現行の研究開発税制の試験研究費・税額控除制度について、「平成21、22年度において税額控除限度額を、当期法人税額の20%から30%に引き上げると共に、その超過額を23、24年度に控除対象とすることができるようにした。引続きこの制度を充実すべきである。
14-1-2 政府研究開発費のGDP比1%目標堅持
 現在、政府の研究開発投資は平成21年度までの4年間で16兆円、平成21年度の政府研究開発投資費はGDP比0.83%である。米国の1.08%より低い。(SANARI PATENT注:わが国のGDP比は欧州、中国、韓国とほぼ同じ)。
14-2 リスクに応じた技術開発支援:
 企業収益の減少による研究開発費の低下が嫌煙され、2009-03経済産業省調査によれば、約7割の企業が平成21年度の研究開発費を逓減させると回答し、その主たる理由をキャッシュ不足としている。(SANARI PATENT考察:英米の金融立国的思想が今次世界金融危機の原因として認識あれているが、企業の立場では、金融が立たなければ技術で立つことはできない。一頃頻発した職務発明関係の知財高裁判決で、企業収益に対する発明の寄与率が具体的に算定されていたが、営業力やブランド力との相関において、研究開発の企業維持における寄与度を算定し、過大評価に陥らない配慮も重要である)。このような厳しい状況のもとでは、民間企業が有する優れた先端技術シーズを実用化に結びつけることができず、特に事業規模が大きいリスクを伴う実用化開発に対する意欲を損なうことが嫌煙される。従って、開発リスク、資金リスクの高い研究開発への挑戦意欲を高めるインセンティブを与えるような制度の創設を検討すべきである。(SANARI PATENT考察:今次世界金融危機後の円高傾向を、海外企業買収の好機と捉え、自己研究開発に代替させる企業行動も見られる。多様な研究開発政策を比較すべきである)。
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研究開発 科学技術基本計画 リスク

2009年7月17日金曜日

Acquisition of De-Fact Standardization by Cooperation Strategy  

協調戦略によるデファクト標準化と競争力確保戦略
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 協調は競争力強化の手段として位置付けられる。これは当然のことである。
12-6(承前2009-07-16記事) 参加者を拡大するための協調:
 多様な研究開発主体がそれぞれ専門化した技術・知恵を持ち寄って協業し易くするためには、要素技術間の相互接続性が必要である。特に、社会や生活の高度化に伴ってIT、家電機器、自動車、医療など、あらゆる製品・サービス分野においてデジタル化とネットワーク化が進展し、様々なサービスを構成する製品や部品間で相互接続性の確保が求められる。そんため、外部仕様インターフェース情報の公開、共通化すべき技術仕様部分の標準化など、多様な研究開発主体が協業できるための技術面の環境整備が重要である。一方で内部仕様は、知的財産権やブラックボックス化によってコアの要素技術を保護しつつも外部仕様を積極的に公開bことにより、製品サービス間の相互依存性を高め、デファクト標準化等を図ることが戦略的に一層重要となりつつある。(SANARI PATENT考察: デファクト標準化を達成するために協業が必要なのである。)
12-7 「協調」の上に築く「競争優位」の強化
 研究開発投資による収益力強化ためには、協調プラットフォームの上に、独自技術の強化によって、新製品・新市場開拓の競争力を築くことが鍵となる。従って、多様な研究開発主体が競争に参加し主導権争いを展開するオープンイノベーション下において、以下の二つの技術領域において独自技術を強化する研究開発支援が必要である。(SANARI PATENT考察: 実際は協業を経てデファクト標準化を達成する要素技術と、独自技術の双方を備えている場合にのみ協業の戦略的意義がある。デファクト標準化達成後は協業の相手方は直ちに、独自技術による競争の相手方となる)。
12-7-1 コアとなる要素技術の研究開発力の強化
 製品の最終性能の鍵を握るキーデバイス技術力の研究開発を強化することが重要である。こうしたコアとなる要素技術は、協調の上に築かれることによりその技術を活用した新製品・新市場を拡大すると共に、競争力の原泉となる内部仕様は特許化やブラックボックス化によって守ることもできるから、研究開発投資に対する収益力の向上に大きく貢献する。
12-7-2 システム設計技術の研究開発力の強化
 要素技術の組合せによって新たな高付加価機能を発揮する製品・サービスを生み出す「全体設計システム」の技術が重要である。収益力の向上に大きく貢献する。
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2009年7月16日木曜日

Demand-Pull Type Strategies with Open Innovation Systems 

今後の研究開発の諸特徴
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産業構造審議会の以下の記述案は、業種分野の区別なしに述べられているが、企業間の「協調」「協創」については、例えば電子機器業界と医薬品業界との様相の相異を先ず指摘すべきであろう。
12-2(承前2009-07-15記事)分野融合への対応:
 重点推進4分野の枠組みは、個別の技術分野の高度化に重きを置くため、分野間の融合によって新しい価値を創出する面が不備になり易いという問題をも内包している。すなわち、従来の枠組みは個別Seeds-Push(シーズプッシュ)型戦略であり、今後は、わが国が直面する喫緊の課題解決に向けて重点化するというDemand-Pull(デマンドプル)型戦略に転換すべきである。出口(Mission、Vision、Goal)の例は、人口減少、環境・エネルギー制約、水・食料問題の解決である。
12-3 新たなコンセプト(課題解決)を実現する製品・サービスの想定:
 そこで、課題解決という新たなコンセプトに基づく社会システムの実現に必要となる製品・サービスを想定する必要がある。例えば、従来治療困難であった疾病の新しい医療方法であるが、これらは可変的に探究され、多様なイノベーションが可能である。
12-4 競争を効率的に行うための戦略的協調
 これまでわが国では、研究開発の自前主義が強く、「協調」は標準化のための技術情報の公開など、公共財を作るための行為の範疇に受けとめられることが多かった。「協調」を、自身の競争優位を築くための土俵として戦略的に位置づける認識が、欧米に比して低かった。しかし、研究開発の競争モデルが変化し、今後は競争に勝つため協調への取組を政策的観点から強化する必要がある。また、標準化活動におけるRAND条件や、協調の成果に関する知的財産への優先的アクセス確保など、フリーライドを防止し、かつ私益と公益をバランスさせる仕組みづくりによって、協調への参加者が適正な利益を得られることが必要である。
12-5 市場を「協創」するための「協調」
 共通基盤技術の開発や、共通のロードマップ策定が重要である。高度で複雑な課題を解決するための技術課題は、複雑多岐にわたるから、一社による個別技術要素の研究開発だけでは限界がある。従って、多様な研究開発主体が優れた要素技術を持ち寄って新市場を創造する「協創」が重要である。具体的には、次世代の共通基盤技術の開発、最新の技術情報共有のためのロードマップ策定、知的財産の円滑な利用の仕組みなど、多様な研究開発主体の協創環境の整備が重要である。
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2009年7月15日水曜日

Composition of Society to be Realized by Core Technologies

「技術ありき」の戦略から、技術により実現すべき社会の明確化を起点に
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  円借款事業促進
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  原子力発電所保安
 今次金融危機を契機とする研究開発政策の対応と転換に論点が進む。
11.(承前2009-07-14記事)研究開発投資縮小への対応:
 景気後退に伴う研究開発の縮小は、研究開発活動に対する一時的な影響にとどまらず、これまでの技術的ストック(技術的知識と人材)を散逸させ、将来景気回復時のイノベーションによる成長を阻害する。
 従って、これを回避して民間の研究開発力を下支えすることが政策として極めて重要であり、民間企業における研究開発意欲を下支えすると共に、民間企業内において一時的に余剰感が出ている研究開発人材の散逸を抑止すべきである。具体的には、研究開発税制において試験研究費についての税額控除制度に関し、平成21年度経済危機対策により控除額の上限および繰越制度が時限的に拡充されたが、今後は、これら拡充措置を着実に実施すると共に、経済状況および企業行動を見ながら所要の措置を検討する。
 また、平成21年度経済危機対策において産業技術総合研究所と民間企業との共同研究において、民間企業の研究人材の産総研への一時的な出向を受け入れる等の措置を講じており、その活用を含めて研究開発人材の散逸を防ぐべきである。
12. 出口を見据えた研究開発システムの強化
 世界における研究開発の競争モデルの変化を踏まえて、わが国の研究開発システムを、出口を見据えたオープンイノベーション型へとシフトさせていくことが重要である。次世代の社会システムの起点に技術的課題への落とし込みを行って、出口と技術の両方を見据えた研究開発システムとすることにより、わが国が有する高い科学技術力を新製品・新市場の開拓に結びつけ得る。
このためには先ず、技術によって実現すべき社会システムのコンセプトの提示、その実現に」向けて技術の高度化と多様な要素技術の組合せを可能とするオープンイノベーション(外部との戦略的協業)環境の整備が必要である。具体的には、
12-1 問題解決というコンセプトを起点とする国家技術戦略への転換:
 第2期科学技術基本計画から10年間、重点4分野としてライフサイエンス、情報通信、ナノテク・材料、推進4分野(エネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティア)の枠組みが踏襲されている。これは特定技術分野の高度化に、ある程度貢献したが、「技術ありき」の戦略であるため、その技術の振興がいかなる社会の実現を目指すものであるか、必ずしも明確でない。
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2009年7月14日火曜日

Business Cycle Factor and Economy Structure Factor Affect Japan  技術立国日本に対する景気循環要因と構造的要因
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  Smart Grid構築  
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  ソニーの調達革新: キリンサントリー統合


8.(承前2009-07-13記事)競争モデルの変化:
 世界の最先端研究開発モデルは現在、競争モデルの変化に伴って、一つの企業・組織内に閉じた研究開発システムから、外部との戦略的協業を前提とし、多様な要素技術の組合せの中で、競争と協調を織り成す重層的なモデルに変化している。
 一方、従来型のイノベーションモデル(明確な目標モデルに基づく技術改良型)を踏襲してきたわが国においては、産学連携を含め研究開発の外部利用率が低いなど、一つの企業・組織内に閉じた研究開発システム(自前主義)が主流になっている。外部活用は検査分析サービスなど労働作業的な業務の外注にとどまり、研究開発費における外部委託率は6%程度である。1990年代後半以降、産学連携が強化されつつはあるが、川上の材料メーカーと医療サービスとの連携など業種を超えた連携は活発でない。
 従来型モデルでの過去の成功体験の印象が強いということもあって、新たな価値観、社会ニーズに基づく社会や新製品・新市場のコンセプトの創出や、外部との戦略的な協業を前提とした研究開発モデルへの対応は必ずしも進んでいない。従って、新しいコンセプトを樹立し、それに向けて組織や業種・技術分野を超えた連携を構築することによって次世代のイノベーションによる新しい市場を開拓する経験・仕組み・人材に乏しい。例えばアポロ計画、IT社会、ヒトゲノム計画等は欧米に依存する傾向が強いままである。
9.国の研究開発政策:
 国の研究開発政策においても、70年代には大型プロジェクト制度、80年代には次世代プロジェクト制度等によって近似の業種内の共同研究による先端技術の高度化、例えば、超LSIプロジェクト(1976~1980、官民で700億円投入)ではIBM Future System構想に対抗した民間5社と旧電子技術総合研究所がメガビットクラスのDRAM製造技術を共同研究し、歩留り向上による生産性向上を達成し、80年代から90年代にかけて日本のDRAMが世界市場を席巻したというような事例も多いが、サービス業等川下企業と材料メーカー等川上企業との異業種連携など、業種を超えた連携は活発でない。
10. 技術立国日本の負の要因:
 上記の景気循環要因と構造的要因の二つの負の要因によって技術立国日本は危機的状況に在る。以下その対策を求める。
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2009年7月13日月曜日

Competition and Cooperation in the Open Innovation Practice 

オープンイノベーションにおける競争と協業 
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  最適エネルギー制御
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  ソニーのアセットライトと調達改革:成功者の「価値の所有権」

 現在、世界の最先端の研究開発モデルは、競争モデルの変化に伴って、外部との戦略的協業を前提とし、多様な要素技術の組合せの中で競争と協業を織り成す重層的なモデルに変化していると認識して、経済産業省の技術政策立案が進められている。
6.(承前2009-07-12記事)自前主義の限界から「競争と協調」へ:
 自前主義の限界は、「新たな価値観に基くコンセプトの重要性」と、「技術の高度化複雑化」の二つの要因から現出し、次世代の経済社会の主導権を握るための研究開発の競争モデルは、これまでの一つの企業や組織内に閉じられた研究開発競争から、新たな価値観に基く社会ニーズの実現に向けて、専門技術領域を担う多様な研究開発主体が競争と協調を繰り返すモデルに転換しつつある。例えば、ナイロンの開発において、基礎から一貫して社内で行う中央研究所方式のモデルになったデュポンにおいても、燃料電池の実用化開発では台湾ベンチャーを活用した。また、次世代半導体の世界的研究拠点の一つであるIMEC(ベルギー)では、材料メーカー、製造装置メーカー、半導体デバイスメーカーの3異業種がグローバルに最先端技術を持ち寄る研究開発の協業システムを実現している。
7.Open Innovationにおける主導権をめぐる競争と協調:
 上記のように、研究開発の競争モデルが大きく変化する中で、「欧米を中心に」(SANARI PATENT考察: この語は不要不適切で、わが国でも夙に強調)必要性が叫ばれているのが、オープンイノベーション型の研究開発システムである。次世代新製品・新市場の開拓の主導権を巡って競争と協調を繰り返す研究開発が背景となっていることから、このオープンイノベーション型の研究開発は従来の企業間の技術提携や産学官連携に多く見られた、従来技術や非コア技術の」外部による補填や研究開発コストの削減のためではなく、将来の新製品・新市場のコアを握るキーテクノロジーの創成を巡る外部との協業である(SANARI PATENT考察: このように限定する必要はない)。
従って、このオープンイノベーション型の研究開発システムとは、実現すべき新たな価値観に基く社会システムのコンセプトを明確に提案することを出発点とした上で、そのコンセプトに向けて、「専門化高度化した要素技術のいかなる組合せ新たな製品。サービスを創出するのか」「その組合せの中でいかに主導権を握る要素技術を確保するのか」という競争が行われる。この結果、競争を効率よく推進するための、「共通基盤気の確立・標準化」「要素技術の柔軟な組合せを可能とするためのインターフェイスの共通化」についての協調も重要である。
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2009年7月12日日曜日

R and D Competition Model in the New Generation 

新たな価値観に基づくコンセプトの創出
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 経済産業省産業構造審議会の「次世代研究開発論」に進む。
3(承前2009-07-11記事)研究開発投資の冷え込み:
 今次世界経済危機により、2008年来、世界規模で景気が急速に落ち込んだ結果、わが国の民間企業による研究開発投資はおの維持すら危うい状況を生じ、今後大幅に抑制される可能性がある。イノベーションを経済成長のエンジンとすることにも大きな支障を来すことが懸念される。
4.景気循環要因と構造的要因
4-1 (景気循環要因)わが国大手民間企業に対するアンケート結果によれば、2009年度の研究開発投資は、2007年度比7%程度抑制されると示唆されている。2007年度13.8兆円から1兆円削減される試算となり、イノベーションに与える影響が大きい。現在の民間研究者48万人の維持の困難化も予想され、特に、将来の研究開発を担う若手研究者の採用が抑制され、また、技術の伝承を担う中高年技術者が他部門に配置転換されることが懸念される。
 新素材の研究開発など、基礎的探究的なレベルから中長期的視点で行われてきた研究開発ほど、これまでの技術蓄積を一度に散逸してしまう惧れがある。
4-2 (構造的要因)研究開発の競争モデルの変化への対応が遅れる惧れがある。これまでのわが国の強さは、目標モデルが明確な技術改良型の研究開発に存した。欧米の先行事例を構成する要素技術について独自に改良・高度化することで競争力を発揮してきた。デジタル化やネットワーク化が現在ほど進展していない社会においては、単品の製品・サービスをある程度独立して研究開発することが可能であり、企業や組織に閉じた研究開発システムの強みを発揮できた。
4-3 (新たな価値観に基くコンセプト創出の重要性:コンセプト創出型の研究開発システム)近年、モノの消費意欲の減退や価値観の多様化に伴い、自動車や家電における「より高い性能」という物理的充足よりも、「低炭素」「健康・安全」など、これまでの延長線上にない価値観の製品・サービスが求められている。従って、次世代のコンセプトを明確に捉えるコンセプトドリブン型の研究開発が求められる。米国のGreen New Deal政策、欧州のCreating Innovative Europeなどがこの型に属する。
5.技術の高度専門化・高度化における自前主義の限界
 現在、人・モノのグローバルな移動や、デジタル化ネットワーク化による情報流通の進展によって、個人と産業の活動を支える経済社会諸システムのニーズ側の課題は高度化複雑化し、一方で、量子力学に基づく新材料技術や遺伝子技術の発展を背景として、技術シーズ側の可能性も高度化複雑化している。
 従って、次世代の経済社会の主導権を握るための研究開発の競争モデルは、これまでの一つの企業や組織内に閉じ込められた研究開発競争から、新たな価値観に基づく社会ニーズの実現に向けて、専門技術領域を担う多様な研究開発主体が競争と協調を繰り返す研究開発モデルに転換しつつある
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2009年7月11日土曜日

Contribution of Research for Realizing Innovation 

イノベーションに対する研究開発の寄与の評価
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  リチウム電池の耐用年数等
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  マルハニチロの北米市場
2.(承前209-07-10記事)わが国技術立国の地位の危機
2-1 わが国の研究費総額は19兆円(2007)で、米国に次いで世界第2位(2007)であり、研究者総数は約71万人(2007)で、米国(143万人)、中国(142万人)に次いで世界第3位(第4位ドイツ28万人)である。研究の成果を示す指標として特許の新規登録件数は第1位(2007)(23.1万件)(米国14万件、韓国10,6万件、ドイツ5.1万件、中国3.3万件)、論文発表数では第2位(2007)である。(論文の被引用数を比較することが実質的な価値比較とされているが、国際統計は未整備で、特定の研究分野についてのみ考察可能だが、わが国の邦文論文は被引用数が特に少ない)。ただし、産業分野別に見て、対欧米では医薬、医療機器、バイオが劣位で、特許や論文についても引用度など質でみた場合に若干順位が劣ること、研究費総額などにおける中国の急速な追い上げ等、その地位は安泰でない。
2-2 研究開発の収益力について、マクロレベルで、1990年前後を境に、わが国のGDP成長に対する技術革新(Total Factor Productivity:全要素生産性)の寄与度が低迷している。ミクロレベルで見ても、民間企業の研究開発投資に対する利益率が低下しつつある。
2-3 また、最近注目されるInnovationによる新製品開発の事例も、欧米発が多い。例えば、わが国でも化合物半導体技術やナノ粒子技術、印刷技術など個々の技術要素についての最先端の研究開発は各々行われていたが、おれら技術要素を組合わせたペーパー型太陽電池システムの実用化は、米国ベンチャーの後塵を拝した。
2-4 従って、わが国の基礎的な科学技術力の強さが、出口の新製品の開発、新市場の開拓に効率的に結びついていない。その原因として、基礎から応用、開発に至る研究開発段階において、出口を見据えた研究開発を行うシステムが弱く、科学技術力が活かせていないことが課題として示唆される。
2-5 また、今次経済危機により2008来、わが国民間企業による研究開発投資の維持は困難な状況を生じ、今後大幅に抑制される可能性がある。(SANARI PATENT考察: 分野別・企業別に考察すべきである。既に2009-03期事業報告書が公表され、2010-03期見通しと共に研究開発費投入の動向も明確に把握であるが、研究開発の意欲は旺盛と、SANARI PATENTは見る)。
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2009年7月10日金曜日

METI Requests Public Opinion on Technology Policy for Innovation 

「イノベーション力を強化する産業技術政策の在り方」意見公募
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  Micro Grid構築
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  マルハニチロ北米進出

 経済産業省産業構造審議会の産業技術分科会基本問題小委員会が、「イノベーション力を強化する産業技術政策の在り方」について中間報告の案をまとめたので、経済産業省(担当:産業技術環境局産業技術政策課)はこれを公表し(2009-07-09)、意見を公募している(提出期限2009-08-07)。
 以下、この案(副題「出口を見据えた競争と協調」)の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 産業技術政策当面の課題: 
1-1 資源エネルギーおよび環境制約が地球規模の深刻な課題となり、米国のサブプライム問題に端を発した金融経済危機が世界経済を震憾させる中、今後わが国は世界の経済社会において、どのような国(どのような役割を果たすことで富を得る国)を目指すのか、明治維新、第2次世界大戦後以来の、第3の国づくりの重要な時期を迎えている。(SANARI PATENT考察:「どのような国」すなわち「国柄」の定義を、技術政策の立場から「どのような役割を果たすことで富を得る国」と提案したことは秀逸である。富に関連して知的財産権も含まれるから、内閣知財戦略本部の知的財産戦略との関連では、日本ブランド、文化コンテンツを含めて、「どのような役割を果たすことで富を得、文化コンテンツを発信する国」を、「どのような国」の定義としたい)。      
1-2 天然資源に恵まれないわが国は、戦後復興期以降、天然資源を輸入し製品を輸出して国富を得る加工貿易型の工業立国として、世界第2位の経済大国にまで発展した。外需と共に内需が経済の牽引車と位置づけられても、原材料から製品・サービスに至るプロセスに投入される技術が、わが国の付加価値の源泉であるという基本構造は不変である。
1-3 これまでの技術政策の成果にもかかわらず、現在、わが国は、一人当たりGNPで世界第3位(2000)から第19位(2007)、IMD国際競争力ランキングで第1位(1993)から第24位(2007)にまで低下し、その経済面での足元は揺らぎつつある。
2 わが国産業技術が抱える課題(以下次回)
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2009年7月9日木曜日

FALCO Co. for Fast and Accurate Laboratories with Confidence

ファルコバイオシステムズの医療総合サービス企業志向と増収実績
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  東レの新規事業
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  帝通工の販路拡大

 ファルコ(東証大証1部)の今次中間報告書(2008-08-21~2009-03-20)は、「医療総合サービス企業を目指し、収益力とブランド価値を高めてまいります」と表題している。先端医療分野業務の、企業としての確立を国家戦略とする内閣知財戦略本部の計画に先行して、半世紀近い社歴を経てきたと、SANARI PATENTは考察する。特に2000-01にGenetic ID Inc.(US)と業務提携して遺伝子組換食品検査事業に参入、2000-02にMyriad Genetics Inc.(US)と業務提携してヒト遺伝子検査事業に参入して以来の先端分野進出が顕著である。
1. ファルコの会社概要
 47年前に京都市で株式会社関西医学センターを設立、関西6市で6社が独立創業し、関西医学検査センターグル-プを形成した。1988-03、京都府に株式会社ファルコバイオシステムズを設立。現在、受託臨床検査(検体検査)、IT事業、ヒト遺伝子検査、治験研究検査、調剤薬局を事業とし、連結従業員数1444。
2. 今次中間報告書(2008-08-21~2009-03-20)の業績
 連結売上高189億6800万円(前年同期180億5900万円、前々年同期169億3200万円)。経常利益5億7500万円(前年同期比84.3%増)となったが、今次株式市況低迷による投資有価証券評価損の計上等で純損失5100万円計上。
3. 事業の現況と今後
3-1 ヒト遺伝子検査事業
 Myriad Genetics Inc.(US)が特許を保有する乳がんおよび卵巣がんの発症に関わる遺伝子検査等を実施している。
3-2 受託臨床検査(検体検査)事業
 毎日8万件以上の検体を受けつけている。
3-3 調剤薬局事業
 検体検査のネットワークを活かして医療機関に近接する場所に調剤薬局を開設し、地域医療のキーステーションとして機能している。
3-4 IT事業
 2011年から、診療報酬明細書は原則として完全オンライン化が義務づけられ、電子カルテなどの医療のIT化は急速に進展するので、付加価値のあるサービス支援と、取引先医療機関とのネットワーク化でIT事業を拡大する。
3-5 予防医学
 21世紀は、遺伝子情報に基いて病気の原因解明や治療法の開発が行われると予想し、この分野に取組む。
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2009年7月8日水曜日

First Cargo from Indonesia’s TANGGUH LNG Project Announced by SUMITOMO Co. etc. 

First Cargo from Indonesia’s TANGGUH LNG Project Announced by SUMITOMO Co. etc. 住友商事の資源開発と情報システム
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1.資源確保と商社活動
 資源、特に地下エネルギー資源・鉱物資源の世界分布に対応して、その取得権益を安定確保するために、商社への依存は、対象の多様化と偏在の進行を要因として益々高まる。従って、商社自体とその子会社の情報システム高度化が一層重要になる。
2.最近の事例、インドネシア・タングーLNGプロジェクト
 住商情報システムは、三菱商事、国際石油開発帝石、新日本石油、三井物産、エルエヌジージャパン、双日、石油天然ガス・金属鉱物資源機構と」共同で、「インドネシア・タングーLNGプロジェクトから」のLNG出荷開始」を発表した(2009-07-06)。ボンダン、アルンに続くインドネシア第3の大型LNGプロジェクトで、新たなガス供給のソースとして、日本を含む世界のエネルギー市場に貢献するものと評価されている。個々の商社独自の資源権益確保と、日本企業グル-プによる確保が並行する必要性を示している。
3.住友商事における資源業務の比重
 会社四季報は住友商事の特色を、「堅実経営、鋼管に強み,CATVや都市開発で独自展開、資源は銅や金に特徴」と特色づけているが、連結事業において資源・エネルギー22%、金属18%を合算すれば、資源の比重は4割と概算される。価格変動は著しい資源分野の比重として適切である。
4.住友商事の課題
 2009-03期の連結売上高は10兆7500億円で対前期比6.4%減であったが、今後対処すべき課題として次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
4-1 新たなステージにおける成長シナリオを確立すべく、定性面では「メリハリある成長戦略の着実な実行」「健全性・効率性の徹底的な強化」「価値創造力を高めるための人材・組織づくり」に注力する。
4-2 定量面では、2009年度連結純利益1150億円(SANARI PATENT注:2008年度2151億円であるから、随分控えめである)、2年平均で10%程度のリスク・リターンを確保する。
4-3 住友商事を取り巻く社会・経済環境は非常に厳しい局面にあるが、一方で資産価格や資源価格の下落などにより、優良資産を積み増す好機が到来したとも言える。
5.住商情報システム
住友商事の連結子会社のリストは、分野別に表示されているが、メディア分野に住商情報システムが掲げられ、システムインテグレーション、ソフト・ハードウエアの販売および情報処理サービスの提供と紹介されている。
住商情報システムは知的財産の創成にも努め、最近の特許公開例には、次の発明がある。
5-1 懸賞システム(2009-04-23公開):個人情報の外部流出に係るコストを最小限に抑えつつ、懸賞の実施期間を予定通りに終了させることができ、かつ、懸賞への応募を特定の者に制限することもできるようにする。
5-2 画像表示制御装置およびプログラム(2009-02-12公開):ユーザーが見逃したスクロールテロップまたは再度見たいスクロールテロップを直ちに見ることができ、興味のないスクロールテロップを直ちに進行方向に移動させることができる画像表示制御装置およびプログラムを提供する。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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2009年7月7日火曜日

JAL vs. ANA, Rivals of Business Method 

日本航空と全日空、ビジネスモデル特許訴訟から企業年金、支援と公募、類似と相異
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1. JALとANAの比肩
 会社四季報はJALを「空運で売上高世界5位級、国内はANAと二分」、ANAを「国内線はJALと互角、国際線は中国・アジアに集中」と特色づけているが、ビジネスモデルの類似を特許訴訟で争った時期もあった。Nikkeibpの2004-07-27 netには次のように報じられている(SANARI PATENT要約)
1-1 JALが取得したビジネスモデル特許が、ANAに向けて火を噴いた。JALは2004-07-23、ANAが展開している。法人向け国内線予約・発券サービスが、JALの持つビジネスモデル特許を侵害しているとして、ANAを東京地裁に提訴した。ANAに対してシステムの使用中止と、100億円の損害賠償を求めるものである。
1-2 JALが持つ特許は「ID利用の搭乗券発行システム」(特許番号第3179409号:登録日2001-04-13)で、このシステムの契約企業数はJAL、ANAとも約1万強である。
2 政府支援要請の有無
 昨日(2009-07-06)の国土交通省記者会見で金子一義大臣は、「(1000億円規模の)政府支援とJALの企業年金減額はセット」との認識を示した上で、「西松JAL社長の責任で必ず実行してもらうのが政府支援の条件だ」「年金減学が頓挫した場合の経営責任は西松社長が覚悟」と語った(Yahoo News 2009-07-06:1216)。
一方ANAは、政府支援のJALに対抗して、1500億円規模の公募増資を実施する方針を固めた(2009-06-30)。航空需要低迷下で、成田・羽田空港の拡張(2010)を踏まえ、米国ボーイングが開発中の次世代中型機787導入など設備投資に必要と判断した(jijicom2009-0701:0212)。
3. 企業年金への関心
 大企業においては原則的に実施されてきた企業年金制度は、大企業以外の退職者の年金額と著しい格差をもたらす場合が多いと共に、大企業の企業間格差も大きいことが、今次JAL問題を契機として明らかになった。すなわち、週刊ダイヤモンド誌2009-07-04は、「暗雲のJAL企業中国年金改定、大幅減額にOBが猛反発」と題されているが、むしろ、「ANAの企業年金給付額は、月額10万円未満であるが、現行制度でのJALの企業年金は、公的年金(SANARI PATENT注:38年勤続定年退職者で月額21万円程度と解する)に上乗せされて月額約25万円が支給され、ANA社員は、JALは余りに高額と漏らす」という同誌記事が一般読者の関心を集めたと考える。日銀、9電力、大手電機などの企業年金の実態を明らかにして、年金制度改革の考え方を再検討すべきである。(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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2009年7月6日月曜日

Meiji vs. Morinaga Dairies, Both Promise Quality and Good Taste 

経済不況下における乳業2社の売上高順調
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1. 乳業首位と2位
 明治乳業と明治製菓の統合で2009-04に明治ホールディングスが誕生したが、乳業首位で、2009-03期の明治乳業売上高は7113億9400万円、前年度比0.62%増に達した。
 乳業2位の森永乳業は、2009-03期の売上高4450億4500万円、前年度比1.1%減ではあったが、営業利益66億8000万円で2.3倍、経常利益92億2700万円で1.6倍、当期純利益28億2200万円で3.5倍に達し、明治乳業の減益決算と対照的である。
 会社四季報は明治乳業について「乳製品も値上げ効果で横ばい」と解説しているが、森永乳業については、「乳飲料やヨーグルトなど好採算の7分野を重点的に育成中で、量販向けのプライベートブランド製品は縮小し、牛乳は2009-03再値上げで数量減続くが乳飲料やヨーグルトが持ち直し、アイスクリームも重要旺盛で、増収と値上げ効果に加え、工場統合に伴う製造経費削減、原料乳価高等をこない営業益続伸」と詳解(SANARI PATENT要約)している。
2. 明治ホールディングスの業容
 経営統合した両社は次のように述べている。「明治乳業と明治製菓は90年以上にわたり、顧客に愛された明治ブランドという共通の財産を有し、高い研究開発力と技術力、強いマーケティング力、更には高度な品質保証体制のもと、事業を営んできた。このたび誕生した明治グル-プは、統合によって新たな美味・健康の世界を広げ、生活充実に貢献する。」なお統合会社の年間売上高は1兆1254億7400万円、従業員数14127人である。
3. 森永乳業の2010-03期見通し
 次のように述べている(SANARI PATENT要約)。「景気の後退局面が続き、食品業界においても個人消費の冷え込みに加え、生活防衛意識の強まりから、低価格志向が一層鮮明になって、厳しい経営環境が続くと予想される。酪農乳業界では2009-03からの原料乳購入価格の再引き上げに伴う消費への影響が影響が懸念され、牛乳、乳製品の消費拡大に業界を挙げて取組んでいる。一方で、酪農および乳業相互の発展に向けて国際競争力を強化することも急務となっている。こうした中で森永乳業は、飲用牛乳の価格改定の浸透、伸ばすべき商品の売上拡大、低コスト操業の徹底などの自助努力を進める。」
SANARI PATENT所見
 チーズ、プリンなど多様な商品の中で、メーカー間の市場価格差が多様に見られ、販売戦略の展開を実感すると共に、牧畜業に遡った国際競争力強化政策の必要について、政府の応答が望まれる。
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2009年7月5日日曜日

NTT DATA Rapidly Expands its Business Outside Japan 

NTT DATAグル-プ、2012年度の海外売上高3000億円を視野に
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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1. NTT DATAは増収増益から海外へ
 2009-03期決算においてNTT DATAは、「当グル-プの業績は売上高1兆1390億円、営業利益985億円と、対前年で増収増益を確保できた」と報告した。2008年度までの4年間にNTT DATAは、「変革の先進企業」を目指して「量(売上)から質(価値創造)への転換を図り、売上高営業利益率10%を目標に顧客満足度No.1を追求したが、2009年度から更に、「質をを伴う量の拡大」、具体的にはグローバルIT企業のトップ5を目標に、2012年度売上高1兆5000億円を達成し、Global IT Innovatorの道を着実に歩む」と述べている。
この1兆5000億円について、海外売上高を2009年度1000億円から、2012年度には3000億円とし、海外売上高比率を2割に引き上げる計画である。
2. 海外加速の動因
 急速な海外拡大計画の動因は、次のように述べられている(SANARI PATENT要約)。「世界的な景気減速を受けて国内企業の業績は急速に悪化しており、NTT DATAグル-プを取り巻く事業環境も厳しさを増す中、これまでの好業績に甘んじていては、今後の業績悪化は免れないという危機感がある。10~20年前と比べて、今のIT産業は必ずしも成長産業といえる状況ではないが、世界的に見れば、まだまだ成長の余地がある。」「すなわち、近年急速に伸びる企業の海外進出に伴い、それぞれの企業の競争力を最大限に発揮するため、システムの整備を海外でも国内同様にサポートして欲しいというニーズが益々高まっている。こうした顧客の要望に柔軟に対応できる体制を整えるため、アジア、欧州、北米を中心に本格的な海外展開を進めつつあり、2009-03末時点での海外拠点の状況は、世界21国62都市に4800人の体制を整えるに至った。
3. NTT DATA海外グル-プ会社CEOの所感事例(SANARI PATENT要約):
3-1 米国シカゴ The Revere Group, Ltd. 「NTT DATAは、北米の中堅企業のみならず、グローバル化を推進しているその他の地域の中堅企業をも対象に、コンサルサービスを提供するリーダー企業として、非常に大きい可能性を秘めている。」
3-2 ドイツ・ミュンヘン Cirquent GmbH 「NTT DATAグル-プに加わることによって財政面での安定性・信頼性の評価も高まった。」(SANARI PATENT考察: 2009-01-28世界経済フォーラム(ダボス会議)で発表された2009「最も持続可能性ある世界100社」に、NTT DATAを含む日本企業15社が選ばれた)。
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2009年7月4日土曜日

METI and MA Release Report on Agriculture-Commerce-Industry 

経済産業省と農林水産省が農商工連携研究会報告書を発表(2009-07-03)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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1. 報告の要旨(SANARI PATENT要約)
1-1 経済産業省(担当:地域経済産業グル-プ地域経済産業政策課)は、「農商工連携関係施策の方向性検討のため、2008-12から農林水産省と共同設置した研究会の報告がまとまった」として、昨日(2009-07-03)発表した。
1-2 戦後の高度経済成長期以来、わが国は、鉄鋼、自動車、半導体といった高付加価値な「ものづくり」が牽引する世界第2位の経済大国として、90年代以降、安定成長期に入ってからも、「ものづくり」がわが国経済の基盤と考えられている。
1-3 しかし近年、BRICs等の産業が急速に伸長する中で、わが国企業と新興国の産業競争力の差は接近しつつあり、2008年にはわが国は、28年ぶりに貿易赤字国に転落した。もはや、これまでの「ものづくり」だけでは、わが国経済を支える付加価値を産出できない。更に、競争力強化のための合理化によって、製造業の雇用吸収力が低下している。
1-4 今次世界経済危機をチャンスと捉え、新たな挑戦として、環境との調和のもとに21世紀型の産業構造・地域経済を実現すべきである。
1-5 わが国のカロリーベース食料自給率は40%にとどまっているが、わが国食品の品質は海外で高評価され、高級食材としての需要が拡大し、日本食ブームも拡大している。
1-6 農商工連携の担い手は、地域で活躍する農業者、林業者、漁業者、および、地域経済を支える食品加工、食品小売、外食を中心とする商工業者である。固有の気候風土と長い伝統と文化に育まれた地域独自の魅力を、新たな商品、サービスに吹き込み、消費者に届けることができれば、そこに新たな地域活性化が生まれ、雇用を支える。
2 これまでの取組
2-1 農商工等連携促進法の施行(2008-07)→ 190件の計画認定
2-2 関連予算→ 2009年度 農水省179億円 経済産業省155億円→ 農商工連携ファンドの創設など
3 農商工等連携促進法
3-1 中小企業者と農林漁業者が共同で行う新商品・新サービスの開発等の計画の認定を受けた場合に、事業資金の貸付や債務保証、設備取得に対する税制支援、事業経費補助等を行う。
3-2 2009-03-27現在、農商工連携事業計画130件、農商工連携支援事業計画5件が認定されている。
4 SANARI PATENT所見
 今朝のNHKTVでも、海ぶどう養殖と真珠養殖が相互に良好な環境を生成することを放映していた、地域観光・商業活動の参加が望まれる。
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2009年7月3日金曜日

YASUKAWA Co. at the Second Quarter of 2009 Fiscal Year 

安川電機の世界経済危機対応、2009年度第2四半期入り
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  ダイフクの物流システム

1. 第二四半期を迎えて: 2009年度第2四半期に入り、株主総会が済んで草々であるが、2008年度後半からの業績急落にかんがみて、2009年度からの新たな経営戦略を表明した成果が、どのように現れつつあるか、注目を浴びるところである。第1四半期の実績も、間もなく発表されるが、2009年度の戦略を先ず、電機関係など経済不況に直撃された業種について考察する。
2. 世界不況、安川電機の場合:  会社四季報で「赤字転落」と見出しされたが、大幅減益にとどまった安川電機の場合はどうか。安川電機は、会社四季報がその特色として、「独自の制御技術でサーボモーターとインバーター世界首位、産業用ロボットは台数世界首位」と明言する名門企業である。しかし利島社長の今次総会挨拶に述べられたように、「安川電機は、2008年度初頭来、前年度から投入している強い新商品をもって、強い市場、強い顧客をターゲットに営業活動を強化し、これによって上期は産業用ロボットや、アジア市場向けの売上が伸長したが、下期以降、安川電機の主要な顧客である自動車業界、半導体業界および液晶業界における投資抑制の影響を受けて、モーションコントロール、ロボットの両セグメントにおいて受注が大きく減少し、また、円高の急激な進行によるマイナスの影響を強く受けた(SANARI PATENT要約)」。
3. 安川電機の2009年度戦略: 上記のような状況を克服すべく安川電機は、有望市場の開拓と既存市場でのシェア拡大と共に、コストを低減するが、具体的には以下の施策を実施する(SANARI PATENT要約)。
3-1 有望市場の開拓と既存市場でのシェア拡大
3-1-1 ACサーボモータ: 潜在ニーズを積極的に発掘すると共に、需要の回復を即時取り込み拡販する。
3-1-2 インバータ: 品揃えを強化した新商品群により、世界省エネ需要を取り込む。
3-1-3 産業用ロボット: 自動車業界での生産ライン小型車シフトに対応すると共に、新世代ロボットの市場投入を拡大する。
3-2 受注促進体制の強化
3-2-1 社長を本部長とする営業統括部門を設置し、トップ率先の営業促進を行う。
3-2-2 潜在需要が大きい顧客に対して事業部横断的対応で受注を拡大する。
3-3 新しい環境に勝つ新商品の発掘: 市場開拓、技術開発を高速化し、顧客ニーズへのシステム対応力を強化する。
3-4 安川電機製ロボットの社内導入拡大(SANARI PATENT考察: 当然のことのようだが。)
 SANARI PATENT所見
第一四半期の実績発表が近づくので、世界危機対応策の実現状況を先ず考察すべきである。
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2009年7月2日木曜日

ELPIDA Memory, Inc. Accepts Approval Under the Special Act 

エルピーダに対する産活法に基づく出資円滑化措置認定
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  東洋紡のバイロン
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  東急電鉄10億6500万人

 エルピーダメモリーに対する産活法措置の認定について、二階経済産業大臣は記者会見(2009-06-30)において次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. DRAMを製造する日本で唯一の企業であるエルピーダメモリー株式会社に対して、産活法に基づく「事業再構築計画」の認定を、本日(2009-06-30)行った。DRAMは、わが国の主要産業に幅広く用いられており、その供給を確保することは、国民生活・経済産業活動を支えるため極めて重要な課題であると判断した。
2. この計画では、エルピーダの技術優位を維持しながら、生産コスト削減のための設備投資や、台湾企業との連携強化を通じた国際的業界再編を軸としている。その実施によって企業の競争力の強化、収益力の向上、わが国産業へのプラス影響を期待している。
3. 計画の策定に当たっては、経済産業省、政策投資銀行、関係金融機関等の関係者において計画内容を十分審査し、私からも与謝野財務大臣と直接協議し、結論を得、本日の閣僚懇談会にも報告した。
4. 閣僚懇談会においては、私からは、世界的経済危機の影響により、コンピュータ等に不可欠な半導体であるDRAMを、日本で唯一製造する企業であるエルピーダメモリー社は、現在大変厳しい経営状態に置かれていること、DRAMの供給確保が国民生活・経済産業に重要であること、従って、改正された産活法に基づいて、最新鋭の設備の導入と国際的事業再編を柱とするエルピーダの事業再編構築計画を本日認定したと報告した。
5. これについて与謝野財務大臣からは、「ただ今の経済産業大臣の発言を踏まえて、日本政策投資銀行による出資に対する日本政策金融公庫の損失補填制度の実施に協力するという発言があった。
6. なお、官房長官からも同趣旨の発言があり、官房長官は、出資円滑化制度は非常に重要な役割を果たすと同時に、経済産業省の尽力によって、第1号案件の計画が認定されることになったが、本制度の適切な運用に努めるようにとのことであった。
7. 記者との質疑応答
Q1 なぜ出資が必要か。
A1 先般の経済危機来、エルピーダのような規模の会社が相当の資金を必要とする状況の中で、今後この企業を活発に活動させることによって、国民生活やわが国の経済活動全般に影響を及ぼすという判断をしたからである。(SANARI PATENT考察: 質問の意図とは異なる応答だが、質問者も知った上での確認質問であろう。要するに、融資だけでは間に合わないのである)。
Q2 今後、エルピーダをどのようにチェックするか。出口、すなわち、公的支援の終結はいつか・
A2 財務省と協力して支援する。台湾との連携も要素である。出口は当然考える。
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2009年7月1日水曜日

Support Project 2009 For Establishing JAPAN Brand 

平成21年度「JAPANブランド」支援プロジェクトを中小企業庁が決定
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  ロート目薬アジア展開

 経済産業省(担当:中小企業庁経営支援部経営支援課)が平成21年度「JAPANブランド」支援プロジェクトを発表した(2009-0630)。地域産品の輸出促進のため、世界に通用する地域産品のブランド力(JAPANブランド)の確立を目標として、地域の小規模事業者等と、外部から招聘した輸出産品プロデューサー等が一丸となって行う取組に対して、行政支援するものである。
 支援のスキームは、
1. 中小企業庁は、JAPANブランド全国事務局に委託して、民間団体による次の事業を行う。
1-1 販路開拓支援(戦略的プロモーション)
1-2 ビジネスマッチング(海外見本市等に出展)
1-3 個別プロジェクト事業評価
2 中小企業庁は地方経済産業局を通じて、商工会議所、商工会、組合、MPO等の、次の事業を補助する。
2-1 ブランドの構築→ 地域の技術や素材について、地域分析し、ブランドコンセプトを検討し、ブランドを構築するため、500万円上限の定額補助を行う。
2-2 個別に事業化→ 共同製品開発、地域全体での展示会出展、ブランド管理体制整備ための、3年間にわたり、各年とも2000万円を上限として3分の2補助する。

SANARI PATENT所見
 今回採択されたプロジェクトには次のような事例が見られるが、先ず日本国民が挙ってこれらの日本文化価値を再認識することが必要と思われる。
(1) SANJO発 グローバルブランド(新潟県三条商工会議所)→ 三条市に古来伝わる金属加工技術を現代に伝える。
(2) 今治タオルプロジェクト(愛媛県今治商工会議所)→ 国内最大のタオル産地である今治から、綿本来の吸水性に優れ、柔らかさが持続する高品質タオルを提案する。
(3) 京都・丹後テキスタイル(京都府商工会連合会)→ 丹後ちりめん、螺鈿織り(SANARI PATENT注:経済産業省の発表文に「折り」とあるのはミスと思う)、藤織り(同)といった丹後地域ならではの素材・技術を用いたテキスタイルを提案する。
(4) 仙台箪笥世界ブランド化プロジェクト(宮城県仙台箪笥協同組合)→ 千大箪笥が持つ市場価値やストーリー性を活かしたブランドコンセプトと基本戦略を策定する。
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