2009年7月11日土曜日

Contribution of Research for Realizing Innovation 

イノベーションに対する研究開発の寄与の評価
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  リチウム電池の耐用年数等
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  マルハニチロの北米市場
2.(承前209-07-10記事)わが国技術立国の地位の危機
2-1 わが国の研究費総額は19兆円(2007)で、米国に次いで世界第2位(2007)であり、研究者総数は約71万人(2007)で、米国(143万人)、中国(142万人)に次いで世界第3位(第4位ドイツ28万人)である。研究の成果を示す指標として特許の新規登録件数は第1位(2007)(23.1万件)(米国14万件、韓国10,6万件、ドイツ5.1万件、中国3.3万件)、論文発表数では第2位(2007)である。(論文の被引用数を比較することが実質的な価値比較とされているが、国際統計は未整備で、特定の研究分野についてのみ考察可能だが、わが国の邦文論文は被引用数が特に少ない)。ただし、産業分野別に見て、対欧米では医薬、医療機器、バイオが劣位で、特許や論文についても引用度など質でみた場合に若干順位が劣ること、研究費総額などにおける中国の急速な追い上げ等、その地位は安泰でない。
2-2 研究開発の収益力について、マクロレベルで、1990年前後を境に、わが国のGDP成長に対する技術革新(Total Factor Productivity:全要素生産性)の寄与度が低迷している。ミクロレベルで見ても、民間企業の研究開発投資に対する利益率が低下しつつある。
2-3 また、最近注目されるInnovationによる新製品開発の事例も、欧米発が多い。例えば、わが国でも化合物半導体技術やナノ粒子技術、印刷技術など個々の技術要素についての最先端の研究開発は各々行われていたが、おれら技術要素を組合わせたペーパー型太陽電池システムの実用化は、米国ベンチャーの後塵を拝した。
2-4 従って、わが国の基礎的な科学技術力の強さが、出口の新製品の開発、新市場の開拓に効率的に結びついていない。その原因として、基礎から応用、開発に至る研究開発段階において、出口を見据えた研究開発を行うシステムが弱く、科学技術力が活かせていないことが課題として示唆される。
2-5 また、今次経済危機により2008来、わが国民間企業による研究開発投資の維持は困難な状況を生じ、今後大幅に抑制される可能性がある。(SANARI PATENT考察: 分野別・企業別に考察すべきである。既に2009-03期事業報告書が公表され、2010-03期見通しと共に研究開発費投入の動向も明確に把握であるが、研究開発の意欲は旺盛と、SANARI PATENTは見る)。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム