2008年1月31日木曜日

New IP Business, Such As Patent Finance Consulting

Developing New IP Business, Such As Patent Finance Consulting 多様化し拡大する「新たな知的財産ビジネス」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-31 Patent Trawl
Or Patent Troll ?

   来る3月8日、特許庁・関東経済産業局、広域関東圏知的財産戦略本部の主催により、「知財戦略コンサルティングシンポジウム2008」が六本木アカデミ-ヒルズで開催され、みずほ情報総研が、「鮫島正洋弁護士弁理士の講演」など、内容の企画運営に関与する。新たな知的財産ビジネスとして、SANARI PATENTは高く評価したい。

1. 新たな知的財産ビジネス
1-1 特許庁イノベ-知財資料(2008-1-23)は、「広がりをもったイノベ-ションインフラ整備」の要素として「オ-プンイノベ-ション」の進展を挙げ、これを支え、かつこれに伴う要素として、「新たな知的財産ビジネス」の担い手の出現を掲げ、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 オ-プンイノベ-ションを背景に(SANARI PATENT 注:オ-プンイノベ-ションについては、関連記事The Meaning of Open Innovation
http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-30 )、知的財産の活用・流通市場を支える新たなビジネスの担い手が現れてきている。例えば、米国を中心に、特許権に投資するファンドが現れており、特定の技術分野に集中して投資について、戦略的に特許群を形成して価値を高めようとしている。また、こうした知的財産への投資に加え、知的財産担保融資、知的財産信託、パテントプール管理ビジネス等、知的財産に関するビジネスは広がりを見せている。今後、オ-プンイノベ-ションの動きを更に加速させ、競争力を強化していくためには、このような知的財産の戦略的管理活用や知的財産流通の円滑化を促進するインフラを整備することが益々重要になってくる。
1-1-2 主な知財ビジネスの例として、
1-1-1-2 知財担保融資→ パテント・ファイナンス・コンサルティング
中小・ベンチャ-企業に直接投資する形ではなく、投資対象企業が保有する知的財産権および技術開発事業を切り出した形態で投融資する「プロジェクト・ファイナンス」方式、特別目的会社(SPC)方式等を採用している。
1-1-1-3 知財信託
信託された知的財産を活用してライセンス料などの収益を挙げると共に、収益の一部を受益者に還元するサ-ビス等を提供している。(SANARI PATENT 注:少しおかしな表現で、「収益を挙げることにより、これを」とすべきところ)。 例えば、三菱UFJ信託銀行は、信託業法所定の「管理型信託」により、企業における「人材不足等、知財管理の能力的・時間的限界の克服」「権利被侵害時の法的対応、ライセンス供与先選定の広汎化」「他企業からの権利侵害の抑止効果」を提供していると考えられる。
1-1-2 知財ファンド
特定分野に集中的に投資し、戦略的に特許群を形成することにより、特許権の価値を高め、それをライセンスする。
1-1-3 パテントプール
複数の権利者が、各所有する特許またはライセンス権を、別に構成した企業体または組織体に集中し、これを通じてライセンスの一括供与や使用料の一括収入を行う。(SANARI PATENT 注:古典的な参考文献として先ず、平成9年8月6日・公取委勧告審決第5号事件から読解し、パテントプールの歴史的実態と課題を確認する必要がある)
1-1-4 侵害調査会社
   他社の製品等による権利者の特許権侵害の有無等を調査するサ-ビスを提供している。

2. SANARI PATENT所見
米国には「Patent Promoter」と呼ばれる業者も活動し、パテントトロ-ルと共に、プロパテントの副作用的な弊害現象とみなす論議もあるが、テレビ東京WBSがパテントトロ-ルを「パテント怪物」と訳していたのは、違法性を示さない点で適切である。なお上記テレビ東京WBSについては、  関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ (このサイト)2008-1-28ご参照
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みずほ、三菱UFJ、Patent Finance、Patent Promoter、知財信託、知財担保

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2008年1月30日水曜日

Relationship Between Anti Monopoly and IP

JPO Observes Relationship Between Anti Monopoly and IP 「独禁法と知財政策」について日米欧比較
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-30 The Meaning of Open Innovation

  まえがき(1月28日東京地裁判決:平19ワ16775著作権侵害差止):   
  黒澤 明 (A.Kurosawa) 監督(1998-9逝去)により松竹株式会社が制作した映画「醜聞(スキャンダル)」は、1950年4月に公開されたが、株式会社コスモコンテンツがそのDVDを製造・販売し、松竹が著作権侵害の差止を訴求し、東京地裁は1月28日判決で松竹の請求を認容した。著作権法は数次の改正を経ているが、今次判決は、松竹が黒澤から映画「醜聞(スキャンダル)」の著作権を承継したと認定した上で、その存続期間を2036年12月31日までと判断したものである。この期間の政策的適否については議論が多い。広義の「創造と独占」問題に属する。

さて今後の知財行政について、独禁法との関係を「特許庁イノベ-知財資料」(2008-1-23)は次のように述べている。(SANARI PATENT要約)

1.知財法と独禁法の基本原則
1-1 原則として、特許法等による「権利の行使と認められる行為については、独禁法は適用されない。
1-2 しかし、外形上、権利の行使と認められる行為であっても、知財制度の趣旨を逸脱し、または同制度の目的に反すると認められる場合には、独禁法が適用される。

2.日米欧の対応
2-1 日本:
公取委が、知財権取引についての独禁法適用関係を明確化することを目的として、「知財利用に関する独禁法上の指針」(2007-9)、「標準化に伴うパテントプールの形成等に関する独禁法上の考え方」(2005-6)という二つのガイドラインを公表している。
オ-プンイノベ-ションの動きを背景に、技術とその技術に関連する知的財産権の流動性が高まるなか、わが国においても、知的財産権取引における独禁法の適用問題は今後益々重要になる。
2-2 米国
米国ではDOJ(SANARI PATENT 注:Department of JusticeのAntitrust Divisionと解する)とFTC(Federal Trade Commission)が共同で「Antitrust
Enforcement and IP Rights: Promoting Innovation and Competition」を公表して、知的財産権のライセンス取引等に対する反トラスト法の適用に関しての見解を示すなど、競争法と知財の問題について検討がなされている。
2-3 欧州
欧州委員会がOS(SANARI PATENT 注:Operation System:コンピュ-タシステム全体をコントロ-ルするソフトウェア:基本ソフトウェア)市場の独占的な地位の濫用を理由として、欧州共同体競争法に基づいて下したライセンス料の大幅引下げを含む是正命令(2007-7)を、Microsoftが全面的に受入れるなど、競争法の適用が注目を集めている。
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Kurosawa、DOJ、Microsoft、FTC、独禁法、公取委

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2008年1月29日火曜日

Review of Active Patent Institution

Review of Active Patent Institution 特許庁・特許制度見直しの論点
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-28 Impact of IP
for Various Fields Innovation

  特許付与の制度と運用の見直しについて、特許庁イノベ-知財資料(前出)は次のように述べている。(SANARI PATENT要約)

1. 見直し検討の視点
1-1 透明性・予見可能性の向上
不確実な特許によるビジネスリスクを低減するため、技術変化の動向、産業の実態、国際調和の状況に応じ、迅速に安定した権利をもたらすべく審査・審判し、特許取得についての予見性を高めることが必要である。(SANARI PATENT 考察:「透明性」について説明がない。「審査・審判」の判断が相違しないこと、すなわち、特許の付与・拒絶の審査結果が審判によって逆転することを避けるのではなく、審査も審判も迅速に行われることによって付与・拒絶のいずれかが迅速に決定されることを意味すると解する)。
1-2 出願人から審査・審判・裁判に至る一連の流れ
上記1-1のためには、審査・審判の判断基準を理解容易に示し、「当事者の一定の相場観を醸成すること」(SANARI PATENT 注:括弧内、原文のまま)が必要ではないか。また例えば、審査に関する運用の見直しの要否検討に際して、透明性の高い枠組みが必要ではないか。(SANARI PATENT 考察:「審査・審判の判断基準」を、何故「審査基準・審判基準」といわないのか。審査基準改正について関係審議会等の議事も公開し、パブコメも求めているのに、更に透明性を高める方法が考えられるのか、説明が不足である)。
1-3 審査・審判の結果の予測性を高めるメカニズム
審査・審判の判断基準の乖離は縮小傾向にあり、また、審査・審判での拒絶の判断が訴訟でも支持されているところ、それが十分に周知されていない状況に鑑みれば、審判請求および出訴の適否判断に、より反映されるよう、上記状況を対外的にもっと周知するメカニズムを検討すべきではないか。(SANARI PATENT 考察:文字通り読むと、「不適切な見解」というほかない。「審査・審判の判断基準の乖離は縮小傾向にある」ことが事実として継続するにしても、それは必ずしも好ましいことではない。審判によって審査結果が否定されることによって、特許を付与されるべき、あるいは特許を維持すべき権利者の正当な権利が実現する場合も、今後とも想定されるからである。「審査・審判での拒絶の判断が訴訟でも支持されている」という判断、ならびに、「審判請求および出訴の適否判断に、より反映されるよう云々」という記述は、さらに不適切で、「訴訟提起の断念を奨励している」ように受け取られかねない)。

2. SANARI PATENT所見
2-1  審査の段階で従来技術を調査しつくすことは、「迅速」ちの関係からも困難な場合があり、これを審判段階で補完し、審査結果を再検討することは、特許制度の本旨を達成するため不可欠であり、訴訟も同様である。出願者や権利者は、判断乖離のリスクを当然負担して対処すべきであり、これを否定すると特許制度の本質(技術進歩の相対性)の否定につながる。
2-2 「審判制度の現状・課題」(特許庁2007-10-24)によっても、審査官による特許拒絶査定が審判官審決により維持されず、特許付与された比率は、逐年減少傾向を示しているものの、2006年においてなお45%に達している。
2-3  また、審決の結果が裁判で支持された比率は、2005年の93%から2006年は85%に低下している。
2-4  上記2-2は審判制度が、2-3は知財裁判制度が、それぞれ有効に機能していることを示しているとSANARI PATENTは考える。
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Patent、審査、審判、審査基準、特許、特許庁

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Review of Active Patent Institution

2008年1月28日月曜日

TV Tokyo WBS Introduces ADC Technology

TV Tokyo WBS Introduces ADC Technology等、 知財番組・TV東京WBS「誘導多能性幹細胞・京大特許出願」「NISSANライセンス」「三菱UFJ知財信託」
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-28 Various Impacts of IP

  まえがき: 朝日新聞毎週連載の「休眠特許」(2008-1-27)には、サントリ-の「透明 まんまる 製氷器」(特許公開番号2003-56956)(丸い氷を家庭で製造可能)を発明したが、コストなどの関係で休眠中と解説した。個人発明で実際的な産業上利用可能性への考慮が足らず、休眠のままの事例が次々と紹介されてきたが、今回は大企業の身近な事例である。
 これらの休眠と、ビジネス過熱が混在する特許競争を、テレビ東京WBSが描いた。

1.「誘導多能性幹細胞(iPS)の日米特許戦略」や「特許権の51.6%が未利用」と課題提起
1-1 標題のテレビ東京WBS(2008-1-25)は、先ず次のように問題提起し、関係者がそれぞれ説明した。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 誘導多能性幹細胞(iPS)等の幹細胞が、臓器移植によらない再生医療にも有効であることなど、全人類の切実な希求に応えることから、ビジネス対象としての関心もグロ-バルに高まっている。実用に至る前後に、特許戦略が既に活発であることは、「見えない戦い」として必然的で、京大も誘導多能性幹細胞(iPS)に関するものだけでも特許出願4件を行っているが、米国の先発明主義特許法と対抗して、正当な権利を的確に確保することが、研究開発と共に必要である。(SANARI PATENT 注:医療特許、先発明、進歩性と非自明性、有用性は、日米特許法の相違点である)。
1-1-2 特許権の活用を自社にとどめず活用することは、ライセンス収入、相手方における新たなビジネス機会の獲得、国益に合致することの諸点から、これを積極的に行うことが、ニッサンの方針である。実績としては例えば、「傷を消す塗装技術」(高級家具等)、「高性能フィルタ」。
1-1-3 知的財産信託の受託事業者としては、標記放映では、三菱UFJ信託が登場した(同行の具体的事例としては、別途、東京・大田の流体継手製造・三輝からの受託などが注目されてきた)。みずほ銀行も知的財産関連金融で引用された。4日前(2008-1-24)に関東経済産業局が主催した知財戦略シンポで活躍したIPトレ-ディングジャパン等とも提携して知財活用を拡販する。

2.エイディシ-テクノロジ-株式会社(以下「ADC」)(SANARI PATENT要約・訳)
2-1 テレビ東京WBSで紹介されたADCの、英文HPを見ると
、冒頭で次のように述べている。
 「ADCは、EPG(SANARI PATENT 注:電子番組ガイド:Electronic Program Guide)の日本特許権者として、既に国内AV装置主要メ―カの大多数とライセンス供与契約を締結している。日本市場に参入を計画している外国各種AV装置メ―カとも契約を締結しつつある。」
2-2 和文のHPは、冒頭で次のように述べている。
 「EPG特許に関しADCは、特許庁相手の6件の知財訴訟に勝訴した。」
2-3 上記6件のうち平成14年(行ケ)408補正却下決定取消請求事件についての東京高裁判決を引例すると、判決(2003-9-8)は、原告ADCの請求を認容した。以下SANARI PATENT要約。
2-3-1 ADCの発明の要旨は、「テレビの放映内容を録画するビデオ録画装置に装着されて、その録画を制御する録画予約制御装置において、少なくともテレビ放送の内容と放映時間とを含む情報を予め記憶する記憶手段と、この記憶された情報をテレビ受像機に出力し、このテレビ受像機に表形式で表示させる表示制御手段と、この表示された情報から所望の放送内容を選択する選択手段と、この選択された情報に従って、その放映時間をビデオ録画装置の録画予約手段に設定する録画予約手段とを備えたことを特徴とする録画予約制御装置」に関する。
2-3-2 東京高裁は、「ADCによる補正事項が、当初明細書等の要旨を変更するものとした特許庁決定の判断は誤りであるから、この決定は取消すべきものといわなければならない。
2-3-3 よって原告ADC(訴訟代理人・足立 勉弁理士ほか)の本訴請求は理由があるからこれを認容する。

3.SANARI PATENT所見
3-1 ADCのHPによれば、ADCは平成11年4月に資本金1000万円で設立され、翌月、オランダのReem Properties B.V.社と12件の特許権について専用実施権契約を締結、  同12月、加賀電子および不二華陽と共同出資でiモ-ドEPCサ-ビスを事業とする新会社iTate.Comを設立して本格的にEPG事業に参入した。平成12年12月、EPG提供事業が、新事業創出促進法に基づく新規事業として郵政大臣から認定を受けた。
   平成13年3月、ケ―タイ、PCインタ-ネットのEPGサイトからロモ-トで予約するシステムをアイ・オ-デ―タ機器と共同開発、現在資本金2億2710万円。
3-2  わが国知的財産活用によるイノベ-ションと国際競争力優位のため、多様な業態が輩出し発展している。これらを広汎に考察し、特色ある諸機能が相乗発揮されるよう、認識を新たにしてゆきたい。
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誘導多能性幹細胞、iPS、ADC、加賀電子、EPG、TV東京

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2008年1月27日日曜日

Pro-Patent and Anti-Monopoly in USA

Balance of Pro-Patent and Anti-Monopoly in USA 米国知財政策の変遷
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-27 Virtual World Patent Office

1. 特許庁イノベ-知財資料(2008-1-23)における米国政策の変遷(SANARI PATENT要約)
1-1 米国では、特許保護政策と反トラスト法(日本では独禁法)による競争強化政策とのバランスが歴史的に変化してきた。(SANARI PATENT 考察:このパラグラフの読み方には注意を要する。「特許保護政策による競争強化政策」と「反トラスト法による競争強化政策」のバランスと解する)
1-1-1 第1次プロパテント時代
連邦特許法の成立(1790)から第1次世界大戦後の世界恐慌(1929)に至るまで、プロパテント政策のもとで産業の発展を遂げた。
1-1-2 アンチパテント時代
上記大恐慌の一因が大企業による市場独占であると考えられ、反トラスト法違反の取締り強化を重視するアンチパテント時代に入った。しかし、1970年代に入って、石油危機や日本産業界の高度成長を経て、米国の貿易収支は赤字化した。
1-1-3 第2次プロパテント時代
上記米国産業界の国際競争力喪失への対策として、1980年代には特許保護強化のプロパテント政策が採られ、人工微生物やソフトウェア関連技術に特許対象が拡大された。
1-1-4 プロイノベ-ション時代=プロパテント適正化時代
21世紀に入って、現行特許システムが、特許の質の低下等によりイノベ-ションを阻害しているとの批判的な見解が見られ(例えば、連邦取引委員会(FCC)報告書2003、全米アカデミ-(NAS)報告書(2004)等)、また、特許の強力な権利を調整する判例(例えば、侵害差止め判断を厳格化したeBay最高裁判決(2006)、進歩性の判断を適正化したKSR判決(2007))など、プロパテント政策適正化の方向へ移行しつつあると考えられるのではないか。(SANARI PATENT 考察:「ではないか」と控えめに結んでいるが、「パテントと他の価値との調整、パテントの質の向上、すなわち、進歩性・非自明性要件の厳格化・高度化であることは明白と考える)。

2. SANARI PATENT所見
2-1  特許庁は現在、「プロパテントの強化」を強調しているが、わが国の国際競争力が綜合的・相対的)には低下の惧れがあるという認識(例えば、国民一人当たりGDP順位や新興国の主要産業分野世界シェアの増大)のもとで、「pロパテント=国際競争力強化」という上記1-1-3の米国第2次プロパテント時代に模している観がある。
2-2  一方、わが国政策におけるイノベ-ションの強調は、「プロパテント=イノベ-ション」ではなくて、「高度プロパテント=イノベ-ション=国際競争力強化」であるとの認識に基づくと解する。換言すれば、従来のプロパテントの在り方そのままでは、「休眠特許の著増」、「低質特許権によるイノベ-ションの阻害」、「特許審査の遅滞」、「特許権に基づく独占の弊害」、「米国のパテントトロ-ル類似現象発生の危惧」などが、わが国でも指摘され始め、イノベ-ションに適合するプロパテントの在り方が考究される情勢となった。
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Pro-Patent 、Anti-Monopoly、ソフトウェア特許、イノベ-ション、プロパテント

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2008年1月26日土曜日

What is the Quality of Patent ?

What is the Quality of Patent ?「特許の質」について特許庁イノベ-ション-パテント研究会
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-25 Pro-Patent
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 12008-1-26 IP work sharing 研究会のメンバ-

1. 特許の質
1-1 討議概要(SANARI PATENT要約)
1-1-1 特許出願の増加やパテント・トロ-ル等の多様な問題が発生しているが、特許の質を確保することが重要である。現行のTRIPs協定には、この質を確保するための仕組みが欠けている。プロパテント政策を推進するためには、こうした観点が必要である。質の低い特許の増加は、本当に良い発明をした者の特許を弱め、イノベ-ションの低下を引き起こす。特許の質の確保手段については、様々な観点からの検討が必要である。
1-1-2 特許の質については、日本がトップクラスだと思うが、訴訟において権利が無効となり特許権者が負けることが多くなっている。そのため訴訟件数が減っているのではないか。
1-1-3 特許庁は大量の出願を審査するので調査文献に限界があるが、いざ審判や訴訟となると、弁護士・弁理士が先行文献を丹念に探してくることとなる。こうした状況の違いでも結果になるべく差が出ないように、官民が共同で先行技術を検索するための検索エンジンを開発することが必要である。
1-2 SANARI PATENT考察
1-2-1 「質の高低」を、特許法の用語で換言すると、「進歩性・非自明性の高低」となる。更に知財訴訟判決の用語で換言すると、「容易想到性の難易度の高低」となる。すなわち、先行技術からの想到困難性が低度、中度、高度のいずれの段階に属するかの程度差」を意味し、「進歩性・非自明性の低度・中度・高度」と同義になる。なお、「進歩性」はわが国特許法の用語、「非自明性」は米国特許法の用語である。
1-2-2 イノベ-ションは「高度の技術革新による社会経済の高度の革新」({高度}を「飛躍的」と表現する向きも多いが、その定義がないから、SANARI PATENTは、「高度」が適切と考える)から、イノベ-ション高速化のためには、高度の進歩性・非自明性を有する、すなわち、想到困難性高度な発明の続出が望ましく、そのためには、高度の進歩性・非自明性を有する発明にのみ特許を付与して独占権の利益を最大化していることによって、その続出を奨励すべきであるという主張が一つ成立する。しかし、およそ技術的進歩は、進歩の歴史的累積によって成立するのであるから、低度・中度の進歩性に対しても特許を付与して累積を加速することが捷径であるという主張も一方において成立する。米国のIT大手企業は前者を主張し、米国の個人発明家集団は後者を主張している。
1-2-3 米国で、「低度進歩性(非自明性)発明に特許を付与することがパテントトロ-ルの不当な利得行動を招来した」という大企業グル-プの主張があるが、大企業がみずから低度進歩性(非自明性)発明についても特許出願をすればパテントトロ-ルの利益を助長することはないのであるから、出願手数料の低減をUSPTOに要求する方が先ではないかと、SANARI PATENTは考える。実用新案権制度を低度進歩性発明に充当することも別案であるが、わが国の特許審査基準は、特許法の「高度」の語に顕著な意味を認めていない。
(以下関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-27 特許権の質と無効審判
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Quality of Patent、USPTO、パテントトロ-ル、進歩性、特許法

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2008年1月25日金曜日

Innovation by Cell Phone NTT/DoCoMo

Innovation by Cell Phone NTT/DoCoMo :ドコモのイノベ-ションと特許公開
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-25 JPO Innovation-IP Policy

  NTT/DoCoMoが、「夢をかなえるケ―タイ」をPRしている。諸官庁では相変わらず「携帯電話」だが、早く「ケ―タイ」(Mobile Cell Terminalという米英語よりも優れた世界語として)に統一すれば良いのにと、SANARI PATENTは考えてしまう。

  しかし、gartner.comが示すように、世界ケ―タイ機器市場でのシェアはわが国ケ―タイ販売全社を合計しても10%未満であるが、機能は世界最高と自負できると考える。

「夢をかなえる」ことがイノベ-ションであるから、NTT/DoCoMoは、イノベ-ション推進者として国策的にも評価すべきであるとSANARI PATENTは考える。

1. NTT/DoCoMoの新機能
  NTT/DoCoMo2.0について、最新機能が905i All in世界ケ―タイに次のように実現されたと述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1 155国域で使用できる。
1-2 ハイスピ-ド従来の10倍。
1-3 大画面ワンセグと録画。
1-4 二つの番号とメアド(SANARI PATENT 注:メ-ルアドレスの語に早く、全国全世界で代えたい)。
1-5 検索位置周辺・乗換え情報を、音声入力で検索できるGPSと地図アプリ(SANARI PATENT 注:これもアプリケ-ションの語に早く代えたい)。
1-6 ケ―タイクレジット
1-7 高解像度VGA液晶(SANARI PATENT 注:VGAは、表示解像度。Video Graphics Array)。
1-8 文字拡大とシンプルメニュ-による見易さ
1-9 緊急地震速報受信

2. 年初来NTTドコモの特許公開事例(SANARI PATENT要約)
2-1 携帯電話機(特許公開日2008-1-17)
通信モ-ドとして、通話を行うための通話モ-ドと、デ―タ通信を行うためのデ―タモ-ドを有し、両モ-ドの特性を十分に活かして優れたユ-ザインタフェ-スを提供する携帯電話機を提供する。
2-2 サブチャネル割当装置およびサブチャネル割当方法(特許公開日2008-1-17)
MIMOシステムにおける、よりフレキシブルかつ効率的なサブチャネル割当方法を提供する。(SANARI PATENT 注:MIMOは、デ―タ送受信の帯域を広げる技術。Multi Input Multi Output)。
2-3 ビジ-信号コンセプトを用いた干渉許容範囲シグナリング(特許公開日2008-1-17)
QoS(通信品質)機構を効率的にサポ-トし、無線資源の効率的な管理を可能にする、BB-TDMAプロトコルベ-スの通信システムのための、改良されたコンセプトを提供する。(SANARI PATENT 注:TDMAは、多元接続方式の一つで「時分割多元接続」。Time Division Multiple Access)。
2-4 位置測定システムおよび位置測定方法(特許公開日2009-1-17)
基地局の配置場所や数にかかわらず、当該基地局と通信する移動端末の位置を高精度で測定できる位置測定システムおよび位置測定方法を提供する。
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NTT/DoCoMo、MOMO、TDMA、GPS、VGA、ドコモ

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2008年1月24日木曜日

Expectations from JPO Innovation-IP Study

High Regards for, and Much Expectations from JPO Innovation-IP Study 特許庁「イノベ-ション・知財政策研究会資料」(2008-1-23)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-24 京セラ・三洋電機

1. 特許庁の「イノベ-ション・知財検討資料」(2008-1-23)に表敬
1-1 イノベ-ション・知財研究会の設置について(2008-1-23特許庁資料)
  設置の趣旨・背景を次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 近年、経済のグロ-バル化や技術の高度化・複雑化を背景として、世界の知的財産をめぐる状況は著変している。すなわち、
1-1-1-1 経済のグロ-バル化を支える知財システムも、グロ-バルな広がりを求められ、これに伴う多様な課題に直面している.例えば、世界の特許出願数が増加し、先進国間の制度調和やワ-クシェアリングが求められる。一方、世界特許に向けたWIPOでの議論は南北問題により停滞し、南北対立の構造がWHOやCBDなどの場にも波及して、知的財産をめぐる問題もマルチフォ-ラム化の様相を呈している。このような環境のもとで、日米欧三極会合や、これに中国や韓国を加えた会合の役割が一層重要になっている。
1-1-1-2 米国を中心として、知財訴訟が増加するなど、特許の権利が不確実になっている。このため、権利を取得できないリスクや、権利取得後に訴訟で覆るリスクが、ビジネスのリスクを増大している。(SANARI PATENT 注:特許庁の原文は、「ビジネスのリスクを増やしているとの可能性も指摘されている」という表現であるが、現実の切迫度からやや遊離している)。
1-1-1-3 技術の高度化・複雑化によってイノベ-ション環境が著変している。オ-プンイノベ-ションの動きが加速し、産業構造が垂直統合型から水平分業型に変化し、イノベ-ションの高度化が見られる。このようなイノベ-ション環境の変化は、知財分野のゲ-ムの変化をもたらし、さらに、新たな知財ビジネスの担い手も現れている。一方、イノベ-ションとこれを支える知財システムの役割も異なるという視点からの政策が立案されている。(SANARI PATENT 注:特許庁の原文は、「異なるのではないかといった議論も見られる」という表現であるが、すでに内閣知財戦略本部が「異なる」という認識のもとで分野別知財政策を立案し、平成20年度内閣知財計画として決定されるので、原文の表現はやや遊離している)。
1-2 諸外国でも知財システムに関する議論が高まっている。
1-2-1 米国では、連邦最高裁で画期的判決が相次ぎ、特許法改革法案が2007-9に下院を通過した。
1-2-2 欧州では、欧州特許ビジョン(2007-4)やEPOの知財システム将来シナリオ(2007-4)がまとめられた。
1-3 米国におけるプロパテント政策修正の動きは、日本や欧州の状況に近づきつつあると捉えることもできるが、こうした世界的な知財をめぐる大きな議論の中で、わが国としても、「新たな課題に対応した知財政策」の将来像について整理し、プロパテント政策を強化する必要がある。

2.「イノベ-ション・知財政策検討資料」(特許庁 2008-1-23)に表敬
  今次研究会の検討対象として標記資料は、「持続可能な世界の特許システムの実現」、「透明性と予見性の高いメカニズムの構築」、「広がりをもったイノベ-ションインフラの整備」の3章・34節にわたって、現状を解析し、課題を提起したもので、72ペ-ジに及ぶ極めて高濃度の論説である。
  特許庁のこのたびのご力作に対して深く表敬し、熟読かつパブコメをもってお応えすると共に、検討成果の特許庁における結実を、切に期待する。
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JPO、Innovation、IP 、特許庁、イノベ-ション、知財

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2008年1月23日水曜日

IP High Court Supports ARMANI Trade Mark

IP High Court Supports ARMANI Trade Mark 商標権登録無効審決の取消請求に対する知財高裁棄却判決(2008-1-17)の考察
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-23 インドにおける自動車製造の国際競争

  インタ-ネット卸販売業者が「鳥図柄とROYAL ARMANY文字」から成る商標権登録を得たが、イタリアの「ARMANI」ブランドとの類似性から、登録を無効と審決された事件である。審決取消請求が棄却された。

1. 服飾品・腕時計の綜合ブランド
1-1 「図柄とROYAL ARMANY文字」の組合せ商標の登録を無効とする特許庁の審決に対して、その商標権者Xが審決取消請求を知財高裁に提起したが、知財高裁はこの請求を棄却した(2008-1-17)。
1-2 上記「ARMANY」の「Y」を「I」とすると、「ARMANI」、すなわち、著名なイタリアのデザイナ-「DIORGIO ARMANI」の略称と同一になるが、ARMANIは同人の取扱いに係る商品を表示する標章として広く知られ、強い印象力を有するARMANIから生ずる称呼「アルマ-ニ」と対比すると、ARMANY登録商標は、「マ」に長音を伴うか否か、語末がYかIかが違うけれども、母音を若干伸ばす程度で音調・音感は同じであり、全体として類似商標、すなわち、その登録は無効と判断される可能性があった。

2. 登録商標「ARMANY」の商標権者Xの主張
2-1 ARMANYの登録無効審決を請求したソシエテアノニム(本稿における略称)が示す引用商標(ARMANI)は、腕時計に使用されたが、服飾品等、わが国の需要者層において広く認識されていたと認められる事実がない。
2-2 ARMANIの商標権者であるアルマ-ニ本人でないソシエテアノニムが引用商標(ARMANI)を使用していた事実は認められず、ソシエテアノニム(SANARI PATENT 注:今次知財高裁訴訟における被告)には、保護に値する業務上の信用の存在が認められない。
2-3 「アルマ-ニ」の表示に接した者が、デザイナ-G.ARMANIを直ちに想起するほどに、その略称として広く認識されているとはいえない。
2-4 G.ARMANIがデザイナ-として著名であるという事実があるとしても、その事実は人格権として一身専属的なものである。
2-5 X の登録商標「ROYAL ARMANY」は、一連一体のROYAL ARMANYとして創造語的商標である。
2-6 登録商標と引用商標の各図形は、鳥が羽を広げていることだけは似ているが、鳥の種類も王冠の有無も異なる。文字を切り離して類似を判断するのは誤りである。

3. 知財高裁の判断(SANARI PATENT要約)
3-1 アルマ-ニ標章の著名性
3-1-1 売上対比でルイヴィトン1兆3080億円、グッチ2760億円、ポロ2400億円、アルマ-ニ1200億円(SANARI PATENT 注:2000年の年間と解する)である。
3-1-2 News Weekにも「年間10億ドルのファッション帝国を築いた」と記載された。
3-1-3 わが国でもJRやメトロの主要駅に構内ポスタ-が掲示された。
3-2 商標法(4-1-15)の法意
   混同のおそれある商標の登録を一般的に排除しようとするものであり、出願商標と他人の使用する商標との関係での混同のみに限定しておらず、他人の商号や商品表示、営業表示との関係での混同も包含すると解すべきである。
3-3 原告と被告の商標の指定商品は、同一または類似するか、あるいは、共にファッション関連商品同士で、関連性が高い。

4. SANARI PATENT所見
  知財専門家が商標権出願について業務を行う場合には、法的安定のため、広汎な知見を要することが、再認識される。
(注)平成19(行ケ)10142審決取消請求事件・平成20-1-17判決
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ARMANI、ルイヴィトン、商標権、知財高裁、ファッション

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2008年1月22日火曜日

Patentability of Human Stem Cell

Patentability of Human Stem Cell ヒト幹細胞関係発明の特許性:特許審査基準「生物関連発明」との関係
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ 2008-1-14 旭化成・東レの幹細胞関係特許公開事例

  東大医科研が骨髄細胞(SANARI PATENT 注:Stem Cell:ヒト幹細胞の一種)注入による顎骨再生実用に近づくと、歯科インプラントシンポジュ-ム(20087-1-20)で報告するなど、幹細胞を用いる医療の話題が活発である。

1. 幹細胞に対する常識の分岐(ヒト幹細胞について)
1-1 京都大学の誘導多能性幹細胞(iPS)創出発表(2007-11)で先ず飛び出したのが「万能細胞」で、京都大学の皮膚由来幹細胞も万能細胞と呼び慣らされていたが、程なく、京都大学では誘導多能性幹細胞(iPS)、すなわち、万能ではなく多能の語を用いた名称で呼ぶことが示された。
1-2 そこで暫くiPSの語が頻出したが、最近は骨髄幹細胞移植が臓器移植に代替できる再生医療として注目され、特に自己由来骨髄幹細胞移植が拒絶反応回避、他人臓器依存回避の可能な再生医療方法として喧伝されている。
1-3 これに伴い、幹細胞を「万能幹細胞と体性幹細胞」に分類し、胚性幹細胞(ES細胞)を万能細胞、誘導多能性幹細胞(iPS)を準万能細胞、骨髄幹細胞や皮膚幹細胞を体性幹細胞と呼ぶ分類も示されている。
1-4 SANARI PATENTは、細胞を「幹細胞と非幹細胞」に分かち、「幹細胞を胚性幹細胞と体性幹細胞」に分かって、万能細胞の語は用いず、京都大学の誘導多能性幹細胞(iPS)は体性幹細胞に分類している。

2. 幹細胞関係発明の特許性
2-1 幹細胞を使用する再生医療の実用ないし産業化への関心(特に造血幹細胞、間葉系幹細胞などの骨髄幹細胞による血管・骨の再生医療)が高まり、従って、関連する特許制度への関心も高まっている。先ず幹細胞に関する「物の特許」についてSANARI PATENTは、「当面の課題は、新規性および進歩性の判断」であると考える。
2-2 わが国の特許審査基準は、生物関連発明について章を設けているが、「生物」は「微生物と動植物」であり、「増殖可能な動植物の細胞」は「生物」に含まれる。
2-3 生物関連発明について、「遺伝子工学に関する発明」、「微生物に関する発明」、「植物に関する発明」、「動物に関する発明」に分節しているが、「動物に関する発明」の「動物」は、「人を除く」。
2-4 従って、ヒト幹細胞に関する発明は、「遺伝子工学に関する発明」に該当する範囲においては、この節によって特許性が判断されるが、それ以外の発明は一般審査基準に従うこととなる。再生医療との関係において、特許審査基準の新たな検討を要することは、
 関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ (このサイト)2008-1-12 誘導多能性幹細胞(iPS)に述べた。

3. 現行「生物関連発明」審査基準における進歩性
3-1 ベクタ-および導入される遺伝子がそれぞれ公知であれば、それらの組合せによって作出される組換えベクタ-に係る発明は進歩性を有しないが、それらの特定の組合せによって作出される組換えベクタ-が、当業者が予測できない有利な効果を奏する場合には、進歩性を有する。
3-2 親細胞がいずれも公知である場合、親細胞を融合して得られた融合細胞に係る発明は進歩性を有しないが、その融合細胞が当業者に予測できない有利な効果を奏する場合には、その融合細胞に係る発明は進歩性を有する。
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2008年1月21日月曜日

Technology for Spam (Annoying Mails) 経済産業省の迷惑メ-ル対策案(2008-1-18)の暫定性
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-20 浜松ホトニクスと島津製作所

1. 知財専門家と迷惑メ-ル
1-1 迷惑メ-ルには、出会い系や性薬品販売系、金融系などの業種別と、国内 発・中国発などの発信国別等、多様化かつ累増の趨勢が見られることは、今次案経済産業省の報告で明らかにされた。知財専門家がこれらの迷惑メ-ルに対する行動によって被害を受けることは考えられないが、メ-ルシステムの利用は活発化するから、受信メ-ル整理の煩瑣やアドレス複数化など、少なからず迷惑を蒙っていることは否めない。情報産業技術のイノベ-ションに貢献すべき立場からも、迷惑メ-ル対策の技術開発に協力する必要がある。
1-2 現在、迷惑メ-ルに対する法規制が一応存在するが、それがいかに有名無実のものであるか、今次経済産業省報告が率直に開示したことは、ICT社会の本質を知る契機として評価すべきである。

2. 経済産業省「迷惑メ-ル規制に関する技術的論点WG中間とりまとめ」
  報告(2008-1-18)の内容を先ず要約するが、現行の法規制は「全く」というに近く実効性を欠くことが示されている。
2-1 現行の特定商取引法では、オプトアウト規制が定められた。これは、広告事業主が「事前に相手方から承諾または請求を得ずに送信するいわゆる未承諾広告メ-ルについては、「未承諾広告」を件名の冒頭に付して送信することを義務付けるものである。また、送信先から「広告メ-ルを送信して欲しくない」旨の返信があった場合には、再度送信することが禁止されている。
2-2 上記規制の施行後5年以上経過するが、上記「未承諾広告」の表示を欠くものが、モニタ-調査対象の99.3%を占め、法規遵守は1%未満である。
2-3 「送信をしないで欲しい」というメ-ルの発信については、この発信に関する表示を欠くものが84.8%を占め、表示に従って発信しても届かなかったものが5.6%で、結局、有効アドレスが表示されていたのは、9.6%に過ぎなかった。
2-4 再送信禁止規定に違反して、「メ-ルの送信を欲しない旨を通知したにもかかわらず」送信してきたという消費者の苦情も、年間1866件(2006年)に達した。

3. 海外経由迷惑メ-ル
多くの迷惑メ-ル広告主事業者やその配信事業者は、Internet Service Providerから利用契約を解除されても、別のProviderとの契約に切り替えたり、中国など海外経由で迷惑メ-ルを送信していると考えられる動きもあって、結局、迷惑メ-ルの増勢傾向が続いている。

4.対策
標題の報告は種々の対策を検討し詳述しているが、中間報告の段階でこれを精査する意味も少ないので、しばらくその推移を注視するほかない。

5. SANARI PATENT所見
  電話通信においては、「発信者電話番号表示」のシステムが開発され、この表示をしない発信者の発信に対して自動的に受信拒否できるシステムが開発され普及している。FAXについては、このような仕組みが開発されていないが、発信にコストを要することから、ある程度の抑制がある。メ-ルは送信コストが零に等しく、海外発を考えると刑罰の実効も期待し難いから、知財専門家も、技術的対策の構築に協力すべきである。
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Spam、Mail、迷惑メ-ル、Provider、経済産業省、広告業者

2008年1月20日日曜日

Fujikura Provides Innovated Optical Fusion Splicers

Fujikura Provides Innovated Optical Fusion Splicers FSM-60: Hitachi Cable
Develops Wireless IP 5000 フジクラと日立電線の新商品開発
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

1. 光ファイバは微細接続が課題、有線は無線と接続が課題
1-1 フジクラは、今年4月から光ファイバ融着接続機FSM-60シリ-ズを発売すると発表した(2008-1-16)。 Fiber To The Homeが全世界で2010年までに1億5000万世帯に達すると見込まれることに対応する「つなぐ」技術であるが、一方、
1-2
1-3 SANARI PATENTが関与したJTEC(電気通信の国際協力機構)関係の光ファイバ海底敷設・修復において、動揺する船舶上での光ファイバ接続は最大の課題であったことを追憶するが、金属電線と全く異なる光ファイバ接続の課題は、フジクラの接続機開発を世界一流のものとした。
1-4 フジクラは今次発表で次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-2-1 施工工具として要求される過酷な使用環境に耐える光ファイバ融着接続機として、FSM-60を発売する。
1-2-2 フジクラは、光ファイバが登場して以来、最先端、高品質、高性能の光ファイバ融着接続機を全世界に供給し、トップシェアを有している。サブミクロンの極細径軸合わせを実現する精密機械でありながら、光施工用工具としての過酷な使用環境(SANARI PATENT 注:シベリア等の低温環境や海底修復の動揺環境)に耐え、安心して使える装置として高い評価を得、世界をリ-ドしてきたフジクラのFMSシリ-ズの技術本性能を更に向上させ、デザインも新たにフルモデルチェンジして、世界市場の多様化するニ―ズに応える。
1-2-3 新製品は、落下、振動、衝撃に耐久する内部構造と衝撃ラバ-ゴムを装備する。操作部と周囲からの防滴・防塵構造が強化された。
1-3  日立電線はWireless IP5000について次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-3-1 コンセプトは、「オ-プン」。抜群のスケ-ラビリティ(SANARI PATENT 注:多様なシステム環境やニ―ズへの対応可能性)でワイヤレスならではの新しいコミュニケ-ション環境を提供する。
1-3-2 例えば、アナログ電話主体のオフィスから、IP-PBXを導入しVoIP化が進んだ最先端オフィスに至るまで、柔軟に対応できる。従って、多様なビジネスシ-ンにおいて、本格的なユビクタスネットワ-クを構築できる。(SANARI PATENT 注:VoIP: Voice Over Internet Protocolは、音声を各種符号方式で圧縮し、packet変換後、Internet Protocol NetworkでReal Time電送する)。
2. 両社の研究開発体制
2-1 日立電線
2-1-1 収益力につながる研究開発を実施すべく、本年4月から技術戦略部門と研究部門を集約し、中期的研究戦略の立案と実際の研究活動を一元的に統括する。
2-1-2 研究部門を「基盤技術」「エレクトロニクス」の2分野に整理統合する。
2-1-3 知的財産権により事業優位性を確保する。
2-2 フジクラ
2-2-1 限りない可能性を秘めた未踏の技術領域へのチャレンジを続ける。
2-2-2 研究分野は、光通信、光システム機器、電子デバイス、電子材料部品、エネルギ-システム、ヒ-トパイプ・ヒ-トシンク、材料技術、自動車電装システム・部品に大別される。
2-2-3 最近の研究成果は、シリコンナノフォトニクスデバイス、透明導電膜アンテナ、光線路監視システム、現場組立光コネクタ、細径スロットケ-ブル、薄型パッケ-ジ用ポリイミド一括積層基板、コンピュ-タ高性能プロセッサ冷却、PCヒ-トシンク空冷などに関し、業務と生活の周辺機器に広く及んでいる。
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Optical Fusion、フジクラ、日立電線、光ファイバ、自動車電装

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2008年1月19日土曜日

Diversification of SUNTRY vs. ASAHI

Diversification of SUNTRY vs. ASAHI by Brand Strategy サントリ-の井筒まい泉、アサヒビ-ルのアサヒ飲料の各株式取得による知財蓄積の相乗
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-19 福田総理演説(2008-1-18)の知財関係(Prime Minister’s Speech Relating to IP)

1. アサヒもサントリ-も益々多角経営(ブランド戦略)
1-1  サントリ-が井筒まい泉の全株を取得することについて、とんかつ「井筒まい泉」のブランド力を活かし、外食事業の発展を図るためと発表した(2008-1-17)。 SANARI PATENTが要約すれば、
1-1-1 サントリ-グル-プは、ダイナック、プロントコ-ポ、日本サブウェイ各株式会社などを中心に外食産業を展開し、飲料と食の豊かで楽しい新たな飲食シ-ンを提案している。
1-1-2 一方、井筒まい泉は、1965年創業以来、「箸で切れる柔らかなとんかつ」をキャッチフレ-ズとして全国レストラン・デパ-トに食品を拡販してきた。
1-1-3 サントリ-は、井筒まい泉というプレミアムブランドを醸成しつつ、顧客との新しい接点を構築・拡大し、外食産業を発展させる。
1-2 ビ-ルのアサヒも、アサヒ飲料の51.5%株主であり、本年4月末までに完全子会社化も公算(野村證券・東洋経済の会社四季報による)されると共に、カルピスとの自販機統合など、業容の拡大が著しい。糖質ゼロの発泡酒の好調を含めて、2007年のビ-ル類出荷額が首位と発表(2008-1-17)され、ブランド価値を高揚している。

2. 井筒まい泉の知財活用
2-1 総務省がASPの促進を計画しているが、既に沖電気は、井筒まい泉にケ―タイ使用・出退勤管理ASPサ-ビスを提供している。「店舗スペ-スなどの制約なく導入可能」、「本部での確認・修正の手間の削減」、「タイムカ-ド郵送コスト削減」、「スタフへの個別電話連絡の低減による電話料金抑制」、「打刻場所の記録による不正打刻の防止」、「メッセ-ジ表示機能による対他店舗指示など連絡効率化」などが得られる。(SANARI PATENT 注:ASPは、Application Service Provider。ソフトウェアの効率的活用に役立つ)
2-2 NTTドコモは、「携帯電話をタイムレコ-ダ代わりに:百貨店地下コ-ナでデジタル出退勤記録」と題して、井筒まい泉のドコモシステム導入(2007-3)を宣伝し、「携帯電話があればタイムカ-ド不要」と、ドコモ・井筒まい泉の相乗ブランドを活用している。
2-3 MAISENブランドで紙パック福建省自然健康飲料ウ-ロン茶を販売している。

3. アサヒビ-ル・アサヒ飲料の特許公開事例(SANARI PATENT要約)
3-1 ラベル操作装置(特許公開日2007-12-27)
パレット回転機構に対するラベルマガジンの位置調整が不適切である場合の札貼不良を防止する。
3-2 排水処理装置およびその制御方法(特許公開日2007-12-27)
溶存酸素計を生物処理水槽から出して検査することなく、溶存酸素計の誤差の拡大や故障を即時検知する。
3-3 ポンプ(特許公開日2007-12-20)
オイルへの液体の混入による影響を低減するポンプを提供する。
3-4 肥料の製造方法(特許公開日2007-12-20)
醸造過程で発生する余剰酵母を有効利用すると共に、排水処理装置の排水負荷・排水コストを低減する。
3-5 容器制御装置および製造関連設備(特許公開日2007-12-20)
容器の破損を防止しつつ搬送中の容器を確実に停止させる。
3-6 茶飲料の製造方法および茶飲料(特許公開日2007-12-27)
様々な種類の茶葉を使用した場合であっても、二次オリの発生を防止できる茶飲料の製造方法およびこの製造方法により製造される茶飲料を提供する。
3-7 容器の殺菌方法(特許公開日2007-11-29)
より優れた殺菌効果を発揮する容器の殺菌方法を提供する。
3-8 缶用孔開け具(特許公開日2007-11-22)
工場等で使用する缶の蓋に容易かつ簡易に孔を開けることができる缶用孔開け具を提供する。
3-9 容器(特許公開日2007-11-1)
把持が容易で強度が高い容器を提供する(凹部と溝の配置)。
3-10 プラスチックキャップ(特許公開日2007-9-20)
高温殺菌等により内圧が上昇した場合にも、密封性能が保持され、TEバンドの橋絡部の破断開始回転角度(Bridge Brake角度)と、内圧解放回転角度(Leak角度)の差が小さいキャップを提供する。(SANARI PATENT 注:TE性は、いたずら防止性)
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SUNTORY、ASAHI、沖電気、井筒まい泉、ASP、ドコモ

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2008年1月18日金曜日

NEC SOFT Constructs Business Systems 

NEC SOFT Constructs Business Systems 効率化から新ビジネス創造へ、IT活用の新ステ-ジ
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/(このサイト)2008-1-6 SaaS
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/(このサイト)2007-12-19 日立とNEC

1. NECソフト VALWAYの創刊30号
1-1 中堅企業を中心として業容を拡大しているNECソフトのVALWAY誌創刊30号記念号が、ICT活用とNGN展開の局面を、具体例をもって示した。
1-2 NECソフトの国嶋社長と日本総研の高橋副理事長の対談が、上記の方向性を明示した。(SANARI PATENT要約)
1-2-1 中堅中小企業にとっては、個々のシステムを構築して提供するより、Saasなどの形で、ソフトウェア アズ サ-ビスとして提供する方が簡単で安く利用できる。このようなサ-ビスを2008年度には本格化したいと考えている。(SANARI PATENT 注:国嶋社長の発言であるが、「ゆうびん」やKDDIなど、他社のSaaS受入・提供に対比して、この発言以上にNECソフトの実施が進んでいると推察する)。
1-2-2 ユビキタス社会への歩みが2008年には強まって、NECグル-プが提唱するNGNによって加速される(国嶋社長)。(SANARI PATENT 注:NGNは、かねて総務省が推進してきた構想であり、「NEC提唱のNGN」が総務省NGNの構築をイノベ-トする要旨を、さらに説明・発揮されるよう、期待する)。
1-2-3 米国で1990年代にIT投資が活発化したが,効果が発現したのは2000年以降であった。わが国でもIT投資下の競争で、今後生産性向上の実現が課題である(高橋複理事長)。
1-2-4 NECソフトの側から、効率化から増力化・新ビジネス創造のソリュ-ションメニュ-を揃え、積極的に提案している。パッケ-ジをインテグレ-トするケ-スも多いが、企業固有の差別化にも対応する(国嶋社長)。
1-2-5 米国では例えば、ウォルマ-トガ中小企業をネット化することで生産性を向上させている。ウォルマ-トはビジネスパワ-を有するので実質的業界標準になるネットワ-クが成立し、生産性は格段に向上した。わが国の場合、先ずネットワ-クを接続することが必要である(高橋複理事長)。(SANARI PATENT 注:米国では一つのデファクト標準化が形成されたが、複数デファクト標準間の競争も必要である)
1-2-6 従来、中小企業や地方企業は、東京経由の国内向けビジネスであったが、今後は自らアジアと直結する発想が必要であり、そのためIT化が必須であうが、IT活用が企業内にとどまっていては効果が限定される(高橋複理事長)。

2. NECソフトのR&D
2-1 ナノ・バイオ
2-1-1 ITを活用する次世代生命工学
2-1-2 バイオインフォマティクス (SANARI PATENT 注:「ライフサイエンスの未来にITで貢献」と説明しているが、次項2-1-3と共に、分子生物学を主体とし、ホモロジ-検索、マルチプルアライメント手法、分子生物学デ―タベ-ス、遺伝子発見、モチ-フ抽出を含むと解する)
2-1-3 分子シミュレ-ション
2-2 画像解析
2-3 開発に役立つソフトウェア環境
2-4 ユ-ザビリティエンジニアリング(人が自然に使えるソフトウェアの開発)

3. SANARI PATENT所見
3-1  NECソフトは企業理念の冒頭を「インタ-ネットフォ-カスのビジネスモデルと社会モデルを提供して、顧客価値を最大化する」としているが、「NGNは、専用のネットワ-クでもない、インタ-ネットでもない、使い方はインタ-ネットと似ているけれども、より高セキュリティ・大容量のネットワ-クであるとしている(国嶋社長)から、今後の展開が注目される。
3-2  NECソフトは、ASPを事業の中心としてきたが、総務省は、ASPとSaaS
を同一として扱っているから、1-2-1の発言態様と調整する方が分かり易い。換言すれば、NECソフトにおける従来のASPとSaaSの相違点を、総務省と異なる点があればそれも含めて明示されることが望ましい。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-18 新会社・協和発酵キリンの戦略
NEC、NECソフト、SaaS、ASP、バイオインフォマティクス

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2008年1月17日木曜日

On Apr.1, 2008, Change to DIC

On Apr.1, 2008, Change to DIC Co. 社名・ブランド統一する大日本インキ: 東洋インキほか個性に富むインキ各社
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-17 日本ペイントと関西ペイント

1. 色彩化学のインキ業界は、会社も多彩
1-1 野村證券・東洋経済の会社四季報の各社特色欄には、
1-1-1 大日本インキ(本年4月1日からDIC、従って以下「DIC」)→ インキ世界首位(海外でサンケミカル等を買収)
1-1-2 東洋インキ → 印刷インキ国内トップ
1-1-3 東京インキ → 樹脂着色剤・成形材料に強み
1-1-4 太陽インキ → プリント配線板用レジストインキでトップ
1-1-5 サカタインクス → 印刷インキ3位で新聞用に強み
1-2 上記の大日本インキは、本年2月に創業百周年を迎えるが、世界62国に所在する関係会社は213社に達し、大日本インキの略称DICが国内外に広く浸透しているので、DICを社名およびブランドとして英文表記し、グロ-バルに事業展開する国際企業であることを明確しする、としている。

2. DICのR&D
  トッピクスとして次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-1 先端エレクトロニクス分野に適合したベンジル基導入ビフェノ-ル型エポキシ樹脂 → 微細加工性、高速動作化、誘電特性
2-2 色域広げるUV6色印刷ダイキュア・シックスカラ-・システム → 色再現域の拡大
2-3 パッケ-ジ印刷の質感表現技術 → 色と素材の質感に着目
2-4 次世代フロン対応硬質ウレタンスプレ-発泡システム → 住宅の断熱
2-5 LCDパネルからのTFT液晶材料リサイクル検討 → 地域新規産業創造技術開発補助対象事業
2-6 虫除け塗装化粧板の開発 → 虫除け成分添加塗装
2-7 環境調和型建材用UV塗料と窒素UV塗装システム → 高高度、耐汚染、耐摩擦傷
2-8 金属缶印刷用示温インキ → クロミズム(温度により色彩が変化する現象の応用
2-9 低温下でも靭性に優れるス-パ-タフPPSコンパウンドの開発 → PPS は、ポリフェニレンサルファイド
2-10 木目化粧紙の開発 → 盛り上げ樹脂層、コ-ト樹脂層、絵柄インキ層、原紙で形成
2-11 水分散性ポリイソシアネ-ト硬化剤の開発 → 水に分散し易く、水と反応しないという課題を解決
2-12 新しいプラスチック着色システム → 「ベ-スカラ-の極小ペレット化による色相の均一化」と「高精度定量超音波フィ-ダ」を組合せ
2-13 透明成形品グラスビュアの開発 → 新規エポキシアクリレ-ト樹脂単体を使用
2-14 水なし枚葉印刷用100%植物油型インキの開発 → 短時間高密度薄膜樹脂層の形成
2-15 高性能樹脂原料としての新規フェノ-ル誘導体 → 新触媒による収率の向上、純度コントロ-ルの可能性
2-16 高周波加熱装置の活用 → 物質が磁性を失う固有温度を利用
2-17 液晶・配向膜界面のシミュレ-ション → 試行錯誤の合理化
2-18 中空糸膜による分離技術 → 溶液中溶存ガスの高効率脱気
2-19 ポリ乳酸用改質剤の開発 → 耐衝撃性、柔軟性の付与と透明性保持の両立
2-20 新タイプ液晶光配向膜の開発 → 照射光源に偏光板不要化、配向 規制力の向上
2-21 白さを実現したPNLCD(Polymer Network Liquid Crystal Display) → 液晶中に立体状微細ポリマ-ネットワ-クを形成
2-22 ケ―タイ用高機能性両面接着テ-プ → 耐衝撃性等の要求特性に適合
2-23 4-t-ブチルカテコ-ル型液状エポキシ樹脂 → 低粘度、速硬化、高密着、耐アルカリ、耐酸性

3. SANARI PATENT所見
  インキ業界の製品が多様化を加速し、諸分野のイノベ-ション実現過程において、その応用効果に着眼を要することとなる。
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インキ、DIC、液晶、ケ―タイ、エポキシ樹脂

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2008年1月16日水曜日

Standpoint of Energy Agency at Present

Standpoint of Energy Agency at Present : 現時点における資源エネルギ-庁の立場
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-6 省エネ知財

  資源エネルギ-庁は現在、省エネ政策について考え方を固めつつあるが、その報告(2207-12-18)の記述を、次のように結んでいる。
「この報告では省エネに焦点を当てている。関係者におかれては、この方向性に沿って具体的な行動を起こすことを期待すると共に、我々を取り巻く環境変化に応じて、この方向性については、更に議論を深めることも念頭に置くことが適当である。」

 知財専門家は上記の「関係者」として、どのように「具体的な行動」を起こすことが期待されるか、以下に考察する。

1. 企業経営における省エネのコストとメリットの認識
1-1 上記報告は次のように述べている。
  「日本は世界最先端の省エネ先進国であるという認識は共有されているが、どの分野でどの位、省エネが進んでいるのか、あるいは更なる省エネを実行するのにどれ程のコストを要するのか、理解している人は多くないかも知れない(SANARI PATENT 注:極めて率直に申しあげて、資源エネルギ-庁はどの程度明確に認識されているのか、開示されていない)。海外で省エネや温暖化対策をリ-ドする際にも、我々は日本の実績・実態を説明しながら諸外国の取組を促しているものの、果たして相手の賛同や理解を十分に得られているのか、疑問がないわけではない(SANARI PATENT 注:「リ-ドする」ということであるが、ODA的な立場のリ-ドであれば、ODAの原則として、相手国の要請に基づくことを要する。それ以外は当方考え方の「お願い」という立場と解する)。この点は、今後の省エネ政策を進めていく上で、留意すべき課題であると考える。」
1-2 知財専門家としても、上記の「留意すべき課題」にどのように向かい合っていくのか、確固たる認識なくして説得力ある「リ-ド」への関与はできない。

2. 省エネ技術研究開発の世界動向の認識
2-1 今次報告は次のように述べている。
  「従来の発想を超えた抜本的なプロセス改善等を生み出すため、様々な要素技術の融合等により、省エネ技術開発の相互連携を促進し、シナジ-効果を生み出すことが必要である。引続き省エネ技術戦略等に基づき。革新的技術開発等の推進、加速化を図るべきである。」
2-2  現在、平成20年度内閣知財計画が策定されつつあるが、重要4分野の知財政策を計画するものであり、4分野にエネルギ-分野としては特掲されないが、環境分野に包含される。環境ビジネスの推計対象分野としても、新エネルギ-が掲げられ、省エネは掲げられていない。「分野融合」という観点と、「省エネ」という観点と、この2観点から平成20年度内閣知財計画と今次報告との整合を全うすべきである。
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別サイト http://sanaripatent.blogspot.com/ 2008-1-8 Amusement Content
Energy Agency、省エネ、資源エネルギ-庁、環境ビジネス

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2008年1月15日火曜日

Nippon Light Metal vs. Furukawa Sky Al

Nippon Light Metal vs. Furukawa Sky Al 日本軽金属と古河スカイ 中国に展開するアルミ工業
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-15 富士電機グル-プの材料技術

  軽金属の技術開発は全分野のイノベ-ションに結合するが、先ずアルミニウムについて企業動向を見る。

1.日本軽金属・石山社長の年頭発言(SANARI PATENT要約)
1-1基盤事業では、東洋アルミ、東洋アルミ箔の一体化運営を行い、海外展開では東洋アルミ中国工場の建設開始、日軽金グル-プ上海事務所の開設を行った。
1-2 自動車部門では、日軽エムシ-アルミを発足させ、日軽金アクトの中国第2アクトの設置、ニッケイサイアムでの仕上げ設備導入・冷間圧延機リニュ-アル投資を決定している。
1-3 電機電子分野では、東洋アルミのICカ-ド、ICタグ用設備の増強、電極箔工場での高圧化ラインへの改造を行った。
1-4 エネルギ-分野では、日軽金アクトの使用済み核燃料貯蔵容器用の材料製造ラインの投資を決定した。
1-5 今後、「営業・開発・製造を一体化し、『創って作って売る』の実践」、「商品ごとの営業利益管理」、「機能別縦組織と横串を融合したマトリクス組織による商品と事業の開発」、「海外展開」の4項目を推進する。

2.古河スカイ・吉原社長の年頭発言(SANARI PATENT要約)
2-1 ギリシャ・ベトナム・中国で新子会社が始動した。
2-2 ITや建設向けの一般材市場の低迷と原材料価格の上昇が、グル-プ経営に影響している。投資効果を前倒しで顕現させ、世界に通用する収益力を目指す。
2-3 SANARI PATENT 注:古河スカイの技術開発指向
2-3-1強度・耐食性・信頼性・成形性など多様化・高度化するアルミニウム材料へのニ―ズに応えるため、求められる機能・材料特性を付加・向上した新しい合金の開発
2-3-2 原子レベルで物性を制御する加工・熱処理から、均質・高質素材をつくる鋳造・圧延等の加工、素材表面に新機能・美観の付加
2-3-3 顧客の加工工程・当社製品使用条件の解析・技術サポ-ト
生産プロセスの最適化、目標品質を的確に産出する設備制御、圧延中の板プロフィ-ルを最適コントロ-ルする形状制御
2-3-4 試作段階シミュレ-ションと解析の高度化

3.最近の特許公開事例
3-1日本軽金属
3-1-1階段(特許公開日2008-1-10)
より軽快な感じを与える階段であって、施工効率に優れると共に、コストを低減できる階段を提供する。
3-1-2 水性塗料の塗装方法(特許公開日20078-1-10)
塗装性に優れながら水性塗料をスプレ-塗装することができ、なおかつ、極めて薄い塗膜を形成することができるスプレ-塗装による水性塗料の塗装方法を提供する。
3-1-3 電波指向性制御装置(特許公開日2007-12-27)
一般ユ-ザ-が、無線LANにおける電子機器の使用状態に応じて、アンテナの指向性を簡単に制御することができる電波指向性制御装置を提供する。
3-1-4 天井裏の換気構造(特許公開日2007-12-27)
下向きに開口する溝部を有する金属製の屋根構成材を、その溝幅方向に複数連設して構成した屋根の室内側に形成される天井裏の換気構造であって、天井裏での結露発生を抑制できる天井裏の換気構造を提供する。
3-2 古河スカイ
3-2-1アルミニウム材およびこれを用いたアルミニウム複合材(特許公開日2008-1-10)
アルミニウム基材を、犠牲防食効果によって腐食を受けず、かつ、防食効果に優れた犠牲金属によって保護するようにして構成されるアルミニウム材と、アルミニウムより貴な金属材との複合材を提供する。
3-2-2アルミニウム塗装板およびこれを用いたプレコ-トアルミニウムフィン材(特許公開日2008-1-10)
親水性、耐汚染性、被膜密着性、成形性、臭気物質の吸着性および抗菌防黴性に優れたアルミニウム塗装板およびこれを用いたプレコ-トアルミニウムフィン材を提供する。
3-2-3 犠牲陽極材およびアルミニウム合金複合材(特許公開日2007-12-27)
冷却水が強アルカリ環境となっても十分な防食効果が得られ、早期に貫通孔食を発生させることのない犠牲陽極材およびアルミニウム合金複合材を提供する。
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Nippon Light Metal 、 Furukawa Sky Al、中国、アルミニウム合金

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2008年1月14日月曜日

Patent Applications for Stem Cell 

Patent Applications for Stem Cell 幹細胞に関する最近の特許公開事例:旭化成、東レなど
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-12 誘導多能性幹細胞(iPS)

1. 誘導多能性幹細胞(iPS)の創出を契機とする特許性論
  「万能細胞」という言葉は俗語に属するとSANARI PATENTは考えるが、京都大学の誘導多能性幹細胞(iPS)を指すのか、幹細胞全体を指すのかの論議もないままに、誘導多能性幹細胞(iPS)に関連する予算措置や特許性考究の体制も整えられつつある。
  昨年末から今年にかけての幹細胞関係・特許公開(特許庁)を見ても、旭化成、東レのほか、国立大学、独立行政法人の出願関係も見られ、グロ-バルな幹細胞パテント競争も想定される。

2.昨年末・年初の特許公開事例(SANARI PATENT要約)
2-1 株式会社TESホ-ルディングス「口腔由来の幹細胞を利用した組織・器官再生用培養試料の長期保存システム」(特許公開日2008-1-10)
  多様な組織や器官に成長可能な優良な幹細胞や繊維芽細胞を、口腔粘膜や親不知から抽出し、それを健全なものとして将来の再生医療その他の処置に備えて培養試料となし、相当な長期間、安全かつ確実に管理保存する新たな技術を提供する。
2-2 ザ リ-ジェンツ オブ ユニバ-シティ オブ カリフォルニア「組織脂肪由来幹細胞および格子状物質」(特許公開日2007-12-27)
  組織脂肪由来幹細胞(ADSC)、組織脂肪由来幹細胞濃縮分画(ADSC-EF)並びにADSCを含まない単独の組織脂肪由来格子状物質およびADSCと組み合わされた組織脂肪由来格子状物質を提供する。
2-3 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学「癌幹細胞の製造方法および取得方法、および幹細胞を標的とした抗白血病薬のスクリ-ニング方法」(特許公開日2007-12-27)
  トランスジェニック非ヒト動物を用いて癌幹細胞を多量に製造、取得する方法、癌幹細胞を産生する当該トランスジェニック非ヒト動物またはこれから得られる癌幹細胞の用途、具体的には、白血病の予防または治療薬(抗白血病薬)の有効成分をスクリ-ニングする方法、ならびに被験薬物の白血病治療効果を評価する方法を提供する。
2-4 東レ株式会社「ポリペプチドおよび該ポリペプチドを固定させた基材」(特許公開日2007-12-20)
 原核生物で発現、可溶化、再構成を容易に行うことができ、さらに幹細胞の分化抑制活性を持つポリペプチドを提供する。
2-5 旭化成株式会社「新規な分化抑制剤」(特許公開日2007-12-20)
  新規なノッチリガンド分子の遺伝子配列、アミノ酸配列を明らかにし、この新規ノッチリガンド分子を提供し、この分子を用いた新しい治療方法を提供する。
2-6 ファ-クト、レオティ-外2名「多能性成体幹細胞、その起源、それを得る方法、それを分化させる方法、その使用法、ならびにそれ由来の細胞(特許公開日2007-12-20)
  哺乳類多能性成体幹細胞(MASC)に関し、より詳細にはMASCを入手し、維持し、そして分化させる方法、および、疾患の治療におけるMASCの使用を提供する。
2-7 東レ株式会社「細胞足場材料およびその製造方法」(特許公開日2007-12-20)
  細胞や培養液が構造体の内部に侵入し、三次元的に細胞を保持することができ、培養液を通液できるような空隙率の高さ、あるいは幹細胞や造血系の細胞が多く生育している骨髄に類似した細胞足場材料を提供する
2-8 兵庫県 外2名「多孔性材料における細胞の増殖状態の評価方法およびそのための装置」(特許公開日2007-12-20)
 培養によって、多孔性材料内に細胞がどの程度増殖しているかを非破壊的に評価できる方法およびそのための装置を提供する。
2-9 財団法人ヒュ-マンサイエンス振興財団「ユ-トロフィン遺伝子発現増強物質のスクリ-ンニング」(特許公開日2007-12-13)
  デュシェンヌ型、ベッカ-型筋ジストロフィ-、または多発性筋炎の筋障害に関係する、ジストロフィンのホモログである、ユ-トロフィンの発現に影響する物質を探索するための方法およびツ-ルを提供する。
2-10 独立行政法人 科学技術振興機構 外2名「新規抗菌性ペプチドおよび該抗菌性ペプチドを有効成分とする無血清培地」(特許公開日2007-12-6)
  高い抗菌効果、および、自己血清もしくはウシ胎仔血清の代わりとなるような細胞増殖促進作用および骨分化誘導作用を奏することができ、無血清培地における活性成分として含有される新たなペプチドを提供する。
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Stem Cell、旭化成、東レ、幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPS)、再生医療

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2008年1月13日日曜日

Mitsubishi Chemicals vs. Mitsui Chemicals 

Mitsubishi Chemicals vs. Mitsui Chemicals 新年の化学工業界、機能性材料知財開発の活況
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-13 オ-プンイノベ-ション

1. 三井化学と三菱化学の年頭
1-1 三井化学の藤吉建二社長は、年頭の挨拶で次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
1-1-1 原燃料価格が歴史的高値に上昇し、厳しい事業環境であるが、「事業構造の変革と収益力の強化」をキ-ワ-ドとした中期計画(新年3月に至る)の累計営業利益は、計画を上回る見込みである。
1-1-2 昨年は、機能材料事業と先端化学品事業において市原工場第3EPTプラント設置、積水化学からトナ-樹脂事業を譲受、三共アグロを100%子会社化、ポリプロピレン自動車材事業の既存拠点(北米・タイ・中国)の能力増強とインド新会社設立などを実施。
1-1-3 また、戦略研究開発プロジェクトとして、多目的セミコマ-シャルプラントおよび高機能フィルムセンタ-を設置し、機能材料事業における新製品開発加速に取組んだ。
1-1-4 新年は、機能材料事業、先端化学品事業、基礎化学品事業の3軸のバランスのとれた経営の確立と新技術創出に取組む。
1-2 三菱化学は、三菱樹脂および田辺三菱製薬と共に三菱ケミカルホ-ルディングスを構成しているが、三菱ケミカルホ-ルディングスの小林喜光社長は年頭挨拶において、鹿島事業所火災、薬害C型肝炎、塩ビ管価格カルテル問題などに対処し、社会的信頼を維持しつつグル-プの事業を展開することを強調した。

2. 三菱化学、三井化学の特許公開(新年初)
2-1 三菱化学の事例(SANARI PATENT要約)
2-1-1 半導体発光デバイス用部材およびその製造方法、並びにそれを用いた半導体発光デバイス(特許公開日2008-1-10)
透明性、耐光性、耐熱性に優れ、長期間使用してもクラックや剥離を生ずることなく半導体発光デバイスを封止し、蛍光体を保持できる、新しい半導体発光デバイス用部材を提供する。
2-1-2 発光素子および発光素子モジュ-ル(特許公開日2008-1-10)
基板が発光波長に対して透明である場合に確認される基板由来の導波モ-ドに関わる発振波長の強度変調を抑制し、優れた光出力直線性と外部共振器との結合特性を示す発光素子を提供する。
2-1-3 光情報記録システムおよび光情報記録媒体(特許公開日2008-1-10)
フォトクロミック化合物を利用した書き換え型の光情報記録媒体において、全ての処理に同一の光源を用いることにより、記録ヘッドひいては記録システム全体を簡素化する光情報記録媒体およびこれを有する光情報記録システムを提供する。
2-2 三井化学の事例(SANARI PATENT要約)
2-2-1 半導体ウェハダイシング用保護シ-トおよびそれを用いた半導体ウェハダイシング方法(特許公開日2008-1-10)
半導体ウェハの回路形成面に非常に大きな凸凹を有するものをダイシング加工する場合であっても、半導体ウェハの破損を防止できる半導体ウェハダイシング用保護シ-トおよびそれを用いた半導体ウェハダイシング方法を提供する。
2-2-2 半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムおよびそれを用いた半導体ウェハの裏面研削方法(特許公開日2008-1-10)
半導体ウェハの裏面研削に際してウェハと粘着剤層との間への水等の浸入が抑制され、ウェハ表面の汚染も抑制できる半導体ウェハの裏面研削用粘着フィルムおよびそれを用いた半導体ウェハの裏面研削方法を提供する。
2-2-3 半導体ウェハの加工方法およびそれに用いる半導体ウェハ加工用粘着フィルム、並びに、半導体ウェハ加工用粘着フィルムの製造方法(特許公開日2008-1-10)
フィルム物性の経時的な変化を抑制すると共に、被着体(半導体ウェハ)への汚染を抑制できる半導体ウェハ加工用粘着フィルム、およびそれを用いた半導体ウェハの加工方法を提供する。

3. SANARI PATENT所見
  野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、
3-1 三菱ケミカルズホ-ルディングスは、綜合化学国内首位。機能商品に特色。販価上昇で石油化学好調。
3-2 三井化学は、三井系の綜合化学企業。石油化学の比重大。特にポリプロピレンは国内首位。機能性材料強化。
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Mitsubishi Chemicals、 Mitsui Chemicals、ポリプロピレン、半導体ウェハ

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2008年1月12日土曜日

Human Resources Education Budget

Human Resources Education Budget of Science Ministry 文部科学省の2008年度・理数教育充実予算(33%増の115億円)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2008-1-1 新年度新規予算
 
1. イノベ-ションと科学技術
1-1 平成20年度の文部科学省説明の標題が、「イノベ-ションによる科学技術の振興」と示されているので先ず、「科学技術によるイノベ-ション」のはず、と考えるけれども、その議論は飛ばして、とにかく平成19年度比33%増の人材育成費の中味を見る。
1-2 「次世代を担う人材への投資の充実・強化」のうち、「若者への理数教育の充実」に115億2600万円(対前年度33%増)が計上された。
1-2-1 理数好きな子供の 裾野を広げるため、初等中等教育段階から子供が科学技術を学び親しむ環境を充実するため、理科支援員等配置事業30億円、理科教育等設備整備費補助20億円。
1-2-2 理数に興味・関心が高い生徒・学生の個性・能力伸長のため、ス-パ-サイエンスハイスク-ル15億円、未来の科学者養成講座2億円(新規)、国際科学技術コンテスト支援3.9億円、理数学生応援プロジェクト  2.5億円。
1-3 同じく「大学における人材育成機能の強化と産学協働人材育成」に1112億4000万円(同53.5%増)が計上された。
1-3-1 大学院の研究教育機能を抜本的に強化すると共に、世界的な卓越した教育研究拠点を形成するため、大学院教育改革支援プログラム86億円、グロ-バルCOEプログラム(SANARI PATENT 注:Center of Excellence Program)469億5800万円、原子力人材育成プログラム2億4300万円。
1-3-2 社会のニ―ズに対応した人材養成のため、産学連携による実践型人材育成事業9億900万円、先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム9億4800万円、地域産業の担い手育成プロジェクト11億2200万円。
1-4 同じく、「イノベ-ション創出の担い手となる若手・女性研究者等への支援強化」に1029億4700万円(同36.3%増)が計上された。
1-4-1 イノベ-ション創出若手研究人材プログラムに30億円(新規)、若手研究者の自立的研究環境整備に84億円、「若手研究」等の充実に403億5100万円、戦略的創造研究推進事業に86億4700万円。
1-4-2 女性研究者支援モデル育成に14億円、出産・育児等による研究中断からの復帰支援に4億4000万円、外国人研究者の活躍促進に67億1400万円。
1-5 科学技術に関する理解と意識醸成に106億5100万円が計上された。
   地域の科学舎推進事業9億8200万円、国立科学博物館49億1200万円、日本科学未来館28億5900万円。

2. SANARI PATENT所見
2-1  平成19年度内閣知財計画において必要とされた事項に、予算の増額および新規予算をもって対応しており、平成20年度内閣知財計画の策定においてさらに強調されると考える。綜合して2~3割の予算増を実現しており、イノベ-ションの実効性を確保する予算実行の在り方が問われることとなる。
2-2  新年度予算では文系研究開発費も大幅増額されているが、知財戦略としては、文理融合型人材が必要であり、これに対する対応が見られない。
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Human Resources、文部科学省、理数教育、人材、国立科学博物館

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2008年1月11日金曜日

PANASONIC vs. TOSHIBA 

PANASONIC vs. TOSHIBA 「松下の社名・ブランド統一」、「HD-DVDとパブル-レイ」、「ジャパン・ニホン・ニッポン」(「理系人材育成」は明日に)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-1-11 TERUMO・OMRON

 NHKが松下電器産業の正式発表に先立って、「パナソニックに社名変更」を報じたこと(2008-1-10-15.30)は、電機販売店や消費者にとっても、遅い判断ながら適切、と受け取られたと考える。夕刊のトップ記事になったのも、ブランドと国際市場への関心の広がりを想わせた。

1. NHKの報道(SANARI PATENT要約)
1-1  これは松下電器産業が本日中(1-10)にも発表を予定しているニュ-スであるが、同社は、経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏が創業来、90年にわたって使ってきた社名の松下と、テレビや海外向けのパナソニックと、白物家電のナショナルを、全てパナソニックに統一する。
1-2  企業イメ-ジやブランド力を国際的に高めるためで、今年10月にも社名を変更し、昭和2年にランプ発売来のナショナルも姿を消す。
1-3  国内だけでなく、成長著しいアジアなどを舞台に電機メ―カの競争激化の中で、松下電器は社名・ブランド統一により存在感を高め競争力を増強する。

2. ところで、ジャパンとニホンとニッポンは
2-1  日本発のコンテンツで日本文化を海外でのソフトパワ-にするという内閣知財戦略本部の計画で、内閣ではニッポンに統一されているのか。SANARI PATENTは、ニッポンが正しいと考えるが、その理由はジャパンから逆流する。
2-2  Japan の語源は、マルコポ-ロの東方見聞録のジパングであるが、これは「じっぽん」の変形であるから、ニホンではなくニッポンが正しいと考えられる。

3. WARNER BROS. PANASONIC, TOSHIBA
3-1 パナソニックに社名・ブランド統一が国際競争力強化の一環であることは当然として、当面関心が集中する次世代DVDの帰趨はどうか。Asahi.com(2008-1-7)は、WARNER BROS.がHD-DVDから撤退して「ブル-レイ優位鮮明」と観測している。
3-2 ブル-レイディスクとHD-DVDの対比はしばしば掲載されてきたように、SONY、PANASONIC、SHARPと20世紀FOX、WALT DISNNYらがブル-レイディスク、TOSHIBA、NICROSOFTとUNIVERSAL PICTURESらがHD-DVDと、陣営が分かれ、WARNER BROS.は両用と位置づけられてきた。WARNER BROS.の今次方針転換が実現すれば、PANASONIC統一ブランドと共に影響が考えられる。
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PANASONIC、TOSHIBA、ブランド、ジャパン、DVD

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2008年1月10日木曜日

Technology as the key of Innovation

Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology as the key of Innovation 新年度文部科学省予算に科学技術駆動の地域活性化42億円
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-1 新年度知財予算

1. Culture vs. Science、Culture by Science
1-1  文化行政は「価値ある文化の保存」と「新たな文化の創造・保護・活用」とから成る。いずれも科学技術の進歩によって支えられると共に、両者が相克する局面も多発する。
1-2  特に、デジタルコンテンツ流通の多様化・高度化を起動する科学技術の革新は、著作権保護と相克する局面を数多く現出し、平成20年度内閣知財計画の策定における調整が注目される。そこで先般の内閣知財戦略本部会議(2007-12-13)に、文部科学省が提示した施策概要を先ず考察する。 ◎印は、要注目としてSANARI PATENTが付した。

2. 文化審議会著作権分科会の審議状況(SANARI PATENT要約)
2-1 私的録音録画補償金制度の見直しは、中間整理段階
2-2 海賊版の拡大防止 → ◎ 非親告罪化の一律導入は不適当
2-3 権利制限の見直し → ◎ 以下のことを著作権者の許諾なく行うことができるものとする。
2-3-1 障害者のための録音図書作成の範囲拡大等
2-3-2 インタ-ネットによる美術品販売における商品画像掲載
2-3-3 薬事法に基づく製薬企業の対医療機関文献提供
2-4 ◎ 検索エンジンの安定的運用を可能にする所要の法的措置
2-5 デジタルコンテンツ流通促進法制の検討
2-6 ◎ 録音録画以外の私的使用目的複製の見直し
2-7 著作権保護期間延長の是非の検討
2-8 著作者不明な場合の利用円滑化
2-9 ア-カイブ事業の円滑化

3. 産学官連携
3-1 ◎ 国際的基本特許の権利取得を図る産学官連携体制の強化
3-2 事業分野別、地域多様性対応の産学官連携
3-3 脆弱な大学の基盤整備
3-4 ◎ 大学のニ―ズに応じ、産学官連携コ-ディネ-タを文部科学省が派遣

4. 地域イノベ-ションシステムの強化
4-1 地域のイニシアティブによるクラスタ-形成地盤の支援
4-2 地域の研究開発への個別的支援

5. メディア芸術振興総合プログラム
5-1 若手クリエイタ-の創作支援
5-2 国際コラボレ-ション機会の提供
5-3 メディア芸術ラボラトリ-支援
5-4 メディア芸術作品展示支援
5-5 メディア芸術の国際的拠点の形成
5-6 文化庁メディア芸術祭
5-7 メディア芸術プラザ
5-8 メディア芸術海外展

6. SANARI PATENT所見
  知財専門家の関与の在り方は、各項目の実施要領に対応して決定されることとなる。
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Culture、メディア、クリエイタ、検索エンジン

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2008年1月9日水曜日

Culture Dispatch Strategy by Culture Ministry

Culture Dispatch Strategy by Culture Ministry 文化発信戦略懇談会の発足
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ 2008-1-8 (このサイト)
Amusement Contents

1. 文化発信戦略懇談会
1-1 文部科学省文化庁の文化発信戦略懇談会が昨月末(2007-1-2-26)発足したが、その趣旨は次のように述べてられている。(SANARI PATENT要約)
「グロ-バル化の進展により、伝統芸能から現代文化に至るまで、多様な日本の文化を発信して日本の姿を伝え、日本に対する諸外国の理解を深めることが強く求められている。またそのことが、日本の文化芸術の振興にもつながる。そこで、日本文化の総体や分野ごとに現状を把握した上で、効果的に発信する仕組みを構築する必要がある。そこで、有識者による懇談会を開催し、日本文化の現状を明らかにすると共に、日本の国際文化交流・協力を通じた文化発信の戦略を綜合的に検討する。」
1-2 検討事項は、「文化発信のための国内基盤の整備」、「日本文化の効果的発信」などとしている。 
1-3 実施期間は平成20年度末までとしている。
1-4 メンバ-は、東大大学院・山内昌之教授を座長とし(以下摘記ですが)、東大総長、国際社会貢献センタ-、作曲家、映画プロデュ-サ(一瀬隆重氏)、小学館、演劇評論家、狂言師(野村萬斎氏)、日本画家(平山郁夫氏)などの出身者である。

2. コンテンツとの関係
2-1 内閣知財戦略本部の知的財産計画は、「日本のコンテンツの強みを世界的に発揮する」、「海外を意識したコンテンツ制作を促進する」、「映画に関する国際協力覚書の締結を促進する」、「日本をクリエ-ションの拠点とすると共に、魅力を世界に伝える」「アニメ文化大使事業を促進する」などの計画から成り、従って、コンテンツ発信戦略にほかならないから、文化とコンテンツが同義か、また内閣知財戦略本部のコンテンツと文化庁の文化との異同を、国民が理解することが必要である。
2-2 コンテンツ振興法におけるコンテンツの定義は実質的に「文化」のそれと等しいと考えられるが、同法制定の直接動機がデジタルコンテンツの振興であったため、「コンテンツ=文化」とすることには違和感がある。
2-3 しかし、いずれも国益の増進を目的とするから、相補的に事が進められることを期待する。
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Culture、文化庁、文化発信戦略、平山郁夫、コンテンツ

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2008年1月8日火曜日

Transfiguration of Amusement Content

Transfiguration of Amusement Content 娯楽文化の変容とコンテンツ知財
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-12-10 東京アニメセンタ-

  一人で遊ぶゲ-ム機よりも、家族で興ずるスポ-ツゲ-ム機が流行り、競輪やパチンコの一人一日当りの車券・玉消費額が漸減しているなど、「娯楽」の動向に知財も即応する必要がある。

1. 内閣知財戦略本部と娯楽文化
1-1 コンテンツを知的財産政策の対象とする内閣知財戦略本部は、アニメ、マンガ、ゲ-ム、映画、食文化などによる日本ブランド・ソフトパワ-のがグロ-バルな展開を推進しつつある。コンテンツの内容として、和食が既に計画対象であるから、茶道、香道は当然コンテンツに入るとして、フィギャ-スケ-ト、相撲、能楽、歌舞伎、競馬、競輪などはいかがであろうか。コンテンツ振興法の「コンテンツの定義」を先ず読み返してみる。
1-2 コンテンツ振興法は、コンテンツ促進法とも略されるが、そのフルネ-ム「コンテンツの創造、保護および活用の促進に関する法律」(2004)も、時々記憶し直す必要がある。
1-3 コンテンツの定義を記憶できる人は、知財専門家にも稀と考えるが、次のように、デザイン、アナログ、ライブの別を問わないことが、繰り返し読むと分かるように書かれている。すなわち、
「この法律においてコンテンツとは、『映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ-ション、コンピュ-タゲ-ムその他の文字、図形、色彩、音声、動作もしくは映像もしくはこれらを組み合わせたもの』、または『これらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう)であって、人間の創造活動により生み出されるもの』のうち、教養または娯楽の範囲に属するものをいう。」
1-4 上記1-3の定義にSANARI PATENTが『』を2回挿入したが、後の『』内がデジタルコンテンツであり、前の『』内がデジタルコンテンツ以外のコンテンツである。
1-5 和食文化はデジタルコンテンツではなくて非デジタルコンテンツであることに異議はないが、食材は列記されていないから、例示列記と解することになる。

2. パチンコとパチスロ
2-1  セガ・サミ-(東証1部)の本年度上半期報告では、「世界中のあらゆる人々に夢と感動溢れるエンタテインメントを提供し、豊かな社会の実現と文化の創造に貢献する」という旺盛な意欲と共に、「パチンコホ-ルのパチスロ新基準機への移行に伴う業界協調施策として提供した期間限定の特別割引などの消極的影響が述べられている。同時に、「パチスロ北斗の拳」「映画ライラの冒険ゲ-ム」「タイヨ-エレックブランドの伝説の巫女の協力販売」など、映画とゲ-ムの相乗やブランドの融合が見られ、特に、キッズ向けカ-ドゲ-ムとリズムアクションダンスゲ-ムを融合させた全く新しいタイプの、ディズニ-キャラクタ-と合わせてのダンス型が、家族・友人グル-プの一緒になっての融和娯楽として、生活イノベ-ションとも評価できると、SANARI PATENTは考える(世代隔絶の解消)。
2-2  ダイコク電機(東証1部)の最近の事業報告では、「パチンコホ-ルは今までのパチスロ重視の経営からパチンコ重視にシフトしていること」「大型店新が進み、大型店同士の競争が増えて、規模の競争から顧客満足の競争に移行すること」「ダイコク電機戦略情報システムでホ-ル内外の情勢変化をリアルタイムで認識できるサ-ビスを提供すること」などを強調している。

3. 競馬・競輪
  公営競技の状況報告が届いたが、SANARI PATENTが注目するのは、入場者一人当たりの馬券や車券の購入金額である。2007年10月分の集計では、競輪16,900円(対前年同月比90.4%)、オ-トレ-ス17,700円(91.7%)、競艇24,300円(97.2%)、中央競馬18,300円(100.0%)、地方競馬19,400円(91.5%)で、中央競馬以外は全年同月を下回っているが、その中央競馬は、入場者数が91.5%に減少している。

4. SANARI PATENT所見
  Amusement ContentまたはEntertainment Contentは、産業規模としても、海外進出、国際共通という観点からも重要であるが、デジタル機構のイノベ-ション、個々人のオタク娯楽からオ-プンな家族娯楽へという現時点の方向性は、支持すべきものと考える。
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別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-8 農林水産トップ10新技術
Amusement、Entertainment、コンテンツ、セガ・サミ-、ダイコク電機

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2008年1月7日月曜日

Thermal Spray Technology as Key to

Thermal Spray Technology as Key to Industrial Innovation 中小企業庁が、溶射中小企業の「ものづくり基盤技術高度化指針」案について意見公募(1-28期限)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2008-1-4 新年度中小企業庁予算

1.溶射は、金属・セラミックスなどを多様な熱源で溶融医薬品卸売業、基材の表面に吹き付けて皮膜を形成する表面加工技術である。非溶融状態の粒子を高速吹付けして皮膜を形成する技術(kinetic spray)も近年、溶射に含めているようである。
2.各種産業機械やシステムは、過酷な環境や条件に耐える必要があるので、溶射の高度化は製品性能の向上に欠かせない要件である。換言すれば、凝着磨耗、摩擦磨耗、摺動磨耗に耐えると共に、寸法復元、電気特性付与、腐食・浸食・断熱の機能を持ち、外観・美観のユ-ザ-ニ―ズにも即応することが求められる。
  大別して、ガス溶射(フレ-ム溶射・高速フレ-ム溶射)と電気式溶射(ア-ク溶射とプラズマ溶射)があり、基材の寸法に制限なく、必要 範囲のみの加工、現地施工が可能である。
3.溶射業界には中小企業が多いので、中小企業庁は標記指針案を公表して意見を公募している。SANARI PATENTは、知的財産に関する指針案について、下記のように、所定様式により中小企業庁および内閣知財戦略本部に意見を提出した。理由2の団体として、日本溶射工業会、日本溶射協会が現在、機能分担している(SANARI PATENTの考察)。
  なお、中小企業庁案は同庁のホ―ムペ-ジに示されている。

該当箇所
 3-(6)「知的財産に関する事項」(中小企業庁案の8ペ-ジ)
 
意見
第4パラグラフとして、次のように付加されることが望ましいと存じます。

「このため、溶射事業者がその川下事業分野ごとに、溶射事業者団体を母体として、知的財産権の帰属、使用範囲を明確にする契約方式を、団体として定め、知的財産権に関する川下事業者との契約およびその履行を適正に行うと共に、必要に応じ、パテントプール等の形成を通じて、競争力の培養および標準化の事実上形成による国内・国際の技術的・法的・国際標準的地位の確立を図ることが必要である。」

理由
1. 貴案が、「川下事業者と連携して特許出願を行うことが求められる場合には、知的財産権の帰属、使用範囲を明確に取り決めることが重要」と指摘されましたことは、従来の中小企業の経験にかんがみての適切なご配慮と存じます。
2. しかし、個々の溶射中小企業者がこのような措置を個別に講ずることは、実際上困難な場合も多いので、既に諸般の団体事業を実施中の溶射事業者団体を母体として、川下事業分野別に団体力を構築することが現実に即すると考えます。
3. この団体が、デファクト標準の形成母体ともなり、わが国溶射技術の国際標準化に発展することを切望いたします。(以上)
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Thermal Spray、溶射、中小企業庁、パテントプール、特許出願

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2008年1月6日日曜日

Policy for ASP(Application Provider)・SaaS

Policy for ASP(Application Provider)・SaaS(Software as a Service) セキュリティ対策等について総務省がパブコメ募集(期限2008-1-18)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://sanaripatent.blogspot.com/ (このサイト)007-12-16 SaaSの動向

  情報通信分野の知財開発においてイノベ-ションの先端を担うのが、新たなソフトウェアサ-ビスとしてのSaaS Service等である。総務省は、次の政策案について、本月18日を提出期限とするパブコメ(Public Comment)を募集している。

1. ASP・SaaSに関する諸動向(SANARI PATENT要約)
1-1 ブロ-ドバンド環境の進展
わが国のインタ-ネット人口普及率は平成18年に68%を超え、ブロ-ドバンド契約数は2644万に達した(2006-12)。大容量コンテンツの流通が活発になり、インタ-ネットの利用形態は益々多様化・高度化する
1-2 ASP・SaaSは、国際競争力強化・生産性向上への切り札
経済財政諮問会議の「成長力加速プログラム」(2007-4)は、サ-ビス革新戦略の一つとしてASP・SaaSなど、中小企業が使い易い新たなサ-ビスの普及の共通基盤を整備するとしている。
1-3 セキュリティ対策
ASP・SaaS事業者およびその関係組織には、利用者である企業等の膨大な情報資産が集積されるので、総務省は研究会を設けてASP・SaaSの実態、セキュリティ対策について検討し、報告を得たので、これに対するパブコメを募集する。

2. ASP・SaaSの定義、提供方法、利用方法
2-1 ASPとSaaSは、いずれもネットワ-クを通じてアプリケ-ションサ-ビスを提供するもので、基本的に大差ない。すなわち、「ASP・SaaSは、ネットワ-クを通じて、アプリケ-ションソフトウェアおよび付随サ-ビスの利用を提供すること、そのビジネスモデル」である。
2-2 ASP・SaaS事業者は、ASP・SaaSを提供する。
2-3 利用者は、アプリケ-ションソフトウェアをインスト-ルせず、ASP・SaaS事業者がインタ-ネット経由でアプリケ-ション機能を提供する。
2-4 ASP・SaaSにおいては、複数利用者によるソフトウェアの共同利用(企業の内外を問わず)の可能性が前提である。
2-5 利用者は、コスト負担軽減、迅速柔軟なシステム利用、ICTリテラシ-対応のメリットを得る。

3. ASP・SaaSの課題
3-1 ASP・SaaS事業者の大半は中小規模の事業者であるが、その提供するサ-ビスは多岐にわたる。
3-2 従って、ASP・SaaSに関する情報セキュリティ対策ガイドラインを策定する必要がある。このガイドラインは次の3つの役割を持つ。
3-2-1 利用者がASP・SaaSサ-ビスを適切に選別できる判断基準
3-2-2 様々な規模のASP・SaaS事業者への対応
3-2-3 新規参入ASP・SaaS事業者への指南

4. SANARI PATENT所見
  日立ソフトウェアやKDDIもSaaS事業の開始を言明しており、3-1にもこのことを明示することが適切である。特に日立ソフトウェアの場合は、提供先が「ゆうびん会社」という巨大企業である。
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ASP・SaaS、アプリケ-ションソフトウェア、総務省、日立ソフトウェア

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2008年1月5日土曜日

Comparative Study of Patent Examination Practices

Comparative Study of Patent Examination Practices「日米特許審査ハイウエイ」、「特許審査実務の三極比較研究」について特許庁発表(2007-12-20~28)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-21 新年度知財政策

  「本当に新しい発明は、世界中の通常レベル同業者なら誰が考えても新しい発明であるはずだ」、すなわち、スポ-ツの世界新記録は、世界の誰が判断しても世界新記録であるのと同様に(直ぐには全世界で、というわけにゆかないが)、日本特許庁・米国特許商標庁(USPTO)のいずれの審査官が審査しても、「新しい発明で特許性がある(あるいは新しい発明でないから特許性がない」として、出願に対する認否を同一に判断できるはずだから、一方の特許庁で特許性の認否を決定したら、他の特許庁も同様に判断すれば、特許審査を半減できるというのが極めて簡単化した「日米特許審査ハイウェイ」の基本的考え方である。

1. 新年(2008-1-1)から「日米特許審査ハイウェイ」プログラムを本格実施
1-1 特許庁は予め次のように発表した(2007-12-20)(SANARI PATENT要約)
1-1-1 特許審査ハイウェイとは、海外での権利取得を支援する特許庁間の国際審査協力の枠組みである。日米間では2006年7月からその試行プログラムを開始し、両国のユ-ザ-から高い評価を得た。
1-1-2 このたび日本国特許庁と米国特許商標庁は、約1年半にわたる試行プログラムの結果を踏まえ、2008年1月4日から本格実施に移行することを決定した。
1-2 試行段階よりも対象を拡大し、次のケ-スも対照とする。
1-2-1 米国の仮出願を基礎として日本と米国に出願していて、米国の本出願が許可された場合は、日本の出願を日米特許審査ハイウェイの対象とすることができる。
1-2-2 日本の基礎出願の分割出願が日本で特許になった場合、米国の出願は日本の分割出願に基づいて日米特許審査ハイウェイの対象にすることができる。

2. 日米特許審査ハイウェイの現状
特許庁は次のように説明している。
2-1 特許庁は米国特許商標庁との間で、平成18年7月から日米特許審査ハイウェイ試行プログラムを開始したが、韓国特許庁との間で平成19年4月から、英国特許庁との間で平成19年7月から開始している。
2-2 特許審査ハイウェイは、出願人の海外での早期権利化を容易にすると共に、各国特許庁にとっては、第1国の先行技術調査と審査結果の利用性を向上し、審査の負担軽減と審査の質の向上を図る。

3. 特許庁は更に、「審査実務に関する三極比較研究」を公表した(2007-12-28)。
3-1  この研究の目的は、質の高い出願書類作成を支援するため、記載要件および進歩性について、三極特許庁の審査実務を比較研究し、その結果を出願人・代理人に周知することである。
3-2 このような観点から、この研究では、記載要件および進歩性について、三極の法令、審査基準の比較と事例研究を行う。

4. SANARI PATENT所見
特許庁のご努力に対して改めて深く敬意を表するが、知財専門家の立場からは、期待しつつも疑問続出というのが実態であろう。しかし、特許審査ハイウェイは、疑問よりも実行を先行させるべき課題であると、SANARI PATENTは考える。
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Patent Examination、日米特許審査ハイウェイ、韓国、英国、特許審査基準

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2008年1月4日金曜日

Evaluation of Brands, KAO vs. SHISEIDO

Evaluation of Brands, KAO vs. SHISEIDO : ブランドの価値評価は、どんな価値があるか(6年前に、花王1兆4273億円、資生堂1兆2990億円の評価例)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT

1.ブランド比較
ブランドには企業や企業グル-プの競争力と価値とが象徴され、ブランド戦略は知財戦略・経営戦略の要めであるから、ひところ、その定額的価値こと評価も熱心に試みられた。年初のDIAMOND online が、「花王の攻勢に資生堂とユニ・チャ-ムの結束」というテ-マをinsideのトップに置いているので、6年ほど前まで、経済産業省もブランドの定額的価値評価に熱心であった当事の、花王と資生堂のブランド価値評価を回顧し、価値評価方法論の参考にしたい。

2. DIAMOND onlineの観察
先ず現時点での花王と資生堂のブランド競争をDIAMOND onlineの観察によって見よう。(SANARI PATENT要約)
2-1  日用品大手メ―カ同士の提携話が、資生堂とユニ・チャ-ムの業務提携にによって、やっと動き出した。この話は2年前に始まったのに、容易に進捗しなかったが、本年初から資生堂が、4製品の生産をユニ・チャ-ムに委託することを決定し、ユニ・チャ-ムの不織布生産ノウハウによって製造コスト削減を実現すると見られる。
2-2  この分野で物流や販売網などの業務提携加速の可能性が言われているのは、花王やP&Gの対資生堂攻勢が激化しているからである。「日用品全般」という点で資生堂はその出遅れを克服すべく、総合力を発揮しようとしていると見られている。
2-3  原材料価格高騰と小売店からの価格要求が強まり、大手日用品メ―カ間の業界再編的な動きが加速する可能性もある。

3.ブランドの視点
   ブランドの単なる無形価値のみでなく、生産ノウハウの取得によるコスト削減という実質効果をも目的としているので、ブランド評価増価に説得力がある。
  ブランドが著名であることによって市場価格を増価できること、換言すれば、その呼称によって市場価格を増価できることによってブランド価値が成立し、評価対象となるところに、むしろブランドの本質がある。

4.経済産業省の6年前
4-1 そこで経済産業省は、6年ほど前に、「ブランド価値評価研究会」に委嘱した研究結果を公表したことがある。それはブランドの定義を次のように定めた。
  「企業が自社の製品等を競争相手の製品等と識別化または差別化するためのネ-ム、ロゴ、マ-ク、シンボル、パッケ-ジデザインなどの標章」
4-2  そして、ここで設定されたブランドの定額価値評価方法は、SANARI PATENTが極端に簡単化すれば、ブランドによる超過収益額の将来発生予測額を元本現価するものである。
4-3  その算式(一種の回帰方程式とSANARI PATENTは解する)に基づき算定されていた結果が、花王と資生堂については標題に掲げた価額であったが、現在の知財専門家はこれをどう評価されるであろうか。
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Brand、Evaluation、花王、ユニ・チャ-ム、資生堂、ブランド、価値評価

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2008年1月3日木曜日

ASP-SaaS Policy by General Affairs Ministry

ASP-SaaS Policy by General Affairs Ministry 総務省のASP・SaaS対策についてSANARI PATENT意見を提出(2008-1-4)
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-12-4 ICT政策

 NGN(次世代ネットワ-ク)におけるソフト利用サ-ビスのビジネスモデルとして、ASP・SaaSを活用することが、中小企業振興・地域開発にとって特に有効(コスト・迅速・簡易)と考えられることから、SANARI PATENTは、総務省のASP・SaaS対策案(2007-12-20)について、下記意見を総務省に提出した(2008-1-4付け)。総務省案は現在、同省HPに公表されている。

                        平成20年1月4日
総務省情報通信政策局 御中
「ASP・SaaSの情報セキュリティ対策に関する研究会報告書案」に関する意見

意見1.表題の「ASP・SaaS」を「ソフト利用サ-ビス(ASP・SaaS)」と改めて、中小企業従業員全てに分かり易くしていただきたい。
(理由1)今次報告の目的は、「IT革新のための具体的取組として、中小企業にとって使い易い新たなサ-ビスの普及」(p.4)でありますから、先ず中小企業従業員全てが取り付き易くして下さい。
  ASP・SaaSの定義を「ネットワ-クを通じて、アプリケ-ション・ソフトウェア及びそれに付随するサ-ビスを利用させること、あるいはそうしたサ-ビスを提供するビジネスモデルを指す」と定めておられますが(P.6)、「ソフト利用サ-ビス」で足りると考えます。

意見2.ASP・SaaS事業者の業態は、大企業を含めて評価していただきたい。
(理由2)特に中小企業におけるASP・SaaS利用のメリットとして、「コスト低減」、「迅速柔軟なソフト利用」、「情報通信技術格差対応(原文・ICTリテラシ-対応)」が挙げられ(P.8)、誠に適切と存じますが、一方、「ASP・SaaS業界は、中小事業者を中心に構成されていること」(P.18)、「セキュリティ対策の必要性」(P.24)が強調され、中小企業者が不安を感ずる惧れがあります。
  現に、情報通信大企業系のソフトウェア会社や基幹電気通信事業者が、ほとんど全てASP・SaaSへの参入に、既に着手し、または参入を予告していることも含めて、現状をご評価いただきたいと存じます。(以上)
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ASP・SaaS、NGN、総務省、中小企業、アプリケ-ション

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2008年1月2日水曜日

METI IP Strategies for 2008 Innovation

METI IP Strategies for 2008 Innovation 内閣知財戦略本部に経済産業省が提出した「経済成長を支える知財政策の推進」(2007-12-13)に関する論点
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2007-1-1 新年度知財予算

1. 表題資料の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 世界特許の実現
1-1-1 国際的な特許制度の調和の推進
1-1-1-1 実体特許法条約の早期実現
1-1-1-2 出願様式の共通化
1-1-2 国際審査協力の推進
1-1-2-1 特許審査ハイウエイ対象国の拡大
1-1-3 特許審査の迅速化・効率化
1-1-3-1 任期付審査官の確保
1-1-3-2 先行技術調査の外注拡大
1-2 模倣品・海賊版対策の強化
1-2-1 対中国、知財制度・運用改善と法執行強化の働きかけ
1-2-1-1 日中ハイレベル経済対話
1-2-1-2 日中特許・商標会合
1-2-1-3 官民合同知財ミッション
1-2-2 模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の早期実現
1-2-2-1 欧米等関係国と、実現すべき内容の集中協議
1-2-3 模倣品・海賊版撲滅ジャンペ-ン実施
1-3 知財の更なる創造・活用に向けた取組
1-3-1 特許ライセンス登録制度の見直し
1-3-2 特許・商標関係の料金引下げ
1-3-3 中小企業の外国出願への支援
1-3-4 知財について農林水産省と連携
1-3-5 地域総力結集によるイノベ-ション創出
1-3-6 国際標準化アクションプランの策定・実施
1-4 日本のコンテンツとブランドの発信
1-4-1 JAPAN国際コンテンツフェスティバルの官民合同開催
1-4-2 東京発 日本ファッションウィ-ク(JFW)の開催
1-4-3 感性価値創造イニシアティブの戦略的推進

2.上記知財政策の理由
2-1 世界特許実現の必要性
2-1-1 世界の特許出願の増加
2-1-2 世界の特許出願の4割は外国出願
2-1-3 審査請求期間短縮による審査請求件数の著増
2-2 模倣品・海賊版対策強化の必要性
2-2-1 世界の模倣品取引額が80兆円
2-2-2 中国等における特許・商標出願も急増
2-3 知財の更なる創造・活用に向けた取組の必要性
2-3-1 ベンチャ-等における出願段階のライセンスの拡大・企業再編(M&A)に伴う特許権移転の増加
2-3-2 中小企業の知的財産制度・地域経済の活性化
2-3-3 研究機関間連携の強化
2-3-4 研究開発成果の迅速な普及
2-4 日本のコンテンツ・ブランド発信の必要性
2-4-1 国内コンテンツ産業の海外売上比率は低水準
2-4-2 優れたファッションの現存

3.SANARI PATENT所見
3-1 世界特許指向は、「日本企業が日米英独韓の特許庁のいずれを第一出願国にするかの選択」、「選択した国の特許庁の特許付与を後次国特許庁(日本特許庁を含む)が円滑に受け入れ」の2段階によって、わが国企業にとっての合理化効果を実現できるものと考えるが、その実績が逐次示されることが望まれる。
3-2 特許明細書の翻訳が精確であり得るよう、明細書記述態様の国際統一を先ず促進し、わが国特許明細書の態様を必要に応じ改正すべきである。(平成19年度内閣知財計画による出願書類記述の改善について先ず、特許庁の主導が必要)。
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特許審査ハイウエイ、模倣品、ファッション、特許明細書、世界特許

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2008年1月1日火曜日

Happy New Year for Happy METI 2008 Budget

Happy New Year for Happy METI 2008 Budget 
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
関連記事http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-1-1 新年度知財予算と外国出願助成の新規計上
関連記事http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 2007-1-1 新規計上の新年度予算項目(経済産業省)

謹んで新春のお慶びを申しあげます

先ず、新年度の経済産業省予算を考察します。

1. 新年度経済産業省予算に見る経済産業政策の重点
1-1 経済産業省の2008年度一般会計予算総額は、2007年度当初予算額4692億円と同額を確保した。
1-2 うち中小企業対策費は2008年度1304億円で、2007年度比3.5%増、科学技術振興費は1477億円で1.1%増となった。
1-3 重点施策要望として経済産業省は450億円を要求したが、422億円計上されている。その内容が、中小企業・小規模企業の経営力向上支援・資金調達の円滑化、地域・コミュニティの再生、地域イノベ-ションの創出、地球環境と成長の両立等である。
1-4 農商工連携促進のため103億円が計上された。内容は、地域に根ざした農林水産業と商工業が連携する「農商工連携」を促進するため、地域産品の販売促進・新製品開発、ITの活用による販路開拓・生産流通管理、人材の育成・交流等である。
1-5 エネルギ-対策特別会計は、地球温暖化対策の推進、革新的なエネルギ-技術開発、資源エネルギ-の総合確保戦略、次世代自動車燃料対策、省エネ・新エネ対策、安全大前提の原子力推進、アジア各国との協力関係の構築などの重要施策のため、7216億円を確保したが、2007年度より293億円減である。
1-6 特許特別会計は1228億円で、2007年度より38億円増であるが、「イノベ-ション促進のための特許審査改革加速プラン」に基づき、世界最高水準の迅速・的確な特許審査の実現や、グロ-バルな権利取得の促進、模倣品対策の強化などで、知的財産政策を推進する。
1-7 貿易再保険特別会計は、2121億円で、2007年度より10億円減であるが、戦争、内乱、債務問題の発生など民間の通常の保険では負担できない企業活動のリスクをカバ-する。

2、上記を経済産業省は、次の6つの政策項目に配属している。すなわち、
2-1 地域・中小企業、国民一人ひとりの潜在力発揮による成長の底上げ
2-2 成長の基盤となる安全・安心の確立と高信頼性を強みとする産業の創出
2-3 地球環境と成長の両立に向けたわが国のリ-ダ-シップの発揮
2-4 イノベ-ションの加速による成長力・競争力の強化
2-5 資源エネルギ-政策の戦略的展開
2-6 アジア等と協働するオ-プンな経済システムの構築

2. SANARI PATENT所見
  上記の2の6項目は、いずれも実質的に知財政策としての要素を多分に包含している。例えば、2-5の資源エネルギ-政策のうちには、「希少金属資源の開発促進」が挙げられるが、希少資源代替物質の開発が、石油代替エネルギ-の開発と同様に重要であり、その知財開発・活用を促進するためにも、この項目予算が充当されるべきである。
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経済産業省、エネルギ-、希少金属、高信頼性、中小企業