2008年11月30日日曜日

METI Requests Information for Access Control Functions

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アクセス制御機能関係技術の開発情報を経済産業省、総務省、国家公安委が募集
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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標記公募発表(2008-11-29)の趣旨は、不正アクセス行為の発生状況とアクセス制御機能に関する技術の研究開発状況を公表することによって、不正アクセス行為からの防衛に資するためであるが、その重要性がインターネット利用の全国ないし全世界普及に伴って極めて重大化していることは疑いなく、ここで昨年の状況を考察し、事態を再認識したい。
なお、上記アクセス制御機能は、ファイアウォール技術、侵入検知技術、および、その他の認証技術等である。経済産業省における担当は商務情報政策局情報セキュリティ政策室。

1.2007年中の不正アクセス行為認知件数は1818件で、2006年に比べ872件増と著増している。被害機器のアクセス管理者としてはプロバイダ(インターネット接続機能を提供する電気通信事業者)の1372件が最多で、一般企業、行政機関がこれに次いでいる。

2.不正アクセス認知の端緒は、警察職員による被疑者取調などの警察活動によるものが1326件、利用権者からの届け出、アクセス管理者からの届け出が次いでいる。

3.不正アクセス行為後の行為としては、インターネットオークションの不正操作(他人になりすましての出品など)が1347件、オンラインゲームの不正操作(他人のアイテムの不正取得など)、インターネットバンキングの不正送金、情報の不正入手(メールの盗み見など)、ホームページの改ざん・消去、不正ファイルの蔵置が次いでいる。

4.不正アクセス行為の手口としては、フイッシングサイトを開設して識別符号を入手したもの、スパイウェア等のプログラムを使用して識別符号を入手したもの等、巧妙な手口で識別符号を入手したものが多発している。

SANARI PATENT所見
 ID等から容易に推測されるパスワードを使用しているなど、利用権者の管理の甘さにつけ込んだもの、識別符号を知り得る立場にあった元従業員によるもの、言葉巧みに利用権者から聞き出したものなど、「オレオレ詐欺被害者」と類似した防衛意識欠落による不正アクセス誘引も多く、ネチズンの基礎教養を高めることも必須である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Access Control、不正アクセス、インターネットオークション、なりすまし

ラベル:

2008年11月29日土曜日

METI Minister Comments on World Serious Affairs 

インドムンバイ同時テロの対日本企業影響等について二階経済産業大臣が応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 激動する世界諸情勢のもとで、わが国企業の知的財産はどのように展開してゆくべきか。先ず二階経済産業大臣の記者会見応答(2008-11-28)の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. ムンバイ同時テロ
1-1 質疑: 経済への影響、政府の対応はどうか。日本企業のインドへの進出への影響はどうか。
1-2 応答: インド政府と連絡し、わが国ができる分野で積極的な協力をしたい。ごく最近、シン首相、ナート商工大臣も来日したところであり、今次日本人犠牲者は経済産業省所管企業であるから、省として鋭意対応する。 いま直ちにこの事件が、日本企業の今後の進出ないし撤退に反応するものではないと思うが、慎重に見極める。いずれにせよ、成長著しいインドの中心部が狙われたことは、大変憂慮すべきである(SANARI PATENT考察:インド人口の15%を占めるイスラム系が、所得格差拡大のインドにおいて下層に属することは、インド経済の発展における重要な政治社会問題を孕む)。

2. 経団連への賃上げ要請
2-1 質疑: この経済情勢下で企業が応ずるか、不透明と思うがどうか。
2-2 応答: 私も以前、2度ほど、経団連に対して賃上げを要請したことがある。経団連側も重く受け止めると応答したが、同時に経団連側の主張もある。経済界が賃上げできるような環境をどう整えるか、十分話し合いたい。情勢の激変を踏まえ、雇用の状況をも考え、税制等も含めて配慮する(SANARI PATENT考察:雇用の確保をも要請するのか、言及されていない)。

3.経済情勢
3-1 鉱工業生産指数悪化について、所見はどうか。
3-2 経済が悪化する場合の従来例では普通、鉱工業生産指数はなだらかなカーブで停滞したのに対して、今次指数は非常に鋭いカーブで落ち込み、予断を許さない。経済産業省は当面、融資・保証問題に取組んでいるが、次なる展望をどのように描くか、鋭意取組む。

4. WTO
4-1 質疑: WTOについて動きはどうか。
4-2 応答: 農林大臣、官房長と、よく調整して対処することを、先刻話合った(SANARI PATENT考察: わが国農業政策構造の革新と工業のグローバル展開の調整と解する)。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
WTO、インド、賃上げ、鉱工業生産指数、二階経済産業大臣

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2008年11月28日金曜日

WTOとTRIPS:産業政策の油価連動 

「WTO合意の行方と知財国際協調」、「原油価格高水準の政策前提」
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 資本主義、自由主義、保護主義という主義論が、不明確な概念画定のもとで、国際交渉も国内政策も歩みを止めることはできない。昨日の望月経済産業事務次官のWTO関連応答(2008-11-27記者会見)に先ず注目する。 

1. WTO交渉
1-1-1 質疑: 金融サミット、APECという国際会議の展開において、WTOの年内モダリティ合意が強く打ち出されたが、実際に閣僚会合が開催される目途はどうか。
1-1-2 応答: いま、石毛経済産業審議官が現地でのSOMの会議に参加している。詳細な内容報告を未だ受けていないが、APECの首脳会合などで、あれだけ明確に年内合意の意欲が示されたのだから、私どもとしては期待を高めている。
1-2-1 質疑:: 具体的に何時という感触はどうか。
1-2-2 応答: 年内、12月の然るべき日取りと限られるのではないか。
1-3-1 質疑: 閣僚会議が開かれる可能性は相当高いか。
1-3-2 応答: 開くつもりで皆、交渉していると思う。
1-4-1 質疑: 幾つかの論点について各国間の隔たりがある中で、合意の目途をどの程度得てから開くべきか。
1-4-2 応答: 内容的に残った課題は全て困難なもののみであるから、精力的交渉を要するが、閣僚会議すら開けないという痛手にはならないよう進められている。
1-5-1 質疑: わが国政府部内の意見調整はどうか。
1-5-2 応答: 非常に困難な農業問題について、明確に打ち合わせる。

2. 原油価格の政策前提性
2-1 質疑: 来年度政策・予算要求は、原油高への対応を一つの柱としているが、147ドルから40ドルへの下落で、関連の調整をどうするか。
2-2 応答: 乱高下に対応する政策として、基本的変更はない。

SANARI PATENT所見
 知財分野ではTRIPS協定が国際調和の基本協定であるが、WTOの知財部門として、WTOの大きな動向に沿うこととなる。
 原油等の資源価格の変動は、その振幅を調整する手段が、市場主義。自由主義の建前上も極めて限定されるとの認識に基づいて、変動即応の政策体系を樹立すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
WTO、TRIPS、APEC、望月経済産業事務次官

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2008年11月27日木曜日

METI Protects Subcontractors 

経済産業省が下請中小企業の保護状況を発表(2008-11-26)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat 「TOYOTAの金融業務とホーム業務」「LenovoとSamsung 」
Sub Site http://sanaripat.exblog.jp/ 東芝のMicro Memory CardとLithium Ion Battery

先般閣議決定された新経済成長戦略においても、下請中小企業の保護を経済成長基盤の要素として位置づけているが、「下請」とか「親事業者」とかいう言葉がふさわしくない独自技術や知財を有する中小企業が増加し、また大企業化している。「下請」「親事業者」の法的定義は「下請代金支払遅延等防止法」に定められているが、この法律自体が、神武景気本格化に先立つ昭和31年に制定された法律で、半世紀前の古さもあるが、最近の知財政策下で、「下請中小企業のノウハウや特許出願前発明が親事業者に奪われた」とか、更に最近の金融難で、皺寄せが先ず中小企業への支払い遅延を増大したとか、現時点での発動が要請されている。中小企業を親事業者とする下請中小企業の定義も法定されているが、これらの定義についてはここでは省く。

 特許やノウハウの奪取については、代金支払での圧力が随伴することが問題になってきたが、いずれにしても、法の発動を下請中小企業が求めることは報復を恐れてできないから、経済産業省や公取の積極的関与が必要で、昨日の経済産業省発表は、その実績を示すものである。

 その内容(SANARI PATENT要約)を見ると、
(1)  本年度上半期には、違反容疑の高い親事業者433社に立入検査を実施し、395社に対して956件に上る改善指導を書面により実施し、発注時の書面交付の徹底を指導すると共に、社内体制整備を指導した。
(2)  禁止行為のとしては、下請代金の支払遅延、減額が多く見られ、実体規定違反全体の75%を占める。その他の違反は、返品、買い叩き、困難手形、利益要請、やり直しなどである。
(3)  本年度上半期において、親事業者115社に対して、総額9億7000万円の下請代金減額分や遅延分の返還等を行わせた。
(4)  違反のおそれある事業者についての相談・申告も随時受け付けており、申告者の秘密を保護しつつ、24件の申告(製造業13、サービス業11)を受けつけたが、昨年同期の13件が倍増している。

SANARI PATENT所見
 最近の経済変動による親事業者自体の窮境が下請中小企業に及ぶというから、「経済産業局における相談対応の時間延長や土曜日実施」、「違反となる買い叩きの具体的内容を通達で明示」、「特別立入検査」などが、新たに実施されている。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Subcontractor、下請、親事業者、買い叩き、支払遅延

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2008年11月26日水曜日

METI Minister Reports on APEC 

二階経済産業大臣の今次APEC報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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Sub Site http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ ソニー、積水ハウスに新エネ賞
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 今次APEC会議はWTOの今後の展開と密接に関連し、自由貿易構造が知財開発に及ぼす影響と共に、わが国農業政策の基本構造を革新し、これに伴う新たな農業知財の創成を促す可能性があると、SANARI PATENTは考える。

 先ず二階経済産業大臣の対記者説明および応答(2008-11-25)(SANARI PATENT要約)を見る。
(1)  今次APECには中曽根外務大臣と共に出席した。国際金融の危機について、金融機関の健全化に加え、実体経済面(SANARI PATENT注:「実態」と書くのが良いか、不明)での対策が急務であるという問題意識で発言してきた。
(2)  第一点「中小企業、貿易への資金供給確保」、第二点「各国国内消費の拡大に協調」について、連携の必要を特に強調してきた。
(3)  これを踏まえて、他国首脳の多くが、「G20金融サミットの着実な実施」と、「実態経済面での対応の重要性」を指摘した。首脳宣言にも、「投資、消費の拡大、経済成長の強化」と、「中小企業等への資金供給確保」が盛り込まれた。
(4)  WTOドーハラウンドについては、12月中のモダリティ合意を目指すことを約束した。
(5)  地域経済統合については、アジア太平洋地域の経済統合は、金融危機の今こそ一層重要であることに、意見の一致をみた。
(6)  来月WTO閣僚会議が開催され出席する場合は、世界的金融危機の状況下で、ともすれば諸国経済が互いに委縮する可能性があり、自由貿易体制の確立がわが国の国益に適し、国際的にも重要として、展開したい。
(7)  同時にわが国では、WTOに関する別の困難な問題もあるから、十分に調整しつつ対応することが必要である。

SANARI PATENT所見
 上記(7)に「農業」という言葉が出ていないが、自由貿易は先ず関税の撤廃ないしそれへの接近を意味するから、日本の「米」輸入関税率778%は欧米に比べても突出していることが、他の幾つかの農産物と共に課題であることは。自明である。米国やEUと同様に補助金による保護に転換し(現在の減反奨励金の振り替えを含む)、「米」の輸出を増進するとい農業政策の「Change」に。即刻着手することが上記(1)以下のわが国の立場を貫くための、国際的前提であると考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
APEC、WTO、二階経済産業大臣、輸入関税率、アジア太平洋

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2008年11月25日火曜日

Universities and Graduate Schools for IP Specialists

今次国会審議における大卒、ポスドク(Post Doctor)の就職難と知財人材
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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Sub Site http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ SonyとSekisui Houseに新エネ大賞2008

 いわゆる重要法案の審議と別に、国会の文教科学委員会の審議は活発である。知財立国の成否を内閣知財戦略本部も知財人材の育成に託しており、大学・大学院に対する教育期待も大きいはずだが、国会では内定取消やポスドク就職難に関する発言が主体で、違和感なきを得ない。ビル・ゲーツや宮崎あおいが大学卒を全く問題にしなかったことを考えると、情報技術やコンテンツの創出能力と、大学・大学院との関係は余りないようにも思えるが、この関係はまた別論すべきであろう。

 今次参議院文教科学委員会(2008-11-13)では谷岡郁子委員が、「今オーバードクターも含めて、本当に、大学院を卒業して職の無い人が沢山おります。私どもの大学(SANARI PATENT注:谷岡氏は神戸芸術工科大学卒、中京女子大学学長)空きのポストを一つ募集すれば、二百・三百のドクター所有者が応募してくるような状況でございます」と述べた。先般、NHKのワーキングプア特集番組にも、その例示として、東大大学院海洋工学専攻のポスドクが実名で登場したが、実はこの問題は既に5年ほど前から心配されていたことで、丁度、内閣知財戦略本部の発足と同時点に、三菱総研の報告書に、先端科学研究センター・近藤 隆主任研究員は「オーバーポスドクを考える」と題して次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

(1)  博士課程を修了した35歳以下の就職していない若手研究者をポスドクと呼ぶが、その就職事情が厳しさを増している。
(2)  プスドクの身分は不安定である。厳しい審査を経て国の経済的支援を受けられるのは、プスドク志願者の14%程度である。支援期間は3年に限られ、再度支援を受けることは原則としてできない。支援期間を満了した3000人を超えるプスドクが毎年、職を求めている。
(3)  博士終了者に対する民間需要はもともと小さく、景気後退と、専門を極めたプスドクという要素が重なり、企業に進路を求め難い。大学・国研等の定員も頭打ちである。

上記委員会で木俣佳丈委員は、毎年3000人という法曹合格計画が未だ2000人であること、木俣氏母校の一橋大学の法科大学院が、定員違反で、他の3校と共に不適合とされたことの不当性を質した。

内定取消問題については、同委員の質疑に対して、次のように応答された。
(1)  内定取消を行おうとする場合は、予めハローワークまたは学校長に通知を要することとしている。
(2)  内定取消は解雇同様の扱いであることを、事業者に対して、指針を通じ徹底している。
(3)  内定取消した企業の名前を公表することにはしていない。

SANARI PATENT所見
 「大卒後の就職できない者が大学院に進む」という、質疑中発言もあったが、知財人材の質量需要と教育計画の整合について、内閣知財戦略本部の検討が望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Graduate School、Post Doctor、プスドク、内定取消、内閣知財戦略本部

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2008年11月24日月曜日

Useful Discussions in Current Diet

今次国会経済産業委員会の有益な議論
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 政局・政策択一論がマスコミを賑わし、地道な具体策の国会論議が詳報されない時勢であるが、両院の経済産業委員会では、知財人材育成の基礎である学卒採用内定の取消問題、2兆円定額交付金見合いの金額をメタンハイドレート実用化に投入することの妥当性など、知財に直結する質疑応答も活発なので、ここにその若干を備忘する(SANARI PATENT要約)。

1. 中小企業の定義範囲の税制・産業政策間相違(2008-11-13参)
1-1 質疑: 中小企業基本法で、製造業は資本金3億円まで含まれるが、税法では1億円までである。3億円にできないか。減税額は約1兆円である。
1-2 応答: 税制の公平性・執行の簡便性といった税制独自の観点から定められている。しかし、緊急融資の対応だけで足りるとは思っていない。ご指摘の税制についても今後の課題として取組む。
2 「ものづくり」より「金融主役」の風潮(同上)
2-1 質疑: 金融は産業を支える脇役であって、主役ではないと思っていたが、最近は金融が主役になってしまい、その金融の失敗が大きな影響を与えたと考えられている。モノを作って稼ぐよりカネでカネを儲ける方が早いという風潮になった。就職できない若者がインターネットで株価トレンドのみ見て過ごすというような有様を、どう見るか。
2-2 応答:  金融には、企業の成長段階に応じた設備資金、運転資金の供給という使命がある。そして、リスクマネー供給を通じたイノベーションや事業再生・再編の促進も重要な機能である。その道を外れていると思われかねない状況が、国内外に生じていることは事実である。今日、その破綻が実体経済に大きな影響を与えている現状であるから、我々は、この金融をモノづくりやサービス産業といった実体を伴った産業も発展に有効に活用し、力強い経済成長の実現に重点を置くべきである。ベンチャーファンドとか事業再生ファンドとかいう面にも十分力を注ぎながら、現状をいかに回復させるかが課題である。
3 ニート、フリーター、内定、取消(2008-11-14衆)
3-1 質疑: 人材育成が必要だが、大卒、高卒とも、内定取消の事例が著増している。非正規雇用やワーキングプアの問題を含めて、さらには終身雇用的な雇用について、産業所管の立場で、どう考えるか。
3-2 応答: 内定取消については、法律でどうこうという以前に、関係方面とよく連携して、このようなことをできるだけ抑制してもらいたいという考えを伝える。終身雇用を支持する方々も増えており、長期的展望に立って人材の質を高める支援を検討する。

SANARI PATENT所見
 上記は両院経済産業委員会における応答の一例に過ぎないが、本質的、構造的問題について検討する場が活動していない。経済産業省の産業構造審議会も、分科会やそのまたワーキンググル-プの間歇的開催が見られるが、総会の総合会議が何を考えるのか分からない。内閣全体として、総合を名乗る機構が続出したので、互いに動き難いのであろう。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
金融、内定取消、ものづくり、税制、中小企業

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2008年11月23日日曜日

Google Street View Discussed by Diet 

GoogleのStreet View、その諸国状況について衆議院総務委員会(2008-11-13)の議事状況
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 GoogleのStreet Viewを活用することは、全世界の常識だが、「(GoogleのStreet Viewを)自分では見たことはございません」という電気通信所管・総務大臣が答弁している議事録を(SANARI PATENT要約)を先ず見る。

1. 総務大臣の感想
1-1 質疑: 自民党の松本文明ですが、インターネットの検索エンジン、GoogleのStreet Viewというサービスを見たことがあれば、感想はどうか。
1-2 応答: 自分で見たことはない。ただ、人から、友人から、「あなたの家の周辺を見たよ」ということを聞いたことがあるのと、私の事務所の人達が、何か多分Google・Street Viewと思われるものを見ているのを、覗いたことがあるぐらいです。
2. Street Viewで素晴らしい風景
2-1 質疑: GoogleのStreet Viewは、車の屋根にポールを立てて、約2メータ-50センチの位置に360度写るパノラマ特殊カメラを取り付けて道路を走り、風景を上下左右、全部撮影している。従って、鳩山大臣自宅の住所を入力すると、そこにカメラが届いて、家から何から全部写る。通りをずっと見ることができる。要するに、住宅地図を立体化して現実そのままという形で見ることができるサービスである。
 従って、いながらにして観光地の素晴らしい風景を見たり、友人の様子を見たり、楽しいものである。一方、税務署が課税物件を見る、都市計画当局が現況を見るなどに役立ち、非常に有意義な面がある。しかし、犯罪者にとっても、大変すばらしいツールと思うが、警察庁の見識はどうか。
2-2 応答: Street Viewに対しては、地図の利便性向上を歓迎する声の一方で、プライバシー保護や防犯の観点からの問題提起を聞いている。
 このような新サービスについては、今後どのように利用されてゆくか、防犯上の問題の有無を含めて見てゆきたい。

3. 映像の範囲
3-1 質疑: 3メートル以上の高さの塀以外だったら、庭先まで全部写る。例えば、ラブホテル街のカプルが出入するところ、外で男性が立小便している下半身、洗濯物など一目瞭然である。夏、ステテコ姿が世界中に発信される、この国のプライバシーの考え方は、どうなっているのか。
3-2 Googleは、人の顔やナンバープレートを解析し、自動的にぼかしを入れる技術・システムを導入している。ぼかし漏れの事例もあり、申し出の応じて削除している。
 プライバシー権は幅の広い概念であるから、国民各界各層の充分な議論が必要だが、総務省としてもインターネット上の情報流通を所管する立場から、Google等からヒアリングするなど、注視してゆく。

4. 国別の対応
4-1 質疑: フランスでは地域限定であり、カナダではサービスが停止されて、ストレートにサービスしているのは、日米のみのようである。米国では道路が広いが日本ではどうか。
4-2 応答: 米国では今年5月、日本とオーストライアでは今年8月から、GoogleのStreet Viewが始まった。
 フランスについては、ツール・ド・フランスノコースルートに限定してサービスを開始し、今年10月から全国5都市に範囲を拡大している。

SANARI PATENT所見
 鳩山総務大臣は「科学技術の光と影」を常に意識すると答えたが、GoogleStreet Viewなどの「光」の認識が、国政従事者にどの程度、認識・体験されているか、疑問である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Google、Street View、鳩山総務大臣、プライバシー  

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2008年11月22日土曜日

Valuation Loss From Derivative Transactions

Potential Valuation Loss From Derivative Transactions Announced by Saizeriya Co. サイゼリア(東証1部)がデリバティブ評価損発生見込みを発表(2008-11-21)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 イタリア料理のサイゼリアが「デリバティブ評価損発生見込みに関するお知らせ」(英文「Notice on Potential Valuation Loss from Derivative Transactions」)を発表し(008-11-21)、NHK等でも放映されて、世界通貨危機の浸透を印象づけた。

 サイゼリアの発表内容(SANARI PATENT要約)は、
(1)  サイゼリア単独において(SANARI PATENT注:「連結決算でなく」に意と解する)、平成20年11月末の為替レートが、未曾有の金融危機に起因する為替相場の変動により、平成20年8月末(SANARI PATENT注:サイゼリアの決算期日)に比べて、大幅な円高となる予想から、営業外費用として、デリバティブ契約から多額のデリバティブ評価損が発生する見込みであることが判明した。
(2)  この評価損の見込み額は約140億円である。この金額は直近の為替レートによる概算で、平成21年8月期の第一四半期末(2008-11-30)とは異なるが、確定次第ただちに開示する。
(3)  サイゼリアのデリバティブ契約先はBNP PARIBAS Securities(Japan) Limitedで、主なデリバティブ契約は、
(3-1) FX Reference Type AUD Currency Coupon Swap
  (Amount of potential valuation loss: 7.13 billion yen)Estimated rate @65.00)
Agreed date: 2007-10-22
Middle rate as of the last date of agreed month =JPY105.83/AUD
Agreed amount in Australian Dollars: AUD 1,000,000
(3-2) FX Reference Type AUD Currency Coupon Swap
  (Amount of potential valuation loss: 5.02 billion yen)Estimated rate @65.00)
Agreed date: 2008-2-7
Middle rate as of the last date of agreed month =JPY98.93/AUD
Agreed amount in Australian Dollars: AUD 1,000,000

SANARI PATENT所見
  サイゼリアは、低価格のイタリア料理店として一部食材は豪州で生産する一方、香港に子会社を設立し、上海・広州の出店を積極的に増加するなど、また、郊外から都心やショッピングセンターへの指向、食材の絞り込み等に創意を発揮し、2007-9~2008-8期連結売上高849億4900万円に達し、対前年度2.5%の増を示した。純利益40億1100万円であるから、今次デリバティブ評価損が2008-9~2009-8期に重要な影響を来す惧れがあるとして発表したものと解する。契約時点ではむしろ為替利益を十分に取得し得る契約条件と見られたが、現時点では、想定外の円高影響が危惧される状況を呈している。
 ビジネスモデルの優良が、想定外の世界為替変動によって相殺の可能性を示した例とも言えるが、為替利得はリスクなくしては得られないこと、他の事業要素と同様で、サイゼリアの真摯な経営努力に先ず、敬意を表する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Derivative、豪州ドル、サイゼリア、デリバティブ、イタリア料理

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2008年11月21日金曜日

METI Symposium For Patent Problem in Standardization

 経済産業省が「標準化戦略と知的財産権国際シンポジウム」を来月9日に開催(経団連会館)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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  「標準化活動におけるパテントポリシー、パテントプールの役割とホールドアップ問題への対応」と題する標記国際シンポジウムを 経済産業省が開催する(2008-11-20発表)。その目的は、「わが国の産業競争力に資する戦略的な国際標準化を進めるため、標準化と知的財産の取扱について、特にパテントポリシー、パテントプールの役割とホールドアップ問題への対応を考える機会を提供すること」である。

 経済産業省は今次発表において、用語の説明を付し、「パテントポリシー」は、「特許を包含する標準を作成する場合の考え方・手順」であるとしている。これは、このシンポジウムでは、そのように定めるということで、例えばITU(国際電気通信連合)のパテントポリシーや日本製薬工業会のパテントポリシーは、既に明文化された内容で制定されている。わが国ないしわが国の企業が、「戦略的」に考えるには、これら既存のパテントポリシーを前提として、世界市場における製品シェアを高め、事実上の標準化を達成することが前提であると、SANARI PATENTは予てから力説してきた。
 また、「パテントプール」は「複数の特許を複数の者が容易に利用できるようにするための合意」であるとしているが、パテントプールは公取規制が入り易い仕組みであり、わが国電子機器業界が外国企業を含めて展開している「包括的クロスライセンス契約」による企業グル-プのデファクト(事実上)国際標準化の実現が、標準化戦略の基盤であることも、SANARI PATENTが予てから力説してきた。
 さらに「ホールドアップ」は、「標準の作成後に、その標準の中に存在する自らの知的財産を理由に、困難な要求をする行為」であるとしているが、デファクト標準をベースにして国際標準化を進めれば、ホールドアップの問題は事実上発生する余地がないことも、SANARI PATENTが予てから指摘してきた。

 そこで翻って経済産業省の発表内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 今次シンポジウムの目的: イノベーションの推進における市場化ツールの一つとして「標準」が重要になっているが、先端技術分野では特許権などの知的財産権を含む標準の作成が不可避となりつつある。他法、標準化と知財をめぐっては、権利者のライセンス拒否による標準化阻止、多数特許の内ほウに伴うロイヤリティの累積を生ずる。これらの問題について認識を共有する。
2. シンポジウムの構成
ESTI(欧州電気通信標準化機構)関係者なども参加する。

SANARI PATENT所見
 平たく言えば、標準化を進める場合に、内包されている特許技術の特許権者が特許使用を拒否したり、高額なライセンス料を要求することへの対応というに尽きる。
 主催官庁としてま先ず、特許法上の裁定実施権規定を発動した事例が無いことへの反省、今後はどうかとの方針を明確にすべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
ESTI、ITU、国際標準化、パテントプール、クロスライセンス

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2008年11月20日木曜日

企業ポイントFirm PointのGuidelineパブコメ

企業ポイントFirm PointのGuidelineパブコメ 「企業ポイントに関する消費者保護の在り方」について経済産業省が意見公募
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 商品・サービスの購入を誘引するポイントの仕組みは、わが国では消費者にあまねく行きわたっているから、「ポイント」を日本語Google検索しても、「活字のポイント」解説のほかは、お馴染みの買物ポイントの、数多い解説が並んでいる。しかし英語版GoogleでPointを検索したのでは、Point of View、Point and Click Games、Point of Saleなどの選択が求められて、わが国内のポイント概念には、直ぐには到達しない。すなわち、ポイントという語は本来は非常に多義である。

 この意味で、経済産業省が「企業ポイント」と名付けたポイントの仕組みは、日本社会の先端的知財(ビジネスモデル)と思われる。その発達普及も急速であるので、経済産業省(担当:商務流通グル-プ流通政策課)は「企業ポイントに関する消費者保護の在り方(Guideline)案」について意見を公募している(2008-11-19発表)(提出期限12008-12-8)。
 先ずGuideline案の内容(SANARI PATENT要約)を見ると、

1. 小売、クレジット、航空、通信等、様々な業種の企業が、販促や顧客囲い込みなどのために企業ポイントを発行し活用している。企業ポイントは、消費者に対して利便性の高いサービスを提供する中で、消費者と企業をつなぐ重要な役割を果たし、新しいビジネスを創出するというイノベーションを起こしつつ、年々発展してきている。
2. 例えば小売業界で導入している企業ポイントは、ポイントカードを使って商品購入した消費者の情報を活用し、顧客層ごとの売れ筋商品分析などのマーケティングへの活用に加えて、リコール対象製品を購入した顧客への商品回収連絡など多様な用途にも活用している。
3. ポイントの授受・活用の仕組みを「ポイントプログラム」と呼ぶが、ポイントプログラムには多様な名称や、会員加入の態様がある。
4. ポイントプログラムに加入する消費者は、保有ポイントの利用価値が減少しないことや、ポイントカードを紛失した際に再発行されることなど、保護についての期待を持っている。
5. ポイントプログラムごとに異なる「ポイント発行企業の認識」と「消費者の期待」との間にズレが生じて問題になる場合がある。このズレを無くすために、消費者に対して分かり易い表示や説明の対応に取組むべきである。
6. ポイント交換(SANARI PATENT考察: この見出しでは、「消費者がポイント発行企業において「ポイントと商品」を交換する場合のように誤解するおそれがあるから、「A発行企業のポイントとB企業発行企業のポイントとの交換」と分かり易く示す方が良い」に係る配慮として、ポイント交換は様々なポイントとプログラムを結びつけ、消費者と発行企業との関係を複雑化するから、消費者トラブル防止のため、発行企業は、ポイント交換の相手方の発行企業が健全な財務基盤を持っているかどうか、消費者保護のための適切な適正な措置をとっているか、吟味すべきである(SANARI PATENT考察: 例えばビックカメラがJRのSuicaと結び付いているように、むしろ、著名企業ブランドの相乗効果を持つ積極的ポイント交換システムが多いと考える)。

SANARI PATENT所見
 上記のほか経済産業省は、ポイントプログラムの類型別(家電量販店・スーパー・コンビニなどの大手小売業者、航空運送事業者、ポータル・電子商取引系ポイント事業者クレジットカード事業者、交換系ポイント事業者、共通ポイント事業者、ケータイ事業者)に、表示や説明の留意事項等を示しているが、上掲の大手小売業者として、百貨店のポイントプログラムも、百貨店のリストラ・再編。競争激化の情勢に伴い、「会員カード」の多機能化と共に、ポイント・カード連携が百貨店統合と共に利便化を高めていることを、SANARI PATENTは評価する。
例えば、今月10日から機能開始した新伊勢丹カードとポイントプログラムの融合など。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Firm Point、ポイントプログラム、伊勢丹カード、ビックカメラ、Suica

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2008年11月19日水曜日

Introduction of Public Fund to UAS Auto Industry

米国自動車ビッグ3に公的資金導入の一般説得性など国際経済動向に関する二階経済産業大臣応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://sanaripat.exblog.jp オープンイノベーション関係意見公募
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 「はてな」を「はてな」する

 自動車産業の裾野は知財開発についても巨大だが、その経営危機に対して公的資金、要するに税金を投入することには、賛否対立が当然予想される。米国のビッグ3自動車企業に対して次期米国大統領は公的資金導入に積極的であるが、昨日の記者会見(2008-11-19)で、二階経済産業大臣はこの問題を含め次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

1. 米国自動車問題
1-1-1 質疑: 米国の自動車ビッグ3対策について所見はどうか。
1-1-2 応答: 日本は前回バブル崩壊の際、打てる手は幅広く迅速に打って、乗り越えたという自負を持っているが、米国自動車ビッグ3の問題は、米国自身が決めるべきことであるから、われわれの側からとやかく言うべきことではない。米国の判断課題である。しかし、今日の混乱の世界に、このような状況で、途上国を含めてアジア全体にも影響を及ぼしており、日本自身も緊急の対応として30兆円もの枠を用意して倒産防止に全力を挙げているが、元はと言えば米国の金融システムの失敗に起因しているから、米国自身が速く立ち直るために、あらゆる手を打つことを米国が判断し実行することを期待する。
1-2-1 質疑: 自動車の是非についての所見はどうか。
1-2-2 応答: われわれがそういうことを行ってきた経験があるから、それを米国にも十分、伝えている。米国もこれを含めて判断することが大事だと、私は考える。
1-3-1 質疑: 米国内で公的資金導入の世論が高まっているが、日本でも、公的資金導入による企業救済の動きが高まるか。
1-3-2 応答: これ以上重要な事態が発生した場合にはまた、それなりの対応を考えなければならないが、いまから公的資金導入というような状況には、現在まだ至っていないと考える(SANARI PATENT考察: どのような状況が「そのような状況」であるのか、「自動車」の態様は対象業種や企業規模において、どのように在ることが妥当であるのか、これらは国情・現実発生の事態において個別に考えるべきであるという含意と解し、二階経済産業大臣の応答を適切と考える)。
1-4-1 質疑: 自由市場主義経済から、国主導の方向に動くと考えるか。
1-4-2 応答: 危機的な今日の状況を、緊急避難する建前・立場から、諸般の対策は必要だが、グローバルに自由主義経済を中心として展開してきたのであって、これを理想として追求してきたのであるから、戻ることはあり得ない(SANARI PATENT考察:基本理念と緊急対策を明確に区別する応答で、極めて適切と考える)。

2. 第二次補正予算
2-1 質疑: 進め方について所見はどうか。
2-2 応答: できるだけ早い成立を期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
自動車、公的資金導入、自由市場主義、二階経済産業大臣

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2008年11月18日火曜日

Utilizing Administrative Technicians

公務員経験者の「行政知財専門家」としての活用
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 今次金融危機は、従来型の知財立国ではなく、「知財」に国際金融知財や為替変動知財を含めた高度な専門的知財を含めた「総合知財立国」であることの重要性を示したと、SANARI PATENTは考える。
 いわゆる「官僚」も、行政技術に関する知財専門家として、天下りでない活用を図ることが「総合知財立国」に適する。

 政府が昨日(2008-11-17)、経済産業省出身の元経済産業審議官・豊田正和氏を内閣官房参与に任命し(後記経済産業事務次官説明では、現経済産業省顧問を)総理特使(SANARI PATENT注:使者)としてアジア諸国に派遣、金融危機対策行政における国際協力を図ることは、上記の意味でも極めて適切である。元経済産業審議官という元公務員は、JETRO理事長といった特別行政法人や大企業に転職することが通例で、いわゆる一般の「官僚天下り」と同一視されてきたからである。

 今次、豊田氏の起用について望月経済産業事務次官は、記者会見(2008-11-17)で次のように説明(SANARI PATENT要約)した。

(1)  現下の国際金融危機のもとで、米国・欧州の景気後退(SANARI PATENT注:日本も含むはず)が深刻化しているが、世界経済を下支えするために、世界に」開かれた形でのアジアの成長力拡大と内需拡大に向けて、各国で如何なる協調体制がとれるかが課題である。
(2)  今次任命は、アジア諸国が経済成長を図るために、わが国の支援を含むアジアの経済成長・開発に関する検討を行い、総理に情報提供・助言することである。
(3)  (今週のAPECとの関係についての質疑に対して)APEC自体はもちろん、世界全体の経済の下支えのため、アジアの成長力拡大・内需拡大が一つの鍵という認識に基づいて、今次APECのみならず、今後の世界経済運営に関する情報をも得るものと考える。

なお、わが国GDP2期連続マイナス成長についての質疑に対して、同次官は次のように応答(SANARI PATENT要約)した。
「マイナスの幅は若干小さくなっているが、2期連続のマイナスで、欧州・米国も同様であるが、景気が大変弱まっているという認識と、このトレンドから、更に下振れ懸念もあるかと、心配している。世界協調で底割れ抑止が必要である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
総理特使、APEC、金融危機、GDP、経済産業審議官

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2008年11月17日月曜日

Industry Summit vs. Money and Banking Summit

 金融サミットと共に産業サミットが必要: 金融危機対策が産業危機対策とならないことへの危惧
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 今次金融サミットの成果について、10ページにわたり20国合意内容を明示した宣言を採択し得たことを評価すると共に、実体経済の回復・成長に直結する具体性・現実性を欠くことについて、危惧する意見がグローバルに大勢を占めたとSANARI PATENTは考える。
 すなわち、端的に言えば、経済産業省が立案し閣議決定(2008-9-19)した「新経済成長戦略」の20国版こそ緊要と考える。ただし、このわが国戦略には、金融システムの機能について、産業経済との連関を指摘する記述を欠いている。この重大な欠陥を補って、産業サミットの宣言に至るイニシアティブをわが国が執るべきである。
 今次金融サミットにおいても、協議の枠組みとして20国の枠組みの適切が確認されたが、その根拠は世界GDPに占める比率がG7(日米独英仏伊加)55.5%、BRICs12.9%を含めて7割を超え、国際金融システムの在り方を決定するための必要・十分条件を満たすものである以上に、GDPが引用されることから明白なように、産業(生産)の回復・成長に関する20国協調の必要・不可欠性が認識されたから、または認識されるべきであるからと、SANARI PATENTは考える。その際、イノベーションに直結する知的財産開発の国際協力について、世界特許庁的構想をも宣言内容に織り込むことが重要である。

 ここでは先ず、Reuter配信(2008-11-16:15-16)の今次宣言内容(SANARI PATENT要約)を見る。

(1)  金融サミット後、各国首脳はいずれも、その成果を強調したが、市場では、課題解決に向けた即効性を疑問とする意見も多い。
(2)  今次サミットは、世界経済の成長回復や世界の金融システム改革への協調を合意すると共に、必要なあらゆる追加的措置の実施を盛り込んだ宣言を採択した。
(3)  すなわち、内需刺激のための財政政策の活用のほか、金融機能に対する監督・規制の国際連携強化や、国際通貨基金・世界銀行など国際金融機関の機能強化を含めた金融市場改革の原則を確認し、実行の工程を明示した行動計画を示した。
(4)  現在の金融危機の原因については、「この10年弱の世界経済の高い成長資本フローの伸び、および、長期にわたる安定期中に、市場参加者はリスクの適正評価なしに高利回りを求め、適切なDue Diligenceを怠っていた、と分析し、いくつかの先進国では、政策・規制当局がリスクを適切に評価せず、金融の技術革新についてゆけなかったという問題を指摘している。

SANARI PATENT所見
 金融サミットと共に産業サミットが必須であることは冒頭に述べてたが、上記(4)の「金融の技術革新」は、金融の諸形態を開発する新たなビジネス方法の知的財産により構築され、先端ITのグローバルな適用を意味し、知財専門家の領域でもあることを銘記したい。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
金融サミット、産業サミット、G7、BRICs、金融危機

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2008年11月16日日曜日

Google Ad.と4Mass Media Ad.

日本テレビ、テレビ東京の赤字と、電通、博報堂の減収減益、グーグルの増益
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 不況で広告発信が低迷し、民放キー局の本年9月中間連結決算で、フジ、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京ともに純損益が損失を示しているが、特に日本テレビとテレビ東京の純損失は30数年ぶりとして注目されている。自動車のみならず飲料や化粧品に至るまで、CM、特にスポットCMの不振が著しいという。
 電通、博報堂の同上期中間連結決算も減収減益を報告したが、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4マス総体について、両社とも数%の売上高減を示している。

 幼年から壮年に至るまで、ケータイないしはPCインターネットに生活時間の多くを傾注し、特にデジタルネイティブにおいてはテレビ時間が圧縮されているようであるが、収入源を広告によるネット事業者の代表格としてグーグルの場合はどうか。

 10年ほど前(1998-9-7)に創業したグーグルの年間売上高は2007年に140億ドルを超え、2008年には160億ドル超と推測されづが、その97%が広告収入であり、PCユーチューブやケータイにおけるグーグル利用の拡大がそのまま広告拡販に反映している。この拡販起動の要素を列挙して見る。

(1)  ユーチューブやダブルクリックを買収して、動画による広告をグローバルに展開している。
(2)  検索ツールを次々に多様化し(地図のマッシュアップやGoogle Trendsの日本版など)、検索連動広告(キーワード広告・位置情報連動広告)を活発にしている。
(3)  グーグル・アドワーズの仕組みが、広告のオンライン申込を簡易・軽費(最低申込金額の低位)にしている。
(4)  グーグルアドセンスにより、コンテンツ連動広告を拡販している。
(5)  グーグルバナー広告をリッチメディア広告として開発し、静止画像と文字のバナーを動画化かつ双方向化している。
(6)  グーグルのコンセプトの一つ「世界のあらゆる情報を整理する」ため、グーグル・ブック検索(図書館デジタル化プロジェクト)をサービス開始し、ブック内容関連の広告基盤を創っている(SANARI PATENT考察: 米国の公共・大学図書館から始めているが、著作権関係が円滑であるのは、米国著作権法第107条のFair Use規定によるとSANARI PATENTは考える。わが国では同様規定の導入可否の論議が果てしなく続いている)。

SANARI PATENT所見
 先ず、従来4マスメディアとの連携をグーグルが今後どのように進めるかに注目する。メディア・レップとも略称されるが、テレビや新聞とのクロスメディア広告展開の機能を、有利に構築することが課題である。 
 次に、日本、中国、韓国におけるヤフーや百度(中国)に対するグーグルシェア順位の向上が課題である。
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Google Trends、グーグル、広告、テレビ、百度

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2008年11月15日土曜日

Google Trendsがe-money速報 

グーグルトレンドの10位に「電子マネー」が犯人として登場(2008-11-14:20-52現在)
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 社会的関心事の常時把握には、グーグルトレンドが最高と、SANARI PATENTは考えている。今、標記の時点では第10位に「電子マネー」が登場し、ニュース記事としては、「ITpro 59分前」で「続報:イーバンク銀の不正ログイン、犯人は電子マネー」が、次のように述べてられている(SANARI PATENT要約)。

(1)  ネット銀行イーバンクのサービスに対して不正なログインがあった問題で、犯人がユーザーの口座を利用し、電子マネーを購入するなどしたことが分かった。身元を割れにくくする目的と見られる。
(2)  犯人は不正にログインした上で、イーバンク銀の口座から直接購入できる電子マネーサービスに送金し、その電子マネーでインターネットのオンラインゲームのアイテムを購入し、さらにそのアイテムを換金していた。

グーグルトレンドには早速ブログも併載しているが、「手が込んでいるけれど面倒な割に、途中で手数料やらがかかるから無駄に関するなるし(SANARI PATENT注:この犯人は140万円を得たので、手数料は問題外だったのではないか)、匿名化になっていないように見えるので、賢くない方法のような気がする。賢い方法で匿名換金されると困るけれども。」等である。

 上記は日本版で、米国版のグーグルトレンド(2008-11-14:20-47)10位は「Alcohol can be a gas」という安全記事で、Signal USAの記事(2時間前)と早速投稿されたブログが並べられている。

 グーグルトレンドの有用性については、afiri.comが次のように述べている((SANARI PATENT要約)。

(1)  グーグルは2008-10-28に、「グーグルトレンド」の日本語サイトを開設した。グーグルトレンドとは、世界のグーグルサイトで検索されたキーワードの傾向を調査できるもので、あるキーワードがどれだけ検索されたか、件数の推移ヲグラフ出確認できることが特徴である。
(2)  独自の稼げるキ-ワードも、グーグルトレンドのようなツールを巧みに使う努力が必要である。

SANARI PATENT所見
 Search Economy とSearch Engine Marketingとは表裏一体をなしている。Search Engine Optimization によって、検索結果の表示順の上位に自己のサイトが表示される工夫も様々になされる時代になる。
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Google Trends、グーグルトレンド、電子マネー、グーグル

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2008年11月14日金曜日

国際国内の諸Cartel事件発生

望月経済産業事務次官が旭硝子、シャープ、日新製鋼関連など諸問題について記者会見応答(2008-11-13)
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1.内外のカルテル問題
1-1 質疑: 昨夜(2008-11-12)から今朝にかけて、EUの方で自動車ガラスのカルテルということで、旭ガラスが制裁金の支払いの対象になり、米国の方では液晶パネルで、シャープが制裁金の支払いに同意する。今週は、亜鉛メッキの鋼板をめぐって、公取が国内3社を刑事告発ということで、このようなカルテルがらみの問題が大手企業において相次いでいる事態について、経済産業省はどう対処するか。
1-2 応答: 指摘された案件は、それぞれの事情が異なり、一概に詳細一律に評価することは難しい。勿論、これらの企業に独禁法違反があったとすれば、誠に遺憾と思う(SANARI PATENT考察:「違反があったとすれば」と表現しているが、シャープは1億2000万ドルの罰金支払いに同意した)と報道されているので、もう少し事実を把握した応答が望まれる)。
 各企業が法令を順守して、再発防止に万全を期することは不可欠の基本である。事象によっては、詳細を確認しないと、それがどういう程度のものであるのか、現時点でコメントするのは早い。

2.EUでのカルテル案件
2-1 質疑: この中ではEUの案件については、これからということと思うが、逆に日本の当局から見て、このEUの判断の是非もこれからか。
2-2 応答: 私どもも、それなりにどういう事情なのか、海外でも国外でも所管業界で起こっている案件については、関心をもってきちっと評価したいと思っている。特に、欧州におけるガラスの件については、決定書の内容をこれから良く確認・精査して、精査した上で企業側も対応するといっているので、それを注視し、適正な対応を促す。

3.価格130円の評価
3-1 質疑: ガソリン価格が130円台に入ったが、大体正常値に戻ったと認識するか。
3-2 応答: 価格について正常か異常かというのは、私どもが評価するのは、あまりいいことではないと思っている。ただし、原油価格について言えば、エネルギー白書に述べてたように、50ドルを超えるような部分というのはプレミアムだ、実需に基づかない価格だと言ってきたことから思えば、現時点で推移している原油価格は、それなりに想定された実需の市場で物事が決定されているというようには、評価できると思う。それを反映したガソリン価格になっていると思う。従って、引続き冷静な姿で、このような市場形成が行われ続けることを大いに期待し、そのための環境整備をしてゆく。

SANARI PATENT所見
 シャープ、LG(韓国)、中華映管(中国)の、中小型液晶パネルの世界市場シェアは、3社計で27%であるが、東芝松下、サムスン、友達光電、日立、統宝光電気、ソニーを合算すると、約75%を日中韓企業が占めている。世界企業別にはシャープが首位だが、米国司法省の罰金決定も同社年間利益の2割程度のようである。シェアには全く比例しない決定がなされている。その事情も精細に検討すべきである。
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シャープ、カルテル、液晶、ガソリン価格

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2008年11月13日木曜日

Born Digitals or Digital Natives vs. Digital Longevities

Born Digitals or Digital Natives vs. Digital Longevities 新ネットビジネス対象はデジタルネイティブよりデジタル長寿者こそ有望
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 NHKスペシャル(2008-11-11)の「デジタルネイティブ」は、グローバルに周到な取材を重ねつつ、予てから放映予告と要注目を強調してきた番組だけに、現時点のデジタルネイティブがどのような頭脳と行動態様の持ち主か、それが成年に達して社会の中核となったとき(局部的社会活動は現に実行しているのだが)、どのような変革をグローバルに及ぼしてゆくのか、想定の契機を多彩に提供する内容であった。

 JPO(日本特許庁)は現在、仮想世界特許庁(Virtual World Patent Office)構想で知的財産に対する権利付与の国際体制に変革をもたらそうとしているが、特許に限らず、仮想と現実(NHKでは「現実とネット」)の区別はデジタルネイティブにおいて存在せず、「デジタルとアナログは融合している」と観察された。

 デジタル画とゲームに幼年から親しんだ15歳の米国少年は、作品をネット展示してデザイン家をグローバルに募集し、教育的でもあるゲームカード(化学合成ゲームなど)を新案してネット販売し、事業化しているが、NHKがデジタルネイティブの一つの特徴とする「情報は無料」という考え方も、「無料でネット公開した自作デジタル画が、高額な収入(会社設立後、約1000万円)の由来になっていることは、十分理解している。丁度、グーグルの検索は無料で巨大な情報を提供するが、それが16兆円市場(Weekly Toyo Keizai 2008-9-27)の基盤になっているのと同様である。ちなみに、同少年に応募したデザイン家(同少年発想のキャラクター別ニアルゼンチン、インドなど数国のデザイン家を起用)も、デザイン家達の共同サイト(世界中5万人の同業者が参加)で作品を展示し、顧客を募集しているので、顧客とする対象はグローバルであり、製品の納入もネット上であり、人材銀行等の職業紹介より遥かに軽費・軽労だから、デジタルネイティブはこのようなネット操作で、適職を得てゆくと思われる。

 ウガンダのデジタルネイティブは、SNS(Social Network Service)のシステムを操作して、エイズ救済運動を全世界のデジタルネイティブに及ぼし、その多数が国際エイズ会議に出席資格を得て、ネット友人を現実友人とした。

 このサイトのSub Siteである「はてな」http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ のプロバイダ「はてな」も、日本のデジタルネイティブが創業・運営しているとしてNHKが詳細に紹介したが、「日本のグーグル」と呼んだのは時期尚早であろう。ユニークな発想を持っていることは事実だが。

 一方、自分の裸体をネットで流通販売して、多額のネット振込収入を得た現在16歳の米国少年が説諭された例もあるようである(わが国でe-Mule利用の児童ポルノファイル交換が昨日摘発されたのに比べれば、前途有能の可能性)。

 数多く紹介された世界各地のデジタルネイティブの発言(SANARI PATENT要約)は、例えば、
(1)  私はベルギーに住んでいますが、米国のデジタルネイティブとネット付き合い2年目で米国の新しい言葉とフランス語を互いにマスターしました。
(2)  ネット上のワイン試飲会を提案して多数のデジタルネイティブが参加しました。
(3)  私が関わっていた小さなネット会社が1億円で買収されました。
(4)  私の会社ではボーンデジタルと呼ばれています。
(5)  年少でも、ネットで世界に影響を与えます。

SANARI PATENT所見
 デジタルネイティブは現に社会活動をしているが、成年に達して更にネット活動の自由を得た時点で、現在のネットビジネスや、ネットビジネスの拡大によって圧縮あれる業界はどのように対処すべきであろうか。デジタルネイティブ世代のネット普及率は100%だが、デジタル長寿者のネット普及率は2割程度の現状と考えるから、ネット購入やネット交際が最も必要な高齢者のデジタル長寿者化を営業標的とすることが一案であろう。
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Born Digital、NHK、デジタルネイティブ、デジタル長寿者、グーグル

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2008年11月12日水曜日

:Solar Power Generationの国際標準

太陽光発電導入拡大のアクションプランを経済産業省、国土交通省、環境庁、文部科学省の連携で推進:Solar Power Generationの国際標準
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 太陽光発電は既に世界中で活発化しているから、今更、経済産業省が「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」を発表(2008-11-11)することを不審に感ずる向きも多いのではないか。しかしとにかくその内容(SANARI PATENT要約)を見る。

1.太陽光発電に関する累次の政府決定を踏まえて、具体的措置明確化のためアクションプランをまとめた。
2.この太陽光発電は、民間事業者や自治体の取組を促すと共に、関係省と密接に連携して、太陽光発電導入拡大の具体化を支援に取組むことである。また、新規産業や雇用の創出などにより、わが国経済を活気づけ、太陽光の新しい時代を切り開くためのアクションプランでもある。
3.今回公表するアクションプランは第一歩であり、今後、具体的導入案件を連携して発掘し太陽光新時代を展開する。
4.具体的には、低価格・高性能の太陽光発電システムの提供という供給サイドの取組と、家庭・企業・公共施設を始めとする各分野における太陽光発電システム導入という需要サイドの取組が、互いに相乗効果を発揮しながら進展することを通じた導入量の拡大、機器システムの価格低下、市場の拡大を促す(SANARI PATENT考察:企業は太陽光発電について自主判断するであろうが、民間は太陽光発電の設置および運用コストの対受電比較を知らず、ましてやその対比や技術革新がどう推移するのか分からない。先行協力民間が損をしたと思わないよう、万全の配慮を望む。もちろん、今後、原油価格の低位安定があれば、電力会社に料金引下げを促すことも当然で、太陽光発電促進とそれとが併行すべきである)。
5.供給サイドの取組として、大容量の電力が必要な公的施設向けの太陽光発電を含め、材料・素材・モジュール等の技術開発を着実に実施し、機器システムの低コスト化、発電効率向上、設置コストの低減(機器システムの軽量化、設置の簡易化)を推進する。
6.太陽光発電と併せた蓄電池技術開発を推進する。
7.新たなビジネスモデルを展開する。
8.太陽光発電メーカーと住宅メーカーが連携して、デザイン性、耐久性を備えたパネルを普及する(SANARI PATENT考察:若干の資金助成をしている地方公共団体もあるようだが、電力会社の電力料金積算と太陽光発電設備の更新時期を十分に勘案する説明がなされること、遅れて設置する住宅に比べて「早くして損した」でない配慮を要する)。
9.中東。アジア・太平洋地域における国際標準化(SANARI PATENT考察:欧米における太陽光発電関係の生産が極めて活発化しているから、グローバル市場のシェアを拡大しないと、国際標準化は達成できない)。
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Solar Power、太陽光発電、アクションプラン、太陽電池

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2008年11月11日火曜日

伊藤元重教授のテクノロジーショック論

Digital技術革命と金融危機 東京大学大学院・伊藤元重教授のテクノロジーショック論を考察:SANARI PATENT論「Technology ShockがTechnology Innovationに先行」
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 特許庁が「イノベーションのための特許戦略」を掲げたのを始め、日米ともにここ数年来は「イノベーション」が錦の御旗とされてきた。その戦略構築の矢先に世界金融危機が発生したが、その起因を「デジタル革命によるテクノロジーショック」に帰するのが、今や国内外に令名益々高い東京大学大学院・伊藤元重教授の論説(allatanys.jp-net)である。
 SANARI PATENTの見方では、技術革新によるイノベーションの発現に先立って、技術革新によるテクノロジーショックが巨大に発生した、と結び付ける。先ず伊藤元重教授の論説(SANARI PATENT要約)は、

1. 今次世界金融危機は、まさに50年か100年に一度の大変な金融危機である。主要国政府・中央銀行の目先対応が奏効に至らず、巨大金融危機の基本的起因、危機終息に至る長期観測、その後の成長路線を熟考する余裕を持たない。
2. およそ金融の動きは経済実体を反映するものであって、金融自体が過熱を惹起し破綻して実体経済を同然とするのではない。すなわち、50年に1度の規模の金融危機の発生は、50年に1度の規模の実体経済激変に起因する(SANARI PATENT考察: 資金供給態様多様化のためのファンド形成、デリバティブ金融商品の多発、保険機構の非保全性放置、安易な公的融資・保証、民生金融金利制度不備のための住宅サブプライム金融破綻などは、金融機能自体の内部破綻で、金融起因の金融危機)とは言えないと、SANARI PATENTは考える)。
3. 私(伊藤教授)の現在の仮説は、デジタル技術化革命というテクノロジーショックが今次金融危機の背後にあるというものだ。
4. 前世紀最大の金融危機は1929年ウォール街の株暴落から始まったが、実体経済において、自動車等の機械・電気産業の大きなテクノロジーショックで株式市場・金融の膨張が原因である。
5. 今世紀初頭のITバブル崩壊を予測したデータとして、対比的に、1929年に株価は収益に比べて異常に高騰し、異常な株価収益率を示していたが、2000年の数値はこれより更に高く、株式市場が感ずるテクノロジーショックは、デジタル革命の方が自動車革命より大きいということになる(SANARI PATENT考察: 株価の騰落も金融システムの内部変動で、世界金融の激変動が世界株価激変動を来したと、SANARI PATENTは考える)。
6. 将来展望は、別に述べる。
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株価収益率、デジタル技術革命、伊藤元重教授、テクノロジーショック、金融危機

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2008年11月10日月曜日

楽天ビジネスモデルの極めて盛況

ネット総合ビジネスの楽天主要株主異動(6 Nov 2008発表): フィデリティ信託が楽天(三木谷氏が実質的に過半数株主)の10.16%議決権株主に
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 野村証券の解説によれば、フィデリティ信託は世界最大の独立系投資信託運用グル-プで、運用資産総額112兆7458億円(30 Jun 2008)、1969年来、日本で、日本株式の調査・運用業務を続けている。なお、野村証券・東洋経済の会社四季報によれば、この発表前の楽天の株主構成は、株式会社クリムゾングル-プが17.3%、三木谷浩史氏が16.6%、三木谷晴子氏が11.1%であるが、クリムゾングル-プは三木谷浩史氏が最初に立上げ、現社長でもあるから、Yahoo知恵袋は、「実質的には楽天は、上位三木谷3者で54.4%という、発行済株式数の過半数の株を持っていることになる」と解説している。なおフィデリティ信託の従来の比率は8.46%であったから、今次異動による増加は1.7%に過ぎない。

 本年7~9月期楽天業績の説明会(7 Nov 2008)において三木谷社長は、楽天市場(出店数2万5000超)事業、KC事業(カードキャッシングとのシナジー)、トラベル事業(レンタカー・高速ツアーバスも)、証券事業(ネット証券主要5社中、売買代金2位)、インフォシーク・広告事業、パーソナルファイナンス・クレジット事業、プロスポーツ事業(観客動員堅調)、電話事業(フユージョンネットワーク)の8事業分野にわたり状況を、下記のように明確に説明した(SANARI PATENT要約)。楽天「準」経済圏の拡大、クロスユース、全国全分野商品あす楽(きょう楽)、印刷コスト7割減など、楽天らしい発想の事業成果も示された。ネット銀行でもトップ預金残高を得た。

1.不安定な経済環境下でもフレキシビリティある企業集団を構築する。
2.楽天経済圏の基本戦略は、「楽天グル-プ会員のライフタイムバリューの最大化」である。
3.シナジー効果のある事業をグル-プに追加し、バランスのとれた事業ポートフォリオを形成してゆく。
4.イーバンクへの出資比率46.39%とし、代表取締役3名中2名を派遣している。
オフィス終結により「人中心」のコンセプトが対内対外に評価され、2008年度グッドデザイン賞を得た。
5.楽天市場この四半期の営業利益が76億4000万円で、対前年同期比50.2%増である。
6.楽天市場の成長率は対前年同期比27.9%増である。
地産地消や地域特産品の企画が好調である(SANARI PATENT所見:内閣知財戦略本部の地域振興計画に即応)。
7.商品の3分の1以上を送料無料にして、家計を応援している。
8.楽天ツールバー(2 Sept提供開始)により、他社サイト閲覧中も、効率的に楽天市場の商品検索ができるようになった。
8.日本経済が「供給>需要」で、楽天市場へも供給増で「品揃え・価格バリエーション豊富」となり、「良いモノを安く便利に」という消費者ニーズに応え易くなった。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
楽天、フィデリティ信託、クリムゾングル-プ、カードキャッシング

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2008年11月9日日曜日

Culture RemixとObama氏のキムチ好み

Obama氏のキムチ好みとCulture Remix: 日本コンテンツのグローバル発信における純日本性とカルチャー・リミックス性
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Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 中小企業緊急信用保証
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 Obama氏が韓国大統領と電話会談して、「キムチと韓国風焼き肉が一番好きな昼食メニューの一つ」と、親近感をアピールした由であるが(yomiuri.com: 7 Nov 2008)、インドネシア料理も勿論好物で、食文化のカルチャー・リミックスが完璧なObama氏と思われる。
 丁度、伊勢丹の「ISETAN STYLE Nov 2008」が「カルチャー・リミックスを特集しているが、内閣知財戦略本部がコンテンツに含めた日本食文化は、懐石料理等の純日本性を海外発信する着想で、純粋性確保のために「日本料理認定」の仕組みを海外で構築しつつあるようだから、「食文化の差異も、新旧も超えて、今、無限の可能性を秘めたパーティが始まります」という伊勢丹の概念とは距離がある。「カルチャー・リミックスは最初、既に完成されている楽曲の、テンポや音の素材・順序の変更など、様々な加工を加えることで、その曲の新たな魅力を引き出すリミックスを意味したが、今、食の世界でもグローバルなトレンドになりつつあります」と、伊勢丹は解説しているが、「多彩な食文化の良いとこ取りをして、同じテーブル上で創作意欲を刺激し、一つの料理として完成する無現の可能性を与える」と続けている中の、「創作」の語にSANARI PATENTは関心を持つ。

 丁度、野村証券の「資産管理誌」(Oct 2008)の巻頭にも、「カステラは長崎発祥の和菓子」と解説され、ポルトガルやスペインのバサバサした焼き菓子と全く異なる豊潤なカステラを創ったが、更に、中華菓子の桃饅頭とコラボレートして、艶やかな「桃カステラ」を創りあげた。篤姫と家定が賞味したカステラも、国産の創作だったのである。

 ここで知財専門家が連想するのは、Web2.0を構成する重要概念としての「マッシュアップ」であろう。オープンソースの技術を組合せて新たなサービスを創ることを意味し、最近、「良く出来過ぎて」評判のGoogle「グーグル・マップ」「グーグル・アース」も、インターネット上で公開されている情報とマップを組合せて新しいデータベースやサービスを創るマッシュアップと考えられるからである。
 更に知財専門家の検討は、「単なる寄せ集め」(aggregation)は進歩性・非自明性という特許付与要件を欠き、結びつけたところに特別の効果がある結合」(combination)にはこれを認めるという日米共通の特許審査基準を、コンテンツやプログラムにどの程度類推適用し、カルチャー・リミックスやマッシュアップの創造性を保護すべきかに及ぶはずである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Obama氏、韓国大統領、キムチ、カルチャー・リミックス、マッシュアップ、カステラ

2008年11月8日土曜日

Obama氏から麻生総理に来電の内容

Obamaから麻生へ発信の内容等:二階経済産業大臣が記者会見(7 Nov 2008)で説明と応答
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Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 地域金融機関の融資態度報告
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 従来のObama演説の知的財産権関連については、特許庁資料にも搭載されているが、これは別途として、昨日閣議後記者会見における二階経済産業大臣の説明・応答(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. Obamaから麻生へ
 「総理から若干の報告があったが、朝7時(7 Nov 2008)ごろObama氏から麻生総理に電話があり、秘書や報道官等の取り次ぎではなくて、電話を取るといきなりObama氏が出て、大統領選挙勝利の挨拶と共に、今後日本と協力してゆきたいこと、アジアに大きな関心を持っていること、前にはインドネシアに居たこともあること、小浜市のことなどが述べられた。麻生総理からは、Obama氏の非常に洗練された英語の演説に感心したことも述べた。
 いずれにしてもObama氏は、「次期大統領として、これからも色々話し合いたいが、現在はまだ上院銀であるから」、ということで、随分、現職大統領に気を使っていたようである。
 次期大統領として、色々な面でこれから協力する関係でありたいというお話であったようだから、第1ラウンドとしては、大変良かったのではないかと思う。
 当然、今後の米国と日本の通商政策やエネルギー政策、とりわけ環境政策等について、従来と路線がどのように変わるのか、注目されるが、今朝(日本時間)の来電は全くのご挨拶だから、政策内容に触れることはなかったようである。」(SANARI PATENT考察: Obama政策内容に関する経済産業事務次官の応答については上記Sub Site http://sanaripat.exblog.jp/ ご参照)。

2. 中小企業緊急保証制度
「開始後、連休があって4日間であるが、保証協会に11,495件の相談があり、うち751件、150億円分の承諾、貸出が承認された。業種認定段階にある案件も多いので、今後、保証協会への相談申込は相当増えると予想される。業種追加の要望も相当数に達し、積極的に対応する。(SANARI PATENT考察: 金融梗塞のため、優秀な知的財産ぐるみで企業が買収される事例が従来多く見られた。)

3. 主要企業の業績下方修正続発
3-1 質疑: 経済産業大臣の所見はどうか。
3-2 応答: トヨタの発表を始め、予想を上回る下方修正である。それだけ厳しい経済情勢と受け止め、政府として何ができるか、とるべき措置を考える。第一義的には企業が対応することであるが、政府が後押し可能なことを考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Obama、二階経済産業大臣、中小企業、保証協会、トヨタ

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2008年11月7日金曜日

明治ホールディングスのブランド力

乳業と製菓の明治Brand統合: 今月26日明治乳業臨時株主総会資料に見る明治製菓業績の詳細
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://d.hatena.ne.jp/SANARI/  Hedge Fundに対する日米の対応
Sub Site http://sanaripat.exblog.jp  Obama政権の政策影響について経済産業事務次官応答

 先日、明治乳業の臨時株主総会(26 Nov 2008)招集通知が届いた。明治製菓と共に、「共同株式移転による完全親会社設立の件」を議決し、ブランド統合のもとで乳業・製菓の両技術開発効果を相乗し、かつ領域拡大を実現する計画を示している。
 従って、明治乳業の今次株主総会資料には明治製菓の詳細な参考資料が添付されている。

 SANARI PATENTが乳業と製菓の分野について最も関心を持つのは、遺伝子工学による食品の安全性と生産能率の向上、および、医薬品・医療方法の開発であるが、明治ブランドが、食品における「遺伝子組換忌避」の一部風潮の克服や、iPS実用化時代に向けての医薬品開発に、明治ブランドがどのように結びついてゆくのか、これは経営統合後の動きを見守るほかない。

 来年4月1日設立予定の明治ホールディングスについて、明治乳業と明治製菓は既にその目的を次のように述べている(11 Sept 2008)(SANARI PATENT要約)。

1.共に旧・明治製糖を起源とする明治製菓(1916設立)と明治乳業(1917設立)は、これまで90余年の歴史において、明治製菓は菓子・食品から薬品に領域を拡大して「食薬兼業」企業へ、明治乳業は「乳素材」と「乳活用」の「総合乳業」に発展してきた。
2.わが国の食品工業は、中長期的な市場規模の縮小、世界的原材料高騰(SANARI PATENT考察: むしろ「世界的原材料変動」への弾力的対応が課題であろう)、成熟市場における企業間競争激化の一方、ライフスタイル・価値観は急速に変化し、食生活の多様化、健康意識向上、食の安全性意識の高まりのニーズに的確に対応すべき立場に在る。
3.明治乳業と明治製菓は、歴史的関係に加えて、商品の共同開発などを進めてきたが、経営の統合によりブランド力、研究開発力、技術力、マーケティング力等の経営資源を最大限に活用することにより、持続性ある成長戦略、差別化戦略を構築することが最良の選択肢であるとの結論に至った。
4.明治ホールディングス設立による統合効果としては、(1)新生「明治ブランド」の価値向上、(2)新需要創造による事業成長機会の拡大、(3)マーケティング力強化による競争力向上、(4)業務効率化とコストシナジー、(5)事業基盤・財務基盤の優位性強化を発揮する。
5.統合効果の早期実現のため、グル-プを再編する。

SANARI PATENT所見
 本年7~9月の業績は、明治乳業・明治製菓両社との売上高の増加を示し、明治ホールディングスの2012年3月期には売上高1兆3000億円、経常利益500億円を想定している。グローバルに、
「MEIJI constantly pursues the unknown possibilities and endless dreams contained in food, the gift of nature.」
「MEIJI corporate brand is a testament to our commitment to all customers. As a constant source provider of new food experiences, MEIJI is dedicated to providing safe, tasty, and healthy food products.」の理念を展開してゆく有様を注目する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
corporate brand、明治乳業、明治製菓、明治ホールディングス、統合ブランド

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2008年11月6日木曜日

地方銀行の対中小企業債権放棄の諸態様

金融機関の対中小企業債権放棄と金融条件変更: 中小企業庁経営支援課が「7~9月期の中小企業再生支援」活動を報告(5 Nov 2008)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業省エンジェルネットワークシンポ(12 Nov 2008)

緊急保証制度の枠拡大など、中小企業対策の大枠が大々的に報道されが、個別の中小企業対策がどう作用しているのか、見えてこない。その意味で、昨日中小企業庁が発表した「中小企業再生支援協議会の活動状況」は、政策の具体的な現れ方を把握する拠り所になると、SANARI PATENTは考える。
 先ず「中小企業再生支援協議会」の事業自体を知らなければならないが、多様な中小企業の事業再生を支援するため、都道府県ごとに1か所づつ設置している(2003から)。公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士等が常駐しており(SANARI PATENT注:弁理士はこの「等」には含まれていると思うが、知的財産の担保的価値や企業価値評価における重要性を的確に認識することが「支援」の要素である)、中小企業の再生に係る相談などに、キメ細やかに対応しつつ、地域の総力を結集して再生を支援している。

 7~9月期の状況を見ると、
1.支援協議会に相談した企業は799社、前年同期比1割増である。
2.業種別では、製造業、卸売・小売業、建設業の順で割合が高くなっているが、この順位傾向は変わっていない。
3.売上高では5億円以下の企業が、全体の半数である。
4.再生計画を策定した中小企業の相談持込先は、地方銀行24.4%、信金・信組23.1%、第二地銀21.8%となっている。4~6月期と比べると、信金・信組は横這いだが第二地銀割合が増えている。昨年度1年間と比べると、地方銀行が約3割減に対して、信金・信組は約2割、第二地銀は7割の増となっている。
5.金融支援の手法では、金融機関から債権放棄を受ける案件が全体の2割を占めている。特に再生計画の策定に当たり、金融機関と事前に合意のうえで事業譲渡や会社分割を用いて実質的に債権放棄を受ける方式(第二会社方式)が、債権放棄案件の7割を占めている。このことから、支援協議会の主要な再生手法として、私的整理による債権の兆k接放棄に代えて、第二会社方式が定着してきたものと見られる。
6. 債権放棄のほかには、金融機関・取引先からの借入金の株式化、金融機関による借入金の資本的劣後ローン、金融機関による条件変更(リスケジュール)、ファンド活用などが見られる。
7.政策的支援措置としては、企業債権資金、自治体保証制度による新規融資、信用保証協会の円滑化借換保証制度の適用件数割合が高い。
8.金融機関発足後の累計では、1416企業(74.3%)において雇用数を維持ないし新規雇用し、人員削減した他の企業と合算して、118,604人の雇用確保効果を得ている。

SANARI PATENT所見
 知財専門家が中小企業の知的財産を活かして、その存続・発展を図るためにも、支援協議会を活用し、弁理士の地方過疎という一般評を緩和する契機とすべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
リスケジュール、金融機関、債権放棄、金融条件変更、支援協議会、中小企業

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2008年11月5日水曜日

Fair Use Must be Flexibly Utilized

USA Copyrights Act 107 on Fair Use Must be Flexibly Utilized:文化庁の意見公募期限(10 Nov 2008)を前にして、米国著作権法「フェアユース」規定再読の要
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 文化庁の今次パブコメ募集については、上記Sub Site
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に述べたが(4 Nov 2008記事)、そのいずれの課題項目も結局は著作権の排他的権利の制限に関する問題であり、従って、米国著作権法第107条のフェアユースの規定をいかに円滑・迅速にわが国に導入するかに、官民が精力を集中すべきであると、SANARI PATENTは考える。米国著作権法第107条を再読するとその要旨は、
「批評、解説、ニュース報道、教授(教材としての複数コピー作成を含む)、研究、調査等を目的とする著作物のフェアユース(コピー、レコードへの複製等を含む)は、著作権の侵害とならない。
 著作物の使用がフェアユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。
(1)  使用の目的および性質(商業性か、非営利的教育目的か、を含む)
(2)  著作物の性質
(3)  著作物全体との関連における、使用された部分の量および実質性
(4)  著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響

この条文適用対象がインターネットやモバイルのイノベーションに変身を続けているが、例えば(4)について、グーグルの事業分野拡大に関連する次の記事(Weekly Toyo Keizai : 27 Sept 2008)(SANARI PATENT要約)が、条文の「フェアユース該当判断における考慮所要要素」の環境も変化することを示している。
「ユーチューブ収益化の鍵を握るメディア企業との提携について、著作権保護への姿勢や広告の選択肢が増えてきたことで愛憎関係にも変化が出てきた。NBCやCNNなどは早くから専用チャンネルを設けていたが、その後もコンテンツパートナーは増え続け、日本でも、スカイパーフェクト・コミュニケーショウンズが専用チャンネルを設けたほか、NHKも動画配信に乗り出した。角川も、ビデオID(下注)を利用して広告の掲載に乗り出した。ビデオIDは、導入当初は違法動画削除ツールと見られていたが、実際は、利用する企業でも90%以上はビデオの削除を要請しない。つまり、このシステムを削除用ではなくて、収益ツールとして利用することを考えるようになった。アップされた数を基に、番組の人気を測るメディアもでき、折角アップしてくれるファンに、削除ではなくアップを促し、視聴者拡大につなげる考えも出てきた。」

(注)ビデオIDは、グーグルの技術力応用したもので、その仕組みは、著作権者が音楽のデータをユーチューブに送ると、システムがそのデータとマッチした動画を検出する。その動画の取扱は、事前に、例えばアップ1分以内であればそのサイトに広告を掲載する等と定め、また変更される。迅速に適応・改良するグーグル流である」(上掲誌による)。

SANARI PATENT所見
 コンテンツ流通のイノベーションと著作権の巧みな調整の一環を、Googleが実現しつつあると評価する。
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Google、フェアユース、ユーチューブ、著作権、ビデオID

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2008年11月4日火曜日

General Affaire Ministry vs. METI on Contents Business

General Affaire Ministry vs. METI on Contents Business :総務省の「コンテンツ取引市場の形成に関する検討会」、経済産業省の「コンテンツ取引と法制度の在り方に関する研究会」
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ NECの音声認識技術集成
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 「コンテンツ」に内包される文化財と取引財の多様化・高度技術化が、表現の変容と共に急速であるが、先ず、総務省(担当:情報流通行政局コンテンツ振興課)の標記検討会における論点を摘記する(SANARI PATENT要約)

(1)  現在のマルチユース展開としては、エンタテイメント分野が多いが、どういうジャンルのコンテンツを市場に出してゆけばマルチユースが進んでゆくのか。どのあたりのマーケットを狙っていくことができるのかなど、実際に企画を提案していこうという立場からも検討しなければならないことが多い(SANARI PATENT考察: 実務上は、著作権処理の問題が当面の課題であるはずだが、明確な政策決定がなされない)。
(2)  広告代理店の立場からは、今まで以上にコンテンツやメディアに視聴を集める機会が広がると考える。製作者やメディアの意向でマルチユースが進み、視聴者への接触機会が増えていくならば、それと合せて広告ビジネスも広がる機会となる(SANARI PATENT考察: 産業界が支出する広告費総額の配分という見地から見て、デジタルコンテンツへの傾斜は明白である。デジタルコンテンツの態様も多様化しているが、先日(2 Nov 2008)朝日新聞に、18歳・高校生が、テレビよりもブログが話題、と題して、『私たちの間でテレビの話題が消えつつあります。もっぱらの話題は「昨日の日記読んだ?」なんて毎日です。勿論、ネット上のブログのことです』とあったが、Googleのブログ検索に伴う広告収入の著増が伝えられるように、広告媒体のコンテンツとそのマルチユースについて先見すべき分野が多い)。
(3)  資金調達の多様化に伴って、多様なコンテンツが出てくるこを歓迎する。色々な展開が期待できる(SANARI PATENT考察:今次金融危機発言前の発言であるが、未知の価値の証券化の在り方が意識される世情ともなろう)。

一方、経済産業省の標記研究会では、例えば、次のように述べられている(SANARI PATENT要約)。
(1) 過去の放送番組のネット配信が進まない原因が著作権制度にあると指摘されることが多いが、制度だけがその障害になっているかどうかは検討を要する。ネット配信のビジネスモデルができていないことが最大の課題ではないか。
(2) 著作権者の収入が増えるはずなのに許諾が進まないのは、流通経路に対価の多くが取られ、権利者に対価が渡らないからではないか。
(3) ある行為が技術的にできないように制限する方法と、ある行為を技術で管理して利用状況に応じた対価を徴収・分配するという2つに分類すると、後者が望ましい。技術の進歩により可能となった行為を制限することは、社会全体にとって損失である(SANARI PATENT考察:制限の法的根拠が問題で、米国のFair Use法理を即時導入すべきである)。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Fair Use、総務省、著作権、マルチユース、デジタルコンテンツ、ブログ

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2008年11月3日月曜日

Institution For Diversifying Contents Busines

Reasonable Institution For Diversifying Contents Business: インターネットコンテンツビジネスの急速な進化・多様化に即応する制度構築
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 自民・民主両党が活用し始めたドワンゴのニコニコ動画の「動画」は、「画像」や「映像」よりも活発な語感で、両党首のスピーチにコメントが殺到しており、現代史の貴重なデジタルコンテンツとして解析対象資料になるものと考える。

 デジタルコンテンツの政界進出に先立って、音楽や映画のグローバルなデジタル流通は活況を呈し、広告業を含むコンテンツ取引はインターネット利用のモバイル化を含む進化・高度化によって、法制度の追随を迫っている。

 従って、経済産業省も今秋から「コンテンツ取引と法制度の在り方に関する研究会」を始めるなど、対策に着手しているが、現時点で問題提起されている事項を。以下に考察する。

1. 知的財産制度におけるコンテンツの特異性
  内閣知財戦略本部の発足後に、コンテンツが知的財産の大きな柱として位置づけられたが、特許権等の「知的創造サイクル」においては、技術進歩性要件の高度化が特許の質向上のため求められているのに対して、コンテンツの創造にはグローバル市民の全てが発信者・共同製作者として機能することが文化的にも産業的にも意義を有するから、特許の「創造と利用のサイクル」と、コンテンツの「創造と利用のサイクル」とは、質が異なるのではないか。

2. 保護水準と保護対象
  保護水準については、現在の権利者のみでなく、これから出現するクリエータをも考えた議論が必要であり、その際、創作者によって、自分はこれだけの保護(SANARI PATENT注:主として「対価」の意と解する)を望む、自分は保護を求めない(自由に使用してもらって良い)というような選択可能な複線化の議論も重要である。

3.コンテンツ分野の負担者
  コンテンツ分野における、負担すべき者が負担しておらず、負担すべきでない者が負担しているといった問題意識については、競争政策の分野で議論されていることが、その裏付けになるのではないか。

4. クリエータの活動環境
  補償金を徴するか否か、許諾を与えるか否か、といった議論に際しては、それによりどれだけ利用が増減するかなどの経済学的分析が必要である。
  補償金という制度は、契約のデフォルト対価の決定に関するものであり、契約変更のコストを誰がどの程度負うかにより対価額が決まってくる。
  補償金制度の評価においては、制度運営の社会的コストに留意すべきである。

5. 私的複製
  私的複製は元来自由であったが、複製が増大する一方で、個別に課金できないことを背景に経済的不利益が拡大し、補償金制度が創設されたのであるから、個別課金等ができるようになれば、その前提がなくなるのではないか。

SANARI PATENT所見
 内閣知財戦略本部では、補償金制度の拡充に向けた議論がなされており、経済産業省の上記5の議論と、早期整合を要する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Contents Business、私的複製、補償金、クリエータ、コンテンツ

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2008年11月2日日曜日

Revision of Chemicals Safety Examination Act

METI Requests Public Comment for the Revision of Chemicals Safety Examination Act:化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)見直しについて経済産業省が意見公募
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 新たに開発・製造される化学物質数の累増は産業高度化の象徴でもあるが、その安全性確保が前提である。欧米ではToxicity(毒性)といい、わが国では安全性と称するので、試験方法もそれぞれ「毒性試験」、{安全性試験}と呼んでいるが同義である。人類史上は、「毒物」の発明・製造・流通・投与方法が政治的・相続法的に重要な機能を有したし、意図的でない毒性効果としては、ワイン杯の鉛毒がネロ皇帝などの狂気苛酷を来した等、毒性学教科書の序章は興味深い(古く欧州で、慈善の夫人が物乞いに食品を恵んだのは、毒性効果テストの場合もあった等)。

 第二次世界大戦後、国内外で食品・医薬品材料化学物質の発癌性、催胎児奇形性、麻痺惹起性等が現実に発生し、わが国では財団法人・食品薬品安全センターが40年ほど前に設立されて、佐成重範弁理士も数年、その常任監事を務めた経験があるが、急性・慢性毒性試験に年間2万以上のラット・マウス等を解剖研究していた。現在は更に盛況の模様である。

 さて今次経済産業省(担当:製造産業局化学物質管理課化学物質安全室)の意見公募(提出期限1 Dec 2008)は、化審法見直し関係委員会の合同報告書に基づいて、WSSD(持続可能な開発に関する世界サミット)2020年目標を踏まえて、化審法を見直し、2020年までに、国内で化学工業品として製造・輸入・使用されている化学物質のリスクを評価し、リスクの程度に応じた管理を実現する体系を構築することを目的とする。

 すなわち、2020年に向けた化審法の新体系を、次のように構築する(SANARI PATENT要約)。
1、 上市後の全ての化学物質を対象として、リスク評価を優先実施する物質を選定し、これにについてハザード情報等を段階的に収集し、リスク評価実施の体系を官民連携で構築する。例えば、一定量以上に製造・輸入されている化学物質に対して、その製造・輸入量、用途等を事業者が定期的に届け出る制度を創設する。
2、 リスク評価の観点を踏まえた新規化学物質事前審査制度を高度化する。例えば、国際的な動向等を踏まえつつ、新規化学物質の審査対象区分および対象となる物質の考え方、新たな評価方法の導入等の見直しを図る。
3、 難分解性、高蓄積性、長期毒性の程度に対応する措置を講ずる。

SANARI PATENT所見 
(1)  新規化学物質は、物質特許・用途特許の両面において、新規性・進歩性・産業上利用可能性の特許要件充足を審査されるが、その審査基準において安全性に関する考量はどのように在るべきか、明示すべきである。
(2)  化学物質のリスク評価は、リスクとその人生効用のバランス評価であり、社会的・医学的(副作用)知見を重要な判断要素とすべきである。
(3)  特許審査における各国審査結果の相互承認と同様、化学物質の審査についても国際ワークシェアリングの考え方を極力活用して、重複試験・審査の負荷を軽減すべきである。
(4)  動物・人体試験について代替試験方法の開発を促進し、人体尊重・動物愛護の動向に即応すべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Public Comment、化審法、化学物質、リスク評価、毒性試験

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2008年11月1日土曜日

Compass for Materials Process Technology

METI Provides Compass for Materials Process Technology: 経済産業省「素形材技術戦略の策定について」発表(30 ct. 2008)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 経済産業省(担当:製造産業局素形材産業室)が「ものづくり基盤を支える素形材技術の羅針盤」と副題して、「素形材技術戦略」を発表した(30 ct. 2008)。
 素形材という古くからの用語は、一般には日常馴染んで用いられず、またその内容もファインセラミクスや複合材料を含むとうになるなど、固定的でないが、「素材に熱や力が加えられて、形状と機能が与えられた部品や部材を指称している。経済産業省所管の財団法人・素形材センターは、「The Materials Process Technology Center」と称しているが、素材のプロセス技術に重点を置いた呼称である。

 冒頭に、「経済産業省は、産学官の知恵を結集し、日本のものづくり基盤を支える素形材技術(鋳造技術、鍛造技術、金属プレス技術、粉末冶金技術、金型技術、熱処理技術)に関する素形材技術戦略を策定した」と述べている。戦略の内容は、「将来の素形材の目標を設定し、その実現に向けたシナリオを描き、それらの実現に必要な重点技術開発事項を整理し、その将来展望をロードマップしたもの」であって、経済産業省としては、「今後、これらの成果をもとにし、革新的次世代ものづくり基盤技術開発の企画・立案」を行う。

 なおこの戦略は、素形材センター、日本鋳造協会、日本鍛造協会、日本金属プレス工業協会、日本粉末冶金工業界、日本金型工業会、日本工業炉協会、素形材産業会界、日本塑性加工工学会、日本鋳造工学会、粉体粉末冶金協会、型技術協会、日本熱処理技術協会などの有識者で構成する検討委員会によって策定された。内容(SANARI PATENT要約)を考察すると、

1. 戦略の方向性
1-1 新たな技術体系の構築と軸足のシフト
1-2 素形材産業の提案型産業への転換促進
1-3 世界市場における優位性確保
2. 開発事項の分類
2-1 高品質、高付加価値化
2-2 設計、製造プロセスの高度化
2-3 社会的要請、制約への対応
2-4 グローバル化への対応

SANARI PATENT所見
 世界市場優位性やグローバル化を謳っているのに、知的財産権戦略や国際標準化戦略について、正面からの取組が記述されていない。ノウハウの占める比重が多い分野であるが、ノウハウの秘匿と特許公開のバランスも極めて重要である。また例えば金型産業については、著作権による保護の併用も考えられてきたのであり、分野別特異性にも配意しつつ、知財戦略の1章を別掲して加えるべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
METI、素形材、鋳造、鍛造、粉末冶金、金型

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