2008年11月25日火曜日

Universities and Graduate Schools for IP Specialists

今次国会審議における大卒、ポスドク(Post Doctor)の就職難と知財人材
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 いわゆる重要法案の審議と別に、国会の文教科学委員会の審議は活発である。知財立国の成否を内閣知財戦略本部も知財人材の育成に託しており、大学・大学院に対する教育期待も大きいはずだが、国会では内定取消やポスドク就職難に関する発言が主体で、違和感なきを得ない。ビル・ゲーツや宮崎あおいが大学卒を全く問題にしなかったことを考えると、情報技術やコンテンツの創出能力と、大学・大学院との関係は余りないようにも思えるが、この関係はまた別論すべきであろう。

 今次参議院文教科学委員会(2008-11-13)では谷岡郁子委員が、「今オーバードクターも含めて、本当に、大学院を卒業して職の無い人が沢山おります。私どもの大学(SANARI PATENT注:谷岡氏は神戸芸術工科大学卒、中京女子大学学長)空きのポストを一つ募集すれば、二百・三百のドクター所有者が応募してくるような状況でございます」と述べた。先般、NHKのワーキングプア特集番組にも、その例示として、東大大学院海洋工学専攻のポスドクが実名で登場したが、実はこの問題は既に5年ほど前から心配されていたことで、丁度、内閣知財戦略本部の発足と同時点に、三菱総研の報告書に、先端科学研究センター・近藤 隆主任研究員は「オーバーポスドクを考える」と題して次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

(1)  博士課程を修了した35歳以下の就職していない若手研究者をポスドクと呼ぶが、その就職事情が厳しさを増している。
(2)  プスドクの身分は不安定である。厳しい審査を経て国の経済的支援を受けられるのは、プスドク志願者の14%程度である。支援期間は3年に限られ、再度支援を受けることは原則としてできない。支援期間を満了した3000人を超えるプスドクが毎年、職を求めている。
(3)  博士終了者に対する民間需要はもともと小さく、景気後退と、専門を極めたプスドクという要素が重なり、企業に進路を求め難い。大学・国研等の定員も頭打ちである。

上記委員会で木俣佳丈委員は、毎年3000人という法曹合格計画が未だ2000人であること、木俣氏母校の一橋大学の法科大学院が、定員違反で、他の3校と共に不適合とされたことの不当性を質した。

内定取消問題については、同委員の質疑に対して、次のように応答された。
(1)  内定取消を行おうとする場合は、予めハローワークまたは学校長に通知を要することとしている。
(2)  内定取消は解雇同様の扱いであることを、事業者に対して、指針を通じ徹底している。
(3)  内定取消した企業の名前を公表することにはしていない。

SANARI PATENT所見
 「大卒後の就職できない者が大学院に進む」という、質疑中発言もあったが、知財人材の質量需要と教育計画の整合について、内閣知財戦略本部の検討が望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Graduate School、Post Doctor、プスドク、内定取消、内閣知財戦略本部

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