2008年11月6日木曜日

地方銀行の対中小企業債権放棄の諸態様

金融機関の対中小企業債権放棄と金融条件変更: 中小企業庁経営支援課が「7~9月期の中小企業再生支援」活動を報告(5 Nov 2008)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 経済産業省エンジェルネットワークシンポ(12 Nov 2008)

緊急保証制度の枠拡大など、中小企業対策の大枠が大々的に報道されが、個別の中小企業対策がどう作用しているのか、見えてこない。その意味で、昨日中小企業庁が発表した「中小企業再生支援協議会の活動状況」は、政策の具体的な現れ方を把握する拠り所になると、SANARI PATENTは考える。
 先ず「中小企業再生支援協議会」の事業自体を知らなければならないが、多様な中小企業の事業再生を支援するため、都道府県ごとに1か所づつ設置している(2003から)。公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士等が常駐しており(SANARI PATENT注:弁理士はこの「等」には含まれていると思うが、知的財産の担保的価値や企業価値評価における重要性を的確に認識することが「支援」の要素である)、中小企業の再生に係る相談などに、キメ細やかに対応しつつ、地域の総力を結集して再生を支援している。

 7~9月期の状況を見ると、
1.支援協議会に相談した企業は799社、前年同期比1割増である。
2.業種別では、製造業、卸売・小売業、建設業の順で割合が高くなっているが、この順位傾向は変わっていない。
3.売上高では5億円以下の企業が、全体の半数である。
4.再生計画を策定した中小企業の相談持込先は、地方銀行24.4%、信金・信組23.1%、第二地銀21.8%となっている。4~6月期と比べると、信金・信組は横這いだが第二地銀割合が増えている。昨年度1年間と比べると、地方銀行が約3割減に対して、信金・信組は約2割、第二地銀は7割の増となっている。
5.金融支援の手法では、金融機関から債権放棄を受ける案件が全体の2割を占めている。特に再生計画の策定に当たり、金融機関と事前に合意のうえで事業譲渡や会社分割を用いて実質的に債権放棄を受ける方式(第二会社方式)が、債権放棄案件の7割を占めている。このことから、支援協議会の主要な再生手法として、私的整理による債権の兆k接放棄に代えて、第二会社方式が定着してきたものと見られる。
6. 債権放棄のほかには、金融機関・取引先からの借入金の株式化、金融機関による借入金の資本的劣後ローン、金融機関による条件変更(リスケジュール)、ファンド活用などが見られる。
7.政策的支援措置としては、企業債権資金、自治体保証制度による新規融資、信用保証協会の円滑化借換保証制度の適用件数割合が高い。
8.金融機関発足後の累計では、1416企業(74.3%)において雇用数を維持ないし新規雇用し、人員削減した他の企業と合算して、118,604人の雇用確保効果を得ている。

SANARI PATENT所見
 知財専門家が中小企業の知的財産を活かして、その存続・発展を図るためにも、支援協議会を活用し、弁理士の地方過疎という一般評を緩和する契機とすべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
リスケジュール、金融機関、債権放棄、金融条件変更、支援協議会、中小企業

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