2008年10月28日火曜日

Prospects of ASTELLAS in Global Market

Future Prospects of ASTELLAS in Global Market:アステラス製薬の新興国市場拡大とグローバル企業戦略
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 アステラス製薬が本日(28 Oct. 2008)、免疫抑制剤「グラセプター」を国内新発売する(27 Oct. 2008発表)。免疫抑制剤タクロリムス水和物について「腎・肝・心・肺・膵移植における拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応と移植片対宿主病の抑制」を効能・効果とする。アステラス製薬が創製した1日2回投与の免疫抑制剤「ブログラフ」の有効成分であるタクロリムスを含有する1日1回投与の徐放性製剤である。タクロリムスは、T細胞の活性化を選択的に阻害することにより、免疫抑制作用を発揮する。

 SANARI PATENTが特に注目するのは、その患者福祉効果である。アステラス製薬の発表に述べているように、「アステラス製薬の既存製剤と同様の有効性と安全性を維持しながら、1日1回投与を可能にしたことにより、何種類もの薬剤を同時に服用し続ける移植患者の精神的負担を軽減し、患者の服薬利便性を高め、服薬コンプライアンスを向上することが期待され、長期的な移植成績の一層の向上に貢献するもの」と考えられるが、このことは同時に、国民医療費の効率的使用に直結すると考える。「コンプライアンス(SANARI PATENT注:服用方法遵守)」が在宅医療で精確になされれば、再入院等の不経済を回避できる場合が多い。

 さて周知の通り、世界大手製薬会社の経営環境が厳しいことは、医療規制強化、新薬承認数の減少、開発コストの上昇等によるものとして、各社それぞれに経営戦略を展開している状況に窺われる。特許期限切れ前の新薬投入がハイリスク・ハイリターンとして用心深く扱われ、経営の多角化、ジェネリックの併営、現在分野のイノベーションに特化などである。
 アステラス製薬の今次発表は、服薬利便性と実効を高めるもので、これにより市場性を広める。イノベーション(改良)による「新発売」であり、国内外の同社研究開発部門の新薬創成における、合併後三年のわたる業績と共に、今次例のような改良の累積は、「新薬」に匹敵する営業成果を挙げる場合も予想される。

 先般、アステラス製薬から英文「Astellas Changing Tomorrow: Annual report 2008」が届いたが、グローバル市場を対象として、新薬開発、重点分野を詳述した美麗・内容精緻な73ページの冊子である。既に本年3月期決算で、アステラス製薬の売上高構成において海外が50.3%に達し、うち北米25.4%、欧州20.1%、アジアその他4.8%と表示されているが、上記冊子によれば「Transforming our Global Marketing Structure」の章に、欧州ではロシア、東欧、トルコ等への拡販、アジアでは中国、インドの人口と経済成長に着眼する展開が計画されている。
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ASTELLAS、アステラス製薬、免疫抑制剤、T細胞、骨髄移植

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