2011年8月31日水曜日

株式会社ミゾタが、対特許庁長官の知財高裁訴訟で勝訴

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ポンプ(高速ゲート、超低水位運転ゲートなど)・除塵機・水門開閉機など公共事業に不可欠の事業分野で永い業歴と多数特許考案を有するミゾタが、発明の名称を「ポンプ」とする特許を出願したが、特許庁から拒絶査定(2009-09-16)を受け、これに対する不服審判を請求した(2009-12-03)。特許庁は「この請求は成り立たない」と審決した(2-10-11-24)ので、ミゾタは、特許庁長官を被告として、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は、ミゾタ(訴訟代理人・富崎元成弁理士、富崎 曜弁理士)の請求を認容して、特許庁の審決を取消すと共に、訴訟費用は被告特許庁長官の負担とすると判決した(平成22行ケ10408審決取消請求事件・判決言渡2011-08-25)。
特許法29条2項は、「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、産業上利用することができる既知の発明に基いて容易に発明することができたときは、その発明については、特許を受けることができない」と定めており、本件訴訟の争点は、ミゾタの本件発明が上記「特許拒絶要件」に該当するか否かであって、特許庁の審査と審決は、拒絶要件に該当すると認め、知財高裁は「該当しない」すなわち、特許付与の要件を満たすと判断した。
このような場合、既存の技術の内容と出願技術の内容の異同が先ず問題となるが、原告・被告とも詳細に立証論述した結果、知財高裁は、「ミゾタの本件発明は、水と共に吸い込まれ、ポンプ内に流入した異物を捕捉するための具体的に特徴を有する発明であり、その異物捕捉体は、羽根の先端部に絡み付いた異物を引っ掛け、絡み付かせる点に意義を有するものである」などと認め、従来技術と本件発明の異同について、一部、特許庁の認定を是認しつつも、相違点について、「ミゾタの本件発明における上述相違点に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものということはできない」と判断し、特許庁審決を取消さるべきものと判決した。
SANARI PATENT所見
諸企業の業務報告にも、特許権に関する法的不安定性をリスク要因として掲げるものが見られるが、そのような認識は必要である。
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2011年8月29日月曜日

今次京セラ報告書のファインセラミック、スマホ・太陽光発電、共生経営特集


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京セラ創業者・稲森和夫氏が民主党代表選定関連でも華やかにマスコミの脚光を浴びたが、京セラの業績についても会社四季報は営業増益・拡大と見出して(SANARI PATENT要約)、「アジア中心に主力電子部品増勢、スマホなど高機能向け採算向上・新機種本腰、太陽電池はチェコ工場増産、ベトナム新工場着工、イタリア大規模発電施設への受注獲得契機に太陽電池関連の欧州拡販強化」と概評している。
詳細は京セラの「CRS報告書2011」(92ページ)(2011-08-25)で精読すべきだが、「京セラグル-プの事業取組み3つの特集」として「ファインセラミック技術で人類の進歩・発展に貢献」(宇宙開発から海洋研究まで多様分野)、「世界で貢献する京セラの太陽光発電システム」(世界各地に大規模太陽光発電施設設置)、「3つの共生を基本に据えた京セラの環境経営」(社会・世界・自然と共生)について詳述している。内容は例えば(SANARI PATENT要約)、
(1) 京セラは、国内市場のほか北米など海外市場にもケータイ端末事業を展開し、その総生産台数において国内資本の日系メーカーで第一位になった(2011年度)簡単ケータイからスマホまで顧客の多様なニーズに応じて開発している。(SANARI PATENT考察:「簡単ケータイ」が重要)。
(2) 国内向けケータイではKDDIやウィルコム向けに防水・防塵・カメラ機能の操作性・おさいふ・メタリック仕上などについて新機種、海外向けケータイでは北米向けに低価格モデルから高機能モデル、タッチパネルスマホを発売した。
(3) 京セラミタの複合機・プリンタが、米国独立調査機関BERTL社から「5 Stars EXCEPTIONAL」を受賞した。長寿命化技術による信頼性、低ランニングコスト、小粒径トーナによる高画質の優位が認められた。
(4) 京セラの多様な形状の太陽電池モジュールを組合せることにより、特に複雑な形状を持つ日本の住宅に「ピッタリ・キレイな」太陽電池設置を普及している。
(5) タイの発電事業者Solar Power社の、東南アジア最大級・太陽光発電施設に。6MW分の太陽電池モジュールを供給した。
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2011年8月28日日曜日

鉄道駆動好調、増収増益の東洋電機製造、豊田・日立・富士各アライアンス


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中国始め鉄道輸送インフラがグローバルに重点施策とされ、その駆動装置において国際的に技術優位を認められている東洋電機製造(東証1部)に対する需要は国内外で堅調を続けている。同社事業報告書(2010-06-01~2011-05-31)も従って、「交通事業部門の好調続き、産業事業部門も回復し増収へ」「利益水準も前年比大幅に改善」と掲げて次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) わが国経済は、中国を中心とするアジアや新興国の成長に支えられ、輸出と投資・生産活動がリードする形で回復基調を辿り、大震災後も、サプライチェーンの早期回復に伴って、自動車産業を中心に急速に大震災前の活況を呈し始めている。
(2) 東洋電機製造の売上高は、特に交通事業部門の海外向けが伸長し、産業事業部門も国内設備投資が増加傾向にあることから、増加した。
(3) 2011-03-12に博多・鹿児島中央間で全線開業した九州新幹線の「みずほ」「さくら」に、東洋電機製造は主電動機、パンタグラフ、歯車装置、主幹制御機を納入した。
(4) 東洋電機製造の自動車開発用試験機向けダイナモ装置は、高応答・低慣性を特徴とし、次世代自動車の開発期間短縮と性能向上に貢献している。
(5) 東洋電機製造のワイヤレス計測システムは、バッテリーレスかつワイヤレスのセンサにより、簡便な「電力見える化」を実現した。
(6) 産業機械向けモータ・インバータ事業を、東洋電機製造の新事業として将来の成長の柱とする。このため2011-05-16に豊田自動織機と合弁会社を設立し、高圧・大容量のモータ・インバータなど駆動システム技術の提供と製造を東洋電機製造が担当すると共に、豊田自動織機が電動フォークリフトで培った中小型・高効率の電気駆動システム技術および量産化技術の提供を受ける。
(7) 日立製作所との業務資本提携は、現在までにパワーユニット関連を軸とし、更に、インドの交通インフラ需要を共同展開する。
(8) 富士電機との業務資本提携は、列車情報システムの共同開発を進めていると共に、中国等海外市場への展開をも目指している。
SANARI PATENT所見
上記各アライアンスの海外向け展開が、わが国経済の今後を支えるであろう。
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2011年8月26日金曜日

シャープ・フリースタイルAQUOSのイノベーション効果


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シャープが昨日(2011-08-25)、「フリースタイルアクオスのスペシャルサイト」を公開したが、テレビの既存概念を変革する接続性(電源接続のみで起動)、軽量性(アルミ構造)、壁掛場所フリー性(壁があれば、どこにでも設置可能)等々、放送通信業界と生活者ライフスタイルにイノベーション効果を齎す画期的な創出と、SANARI PATENTは評価する。
シャープの上記サイトは、「薄くて軽くて、まるで絵のように(好きな場所に随時設置できる)(一般電源接続のみで機能)」「大画面でも軽いので、すっきり壁掛け」「テレビでYou Tubeも見られます」「ワイヤレスだから多彩な設置スタイル」「スマホを使って楽しさリンク」「便利さいっぱい、ネットサービスAQUOS CITY」「ついに一枚のテレビ」「壁があれば場所は要らない」など次々に演出されているが、単に「新しい」AQUOSというに留まらないイノベーション効果を、既成概念の基本的変革という意味で、メディア体系全般に及ぼすであろう。
同日(2011-08-25)シャープは、「F5フリースタイルAQUOS」と題し「AQUOSフリー宣言」「アンテナコンセントのない所へも、置き方自由に」と副題して、「壁掛け設置も簡単、自由自在なセッティング」「チューナー部とディスプレイ部をワイヤレスで接続」「新 ネットサービスAQUOS CITY対応」の項目を掲げ、「テレビを、お部屋の好きな場所で楽しみたい方にお勧め」「視聴スタイルを広げるフリースタイル(軽量・薄型ディスプレイ)」「アンテナコードを気にしないワイヤレス接続(無線ランユニット内蔵)」「UBS外付けハードディスク録画対応」「カレンダー・時計表示」「「高コントラスト・省エネ両立」などの「亀山ブランド」解説しているが来月(2011-09)発売と共に、生活のイノベーションを享受する人は幸福である。
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2011年8月25日木曜日

HONDAの北米市場戦略と国内コージェネ開発


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HONDAの株主通信No.150が届いたが、通信内容をもイノベートする意欲に満ち、その充実度にHONDAのInnovation High Spiritが顕われているとSANARI PATENTは直感した。特に、「回復へ向かう北米市場でのHONDA四輪事業の取組」について「品質・先進性・燃費によるHONDAブランドの強化」「主力シビックのフルモデルチェンジ」「顧客ニーズ即応の現地開発力強化」「北米における四極体制の構築」の各記述は、今後のわが国自動車業界海外展開 の在り方を考える上での核心的な要素を詳述している。また、「家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステムの可能性を広げる新型ユニットの開発」について、「一次エネルギー利用率92%の達成」「複リンク式高膨張エンジンの搭載」「正弦波インバータの高効率化」「スマートホームシステムへの適用」を解説し、エネルギー利用形態の再構築に際会しているわが国にとって、示唆するところが極めて大きい。
SANARI PATENT所見
上記についてSANARI PATENTが特に注目する項目と関連課題を列記する。
(1)  北米市場は、乗用車市場と小型トラック市場(ミニバン・スポーツ用多目的車)に大別され、最近は小型トラック市場が伸長している。
(2) 北米市場では金融危機後低燃費やダウンサイジングへのニーズが一層高まり、低価格指向が強まっている。
(3) 経済状況・環境意識など様々な要因で絶えず変化する顧客ニーズに、的確かつスピーディに応える。
(4) そのため、北米の生産拠点を、カナダ・オハイオ・アラバマ・メキシコの四極で構築する。カナダ地区は小型車生産、オハイオ地区は電動化新技術対応、アラバマ地区では小型トラック生産、メキシコ地区ではコスト競争体制に取組む。
(5) HONDAのコージェネシステムは、一次エネルギー利用率92%に達している。
(6) スマートハウス・スマートコミュニティにおけるコージェネ・ソーラー発電の。ハウス単位および地域総合のエネルギー需給合理性を、HONDAからも積極的に提言提案すべきである。
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2011年8月23日火曜日

コンビニ売上高著増下、ローソンATMの拡大などサービス展開


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ローソンが、連結子会社ローソン・エイティエム・ネットワークスを通じて、大分県の豊和銀行と、ローソン店舗等に設置されている銀行共同型ATMへのサービス提供を合意したと発表した(2011-08-22)。ローソンは、全国都市銀行5行(三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、りそな、埼玉りそな)、地方銀行37行(みちのく、親和、八十二、第四、広島、西日本シティ、北海道、紀陽、北陸、琉球、山陰合同、中国、庄内、横浜、伊予、愛媛、千葉、阿波、肥後、四国、秋田、山梨中央、七十七、東邦、福井、みなと、栃木、京葉、群馬、山口、山形、千葉興銀、北国、岩手、滋賀、百十四、富山第一)およびネット4行(住信SBI、ソニー、楽天、じぶん)と提携してサービスを提供してきたが、銀行との連携においては、2012年春から上記豊和銀行を加えて47行と連携し、かつ、現行の、MICS加盟金融機関のキャッシュカードによる引出・残高照会もあるから、現金調達や買い物などでの便益は、百貨店と比べても極めて大きいと言えよう(SANARI PATENT注:MICSはNulti Integrated Cash Serviceで、信金・信組・労働金庫などを含む)。
日経Web(2011-08-22:19-48)は、「7月のコンビニ売上高。9.5%増、アイスのほか惣菜も好調」と題して、「日本フランチャイズチェ-ン協会が発表した7月のコンビニ売上高(既存店ベース)は前年同月比9.5%増の7454億円に達した」と述べ、「これは6月の9.0%を超える高い伸びで、高気温日が続き、アイスや飲料が売れたほか、各社キャンペーンによる惣菜や、おにぎり、弁当の新製品が好調だった」と解説している。
節電・節約のうちにも、生活の便利と内容多彩化を図る生活者の需要にコンビニが即応した成果であり、ローソンの金融機関提携拡大も、その質を更に高めるものである。
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2011年8月22日月曜日

逆浸透膜施設のサウジ建設など海外発展の東洋紡、発明も多角化


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東洋紡の2011-04~06月期業績は、売上高872億3900万円で前年同期比6.2%増、経常利益55億4100万円で38.1%増、純利益28億7900万円で41億5500万円増という好調を示し、従って、同社・坂元龍三社長の「東洋紡は順理則裕の企業理念(SANARI PATENT注: この4文字の解説が望ましいのだが)のもと、環境・ライフサイエンス・高機能で新たな価値を提供するカテゴリートップ企業を目指し、創業以来120余年、幅広い分野で多彩な技術を蓄積しながら、フィルム、自動車用資材、バイオ・医薬などを手掛ける高機能製品メーカーとして成長を続けてきました」という挨拶冒頭言のも実感が充実し、特にインフラ外需に依存感を高めるわが国にとって、逆浸透膜施設のサウジ建設(伊藤忠と共同)など海外発展の活動にも期待が大きい。
特許庁公開発明の近況にも、東洋紡の研究開発の活況がうかがわれるが、例えば、
(1) 出願人・東洋紡「積層ポリエステルフィルム」(特許庁公開日2011-08-18)→加工性および高湿熱環境下での接着性に優れる積層ポリエステルフィルムを提供する。
(2) 出願人・東洋紡「ポリスルホン系選択透過性中空糸膜束およびその製造方法」(特許庁公開日2011-08-18)→ 高性能で安全性が高く、かつ保存安定性やモジュール組立性に優れ、特に慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する血液透析法中空糸型血液浄化器用等に適するポリスルホン系選択透過性中空糸膜束およびその製造方法を提供する。
(3) 出願人・東洋紡「内部コントロール組成物」(特許庁公開日2011-08-18)→ 標的遺伝子の増幅性能を低下させることなく、しかも標的遺伝子の種類を問わずに広く使用できる内部コントロール組成物を提供する。など。
SANARI PATENT所見
特許庁公開の東洋紡発明の課題にも、そのイノベーション即効性。従って、業績寄与性が力強く窺われる。
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2011年8月20日土曜日

韓国PKKIM特許事務所が韓国知的財産開発のリアル情報


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韓国の電子製品等がグローバル市場で存在感を益々高揚していることに瞠目するが、この盛況を韓国PKKIM特許事務所(KIM, HONGAND ASSOCIATES)等を始め、同国特許事務所の活動が支えていることは、国際的にも認識・評価されるところである。そのPKKIMからNews Letter をお贈りいただいたが、「韓国特許庁、3世代特許ネット開発に本格着手」「韓国特許庁、2010知識財産白書を発刊」「中国特許情報へのアクセス容易化」「強小企業の知財権出願が大幅増加」「弁理士情報を一目に得る弁理士情報公開制度の導入」「知識財産権保護の第一歩・関係ノート」「韓国特許庁国際特許審査チーム出帆」「4世代移動通信はMIMOで」など、現下トップ関心事項を網羅した解説に、厚く御礼申し上げます。
SANARI PATENTの関心事を次のように例示する。
(1) 韓国特許庁は、世界最高水準のSmart Work環境を実現するため、SAMSUNコンソーシアムと契約して、その開発に着手したが、SANARI PATENTは、その完成によって韓国特許審査官の在宅ないし遠隔地執務が急速に拡大できることを予想する。既に、特許審査官の在宅等勤務は、日本に先立って実現し、人材の効率的活動に寄与多大と考えるが、日韓の、この面の格差が韓国有利に展開するであろう。
(2) 韓国の3世代ネット構築によって、研究開発結果に対する権利を迅速に確保できるよう、論文・研究ノートなどでも特許出願できる「無形式出願」が可能になるが、SANARI PATENTは、その威力は極めて大きいと評価する。日本では、ネット出願は可能になったが、厳格な「出願書式形式」の規制が出願内容の記述に及び、その平易化は、ひところ内閣知財戦略本部が強調したのだが、いつまで経っても実現の緒に付かず、諦めているかのようだ。従って、請求項記述に代表される特許出願独特の表現に先ず、研究開発者が馴染めず、委託出願の高額経費を負担する結果を定着させている。工学部主審者すら、自分が創出した技術思想を特許出願の形式に適合表現できないのでは、韓国の学卒者等にも後れをとること必至と、SANARI PATENTは憂うる。(以下、別途記述)
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2011年8月19日金曜日

岐阜高山の和井田製作所が特殊研削盤で世界雄飛


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野村IR主催の会社説明会(2011-08-03)にWAIDA(和井田製作所・JASDAQ)が出演したが、「飛騨の匠の技」を先端技術に活かす独創企業。既に会社四季報においても、「工作機械中堅で切削工具用と金型用の特殊研削盤で国内首位、半導体やLED向けにも取組む」と特色付けられ、最近の業況についても、「国内で切削工具向け研削盤急増、金型向けも中国で好調、2011-03-31受注残高は前年同期比1.7倍で、増益」、更に「新機種を新興国向け投入、米州は丸紅と契約して中南米に進出」(SANARI PATENT要約)と報じられ、65年の業歴を経た現在も、戦後直ちに(1946年)設立した和井田製作所の社名と岐阜県高山市本拠を維持する伝統・革新兼備の名門企業ぶりを発揮している。既に海外比率36%だが、日本の独自技術領域をグローバルに発揮することが期待される企業である。
2011-06期決算では売上高60億8500万円で前期比66.6%増、営業利益4億4200万円を計上しているが、WAIDAはこの成績を次のように説明した(SANARI PATENT要約)。
(1) わが国の工作機械業界は回復傾向が持続しており、2011-06の受注総額は3年ぶりに1200億円を超え1285億円を記録した。
(2) 外需では、中国の電気・精密・一般機械、インドの一般機械がアジアの拡大基調を牽引し、欧米の堅調な回復と相俟って、2011-06の月次受注総額は868億円を記録した。
(3) WAIDAは、海外販売態勢再構築の一環として丸紅と、北中南米向け販売の総代理店契約を締結した。
(4) 新たな取組として、東大との連携を開始した。
今後の見通しについてWAIDAは、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 日本経済の先行きが不透明だがWAIDAは、生産環境を確保し、継続的積極的に営業展開すると共に、徹底したコスト管理・新製品投入で利益を確保する。
(2) 新事業として、他社とのコラボによるシリコンウエハ加工およびマイクロバンプなど形成装置などの半導体関連、精密部品加工の商品を開発し、更に新たなニーズを創造していく。
SANARI PATENT所見
HP中国版の「不断創造新的価値、従飛騨高山走行世界」のWAIDA背景飛騨山脈映像が印象深い。
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2011年8月17日水曜日

KOREANA PATENT FIRMがIP Newsletterで新判例等解説

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韓国のKOREANA PATENT FIRMからNews Letterをお贈りいただいた。「公知例外適用の旨の記載時期」に関する韓国大法院の最近判決の解説など、経済関連ますます密接な日韓両国の知的財産業務において、知悉すべき内容が満載され、貴重な資料として、厚く御礼申し上げる。
韓国の「知識財産基本法」施行(2011-07-20)に伴って、その明快な解説も掲載されているが、ここでは日本の知的財産基本法との対比を若干試みる。
先ず韓国知識財産基本法における「知識財産」関連の定義は次のように定められた。
「第3条第1項→「知識財産」とは、人間の創造的活動又は経験等により創出又は発見された知識・情報・技術、思想や感情の表現、営業や物件の表示、生物の品種や遺伝資源、その他、無形的なものであって、財産的価値が実現され得るものをいう。」
この条項は、日本知的財産基本法第2条第1項の次の定義に対応する。
「この法律で知的財産とは、発明・考案・植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生みだされるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、事実上の利用可能性があるものを含む)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。」
韓国知識財産基本法では上記第1項に続けて第2項として、「新知識財産」を次のように定義している。
「新知識財産とは、経済・社会又は文化の変化や科学技術の発展に伴い、新たな分野において出現する知識財産をいう。」(SANARI PATENT考察:「新たな分野」においては「新たな知識財産」が創出されるから、例えば、その新たな物や方法を示す用語も新たに創出されなければならない。これは発明の新規性判断において極めて重要なポイントで、米国の特許審査基準には、「発明者は用語の創作者でなければならない場合がある」という定めを置いているなど、 新知識財産という概念に対応する措置の必要を考えさせられる)。
更に韓国知識財産基本法は、第3条第3項で「知識財産権」を次のように定義している。
「知識財産権とは、法令又は条約等により認定又は保護される知識財産に関する権利をいう。」
(SANARI PATENT考察:これはわが国知的財産基本法第2条第2項の「この法律で知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は保護される利益に係る権利をいう」との定めに、実質的に同一内容と解する)。
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2011年8月16日火曜日

神戸製鋼所、オンリーワンの徹底的追求・ものづくり力強化など再強調


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神戸製鋼所の2011-04~06期業績報告が届いたが(2011-08-15)、売上高4714億円で前年同期比3.0%増、油圧ショベルの販売台数が、中国で春節明けの旺盛な需要を取り込み、前年同期を大幅に上回ったが、大震災による自動車業界の生産活動低下などで鋼材やアルミ圧延品の販売数量は、前年同期を下回ったと報告している。
神戸製鋼所が大震災後に策定した中長期経営ビジョン(2011-04-14)を再確認していることが力強く、特に海外拠点の設置を今次報告で強調しているが、この際、上記ビジョンの骨格を再読する(SANARI PATENT要約)。
(1) オンリーワンの徹底的追求→「新たなオンリーワンを創出」「顧客と社会のニーズと志向に歩調を合わせ、既存ビジネスの川下に加えて川上にも展開」
(2) ものづくり力の強化→「営業・マーケティング、開発・設計、調達、製造のトータル活動が神戸製鋼所の、ものづくり」「永続的に信頼される技術・製品・サービスを提供する力が神戸製鋼所の、ものづくり力で、成長のエンジン」「部門間連携強化によるコストダウン、課題抽出」
(3) グローバル化と成長分野取込み→「新興国中心に、需要拡大地域・分野の各特性の見合った事業展開」「神戸製鋼所独自の付加価値製品をマザー工場で強化」
(4) グル-プ総合力の発揮→「多様な技術の融合による価値創造、オンリーワン創出」「KOBELCOブランドの定着」「基盤強化とグローバル展開の人材育成」
(5) 社会貢献→「高感度組織文化の醸成」「地域社会・環境保全に貢献」
SANARI PATENT所見
上記の具体化として、鋼材オンリーワンのハイテン・特殊鋼のグローバル展開、還元鉄活用、溶接ロボットソリューション、アルミ鋳造の中国展開、ベトナム・インドで環境ソリューション拡販などの進捗が注目される。
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2011年8月14日日曜日

iPS特許権の国際関連と医療行為特許法制の不整合


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京都大学のiPS特許が米国特許商標庁と欧州特許庁とで認められたことが、再生医療等におけるわが国知的財産の優位を確保するものとして、好感されている。iPSには、ヒト由来iPSと、非ヒト生物由来iPSとがあり、ヒト由来iPSにはヒト体細胞iPSとヒト胚細胞iPSとがあり、それぞれにについて発明が続出しているし、医療行為自体の特許を認める米国特許法制と、医療行為自体の特許は認めていないわが国特許制度(特許法自体で特許性否定を明示せず、特許審査基準において「産業上利用可能性」という特許要件に該当しないとして、特許付与を認めず、医療行為に用いるものについては特許性を認める)との相異が、iPSの実用化においてどのように影響するかも、現時点では明確でないけれども、とにかく、京大のiPS特許が欧米でも認められたことは、iPSに関するわが国の地位を構築する重要な要素であること、明白である。
わが国特許庁公開のiPS関連発明も続出しており、例えば、
(1) 出願人・国立大学法人大阪大学ほか1、発明の名称「ヒト多能性幹細胞用培養基材およびその利用」(特許庁公開日2011-04-21)→フィーダーフリーの培養環境で、分化多能性を保持したままヒト多能性幹細胞を維持培養可能な培養基材およびこの培養基材を用いたヒト多能性幹細胞の培養方法を提供する。
(2) 出願人・セルラーダイナミクスインターナショナル, インコーポレイテッド、発明の名称「幹細胞からの肥満細胞の生産のための方法」(特許庁公開日2011-07-14)→インビトロで多能性幹細胞から肥満細胞を生成する方法を提供する、など。
SANARI PATENT所見
再生医療等におけるiPSの実用が実現するに伴って、関連特許権の国際競合等が問題になる可能性は十分にあると考えるが、権利範囲の明確と訴訟力の具備に完璧を期することが、クロスライセンス等の国際協調と共に重要である。
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2011年8月13日土曜日

国内・中国・韓国等で、双日・JALUX・日本空港ビルの事業提携


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グローバル経済の変調下、企業と個人の対応態様が多様に展開されつつあるが、双日がレアアースをオーストラリア・ライナスと業務提携して輸入開始し、国内消費量の3割供給を目指し、また韓国・現代の自動車をタイ等で販売するなど(会社四季報)、特徴的な動きが注目されたところ、今月初(2011-08-03)には、「日本空港ビル株式会社と双日株式会社及び株式会社JALUXとの空港リテール事業等に関する資本業務提携」と題して、国際交通拠点性が希薄化するわが国空港の活性化に寄与する事業計画を示したことにSANARI PATENTは、大きな波及効果を期待する。発表の内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 上記資本業務提携の理由→ 日本空港ビルは、国内空港ターミナルビルの運営ノウハウを、海外においても活かすべく、今年6月(2011-06)、中国成都空港に店舗を開き、また、韓国空港公社、中国大連周水子機場集団公司、中国首都機場集団公司とも、人事交流・ターミナルビル管理運営協力などを行っている。
(2) 双日は総合商社として、50年以上にわたる空港事業の実績を持ち、諸産業分野の様々なネットワークとノウハウを有する。特に、原料調達・加工・流通の一貫サプライチェーンを構築している。
(3) JALUXは、JALの商事・流通系子会社として、空港店舗のネットワークを構築している。
(4) 従って先ず、双日は日本空港ビルの株式を、日本空港ビルはJALUXの株式を、それぞれ取得し資本提携する。
(5) 日本空港ビルとJALUXは、商品の共同仕入れなどを行う。具体的には、海外のリテーラ及びブランド、話題性ある商品等の空港店舗での展開、中国成都空港店舗での調達・物流面での双日との協業など。
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2011年8月11日木曜日

エネルギー総合利用の先端を拓く東京ガス

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東日本大震災に伴っていわゆるオール電化生活の不便性も実証され、予てエネルギーの多角利用に取組んできた東京ガスの創案が改めて脚光を浴びている。会社四季報も、「新エネルギー源開拓加速、カナダではシェールガス開発へ官民共同プロジェクト創設、日立グル-プから庄内風力発電所の株式3割超獲得、自然エネ関連強化」と要約している。
技術開発については、最近の特許庁公開事例を見ても、
(1) 出願人・東京ガスエンジニアリング株式会社ほか1「液体物検査装置」(特許庁公開日2011-07-07)→ボトル等の容器が不透明でも、容器に収納された液体物を高速で同定する。
(2) 出願人・東京ガスエンジニアリング株式会社ほか2「ガスサンプリング装置」(特許庁公開日2011-02-17)→下水道の水位の変動に応じて、ガスをサンプリングするガス採取部を、常に水面近傍に移動させることができるガスサンプリング装置を、簡略な機構で構成する、など。
エネルギー専門家向けにも、「最先端のエネルギー技術の実証・実験施設をめぐる東京ガス千住見学サイトの開設について」と題して次のように発表した(2011-08-03)(SANARI PATENT要約)。
(1) 東京ガスは来る2011-09-05に、東京ガス千住見学サイトを、東京ガス千住テクノステーション内に開設する。東京ガスの最先端のエネルギー技術を、主に学識経験者、オピニオンリーダ、企業関係者に紹介するものである。
(2) この施設は、エネルギー技術の革新「Energy Innovation」を歩いて見る「Walk」を組合せて「Ei-Walk」と名付けた。
(3) コンセプトルームも設け、「環境に呼応して変化する空間」をコンセプトとしている。
SANARI PATENT所見
「Ei-Walk」を広く一般生活者にも馴染み易いものにするよう望まれる。
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2011年8月10日水曜日

海外比率7割超の日揮は産油産ガス国の設備投資活況を反映


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国際級エンジニアリング会社で石油・化学・天然ガスに実績、触媒事業強化の日揮(会社四季報)は今日(2011-08-10)4~6月期の業績を発表したが、売上高は1259億9500万円で前年同期比73.8%増、営業利益は156億0800万円で2.25倍、経常利益は170億1600万円で3.29倍、四半期純利益は97億円で3.2倍という好調ぶりを示した。説明を見ると(SANARI PATENT要約)、
(1) 日揮の総合エンジニアリング事業に最も関係深い産油。産ガス諸国では、人口増加や産業の多角化、堅調な原油価格を背景として、引続き設備投資が計画され、順次実行に移されている。
(2) また、東南アジア・オセアニアにおいても、液化天然ガス関連プロジェクトが計画され、順次実行に移されている。
(3) 総合エンジニアリング事業として設計・調達。建設ビジネスでは、プロジェクトの確実な遂行に注力すると共に、中東・北アフリカや東南アジア地域を中心に、積極的に受注活動に取組み、インドネシア国内における電解設備の能力増強工事を共同受注した。企画・マネジメントサービスでは、アジア地域などで都市開発やインフラ整備案件の事業化調査を準備している。
(4) 触媒・ファイン事業では、ナノ粒子技術分野・電子材料・高性能セラミクス分野・次世代エネルギー分野での生産・販売を行っている。中国始め海外市場の需要が堅調に推移した。
(5) 米国でシェールオイル権益の契約を締結し、その本格的生産開発事業への参画を果たした。
SANARI PATENT所見
ベトナム製油所、豪州LNG、アルジェリア・ガス処理、中国の海水淡水化計画、スペインの太陽熱発電に出資拡大など、わが国渇望の海外展開を果たしつつあり、日揮の成果は全国民の熱望するところである。
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2011年8月8日月曜日

スズキ売上、国内・欧州減と北米・アジア・アフリカ・大洋州増の対照

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世界最大規模の成長が今後展開するインドにおいて独自の地位を築いているスズキの動向は、内外注目の的だが、4~6月期の地域別業績には顕著な特徴が見られる。スズキの説明(SANARI PATENT要約)は、
(1) 国内と欧州→ 売上高は前年同期比・国内14.3%減、欧州(高失業率)3.4%減。共に減益
(2) 北米→ 二輪車の増販で売上高22.2%増、営業利益・改善。
(3) アジア→ 二輪車・四輪車共に販売台数は増加したが、円高で売上高は3.0%減。営業利益は3.4%増。
(4) アフリカ・大洋州など→ 売上高は3.7%増、営業利益は40.6%減。
スズキの場合、売上高は、「外部顧客に対する売上高」と「所在地間の内部売上高」に分けて示しているが、4~6期の「外部顧客に対する売上高」は6562億8300万円で、内部売上高を含む7647億3600万円の85.8%である。よって「所在地間の内部売上高」の構成を見ると、昨年(2010年)は、国内46.0%、アジア35.5%、欧州12.7%、北米4.9%、その他3.0%であったが、今年(2011年)は、国内41.2%、アジア36.6%、欧州13.6%、北米5.2%、その他3.3%で、国内の減とアジアの増は、動向として明白である。
セグメント別売上高は、二輪車は8.0%増、四輪車は9.8%減、特機は14.8%増を示している。
SANARI PATENT所見
インドのマルチスズキ社での四輪車販売増加と営業利益寄与が顕著である。マルチスズキ社について長谷川慶太郎氏は次のように述べているが(SANARI PATENT要約)、スズキのインドにおける地歩が長年にわたり構築されたことを改めて回想する。
(1) スズキがインドに進出した1983年あたりが、日本とインドの経済関係の起点であった。インドの自動車産業発展のきっかけは、同年の規制緩和と、スズキ・インド政府間の合弁企業マルチウドヨダ(2007年にマルチスズキと社名変更)設立だ。インドの国家プロジェクトとして発足したのである。
(2) マルチスズキは、2010-03には、インドでの年間自動車生産台数100万台を達成したが、同じ頃、日産・ルノーがチェンナイに大規模生産工場を完成させた。
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2011年8月7日日曜日

聯合専利商標事務所が、中国企業の特許登録上位10社を解説

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香港や台北市を拠点として、日本を含む東アジア全域に特許商標事務を展開している聯合専利商標事務所から、Union Patent News Reportを贈られた。貴重な実務資料が満載され、厚く御礼申し上げる。
中日特許審査ハイウエイ開始に関連して、中国国内企業の特許登録上位10社を次のように解説(SANARI PATENT要約)されていることにも、関心を深めるべきである。なお下記においては、 企業名の表示を中国の繁字体とした。
(1) 華為技術有限公司→LTE(次世代無線通信規格の領域で、15%以上の基本特許を有し、2009年Wireless Access市場のシェアで世界2位。
(2) 中興通訊股份有限公司→LTE領域で7%の中心特許を有する。2010年CDMA製品のシェア30%で世界市場首位。
(3) 鴻富錦精密工業有限公司→台湾資本により設立。テレビのスイッチノブ生産中小企業から、コンピュータ・モバイルなどの製品研究開発企業に発展。
(4) 友達光電股份有限公司→世界トップのTFT-LCD(SANARI PATENT注:TFT液晶シールドLiquid Crystal Displayで、現在の液晶パネルの主流、TFTはThin Film Transistor)設計・研究開発。製造企業。大型TFT-LCDパネルの世界市場シェア15%。
(5) 中国石油化工股份有限公司→中国最大のエネルギー・石油化学企業。
(6) 杭州華三通信技術有限公司→世界有数のIPネットワーク製品およびソリューションピロバイダ。
(7) 比亜迪股份有限公司→リチウムイオン電池の生産を開始。
(8) 中芯国際集成電路製造有限公司→中国最大規模の先端ICチップファンドリ企業。
(9) 騰貴科技有限公司→中国最大のインターネット総合サービスプロバイダ。
(10)大唐移動通訊設備有限公司→中国独自の3D規格TD-SCDMAを提唱した中心企業のメンバ。
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2011年8月4日木曜日

NTTドコモの山田隆持社長がスマホの重点チャレンジ6項目を説明

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野村証券と共催でドコモの山田隆持(りゅじ)社長(63才、阪大大学院工卒、NTT副社長を経て現職)が「新たな成長に向けたスマホの取組」と題して講演したが(2011-08-03)、スマホのチャレンジの基本的考え方については先ず次のように述べた(SANARI PATENT要約)。
(1) スマホが急速に普及し、モバイル市場が高度化多様化する環境下で、
(1-1) 「リアルタイム性・個人認証・位置情報」などのモバイル特性を活かす。
(1-2) グローバルに多種多様なプレーヤと連携し、「イノベーション」を推進し、様々な弾込めを行ってきた。
(2) 今後も、「顧客一人ひとり」のライフスタイルやニーズに合わせたサービスと、社会問題へのソリューションを提供し、社会の持続的発展に貢献する。
上記の重点項目として、次の6項目を説明した(SANARI PATENT要約)。
(1) スマホの推進→ 2011夏モデル9機種の提供により、Andrioid2.3搭載8機種、FOMA最速14Mbps6機種、おサイフケータイ5機種、ワンセグ5機種、赤外線通信6機種、防水3機種、テザリング7機種が、選べ、使え、楽しめるスマホ端末ラインナップとして勢揃いした。2011年度はドコモスマホ販売数600万台の見込み。
(2) Iモードサービスの進化→ iコンシェルで、顧客の属性に適合する情報を発信する。
(3) LTEの導入→ 増大するデータトラフィックに対応して高速大容量ネットワークをを導入し、サービスブランド「クロッシー」を拡充普及する(SANARI PATENT注: 講演の席上、外国との即時通訳会話や、医師の遠隔診断のクロッシー活用実演が放映された)。
(4) 新たなサービスの実現→ ケータイ端末向けマルチメディア放送(モバキャス)、電子書籍サービス、花粉状況など環境センサネットワーク、モバイル空間統計(SANARI PATENT注: 講演の席上、今次大震災後の都心人口変動観測実演が放映された)。
(5) グローバル展開の推進→ インドなどの出資増強、マンガ配信・情報配信・新規コンテンツ配信。
(6) パケットARPUの向上(SANARI PATENT注: Average Revenue Per Userは、通信事業者の1契約当たり売上高)。
SANARI PATENT所感
講演場に展示されたドコモスマホで「SANARI PATENT」を検索したら即時、B Site、C Site、R Site共に出揃った。知財情報の普及に役立てば、ドコモとご同慶である。
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2011年8月2日火曜日

ホンダが本年度業績予想を大幅増額修正(2011-08-01)

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ホンダのグローバルな元気度発揮は国民が挙って希望するところだが、同社(登記社名は本田技研工業)は昨日(2011-08-01)、本年度通期(2011-04-01~2012-03-31)の業績予想を大幅に増益修正した。その理由は、「部品供給制約の改善に伴う四輪事業の売上台数の増加などを前提に、営業利益・税引前当期純利益、ホンダ株主に帰属する当期純利益は、それぞれ、2011-06-14発表の業績予想を上回る」に至ったためと述べている。すなわち、売上高は8兆7000億円で上記前回予想比4.8%増、営業利益2700億円で35.0%の著増、税引前当期純利益は2850億円で32.6%増、ホンダ株主に帰属する当期純利益は2300億円で17.9%増を示している。
ホンダは、2011-03期業績においては、先般大震災・原材料価格高騰や円高によりマイナス影響を受けたが、これら影響を跳ね返して本年度は、「次世代商品や環境技術の更なる開発強化に伴う資源投入」、「生産正常化に伴うグローバルでの販売増加と事業の拡大」を展開しつつあり、特に「北米インディアナ・アラバマ工場を中心とする四輪事業生産量の拡大」および「アジアを中心とする二輪事業生産能力の拡大」が注目される。
SANARI PATENT所見
ホンダは、上記発表と同じく昨日(2011-08-01)、「ステップワゴン・ステップワゴンスパイダーに新タイプを設定し発売」と題して、「2000ccクラス最大の室内空間や同クラス初の3列目床下格納シートなどにより好評を得ている(年間ミニバン2010年販売台数において首位)ステップワゴン・ステップワゴンスパイダーに、HDDインターナビシステムを標準装備を加え、発表同日発売」と説明している。
一方、「ホンダに関する一部報道について」と題して、「2011-07-31に、一部報道機関において、ホンダのメキシコにおける四輪車の新工場建設に関する報道があったが、ホンダが発表したものではない」と説明した(2011-08-01)。
これらいずれも、ホンダの事業活動の活発を示す現象として評価したい。
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2011年8月1日月曜日

三菱重工が発電技術開発の最新動向について特報

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先日(2011-07-28)三菱重工技報が「発電技術特集」を発表した。エネルギーの利用形態として電力の合理性には疑問の余地なく、電力エネルギーに変換すべき一次ないし二次エネルギーの選択と変換態様が今や、全世界の共通課題だから、三菱重工の上記発表にグローバルな注目が集中することは当然である。論文項目は、
(1) 超高温ガスタービンの要素技術の開発
(2) A-USC(700℃級先端超超々臨界圧発電の技術開発と展望
(3) 究極の高効率火力発電ーSOFC(固体酸化物形燃料電池)トリプルコンバインドサイクルシステム
(4) MACHガスエンジン発電設備によるエネルギー節減とCO2排出低減
(5) 褐炭などの低品位炭を活用したIGCCの取組み
(6) 最新の製鉄所副生ガスを焚きガスタービンコンバインの開発状況
(7) SDAピッチ(石油残滓物)焚きボイラの計画と運転実績
(8) バイオマスガス化による液体燃料などの化成品原料ガス製造技術
(9) 国産最大風車MWT92/24が能登半島丘陵地帯で運転開始
(10) 電力調整機能に優れる可変速ポンプ水車
(11) リチウムイオン二次電池を用いた再生可能エネルギーの系統連系円滑化システムの開発
SANARI PATENT所見
非化石一次エネルギーのグローバルな分布が偏在しており、国際送電の実用性が課題であるから、超電導技術を含めて、この分野の研究開発も望まれる。一次エネルギー資源としてわが国では特に、メタンハイドレートの開発活用への関心も高い。三菱重工の和仁正文常務は、「電源の安定供給に役立つよう三菱重工は、経済性や環境保全を念頭に置いて、あらゆる分野の発電技術の向上に取組んでいます」と述べているが(2011-07-28)、日本のインフラ企業の雄として、三菱重工への期待は大きい。
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