2011年8月14日日曜日

iPS特許権の国際関連と医療行為特許法制の不整合


弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
京都大学のiPS特許が米国特許商標庁と欧州特許庁とで認められたことが、再生医療等におけるわが国知的財産の優位を確保するものとして、好感されている。iPSには、ヒト由来iPSと、非ヒト生物由来iPSとがあり、ヒト由来iPSにはヒト体細胞iPSとヒト胚細胞iPSとがあり、それぞれにについて発明が続出しているし、医療行為自体の特許を認める米国特許法制と、医療行為自体の特許は認めていないわが国特許制度(特許法自体で特許性否定を明示せず、特許審査基準において「産業上利用可能性」という特許要件に該当しないとして、特許付与を認めず、医療行為に用いるものについては特許性を認める)との相異が、iPSの実用化においてどのように影響するかも、現時点では明確でないけれども、とにかく、京大のiPS特許が欧米でも認められたことは、iPSに関するわが国の地位を構築する重要な要素であること、明白である。
わが国特許庁公開のiPS関連発明も続出しており、例えば、
(1) 出願人・国立大学法人大阪大学ほか1、発明の名称「ヒト多能性幹細胞用培養基材およびその利用」(特許庁公開日2011-04-21)→フィーダーフリーの培養環境で、分化多能性を保持したままヒト多能性幹細胞を維持培養可能な培養基材およびこの培養基材を用いたヒト多能性幹細胞の培養方法を提供する。
(2) 出願人・セルラーダイナミクスインターナショナル, インコーポレイテッド、発明の名称「幹細胞からの肥満細胞の生産のための方法」(特許庁公開日2011-07-14)→インビトロで多能性幹細胞から肥満細胞を生成する方法を提供する、など。
SANARI PATENT所見
再生医療等におけるiPSの実用が実現するに伴って、関連特許権の国際競合等が問題になる可能性は十分にあると考えるが、権利範囲の明確と訴訟力の具備に完璧を期することが、クロスライセンス等の国際協調と共に重要である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム