2011年7月30日土曜日

3月大震災後の時流を4~6月期の日立製作所業績で見る

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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昨日(2011-07-29)日立製作所が発表した同社4~6月期業績の説明は、大震災後の日本企業の時流を観察する主要な標識として注目される。その内容は(SANARI PATENT要約)、
(1) 大震災の被害発生と共に、電力制限・部材供給網の寸断など厳しい経営環境が継続したが、日立製作所(日立グル-プ)は4月末までには大半の拠点で生産を全面再開した。
(2) 4~6月の日立製作所の売上高は、前年同期比横這いの2兆1506億円になったが、これは、「日立物流がバンテックを連結子会社にしたこと」「システム物流が堅調に推移したこと」「新興国向け中心に建機部門が好調に推移したこと」「海外向けストレージソリューションを中心に情報通信システム部門も上回ったこと」による。
(3) 海外売上高は前年同期比1%減の9735億円となった。
(4) 営業利益は、建機・情報通信部門は前年同期比で上回ったが、コンポーネントデバイス部門・電力部門が減益し、前年同期比360億円減の524億円となった。
(5) 部門別に見ると、
(5-1) 情報通信システム部門の売上高は、大震災の影響で一部製品で部材不足によりハードウエアが減少したが、海外中心にコンサルティングやストレージ向けソフトウェア、サービスが増加した。
(5-2) 電力システム部門の売上高は、大震災で原子力発電システムが減少し、火力発電システムの一部案件が後ろ倒しになり、前年同期比6%減した。
(5-3) 社会産業システム部門の売上高は、鉄道システムが海外向け中心に増加し、昇降機も中国で好調だったが、プラント関連機器・工事が下回り、前年同期比1%減した。
(5-4) 電子装置システム部門の売上高は、「日立メディコの連結子会社化」による増加」「大震災による日立ハイテクノロジーズの半導体・ディスプレイ関連商品、部材の減」により前年同期比2%減した。
(5-4) 建機部門の売上高は、「中国の需要減」「他のアジア新興国、米国等先進国の需要好調で油圧ショベル等が増」により、前年同期比6%増した。
(5-5) 高機能材料部門の売上高は、「日立化成が、福島原発事故関連で一部操業停止で減」「日立電線。日立金属が増」で、前年同期比横這いとなった。
(5-6)オートモティブシステム部門の売上高は、「大震災による自動車生産の減による減」により4%減した。
(5-7) コンポーネントデバイス部門の売上高は、「ハードディスクドライブの価格下落」により8%減した。
(5-8) デジタルメディア民生機器部門の売上高は、「省エネ機器への買い替え需要増」「ディスクドライブ関連製品の部材不足と円高で減」「薄型テレビの価格下落」で9%減した。
(5-9) 金融サービス部門の売上高は、「日立キャピタルの海外事業、債権回収事業など新規事業の増」「大震災による減」で2%減した。
SANARI PATENT所見
高速鉄道車両、原発関連の海外需要動向が不透明であり、白物製品も価格競争も激化し、引続き7~9期の推移いかんが注目される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

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