2010年10月31日日曜日

Nidec Establishes New Manufacturing Company in Shaoguan, China 

日本電産が中国華南地区・韶関に生産子会社新設
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現時点では、円高方向継続の観測が強まり、主要企業が想定ドルレートを85円、80円、70円と切り上げているが、TV東京WBS10-29で、日本電産の「50円でも大丈夫に」という志向・自信の表明が象徴的である。日本電産自体は、会社四季報が特色付けるように、「海外比率74%、ブラシレスDCモータで有力、特にHDD用で世界首位、企業買収に積極的、業績は絶好調で最高純益、2015年度売上高2兆円の新中期計画に向け車載用工場の生産能力拡大へ」という状況だから、円高の活用・最適対応に積極的であること、至当と評価できる。
先日(2010-10-28)、「中国華南地区・韶関に生産子会社新設」と発表したが、その内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 設立の目的は、ファンモータ、光ディスク用ブラシレスDCモータ事業の拡大に伴う、華南地区における生産体制の強化である。
(2) 華南地区では既に、2002年に日本電産東莞有限公司を設立し、ファンモータ、光ディスク用ブラシレスDCモータを生産している。このたび設立した韶関の拠点についても、東莞の拠点とタイアップして、成長著しい華南地区での市場対応を進める。創業開始予定は2010-11、従業員数3000人、月間生産台数計画900万台である。
翻って日本電産の本年度上半期決算を見ると、連結売上高3408億円で前年同期比26.8%増、営業利益515億円で81.9%増を示しているが、この間、
(1) 2010-09-30にエマソン社のMotor and Control事業の買収を完了。既に2010-01-26に買収を完了した欧州の日本電産ソーレモーターと共に、一般モータ製品グル-プのグローバル成長戦略基盤を確立した。
(2) 2010-09-21にユーロ円建の転換社債型新株予約権付社債1000億円を発行し、財務基盤を一層強化した。
(3) ブラシレスモータ新時代の本格的な到来の機を捉え、テーマ性に沿ったビジネス展開に最重点を置き、省エネ・エコ・軽薄短小・ハーフプライスをキーワードとしている。
SANARI PATENT所見
上記(3)の「ハーフプライス」が今後特に重要であり、冒頭WBSから引用した{ドル50円でも大丈夫}という言明(WBSの放映通りとすれば)も信頼できよう。
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2010年10月30日土曜日

AEON Continues to Restructure Group Business With a Particular Focus on GMS

イオンはGMS(General Merchandise Store)に重点志向
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イオンの中間報告(2010-03-01~2010-08-31)が届いた。連結営業収益(SANARI PATENT注: 売上高+その他の営業収入)は2兆5051億円で、前年同期比微減だが、経常利益は675億7200万円で前年同期の2.1倍に著増した。
上記営業収益のうち総合小売業が2兆0339億円で81%を占めるが、その内容は、GMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウント)事業、戦略的小型店事業、中国事業、アセアン事業から成る。
(1) 国内GMS事業では、顧客の低価格志向が根強いことに即応して、全国のイオンSC(SANARI PATENT注: Shopping Center)とGMS直営店舗で実施した一斉セールなどの効果で、既存店客数が前年同期を上回った。一方、販管費削減や在庫コントロールなど、グル-プ各社の収益構造改革が進み、大幅増益となった。
(2) 国内SM事業は、プライベートブランド「トップバリュー」の展開拡大やコスト構造改革により、増収増益した。
(3) 戦略的小売店事業のミニストップは、猛暑影響で夏物商品好調と、直営からフランチャイズへの切替・ケータイ活用情報配信などによるコスト削減とが相俟って増益した。
(4) 中国の総合小売事業においては、品揃え強化や安全安心強調で、増収増益した。
(5) アセアンの総合小売事業も、安定的な経済成長を背景として、増収増益した。
その他の事業においては、
(1) 専門店事業で、ペット市場の需要増大に対応する品揃え強化、女性誌活用の認知度向上、書店拡販などによって、連結各社が増客増収増益した。(SANARI PATENT考察: ペット数が子供数を大幅に上回る増勢を示しており、関連需要が量的質的に拡大革新している)。
(2) ディベロッパー事業は、新規SC開設、既存SCのリニューアルを行い、空床率を改善した。
(3) サービス事業では、中国における「ジャスコ朝北大悦城店」や「イオン順徳SC」でサービス提供を開始した。
(4) 総合金融事業およびITデジタルビジネス事業は、イオンクレジットカード有効会員数が1857万人に達し、カードショッピング取扱高が前期比13.7%増、電子マネーの提携先拡大を国内で達成すると共に、海外事業でも取扱高を順調に拡大した。イオン銀行は2010-08-31時点のインストアブランチが67店舗、ATM数1663台(SANARI PATENT考察: 都内にもATM1台のみの郵便局が多いことと対比、インストアの便利性・安全性と対照すべきである)、普通預金口座数174万口座、預金残高8933億円、貸出金残高2271億円に拡大した。      
SANARI PATENT所見
イオンとアエブンアンド・アイ(店舗数1万2000超)の売上高がいずれも年間5兆円を超え、総合スーパー中心企業と国内最大流通コングロマリットの両社が、国内外で日本流通ビジネス知財の価値を発揮することを期待する。
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2010年10月29日金曜日

METI Reports 2010 Information-Communication Business Survey Results

 経済産業省が「平成22年「情報通信基本調査」速報
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経産省が標記速報を発表したが(2010-10-27)、業態の分類を創出するなど、今後の参考とすべきである。発表内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 情報通信業を営む企業(主業か否かを問わず、少しでも情報通信業を営んでいる企業)の数は4405社で、その情報通信業に係る売上高(SANARI PATENT注:「電気通信業」と「電気通信業に係る業」とは異なる概念として整理され、前者は後者の一部である)は2009年度において38兆6583億円であった。
(2) 売上高は、電気通信業、ソフトウェア業、情報処理・サービス業の順に大きく、この3業種で全体(電気通信業に係る業)の72.9%を占める。
(3) 企業数の構成割合について、資本金規模別では、12業種中7業種において「資本金1億円未満」が5割以上を占め、兼業率別に見ると、兼業している企業が全12業種において5割以上を占め、特に有線放送業においては94.5%が兼業をしている。
(4) 情報通信企業に格付けされた企業(売上高の最も大きい業種が情報通信業に格付けされた企業)の数は3939社で、その2009年度売上高は36兆8445億円である。
(5) 情報通信企業の1企業当たり売上高は93億5000万円で、電気通信企業、新聞企業、出版企業の順に多い。
(6) 情報通信企業の1企業当たり経常利益は7億1000万円、総資産は116億3000万円、純資産は62億3000万円である。
(7) 情報通信企業の常時従業員数は83万3000人で、1企業当たり212人であり、正社員・正職員が9割を占める。
SANARI PATENT所見
今後、様々な場合に引用される数値群だが、用語の定義を心得ておくことが必要である。

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2010年10月28日木曜日

Chinese Young People of Today Adopt Well to Net and Cell-phone 

中国工業都市・重慶の日本製品ボイコットデモ
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中国の内陸大都市に「反日デモ」が拡大しているが、日中の経済関係の緊密化は逆転できない必然性をもち、従って、これらデモの本質を理解して適切に対応することが最も重要である。マスコミ(朝日)によれば、「憤青(憤る青年達)と呼ばれる若者達は激しい反日デモを繰り返した」が、「重慶市中心部の広場に集結した若者には、10代後半の、あどけない顔付きが目立つ」という。
従って、中国で八十后(1980年代生まれ)、九十后(1990年代生まれ)と呼ばれる30才未満の世代の意識と行動がどのように形成されているのか考察することは極めて重要である。
中国青年の今次デモに先立つ工場ストライキに際して、中国通のジャーナリストとして知られる福島香織氏は文芸春秋2010-09号に、「ネットでつながる新人類が中国を揺るがす」と副題して、中国ストライキの本質を解説されたが、今次デモの起動力は、ストライキのそれと共通だという観点で理解を試みる必要があると、SANARI PATENTは考える。そこで上記福島香織氏の論旨を要約してみる。
(1) 中国のこの世代は、ネットとケータイで世論を自分達に引き寄せ、盾とする手法を熟知している。
(2) 2010-06末現在で、中国のインターネットユーザーは4億2000万人に上り、十代ユーザーが29.9%、20代ユーザーが28.1%を占める。
(3) この世代は、頭は悪くなく、ネットで情報を持ち、理想もある。従って、現状に不満を持ち、衝動的あるいは大胆な行動に出る。このような新たな価値観と行動力を持つ若い工場ワーカー数は増加し、中国を変える新たな力となる可能性がある。
(4) 不満が政府に向かいそうになったら、その矛先を日本や少数民族に誘導してかわす、という手段も採り得るだろう。
SANARI PATENT所見
上記(4)の可能性があるとすれば、それによる経済損失の回避は、わが国政府の中国外交への練達に俟たなければならない。
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2010年10月27日水曜日

METI Minister Answered on Google-Yahoo Collaboration Problem 

大畠経産大臣がグーグル・ヤフー提携について対記者コメント
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経産省記者会見で大畠経産大臣は、標記についての下記質問に対し、次のように応答した(2010-10-25 最終更新)。 
Q インターネット検索のヤフージャパンの、グーグルの検索システムを使うという提携を巡って、マイクロソフトですとか、楽天なんかから、グーグルの寡占が強まるんではないかという懸念の声が上がっているようですが、大臣のお考えをお聞かせください。
A このことについては、ヤフーとアメリカのグーグルの提携に関して、マイクロソフトや楽天が、公正取引委員会の調査を求める申告を行っていることは承知しておりますが、報告を受けた内容であれば、直ちに独占禁止法の問題とはならないと、この公正取引委員会は指摘をしておりますが、いずれにしても、現在その申告を受けて公正取引委員会は調査中という現状だけ私も認識をしております。経済産業省としては、今回の提携が利用者の利便性や広告サービス等に与える影響情報を注視していきたいと思います。
SANARI PATENT所見
検索市場のシェアは、国によって様相の相違が著しい。米国ではグーグルのシェアが大きいが、日本ではヤフーの方が従来大きいとSANARI PATENTは見て来た。中国では百度が圧倒的だったが、ヤフー・グーグルの今後の伸長が注視されている。
マイクロソフトの意見は既に2010-07-28に、itmedia.co.jpが次のように報じている(SANARI PATENT要約)。「Yahoo! Japan とGoogleの検索提携は、日本の検索市場における競争をなくす、とMicrosoftの法務幹部は2010-07-27にコメントした。Yahoo! Japanが検索エンジンと検索連動広告配信システムをGoogleに切り替えるという発表に対する意見で、日本の検索広告市場においては、GoogleとYahoo! Japanを合わせると9割を超える。日本は米国、中国に次いで検索クエリーが多いので、この提携は国際的な影響を及ぼす。」
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2010年10月26日火曜日

Patent Application Trend of SUMITOMO Corp. Including Display’s Optical Filter

住友商事中期経営計画における「Originality」と特許出願近況
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住友商事は中期経営計画「FOCUS」実施の真最中だが、「FOCUS」は、「Future」「Originality」「Core」「Unity」「Soundness」を柱とすると示している。住友商事の特許出願状況も、この「Originality」の一環と理解し、例示(SANARI PATENT要約)により、その志向を考察する。
(1) 発明の名称「表示画面用光学フィルタ」→ 出願人「東洋紡績・クレハエラストマー・住友商事」(特許庁公開日 2010-07-01)→ 液晶表示装置を使用する際、周囲の明暗に係らず、正面から眺めたときの画像視認性に優れると共に、横からの覗き見を防止することができ、また、フィルタを構成する各部材間の接着性に優れた表示画面用光学フィルターを提供する。
(2) 発明の名称「金属調化粧シート及び化粧板」→ 出願人「角正三郎・住友商事」(特許庁公開日 2010-08-05)→ 硬質樹脂に適用しても、金属箔の見栄えを十分に保ち得る金属調化粧シートを提供する。
(3) 発明の名称「ピレスロイド耐性害虫を防除する方法」→ 出願人「エス・ディー・エス バイオテック、住友商事」(公開日 2010-09-09)→ ピレスロイド耐性害虫を効果的に防除する方法を提供する。(SANARI PATENT注:「ピレスロイド」は、除虫菊の子房に含まれる天然殺虫剤レトリンに似た化合物)
(4) 発明の名称「サンショウオイル、その製造方法および食品」→ 出願人「サミット製油、キューピー、住友商事」(特許庁公開日 2010-05-27)→ 爽やかなサンショウ本来の挽き立ての香りを有し、しかもその持続性が高いサンショウオイル、その製造方法を提供する。
(5) 発明の名称「エアバッグ用ガスガイドおよびエアバッグシステム」→ 出願人「住友商事」(特許庁公開日2010-04-22)→ ガス発生装置からエアバッグ内に吹き込まれるガスが、袋体の内部空間におけるガス分散性の偏りを生ぜず、袋体の一部に加わる過大な応力を低減することにより、470デシテックス未満の糸を使用して製織されたエアバッグであっても、破損することなくスムーズに一気に展開させることを可能にするエアバッグ用ガスガイドおよびエアバッグシステムを提供する。
SANARI PATENT所見
共同出願人の形で、特許権実施による発明の実用化やライセンス供与のグル-プが予定され、テーマの「産業上利用可能性」が実現し易いことから、住友商事の中期計画にも十分適合するものと考える。
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2010年10月25日月曜日

Patentability of the Induced Pluripotent Stem Cells Relating Inventions

 誘導多能性幹細胞関係発明の特許性
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通称「iPS万能細胞」をめぐって各国特許競争への対処に官民が色めいた一時があったが、先ずiPS、すなわち、誘導多能性幹細(SANARI PATENT考察: もっと正確には、「ヒト体細胞由来誘導多能性幹細」)の本質について官民ともに理解を深めるべきである。従って、2010-10-23記事を続ける。
(1) 立花氏「本来、細胞には分裂回数の限界がある。DNAの端にテロメアという尾のような部分があって、分裂を繰り返す度にそれが短くなり、テロメアの残りが無くなると分裂は終了する。その細胞が老化の果てまで生きたということで、あとは死ぬほかない。しかしiPSやES細胞(SANARI PATENT注: 受精卵から作った胚幹細胞)では、このテロミアの長さが元に戻っているのですね。」 山中教授「はい、これまでに、81歳。30歳、6歳の方の皮膚細胞からiPSを作っています。(SANARI PATENT考察: 原文に「iPS細胞」とあるが、iPSには「細胞」の語が含まれているから、「細胞」を付する必要はない。)当然ながら、6歳の子のテロメアが最も長く、81歳の方のテロメアは非常に短くなっている。ところが、その細胞をiPS細胞にすると、テロメアが赤ちゃんの状態に戻ります。」 立花氏「それは驚きですね(SANARI PATENT考察: 特許性用語で言えば「非想到容易性」)。古代から若返りの薬の入手は人類の夢でしたが、細胞レベルで先ず、それが実現できたことになる。」
(2)  iPS活用への現段階→ 立花氏「患者さん自身を人体実験することはできないけれども、患者さんの細胞レベルの「分身」を使うとことにより、いくらでも野心的な実験ができますね。」山中教授「そうなんです・もちろん、あくまで細胞ですから、個体とは違います。ただ、患者さんの細胞の時間の針を戻してiPS細胞にし、それを体外で培養できる利点は大きい。」
(3) 日米の差→ 山中教授「iPS細胞はツールなのです。ツールとしての普及が、日本は遅れていることに、僕は強い危機感を持っています。」 
SANARI PATENT所見
上記のほか多くの重要な対話がなされているが、iPS細胞の癌原性可能性のように、かって問題とされた事項の解決について言及される時間を欠いたことは惜しまれる。(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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2010年10月24日日曜日

Realizing the Possibility of Induced Pluripotent Stem Cells

 iPS細胞の実用に至る過程と課題
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知財立国の柱として、iPS細胞による再生医療の実用化が、内閣知財戦略本部の知財計画にも強調されてから既に4年余を経過したが、現時点でその状況はどのように成っているのか、思いがけず、畑違いとも見える文芸春秋誌上(2010-08)に山中伸弥教授と立花隆氏の対談が掲載されて、最も基本的な知識を学習し直す機会が一般向けに提供されたので、要点を摘記しておく。
(1) 万能性か多能性か→ 4年余り前に山中伸弥教授グル-プによるiPS作成が発表されて以来、マスコミはこれを「万能細胞」と呼び、上記文芸春秋も「ノーベル賞級学者が語る、万能細胞と再生医療の未来」と副題されている。SANARI PATENTは当時から、iPS細胞のフルネーム、すなわち、Induced Pluripotent Stem Cellsの「pluri」から、「人工多能性細胞」と呼んでいたが、フルネームとしては「誘導多能性幹細胞」が正しい。
(2) 山中教授は、上記記事において「万能」ではなく「多能」であることを次のように説明している(SANARI PATENT要約)。「理論上、iPS細胞からは体のあらゆる細胞を作ることができるが、栄養外胚葉だけは作れないので、単独では生命を生み出せません。これが受精卵との大きな違いです。ですからiPS細胞は、「万能細胞」ではなく、より正確には、「多能性」細胞と呼ばれています。」
(3) 分化細胞から未分化細胞に→ 立花氏の質問「山中先生達は最初に、皮膚の細胞からiPS細胞を作られましたが、その後の研究によって、血液からでもできることが既に分かっています。一つの細胞が脳とか心臓、肝臓、筋肉など、ある役割を持った細胞に変化していく過程、すなわち分化について、(iPS細胞を作る元となる)皮膚も血液も完全に分化してしまった細胞ですね。それがiPS細胞になると未分化な状態に戻るわけですから、細胞レベルのタイムマシーンを発明したと言っていい。」(SANARI PATENT考察:「iPS細胞」作成の特許性を簡明に表現して、秀逸である。) 
(4) 山中教授「それは専門的には、初期化とかリプログラミングと言います。」
(以下10-25)
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2010年10月23日土曜日

Mitsubishi Corp. as an Independent Power Producer

 三菱商事が展開する海外発電事業
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三菱商事の今次報告では、電力事業について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 世界経済の成長に伴う電力需要充足と環境保全両立のバランスよい解決のため三菱商事は、これまで培ってきた海外における独立系発電事業者としての実績や、グローバルなネットワークを基盤として取組んでいる。
(2) 新エネはこれまで、欧州各国が固定価格買取(Feed-in Tariff)制度により普及を促進し、今後は米国その他のOECD諸国もFIT制度を本格的に導入する。一方、アジアなどの新興国では、電力需要増のため発電プロジェクトが急増し、従来型火力発電に加えて新エネ導入が一部で活発化している。
(3) 三菱商事は現在、米国・メキシコ・東南アジアを中心として海外Independent Power Producer (IPP)事業で約420万kWの持分容量を有するが、長年培ったノウハウやグローバルネットワークの強みを活かし、新エネを含む総合的電力事業を展開する。
(4) 三菱商事は2009-08に、スペインに本社を置くAcciona社がポルトガルのモーラ地区で運営する太陽光発電事業会社AMPER CENTRAL SOLARの株式の34%を取得した。このプロジェクトは太陽光発電で世界最大規模となる4万6000kWの発電(SANARI PATENT考察: 次項に「世界最大規模7万kWが出てくるが)を行うもので、石炭火力発電に比べ年間8万9000トンのCO2削減効果が見込まれる。      。
(5) 三菱商事は、東南アジア・台湾で電力事業を展開するDIAMOND GENERATING ASIA(香港)で、大型火力発電所の管理業務や新規開発案件を担当している。タイ政府が太陽光発電への支援策を表明した好機を捉えて、タイ・香港の企業と提携し、世界最大規模となる7万kWの太陽光発電所建設を進めている。
SANARI PATENT所見
電源開発株式会社の海外事業との調整について言及が望まれる。
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2010年10月22日金曜日

High Capacity Lithium Ion Battery Project Tackled by Mitsubishi Corp. 

三菱商事の大容量リチウムイオン電池事業計画
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三菱商事は、その「大容量大容量リチウムイオン電池事業」について次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 電気自動車は、自動車の既成概念を覆すパラダイムシフトであり、夜間電力使用の充電などCO2排出削減効果が大きく、経済性も高い。(SANARI PATENT考察:「既成概念」がどんな概念であったかということになるが、ガソリンエンジン駆動機構をモーターとバッテリーで置換する業界が既に成立しており、自動車工業の企業構造が先ずパラダイムシフトする。CO2削減効果は、充電する電力の生産におけるCO2排出量が示されなければ、評価の術がない。経済性も蓄電池価格が示されなければ評価できない。しかし、これらの効果が大であるよう、世界的に設計政策・戦略が推進されていることは事実である。)
(2) 三菱商事は、電気自動車の心臓部である大容量大容量リチウムイオン電池の開発・生産・販売事業に積極的に取組んでいる。政府の施策が電気自動車の普及を後押しする、すなわち、「消費者向け施策として補助・減税」「産業界向け支援」「燃費等規制」など。2020年には全世界新車販売台数1億台のうち500万台が電気自動車と見込み(SANARI PATENT考察: 10年間で5%に、というのだから、存外、電気自動車普及率の上昇は低速)、特に環境規制強化の欧州で250万台(残250万台が日米アジアなど)に達すると見込み、大容量リチウムイオン電池や高性能モーター用ネオジム磁石の生産・販売、および、原料リチウム資源などレアアース資源の開発に取組む。
(3) 具体的に三菱商事は、GSユアサ・三菱自動車工業との共同出資によるリチウムエナジージャパンで、アイミーブ搭載の大容量リチウムイオン電池を生産販売している。アイミーブは他社の電気自動車に先駆けて2009年から量産を開始した。
SANARI PATENT所見
大容量リチウムイオン電池の流通経路は、電気自動車の生産構造が流動的であり、また、日産が提案していたレンタル方式もあり、三菱商事の弾力的対応能力が希求される。電気自動車そのものの普及には充電施設の整備が必要であり、電力販売事業規制についての不透明な印象は、経産省が即刻、規制簡明化により対処すべきである。
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2010年10月21日木曜日

Solar Frontier Co. and IBM Signed Agreement for Developing CZTS Solar Cell

 ソーラーフロンティアの太陽電池事業、GE・IBMと提携
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楽天市場でも馴染まれているソーラーフロンティア(昭和シェル石油の100%子会社)の太陽電池だが、欧米企業との技術・販売両面での提携を進めると共に、タイへの大容量モジュール供給開始など海外展開を加速し、更に「太陽電池に関するリサイクル活動をグローバル展開」と発表した(2010-10-19)。
希少金属代替技術による太陽電池開発計画も指向し、レアメタル資源についての全世界問題化に対応する時流適合性を示している。最近の発表(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) ソーラーフロンティアと米国IBMは、CZTS(銅・亜鉛・錫・硫黄・セレン)薄膜太陽電池セルの共同研究を行うことで合意した(2010-10-19)、両社同日発表)。「薄膜太陽電池におけるトップランナーとして、研究開発に必須の知見を活用する」と副題している。
(2) IBMは、CZTSを用いた太陽電池セルとしては記録的な9.6%の変換効率を達成したと、2010-02に発表している。このIBMの画期的な研究成果と、ソーラーフロンティアの薄膜生成技術および製造技術を協働させることにより、レアメタルを使用せずに、入手が容易で安価な材料を用い、価格競争力にも優れた太陽電池開発を目指す。
(3) 台湾のDelSolar社も、この技術分野でIBMとパートナー関係を結んでおり、日米台湾というグローバルな協業により、CZTS薄膜太陽電池技術の進化が期待できる。
SANARI PATENT所見
ソーラーフロンティアはまた、米国General Electricとの間で、ソーラーフロンティアCIS太陽電池モジュール(SANARI PATENT注: CISは銅・インジウム・セレン)の供給とシステム技術について提携することを合意している(2010-10-13発表)。世界の大規模太陽電池市場に参入し、CIS太陽電池モジュールを世界中の顧客にお届すると言っているが、例えばタイのカンクルバジャワット社に3.3mWのCIS太陽電池モジュールを供給すると計画いている。
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2010年10月20日水曜日

Mitsubishi Corp. Contributes for Overseas Ebergy and Water Supply Infra 

三菱商事の海外エネルギー・水供給インフラ事業
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環境問題は様々な視点から考えられるが、総合商社として三菱商事はどのような視点からそのビジネス化を進めるか。戦略の内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) 地球環境の緯持を視野に入れたインフラ整備は、世界喫緊の課題である。世界の人口は現在の65億人から2030年には83億人に、2050年には90億人に達する。また、現在の新興国全体の人口は約50億人、一人当たり年間エネルギー消費量は石油換算で1トン、先進国全体の人口は約15億人(SANARI PATENT注: 世界全体を先進国と新興国に2分して分かり易く表現している)、一人当たり年間エネルギー消費量は石油換算で4トンだが、世界人口が90億人に達すると共に、その生活水準が向上し、新興国を含む全世界が一人当たり年間エネルギー消費量・石油換算で4トンと仮定すると、その総量は、現在の110億トンから360億トン。3倍以上に著増する。水資源についても同様である。
(2) 世界全体で、地球環境緯持を視野に入れたインフラ整備が急がれる状況のもとで三菱商事は、長期安定的に電力を供給する事業を拡大すると共に、太陽光・太陽熱・風力などをエネルギー源とする発電設備の導入促進、リチウムイオン電池を動力減とする電気自動車の普及、排熱のエネルギー転換や省エネ機器導入など、環境負荷を低減する事業にも取組んでいる。
(3) また、官民連携して水事業に取組んでいる。三菱商事の出資先であるジャパンウォーターや荏原エンジニアリングサービス。フィリピンのマニラウオーターなどの実績とノウハウを基に、水道インフラ整備のグローバルな需要に応えている。
(4) 現在、開発途上国では人口50億人が一人当たり年間500トン、先進国の人口15億人は一人当たり年間1000トンの水を使用している(SANARI PATENT考察: 上記1では世界人口を先進国と新興国に2分しているが、ここでは先進国と開発途上国に2分しているので、結局、開発途上国と新興国を同義として述べており、やや粗雑である。なお、一人あたり水使用量は産業用業務用も含めて割り算していると解する。先進国の国民一人当たり生活用水は1日約1トンである。洗車や入浴で個人差あり。)従って、全世界で年間4兆トンの水が使用されているが、開発途上国の人口増加により2025年には年間5兆トンの水が必要となる。(SANARI PATENT考察: 2025年乃世界人口は76億人と見込まれるから、開発途上国の水消費水準向上を参入した数値である。)このための水道インフラ整備費は全体で100兆円を超える。
(5) 2010-05に三菱商事は、産業革新機構・日揮・マニラウオーター社と共にコンソ^シアムを組み、オーストラリアの水道事業会社United Utilities Australliaの買収に合意するなど、世界の水インフラ整備に貢献する体制を整えている。
SANARI PATENT所見
日本では水供給事業を地方公共団体が行っているため、海外入札における事業経験要件を満たす民間事業者が欠如していると言われてきたので、三菱商事の海外活躍に対する期待は大きい。
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2010年10月19日火曜日

Mitsubishi Corp. Develops Mutual Point Card System Named Ponta

 三菱商事が共通ポイントシステムPontaを発足し急拡大
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三菱商事は今年3月、その100%子会社であるローヤリティマーケッティングが運営する、共通ポイントプログラムPontaを発足させた。年々成長を続ける日本のポイント市場において、利用者の視点に立ち、これまでにない便利で使い易いサービスを実現し、共通ポイントを通ずる参加企業の連携による流通市場の活性化を目指しているから、その展開動向は極めて注目すべきである。
その内容(SANARI PATENT要約)を考察すると、
(1) 消費者の購入金額に応じてポイントを付与し、次回以降の購入時に利用できるなどのメリットを提供するポイントプログラムは、消費者をターゲットとする企業において、顧客の囲い込み手段として重視され、日本では既に8000億円を超える市場に成っている。
(2) 通常のポイントカードは、企業が単独で運営しているため、コストと手間がかかる割に顧客の確保が難しく、消費者にとってもポイントが蓄積しにくいという課題があり、複数企業間での相互送客を行う交換プログラムも拡大しつつある。しかしこの場合でも、消費者にとっては複数カードを保有しなければならない不便性は同様で、利便性の向上には限界がある。これらの課題を解決するため登場したプログラムがPontaである。
(3) Pontaは、ポイントプログラムの専業事業者であるローヤリティマーケッティングが、多数参加企業のポイントを取りまとめて、共通のPontaという単一ブランドのポイントを発行する、日本では新しいタイプのポイントプログラムである。運営者が中立の立場にあるので、各企業の参加ハードルが低く、参加後は、平等に参加利益が得られるから、ポイントカードの先進国である英国やドイツでは全世帯の半数が加盟しており、その運営は第三者である共通ポイント専業者が行うことが一般的である。
(4) 三菱商事のPontaは、参加企業のローソン及びゲオの既存会員を承継し、2010-03に会員数2000万人規模で発足した。現在までに昭和シェル石油、日本ケンタッキーフライドチキンなど多数企業が参加し、会員数2400万人(2010-06-30現在)に達した。
SANARI PATENT所見
情報通信の分野ではネットワーク効果という現象が「規模の利益」の急拡大を示しているが、三菱商事のPontaも、「真の」共通ポイント効果を発揮することにより、さらに急拡大が可能と考える。中国の銀聯キャッシュカードが日本で活躍しているのと同様に、ポイントシステムでも国際性が今後の課題である。
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2010年10月18日月曜日

Mitsubishi Corp’s Strategy for Advanced Countries 

三菱商事は、先進国市場の変化をビジネスチャンスにつなげる
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昨日(2010-10-17)に続けて、三菱商事の先進国市場戦略3項目のうち先ず、「PRINCES」(SANARI PATENT要約)について考察する。
(1) 成熟化が進んだ先進国市場は、新興国市場の成長性と比較すれば魅力に欠けるとの見方もあるが、市場の安定性や、依然、世界市場で大きな比重を占める経済規模など、新興国市場にない魅力がある。
(2) さらに、先進国市場においても様々な注目すべき変化が発生し、新たなビジネスチャンスが生まれている。
(3) 三菱商事が100%出資する英国の食品・飲料製造販売会社PRINCESは、1990年に三菱商事が買収後、英国食品業界の変遷に合わせて、Mand Aを通ずる事業基板の強化により、20年間で売上高を6倍に伸ばし、三菱商事の生活産業グル-プの中核となった。今後も、自社ブランド製品に加えて、大手スーパーマーケットを中心とする顧客企業のプライベートブランドあ必要も製造販売し、欧州大陸市場への拡販を推進する。
(4) PRINCESは現在では、従来の缶詰製品に加えて飲料・食用油・パスタなど17カテゴリーで上位シェアを占めている。自社工場も、買収当時の1ケ所から英国に9工場、モーリシャスに1工場と拡充され、営業拠点もオランダ・イタリアポーランドにも展開している。販売ブランドもPRINCESに加えてNapolina、 Aqua Puraなどに拡大した。
(5) 大手5社の市場シェアが約8割と寡占化が進み、プライベートブランド製品の販売比率が4割を占める英国小売業界においては、顧客であるスーパーマーケットのニーズを的確に把握し、対応することが重要である。
SANARI PATENT所見
三菱商事が、英国におけるビジネスモデルの発揮に成功の確信を抱き、欧州にこれを拡大していることは、新興国一辺倒的な、現在の日本産業論に対して、強烈な反省を促すものである。
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2010年10月17日日曜日

Mitsubishi Corp. Pursuits Stable Earnibgs to Enhance Business

三菱商事の「新興国市場」「先進国市場」「地球環境」チャレンジ項目
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わが国総合商社の機能発揮は内外注視のまとだが、三菱商事は次のように方向性を明示している。
新興国市場→ 「原料炭事業・製鉄製品事業」「インドネシア自動車事業」「サウジアラビア総合リース事業」
先進国市場→ 「PRINCES」(説明は10-18 http://bit.ly/a1ftXo ) 「共通ポイントプログラムPonta」「不動産事業」
地球環境→ 「水事業」「大容量リチウム電池事業」「電力事業」
ここでは先ず、新興国ビジネスにおける三菱商事の抱負(SANARI PATENT要約)を見る。
(1) 三菱商事と新興国の間柄→ 新興国市場における三菱商事のビジネスは、その多くが、近年の新興国の著しい経済成長が注目される以前にから、三菱商事が事業化に着手し、現地の人々と共に地道に築いてきたものである。
(2) これが今まさに、開花しつつある。新興国の成長モデルが、先進国向け輸出に依存する成長から、自立的な成長へと大きく変化している趨勢に対応して、三菱商事の新興国ビジネスも新たなステージを迎える。
(3) 例えば、三菱商事が、インドネシアにおける自動車事業の要であるKRAMA YUDHA TIGA BERLIAN MOTORSを設立したのは1970年である。かって新興国の多くは、主に先進国への輸出によって経済成長を実現してきたが、いわゆる中間層の消費拡大や、経済発展に伴う急速なインフラ投資が牽引して、新たな成長モデルに推移している。
(4) 三菱商事は、先ず原料炭事業・鉄鋼製品事業について、オーストラリアの原料炭を中国・インド等に安定供給し、鉄鋼製品分野では、ヅラジルでの鉄鋼流通等に取組んでいる。
(5) 力強い経済発展を続けるインドネシアにおいて三菱商事は、40年間にわたり自動車事業を展開している。現地パートナーとの合弁で設立したKTBを中心に、強固なValue Chainを展開している。
(6) サウジアラビアでは、19歳以下が人口の5割を占め、消費と労働の潜在発展力が大きい。三菱商事は現地パートナーと共に、総合リース事業を展開している。
SANARI PATENT所見
総合商社の機能が、日本経済成長の起動力として、改めて明確に認識される。
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2010年10月16日土曜日

Household Electrical Appliances Market Rally Active 

ビックカメラ8月決算の好調に見る生活の高度化と電子情報活用の普及
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景気動向を見る大きな要素として情報家電などの景況が注目されるが、8月決算のビックカメラは、好調な業績を発表した(2010-10-14)。その内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 2010-08期における日本経済は、企業収益・個人消費の改善の動きが見られ、景気は持ち直しつつあるものの、失業率は高水準など依然として厳しい。しかし、家電小売業界では、消費者の環境意識の高まり等で、省エネ・高付加価値商品の売上高が堅調に推移し、エコポイント制度対象のテレビ・エアコン・冷蔵庫が堅調に推移した。特にエアコンなどの季節家電商品が、猛暑で好調に推移した。
(2) また、ウイルス対策により需要増の空気洗浄機や、ブルーレイディスクレコーダの売上高も好調だった。
(3) このような環境下でビックカメラグル-プは、「より豊かな生活を提案し、進化し続ける、こだわりの専門店の集合体」の一層の強化を目指し、価格・品揃え・接客・サービス・店作りの改善を重ねている。鹿児島駅前店開店、さくらや4店舗承継、船橋駅店・聖跡桜ケ丘店・新宿東駅前店・相模大野駅店の開店を相次いで行った。
(4) 以上の結果、連結売上高は前期比3.2%増の6082億7400万円と、価格サービス反映ながら、営業利益は66.7%増の147億5900万円に著増した。
(5) 今後の家電業界は、2011-03までエコポイント制度の延長や、2011-07の地デジ完全移行などの追い風はあっても、デフレや個人所得の伸び悩み、同業他社との競合が続く。従ってビックカメラは、「市場シェアの拡大」、「顧客基盤の拡大と利用頻度の向上」、「コスト削減、在庫管理の徹底」、「業務提携」を推進する。
SANARI PATENT所見
新宿駅周辺の大型家電店増加による競争は既に激化しているが、ジャパネット倶楽部のような「全国をネットする快適ライフのパートナー」自認企業との競争も激化する。テレビ東京のWBSやNHKTVでビックカメラ新宿西口店が頻繁に登場し、周知徹底して、実質「駅中店」の利便を発揮しているが、同じテレビ東京・朝の株式市況に続く「株式会社ジャパネットたかた」の訴求力も相当なものである。懇切・聡明な女性スタフのアドバイスによるリアル店舗での買物の魅力は大きいが、「ネットショップ・ビックカメラ」のガイドも更新しており、リアル・ネット共用での24時間ビックカメラが業容拡大すると考える。
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2010年10月15日金曜日

METI Minister Met with Jordan Prime Minister on Atomic Power Generation 

来日中のヨルダン首相と大畠経産大臣会談で原子力発電協力など
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「 大畠経産大臣のリファーイ・ヨルダン首相表敬結果について」、経産省が次のように発表した(SANARI PATENT要約)(2010-10-13)。
(1) 本日、大畠経産大臣と中山経産大臣政務官が、訪日中のヨルダン・リファーイ首相・イラーニ鉱物資源大臣・ハディーディ産業貿易大臣・ファフーリ公共事業大臣兼大規模事業大臣・ハッサン計画国際協力大臣を訪問・会談した。
(2) ヨルダン首相から、ヨルダンは原子力発電事業を始めとする大規模なインフラ事業を計中であると述べ、大畠経産大臣は、日本の原子力関連企業は信頼性・安全性・耐震性の面で高度な技術を有し、ヨルダンの原子力発電導入の貢献できること、また、ファイナンス・人材育成・安全規制面を含めて、日本政府として最大限支援の意向を述べた。
(3) ヨルダン首相は、日本の技術の高さは十分理解しており、また、ヨルダンの原発事業は周辺地域全体にも経済的恩恵が及ぶ広域案件であると説明した。
(4) 大畠経産大臣から、2010-12にチュニジアで開催される第二回日本・アラブ経済フォーラム(第一回は2009-12に東京で開催し、参加者約1200名)に参加を要請した。
SANARI PATENT所見
アンマン共同(2010-10-13)は、「ヨルダン初の原発建設計画で、三菱重工業などが受注を目指していること」、「ヨルダンは慢性的水不足に悩み、人工増から電力も不足、原発により電力不足と海水淡水化や水運搬のエネルギーを得たいこと」などを伝えている。
「預言者ムハンマドの曾祖父ハーシム家の王国ヨルダン」は立憲君主国、リン鉱石・天然ガスが主な産業、イラク・パレスチナ等の政情不安のため、それら諸国事業家でヨルダンに拠点を置く者が多い。
佐成重範弁理士が14年前に死海に舟を浮かべ、対岸のイスラエルを眺望したころは、周辺が比較的平和だった。
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2010年10月14日木曜日

Neodymium Relating Inventions to be Noticed for its Various Problems 

レアアース中の最重要物質ネオジム関係発明
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中国からのレアアース輸入の円滑確保が、そのグローバルな資源分布への対応や代替物質・代替技術開発と共に外交・産業両面の重要課題となっているが、 レアアースの中でもネオジムの名が最も頻繁に挙げられ、広く注目を集めている。従って、ここではネオジムに限定して、最近の特許庁公開発明の動向を考察する。
ネオジム関連特許庁公開件数は2010-01-01~2010-10-12のみでも136件に達するが、うち数件(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) NTT「固体酸化物形態燃料電池」(特許庁公開日2010-10-07)→ 他の材料と空気極との膨張係数の差を小さくできる状態で、電気活性を高くするため、電解質の一方にネオジムまたはランタンを備えるペロブスカイト型構造の金属酸化物を用いる。
(2) 日本化薬「ナノインプリント用紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品」(特許庁公開日2010-09-30)→ 被加工基材上に塗布した樹脂組成物を、ナノインプリント法により加工することによって、ナノスケールの凹凸構造を有する樹脂層を形成し、この樹脂層をレジストとしてドライエッチング法で加工することにより、ナノスケールの凹凸構造を有する基板を製造するためのレジスト材料を提供する。
(3) 日本ペイント「複層塗膜形成方法」(公開日2010-09-30)→ 従来の高コストな防錆化成処理工程、例えば、リン酸亜鉛処理工程などを省略し、なおかつ、その代替として、従来の防錆化成処理工程と同等もしくはそれ以上の優れた防錆性を提供することができ、しかも、その防錆性が実際の腐食環境に適合する経済性にも優れた複層塗膜形成方法を提供するため、レアメタル(希土類金属)を用いる。
SANARI PATENT所見
ネオジムなどのレアアースを活用して諸機能を高度化する発明、レアアースを高効率で回収する発明などが従来のネオジム関連発明の大多数であるが、ネオジム使用に代替する技術発明と、ネオジムの偏在資源分布をグローバルに確認して合理的入手を確保することが、わが国当面の課題である。
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Neodymium Relating Inventions to be Noticed for its Various Problems レアアース中の最重要物質ネオジム関係発明
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中国からのレアアース輸入の円滑確保が、そのグローバルな資源分布への対応や代替物質・代替技術開発と共に外交・産業両面の重要課題となっているが、 レアアースの中でもネオジムの名が最も頻繁に挙げられ、広く注目を集めている。従って、ここではネオジムに限定して、最近の特許庁公開発明の動向を考察する。
ネオジム関連特許庁公開件数は2010-01-01~2010-10-12のみでも136件に達するが、うち数件(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) NTT「固体酸化物形態燃料電池」(特許庁公開日2010-10-07)→ 他の材料と空気極との膨張係数の差を小さくできる状態で、電気活性を高くするため、電解質の一方にネオジムまたはランタンを備えるペロブスカイト型構造の金属酸化物を用いる。
(2) 日本化薬「ナノインプリント用紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品」(特許庁公開日2010-09-30)→ 被加工基材上に塗布した樹脂組成物を、ナノインプリント法により加工することによって、ナノスケールの凹凸構造を有する樹脂層を形成し、この樹脂層をレジストとしてドライエッチング法で加工することにより、ナノスケールの凹凸構造を有する基板を製造するためのレジスト材料を提供する。
(3) 日本ペイント「複層塗膜形成方法」(公開日2010-09-30)→ 従来の高コストな防錆化成処理工程、例えば、リン酸亜鉛処理工程などを省略し、なおかつ、その代替として、従来の防錆化成処理工程と同等もしくはそれ以上の優れた防錆性を提供することができ、しかも、その防錆性が実際の腐食環境に適合する経済性にも優れた複層塗膜形成方法を提供するため、レアメタル(希土類金属)を用いる。
SANARI PATENT所見
ネオジムなどのレアアースを活用して諸機能を高度化する発明、レアアースを高効率で回収する発明などが従来のネオジム関連発明の大多数であるが、ネオジム使用に代替する技術発明と、ネオジムの偏在資源分布をグローバルに確認して合理的入手を確保することが、わが国当面の課題である。
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2010年10月13日水曜日

Canon’s Annual Patent Applications are Increasing to Over 8000

 キャノンの特許出願件数、年間8千件超の活況
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国際関係も経済成長も、大企業の行動に先ず依存するから、会社四季報編集部の執筆に成る朝日新聞(2010-10-12)の「東洋経済の眼」、「研究開発の成果を知る」「特許にも注目」には、殊更、関心が持たれた。「日本では、研究開発・高付加価値品の生産に傾斜し、デフレ下でも研究開発費を増やす企業は多いこと」、「今期10億円以上の研究開発費投入を予定している企業489社のうち約8割が前期より研究開発費を増額すること」、「ただし、研究開発費に見合う効果の有無については、特許出願に関するデータを参照べきであること」、「特許データ分析の収穫は、技術力評価にとどまらないこと」など、適切な指摘がなされている。
ただ、若干気になったのは、「例えば、キャノンの太陽電池関連特許出願件数は2004年を境に急減している。2007年には、有機薄膜太陽電池製造装置のトッキを子会社化した。自前の開発をやめたと推測できる」と続けていることで、子会社による特許出願も一般的だから、ここの表現自体も納得できないが、さらに、「海外に眼を転ずると、米国では台湾・韓国・中国企業が出願数の上位で、もはや日本企業の技術優位さえ盤石ではなくなっている」と続けているので、SANARI PATENTとしては、取り越し苦労ながら、太陽電池関係はキャノンの選択と集中の結果であり、キャノンの特許出願総活動は逐年益々活発化していることを、読者の誤解がないよう記しておきたい。数字で言えば、キャノンの2009-10-01~2010-09-30の一年間発明・特許庁公開件数は8087件で、2008-10-01~2010-09-30、2年間の1万5989件、2007-10-01~2010-09-30、3年間の2万3926件を上回る増勢を示している。なおキャノンの特許庁公開発明件数は16万8466件(2010-10-12現在)に達し、包括的クロスライセンスなどによりわが国関連企業全体のグローバル展開に寄与している。
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2010年10月12日火曜日

From Money Stopping to Money Flooding

 マネーが止まった状態からマネーが溢れた状態へ
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貴重な著作であるのに「積読」(つんどく)状態で過ごした田中直毅氏の「マネーが止まった」を再読した。2008-12-23第一刷発行で、その時点における極めて明快な判断が惜しみなく吐露されていて、現時点の貴重な参考意見である。
最近、円高利用もあって、M and Aによる海外企業の買収が活発だが、2008年末の時点ではM and Aを田中直毅氏はどのように評価しておられたか(SANARI PATENT要約)。
(1) Lehman Shockに伴う欧米金融機関の経営不振→「マネーが止まる」で、日本の金融機関は漁夫の利を得るのではないかという仮説が拡がっている。
(2) その根底には、「マネーが止まる」状況では「キャッシュは王様」であり、日本の家計の金融資産では現預金比率が高いので、日本の銀行には安定した預金が張り付いており、経営上の優位性が高まったはず」という見解がある。
(3) 例えば、Morgan Stanleyに20%程度の出資をした三菱東京UFJ銀行、Lehman Brothersの欧州・アジア・中東関連人材を吸収した野村証券の取組が、グローバルな経済回復の将来図に沿うことが期待される。
(4) 今後の日本における金融活動は、裁定取引を通じて金融資本内部の歪みを是正し、効率市場をつくるという金融工学の関心領域とは、ある程度距離を保ちつつ、実物経済における資源配分の新たな仕組みを構築すべきである。
(5) 例えば、投資銀行業務の中でもM and AやLeveraged Buy-Outという手法はは、実物経済に極めて大きな影響を与える。
SANARI PATENT所見
田中直毅氏は、上掲ご著作においては、「M and Aとは、従来の事業を大幅に内部革新するに足る技術基盤や営業基盤、あるいは人材を保有した企業の買収によって、新たな実物的投資の展開に繋げる手法である」と評価しておられるが、「大幅に内部革新する」という程度に至らない、むしろ在来の企業風土に影響することなく、相手方企業の知財権・営業基盤を包括取得する複数のM and A
の集積が、社内または連携Open Innovationよりも迅速に、円高メリットを活かしつつ実物的投資に資金を活用する適切な方法と、SANARI PATENTは考える。
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2010年10月11日月曜日

e-Publisher and e-Published Matter Seller to be Integrated 

在来出版社と電子出版社と統合の必然性
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DNP(大日本印刷株式会社)の今次株主通信は、「DNPが拓く電子出版ビジネスの可能性」を特集したが、その内容について最大の問題点は、ビジネス展開のイメージを、「著者←→出版社←→DNP」の3者鼎立構造の一つの柱としてDNPを位置付け表示していることである。これではDNPは「電子プリントと紙プリント」の両プリントを兼営するに過ぎず、著者が出版社に依存して書価格の10%程度の、いわゆる印税を受領してきた従来体制に代えて、あるいは少なくとも従来体制に加えて、新電子出版社であるDNP(すなわち、従来出版社機能と電子出版社機能の統合体たる新DNP)としても機能し、著者に対書価70%程度のいわゆる印税を交付できてこそ、コンテンツ振興の使命を完遂できるからである。在来の出版社が出版物の内容・著者・表題・装丁を企画して印刷会社にプリントを発注し、卸販売会社に託するという多層構造から、著作者が真にクリエータの機能を発揮し、デジタル制作したコンテンツをDNPによって電子出版し、DNPが書価の70%程度をコスト+合作料として、適正報酬を含め取得することが次世代の在り方である。もちろん、DNPと同様の企業体との競争のもとにおいてである。
今次通信では「出版社の事業展開をサポートするハイブリッド制作ソリューション」の機能を指向しているが、サポートではなく、自ら出版社機能を営み、従来出版社も電子出版機能を別途統合して、互いに競争関係に立つことを目指すべきである。
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2010年10月10日日曜日

Shibaura Institute of Technology Holds Tokyo Area Alumni Association on Nov.5 

芝浦工大校友会東京総支部総会を2010-11-05に開催
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佐成重範弁理士が芝浦工大の芝浦短大電気科(夜間)を卒業したのは1961年3月で、東京通産局総務課長在任中だった。本省勤務は国会や予算編成・政策立案のため残業が日常化しているが、地方局はそれがないので、同校の高電圧実験装置や、当時最先端のトランジスタ研究に夜間取組み、「トランジスタの特性曲線」の実験報告を卒論として卒業したが、クラス総員8名の電子機器会社職員と共に贅沢な研修であり、本省に転勤後、今に至るまで、そこでの習得が活きている。
芝浦工大は極めて活気に満ちた大学で、豊洲の新校舎は豊洲の容貌を一新する壮大な偉容を誇っているが、その構築資金が着実に調達される校風であり、比較するのは気の毒だが、マスコミで関心を集めた慶応大学の資金運用失敗(いわゆる金融商品運用)による巨額の損失が、校舎改築計画をご破算とし、理事会と評議員会の責任帰属も話題とされたことに比べて、芝浦工大は、誠に立派である。
芝浦工大校友会の東京総支部支部長は現在、キャノン電子の酒巻 久社長である。今度の支部報にも「人間関係と想像力」と題して所感を述べておられるが、技術系社長の域を遥かに超えた人情味溢れる内容で、同社社員やお家族の幸福が偲ばれる。
支部員多数の寄稿も率直な過去現在の述懐で親近感を増すが、中には、機械工学科卒業と共にエンジンメーカーに就職し、スプリングの許容応力テスト中に、限界を超えたスプリングが破損して飛散し、網膜剥離、失明に至った報告もあり、マッサージ師に転じて、充実した日常を報告された校友もおられ、「ものづくり」立国には貴重な礎石が厳存することに感銘した。
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2010年10月9日土曜日

Nobel Prize vs. Patent Application Ranking at the Standpoint of GDP Growth

 日本は自然科学ノーベル賞受賞で世界7位、国際特許出願数で2位
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特許活動の評価も国際的見地に立つから、特許庁の年次報告書も先ず、特許国際協力条約(PCT)に基づく国際出願数の比較グラフを示している。 2009年におけるPCT出願世界総数(加盟国数142)は15万4784件だったが、出願人の居住国別にその比率を見ると、米国29.4%、日本19.3%、ドイツ19.3%、韓国5.2%、中国5.1%、フランス4.6%、英国3.3%、オランダ2.9%、スイス2.4%、スェーデン2.3%の序列だが、今次ノーベル賞で自然科学系受賞者数は、米国234人、英国76人、ドイツ68人、フランス29人、スウェーデン16人、スイス15人、日本14人、旧ソ連14人、オランダ14人、デンマーク9人、カナダ9人の序列で、日本は旧ソ連と同数の7位だが、2001年から2010年までの10年間では9人で、この期間限定では高位を示した。同時に、この10年間は日本の経済成長が極めて停滞した時期として回顧される。
特許庁はまた、世界5大特許庁(日米欧中韓)(SANARI PATENT注:「欧」は欧州特許庁)における特許出願数の合計141万6000件について、米国45万6321件、日本39万1002件、中国28万9838件、韓国17万0632件、欧州14万6561件の序列を示した。
SANARI PATENT所見
これらを含めて実に多様な諸序列の相関について理論を確立すれば、ノーベル賞の、少なくとも候補者には成り得るだろう。
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2010年10月8日金曜日

Round Table Meeting for Home Investment Promotion

企業が国を選ぶ時代、国内投資促進円卓会議の進行状況
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総理官邸で国内投資促進円卓会議(議長・大畠経産大臣)の初会合が開催され(2010-09-28)、早速、経団連会長の緊急提言が提出(2010-10-04)など、動きは速いが、効果の速さが問題である。
国内投資促進円卓会議の目的について経産省は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 企業が国を選ぶ時代にわが国は、投資先としての魅力を急速に失いつつある。加えて、最近の円高の進行は、工場や本社の海外流失を加速する恐れがある。一方、企業は財務改善などの守りに追われ、国内への投資を躊躇してきたが、これからは将来の成長の源となる攻めの姿勢に転じるべき時期にある。(SANARI PATENT考察:「攻めの姿勢に転ずること」と「海外に投資すること」とが、企業の立場においては同一である場合が多いことが問題なのである。)
(2) こうした中、予算・税制・規制改革・特区制度など。あらゆる政策手段を活用しつつ、新成長戦略を前倒しして実行し、工場・事業所の国内立地推進・本社機能の国内立地推進・ものづくり基盤を支える中小企業対策を強力に展開することで、内外の企業等による国内での思い切った投資と新たな雇用の創出を促進することが必要である。(SANARI PATENT考察:「予算」以下列記された「あらゆる政策手段」のうちに、従来、企業の海外流失の最大動機とされてきた「海外人件費の低廉」「海外地価など施設費の低廉」「国内若年層における勤務内容への好悪・固執」「非実用的国内学校教育」「円高」に対応する項目が見受けられない。海外流失の原因を先ず、明確に把握・評価することが必要である。)
(3) 官民の役割分担を明確化し、官と民がそれぞれの役割を協調して果たすための、各産業界および労働界の参加を得た「国内投資促進円卓会議」を設け、2010-10~2010-11を目途に、「日本国内投資促進プログラム」をまとめる。(SANARI PATENT考察: そこで早速、経団連会長が提案したが(2010-10-04)、経産省は各省と連携して、と表明しており、その連携の迅速が望まれる。)
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2010年10月7日木曜日

Fujitsu Gets Energy Saving Award for its Quantum Dot Semi-Conductor Laser 

富士通・東大・QDレーザがグリーンITアワード2010経産大臣賞受賞
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経産省が、「グリーンITアワード2010経済産業大臣賞等の受賞結果について」発表した82010-10-05)。「ITの省エネ」および「ITによる社会の省エネ」を両輪とする「グリーンIT」の取組をより一層加速すべく、2008年度に創設されたグリーンITアワードについて、次の2件が経済産業大臣賞に決定」と述べている。
(1) IT機器の大幅な省電力に貢献する量子ドットを用いた半導体レーザ→ 株式会社・富士通・東大
(1-1) ネットワークのトラフィック増大や高速化により、省電力な通信デバイスが求められ、特に、高温での高密度実装が可能なデバイスの開発が急務である。
(1-2) また、PC、コンシューマ機器間、ボード間、チップ間の通信配線の光インターコネクト化においても、高密度実装に向き、高温耐性が高い通信デバイスが切望されている。
(1-3) 量子ドットレーザは、量子効果を最大限に高めた最先端の半導体レーザで、上記諸課題の解決に最も有望である。
(2) グリーンフロント堺におけるITシステムを活用した省エネ→ シャープ・関電エネルギーソリューション・横河電機
(2-1) シャープが大阪府堺市に建設したグリーンフロント堺におけるITシステムを活用した省エネの取組は、エネルギーの管理を集中して行うが、その統合エネルギー管理システムは、液晶パネルと太陽電池パネルの生産に関わる異業種企業が一つの敷地に集まって連携するものである。
(2-2) 高度に集約された遠隔監視システムや、エネルギー管理システムで自動集計された情報を可視化している。
(2-3) 各工場・部署間でのリアルタイムの情報共有・発信を可能にしている。
SANARI PATENT所見
ITシステム自体の省エネは、特にクラウドのサービスセンターの省電力について関心を集めている。
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2010年10月6日水曜日

The Federation of Economic Organization Presents Urgent Opinion to METI Minister

 米倉経団連会長が国内投資促進会議に緊急提言
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経産省は「国内投資促進円卓会議民間委員の緊急提言について」と題して、次のように発表した(2010-10-04)。
「本日、米倉経団連会長より、国内投資促進円卓会議の民間委員の緊急提言が、議長である大畠経産大臣に提出されました。経産省としては、この提言が(SANARI PATENT注:原文には「当該提言が」とあるが「当該」が余程好きな官庁文らしい)今後の経済政策に反映されるよう、関係省庁に働きかけていきます。」
提言した側では、早速経産省だけでも行動を、と思ったのではないかと考えるが、先ず、提言の内容(SANARI PATENT要約)を見る。
(1) 国内投資を拡大し雇用を創出するためには、わが国の立地の魅力を高め、仕事を創出する施策が必要である。
(2) このため、
(2-1) 2011年度から、中小法人の軽減税率を含む法人税減税
(2-2) 国内制度改革等と一体となった、主要国との質の高い経済連携の推進(SANARI PATENT考察:「質の高い経済連携」という表現が新しい)
(2-3) 政府・日銀一体となった円高対策(SANARI PATENT考察: 先般の単独為替レートー介入が、一週間の効果を示したに過ぎないことは、協調介入外の介入の限界を示した。国内に円高是認論も有力だから、それとの意見調整が必須である)
(2-4) 国際的なイコールフッティングを確保した適切な温暖化対策(SANARI PATENT考察: 最近は、新興国を含めて、「温暖化防止」という言葉よりも「省エネによる国内産業の国際競争力強化」の語が強調され、米国の州でも同様と考える)  
等を推進すべきである。
(3) 新成長戦略の前倒し実施
(4) レアアース対策
(5) 地域・中小企業・雇用対策
(6) 規制・制度改革
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2010年10月5日火曜日

Toppan will Contribute to a Fulfilling Lifestyle as a Mainstay of Information and Culture

 凸版印刷の成長戦略と電子出版事業取組、東芝と提携
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凸版印刷の今次業績報告(2010-04-01~2010-06-30)には、凸版印刷の成長戦略、特に電子出版の計画を特記しているが、日経電子版(2010-10-04)も「東芝、電子書籍で凸版印刷と連携、2011年メドに国内配信」と題して詳報した。
凸版印刷の今次報告は次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 日本の電子書籍の市場規模は、2009年には約574億円だったが、2014年には約1300億円に拡大すると予想されている。凸版印刷は、電子出版を新たな出版メディアの一つに加え、出版業界全体に向けた総合戦略「出版イノベーション2010」を策定し、様々な取組を推進している。
(2) 出版社に対しては、デジタルコンテンツソリューションセンターにおいて電子出版への対応を総合サポートする(SANARI PATENT考察: ベンチャー起業にも馴染むと考えられるので、対中小企業を含めて凸版印刷の重点指向が望まれる)。
(3) 製造面では、電子出版と既存の印刷物を並行して製作できるマルチフォーマット制作ライン「コンテンツファクトリー」をしている。
(4) これらの電子出版関連事業は、関連グル-プ各社との連携や広告制作・配信代行などを含めて、2015年には約500億円程度の増収効果になると見込んでいる。
(5) しかし、電子書籍が紙の書籍に直ぐに代わるとは考えていない。日本の出版文化においては、電子と紙の書籍は、良い形で相乗効果を生みだし、共存すると考える。
(6) その取組の一つとして、業界の活性化に向けたウェブサイト「本屋の歩き方」をオープンした。
一方、上記日経電子版は、次のように報じている(SANARI PATENT要約)。
(1) 東芝は2011年にも国内で電子書籍配信サービスに乗り出す。凸版印刷と組み、電子書籍 サイトを開設する。東芝はパソコンや電子書籍端末の販売だけでなく、配信サービスも手掛けて収益源を拡げる(SANARI PATENT考察: 佐成重範弁理士が先日、東芝のdynabook・windows 7・TV チューナー付きを購入したが、「電子書籍1冊無料プレゼント」の付録つきだった。キャノンの最新鋭プリンタも付録で計10万円未満の新品ネット購入) 。
(2) 国内の電子書籍配信サービスには、シャープやソニーなどがケータイ各社と共に2010年内に参入予定、企業間競争が電子書籍普及を促進する。
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2010年10月4日月曜日

Yahoo’s Invention for the Character-Digital-Picture Involving Transmitter System

ヤフー株式会社の「キャラクター画像送信システム、プログラム」発明
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ヤフーは、発明の名称を「キャラクター画像を含んだ画面を送信するシステムおよび方法、コンピュータプログラム、プログラム記録媒体」とする発明について、特許出願したが拒絶査定を受けたので、拒絶査定不服審判を請求したが、「この発明は従来技術に基いて当業者が容易に発明することができた」という理由で「特許を受けることができない」と審決し、ヤフーの請求を認めなかった。ヤフーはこの審決の取消を知財高裁に訴求したが、知財高裁は審決を支持し、ヤフーの請求を棄却した(2010-09-30)。
この発明の内容(SANARI PATENT要約)は、「ユ-ザ-が登録したアバターを含んだ画面をnetwork経由で送信するシステムであって、「アバターの構成要素となり得る各アイテムの画像データが登録されたアイテムデータベース」「このアイテムのうち経時的に変化し得る成長アイテムについて、その変化を規定する変化規則が登録された変化規則データベース」「ユ-ザ-毎に、各ユーザーのアバターを構成するアイテムに関するアイテム情報が登録されたアバターデータベース」「アバターデータベースに登録されたアイテム情報に基いてアバターを生成し、その際、成長アイテムについては変化規則データベースに登録された変化規則に応じた画像を用いる手段」「生成したアバターを含んだ画面データをnetwork経由で送信する手段」を備え、「この成長アイテムは、人の顔を表す顔アイテム、または、人の頭髪を表す頭髪アイテムを含み、顔アイテムの変化は髭が伸びること、頭髪アイテムの変化は頭髪が伸びることであること」及び、「この変化規則は、過去一定期間における画面データの送信回数が所定回数以下の場合に、成長アイテムの画像を変化させること、または、成長アイテムが現在の画像になってからの経過時間が所定期間以上の場合に成長アイテムの画像を変化させることを含むこと」を。特徴とするシステムである。
審決は従来技術との一致点と相違点を挙げた上で、ヤフーのこの発明は従来技術から、当業者が容易に想到できるから、特許を付与できないとした。
今次知財高裁判決は、ヤフーのこの発については、従来技術から想到する動機付けや根拠が存在するというべきで、想到に対する阻害要因もないと判断し、ヤフーの審決取消請求を棄却した。
SANARI PATENT所見
想到容易性の有無の判断は、特許付与の要件としての進歩性として、どの程度高度のものを要求することが政策上適切かに依存すると、SANARI PATENTは考える。換言すれば、出願発明と従来発明との有意な相違点の存在を認める以上、その相違点に対する進歩的価値判断の緩厳に依存するのである。
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2010年10月3日日曜日

Snow-Brand vs. Meiji Patent Lawsuit Decided by Intellectual Property High Court

 原告雪印・被告明治のチーズ関連特許訴訟、知財高裁が特許庁審決取消
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雪印乳業株式会社(現・雪印乳業メグミルク)のチーズ関連特許権の無効審決を明治乳業株式会社(現・明治ホールディングス)が特許庁に求め、特許庁が無効審決したので、雪印乳業がこの特許庁審決の取消を知財高裁に求め、知財高裁は雪印乳業の請求を認容して、特許庁の無効審決を取消し、訴訟費用は明治乳業の負担とすると判決した(2010-09-30)。
今次知財高裁の原告・雪印乳業(訴訟代理人・石井良夫弁理士ほか)は、発明の名称を「食品類を内包した白カビチーズ製品及びその製造方法」とする特許の特許者である。被告・明治乳業は、この特許の見高審判を請求し、特許庁は、雪印乳業のこの発明は、従来技術から当業者が容易に想到できるので特許性を欠くから、この特許を無効とすると審決した。
今次知財高裁の判断(SANARI PATENT要約)を見ると、
(1) 雪印乳業のこの発明が解決しようとする課題は、従来、チーズ製品に食品類を混合した成型品として、チーズ全体に食品類を混合させたチーズ製品、チーズ表面に食品類を付着させたチーズ製品や、外層部がナチュラルチーズではない鶏卵状チーズ製品及びこれらの製造方法が知られていたが、これらの方法では、食品類を内包した白カビチーズを製造することは不可能であった。
(2) 雪印乳業のこの発明は、チーズの間に種々の食品類を内包する白カビチーズ製品及びその製造方法を提供することを目的とする。雪印乳業は、上記課題解決のため、成型したチーズカードの間に食品類を挟み、熟成させることにより、チーズの結着が強固で、型崩れや食品の漏れのない白カビチーズ製品が得られることを見出し、この発明を完成するに至った。(SANARI PATENT考察: 店頭では「カマンベールチーズ」と呼んでいる)。
(3) 従来技術の「トリュフ入りブリーチーズ」について特許庁審決が、「チーズ同士が結びつくことにより、上側のチーズと下側のチーズが分離せずに一体になった状態にある」と認定したことは誤りであり、この認定を基礎として、従来発明と雪印乳業のこの発明の実質的相違点として認めず、容易想到性を判断したことは誤りである。
(4) その他、特許庁審決の判断には、従来技術と雪印乳業のこの発明との相違点(従来技術では開示されていない発明が雪印乳業の発明に存在すること)を見誤っており、そのため「容易想到性」の判断を誤っている。
(5) 従って、本件特許庁の無効審決は、違法として取消さるべきである。
SANARI PATENT所見
三審段階で「有効」→「無効」→「有効」判断を経たわけで、法的安定と法的慎重と法的迅速の調和が今後も追求される。
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2010年10月2日土曜日

Intellectual Property High Court Decides on Similarity of WORLD Trade Marks 

ワールドのWORLD商標登録拒絶特許庁審決を知財高裁が取消
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商標の類比判断には実際上微妙な要素が作用するが、特許庁が査定及び審決において類似判断し、登録を拒絶したことが、知財高裁によって取消される(つまり、類似でないから登録を拒絶すべきでないとする)ことは、当事者にとっては大変な問題である。2010-09-27知財高裁判決で原告・株式会社ワールドの「特許庁審決取消請求」が認容され、訴訟費用は被告・特許庁長官の負担とされたが、判断の要旨を熟読すべきである。
ワールドの出願商標は、WORLDの大文字のみから成り、比較対象とされた商標は、WORLDの文字に若干の装飾及び文字図案が付されている。知財高裁は今次判決で「判断基準」として次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 商標法における商標の類比は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観・観念・呼称等によって取引者に与える印象・記憶・連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基いて判断すべきである。
(2) 複数の構成部分を組合せた結合商標を対比の対象とする際には、先ずは結合商標の外観・観念・呼称の態様を総合的に観察してみて、一体のものとして対比の対象とするのか、分離して対象とするのかを決し、その上で、具体的な取引の実情が認識できる場合には、その状況も踏まえて、不可分なものとするのか、それとも分離してその一部を抽出してみるのかを決すべきである。
SANARI PATENT所見
本件の場合は、両商標の外観を「全体として相違する」と判断している。
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2010年10月1日金曜日

IP High Court Decision on Max vs. Hitachi-koki Patent Validity Dispute

 マックスが日立工機の特許権無効を主張し、無効審決を経て知財高裁判決
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 原告・日立工機(東証大証1部)、被告マックス(東証1部)の「特許庁審決取消請求事件」で、知財高裁は日立工機の請求を棄却すると判決した(2010-09-28)。特許庁が日立工機に特許付与した「打込機」発明について、マックスが特許無効の審決を特許庁に求め、特許庁は無効審決したが、日立工機はこの審決の取消を知財高裁に求め、知財高裁がこれを棄却した事件できる。
日立工機は電動工具の大手で中国における生産を強化し、海外販売7割を超える。マックスはホチキスで内外に馴染み深いが、釘打ち機についても国内最大手で、海外比率も25%に達する。
本件打込機特許について特許庁審決は、刊行物記載の先行技術との一致点・相違点を認定すると共に、この先行技術を適用することにより容易に想到し得るものだから、特許性を欠き無効とした。
知財高裁は、日立工機が主張する無効審決取消事由には理由がなく、本件審決を取消すべき違法は認められないから日立工機の請求を棄却すべきものと判断したが、その理由を摘記(例示)すると、
(1) 接触子を棒状または針状にするか平板状にするかは自在であって、その相違によって配列関係が異なることに結びつくものではなく、本件審決の同一性認定が誤りであるということはできない。
(2) 刊行物記載の先行技術には、打込みの位置決めという課題の解決が含まれており、本件発明の内容が示唆されているから、容易想到でないとは言えない。本件発明に顕著な作用効果が存在するものでもなく、作用の相違は容易想到の判断を左右するものではない。
SANARI PATENT所見
特許庁査定で特許を付与された発明だから、相当の特許性を有すると一般的には想定されるが、それが特許庁審判と知財高裁判決で覆された論点を具体的に検証すべきである。
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