2010年10月3日日曜日

Snow-Brand vs. Meiji Patent Lawsuit Decided by Intellectual Property High Court

 原告雪印・被告明治のチーズ関連特許訴訟、知財高裁が特許庁審決取消
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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雪印乳業株式会社(現・雪印乳業メグミルク)のチーズ関連特許権の無効審決を明治乳業株式会社(現・明治ホールディングス)が特許庁に求め、特許庁が無効審決したので、雪印乳業がこの特許庁審決の取消を知財高裁に求め、知財高裁は雪印乳業の請求を認容して、特許庁の無効審決を取消し、訴訟費用は明治乳業の負担とすると判決した(2010-09-30)。
今次知財高裁の原告・雪印乳業(訴訟代理人・石井良夫弁理士ほか)は、発明の名称を「食品類を内包した白カビチーズ製品及びその製造方法」とする特許の特許者である。被告・明治乳業は、この特許の見高審判を請求し、特許庁は、雪印乳業のこの発明は、従来技術から当業者が容易に想到できるので特許性を欠くから、この特許を無効とすると審決した。
今次知財高裁の判断(SANARI PATENT要約)を見ると、
(1) 雪印乳業のこの発明が解決しようとする課題は、従来、チーズ製品に食品類を混合した成型品として、チーズ全体に食品類を混合させたチーズ製品、チーズ表面に食品類を付着させたチーズ製品や、外層部がナチュラルチーズではない鶏卵状チーズ製品及びこれらの製造方法が知られていたが、これらの方法では、食品類を内包した白カビチーズを製造することは不可能であった。
(2) 雪印乳業のこの発明は、チーズの間に種々の食品類を内包する白カビチーズ製品及びその製造方法を提供することを目的とする。雪印乳業は、上記課題解決のため、成型したチーズカードの間に食品類を挟み、熟成させることにより、チーズの結着が強固で、型崩れや食品の漏れのない白カビチーズ製品が得られることを見出し、この発明を完成するに至った。(SANARI PATENT考察: 店頭では「カマンベールチーズ」と呼んでいる)。
(3) 従来技術の「トリュフ入りブリーチーズ」について特許庁審決が、「チーズ同士が結びつくことにより、上側のチーズと下側のチーズが分離せずに一体になった状態にある」と認定したことは誤りであり、この認定を基礎として、従来発明と雪印乳業のこの発明の実質的相違点として認めず、容易想到性を判断したことは誤りである。
(4) その他、特許庁審決の判断には、従来技術と雪印乳業のこの発明との相違点(従来技術では開示されていない発明が雪印乳業の発明に存在すること)を見誤っており、そのため「容易想到性」の判断を誤っている。
(5) 従って、本件特許庁の無効審決は、違法として取消さるべきである。
SANARI PATENT所見
三審段階で「有効」→「無効」→「有効」判断を経たわけで、法的安定と法的慎重と法的迅速の調和が今後も追求される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)    

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