2013年4月28日日曜日

「コンテンツ産業の生態系変化」とは?



弁理士 佐成重範 Google検索 SANARI PATENT
新年度の内閣知財本部・基本計画(現在は案:6月に閣議決定予定)には、「コンテンツ政策のプライオリティの向上」と題して、「日本のコンテンツ市場は、世界に比べて横ばい・縮小傾向が続き、関連予算も縮小傾向にある」と評価し、世界のコンテンツ市場が年率5.7%の伸長をもって150兆円に達しているのに、日本のコンテンツ市場はこの数年間に、13兆円から12兆円へと縮小した、と指摘し、「コンテンツ産業をめぐる生態系変化への対応」を要するとしているので、先ず、この「生態的変化」の意味を、次の記述によって理解する。
「クラウドコンピューティングやソーシャルサービスといったメディアの変化に伴い、コンテンツの範囲が、クリエータが創出する文芸やエンターテイメントのみならず、ユーザーが作成したユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツや、公共セクターが保有する公共データ、教育コンテンツ、ビッグデータにまで広がっており、新たな産業の創出・拡大が期待されている。」
要するに、ユーザーの「発信の場」となる主要な「場」の増加と、「場」の活用によって世界発信が急速の拡大し、「コンテンツの多種多様な生態の発現と増殖がもたらされること」に注目しているが、 それへの対応策の適否は別途考察べきである。
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2013年4月24日水曜日

タブレットなどディスプレイ向け増勢のメック、「界面創造技術」に意欲



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電子業界の様相も誠に多様だが、電子基板向け薬品のメック(東証1部)が、連続増益を反映して年初来高値を更新,669円に達し(2013-04-24)、咋11月安値 209円の3.2倍に及んだ。メックは、「銅表面処理剤を主力とし、研究開発型企業で、中国・台湾などアジア市場強化」と特色付けられ(会社四季報)、海外比率既に47%、「主力品がおおむね横這いだが、好採算のディスプレー向けが予想以上に伸長。営業増益幅が拡大し、配当性向30%をメドに増配。2014年3月期はパソコン基板向けの低調をスマホ需要で補う。ディスプレー向けはタブレット等の増勢によって続伸。連続営業増益」(同)と高評価されている。加えて、「ディスプレー向け薬品は、手薄なスマホ分野に拡大の余地有り。また、高精細化が進む液晶テレビ向けに高性能を訴求し、シェア拡大を追求」(同)と、市場の質的量的展開可能性が嘱目されている。
前田和夫社長の最近のメッセージも、「メックの将来に向けた取組として培ってきた電子基板の「界面創造技術」を、電子基板以外の市場においても、世界一の素材技術に育て上げるべく、マーケティングや研究開発に傾注する」と、新分野開拓の意気を高揚し、メックの発展性を顕示している。
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2013年4月23日火曜日

超国家企業の世界賃金統一と世界パテント統一



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ユニクロの「世界で賃金統一」戦略をめぐって朝日新聞が「国境を超える企業、政府と食い違う利害」と題して次のようにコメントしたことは適切だが、知財専門家としては改めて、「世界でパテント統一」による「国境を超える企業、政府と食い違う利害」の存否を考えなければならない。A国のA企業がB国・C国のB企業・C企業と、主要製品の必須技術についてパテントの共有による世界市場制覇を遂げ、これをデファクト世界標準化することは、A国のX企業やY企業を世界市場から排除し、A国のGDP拡大には相反する結果をもたらすからである。
上記朝日コメントは、「グローバル経済のもとで、国内の雇用や成長の土台を根底から覆すかのような変化が起き始めた」「政府がいくら、円安誘導や法人税の引き下げで企業や雇用を国内にとどめようとしても、空洞化の動きは止まらない」などと述べ、「政府と利害が食い違う超国家企業の問題と正面から向き合わなければ、答えは見出だせない」と結んでいるが、「パテントに関連して」、「政府と利害が食い違う超国家企業の問題」が今後展開するのか、それぞれの立場で考究しなければならない。
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2013年4月16日火曜日

韓国KIM/HONG特許事務所の知財判例解析が韓国特許戦略の基盤を提示



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韓国最高の特許事務所KIM/HONGASSOCIATESから、同事務所・金海中・高光玉両代表弁理士ご編著の「韓国における知財判例」最新版をお贈りいただいた。特許要件・権利範囲の解釈などをめぐる最近の判例を解析し、KIM/HONG特許事務所独自の見解をもコメントしているから、グローバルに展開しつつある韓国企業の国際競争力、特に技術力に偏しない総合的知財戦略の厳しさを把握するために、必読の資料である。
先発・後発・同発の相違はあっても、アジア諸国の今後の工業発展は急進するに相違ないが、既に例えば、「サムスンの台湾潰し・新標的はTSMCと鴻海」と題する台湾「今周刊」(2013-03-15)は、「サムスンが、台湾と日本のDRAMを砕く」、「サムスンが、台湾液晶パネル2社を集中攻撃」、「台湾の光・HTCも血祭りに」、「次の標的はTSMCと鴻海」と、週刊東洋経済誌に再見出しされ、日本の大手電機メーカーに波及する危機を具体的に詳述している。
韓国メーカーの強さが、判例解析を基盤として、「武略」「商才」総合の知財戦略をもって進撃しつつあることを、グローバル市民の文化共有のためには喜ぶべきである。一方、A国のA企業がB国のB企業とオープンイノベーションで特許連携し、次段階でB企業がコスト競争を展開してA企業を排除すればクローズドイノベーションの成立は容易である。
国際的に公正な「明細書の記載要件」、「特許要件」「権利範囲の解釈」等を、KIM/HONG特許事務所が上記著作によって明確にし、技術・コスト・ブランド・訴訟・提携と分離の諸特許 戦略を通じて、グローバル特許競争の公明な基盤を示されたことに、改めて敬意と謝意を表する。
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