2008年4月30日水曜日

Committee for Digital Network Generation Starts

Government Committee for Digital Network Generation Starts:内閣知財戦略本部の「デジタルネット時代における知財制度専門調査会」が発足
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 半導体機械加工技術関連特許出願動向(2008-4-30記事)

 標記調査会は4月24日に第1回会議を開催し、発足したが、当日の議事を考察する。

1. この調査会設置の趣旨と運営
1-1 デジタル技術の発展やネットワーク化の浸透に対応した知財制度の課題と対応の在り方を調査・検討する。
1-2 この調査会は、内閣知財戦略本部の「コンテンツ・日本ブランド専門調査会」および「知的財産による競争力強化専門委員会」との連携のもとで調査・検討を行う。
1-3 この調査会の会長は、中山信弘内閣知財戦略本部員・前東大教授・弁護士(西村あさひ法律事務所顧問)である。
1-4 その他の委員は10名で、弁護士3名(上山 浩、北山元章、宮川美津子)、業界から、富士通・加藤幹之経営執行法務・知的財産本部長、日本総研・大谷和子法務部長、大学から6名(立教大法学部・上野達弘准教授、東大法学部・大渕哲也大学院教授、上智大文学部・音 好宏新聞学科教授、駒沢大グローバル・メディア・スタディーズ学部・苗村憲司教授、慶大・中山伊知也教授)および国立情報学研究所・東倉洋一副所長である。

2. ここ調査会の論点(SANARI PATENT要約)
2-1 デジタル・ネットワーク社会における著作権制度の役割をどのように捉えるべきか。
2-1-1 精神的所有権としての著作権の見地から(自然権的アプローチ)
2-1-2 創作へのインセンティブの見地から(文化政策的アプローチ)
2-2 デジタル・ネットワーク社会の進展の中で著作権制度が不具合を起こしている点はどこにあるか。またその具体的な問題はどこに生じているか。
2-2-1 単一の利用方法を前提とし、マルチユースに対応していないことについて
2-2-2 デジタル・ネットワーク上の豊かな情報を活かした新しい利用方法に対応していないことについて
2-2-3 通信技術上の不可避的な取扱いや著作権保護技術の位置づけが明確でないことについて
2-2-4 投稿サイトやブログなどで他人の創作物を相互に利用し合いながら創作するケースなどの新しい創作形態への対応が明確でないことについて
3-2-5 新たな技術やビジネスモデルの出現に際して、柔軟に対応できる規定がなく、新たな動きが委縮しがちであることについて
2-2-6 ネットワーク上の違法な利用に対する対策が不十分であることについて

3. SANARI PATENT所見
「文化審議会著作権部会でかなり詳細な検討結果が報告されているので、その内容についての適否判断」、「検索機能の急速な発展(Google検索等)を活用する方策」、「米国著作権法のFair Use規定と同一規定の導入」の3点について、優先的審議と、結論の早期実施を要望する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Digital Network、内閣知財戦略本部、中山信弘、著作権、Fair Use、Google検索

ラベル:

2008年4月29日火曜日

Patent Trend of Optical Transmission Technology

Patent Trend of Optical Transmission Technology:特許庁が光伝送システムに関する特許出願技術動向(2007年度)を報告(2008-4-23発表)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 電波使用料の新たな使途(2008-4-28記事)
  
  最近、NTT、KDDI、Nifty等のISP各社が光ファイバ化を強力に推進してきた効果が急速に顕れ、ADSLを上回る契約数に達している。次世代ネットワークの高度な機能を享受できる基盤ができあがりつつあると評価できよう。
 標題の報告により、光伝送システムの特許出願動向把握することは、知財専門家にとって必須であるが、一般利用者も、この報告により光伝送システムを体系的に理解できる。

1.特許庁今次報告の目的
1-1 光伝送システムに関する特許情報から、この分野の技術全体を俯瞰し、経済情報、産業情報を踏まえた技術開発の進展状況・方向性を把握する。
1-2 その結果により、特許庁における審査体制の構築、的確・効率的な審査のための基礎資料を得る。

2.今次報告の背景
2-1 ADSLに代わってFTTHがBroad Band市場の主役になりつつあり、今後の高度情報化社会への対応として、動画像伝送やマルチメディア対応を含む高度な情報サービスを提供できる情報インフラが求められている。
2-2 さらに、ネットワーク構築が容易な光空間伝送や量子通信(高度セキュリティの確保が可能)も注目され、光伝送システムに関する技術や市場の環境も変化しつつある。

3.光伝送システムの構成
3-1 光伝送システムは当初(約20年前)、長距離・大容量伝送という光通信の最大の特徴を活かして、主として長距離基幹伝送系に導入された。その後、高性能化・経済化・多機能化が進み、短距離のメトロ伝送系、アクセス伝送系への光伝送システムの導入が著増している。
3-2 さらには、建物内伝送、装置間接続、電子配線基板における信号伝送など、光伝送システムの適用範囲は急速に拡大している。すなわち、適用エリアの観点から、光伝送システムは次のように5分類される。
3-2-1 基幹系(長距離系): 国内都市間の陸上基幹伝送システム、海洋を隔てた大陸間・島嶼間の海底伝送システムを含み、数10kmから1万km以上の長距離、gb/sからTb/sに至る大容量伝送に適合する。
3-2-2 メトロ系(都市内系): 大都市やその近郊を含む伝送システムで、基幹系とアクセス系の中間に位置する。多数ユーザーからの大容量かつ多種類の情報を効率良く伝送する。
3-2-3 アクセス系: メトロ系ネットワークとユーザーを結び、多様な情報・サービスを低コストで伝達する。受動光ネットワーク(PON: Passive Optical Network)、映像伝送系ケーブルテレビ(CATV: Cable Television)、構内ネットワーク(LAN: Local Area Network)を含む。
3-2-4 近距離系: 家庭内ホームネットワーク、オフィス内ネットワーク、装置間伝送系を含む。
3-2-5 インターコネクト: 装置内のバックボードや電子ボードを接続する伝送系、ボード内のデバイス間、チップ内の信号伝送を行う。この領域には、従来、電気インターフェイスが主として用いられたが、機器の処理速度が顕著に上昇し、電気インターフェイスによる即応が困難となって、光インターコネクトに依存する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
Patent Trend、Optical Transmission、PON、CATV、LAN、特許庁

ラベル:

2008年4月28日月曜日

Revision for Reasonable e-Mail System

Law Revision for Reasonable e-Mail System:特定電子メールの送信適正化法改正、電波法改正
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 今次電波法改正の主眼点(2008-4-27記事)

 電子メールの送信適正化等に関する今次国会発言中、主要なものを要約する。

1. 特定電子メールの送信適正化法改正の趣旨(2008-4-22衆・総務委:増田総務大臣)(SANARI PATENT要約)
1-1 今次改正は、電子メールの送受信上の支障を防止し、その良好な利用環境を維持するため、広告宣伝の手段等として送信される電子メールに対する規制について、現行の方式を見直すと共に、報告徴収等の規定を整備し、実効性の向上を図るものである。
1-2 今次改正の内容は、
1-2-1 送信者は、あらかじめ広告宣伝電子メールの送信を求める旨、または送信に同意する旨を送信者に対して通知した者以外の者に対して、広告宣伝電子メールの送信をしてはならないこととする。
1-2-2 報告徴収および立入検査の対象に送信委託者を追加すると共に、措置命令や罰則の規定を整備し、法の実効性を向上する。
1-2-3 外国におけるこの法律に相当する法令を執行する外国当局に対して、その職務遂行に資する情報を提供できることとする。
1-2-4 電気通信事業者による電子メール関係・電気通信役務の提供の拒否について規定を整備する。

2. 電波法改正に関する質疑応答(2008-4-17衆・総務委)(SANARI PATENT要約)
2-1 質疑(塩川鉄也委員)
電波法改正案の修正案における、電波利用料の新たな使途として、「電波の能率的な利用の確保、電波の人体への悪影響防止のための、周波数・人体防護に関するリテラシーの向上」とは何を意味するのか、リテラシーという用語(SANARI PATENT注: 法令用語としては、今回初めて登場した)の定義を含めて答弁されたい。
2-2 答弁(原口一博委員)
混信等の妨害を生じさせずに無線設備を使用する方法、例えば違法機器の見分け方、あるいは電波から人体や電子機器を守る方法などに関する国民のリテラシー、理解能力の向上を図るための周知、広報、啓発、教育等を意味する。法文の中にレテラシーという言葉が初めて入るが、広辞苑によれば読み書きの能力、転じて、ある分野における知識・能力という意味である。

3. SANARI PATENT所見
  電波利用料の収入が、道路特定財源と同様な濫費を生まないかという危惧については、電波使用料は、特定財源と違って一般会計の中に入り、そこのチェックをまた受けるので、納付者の理解を得られないような使い方はできない趣旨を明文化したという、適切な説明がなされた。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
e-Mail System、電子メール、広告宣伝、電波法、塩川鉄也、増田総務大臣

ラベル:

2008年4月27日日曜日

Local Cooperation of Agriculture, Commerce and Industry

Local Cooperation of Agriculture, Commerce and Industry:農工商等連携促進法案の国会審議における論点
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog ダイセルの請求を知財高裁が認容(2008-4-26記事)

 地域格差是正のため、地域ブランドの振興や中小企業の知財開発に、知財政策が集中しているが、今次国会には農工商等連携促進法案が提出され、産業諸分野の連携政策が推進される。以下、国会審議の内容を要約する。

1. 農工商等連携促進法案の要旨
1-1 フルネームは、「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律」。近年、企業規模や業種・地域により景況の格差が見られる中、わが国が、地方を中心として元気を取り戻し、活力ある経済社会を構築するためには、地域経済の中核をなす中小企業者や農林漁業者の活性化が重要である。
1-2 このためには、中小企業者や農林漁業者が一次、二次、三次の産業の壁を超えて有機的に連携し、互いの有するノウハウ、技術等を活用して、両者の強みを発揮した新製品の開発や販路開拓等を促進することが重要である。この点を踏まえて政府としても、農林水産省と経済産業省が一体となって、中小企業者と農林漁業者の連携を応援する必要がある。
1-3 法案の内容
1-3-1 中小企業者と農林漁業者が有機的に連携して実施する事業活動の促進について、基本的方針を農林水産大臣、経済産業省大臣等が策定する。
1-3-2 この方針に基づいて中小企業者と農林漁業者が共同で作成した新商品の開発や販路開拓等の事業計画に対し、農林水産大臣、経済産業省大臣等が認定を行い、中小企業信用保険法の特例、小規模企業者への事業資金の無利子貸付の特例、食品流通構造改善促進法の特例、農業改良資金助成法の特例等の支援措置を講ずる。
1-3-3 中小企業者と農林漁業者の連携の機会の提供等、両者のつながりの形成を側面的に支援するNPO法人等の事業活動について、中小企業信用保険法の特例により資金調達を支援する。


2. 農工商等連携促進法案の所期効果(新藤義孝・経済産業副大臣)(SANARI PATENT要約)
2-1 地域の景況にばらつきがあるが、地域には色々素晴らしい産業資源があり、中小企業のネットワークがある。これを活かしてそれぞれの地域の強いものを突出させる、そしてこれらの連携を強化して需要と販路を拡大し、新しい強みを作る。
2-2 従来別々に行われていた施策、別々に行動していた両省が、さらに有機的に連携させて、今までの枠を取り払った画期的な取組をする。
2-3 これに合わせて、農林水産関連産業の企業立地を進め、産業集積の形成を促進する。予算、税、金融などを総動員して、これらの相乗効果を実現する。
(2008-4-11衆・経済産業委)

3. SANARI PATENT所見
  都心で、福岡県のいちご「あまおう」が非常に好評で売れ行き上々のようであるが、福岡県の農業試験所が開発し、新種保護、ブランド普及の総合効果を挙げていると考える。価格も低減して親しまれ易くなったが、他のいちごより高価でも良く売れている。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Local Cooperation 、Agriculture、新藤義孝、福岡県農業試験所、いちご、農林水産省

ラベル:

2008年4月26日土曜日

Promotion of Patent License by Revised System

Promotion of Patent License by Revised System:ライセンス促進に関する今次国会政府答弁の要旨
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 中小企業の負担軽減など(2008-4-25記事)

 知的財産権のライセンスを活発化することは、オープンイノベーション促進政策の一つの柱であるが、今次特許法改正においてはどのように意義づけられているか、政府答弁を要約する。

1. サブライセンスの保護
サブライセンスの保護の在り方について、今次法改正には盛り込まれなかったが、通常実施権を介して間接的にサブライセンシーから特許権者が許諾を得たことを証する書面を提出すれば、サブライセンスについても登録できるように運用を改善することは先ずやろうというふうに考えている。(SANARI PATENT注: 肥塚雅博特許庁長官の参議院経済産業委員会2008-4-10答弁であるが、十分な補足説明を期待する)。
2. 特許を受ける権利の移転件数とシステム改変
年間で6万件を超え(2006年度)、新たな登録制度を創設するに当たっては大規模なシステム改変を要する。今後例えば、PLTという特許法条約で各国の申請手続の統一・簡素化を目的とする条約を批准するというようなことをも含めて、新しいシステム整備の一環として実現してゆく。
3. 開示利害関係者としてのライセンス当事者
通常実施権に係る登録事項のうち、制度利用者からの非開示ニーズの強いものについて、その開示を一定の利害関係を有する者にのみ限定することとしている。この「利害関係を有する者」として開示を見ることができる者の範囲については、ライセンサー、ライセンシー、対象特許権等の取得者、質権者、差押債権者、破産管財人等であって、政令で定める。
4. ライセンスポリシーの明確化
軽罪のグローバル化や技術の高度化・複雑化が進むにつれて、研究開発コンソーシアムを形成しイノベーション創出環境を変化させている。コンソーシアムにより生みだされる知財について、一つには、コア部分だけでなく周辺部分も特許として抑え、戦略的に特許を群として管理する、いわゆる知財ポートフォリオということが一つである。二つ目には、研究開発の基礎として用いられる特許群と事業性の高い特許群とについて、それぞれについてのライセンスポリシーを明確にすることが必要である。このため、あらかじめ知財関係者間での権利帰属や特許群に含まれる知財の利用に関し、明確なルールを構築することが必要不可欠である。経済産業省としては、平成20年度は運営交付金を用いて、INPIT(工業所有権情報・研修館)、いわゆるインピットであるが、知財プロデューサーをリーダとする支援チームを派遣するといった支援について今後検討してゆく。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Patent License、サブライセンス、INPIT、研究開発コンソーシアム、知財ポートフォリオ

ラベル:

2008年4月25日金曜日

Decision based on Doctrine of Equivalents by IP High Court

Decision based on Doctrine of Equivalents by IP High Court (2008-4-23) :旭化成マリンテックに対する海洋建設の「不正競争行為差止等請求控訴」事件・知財高裁判決(海洋建設の控訴を棄却)
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 今次特許法改正の国会審議(2008-4-24記事)

1. 均等論の再登場
  一昨日の知財高裁判決に均等論が再登場した。控訴人・海洋建設、被控訴人・旭化成マリンテックの「「不正競争行為差止等請求控訴事件」判決において知財高裁は海洋建設の控訴を棄却したが、主要な争点の一つが均等論適用の成否であって、その判断の在り方は「特許発明の技術的範囲」の認定に直結する。

2.均等論とプロパテント
  特許権の権利範囲、すなわち特許発明の技術的範囲は、明細書の「特許請求の範囲」の記載に基づいて定められ、特許請求の範囲に記載されていない発明は技術的範囲に属さず、これを実施しても特許権を侵害しないことなるが、均等論は、一定の要件のもとで、その特許発明と均等なものとして、特許権を侵害すると考えるものである。従って、均等論はプロパテント政策に適合すると考えられてきたが、プロパテント政策の考え方自体も変遷し、均等論にも均等を緩やかに認めるものと、厳しく判断するものとが拮抗してきた。

3.海洋建設の特許権
海洋建設は「人工魚礁の構築方法及び人工魚礁」(特許番号1943699)の特許権者であるが、旭化成マリンテックがこれを侵害すると主張し、旭化成マリンテックに対して損害賠償等を請求したが、原審(東京地裁)・知財高裁ともに、「ホタテ貝殻」と「カキ殻」とは均等物ではないなどの理由により、海洋建設の請求を棄却した。

4.今次判決における均等論
  今次判決の内容は多岐にわたり、関係業界のみの関心事が多いので、ここには特許権の本質に関する共通の重要事項として、均等論の適用についての説示を要約する。
4-1 特許発明の本質的部分とは、特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで、その特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分、換言すれば、おの部分が他の構成に置き換えられるならば、全体としてその特許発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分をいうものと解するのが相当である。
4-2 そして、対象製品との相違が特許発明における本質的部分に係るものであるかどうかを判断するに当たっては、単に特許請求の範囲に記載された構成の一部を形式的に取り出すのではなく、特許発明を先行技術と対比して、課題の解決手段における特徴的原理を確定した上で、対象製品の備える解決手段が特許発明における解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものか、それともこれとは異なる原理に属するものかという点から判断すべきである。
4-3 海洋建設の特許発明の効果は、単に魚礁の構造を「通水性ケースを壁や柱全体の構成部材とした」というだけでは得られず、その充填物をカキ殻としたことで得られるものであり、そのことが海洋建設の特許明細書に明記されている。カキ殻を穴のないホタテ貝殻に置き換えた場合に、カキ殻と同一の作用効果を発することができるものではない。単に貝殻という意味での共通性があったとしても、カキ殻とホタテ貝殻で効果が同じとはいえず、置換可能性および置換容易性は認められない。

5.SANARI PATENT所見
  今次知財高裁の判断には、「穴」(4-3)の語義について、「穴には、向こうまで突き抜けた所という意味のはかに、「くぼんだ所」という意味もあり、これと、カキ殻については、餌料となる生物が親和性を持ちやすく多数の居住穴を形成するとの、海洋建設の特許明細書の記載を総合考慮すれば、この多数の穴とは、多数のくぼんだ所という意味に解すべきであり、海洋建設が主張するような意味に解することはできない」など、語義論に及ぶ説示を行っており、その含意を精読すべきである。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Doctrine of Equivalents、旭化成マリンテック、海洋建設、均等論、知財高裁

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2008年4月24日木曜日

Q & A for Revised Patent Law(Patent Troll etc)

Q & A for Revised Patent Law(Patent Troll etc):改正特許法に関する国会質疑応答の要約
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 内閣知財戦略本部に対する要望(2008-4-23記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ 著作権管理機構の在り方(2008-4-23記事)

  参議院経済産業省委員会(2008-4-10)の質疑応答について考察する。

1. 特許公開制度についての戦略的対応
1-1 質疑(中谷智司委員): 
わが国特許庁がインターネットで公開している特許データベースを活用して模倣するケースが増えているが、対策はどうか。
1-2 答弁(甘利 明 経済産業大臣):
1-2-1 特許電子図書館では、出願公開制度のもとで公開された特許情報をインターネットで提供している。この出願公開制度は世界の主要国で採用されている制度であって、出願内容の公表により重複研究による無駄な投資や重複出願を抑制すると共に、公表された技術を基にして、より優れた技術の開発を促進する重要な制度である。この公開情報を活用して研究開発を行うことは、外国の利用者に限らず日本の大学や企業でも通常行われている。
1-2-2 特許電子図書館の特許情報公開が技術流出を招いているという指摘があるが、公開により公知になった技術と同じ技術の出願が特許にならないのは当然である。公知になった技術から改良された発明は特許になる可能性があり、それを誰が実行するかが問題である。
1-2-3 経済産業省としては企業に対し、関連する周辺技術を含め、日本国内のみならず世界的にも特許を取得するか、あるいは出願せずノウハウとして秘匿するかを選択するなど、戦略的に出願管理を行うよう促している。
1-2-4 日本の企業も他国の特許出願を閲覧して、それを基に改良して更に特許を取得する権利があり、外国企業にも同様の権利ガあるのだから、一方だけ止めることはできない。従って、企業の選択としては、特許公開により、その周辺で新しい特許が生まれてビジネスになってゆく可能性の方が高いから、自ら全部カバーできるまで秘匿するというような戦略的出願管理が必要であることを、企業関係者にアドバイスしている。
1-3 SANARI PATENT考察
経済産業大臣の答弁が全く適切で、企業における特許制度への理解が不完全であることを企業が反省すべき場合が多い。
2. パテントトロール(Patent Troll)対策
2-1 質疑(松あきら委員):
2-1-1 パテントトロールというのは、自ら研究開発や製品の製造販売は行わず、また特許のライセンス契約も締結せずに、ある日突然、大企業に対して特許権を盾に特許権侵害訴訟を提起して高額な和解金やライセンス料金を取ることを目的とするものである。
2-1-2 米国ではプロパテント政策を裏付けるような三倍賠償の規定が存在し、ほぼ自動的に下される差止命令など、特許権者の保護が強く、また特許権者に有利な判決が出やすいと言われるテキサス東部地区の裁判所が選ばれるなど、パテントトロールの問題が深刻になっている。今回の大統領選挙の争点にもこの特許制度の変革や特許の質の向上が挙げられ、オバマ候補は、不確実で不毛な特許訴訟を減らすという主張をしている。
2-2-3 経済産業省が昨年公表した電子商取引および情報財取引に関する準則において、ソフトウェアに係る特許権の行使について権利濫用法理の適用を提示したが、この考え方をソフトウェア以外の技術の特許権についても適用することを明確にすべきではないか。
2-2 答弁(甘利 明 経済産業大臣)
2-2-1 特許侵害の可能性が出るのを待って、3倍損害賠償請求で巨大に稼ぐ米国パテントトロールビジネスの対象に、日本の企業も標的とされ、問題意識が高まっている。特許権が濫用的に行使されれば、産業の発展に悪影響を及ぼす恐れがあり、特許権の行使に関する民法上の権利濫用法理の適用の考え方を明確化することなどを、ソフトウェア以外も含めて検討する。
2-3 SANARI PATENT所見
  特許の質の問題に関連する。低度の進歩性についても特許性を認めれば、パテントトロールが活動する機会を増すこととなる。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Patent Troll、特許公開、ノウハウ、特許戦略、権利濫用

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2008年4月23日水曜日

Foreign Funds Buy Small Enterprise With Valuable Patents

Foreign Funds Buy Small Enterprise With Valuable Patents: 外国ファンドによるわが国中小企業の特許ぐるみ買収
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 中国における知的財産問題(2008-4-22記事)

  J-パワーについて経済産業大臣の対処が明示されたが、わが国中小企業が有する戦略技術が、次々と外国ファンドの丸ごと買収対象になりつつあることについて、経済産業大臣の答弁(2008-4-10 参議院経済産業省委員会)を考察する。

1. 藤末健三委員質疑(SANARI PATENT要約)
1-1 金属の表面加工分野で独自の技術を持つ中小企業が、昨年、韓国のメーカーにより買収された。メッキ加工メーカーなど、優秀な技術を持つ中小企業がアジア系の企業に買収されてしまった例も数件聞いている。かなり高額で買収するので、わが国中小企業者に技術防衛を要請することは困難である。
1-2 この場では恐らく、国際ルール以上のことを正式には議論できないと思うけれども、是非検討を深めていただきたい。現状のままでは、わが国の中小企業、特に中小企業が有する技術が、キャッシュフロー流入豊かな新興国企業にどんどん企業ごと流れてゆく。
1-3 J-パワーについては、外為法規定の「社会的インフラ」「安全保障」に該当するとして対処できるが、もっと幅広く、わが国の知財が外国に流出することを制度として止めるようにすべきである。
1-4 米国では既に、エクソン・フロリオ条項(SANARI PATENT注:Exon-Florio Provision: 国家防衛の目的を、「潜在性」を含めてどの程度広く認められるかによって影響が異なると考える)が立法され、事後的に議会や政府が判断すれば、外国企業が米国内の技術を持った企業を買収した場合、出資した場合に、技術の流出を止めることができるという法規制がある。実際に、わが国の原子力関係の企業が、米国の原子力関係の企業を買収した際には、米国の技術を日本に流出させないということで、管理人まで付けるというようなことまでやっている。
2. 甘利 明 経済産業大臣答弁(SANARI PATENT要約)
2-1 外為法によるルールは国際ルールであって、日本独自のルールではない。OECDの資本移動自由化コードに基づいて従来から規制している。世界共通のルールで日本だけが閉鎖的に行っているのではない。
2-2 米国は、エクソン・フロリオにより網羅的に、判断すれば全部規制できる、しかも遡って対応できるという、縦横無人に何でもできるというルールが資本自由化の米国にあるのだが、わが国の場合には国際ルールに即した範囲に限定して規制している
2-3 国の安全に係る業種、これは武器・航空機・原子力・宇宙開発などがあり、「国の安全」以外に、公の秩序に係る業種としては電気業・ガス業などの公的インフラなどがあるが、それ以外にも、国個別の事情による留保が国際ルール上認められている。外為法を今後とも厳格に運用し、技術流出による国も安全や公の秩序などに支障が生じないよう対処する。

3. SANARI PATENT所見
 質疑の目的に即さない答弁である。第一に、米国のエクソン・フロリオ条項に相当する規定をわが国においても定めることも適否について言及していない。間接的に「不要」としているようでもあるが、明確でないし、理由を明示していない。第二に、質疑者が示した技術流出の実例について、所見を示していない。またその前提として、エクソン・フロリオ条項(国防生産法)の「国防」の範囲や適用実例についての検討結果の説明がない。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Exon-Florio、外為法、J-パワー、公的インフラ、原子力

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2008年4月22日火曜日

House of Councilors Compares Japan-USA Patent Act

House of Councilors Compares Japan-USA Patent Act:参議院経済産業委員会(2008-4-10)における先発明主義・先願主義対比
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 特許特別会計の存在意義(2008-4-21記事)

  通称「万能細胞」の国際特許戦略をめぐって、米国特許法の先発明主義とわが国の先願主義とが対比されているが、国会では今次特許法改正に際して、参議院経済産業委員会(2008-4-10)において、藤末健三委員(民主)の関係質問に対し、中野正志経済産業副大臣が答弁した。

1. 質疑(SANARI PATENT要約)
1-1 現在、米国には特許法改正の動きがあり、これは極めて重大な内容、すなわち、先発明主義から先願主義への移行を志向するものである。米国民主党のオバマ候補も、この特許制度については非常に深く政策の研究をしている。
1-2 米国のデータを見ると、特許庁の収入が約3千億円、特許訴訟で特許権者や出願人が支払う費用が1兆2千億円ということで、米国では知財で収入を得るよりも、とにかく訴訟されないように特許制度を利用するという形に既に変わっている。
1-3 わが国は先願主義を確立し、オンライン化率も高く、米国の特許制度改正に協力するべきではないか。
2 応答(SANARI PATENT要約)
2-1 米国においては、企業のグローバルな活動を支援する観点から、先発明主義から先願主義へ移行の機運が非常に高まってきた。米国下院では特許法改正法案が通過し、上院で審議継続中である。
2-2 米国の先願主義への移行は、国際的な特許制度調和に向けて大きな推進力になるものと考える。その実現に向けて、日米規制改革イニシアティブの協議などを通じて、むしろ日本側から米国への働きかけを今日まで行ってきた。また米国との間では国際的なワークシェアリングの推進に向けて、世界に先駆けて日米特許審査ハイウェイを平成18年7月から開始するなど、審査結果の相互利用による審査協力の取組みも進めている。なお、この日米特許審査ハイウェイの利用件数は、現在までに、日本から米国に対しては343件、米国から日本に対しては238件である。
3. 上記のほか藤末委員の質疑に対する経済産業大臣答弁
3-1 経済のグローバル化に伴って世界的に特出願が増加し、わが国としては、先ず出願手続の統一とオンライン化、これを通じて出願人の負担を軽減すると共に、各国特許庁の事務処理手続の効率化を進めることが重要と認識している。
3-2 出願手続の統一化については、昨年11月に日米欧三極で、いずれの特許庁にも共通して出願できる出願様式を合意した。わが国では2009年に早期実施するが、他のニ極も著しいタイムラグはなくて実施可能と考える。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
House of Councilors、先発明主義、先願主義、藤末健三、参議院、三極

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2008年4月21日月曜日

Quotation by Search Engine

Quotation by Search Engine:検索結果の表示が著作権法の「引用」に該当することについて
弁理士 佐成重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 2008年度・文化庁の課題

 Netizen(Net Citizen)が世界総人口約60億人のうち少なくとも10億人を超えることは確実であり、特にケータイ常用人口の急増によって、その検索エンジン利用が質量ともに充実・著増することは、現況に徴して明白である。
 ネチズンが直接、検索エンジンから得る内容は「検索結果の表示」であるから、著作権との関係を文化審議会がどのように考えているか、注視すべきである。

7-6 検索結果の表示と著作権(承前:このサイト4-20記事)
7-6-1 審議会報告(SANARI PATENT要約)
検索結果表示用データはを紹介する手段として複数に組み合わされた上で、ウェブサイト上の所在情報とともに検索結果として送信可能の状態に置かれ、利用者の検索要求に従って、自動公衆送信される。
このように、検索結果データはオリジナルデータの著作物性ある部分を含むものであって、その作成・蓄積が著作物の利用に該当する場合もあるが、その場合には、検索結果の表示によって著作物の送信可能化と自動公衆送信が行われることとなる。(SANARI PATENT注:原文は「検索結果の表示に際して」と記述しているが、課題が「表示」であるから、表示の前段階の「送信可能化」は、この項の検討対象外と解する)。
7-6-2 SANARI PATENT考察
  上記7-6-1の後段は、われわれが馴染んでいる検索結果の表示が、著作物の
公衆送信権(送信可能化権を含む)に該当する可能性があるから、著作権制度との調整をなんらかの措置で明確にする必要があることを、先ず示している。ここから、次項の現行法解釈論と改正論が展開される。

8.検索エンジンと公衆送信権の調整
8-1 現行の「引用に関する権利制限規定」による対応の可能性
8-1-1 審議会報告(SANARI PATENT要約)
検索結果の表示が「引用」に当たる場合は、著作権侵害にならないが、引用については、「公正な慣行に合致すること」、および、「報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること」が要件として規定されている。
判例においてその内容は、「利用する側の著作物と利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識できること(明瞭区別性)と、両著作物の間に主従関係があること(附従性)であるとされている。一方、学説は、この2要件を中心として更に別の要件を加える見解などを示し、また「引用」該当性の解釈の問題とせず、立法的に検討すべきであるという意見もある。
8-1-2 SANARI PATENT所見
現在Googleないし「Googleにenhanceされた」一般向け検索エンジンにおける「検索結果の表示」は、「公正な慣行」として既に確立し、かつ、「引用の目的上正当な範囲内である」という条文に全く適合していると考える。著作物の権利者も、表示を希望するのが一般的で、リンクにより新たに侵害を受けることは、あり得ないと考える。
(この記事について修正のご要求等は sanaripat@nifty.com にご送信ください)
Netizen、quotation、著作権制限、引用、検索エンジン

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2008年4月20日日曜日

International Policy Trends on Search Engine System

International Policy Trends on Search Engine System:検索エンジンと著作権の調整について諸国の動向(検索エンジンの各工程の著作物利用該当性)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 誘導多能性幹細胞の特許取得 (2008-4-19記事)

6.(承前・このサイト4-19記事)国際動向
6-1 検索エンジンにおける著作物利用行為に関する著作権法上の問題について、特別な規定を設ける立法例は現在まで見られないが、著作権侵害の有無を争点とする裁判例は少なくない。
6-2 米国著作権法においては、著作権を一般に制限するものとして、米国著作権法107条のFair Use規定が設けられ、範例の多くでFair Useの成否が争点になっている。事案によって争点も事実関係も異なるため一概には言えないが、結論のみに注目すればFair Useの成立を認める判決が多い。またDMCA(SANARI PATENT 注:Digital Millennium Copy-wright Act:デジタル・ミレニアム著作権法)により新設された第512条の免責条項が適用された例もある。
6-3 欧州では、著作権侵害の成否が複数例判断された。ドイツでは著作権侵害を肯定した判決と否定した判決があり、ベルギ-では侵害が肯定されて領域内での著作物の利用中止が認められている。
6-4 アジアでは韓国で、著作権侵害を否定する判決がある。
6-5 以上、国際動向を概観すれば、判例の蓄積による帰納が模索される現状であるが、方向性は流動している。

7.わが国における対応
7-1 検索エンジンにおける著作物の利用について、現行の著作権法には明文の規定を欠くため、取扱は解釈に委ねられている。従って、先ずは法目的に照らしつつ、現行法の解釈による対応の可能性を模索し、その適否を踏まえた上で、権利制限規定等の新たな立法措置を考察する順序とする。
7-2 先ず、検索ロボット(クロ-ラ-)が、ウェブサイトにアップロ-ドされたデ―タを収集しストレ-ジサ-バに格納することは、瞬間的・過渡的な一時固定とは言えず、文章や映像の著作物の複製に該当すると考えられる。(SANARI PATENT 考察:ここまで断定できるならば、対策の提案が当然あるべきである。)
7-3 検索用インデックスは、単なる文字列、変換された数値デ―タであり、オリジナルのデ―タが著作物であるとしても、その著作物性のない部分だけを用いているに過ぎず、著作物の利用には該当しないと考えられる。
7-4 これに対して、検索結果表示用デ―タは、オリジナルのデ―タが著作物である場合に、そのデ―タが有する著作物性のある部分を含むから、その作成・蓄積が著作物の利用に該当するか否かは一律に断定できない。すなわち、スニペット、サムネイル、プレビュ-の各々について判断の濃淡が異なる。
7-5 キャッシュリンクはオリジナルのウェブペ-ジをそのまま用いるから、そのウェブペ-ジが著作物であれば、キャッシュリンクの作成・蓄積は著作物の利用に該当する。
7-6 検索結果の表示(以下このサイト4-21記事)
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください) 
Fair Use、米国著作権法、DMCA、検索ロボット、キャッシュリンク

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2008年4月19日土曜日

Structure of Search Engine

Structure of Search Engine;検索エンジンの構造解析による課題の検討
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 韓国サムスンの現況
(2008-4-18記事)

 ケ―タイにも検索機能が完備するから、検索は益々一般に馴染み深くなるが、検索エンジンのエンジンともいうべきクロ-ラ-の機能については、クロ-ラ-という名称自体が初耳という人も多いと考える。しかし、デジタルコンテンツの流通・利用と著作権の調整という重要な課題を考察するためには、その理解が不可欠である。

2-3(承前・このサイト2008-4-18)クロ-リングの回避:
クロ-ラ-の機能に対して、ウェブサイトの開設者には、自身のウェブサイト情報が収集されないようにする方法が用意されている。具体的には、ウェブサイト開設者はクロ-リングが行われないようにするための標準プロトコルを自身のウェブサイトに設定することにより、技術的にクロ-リングを回避することが可能である。

3.検索用インデックスおよび検索結果表示用デ―タの作成・蓄積:
3-1 検索用インデックスの作成・蓄積
検索効率向上のため、ストレ-ジサ-バに格納されたウェブサイト情報のデ―タを解析することにより、検索用インデックスを作成し、蓄積する工程である。解析されるデ―タがテキスト情報である場合は、形態素解析やN-gram方式により単語や文字を検索用インデックスとして抽出する。(SANARI PATENT 注:形態素解析およびN-gram方式は、いずれも検索対象の文を単語に分解する方法である)。 
3-2 解析されるデ―タが動画や音楽である場合には、当該デ―タが存在するウェブサイトにおけるウェブペ-ジ上の文字デ―タ等を検索用インデックスとして抽出する。このように、様々な検索用インデックスを用意することにより、文字検索にとどまらず画像検索等の多様な検索要求に対応できる。
4.検索結果表示用デ―タの作成・蓄積
4-1 ストレ-ジサ-バに格納されたウェブサイト情報のデ―タを解析によって、利用者からの検索要求に対する検索結果として表示するためのデ―タを作成・蓄積する工程である。これにより検索結果を迅速に表示することができる。
4-2 検索結果表示用デ―タは、オリジナルのウェブサイトの内容を紹介することを目的として提供され、通常、オリジナルのウェブサイトへのリンクと共に提供される。
5.検索結果の表示(送受信)
利用者側では、ブラウザへの表示に基づいて、望むウェブサイトにアクセスする。(SANARI PATENT 注:この項はケ―タイを含めてお馴染みである)。
6.(以下このサイト2008-4-20)検索エンジンと著作権の調整に関する国際動  向
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
クロ-リング、ウェブサイト、ストレ-ジサ-バ、N-gram方式、検索エンジン

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2008年4月18日金曜日

Search Engine System Studied by Culture Administration

Search Engine System Studied by Culture Administration:文化庁の検索エンジン考究
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 韓国の半導体・電子部品産業

  デジタルコンテンツの振興、そしてそれによる社会経済の発展のために、検索エンジンの機能が高度化し広く活用されることが必須の条件であることには異論がない。その達成上、必要とされる著作権との調整については、文化庁の「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の中間まとめ」(2007-10)が詳述している。

1. 上記「中間まとめ」の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 検索エンジンの仕組み
1-1-1 検索エンジンサ-ビスの提供に至る作業工程は、検索エンジンサ-ビス提供者によって細かな差異はあるものの、次のように3類型化できる。
1-1-1-1 ソフトウェアによるウェブサイト情報の収集・格納(クロ-リング)
1-1-1-2 検索用インデックスおよび検索結果表示用デ―タの作成・蓄積
1-1-1-3 検索結果の表示(送信)
1-2 検索エンジンサ-ビスには、ロボット型およびディレクトリ型と呼ばれるものが存在する。
1-2-1 ロボット型
上記1-1の一連の工程を概ねソフトウェア処理によって自動的に行う。現在の大勢を占める。
1-2-2 ディレクトリ型
上記1-1-1および1-1-2の工程を人手によって行う。

2. ソフトウェアによるウェブサイト情報の収集と格納
2-1 クロ-ラ-と呼ばれるソフトウェアによって、ウェブサイト情報を収集し、そのデ―タをストレ-ジサ-バに格納(蓄積)する工程である。クロ-ラ-は、訪れたウェブサイトの情報を解析し、そこに含まれるリンクを辿ることにより次々にウェブサイトの情報のデ―タを収集するという動作を繰り返す。これにより世界中のウェブサイトを訪れ、訪れた先が新たなウェブサイトである場合は、そこから取得したデ―タをストレ-ジサ-バに格納する。
2-2 このようなクロ-ラ-が行う収集・格納の行為は、ある一定の時間間隔を置いて繰り返し行われ、訪れたウェブサイトの情報が更新されている場合は、ストレ-ジサ-バに格納されたデ―タも更新される。一方、クロ-ラ-が訪れようとしたウェブサイトが、削除等によってもはや存在しない場合には、ストレ-ジサ-バ中の当該ウェブサイトに対応したデ―タは削除される。
2-3 (以下、このサイト2008-4-19)
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
ウェブサイト、クロ-ラ-、ストレ-ジサ-バ、検索エンジン、文化審議会

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2008年4月17日木曜日

High Quality of Counterfeits

High Quality of Counterfeits:中小・ベンチャ-企業およびコンテンツ振興について有識者意見
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 中小企業知財対策(2008-4-16)

  漫画家の里中満智子さんが、内閣知財戦略本部の有識者本部員10名の一人として加わっている。丁度、朝日新聞が里中さんの「私の履歴書」的な連載を「人生の贈り物」と題して掲載しているが、高校3年で中退して漫画家の道をひたすら歩んできた経緯は、コンテンツ人材輩出の容易ではないことを、改めて認識させる。

5-3 資源の集中(承前 別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 2008-4-16記事)地域別、業種別にホ-リディング会社を作り、産業再生機構に在籍していたようなプロフェッショナルを送りこんで、中小企業による資金調達、知財の保護・活用、海外進出等を総合的に支援する新たな仕組みが必要である。
5-4 これからは浅く広く押しなべてという形の支援ではなく、伸びそうなところに焦点をあてて支援する仕組みが必要である。
5-5 知財ビジネスの世界は、一握りのトップが全体の90%の収益を生むような世界だから、モデル中小企業を選定し手厚く支援することを考えるべきである。
5-6 小企業には、その技術や発想が世界基準で知的財産になるということを知らずに、他に奪取されることもあるから、キメ細かな配慮を要する。
6.海外展開・世界的課題への対処
6-1 日本の情報文化発信力強化の方法がポイントである。Contents Holder Siteの国際化を含めて、その発信力強化の方向性を示すべきである。
6-2 創造性ある人材育成のため、日本の大学に競争原理を入れるべきである。
6-3 環境技術は有効なビジネスであるという視点に立って、積極的に国が売り物にするという形で取組むべきである。
6-4 海外展開に当たっては、誇りと自信をもって取組むべきであり、ホ―ムペ-ジなどに「日本で生み出されたもの一覧」のような、世界の人が憧れるようなペ-ジを作って発信すべきである。(SANARI PATENT 考察:国内向けネット販売が成長しているが、地域ブランド品を含めて、グロ-バルな日本産品販売のシステムを支援することが望まれる)。
6-5 海外でわが国の地名等が勝手に商標登録されていることは重大問題だが、色々な知恵を出せば解決してゆくことができる。(SANARI PATENT 考察:わが国商品の総合的識別力(特許・意匠・商標・デザイン)を高め、海外ユ-ザ-が詐欺的被害を蒙らないようにすると共に、価格を極力低減すべきである。)
6-6 コンテンツのグロ-バルな展開については、海外拠点を作るという項目を入れるべきである。現地の情報を収集し、それを咀嚼し上で日本のブランドを発信する仕組みが必要である。その場合、一つの形として在外公館の利用が考えられるが、そのための専門人材を常置すべきである。(SANARI PATENT 考察:JETROの存在が忘れられた観がある。欧米の元首的な地位にある人々はセ-ルスマン的に行動する。既存の陣容を活用することが効率的である。)
6-7 海賊版については、これを巧く退治することを前提にすれば、却って本物の知名度が上がり、ビジネス展開に繋がる。
6-8 ネット上で著作権クリアマ-クを付けてコンテンツを配信することは、違法サイトを合法化してゆく一つの方法である。コンテンツ事業者には零細者が 多く、このような識別マ-クを付する費用や、海外ブランドを守るための訴訟費用などを国がファンドを作って支援すべきである。
6-8 日本ブランドというからには、先ず名前とロゴマ-クを作ることが必要である。

7.SANARI PATENT所見
途上国から新興国を経て先進国の列に加わる過程にある諸国域は、模倣品・海賊版の製造技術も優秀である。往時、「エルメスmade in Korea」と標榜した模倣品・海賊版が日本人旅行客に愛好されたのは、本物の8分の1程度の価格で同等品質の物が得られ、違法性も半減されると考えられたからである。
「著名ブランドによって、同等品質でも高価に売れる(SANARI PATENT 注:その増価額の元本還元額がブランドの定額的価値評価とされてきた)」ではなく、同等品質、低廉価格でも安心して購入できるところに、ブランドの価値を見出すよう、日本人の価値観が変化することが先ず必要である。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)、
Brand、途上国、新興国、里中満智子、コンテンツ・ホ-ルダ-、情報発信力、JETRO

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2008年4月16日水曜日

Chairman of TOSHIBA, President of TAKEDA Medicine

Chairman of TOSHIBA, President of TAKEDA Medicine etc Opine on the IP Policy for 2008:内閣知財戦略本部会合(2008-4-9)における有識者発言
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 光・量子技術の開発(2008-4-15記事)

1. 内閣知財戦略本部の構成
1-1 現在、本部長:内閣総理大臣、副本部長:内閣官房長官・技術政策特命大臣・文部科学大臣・経済産業大臣、本部員:総務・法務・外務・財務・厚生労働・農林水産・国土交通・環境・防衛・国家公安委員長等大臣・金融特命大臣・経済財政政策特命大臣・小子化男女共同特命大臣、および、有識者10名:相沢益男・総合科学技術会議議員、岡村 正・東芝会長、梶山千里・九州大学総長、角川歴彦・角川GH会長、佐藤辰彦弁理士、里中満智子・漫画家、中山信弘・元東大大学院教授、長谷川閑史・武田薬品工業社長、三尾美枝子・弁護士、山本貴史・東大TLO社長である。
1-2 「有識者」であるから、業界・学会の特定分野、専門家団体等の意見代表者という資格はなく、事実上、所属ないしは出身分野の大方の意見が反映される場合が多いというにとどまる。

2. 有識者の意見(SANARI PATENT要約)
2-1 技術革新、イノベ-ションの創造について
2-1-1 先端医療技術に関する特許保護制度の在り方については、iPS細胞(SANARI PATENT 注:誘導多能性幹細胞)という画期的な成果が生まれたことを踏まえ、もう一度本気で検討すべきではないか。
2-1-2 知的財産法は財産法であって規正法ではないが、実際は規制として働く面もある。中心的なのはデジタルコンテンツであるが、iPS細胞を中心とした医療関係の問題についても、わが国産業発展に対する規制になってしまう可能性もあるので、早急に検討すべきである。
2-1-3 21世紀の技術革新に対処して、その規制にはならないという、知的財産法の中立的立場を明確にすべきできである。
2-1-4 iPS細胞研究のような画期的技術については、先発明主義や仮出願制度を正すなど(SANARI PATENT 注:「正す」の語義は不明)、国際競争上のイコ-ルフッティングを確保すべきである。米国のように大学が契約書のフォ-マットを公表して非独占で使わせるとする方が時間的に遅れをとらないのではないか。
2-1-5 iPS細胞プロジェクトは、わが国の画期的な発明を事業まで結びつけて国際競争力を持つところまで持ってゆくモデルケ-スであり、しっかりしたリ-ダ-のもとに総合プロデュ-ス機能を発揮し、外から見える形で支援してゆくことが重要である。(SANARI PATENT 考察:特許権の問題が絡むので、わが国では「外から見えない」形で政策が議せられている)。
2-1-6 将来のわが国の国際競争力を強化するためには、科学技術の方向として、環境技術をいかに世界にアッピ-ルするかということが極めて重要である。総合科学技術会議等とコンセンサスを得ながら、環境技術の国際競争力を一層強化し、世界のリ-ダ-シップを取るという大きな柱を立てるべきである。
(以下別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 産学連携の評価指標 2008-4-16記事)
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
iPS、東芝、角川、武田薬品、漫画家、弁護士

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2008年4月15日火曜日

Problems Concerning Search Engine System

Copy Wrights Problems Concerning Search Engine System:ネット検索に関する著作権問題の日米格差
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 技術開発成果の社会還元加速プロジェクト(2008-4-14記事)

  近く決定される平成20年度内閣知財計画において、ネット検索システムとわが国著作権法との調整がどのように解決されるか、NGN(次世代ネットワ-ク)における知的活動を展開する主役の一つが「検索システム」であるだけに、大きな関心を呼んでいる。特にここで「わが国の」と限定したように、両者の調整における日米の著作権法環境は著しく異なり、これがグロ-バルに機能する検索システムを米国にほぼ独占させる現況となっている。

1. 日米格差
1-1  GoogleやYahooと同様に、わが国でも、著作物のキ-ワ-ドや索引の編集・利用が著作権者の承諾を要せずに認められ、ネット検索ビジネスを提供できるように、著作権法改正が実現することを期待できるか、わが国NGNの国際的地位を決定する一つの要素であると、SANARI PATENTは考える。
   そのように重要に考える理由は、米国の著作権法がFair Useとして著作権侵害事由から除く行為を明示しているのに対して、わが国著作権法はその第一条に「公正な利用に留意しつつ」とあるのみで該当事項を定めず、従って、 GoogleやYahooの日本法人が、米国Google、米国Yahooにenforceされて始めて、わが国検索ビジネスを支えているからである。換言すれば、「公正利用」法定の意義は、検索ビジネスにとどまらないと考えるからである。
1-2 ネット検索のデ―タベ-ス作製において、著作物の一部を複製し、検索精度を高めるよう、キ-ワ-ドや索引を設定する作業を要し、その内容が豊かであればるほど、検索エンジンの価値が高いことは、知的財産専門家のみならず、広くグロ-バル市民が認識するところである。

2. 文化審議会の中間まとめ
2-1  文部科学省文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は、その中間まとめ(2007-10-12)を報告して現在に至っているが、この報告においては「検索エンジンの法制上の課題について」と題する章を設け、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-1-1 検索エンジンは、インタ-ネット上の情報の所在を検索する手段として、現在幅広く一般に用いられている。その仕組みは、自動的なプログラム(クロ-ラ-と呼ばれる)によってインタ-ネット上のウェブサイトの情報を間断なく収集し、そのデ―タをサ-バに格納して、これを解析したものをデ―タベ-ス化すると共に、利用者からの検索要求に応じて、そのウェブサイトの所在等の情報を検索結果として表示するものである。
2-1-2 これらの検索エンジンにおいて行われる行為は、格納あるいは表示される情報が著作物である場合、著作権の対象となり、著作権法上の問題が指摘される一方、インタ-ネット上に存在する膨大な著作物が自動的に検索対象になるため、著作権利者から逐一許諾を得ることは現実的に不可能であり、検索エンジンサ-ビス提供者の法的地位の安定性が確保されていない。
2-1-3 以上を」踏まえれば、権利者の私権との調和に十分に留意しつつ、検索エンジンサ-ビス提供者の法的地位の安定性確保に資する法制度の在り方を検討する必要性が生じているといえる。

3. SANARI PATENT所見
知的財産権制度の国際調和、特に日米間のそれについて、特許権に関する実際的な解決がなされつつあるが、著作物の公正利用について、日米法制を一致させることが急務であり、著作権者側の納得も得易いと考える。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Fair Use、Copy Wright、検索エンジン、Google、Yahoo、著作物

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2008年4月14日月曜日

Following Up the Steps for Economy Growth

Following Up the Steps for Economy Growth:新年度国際競争力強化政策の実行項目と知財政策(内閣府、文部科学省。経済産業省)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 第4世代ケ―タイの国際標準化(2008-4-13記事)
 
  上掲府省からは、次のように報告されている(2008-4-1)

1. 内閣府
1-1 平成20年度における「科学技術に関する予算等の資源配分」について、重点的に実行すべき重点課題として、国家基幹技術を含む戦略重点科学技術への一層の重点化のほか、イノベ-ション創出を力強く推進するための取組として、研究開発の成果を国民が実感できるようにするため、社会還元加速プロジェクトの推進、次世代を担う人材への投資、科学技術外交の展開を掲げた。
1-2 競争的資金の拡充と制度改革の推進について、イノベ-ションの種となる基礎研究の多様性・継続性の確保と、出口に繫なぐシ-ムレスな仕組みの構築、若手・女性研究者に魅力的な研究環境づくり、ハイリスクでインパクトのある研究や独創的な研究の強化、評価体制の強化、研究資金の効果が最大となる公正・透明・効率的な配分・使用システムを確立する。
1-3 戦略的創造研究推進事業のERATO型(後記4)において、既存の研究の延長線上や大規模化ではない、新たな視点を盛り込んだ挑戦的な研究や、10~15年後に新たな科学技術分野への展開や新産業の創出が期待できる研究を推進する。
2. 文部科学省
2-1 平成20年度予算において「世界トップレベル研究拠点プログラムに71億円を計上している。
2-2 平成20年度から、科学研究費補助金において。学術の水準の向上・強化に繋がる新たな研究領域や革新的・挑戦的な学術研究の発展を促すことを目的とする研究種目として、「新学術領域研究」を新設する。
3. 経済産業省
3-1 ナノエレクトロニクス等の領域について、文部科学省や科学技術振興機構(JST)との連携を踏まえた議論を行いつつ、産総研つくば地域を中心に、産学の知見が集約される研究開発拠点を構築する。
3-2 先進的医療機器7機種程度について、工学的安定性や生物学的安定性等に関する詳細な評価基準を策定し、開発ガイドラインとしてその迅速化に繫なげる。
3-3 ナノ粒子の計側技術の確立、生体影響評価手法、暴露評価手法を開発すると共に、ナノテクノロジ-によるリスクに対処する管理手法を確立する。
3-4 OECDとNEDO・AISTの合同シンポジウムを開催する。(SANARI PATENT 注:NEDO=New Energy and Industrial Technology Development Organization: 独立行政法人・新エネルギ-・産業技術総合機構、AIST=National Institute of Advanced Industrial Science and Technology:産業技術総合研究所)

4. SANARI PATENT所見
ERATOは、Exploratory Research for Advanced Technologyであるが「戦略的創造研究推進事業」と呼称している。幹細胞制御プロジェクトや量子情報システムなどが対象とされている。「国家基幹技術」その他、重点呼称が多いが、公表に際しては各内包を明示すべきである。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
OECD、NEDO、AIST、ERATO、国際競争力

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2008年4月13日日曜日

Rapidly Developing Social Networking Service

Rapidly Developing Social Networking Service:各分野にわたるSNAの急速な展開(米国大統領選挙、地域連帯、社内連絡、交友拡大)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ ヒト由来誘導多能性幹細胞の特許性(2008-4-12記事)

1. 新世代ネットワ-クの多彩な主役群
1-1 送受信者が一体化して、送信者・受信者の区別がなくなり、社会属性上も地域上も極めて多様なグル-プが多様な目的でネットワ-クを高度に活用する時代を迎えた。SNSは、その態様の一つである。
1-2 SNSのほか、BlogやSecond Lifeuなど、次世代ネットワ-クの主役を務めるシステムは多数競演で多彩な舞台を展開する。ここにはSNSの近況を見る。

2. 日経PC21(2008-5)が描く米国大統領選挙のSNS(SANARI PATENT要約)
2-1  オバマ上院議員は、SNS的な仕掛けを盛り込んだサイトを活発に展開し、支持者をインタ-ネットで結んで、彼らが情報を豊富に交換できる場を先ず構築した。オバマ候補は特に若者を中心とした層に人気があるが、その背景にはネットに強い彼らをとらえた戦略が成功したとされている。
2-2  米国大統領選挙におけるネット機能の重要性は急速に高まり、特に動画共有さいとYou Tubeに新設(2007)された「You Choose 08」は、候補者がそれぞれのチャネルを開設して刻々とビデオをアップする機構である。各候補者関連のビデオは争点ごとにカテゴリ-分けされ、ユ-ザ-の投稿ビデオも加わる。すなわち、インタ-ネットが積極的に発言と運動を行う双方向のプラットフォ-ムに進化し、多額選挙資金寄付者が段取りしてきた政治を、草の根的な市民群集が影響する場に革新した。
2-3  このプラットフォ-ムに臨む戦略として、SNSシステムの特徴を導入したオバマ氏の若さが、優勢をもたらしている。

3. 朝日新聞(2008-4-12)が画く「地域限定型SNS」(SANARI PATENT要約)
3-1 SNSは、参加者が互いに友人を紹介しあい、インタ-ネット上で交友関係を広げるコミュニティ-型ウェブサイトとして発達してきたが、最近は地域限定型SNSが続出して210余の地域を数えるに至り、地域振興や防災情報伝達など新たな目的と機能をも加えている。
3-2 従来のSNSと比べて、地域限定型SNSには、独特のメリット、「実世界とネットの融合」がある。すなわち、会員の大半が直接交流できる地域に居住するので、一般のSNSより会員同士が対面する機会が多く、「出会い系」ではなくて「出会った系」として構成されることである。
3-3 また地域SNSは、その多くが実名登録や完全招待制など比較的厳しい入会ル―ルを定め、規律を保持している。
3-4 さらに、行政施策へのモニタ-を依頼されるなど、行政とも連携すると共に、インタ-ネットの特徴を活かして諸都市と地域を結ぶ機能も果たしている。

4. 会社内のSNS
4-1 富士通は、SNSを知創空間と名付けて、「個人のナレッジを組織に活かす企業向けSNS」を鼓吹してきたし、NECは、社内SNSを「公式情報を取扱うインフラとしてだけではなく、業務に関係するかもしれないが公式に扱うほどでもない意見や疑問提起」を幅広く受入れ、社内コミュニケ-ション活性化に役立つとしてきた。
4-2 しかし、NECソフト2008春号には、「社内SNSの導入率は9.4%」という見出しで、「なくてはならない業務基盤として位置付けるには、まだ何か足らない」としている。これはSNSからエクストラネットへの展開を意味すると述べ、そのときはもう、SNSという名称ではなくなるだろう、と結んでいる。

5. SANARI PATENT所見
Social Networking Serviceと言えば、全てのネットワ-クがSocial Networking Serviceで、SaaS (Software as a Service)やSecond Lifeなどと同様に、その内容はシステム供給業界とユ-ザ-との合意の積み重ねによって形成され、かつ、流動的でもある。実際の中味を吟味しつつ合意内容を進化させることが必要である。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
SNS、SaaS、富士通、NEC、You Tube、オバマ氏

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2008年4月12日土曜日

Market of Electronic Publication

Market of Electronic Publication:大日本印刷のDNP REPORT新版におけるケ―タイ電子出版
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ ヒト由来誘導多能性幹細胞の特許性(2008-4-12記事)

  大日本印刷のDNP REPORT Vol53が着信した。DNPのPはprintであるが、大日本印刷ほか印刷業界とコンテンツ・ユ-ザ-の購買における「電子化」比重の趨勢、換言すれば「従来印刷」イメ-ジの希薄化の印象(ケ―タイ小説の創作と流通など)(SANARI PATENT 注:しかし、出版市場の全体規模から見れば電子出版の比重は現在1%に満たない。注目すべきは、従来印刷物出版の過程における電子化であって、その比重は著増していると考えるが、数値化されていない)を見るために好適な資料であるので、以下に考察する。

1. 今次DNP REPORTの内容(SANARI PATENT要約)
1-1 電子出版の市場規模は、2002年の10億円から2006年の180億円に、4年間で18倍という著増を示した。数年のうちに1000億円を超えるという見方もある。
1-2 わが国の出版市場は、2兆1500億円と推定されており、うち書籍が9000億円、雑誌などが1兆2500億円を占めている。メディアの多様化や若年層人口減少などの影響で、特に雑誌の市場は縮小傾向にあり、国内の出版印刷市場の拡大は厳しい状況にある。
1-3 出版市場の環境が著変するなか、コンテンツ市場全般を含む視野に入れたビジネスが求められている。急拡大中の電子出版市場において大日本印刷は、ケ―タイ向けコンテンツ販売事業である「よみっち」「まんがこっち」「お約束写真館」「音の本棚」の運営や。コンテンツ販売事業者への取次ぎサ-ビスを積極的に展開し、消費者向けの新しいサ-ビスの仕組みを出版社などのコンテンツホルダ-に提供している。
1-4 さらに今年は、ニンテンド-DSをプラットフォ-ムとする出版・映像コンテンツの配信事業を、春から開始する。

2. SANARI PATENT所見
  知財高裁判決の用語定義にもしばしば引用される広辞苑は、大日本印刷の53年前の初版以来、長年にわたる大日本印刷の業績であるが、すでに30年ほど前から電子組版システムを導入し、編集・印刷工程を省力化している。23年前に印刷技術と情報技術の融合によりCD-ROM版電子辞書化した。
  SANARI PATENTは印刷辞書としての広辞苑と、電子辞書としての大辞林を併用しているが、後者の製造者はシャ-プで、シャ-プは「印刷機械をもたない辞書出版社」といえる。
  なお、大日本印刷の上記資料から推定すれば、電子出版の媒体として、本年はケ―タイ250億円超、PC/PDA120億円超と見込まれ、ケ―タイの増勢はさらに顕著と考えられる。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Electronic Publication、大日本印刷、シャ-プ、広辞苑、ケ―タイ小説

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2008年4月11日金曜日

Shift to Law Carbon Society

Shift to Law Carbon Society: 、経済対策閣僚会議(2008-4-4)メニュ-の考察
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 富士電機・起業家支援の成果(2008-4-11記事)

 「低炭素社会への転換」という項目を経済対策閣僚会議の決定に掲げたが、「二酸化炭素排出先」として「地下還元」が注目されるので、追加すべきである。従って、1-2の「面的に」は「立体的に」とすべきである。

 先ず今次決定の項目を見る。(SANARI PATENT要約)
1. 環境モデル都市など低炭素型のまちづくり推進
1-1 温室効果ガスの大幅な削減など、高い目標を先駆的にチャレンジする10都市を選定する。
1-2 地域冷暖房や緑化など、都市を面的にとらえた包括的な環境負荷削減対策の導入に対する計画策定支援やモデル事業、実証実験等を推進する。(SANARI PATENT 注:「面的にとらえる」の意味が解説されていない)。
2.「200年住宅」等の推進
2-1 「住宅長寿命化推進協議会」を設立するほか、支援制度を創設し、先導的な技術の導入等のモデル事業を実施すると共に、事業者への講習により技術力を向上する。
2-2 自然エネルギ-の高効率利用等の先導的技術を導入するモデル事業への支援や、住宅の省エネ改修促進税制の創設を通じて、住宅・建築物における省二酸化炭素対策を推進する。(SANARI PATENT 注:「住宅・建築物」という用語は、珍しいというほかない)。
3, 「環境エネルギ-技術革新計画」の策定・推進
温室効果ガスの排出を究極的にゼロとするような革新的な技術開発を開発するため、「環境エネルギ-技術革新計画」を策定し推進する。
4.バイオマス等再生可能エネルギ-、原子力への取組強化
4-1 北海道洞爺湖サミットに向け、バイオマスタウンサミットの開催、「バイオマスタウンツア-」を実施するなど国民運動を展開する。
4-2 太陽光、風力、バイオマスなど地域における再生利用可能エネルギ-活用システムの構築に向けた技術開発・実証、普及支援を順次実施すると共に、バイオ燃料関連税制を創設する。
4-3 国際原子力エネルギ-・パ-トナ-シップへの参画、わが国原子力産業の国際展開の支援等を通じて原子力の安全で平和的な利用拡大のため、国際的取組・支援を推進する。
5.美しい森林づくり
民間組織、企業、国民と一体となった「美しい森林づくり推進国民運動を集中的に展開し、間伐等の森林整備を推進し、森林吸収量(SANARI PATENT 注:もちろん「二酸化炭素の」)を確保する。
6、低公害車などなど運輸部門における対策
7.市場・金融を活用した低炭素社会の構築
7-1 自主参加型国内排出量取引制度への参加促進、金融商品取引所等による排出量取引市場開設の制度整備など市場メカニズムの活用を進め、また、大企業の技術・資金等により中小企業等の排出削減を進める「国内クレジット」制度を構築する。
7-2 気候変動緩和のプロジェクト等について国際協力銀行の出資・保証活用のための枠組みを創設する。
8.自転車通行環境の整備
本年1月に指定した全国のモデル地区において、歩行者・自転車が安全に通行できる自転車通行環境の模範となる事業を順次実施する。

9.SANARI PATENT所見
 今月(4月)実施と銘打った事項も多いので(本稿では記載を省略したが)、5月には、その発足状況を公表すべきである。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Carbon、低炭素社会、環境サミット、洞爺湖、自転車、排出権

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2008年4月10日木曜日

FUNAI-PHILIPS Developing OEM and Brand License

FUNAI-PHILIPS Developing OEM and Brand License:船井電機がOEM(相手先ブランド製造)とブランドライセンスビジネスの活発な展開
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ ケ―タイの国際競争力と国際標準化(2008-4-10記事)

1. 船井電機が「PHILIPSと北米テレビ事業のブランドライセンス契約締結予定」を発表(2008-4-9)
1-1 発表の内容(SANARI PATENT要約)
1-1-1 船井電機は、PHILIPSの米国およびカナダにおけるPHILIPSの民生用テレビの供給、配送、マ-ケティングおよび販売活動を担うブランドライセンス契約を予定している。このライセンス契約は2008-9-1を効力発生日とし、最低5年の期間で、北米市場に提供するテレビのPHILIPS(およびMagnavox)ブランドの独占的使用権を得ることとなる。
1-1-2 船井電機は既に、複数のブランドで北米を中心にテレビを供給しており、PHILIPSのテレビを取扱う小売店からもLeading Supplierとして認知されている。
1-1-3 船井電機は、現在までにPHILIPSと13年間にわたりVTRやDVD等のOEMで良好な関係を構築しており、今次ライセンス契約が船井電機とPHILIPSの北米におけるテレビ事業の新しいビジネスモデルの展開に資することを確信している。
1-1-4 また船井電機は、PHILIPS向けテレビの製造において、PHILIPSが有する世界トップクラスのリサ-チ、デザイン並びにIP技術を有効に活用することにより、技術とデザイン面で消費者に一層訴求力ある商品を市場に提供できることとなる。
1-1-5 船井電機は、ライセンス供与の条件として、ブランド使用、品質、デザインおよび消費者向けアフタサ-ビスの規定を遵守する。

2. SANARI PATENT所見
  船井電機は最近、日本ビクタ-とディスプレ-機器を中心とする映像機器分野において、広く業務提携する基本的合意書に調印している(2008-1-30)。両社はエレクトロニクス業界におけるグロ-バルな競争激化に対応するため、両社とも独自の強みを活かしながら、他企業とのアライアンスによる映像機器事業の強化を検討してきた結果、上記合意に至ったと述べている。
  船井電機のPHILIPSおよび日本ビクタ-との各合意は、内閣知財戦略本部が強調するオ-プン・イノベ-ションの一つの態様としても、注目すべきものと考える。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
OEM、船井電機、PHILIPS、日本ビクタ-、ブランドライセンス

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2008年4月9日水曜日

NEC-TOKIN Insistences Patentability

NEC-TOKIN Insistences Patentability:「電磁干渉抑制体」特許出願について知財高裁が「NECト-キン提起・審決取消請求」を棄却(4月7日判決)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 地域活性化の早期実施対策(2008-5-9記事)

 NECト-キン(東証1部)の特色は、野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、「素材型電子部品の大手で、タンタルコンデンサでは超小型化で先行している。電池、ICタグなども展開している。連結事業はエネルギ-デバイス、ネットワ-クデバイス、ファンクショナルデバイスで、海外比率は48%。

 ここでは、NECト-キンの「電磁干渉抑制体およびその製造方法」発明の特許性を否定した特許庁審決に対する、NECト-キンの主張を考察する。

1. NECト-キンの主張(SANARI PATENT要約)
1-1  審決は、NECト-キンのこの出願が、「その発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない」という要件を満たしていないと認定したが、誤りである。すなわち、審決は、「この明細書には電磁干渉抑制体およびその製造方法の一般的な製造方法が記載されているに過ぎず、一般的な製造方法の中から、いかなる製造条件によって得られるかという、製造条件と本件出願の電磁干渉抑制体の要件とを結びつける記載は認められない、とするが、この認定は誤りである。
1-2  一般に、電磁干渉抑制体としての複合磁性体は、その磁気損失特性を改善すれば、電磁干渉抑制体としての特性が改善される。ここで複合磁性体の磁気損失特性は、複素透磁率の虚数部によって決定される。一方、複合磁性体の磁気損失は、その複合磁性体に含まれている軟磁性体粉末の形状異方性を始めとする種々の磁気異方性に強く関連している。しかし、軟磁性体粉末における形状異方性等を個別に制御しても、複雑なメカニズムによって決定される複合磁性体全体の磁気損失を保証することはできない。
1-3  本願発明は、このような電磁干渉抑制体として使用される複合磁性体の磁気損失を評価する目安を与えることを目的とするものである。
1-4  本願発明の電磁干渉抑制体は、軟磁性体粉末と有機結合剤を含む複合磁性体のうち、特定の特性を有する複合磁性体を選別することによって得られるのである。すなわち、本願発明の趣旨は、製造条件によって特定された電磁干渉抑制体を得ることにあるのではなく、製造された複合磁性体のうち、特定の特性を備えた複合磁性体を選別することによって、本願発明でいう電磁干渉抑制体を得ることにあるのであって、製造条件によって特定された複合磁性体ではない。
1-5  このように本願発明は、新規な知見に基づく産業上極めて有用な発明であるにもかかわらず、特許庁の審決は、本願発明が、新規な知見に基づくものであることについて全く審理することなく、本願発明の趣旨を誤解した点で違法である。

2. SANARI PATENT所見
  NECト-キンが審決取消請求の事由として主張した争点は上記のほか多岐にわたるが、上記の点について知財高裁は、「当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に加工手段および加工条件を記載したものとは認められない」と判断した。
  SANARI PATENTが従来述べているように、「当業者」はIT用語でいえば「仮想当業者」であるから、その単複や知見水準については、例えば、ソフトウェア発明のように異分野複数の場合もあり、グル-プである場合もあり、また米国特許審査基準(MPEP)が定めるように、その業界の水準による場合もある。特許査定者の当業者、審決者の当業者、知財高裁の当業者、原告・被告の当業者が各その知見を異にする場合があり得ることは、特許制度の本質として内在し、決定を審級に委ねるものである。
(注)平成19年(行ケ)10171審決取消請求事件 知財高裁判決2008-4-7
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Patentability、NECト-キン、MPEP、電磁干渉抑制体、複合磁性体

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2008年4月8日火曜日

Dispatching Power of Contents Industry

Dispatching Power of Contents Industry:「クリエイティブ産業の発信力強化」など産業分野別成長戦略」〔その2〕
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 中小企業の成長力強化・早期実施対策(208-4-7記事)

  内閣知財戦略本部の知財計画で「コンテンツ戦略」としている課題を、経済対策閣僚会議では「クリエイティブ産業強化」と呼んでいる・

1. クリエイティブ産業の発信力強化
ミラノ・サロ-ネにおける日本展開催、カンヌ映画祭におけるジャパンコンテンツ発信拠点の設置、地域コンテンツフォ-ラムの開催、アジアCGサミットを実施する。
2. サ-ビス産業の生産性向上
業種別の生産性向上のための課題を抽出し、業種別生産性向上プログラムを策定する。特に生産性向上が必要な分野について、産業活力再生特別措置法に基づく事業分野別指針を策定する。(SANARI PATENT 注:「小売、情報サ-ビス、商社、研究開発サ-ビス、認証サ-ビス、業務プロセス・アウトソ-シング、プラント・エンジニアリング、環境サ-ビサイジング、対個人サ-ビス、自動車小売」が注記しているが、十分に整理されていない)。
3.物流コストの引下げ
貿易手続効率化のため、税関の臨時開庁手数料を廃止し、手続の簡素化、AEO度の対象拡大、輸出入関連システムの統合と共に、「輸出入・港湾関連情報処理センタ-株式会社」を設立するなど、貿易手続改革プログラムを早期に実施する。
4. 電子政府
4-1 ワンストップ電子行政サ-ビス実現を目指し、国民本位の電子政府・電子自治体実現の基本構想をまとめる。(SANARI PATENT 注:現行の基本構想を改定する意味と解する)。
4-2 引越し手続等のワンストップポ-タル構築のための実証実験を開始する。
4-3 手数料の引下げ、添付書類の削減に向けて、行政事務の簡素化・効率化に必要な見直し・点検に着手する。(SANARI PATENT 注:今まで着手していいなかったのですか、という感がある)。
4-4 年金の記録適正化、業務効率化のため、オンライン申請を推進する。(SANARI PATENT 注:受給者が納入証拠をメモリ-保存できると共に、中小企業のIT化にも役立つ)。
5. 建設業・住宅産業の体質強化
5-1 施工分野から設計企画分野、維持管理分野への活動拡大、現場管理にIT活用等の先進的取組のモデル事業を公募し支援する。
5-2 価格と品質で総合的に優れた公共工事調達を実現する総合評価方式を導入する。
5-3 耐震改修補助事業・融資事業を活用する。
5-4 長期優良住宅、省エネ改修、耐震改修の技術力向上、地域木造住宅関連産業の連携を支援する。

7.SANARI PATENT所見
71- 近く決定される平成20年度内閣知財計画のコンテンツ関係と今次関係を整合させることが必要である。
7-2 「輸出入・港湾関連情報処理センタ-株式会社」の設立計画に、模造品・海賊版の税関差止めに関する業務を明示すべきである。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Dispatching Power、ミラノ・サロ-ネ、カンヌ、電子政府、耐震

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2008年4月7日月曜日

Establishing Special Zone for State-of -the-art

Establishing Special Zone for State-of -the-art Medical Treatment:先端医療開発特区の創設など産業分野別政策(その1)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ ユビキタスICT特区プロジェクト(20-08-4-6記事)

  経済対策閣僚会議決定 (2008-4-4)「成長力強化への早期実施策」のうち、産業分野別の体質強化政策を考察する。

  冒頭に「先端医療開発特区の創設」が掲げられたが、「先端医療関係の特許付与対象の拡大」については、全く触れていない。
  「金融商品取引所の業務範囲拡大」を掲げ、「二酸化炭素排出権」の取引を可能としているが、「二酸化炭素」の語を外して、単に「排出権」と記述している。

1. 決定内容(SANARI PATENT要約)
1-1 先端医療開発特区創設
最先端の 再生医療、医薬品・医療機器について、重点分野を設定した上で、先端医療研究拠点を中核とした他の研究機関や企業との複合体を選定し、研究資金の特例や規制を担当する厚生労働省、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構との並行協議等により開発を促進するよう、早急に検討し実施する。平成20年度は、先行プロジェクトを実施する。(SANARI PATENT 注:ここは原文のまま記したが、複数関係者が推敲を重ねた文章で、「特区」に当たる語がない)。
1-2 金融資本市場の競争力強化
金融・資本市場競争力強化プランを早期に具体化する。そのため「金融商品取引法の一部改正法案」を早期に成立させる。その内容は、
1-2-1 金融商品の多様化
金等の商品を直接組み入れたETF(上場投資信託)の組成を可能にする。
現物拠出型ETFの対象株価指数の個別列挙方式を見直すと共に、その投資対象を株式以外の有価証券にも拡大する。
J-REIT(不動産投資信託)(SANARI PATENT 注:Real Estate Investment Trustで、野村不動産レジデンシャル投資法人など)への海外不動産の組み入れを可能とする。
1-2-2 英文開示有価証券の対象拡大
現在、外国ETFに限られている英文開示の対象有価証券を、外国会社等が発行する全ての有価証券に拡大する。
1-2-2 海外ファンドマネ-ジャ-の誘致
わが国市場で投資する海外投資家が、国内のファンドマネ-ジャ-と投資一任契約を締結する際、両者が独立した関係にあるときには、その海外投資家が受け取る運用益について、日本での確定申告義務がないことを明確にする。
1-2-3 プロによる取引の活発化
内外企業の資金調達機会の拡大およびわが国金融・資本市場の魅力向上のため、直接の参加者をプロに限定した自由度の高い市場の枠組みを構築する。
1-2-4 金融商品取引所および銀行グル-プ等の業務範囲の拡大
金融商品取引所による排出量取引市場の開設を可能にすると共に、商品現物取引、排出量取引等について銀行グル-プ等の業務範囲を拡大する。
1-2-5 金融商品取引法における課徴金制度の拡充
公正・透明で信頼性ある市場構築のため、課徴金の金額を引上げ、対象範囲を拡大する。

2. SANARI PATENT所見
  先端医療に関する知的財産政策上の革新的政策は、内閣知財戦略本部において結論を先送りしている。
  コンテンツの創成資金を証券化によって調達することについて、言及していないが、「対象の拡大」に読み込むこととする。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Medical Treatment、再生医療、金融資本市場、二酸化炭素排出権、野村不動産

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2008年4月6日日曜日

Transfiguration of Outsourcing Business

Transfiguration of Outsourcing Business:From Manpower Outsourcing to Manufacture Outsourcing:株式会社アウトソ-シングのビジネス展開
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 特許制度の南北問題(2008-4-5記事)

1. オ-プンイノベ-ションとアウトソ-シング
1-1 「クロ-ズドイノベ-ションからオ-プンイノベ-ションへ」という戦略指向は、先進国共通の現象である。人的・物的・資金的・知的財産的な経営諸資源を企業内にクロ-ズして独占的利益を固守するビジネスモデルが、これら資源のグロ-バルな拡散によって却って不利となり、経営諸資源の共同利用を様々な態様で積極化することが次世代の戦略として必要であるという認識が高まり、既に実行されつつある。
1-2 内閣知財戦略本部の「オ-プンイノベ-ションと知的財産を巡る現状等について」(2008-2-5)において米国の状況を述べ、IBMが社内外の経営資源をイノベ-ションの源泉として位置づけていること、シスコシステムズが製品の9割を外部パ-トナ-の関与により創出していること、P&Gが社外資源を商品開発に活かして研究開発の生産性を6割増加したことなどを引用している。
1-3 わが国でも例えば、NECソフト株式会社は、同社と契約したシミック株式会社が、「転職者や新入社員がベテランのノウハウを共有できるナレッジマネ-ジメントシステムを導入したこと」などを事例として、「社内だけでなく、外部の新しい価値観を持った情報を共有してゆく時代」であることを強調している(NECソフトVALWAY No.31)。

2. 株式会社アウトソ-シングの今次報告(2007-1-1~12-31)
2-1 野村證券・東洋経済の会社四季報は、同社について次のように述べている。〔SANARI PATENT要約〕
 「工場製造ラインへの人材派遣・請負が主力。連結事業は生産アウトソ-シング。自動車エンジン性能試験受託が収益貢献本格化。主力の製造派遣・請負は好採算の請負比率の向上と優良取引先へ集中。現在5割の請負比率を9割まで拡充の方針。
2-2 同社の今次報告は、次のように述べている。(SANARI PATENT要約)
2-2-1 わが国の製造業においては、製品ライフサイクルの短縮により生産変動が激化し、国際競争の熾烈と相俟って、雇用の流動化と削減が不可欠であり、その結果、生産アウトソ-シング業界はわが国産業発展のため極めて重要な存在になっている。
2-2-2 当社は、人材派遣型ビジネスモデルから脱却し、「個人の付加価値と待遇のアップの追及を業績に結びつける請負」を推進し、売上高は対前期比14.7%増、売上総利益率18.2%を達成した。

3. SANARI PATENT所見
  生産アウトソ-シングは、オ-プンイノベ-ションの一つの重要な態様と考えられるが、同業界全体の課題として、日本製造アウトソ-シング協会会長(現在、株式会社アウトソ-シング・土井春彦社長)の次のメッセ-ジが注目される。(SANARI PATENT要約)
「製造アウトソ-シングは、メ―カ-の生存競争の中で積極的に活用され発展してきた。しかし、多くのメ―カ-が設備投資・人的投資を強化している現状においては、今後の製造アウトソ-シング業界は成熟産業になると共に、人材確保に一層の努力を要する。」
  SANARI PATENTは、いわゆる「発注元ブランド受託生産」も製造アウトソ-シングの主要要素と分類するから、生産規模拡大・集約化メリットの実現も、ここに期待が強まると考える。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Outsourcing、オ-プンイノベ-ション、製造アウトソ-シング、NECソフト、人材派遣

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2008年4月5日土曜日

Competitive Status of Current Networks

Competitive Status of Current Networks:電気通信事業分野の競争状況デ―タ(四半期報)を総務省が公表(2008-4-3)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 弁護士の需給(2008-4-4記事)

  インタ-ネット接続のブロ-ドバンド全契約数(2007-12-31)2829万のうちNTT東西のシェアが45.8%と増加傾向にあるなど、次世代ネットワ-クの展開に関連して競争環境の帰趨が注目される。

1. 公表の意味
1-1 総務省は、「電気通信事業分野の競争評価の一環」として、2007-12-31現在のシェアデ―タを公表した(2008-4-3)。SANARI PATENTが理解するところでは、電気通信は民間企業によって経営されるが公共的インフラであり、相互接続性、互換性、信頼性などの具備を法的に規制しつつ、競争によるサ-ビスの向上を恒常的に図るべき分野であるから、規制当局は、規制の厳正と競争状況の維持の双方をみずから評価し、国民の批判を受けるべき立場にある。
1-2 一方、次世代ネットワ-ク(NGN)の展開を新たなビジネス創出の機会とする企業の立場からは、国際競争力確保のためにも電気通信事業における競争のもとに電気通信の品質の維持向上と価格の合理化が達成されることが必要であり、先ず「電気通信事業分野の競争状況」の総務省評価に注目することとなる。

2. 今次総務省公表(SANARI PATENT要約)とその考察
2-1 固定通信
2-1-1 加入電話
加入電話は、NTT加入電話、直収電話、OAJB-IP電話、CATV電話の合計である。加入電話の契約数は1998年3月末の6285万契約をピ-クとして漸減し、2007年12月末には5920万契約となった。約6%の減少である。総務省発表には言及していないが、ケ―タイによって代替されたことは疑問の余地がない。
  加入電話契約数全体に占めるNTT東西のシェア(NTT加入電話とOABJ-IP電話の合計)は87.2%で、僅かではあるが減少傾向にある。なお87.2%のうちNTT東日本43.7%、NTT西日本43.5%である。
2-1-2 IP電話
IP電話の利用番号数は2007年12月末1677万で、前期比(SANARI PATENT 注:「前期」は第二四半期、以下同)4.0%増、OABJ番号の利用数は680万(14.9%増)と増加が続く一方、050番号の利用数は996万(2.3%減)と減少している。
全体の利用番号数シェアでは、ソフトバンクが27.7%(前期比1.7%減)、NTTコミュニケ-ションズが18.5%(1.6%減)と減少した一方、NTT東西は29.5%(前期比2.7%増、前年同期比11.1%増)で、初めてシェア1位になった。
OABJ番号におけるNTT東西のシェアは72.9%(東39.8%、西33.1%)で、前期比0.3%減であるが、KDDIが9.6%(前期比0.4%増)でシェア2位になった。
2-2 移動体通信
ケ―タイ・PHS合計契約数は2007年12月末1億530万(前期比1.0%増)と微増したが、うちPHSは25万減の477万(前期比3.8%減)で減少傾向を続けている。
NTTドコモグル-プのシェアは50.6%(前期比0.5%減)、KDDIのシェア28.1%(0.1%増)、ソフトバンクモバイルのシェアは16.7%(0.3%増)で、SANARI PATENTの評価では、健全な競争環境と考える。
2-2 インタ-ネット接続
2-2-1 ブロ-ドバンド全契約数2007年12月末2829万(前期比2.0%増)で、NTT東日本25.1%、西日本20.7%、ソフトバンクグル-プ17.8%、イ-アクセス6.6%である。
2-2-2 DSLの契約数は2007年12月末1313万(前期比2.6%減)で減少が続いている。(SANARI PATENT 注:マンションにおける光ファイバへの切替進捗も寄与していると考える)。
2-2-3 光ファイバ契約数は2007年12月末1132.9万(前期比7.8%増)で、NTT東西のシェアが71.4%と、増加傾向が続いている。電力系事業者は10.2%、KDDIが6.1%で、ともに横ばい。

3. SANARI PATENT所見
  光ファイバについては、電力会社とKDDIの連携も見られ、次世代ネットワ-クの接続ル―ル設定を控えて、NTTへの過度の依存を警戒する意見と動向が見られる。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
NGN、NTT、IP電話、ソフトバンク、光ファイバ

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2008年4月4日金曜日

Toppan Story of Functional Film and 3D Print

Toppan Story of Functional Film and 3D Print:Toppan Storyの多彩な展開、画像起立効果・多機能バリアフィルムなど
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 弁護士需給の日米比較(2008-4-4記事)

バリアフィルムは、武田製薬の白黒バリアフィルム、カ-ボンレス・バリアフィルム、三菱化学の二軸延伸フィルム、シリカ蒸着フィルム、東レの酸化アルミ蒸着バリアフィルム、ユニチカのナノコンポジット技術によるバリアフィルム、大日本印刷の「フレキシブル有機ELなどディスプレイ向け低コスト化可能・単層構造・イオンプレ-ティング方式・超バリア性透明フィルム」など、技術競争が活発な分野である。

一方、ステレオ印刷の分野では、凸版印刷における技術開発の進捗が、裸眼立体画像印刷の多分野実用を可能にするとして、一般の注目を浴びている。
  
1. 凸版の特徴
1-1 Toppan Story Vol.45が到着した。表紙に「TOPPAN」、「トッパン」、裏表紙に「凸版印刷株式会社」とプリントされ、「印刷」に「解像度と色調調整の高度化」、「トッパン」に多機能バリアフィルムの「透明性」、「凸版」に「ステレオ印刷ポップアップ3D」(特許出願中)画像起立効果の「立体性」をイメ-ジさせる。
1-2 野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、凸版印刷は業界トップを2分し、印刷技術を基盤としてエレクトロ関連精密部品等に多面展開し、ネットにも注力している。液晶フィルタのケ―タイ向け拡大、台湾のフィルタ-増強、金融向け会員カ-ドなど拡大増益し、海外比率は14%である。

2. 透明ハイバリアフィルム(凸版印刷記述をSANARI PATENT要約)
2-1  トッパンのコ-ティング技術や薄膜成型技術を核として創出した高付加価値商材で、国内透明バリアフィルム市場におけるデファクト標準化へのシェアを占めている。(SANARI PATENT 注:「バリアフィルム」の範囲は未確立である。表紙の写真からは家庭のサランラップやクレラップ、ワンラップの大型を想像する向きもあろう。凸版印刷の差別化特長については2-3)。
2-2  透明蒸着フィルム市場は、現在、年率7%程度で伸びている。凸版印刷のGL(Good Layer)フィルムは透明度および水蒸気や酸素の遮断性において優れたバリア機能を有する。
2-3  すなわち、その特長は、
2-3-1 高度バリア性能について
蒸着層とオ-バ-コ-ト層の2層構造による。
2-3-2 安全性・利便性について
  金属探知機による異物混入チェック可能、電子レンジ対応可能(SANARI PATENT 注:これらは非アルミ箔との対比で一般的である)。
2-3-3 環境適性について
  塩素系樹脂を使用しない。紙との複合容器は資源としての再利用性がある。
2-4 エレクトロニクス、医薬、医療分野にも高度特性が利用され、29国域、500社、5000点以上の商品に採用されている。
2-5 今後、液晶関連、建装材、太陽電池のバックシ-トなどへの進出を積極化する。

3. ステレオ印刷(2と同)
3-1 凸版印刷は、平面上の画像が切り替わったり(SANARI PATENT 注:この意味は、多角度その他、多様に考えられる)、立体感を持たせることができるステレオ印刷において、新製品「ステレオ印刷ポップアップ3D」(特許出願中)を開発した。これは裸眼で画像の起立効果を得るステレオ印刷として世界初の商品化となる。
3-2 凸レンズを並べて形成したレンチキュラ-レンズに、特殊な設計を施した3DCG画像の印刷物を組合わせることによって。キャラクタ-の起立効果を生じ、販促物、表紙、床面広告など多様な用途が考えられる。

4. SANARI PATENT所見
4-1 凸版印刷の「ステレオ印刷物」(発明の名称)について、特許公開2008-3-6は、課題を「レンズシ-トを使用しないでも、表面にレンズ機能を保持し、かつ、優れた立体品質を有すると共に、生産効率も良いステレオ印刷物を提供するとしている。
4-2 凸版印刷の技術開発全般を考察するためには、同社の英文ホ―ムペ-ジが有用である。
4-3 凸版印刷は平成19年度「バリアフリ-化推進功労者表彰」の内閣府特命担当大臣表彰優良賞を受けているが、「バリアフィルム」も連想させる。
4-4 余談になるが、各社交際用の壁掛けカレンダ-の多くは、受取側で壁掛け選択外になったり、年末廃棄になるが、凸版印刷の「現代の芸術シリ-ズ」は絵画のみを保存・掲示できるように配慮され、高度印刷技術の持続的な広告媒体になっている。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Functional Film、3D Print、Toppan、バリアフィルム、ステレオ印刷物

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2008年4月3日木曜日

Contents Distribution in the Next Generation Network

Contents Distribution in the Next Generation Network(NGN):次世代ネットワ-クにおけるコンテンツの流通
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 内閣知財戦略本部の意見公募は本日が期限(2008-4-3記事)

1. 知的財産推進計画2008における著作権問題
1-1 近く内閣知財戦略本部決定される知的財産推進計画2008において、コンテンツ流通に関連する著作権処理の在り方は、現計画からどのように進化しているか、各方面に波及効果重大な課題である。
1-2 現計画はこの課題について、多くの先送りを示している。例えば、
1-2-1 デジタル化・ネットワ-ク化の特質に応じて、著作権等の保護や利用の在り方に関する新たな法制度や契約ル―ル、国際的枠組について2007年度中に検討し、最先端のデジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を2年以内に整備することにより、クリエ-タ-への還元を進め、創作活動の活性化を図る。
1-2-2 IPマルツキャスト方式による自主放送について、諸外国の動向を踏まえつつ、著作権法上の取扱の明確化、端末技術の標準化の促進、放送番組等のコンテンツ流通市場の整備を2007年度中に進める。
1-2-3 合法的な新しいビジネスの動きを支援するため、インタ-ネット上の違法送信からの複製や海賊版CD・DVDからの複製を私的複製の許容範囲から除外することについて、個人の著作物の利用を過度に萎縮させることがないよう留意しながら検討を進め、2007年度中に結論を得る。
1-2-4 わが国が蓄積してきた豊かなコンテンツを有効に活用するため、諸外国の動向も踏まえ、権利者の不明その他の理由により利用者が相当の努力を払っても権利者と連絡が取れない場合に、利用の円滑化を進める新たな方策について検討を進め、2007年度中に一定の結論を得る。
1-2-5 私的録音・録画について見直すと共に、補償金制度については廃止や骨組の見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に結論を得る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案すると共に、国際条約や国際的動向との関連、ユ-ザ-の視点に留意する。ま、技術的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し等についての検討を進め、2007年度中に結論を得る。
1-2-6 公表された著作物に聴覚者向け手話や字幕による複製を実施できるようにするなど、障害者による著作物の利用の促進という見地から著作権法上の権利制限規定を整備することについて、関係団体による具体的な提案に応じて検討し、2007年度中に結論を得る。
1-2-7 eラ-ニング推進のため、第三者が作成した著作物を学校の授業の課程で公衆送信により利用することについて、権利者・教育関係者間での権利処理の在り方などに係る教育関係者による具体的な提案に応じて検討し、2007年度中に結論を得る。
1-2-8 関係者間での権利委託と許諾システムの整備状況に応じて、医薬品等の製造販売業者が医薬品等の適正使用に必要な情報を医薬関係者に提供するために行う文献等の複製や頒布・提供行為について、著作権者等への影響も勘案した上で、権利制限規定を整備することに関し検討し、2007年度中に結論を得る。
1-2-9 マルチユ-スに際し、クリエ-タ-に適正な報酬がもたらされる仕組みとして権利の集中管理や権利管理情報の整備を促進すると共に、著作権法上の実演家の著作隣接権の共有に関する解釈を明確にし、利用に関しほとんどの権利者の合意が得られるコンテンツの流通を促進するための方策を検討し、2007年度中に結論を得る。
1-2-10 コンテンツの流通形態の変化を踏まえ、著作権の間接侵害について検討し、2007年度中に結論を得る。
1-2-11 著作物の保護期間の延長や戦時加算の取扱など保護期間の在り方について、保護と利用のバランスに留意して検討し、2007年度中に一定の結論を得る。
1-2-12 ネット上での検索サ-ビス等に伴うサ-バ-への複製・編集等や検索結果の表示に関する著作権法上の問題を明確にし、所要の法整備を検討し、2007年度中に結論を得る。

2. SANARI PATENT所見
  上記のほか、デジタルコンテンツのア-カイブ化、インタ-ネット上での創作・発信等に関する著作権法上の検討課題が掲げられているが、これら課題の現時点における検討結果を先ず示した上で意見を公募することが、本来は当然である。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Contents、NGN、知的財産推進計画、著作権、著作隣接権

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2008年4月2日水曜日

Invention in Outer Space

Invention in Outer Space:知的財産推進計画2007見直し=2008策定についてのパブコメ
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 朝日新聞の「休眠特許紹介」(2008-4-1記事)

標記についてSANARI PATENTは、次のように内閣知財戦略本部に意見を提出した。

1. 意見
  知的財産推進計画2008には、次の事項を盛り込まれますよう、要望申しあげます。
1-1 わが国の宇宙資源・宇宙空間開発における基盤構築の進捗に伴い、米国特許法第105条「宇宙空間における発明」(Invention in Outer Space)と同様の規定を定めることの必要性

1-2  第一次「海洋基本計画」(平成20年3月)に基づく「海底資源に関する基礎研究および開発技術計画」について、「基礎」「開発・活用」各分野における産学官連携の在り方を各別に定めることの必要性

1-3 「幹細胞」(Stem Cell)に関する多様な発見・発明・開発・活用の全世界における進捗に対処して、医療関係特許制度の三極制度調和と、わが国の医療保険制度の独自性とに適合する特許制度の在り方(特に医療関係全分野に特許性制限を設けず、差止請求等を認めない米国制度との調和)を定めることの必要性

1-4 中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新事業計画の承認基準に「知的財産の開発」に関する事項を明示することの必要性

1-5 著作権法第1条の「公正な利用」について、米国著作権法と同様に、複製権等の法的制限事由とされる「公正な利用」の範囲を画定する条文を設けることの必要性

2. 理由
2-1 宇宙資源・宇宙空間の開発について、わが国の活動基盤が構築されることに伴い、米国特許法105条「宇宙空間における発明」(Invitations in Outer Space)と同様の規定を置くことが適切である。
2-2 事業収入との繋がりを欠く「基礎・長期研究」に、産学連携の事業基盤は形成し難い。「学」の本来分野として、「基礎研究」特に海洋研究の長期必要性に対応する「産」の資金支援を促進する措置を講ずることが適切である。
2-3 わが国は、「産業上利用可能性」の審査基準の改定によって医療関連の特許対象を拡大してきたが、非胚幹細胞に属する多分化幹細胞の発見・創出に伴うその実用化がグロ-バルに進むことに対処して、米国・欧州の幹細胞利用に係る医療関連特許制度との整合を検討することが適切である。
2-4 中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新事業計画の承認件数が3万件を超えた実績(2008-3 経済産業省発表)にもかんがみ、知的財産開発を承認要件として強調し、補助・低利融資などの支援を、革新標的に対して集中的に配分することが適切である。
2-5 次世代ネットワ-ク(NGN)の高度かつ多様な発達を活用して、コンテンツの世界多数市民による創出およびその流通ニ―ズが高まることなどに対処し、米国著作権法(1976年法)と同様に「フェアユ-ス(Fair Use)の判断要素」を法定し、私用目的等の現行著作権制限項目以外の公正利用(著作権制限)事由を明示することが、日米制度調和の見地からも適切である。(以上)
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Outer space、宇宙、海洋、中小企業、著作権法、公正利用

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2008年4月1日火曜日

Mitsubishi Regional Jet Program by MHI

Mitsubishi Regional Jet Program by MHI (Mitsubishi Heavy Industries LTD.):三菱重工業が「三菱航空機株式会社」を立上げ→ 多角的に大きな意義
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com  Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 資源Nationalism対応:資源確保対策・閣議了解(2008-3-28)

1. 三菱重工業News(2008-3-28)の内容(SANARI PATENT要約)
1-1 三菱重工業は、次世代のリ-ジョナルジェット機の事業化を決定した。新会社「三菱航空機」においてリ-ジョナルジェット機の開発を加速すると共に、世界各国のエアラインへの販売活動を一層強力に展開する。日本企業がジェット旅客機の全機組立・販売事業に進出するのは今回が初めてであり、三菱重工業がこれまでに培ってきた技術を駆使して、わが国航空機産業の熱望である国産旅客機事業に挑戦する。
1-2 三菱航空機は、リ-ジョナルジェット機の設計と、型式証明の取得、調達、販売、カスタマ-・サポ-トを行う。試作、製造、飛行試験は三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所が担当する。
1-3 三菱航空機の資本金および資本準備金は当面、三菱重工業全額出資の30億円で、事業の本格化に対応して1000億円に増資する予定である。うち2/3程度を三菱重工業が出資し、残額については、トヨタ自動車、三菱商事、三井物産、住友商事、日本政策投資銀行等に対して出資の検討を要請している。本社は名古屋市、従業員200人で始動し、初代社長に三菱重工業・戸田信雄執行役員が就任する。
1-4 リ-ジョナルジェット機は、世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼備した70~90席クラスの最新鋭小型ジェット旅客機である。リ-ジョナル機として初めて主翼・尾翼に複合材を本格的に採用する。新型エンジンの搭載や最先端の空力設計と相俟って、燃費を大幅に節減する。上記によってエアラインの競争力と収益力を向上する。
1-5 既に全日空から25機を受注するなど市場の確かな反応を得て、2013年に就航を目指す。商社や独立行政法人・日本貿易保険などの協力のもとに海外での販売も拡大し、民間航空機事業を軌道に乗せてわが国産業の発展に寄与する。
1-6 三菱重工業のリ-ジョナルジェット機プロジェクトには、Geared Turbo
Fanを供給するPratt % Whitney、Parker Aerospace(油圧〕、Hamilton
Sundstrand(電源・空調・補助動力)、Rockwell Collins(フライト・コントロ-ル・コンピュ-タ、アビオニクス)、ナブテスコ(フライト・コントロ-ル・アクチュエ-タ)、住友精密(降着システム)の各社が主要パ-トナ-として参画する。

2. SANARI PATENT所見
今次三菱重工業の発表内容は、次世代リ-ジョナルジェット機の国産、燃費の大幅低減による世界環境政策への適応、関連分野を包含するイノベ-ションの起動など、多角的な意義を有する。
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Regional Jet、三菱重工業、航空機、リ-ジョナルジェット機、燃費、住友精密

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