2008年4月9日水曜日

NEC-TOKIN Insistences Patentability

NEC-TOKIN Insistences Patentability:「電磁干渉抑制体」特許出願について知財高裁が「NECト-キン提起・審決取消請求」を棄却(4月7日判決)
弁理士 佐成 重範 Google検索SANARI PATENT
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog/ 地域活性化の早期実施対策(2008-5-9記事)

 NECト-キン(東証1部)の特色は、野村證券・東洋経済の会社四季報によれば、「素材型電子部品の大手で、タンタルコンデンサでは超小型化で先行している。電池、ICタグなども展開している。連結事業はエネルギ-デバイス、ネットワ-クデバイス、ファンクショナルデバイスで、海外比率は48%。

 ここでは、NECト-キンの「電磁干渉抑制体およびその製造方法」発明の特許性を否定した特許庁審決に対する、NECト-キンの主張を考察する。

1. NECト-キンの主張(SANARI PATENT要約)
1-1  審決は、NECト-キンのこの出願が、「その発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない」という要件を満たしていないと認定したが、誤りである。すなわち、審決は、「この明細書には電磁干渉抑制体およびその製造方法の一般的な製造方法が記載されているに過ぎず、一般的な製造方法の中から、いかなる製造条件によって得られるかという、製造条件と本件出願の電磁干渉抑制体の要件とを結びつける記載は認められない、とするが、この認定は誤りである。
1-2  一般に、電磁干渉抑制体としての複合磁性体は、その磁気損失特性を改善すれば、電磁干渉抑制体としての特性が改善される。ここで複合磁性体の磁気損失特性は、複素透磁率の虚数部によって決定される。一方、複合磁性体の磁気損失は、その複合磁性体に含まれている軟磁性体粉末の形状異方性を始めとする種々の磁気異方性に強く関連している。しかし、軟磁性体粉末における形状異方性等を個別に制御しても、複雑なメカニズムによって決定される複合磁性体全体の磁気損失を保証することはできない。
1-3  本願発明は、このような電磁干渉抑制体として使用される複合磁性体の磁気損失を評価する目安を与えることを目的とするものである。
1-4  本願発明の電磁干渉抑制体は、軟磁性体粉末と有機結合剤を含む複合磁性体のうち、特定の特性を有する複合磁性体を選別することによって得られるのである。すなわち、本願発明の趣旨は、製造条件によって特定された電磁干渉抑制体を得ることにあるのではなく、製造された複合磁性体のうち、特定の特性を備えた複合磁性体を選別することによって、本願発明でいう電磁干渉抑制体を得ることにあるのであって、製造条件によって特定された複合磁性体ではない。
1-5  このように本願発明は、新規な知見に基づく産業上極めて有用な発明であるにもかかわらず、特許庁の審決は、本願発明が、新規な知見に基づくものであることについて全く審理することなく、本願発明の趣旨を誤解した点で違法である。

2. SANARI PATENT所見
  NECト-キンが審決取消請求の事由として主張した争点は上記のほか多岐にわたるが、上記の点について知財高裁は、「当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に加工手段および加工条件を記載したものとは認められない」と判断した。
  SANARI PATENTが従来述べているように、「当業者」はIT用語でいえば「仮想当業者」であるから、その単複や知見水準については、例えば、ソフトウェア発明のように異分野複数の場合もあり、グル-プである場合もあり、また米国特許審査基準(MPEP)が定めるように、その業界の水準による場合もある。特許査定者の当業者、審決者の当業者、知財高裁の当業者、原告・被告の当業者が各その知見を異にする場合があり得ることは、特許制度の本質として内在し、決定を審級に委ねるものである。
(注)平成19年(行ケ)10171審決取消請求事件 知財高裁判決2008-4-7
(この記事修正のご要求やご意見は、sanaripat@nifty.com に、ご記名ご送信ください)
Patentability、NECト-キン、MPEP、電磁干渉抑制体、複合磁性体

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

この投稿へのリンク:

リンクを作成

<< ホーム