2010年4月30日金曜日

Imbalance of Population Fluctuation Presents Serious Problem of International Competitiveness

 わが国人口動態の現状と知財人材政策
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 わが国人口の集中傾向が益々顕著となり、地域振興、地域知財人材育成との関係が重要な関心事である。東京都は、都の人口が2010-04-01時点推計で2009-04-01比6万7913人増加し、1300万人を超えたと発表した(2010—4-27)。
8. (承前2020-04-29記事) 地域経済衰退により、地方部の人口減少が顕著である。1998~2008年の間に、秋田県7.8%減、和歌山県6.1%減の一方、東京都7.8%増、神奈川県5.9%の増となった。日本全体が本格的な人口減少局面に移行すると、地方部での人口減少は更に加速する。
9. 都道府県別の就業者数の直近10年間(1998~2008)における推移は、首都圏・愛知県周辺で増加する一方、その他の地域での減少が目立つ(SANARI PATENT考察: 大阪府・京都府・兵庫県の就業者数はいずれも減少し、千葉・埼玉両県が増加しているのと対比される)。 特に和歌山県・徳島県・山形県・香川県では、この10年間に1割以上、就業者数が減少した。
10. 経済のグローバル化の影響は、地域の小売業にも影響を及ぼしている。郊外大型小売店の出店により、中小規模の小売店を中心とした中心市街地が衰退・空洞化した。郊外大型小売店は、サプライチェーンをアジア等に展開し、高コスト体性が温存されている中小規模の小売店との価格競争力で圧倒的な優位に立っている。1997~2007年の10年間で、全国小売業の売上高は9%減少し、事業所数は20%減少した。
SANARI PATENT所見
 今次経済産業省・文部科学省報告は、「地域経済活性化人材の育成に向けた今後の方向性」として。「地域の人材教育拠点として、大学に対する期待は大きく、中心的な役割や中核的な場を提供することが期待されている」とし、具体的な取組として、「産学連携人材育成プログラム充実のためのモデル事業の実施」、「育成費用負担軽減のための地方行政や国の支援制度の充実」、「地方有力企業の積極的参加」、「企業・行政による、育成した人材の積極的な採用・活用」「大学・大学教員の地域貢献に対する意識の改革」を掲げているが、先ず、今後のグローバルな国際競争の展開において、日本が優位を確立するために、どのような国土および人材の活用態様が必須であるかの、明確な認識と、その達成についてのIT戦略・国際政策とを総合した総合戦略・総合政策を明示すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月29日木曜日

Promoting Talent Education for Vitalizing Economic Activity in Local Areas

地域格差の拡大に対する経済活性化人材育成の可能性
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 地域経済活性化ための文部科学省・経済産業省共同「人材育成案」(R Site 2020-04-28ご参照)には、地域経済の動向と今後の国土利用・地方行政機構の在り方を示唆する多くのデータが含まれているので、以下に要約する。
1. 1997~2007年度の都道府県別域内総生産額(名目)の増減率は、兵庫県の13.6%減を始め、高知県12.3%減、鳥取県11.2%減、新潟県10.7%減と、1割以上の著減で、東京都の7,5%増、愛知県の9.2%増などと顕著な開きがある。
2. 地域経済が衰退した諸県共通の理由として、「製造業の空洞化」、「農林水産業の衰退」、「公共事業の衰退」の3点が挙げられる。
3. プラザ合意による円高に端を発する「製造業の空洞化」は、アジアを中心とする新興国の台頭、企業のグローバルな拠点配置に伴って加速し、1985年度に2.9%であった国内全法人企業海外生産比率が、1997年には11.0%、2007年度には19.1%に増大した。(SANARI PATENT注: 経済産業省資料において年度と年の区別が不明確)。
4. 地域経済を支える農林水産業も、流通技術の向上や、そのコスト低減に伴う安価な海外農産物の流入、日本人の生活スタイルの変化に伴う国内需要低迷のため衰退を続け、1997~2007年度の生産額(名目)は、7.6兆円から5.8兆円へ、24%減となった。
5. 1999年度に32兆円であった政府建設投資額(名目)は、2009年度に20兆円に低下した。
6. 1996年から2006年の10年間に、東京都の都民一人当たり所得は13%増加して482万円となったが、高知県・北海道の一人当たり県民・道民所得は10%以上減少し、各217万円、241万円となって、東京都の半ばを下回る水準にまで低落している。
7. 地域経済の担い手として期待される若者の、大都市圏への流出状況を見ると、域内に立地する大学への入学者数を、域内の高校卒業者数で除した数値は、京都府219%、東京都195%であるが、和歌山県では36%、三重県では39%である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月28日水曜日

Asia-Pacific Industrial Technology and International Standardization Cooperation

アジア太平洋産業技術・国際標準化プログラムを公表
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省は、「基準認証分野におけるアジアとの新たな連携の在り方」を定めるとして、「アジア太平洋産業技術・国際標準化プログラム」を公表した(2010-04-26)。(SANARI PATENT考察:「基準認証」という用語と「基準認証等」という用語が併用されているが、企業活動や生活活動の合理性・安全性を確保するため、基準・規格を設定して、認証・検査・検定を行うことを意味し、目的上は特に区別する必要はない)。以下その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 経済のグローバル化が進展し、各国経済の相互依存性が益々強まっている。特に、今後人口減少が見込まれるわが国が持続的で安定的な経済発展を実現するためには、アジア太平洋地域の経済発展を促進すると共に、そらがわが国に波及するよう指向することが重要である。(SANARI PATENT考察: 中国・韓国の電子製品生産・輸出が増大し、日本の世界シェアを製品ベ^スで凌駕する傾向が顕著になってきたが、それらの構成モジュール・部材について、日本の製品が占める比重は、現時点では大きく、「波及」が大きいと考える。しかし、中国・韓国が国内生産を増強すれば、様相が変動する)。
2. 従って先ず、新技術分野における適切な国際標準化、特に基準認証分野における国際権利が重要である。例えば、スマートグリッドや次世代自動車など、新しい環境技術の実用化と普及に対応して、性能・耐久性・安全性などの測定・評価方法の標準化や、インターフェイスの標準化など、適切な標準化が必要である。
3. 米国だけでなく、中国や韓国などのアジア諸国においても、これら分野の技術開発が精力的に行われ、国際標準化におけるプレゼンスを高めつつある。      
SANARI PATENT所見
 国内における基準認証の在り方については、次のように考えられている。
1. 基準認証は、経済活動のグローバル化に伴って、企業活動や消費活動に対し、コストの上昇や選択範囲の制限など、大きな影響を及ぼす。従って、基準認証の制定・運用については、生命・身体・財産の保護など、それぞれの制度が本来目的としている様々な政策目的の達成に支障がないことを前提として、こうした諸活動への影響が可能な限り小さくなるよう配慮することが重要である。
2. 従って、基準認証の見直しに当たっては、個々の制度について、真に国が関与した仕組みとして緯持する必要性を抜本的に見直し、国が関与する仕組みとして緯持する場合においても、行政の関与を必要最小限とする方向で、事業者の自己確認・自主保安を基本とする制度への移行、基準の国際整合化・性能規定化、重複検査の排除を推進する。すなわち、
2-1 対象分野の特性を踏まえた事後措置を整備した上で、事業者の自己確認・自主保安とすることについて検討する。
2-2 基準の内容が、技術革新に柔軟に対応できるよう、仕様規定となっている基準については、原則として全て性能規定化するよう検討する・
2-3 国際規格と整合化するほか、外国データの受け入れ、国際的相互承認を推進する。
2-4 複数の法令に基づく検査を一つの検査機関で受検可能になるよう、検査機関の指定要件を見直す。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月27日火曜日

NTT Urban Development Co. Denys NIKKEI Report concerning NTT Group’s REIT

 金融商品として金融工学・情報通信技術に馴染むREITとNTT
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 NTT都市開発(東証1部)が次のように発表した(2010-04-26)。「本日、一部報道機関において、当社によるJ-REIT(SANARI PATENT注:Japan Real Estate Investment Trust)参画に関する報道がありましたが、当社が発表したものではなく、そのような決定事実はございません。開示すべき決定事実があれば、決定され次第、速やかに開示いたします。」
 一部報道というのは明らかに日経(2010-04-26)の「NTT子会社がREIT参入:運用会社買収、市況持ち直し受け」の企業事業で、2010-04-26:1100でのアクセスランキングで断然トップを走っていたから、ファンドの活況化や不動産市況持ち直しへの関心が極めて高いことを窺わせる。情報通信産業の中核をなすNTTグル-プの挙動として注目されるのは当然だし、上記NTT都市開発発表が現時点での「決定」を否定するのみで、決定の確報待ちの可能性まで否定するものではない。
 NTT都市開発は、NTTから譲受した低簿価遊休地から出発して「ウェリス」(WELLITH)ブランドのマンション分譲などを行い、業歴24年を超えた。新たな成長分野の開拓として、Londonに現地法人を設立し、オフィスビルを取得して、国際事業の第1号案件に着手している。
 REITを不動産投資信託と呼称することは、法的範囲の厳密を欠くので、むしろREITと呼び、「不動産運営収益の分配を目的とする特定目的会社」に限定し、リスク抑制性を明確にしている場合が多いと、SANARI PATENTは解する。すなわち、REITの収益の大半が保有不動産の家賃など不動産運営によるものに限定され、売却を目的とする不動産の開発・分譲が原則的に抑制されるため、一般の株式・不動産・商品・為替の売買よりもリスクが小さいとみなされている。
SANARI PATENT所見
 ICTグル-プが金融工学の知財にどのように取組んでいくか、注目すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月26日月曜日

How to Protect Private High School Business if Public High School Attracts More Students

 公立高校の引力増大と私立高校経営の保全
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(15) (承前2010-04-25記事) (私立小中学校については就学支援金がないこととのバランスに関する質問に対して、川端文部科学大臣)小中学校は義務教育ということで国において無償とするので、全ての国民(SANARI PATENT注: 入学義務者の意味)を受け入れる用意を国はしなければならず、その中で、選択的に私立小中学校に行く人がいるという位置付けである。高校の場合は義務教育ではないので、その部分の選択の中で、現実には3割は私立高校が担っているので、状況的に構造が異なる。(SANARI PATENT考察: 高校が実質的に義務教育化しているという認識から高校無償化を制度化するのだから、機会均等を徹底させて、公立高校の定員枠を拡大用意することが行政の責務であるということになるが、私立学校業の業域保全との関係が課題となる。)
(16) (公明党山本栄一議員の発言)高校については、現行の教育行政の仕組みは、学習指導要領など、国が大枠を定め、管理運営については地方公共団体が責任を持つという役割分担がなされている。しかるに、今次高校無償化法が、高校教育行政の在り方に与える影響をどこまで検討したのか、分からない。公立高校のzzzが不徴収とされることにより、将来について深く考えることなく何となく進学する者が増えると共に、高校以外の進路を模索している生徒にとっても、生徒本人の意志にかかわらず、周囲が取敢えずの高校進学を勧める向きが強まるおそれがある。また、公立高校と私立高校との間で支援の仕組みが異なることに多くの関係者が疑問を抱き、地域間においても、公平性確保の観点から少なからぬ課題が生ずることが、制度開始を目前にして改めて認識されるようになった。
(17) 川端文部科学大臣応答: 高校無償化に伴って、改めて義務教育の公私の問題、国と地方の問題をどうするかは、大きな問題提起である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月25日日曜日

Capacity of Public High School should be Increased 

参議院文教科学委員会の高校無償化審議
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
11. (承前2010-04-24記事)(義家弘介議員の質疑)(SANARI PATENT要約)政府提案に、高校に対しての理念が全く見えていない。例えば、経済的理由で高校を中退せざるを得ない生徒が、文部科学省調査で、公立2.4%、私立5.5%いる。高校無償化の流れの中で、都立高校への志願倍率が、学区撤廃した平成15年度以降の最高に達した。そしてその不合格者が私立には経済的にゆけず、定時制高校に志願したが、そこでも定員から溢れている。
12. (上記に対する鳩山総理大臣の答弁)(同上)私どもの高校の実質無償化ということに関しては、公立高校の方々に対しては不徴収という、実質完全に無償になるが(SANARI PATENT考察: 事実と全く相違する認識である)、それと同じ程度、私立高校の生徒には支給される、援助される、さらに250万円以下という低所得者の方々には倍まで支給されるという、低所得者に対する配慮はむしろ私立高校に行く生徒に対して厚いことを行っていきたいと考えており、私立から公立に、このことによって大きく流れていくことにはならないと思っている。(SANARI PATENT考察: 私立高校の定員を不当に固定すれば、希望しても入れないのだから、流れ得ないのは当然である。倍率の高さに、生徒の必要性不充足を読み取れないことは、重大な認識欠陥である。)
13. (上記に対する再質疑)挫折を知らない方(SANARI PATENT考察: むしろ、「家計を知らない方」「生活を知らない方」と言うべきである)には分からないかも知れないが、私立に落ちて私立には経済的に進学できない子が、何とか高校に行きたいと定時制を受験した子が、前年度比2.7倍の313人もの不合格者がでている。
14. (別質問に対する鳩山総理大臣の応答)私立高校に対しては実質無償化だが、私立高校全体に対してこれを最終的に無料にするという発想を持ってはいない。私立高校と公立高校とは、おのずから差があってしかるべきである。(SANARI PATENT考察:「差があってしかるべきということは適切である。ただし、機会均等のためには、公立高校の入学枠が拡大されなければならない。「実質無償化」という言葉は曖昧で誤解をもたらす)。マニフェストにも、「私立高校を実質無償化し、私立高校生の負担を軽減する」と書いた。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月24日土曜日

High School as de fact Compulsory Education Course 

準義務教育化した高校教育と私立高校の立場
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
4. (承前2010-04-23記事) 私立高校の立場からは、今回の公立高校無償化、私立高校就学支援金という形はあくまで第一ステップと理解して」おり、私立高校の今後の取扱について工程表を示されることを望む。
5. 今回の措置によって私立高校の生徒の学費負担感や入学状況にどのような変化があるかについて、学費負担の多寡は学校選択の重要な要素となり、公私間での学校選択という場面では、この負担格差感はあったと考える。(SANARI PATENT考察: 著しい格差だから、当然「あった」に違いないが、格差にもかかわらず、特に首都圏では、私立高校への志願倍率が高いことが問題である。公立高校の定員が不足であるためか、公立高校の教育内容よりも私立高校の方が優れているからか、その的確な把握が先ずヒッスである。)
6. 現在、私立高校では、定員を確保することが学校運営の大前提である。今年(2010)の春の中卒者は昨年(2008)春に比べて3万9000人ほど増加しているが、この増加分が公立へ多く行くのか、私立が一定割合を確保できるのか、注目される。(SANARI PATENT考察: 公立高校の定員が抑制されているために、私立高校に行く数を把握することが重要である。)
7. 就学支援金の事務手続が果たしてスムースにいくか、問題である。
8. 高校無償化を実現している国の多くでは、公立高校のどこかには入れるというOpen Accessの原理が、ほとんど実現している。(この項は学識者参考人発言)
9. 大阪府では、公立高校の中には、授業料の減免を申請する生徒が半数近いという学校も出ている。
10. (定員の確保の困難さは、私立高校経営者が常に持つ悩みと思うが、現状はどうか。との蓮舫議員の質問に対して)私立高校の募集人員に対する入学者数を充足率と称しているが、この10年間、低下し続け、平成21年度は86%である。(SANARI PATENT考察: 全国平均だから、地域格差が大きいと考える。) また、2209-12-31現在の授業料滞納率は2.7%である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)      

ラベル:

2010年4月23日金曜日

Variety of School Business Exposes Variety of Problem

 私立学校業の多様性とその潜在問題の多様性
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 英会話学校大手の「ジオス」の破産が、3万6000人の在校生と75億円負債の債権者に多大な迷惑を及ぼしつつ、生涯学習の意欲を挫く結果をもたらしているが、「学校」の名称に無批判な信頼癖を持つ一般国民も「学校業」の実態には関心を深めるべきである。
 授業料無償化法が可決成立した高校教育についても、例えば参議院文教科学委員会(2010-03-26)の議事を見ると、私立高校の学校業性が、地域格差を孕みつつ、問題を拡大していくことを憂慮せざるを得ない。先ず、参考人・日本私立中学高校連合会常任理事・福島康志事務局長と、大阪府教育委員会・中西正人教育長の発言を、総合して要約する。
1. 大阪府における公立高校と私立高校の状況について、大阪では、生徒数急増ピーク時の昭和62年の私立高校のシェア30%を、生徒減少期においても緯持することとし、公私7対3の比率で生徒数を受け入れ、今日に至っているが、公私間の切磋琢磨による人材の質の向上の観点から、新しい公立、私立の在り方について、現在検討している。
2. 今回、この授業料の無償化に対応して、大阪府では私立高校についても、平成22年度には、世帯収入350万円未満については国の支援金と大阪府独自の授業料軽減助成を組合せて無償化を図ることとしている。また、知事からは、平成23年度以降、その対象を更に拡大する方向性が示されている。(SANARI PATENT考察: 現大阪府知事の独自性が、大阪市の高校行政と整合するか、関西近隣府県との均衡はどうか、などの問題があるが、それよりも、公立高校の比率7割を拡充しないで。機会均等と言えるか、先ず自問すべきである。)
3. 私立高校の全国的な状況は、平成21年度の生徒数約百万人で、全高校生数の約30%である。今回、高校教育を受ける全ての者に対して年額一律11万8800円を支援することは平等の扱いのようだが、現実には、私立高校生には有償情報部分が残る(SANARI PATENT考察: これは不正確な発言で、公立・私立ともに有償の部分が残るので、今次法律にも無償化という言葉は皆無だが、有償残存の程度が大幅に異なるのである)。今や準義務教育化した高校教育を受けるについて、同じ国民である子ども達が公立に通おうと私立に通おうと、同水準の自己負担で済む形が理想的と思う。(SANARI PATENT考察: この「理想」は、私立高校の民間事業性から考えて、妥当でない。逆に、寄付行為者の意志と能力によっては、私立高校の方が完全無償の場合も認められるのである。)                  
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月22日木曜日

Bullet Train and Nuclear power Project of Vietnam Tackled by METI Minister

 ベトナムでの新幹線採用などについて経済産業大臣応答
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 ベトナムの計画投資大臣が来日(2010-04-14)した際は、岡田外務大臣との会談で、2009年度対ベトナム日本ODAがこれまでの最大規模1500億円超となることが述べられるなど、経済面での親交が深められたが、直嶋経済産業大臣も、対記者応答で次のように述べている(最終更新日2010-04-20)。
ベトナムqで新幹線が採用見通しということで、現時点での所感、うまくいった要因などについて所見はどうか。
A そういうことになったことは承知しており、これまでも我々も色々提案してきたことの成果と思っている。こういう形で、例えば、まだ懸案になっている原子力発電所を含めて、しっかり取組む。
 既に上記のベトナム計画投資大臣来日の際、岡田外務大臣から、「ベトナムの南 北高速鉄道については、2010-04-12にワシントンで行われた日本ベトナム首脳会談において、ベトナム首相が、ベトナムは日本の新幹線方式を導入することを検討する。その際にはプロジェクトの効率性確保のため、日本から適切な資金の手当てがなされることを踏まえて、日本としては、ベトナムの南北高速鉄道がベトナムの国家と国民に真に利益をもたらすために、先ずは調査を行い、採算性や安全な運転などの課題を乗り越える方策をベトナムとよく相談したい」と述べているが、SANARI PATENTが別途知るところでは、この「調査」は既に十分進んでいる模様である。
 技術の優位と資金協力、外交の一体性が、日本の特許技術を含む知財の海外展開に必須である。(国土交通大臣も、近くベトナム訪問の由)。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月21日水曜日

Astellas Pharma Aims at Global Category Leader especially in the Fields of Unmet Medical Needs 

世界20位・国内2位バイオ製薬アステラスの動態
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
16. (承前2010-04-20記事) wwwの成功確率が低下する環境のもとで、バイオ医薬品の研究開発を効果的に進めるためには、基礎研究から販売まで一貫して自社で行う体制、すなわち垂直統合型から、外部への業務委託や、外部技術を積極的に取組んでいくオープンイノベーションが必要であり、今後は益々バリューチェインの水平分業化が進展する。
17. ここで丁度、野村アイアール誌のアステラス製薬記事が届いたので、上記経済産業省の所見を踏まえつつ、その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
17-1 アステラスは2005-04に、国内製薬会社の統合・再編の先陣を切って、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した(SANARI PATENT考察: オープンイノベーションの基本型であると共に、合併後のアステラスがクローズドイノベーションとオープンイノベーションの選択をどのように実行していくか、注目される)。アステラスは、医療用医薬品事業に集中し、世界40国以上で自社販売を展開している。海外での売上高比率は50%近くを占める。
17-2 アステラスの2008年度の医療用医薬品売上高は世界20位、国内2位で、グローバル・カテゴリー・リーダーというビジネスモデルを実現することにより、更なる飛躍を目指す。
17-3 アステラスは、日本発のグローバル製薬企業として、世界各国で戦略的に販売しているグローバル製品を始め、国内や各国の市場特性に合わせた製品など、豊富な製品ラインを有する。2009年度には、主力製品の特許満了に伴うジェネリックの参入や為替の影響はあるものの、連結売上高は9760億円に増収した。
17-4 未だ有効な薬剤が存在しないため治療満足度が低いアンメット・メディカル・ニーズの有る疾患領域が多数存在しているが、アステラスは、このように治療満足度が低く、高度の専門性が要求される複数のカテゴリーにおいて、高付加価値製品をグローバルに提供することにより競争優位を確立するGlobal Category Leaderを目指している。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月20日火曜日

Turnover of Bio-Medicine is Increasing Rapidly 

対応疾患の広汎化によるバイオ医薬品の売上高急増
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
16. (承前2010-04-20記事)従来の医薬品では対応できなかった疾患に対応し得るバイオ医薬品の売上高が増大している。例えば2007年の売上高上位10品目中、4品目がバイオ医薬品であることから、今後は、いかに多くのバイオ医薬品を開発しその市場を拡大してうくかが、医薬産業の基本戦略と考えられる。
17. すなわち、2000年における大型医薬品世界売上高ランキングは、1位のロゼック・オメブラール(抗潰瘍剤)以下、ソコール(高脂血症)、リピトール(同)、ノルパスク(高血圧症)、メバロチン・プラバコール(高脂血症)、クラリチン(抗アレルギー剤)、タケプロン(抗潰瘍剤)、◎ブロクリット(腎性貧血)、セレブレックス(抗炎症剤)、ブロザック(抗鬱剤)のうち。バイオ医薬品は◎を付した一剤のみであったが、2007年製品では、1位のリピトール(高血圧症)以下、プラビックス(抗血小板薬)、セレタイド・アドベア(抗喘息薬)、◎リツキサン・マブセラ(悪性リンパ腫)、◎エポジエン・プロクリット・エスポー(腎性貧血)、◎エンブレル(関節リューマチ・乾癬)、◎レミケード(関節リューマチ・クローン病)、ネクシアム(抗潰瘍剤)、ディオバン・ニシス(高血圧症)、ジプレキサ(総合失調症)のうち◎を付した4製品がバイオ医薬品である。
18. 主なバイオ医薬品の種類と特徴を見ると、
18-1 抗体医薬は、癌細胞などの特定の細胞にのみ作用する抗体を利用して作られる医薬品で、日本は欧州に遅れたが、癌等を得意領域として、2008年から2009年にかけて40%成長している。
18-2 核酸医薬は、遺伝子発現を調節したり、特定の体内分子にのみ作用するなど多様な機能を持つ核酸を利用した医薬品である。その種類として、DNA医薬、RNA医薬、遺伝子治療薬などがあるが、未だ本格的実用化商品は少なく、次世代の医薬品と目される。核酸医薬の得意領域は、自己免疫疾患、炎症系、感染症、癌など、幅広いが、安定性、細胞・臓器への到達性の改良が必要である。(SANARI PATENT考察: 標的特異性に優れるが、到達性の改良を要するという意味に解する)。
18-3 ペプチド医薬は、ペプチドを利用して、人体の生理活性物質を人工的に作った医薬品である。多様な領域に応用可能で、今後の開発により市場の大幅拡大が期待できる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月19日月曜日

Bio-Technology Changes the Process of New Drug Creation 

バイオテクノロジーによる創薬プロセスの変革
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
12. (承前2010-04-18記事) 特許切れ集中問題もあって、新薬を効率的に生み出す研究開発力を強化する必要が切迫しているが、バイオテクノロジーは、創薬のプロセス自体を大きく変化させている。従来の創薬よりも、遺伝子工学、細胞工学など、広汎かつ高度な技術を融合することが必要であり、外部との連携の巧拙が競争力に影響を与えつつある。
13. すなわち、従来の創薬プロセスは、
13-1 基礎研究による標的分子の同定
13-2 生化学的スクリーニング、リード化合物の発見、リード化合物の最適化による新薬候補の同定
13-3 薬効・安全性確認のための非臨床試験および臨床試験(治験)
13-4 新薬承認申請過程
14. 上記に対してバイオ新技術の導入による創薬は、遺伝子工学、細胞工学、バイオインフォマティクスと、ゲノム薬理学、分子イメージング、タンパク工学の融合のもとで、分子生物学による成果→標的分子の最適化→構造生物学的スクリーニング(生物学的スクリーニング、リード化合物発見)→リード化合物の最適化→薬効・安全性確認(関連遺伝子やタンパク質のメカニズム確認・ゲノム情報基づく薬効・安全性評価)→臨床試験というプロセスである。
15. 近年、臨床開発に要するコストが増大し、また、特に第二相試験の段階において新規化合物の開発成功確率が急速に低下している。従って、単独製薬企業では、基礎研究から上市までの研究開発費を賄うことが困難になっている。すなわち、世界全体の上市一医薬品当たり研究開発費は、1976年5400万ドル、
1982年1億2500万ドル、1987年2億3000万ドル、1990年3億5900万ドル、1994年4億ドル、1996年6億0800万ドル、2001年8億8000万ドル、2003年12億5000万ドルと著増している。(SANARI PATENT考察: 経済産業省の資料が2003年までに過ぎないし、金額が過大ではないかとも思うが、単位を百万ドルと明記して2003年は1250と表記している)。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月18日日曜日

How to Meet 2010 Medicine Patent Problem

大型医薬品の特許切れ2010前後集中への対処
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
10. (承前2010-04-17記事) わが国医薬品産業が目指すべき方向性は、「新薬を効率的に生み出す研究開発力の強化」、「バイオ医薬品等、成長が見込まれ、日本の強みがある技術分野への重点化」、「ベンチャー・周辺産業の育成によるオープンイノベーションの推進」である。(SANARI PATENT考察: オープンイノベーションのパートナーとして、ベンチャー・周辺産業と示されたところに、製薬分野の特異性が顕著に現れている。電機・電子産業や情報通信産業において、大企業間のオープンイノベーションが包括的クロスライセンス契約やパテントプールにより推進されるのと、極めて対蹠的である。) 
11. 少数の大型医薬品(Block-Buster)の売上高が全体の多くを占めるが、これらの特許切れが2010年前後に集中し、画期的新薬の持続的な開発が求められている。すなわち、国内大手4社の海外売上高に占めるトップ10品目の割合と品目当たり米国特許残存年数は、2002年において、62.2%、6.3年であったが、2005年には69.1%、4.2年と加重かつ切迫している。特許切れBlock-Busterの事例として、
11-1 エーザイのアルツハイマー治療剤アリセプトは、2008年度の製品売上高782億円、企業内の売上高に占める割合は10.0%であるが、特許紀元は2010年である。
11-2 第一三共の合成抗菌剤クラビットは、2008年度の製品売上高940億円、企業内の売上高に占める割合は11.2%であるが、特許期限は2010年である。
11-3 武田薬品の糖尿病治療剤アクトスは、2008年度の製品売上高3870億円、企業内の売上高に占める割合は25.2%であるが、特許期限は2011年である。
11-4 同じく武田薬品の高血圧症治療剤ブロブレスは、2008年度の製品売上高2303億円、企業内の売上高に占める割合は15.0%であるが、特許期限は2012年である。
11-5 エーザイの抗潰瘍剤パリエットは、2008年度の製品売上高445億円、企業内の売上高に占める割合は5.7%であるが、特許期限は2013年である。
SANARI PATENT所見
 特許期限切れの問題が、企業により様相を異にし、武田製薬の場合、上記2製品で売上高の40.2%を占めるのに、2011年、2012年に相次いで特許期限切れを迎える。対処方法が注目される。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月17日土曜日

Main Characters of Japanese Medicine Research and Development

日本製薬企業の研究開発環境
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
5.(承前2010-04-16記事) わが国製薬企業の研究開発環境は、海外に比べて相対的に低下しており、そのため次のような現象が発生している。
5-1 国内製薬企業は、研究開発力を補強するため、海外ベンチャー企業の買収を活発化している。
5-2 外資製薬企業は、世界的な組織再編の中で、日本における研究機能・機構を次々に閉鎖している。
(SANARI PATENT考察: この項で先ず、日本の製薬企業が買収するのではなくて、日本の製薬企業が外国製薬企業の子会社化することを、同評価するか、明確にしなければならない。また、外国会社在日研究開発機構を閉鎖する理由を明確に把握しなければならない。)
6.日本製薬企業による海外ベンチャー企業買収事例
6-1 アステラスが、米国Agensys社(癌領域の抗体医薬品を専門とするベンチャー)を3億8700万ドル(420億円)で買収した(2007-11)。
6-2 武田薬品が、米国Millennium社(癌領域を中心とする多数開発品を有するベンチャー)を88億ドル(9000億円)で買収した(2008-04)。
6-3 エーザイが、アカラックス社(循環器、婦人科・小児科分野に強いベンチャー)を2億5500万ドルで買収した(2010-01)。 
7.日本から撤退した外資の研究所例
7-1 グラクソ・スミスクラインが、筑波研究所を閉鎖し(2007)、中国に研究拠点を新設した(2007)。
7-2 ファイザーが、名古屋中央研究所を閉鎖し(2008)、中国に研究拠点を新設した(2005)。
7-3 ノバルティスファーマが、筑波研究所を閉鎖し(2008)、中国に研究拠点を新設した(2007)。
7-4 メルクが、万有製薬(メルクが買収)筑波研究所を閉鎖し売却した(2009)。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月16日金曜日

World Share of Japanese Medicine Industry is Shrinking 

医薬品の成長性と日本医薬品産業の世界シェア劣勢
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
4.(承前2010-04-15記事) 医薬品産業の成長性
4-1 世界の医薬品市場の規模は、1997年に2939億ドル(27兆3327億円)であったが、2007年には7148億ドル(66兆4764億円)に達し、10年間に2.4倍という高成長産業ぶりを示した。今後も創薬技術の進歩や高齢化の進展により、引続き拡大が見込まれる。
4-2 新興国のみならず先進国においても、依然として市場の大きく成長することが見込まれる。すなわち、上記4-1の1997年2939億ドルの構成は、米国1014億ドル(構成比34.5%)、日本469(16.0)、ドイツ182(6.2)、フランス171(5.8)、中国50(1.7)、インド34(1.2)、その他1019(34.7)から、2007年7148億ドルの構成、米国2869億ドル(40.1%)(SANARI PATENT考察: 経済産業省HP資料に49.1%と記載されているのは誤り)、日本657(9.2)、フランス393(5.5)、ドイツ369(5.2)、インド93(1.3)、その他2588(36.2)に増大しているが、この10年間の各国増加倍率を見ると、中国3.54倍、インド2.74倍、米国2.83倍、フランス2.3倍、ドイツ2.03倍であるのに、日本は1.4倍に過ぎず、成長力の劣勢は明白であるが、全体として、医薬品世界市場の増勢は続くと見られる。
4-3 日本の製薬企業は、欧米に比べて規模が小さい。すなわち、2008年のファイザー売上高4兆4174億円、サノフィ・アヴェンティス3兆8863億円に対して武田薬品1兆3467億円で世界17位、アステラス9386億円で20位である。
4-4 日本の医薬品産業は輸入超過状態にあり、さらに年々輸入品は増加する一方、輸出は伸び悩んでいる。すなわち、日本の医薬品輸入額は2002年の6787億円から2008年1兆1424億円と、6年間に68.3%増加したが(1.68倍)、輸出は3518億円から3799億円と8%増に留まっている。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月15日木曜日

Bio-Innovation Focused on Medicine Creation

創薬を中核とするバイオイノベーション推進の経済産業省案
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省(担当:製造産業局生物化学産業課)が、バイオイノベーション研究会を2010-04-20に開催するので、前回までの検討内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. わが国バイオイノベーションの目標
1-1 創薬産業の研究開発力を高め、強い産業構造を形成することにより、その国際競争力を確立する。
1-2 高齢化社会に伴う医療ニーズの変化に即応して、効果的で質の高い医療に貢献する医薬品産業を育成する。
2 バイオイノベーションの方向性
2-1 新薬を効率的に生み出す研究開発力の強化
2-2 成長が見込まれ日本の強みがある技術分野として、バイオ医薬品への重点化
2-3 ベンチャー・周辺産業の育成を通じたオープンイノベーションの推進(SANARI PATENT考察: 医薬品の分野では、大学や企業の研究者がベンチャーとして独立し、出身元との親交を保持しつつ成功している事例が、他の分野に比べて多く見受けられる。例えば、化学会社で、選択集中の結果、事業化対象外とした創薬テーマを、その研究開発に従事した研究者が独立しベンチャー化するなど)
3 バイオイノベーションの具体的取組
3-1 疾病の機序を分子レベルで解明する新技術の開発
3-2 情報通信技術を活用する創薬の合理化
3-3 新薬の安全性を精確に評価
3-4 診断と治療を一体化する新たな医療
3-5 バイオ医薬品ベンチャーの支援
3-6 創薬ベンチャー経営の包括的支援
3-7 日本の強みある評価技術の導入
3-8 異分野技術を創薬に導入
3-9 臨床研究の環境整備
3-10 治験・薬事審査の迅速化
3-11 薬価制度の改革
3-12 その他医薬品制度全般の改革
SANARI PATENT所見
 経済産業省の研究会としては、同省所管の特許行政について、医薬品関係特許制度の在り方を、米国等の制度と調和させつつ改革することを強調かつ実施すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月14日水曜日

Public-Service Corporations of METI Checked by METI

 経済産業省傘下の独立行政法人・公益法人について経済産業省がレビュー
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 経済産業省傘下の独立行政法人・公益法人は、直接間接に知財に関係するが、直嶋経済産業大臣は、経済産業省自身によるそれらの事業仕分けについて次のように対記者説明・応答した(最終更新日2010-04-12)(SANARI PATENT要約)。
(1) 経済産業省所管の独立行政法人11と、公益法人50を対象として、行政事業レビューを行った(SANARI PATENT考察:「事業仕分け」と他省では鸚鵡返しに言っているが、「レビュー」と言い換えたところは、流石に経済産業省である)。その際の議論と有識者の意見を踏まえて、政務3役で、独立行政法人・公益法人見直しの「基本」と「3原則」を策定した。
(2) 3原則のコンセプトは、「事業の大胆な整理」、「カネの流れの明確化」、「経営資源のスリム化」で、国民の理解が得られるよう、独立行政法人・公益法人の事業を徹底的に改革することである(SANARI PATENT考察: 極めて適切な3原則で、政治・行政・企業・教育の全分野に適用すべきである)。
(3) Q: 行政刷新会議の仕分け論点案では、製品評価技術基盤機構と国民生活センターの一元化などを挙げているが、経済産業省のレビューではどうか。A: 議論の中でも、他の省庁との重複も含めて見直すべきだという議論が出ている。ただ、現在の国民生活センター(SANARI PATENT注:内閣直属の消費者庁傘下)と製品評価技術基盤機構との関係については、消費者庁とも話をしているが、両者の役割は異なっていると思う。製品評価技術基盤機構は非常に専門的で、かつ、特にメーカーを中心にして、明確に情報の交流・共有とか、技術情報も含めて詳細に行っている。国民生活センターは、いずれかと言えば、ユーザーからの苦情・相談を受けて、説明・相談するので、一見似ているが、必ずしも重複とは思っていない。全体の行政刷新会議で議論すべきだが、いずれにしても省庁を超えて、重複を含めて整理対象とすべきである。
(4) Q: 仕分け対象にJETROなども挙げられているが、所見はどうか。A:JETROについては、今後も日本と外国との、特に企業の関係について、政策的に必要と思うが、成果を金銭換算することは難しいにしても、行政の透明性、予算の有効使用のために、対国民公開のもとで議論することは重要である。
SANARI PATENT所見
 JETRO、製品評価技術基盤機構、国民生活センターなど、具体的仕分け対象として、明確に対処方針が述べられた。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月13日火曜日

DNP’s Lifestyle and Solution Business Develops Augmented Reality 

大日本印刷が拡張現実技術新事業の具体例を提示
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(承前2010-04-11記事) 大日本印刷のGlobal HPの右上にはDai Nippon Printing Co.と、Printの語が示されているが、事業内容の欄は、International Communication、Lifestyle and Industrial Supplies、Electronicsで、Printの文字が現れず、今次事業報告も拡張現実に関する記事が過半を占めている。大日本印刷における拡張現実の具体的応用例(SANARI PATENT要約)を以下に考察する。
(1) 「海の底」の絵本の画像に、活き活きと泳ぐ熱帯魚の3次元コンピュータグラフィクスが重なって、立体的に動く、飛び出す絵本になる。このように、拡張現実技術によって、魚の泳ぎ方など、印刷物では伝えきれない情報とアクティブな経験を提供できる。
(2) 美術館、ショールームなどで、展示品にケータイ端末をかざすと、大日本印刷技術により、関連する情報が展示品の画像に重なって表示され、展示品への理解を深める。
(3) Digital Signage(電子看板)について、拡張現実技術により、カメラ付きのデジタルサイネージの前に立つと広告などの中に、自分が入り込んだような映像が画面に表示され、その臨場感の魅力によって広告効果を高める。
(4) 街角に在るポスターや看板をケータイのカメラで撮影するだけで、拡張現実技術により、ポイントやクーポンをケータイで受け取ることができる。GPS機能で、その場所限定の情報が届く。(SANARI PATENT考察: 情報通信分野の最新諸技術の総合効果を収めることとなる)。
(5) 「触れる拡張現実」は、実物の模型の表面に映像を投影し、顧客が触ると映像が切り替わるシステムである。車体の色を変えたり、内部の仕組みを見せるような演出ができる。実物に、映像で情報を重ね合わせ、インタラクティブな仕組みを組合せて、リアルな製品の感触を、顧客の動作への反応により強く印象付ける。
SANARI PATENT所見
 単に拡張現実の新技術のみでなく、双方向デジタル通信などに関する諸技術の組合せの創出が、新たな事業分野を構築する。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月12日月曜日

Augmented Reality vs. Virtual Reality as Current Business Chance

拡張現実と仮想現実の事業創出効果
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 大日本印刷が拡張現実( Augmented Reality)の事業化に取組んでいることを、R Site(2010-04-11)に述べたが、情報通信技術として以前から喧伝されてきた仮想現実(Virtual Reality)との対比が、この際、必要である。仮想現実についてWikipediaは二義的に解し、「コンピュータなどにより創りだされた世界、Cyber Spaceを、コンピュータグラフィクスなどを利用してユーザーに提示するものと、現実の世界を何らかの方法で取得し、これをオフラインで記録するか、オンラインでユーザーに提示するものとに大別される」と解説し、「後者は特にユーザーが遠隔地に居る場合、空間共有が必要となり、Tele-Existence、Tele-Immersionと呼ばれる。また、ユーザーが直接知覚できる現実世界の対象物に対して、コンピュータが更に情報を付加・提示する場合には、拡張現実または複合現実(Mixed Reality)と呼ばれる」と付言して、拡張現実と仮想現実の両概念を架橋している。
 翻って大日本印刷の拡張現実解説は、「飛び出す電子絵本や写真、タイトルが動く新聞を実現する」と見出しして、「拡張現実技術により、現実の風景や眼の前に在るモノに、バーチャルな情報を合成することにより、これまで表現できなかった面白い効果を体験できる。例えば、大日本印刷が手掛けた「飛び出す電子絵本」は、次のような仕組みになっている」旨を述べている。
(1) 絵本と関連する3次元コンピュータグラフィクスを作成し、パソコンに登録する。
(2) 掲載ページや本の角度などを認識するためのマーカーを絵本に印刷する。
(3) パソコン用カメラの前に絵本を置き、位置を示すマーカーを含めて撮影する。
(4) マーカーを識別することにより、該当する3次元コンピュータグラフィクスを選び出し、本のページの画像に重ね合わせてパソコンのディスプレイに表示する。
SANARI PATENT所見
 上記Wikipediaの解説も、一般読者にとって明快とは言えず、情報通信所管官庁が明確な定義を提供しているのでもない。知財専門家が合議して、概念を明確にしておくことが、今後の拡張現実や仮想現実関連知財の開発に(知財紛争の防止にも)有用である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月11日日曜日

Effectiveness of Administrative Organizations should be Evaluated at First

イノベーション関係独立行政法人の事業仕分け基準
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 独立行政法人は実質的に第2の中央官僚機構であり、その陣容と資金(主として国家予算)は、第1に中央官僚機構よりも強力とSANARI PATENTは解している。これに対する事業仕分けの開始に、国民挙って関心と発言を集中すべきであるが、共同通信その他、事業仕分けの段取りを政府発表に先駆けて報道しているので、イノベーション関係独立行政法人の在り方を構想しつつ、その下記内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
(1) 政府の行政刷新会議が事業仕分けに取組む独立行政法人の抜本的改革素案が明らかになった(2010-04-10)。独立行政法人の事業について、「有効性」「民間や地方自治体での実施の可能性」「国の関与の度合い」の3段階で判断し、独立行政法人の存廃を決める内容で、事業に有効性と採算性が認められる独立行政法人に関しては、地方移管や民営化を選択肢とする。
(2) 事業仕分けの第一段階で、事業に有効性がないと判断された独立行政法人は廃止する。
(3) 有効性が認められて第二段階に進んだ場合、民間や地方自治体で実施できる事業かどうかを検討し、実施可能と判断すれば、国からの支出継続・追加がなくても採算可能かを判断基準とする。独立採算が可能であれば、地方自治体への移管や民営化を決定し、採算不可能であれば、業務の外部委託を実施する。
(4) 事業に有効性が有っても、民間や地方自治体での実施が困難な場合は、第三段階として国の関与の度合いで判断し国が大きく関与すべき事業であれば国の行政に戻し、関与が少なければ、新たな形の独立行政法人とする。
SANARI PATENT所見
 独立行政法人事業仕分けの段取りとして異論ないが、有効性の具体的判断の在り方が、特にイノベーション関係の独立行政法人について関心の的となる。ここには取敢えず、Thomas A. Edisonの「発明対象事業仕分け」の基準というべき、次の言葉を回想する。「私は、売れない物は発明対象としない。売れることが事業性・有効性の立証であり、実用性・有効性が成功を意味する。(Anything that won’t sell, I don’t want to invent. Its sale is proof of utility and utility is success.)」
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月10日土曜日

New President of HITACHI Announces his New Business Management 

新たな日立製作所グル-プの在り方を中西新社長が説明
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
前書き: 「韓国の国営電力会社が、日立製作所・GEの日米連合を押しのけ、アラブ首長国連邦初の原発建設を4基、200億ドル(1兆8800億円)で獲得したのは、昨年暮れのこと」(週刊現代2010-04-17号)
(承前2010-04-09記事) 日立製作所グル-プの新たな在り方について、中西新社長は次のように述べている(2010-04-06)(SANARI PATENT要約)。
(1) 社内カンパニー制について:  グローバル化や融合を経営の横串とすると、2010-04に本格導入した社内カンパニー制は縦串であり、自主独立の新しい形である。社内カンパニーとグル-プ各社に、上場会社同様の責任と権限を与え、緊張感と一体感を持った事業運営を通じて、強い日立を復活する。
(2) 事業ポートフォリオの最適化:  ボラティリティが高く、社会イノベーション事業から距離の有るコモデティ事業は遠ざける方向で改革を進めてきたが(SANARI PATENT考察: 2009年に、その説明は、損益分岐点が硬直的な製造分野から、知識集約的分野への重点移行のように受け止められたと記憶している)、事業ポートフォリオの 見直しは、経営にとって継続的に検討すべき課題であり、今後も、最適な事業の在り方を構築するため、経営会議での議論を進める。アクティブな資本政策と併せて、オアートナリングやアライアンスなど(SANARI PATENT考察: 換言すれば、オープンイノベーションをどのように組合せるかの課題である)、事業の在り方や選択肢は様々だから、社会イノベーション事業の強化という観点から、絶え間ない改革を進める。    
(3) 財務基盤強化: 公募増資したが、グローバルに見て未だ満足できるレベルではない。
(4) 人材育成: (SANARI PATENT考察: 具体的記述に乏しいが、グローバルに人材を集めること、すなわち、日本国民と否とのこだわらない採用・育成が、却って日本青年の奮起を促すであろう)。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月9日金曜日

HITECHI Promotes Globalization, ICT-Social Infra Fusion and Environment Adaptability as Three Core Tech. 

日立製作所中西新社長が3つのフォーカス、グローバル化、融合、環境を説明
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(2) 融合(承前2010-04-08記事) 日立製作所の社会インフラ事業における二つ目のフォーカスは融合、情報・通信システム事業と社会インフラ事業の融合である。日立製作所は、情報通信技術と社会インフラ技術の双方を持つ、世界でも稀な企業体であり、二つの技術が融合する領域で日立製作所のみが提供できる価値を創出する。具体的には、環境配慮型データセンターやスマートグリッドなどが先ず高成長分野である。既に高橋副社長を本部長とするスマートシティ事業統括本部を設けた。(SANARI PATENT考察:  スマートグリッドという送配電系統の最適化装備のみでなく、それを中核とする次世代社会の構築を主導するところに広汎な意義を持つ。シティは地理的には固定的だが、電気自動車をモバイルハウス、モバイルオフィスとして把握し、モバイルシティをもスマートシティに包括することを望む)。
 発電技術や送配電系統制御、電力メータのデータ収集フロントエンドからバックオフィスまで広がる日立製作所のノウハウと技術を、統括本部が一貫してマネージするシステムをグローバルに展開する。
(3) 三つ目のフォーカス、環境対応力は、社会イノベーション事業の全てに通ずる必須のプラットフォームであり、社会インフラの構築とリニューアルにおいて環境負荷低減は不可欠の要素である。効率的なクリーンエネルギーである原子力発電、高効率火力発電、ハイブリッド鉄道システム、ハイブリッド自動車向けシステム(SANARI PATENT考察: 電気自動車などの電機モバイル装置を広く包括すべきである)などを柱として、それらを支えるモータやインバータ、リチウムイオン電池などのキーデバイスを強化し、現在、日立製作所の売上高比率で50%を既に占める環境適合製品を、100%の比率に高める。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月8日木曜日

HITECHI Social Innovation Business Focuses at Globalization, Fusion and Environment

 日立製作所・社会イノベーションの焦点はグローバル・融合・環境
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(承前2010-04-07記事) 日立製作所・中西新社長の挨拶(2010-04-06)は、日立製作所が使命とする社会イノベーション事業強化のため、グローバル、融合、環境の3分野にフォーカスすると述べているので、その下記内容(SANARI PATENT要約)を考察し、今後の業績に注目しよう。
(1) 真のグローバル企業に変容する。先進国では社会インフラのリノベーション、新興国ではイノベーションの需要が旺盛だが、顧客の真のニーズを把握し(SANARI PATENT考察:単なる把握でなく、在るべき需要についての示唆も重要であり、かつ、評価されるであろう)、ソリューションに仕立て上げる能力に磨きをかけなければならない。海外の大プロジェクトでは、機器納入・運用・保守、場合によってはファオナンスまでコミットの範囲が広がる。(SANARI PATENT考察: 特に新興国・途上国において、機器設置後のアフタケアが最も重要である。新興国・途上国の僻地でのアフタケアはコストを要するが、ODA案件も含めて、そのコストを前提とし実行することが必須である)。顧客のニーズに即し、具体化する能力を磨き、足らない部分を政府やパートナー企業との連携により提案・受注・運営・メインテナンスに至るプロジェクトに結実させる。(SANARI PATENT考察: そのためには、人材のグローバルな採用が不可欠であり、雇用増大の機会が日本人ではなく海外人材に対して拡大される趨勢にある)。 海外市場や顧客に近接する現場に販売・保守のチームを設け、エンジニアリング能力を高めつつ海外顧客の真のニーズに応えなければならない。若い日本人スタフに責任と権限を与え((SANARI PATENT考察: 現地の要望に即答できる権限が必要)、ローカルスタフと共にグローバル市場の最前線に出す。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月7日水曜日

HITACHI Will Develop Social Innovation Business Supplying Social Infra Linked by its ICT

社会イノベーション企業を標榜する日立製作所新社長の、もう一つの本音は今期黒字達成
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 日立製作所q・中西新社長の就任記者会見(2010-04-06)は、マスコミによって「M and A」の積極的推進が極度に強調報道されたが、SANARI PATENTの見るところ、多様な選択肢を臨機に組合せつつ、数年連続した赤字決算を、今期は是非脱却するというのが本音であろう。また、そうあるべきだと思う。
 幾つか子会社を完全子会社化した時点では、知識産業化が標榜されたが、今回は、「創業の原点でもある社会インフラ事業・技術が大きく貢献できる時代が来ている」として、「情報通信システム技術で高度化された社会インフラを提供する社会イノベーション事業をグローバルに展開することで、日立製作所を世界有数の社会イノベーション企業にする」と決意表明している。
 従って、上記「TOBによる上場5社の完全子会社化など」についても、「社会イノベーション事業への傾注に向けた施策」として位置づけの表現を改めている。連続した赤字については、「過去大きな赤字の原因となった事業の構造改革、固定費・資材費の削減を従来にないスピードで実施した結果、課題事業のダウンサイドリスクを限定的にすることができた」と、随分考えた表現で黒字化指向を述べている。
 また、「今後の更なるグローバル展開に向けた設備投資と戦略投資に充当する資金も、公募資金などによって調達し、財務基盤の強化を図った」と述べ、「こうした経営施策を通じて日立製作所は、安定的な収益基盤を確立し、グローバル競争を勝ち抜き、新たな成長を実現する体制を整えている」として、経営のフォーカスを詳述した。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください) 

ラベル:

2010年4月6日火曜日

NTT Group Tackles Service Creation starting N-Academy by NTT Knowledge Square

NTTグル-プのサービス創造取組
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 NTTグル-プの連結事業報告が届いたが、営業収益、営業利益とも減少し、サービスの量的質的な拡大向上を実現して、需要者のニーズに応えていることを反映している。「日本は、世界でも類を見ないほど高速で低料金のブロードバンドサービスを提供できますが」と述べているが、これはその通りに評価できる実績で、むしろ問題は、そのようなサービスを高度に活用し切っているか、需要者の利用態度に在るとSANARI PATENTは考える。
 一方、NTTは次のように考察かつ志向している(SANARI PATENT要約)。
(1) 情報通信市場では ブロードバンド化の進展と共に、固定とケータイ、通信と放送の融合が加速し、従来の通信事業者とは異なる新しい多様な事業者が参入し、新しいビジネスモデルを展開するなど、大きな変化が加速している。
(2) NTTグル-プでは、高速大容量の光回線でインターネットに接続するBフレッツの普及を推進し、提供エリアは全国の9割に達している。
(3) また、Bフレッツよりも高品質で安全な次世代ネットワーク(NGN)のフレッツ光ネクストを2010年度初頭までに構築する。
(4) 移動系ブロードバンドサービスは、FOMAハイスピードを2006年に提供開始し、2008-12に全国で利用可能となったが、次世代移動規格LTEも、2010年に提供開始する。
(5) サービス創造による新たな収益源を開拓する。
SANARI PATENT所見
 上記(5)のサービス創造が特に注目されるが、既に映像サービス、デジタルシネマ、デジタルサイネージに本格的に取組んでいる。更に、2009-09-18にNTTナレッジ・スクウェア株式会社を資本金4億8000万円をもって設立し、ネットを通じた教育サービスの提供、すなわち、e-ラーニング講座の開発・制作・販売・運営、e-ラーニング講座販売の受託を業務とするが、NHK学園の通信教育、放送大学のTV講座と全国各地の学習センター、科学技術振興機構の先端技術講座の双方向性(無料)など、e-ラーニングの先行事例は多発しているから、これらに勝る新たなビジネスメソッドをもって、事業を展開し、有料制に値する成果を挙げることを期待する。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル:

2010年4月5日月曜日

Asian Markets of Contents are rapidly Growing

 内閣知財戦略本部は2010年度の知財計画でコンテンツ政策をどう述べるか
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
 2010年度は既に始まったが、内閣知財戦略本部は2010年度のコンテンツ政策を立案中で、その内容(SANARI PATENT要約)を考察して見るが、先ず当惑するのは内閣知財戦略本部の流儀で、用語の定義を示さない。従って、コンテンツの意義も、デジタルコンテンツのほかアンログコンテンツ、ファッション、日本料理まで含むことは過年度の計画で実地に示されたけれども、今次計画に織り込もうとしている「アジア市場の動向」の説明に登場する数値が、コンテンツのどの範囲に関するものなのか、示しもせず、分かりもしないで公けになるのではないかと、SANARI PATENTは危惧する。
 いずれせよ内閣知財戦略本部の資料によれば、アジアのコンテンツ市場は、近年の経済成長に伴って急激に拡大し、2008年の日本のコンテンツ市場規模が1117億ドル(10兆4998億円)で対2007年比0.1%減であるのに、日本を除くアジア全体のコンテンツ市場規模は1396億ドル(13兆1224億円)で、2007年比7.9%の増である。上記のように、コンテンツの中身は示さないが、アジアというのは14国域で、中国、韓国、香港、台湾、インド、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パキスタン、 フィリピン、オストラリア、ニュージーランドであると示している。
 例えば2009年の中国における映画興行収入は868億円で、2008年比43%増であり、更に2009年に主要都市で142の映画館が新設され、その8割がデジタル上映に対応している。(SANARI PATENT考察: 日本の東宝「千と千尋の神隠し」だけでも全興行収入304億円だから、868億円の急進は必至であるが、中国元レートの計算など、比較するには問題が多い)。      
 内閣知財戦略本部は、「各国間の競争が激化する環境下で、アジア市場等の世界市場を獲得していくためには、日本単独主義を捨てて国際共同制作や、その他の誘致等に、国を挙げて取組みべきではないか」と提案する予定だが、この文言を書く時には映画が念頭にあったのではないか。カワイイファッションについては別会合で日本独自のカワイイがグローバルに好評と強調している。
 アジア各国がコンテンツ制作を支援している例として、韓国ではゲーム産業の輸出額を2012に36億ドル(3384億円)超とする目標を設定し、2008年実績の10億ドル(940億円)の3.6倍を4年間で達成するため、2012年までに3,5億ドル(329億円)を支援するほか、映画について投資組合への資金拠出などを積極的に支援していること、また、中国ではアニメ産業を重点的に支援しており、2008年には、制作本数が日本を上回ったこと、などを挙げる。
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル:

2010年4月4日日曜日

Trends of Basic Contents Circulation Media

コンテンツ流通の基幹媒体、在来主要メディアの業績変動
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(承前2010-04-03記事) 内閣知財戦略本部は、コンテンツの範囲をアナログ・デジタルの区別なく、またメディアの種類を問わず、日本のソフトパワーを国際的に強化するという政策のもとに、知財立国の一環としているが、コンテンツの流通を担い、かつ媒介する基幹媒体の業態について言及するところがない。丁度、週刊現代(2010-04-10)が、テレビ、新聞、電子出版の業界事情を詳報したので、要点を下記にメモ(SANARI PATENT要約)して、今後の趨勢を注視したい。
(1) 米国のWall Street Journal(WSJ)電子版の年間89ドル(8000円)に比し、日経新聞の電子版のみ購読料年額4万8000円(月額4000円)(日経新聞と併読なら併せて年額6万4596円(月額5383円)は、かなりの高額である。しかし、日経電子版では見出しが何十本も並び、それぞれに更新時間が付されて、刻々とニュースが発信されている。髪との併読がどの程度、確保できるか、注目される。(SANARI PATENT考察: 消費税の国別差、世界購読人口の差を考える必要がある)。      
(2) 日経新聞は、2009-12期決算では3期連続の減収、赤字額は14億円超、グル-プ全体では132億円の赤字となった。
(3) 2009年下半期において、新聞各社の発行部数は、朝日801万部(2008年同期比1万4000部減)、毎日373万部(9万6000部減)、産経166万部(46万部減)という状況だが、読売は、1000万部を緯持している。
(4) その読売新聞でも、2009-03期の広告収入は1014億円で、ピーク時の1745億円の58.1%である。
(5) ネット媒体は、新聞が生き残るための大きな手段になろう。ただし、パソコンで朝日新聞を読んでいる人は、無料が当然と思っているので、いきなる有料化は難しい。一方、ケータイで朝日新聞を読んでいる人は、月300円支払うことに抵抗を感じない。同じ内容を提供されて。無料あるいは有料が当然と感じるのは、パソコンとケータイという異なるメディアだからである。
(6) 日本テレビは、2010-03-04、対社員に、「人事労務制度の改革について、今後、長期にわたり放送収入は低迷することが予想され、現時点で将来に向かって何らかの総額人件費の抑制策を実施せざるを得ない」旨、文章配布した。
(7) フジテレビ、日テレ、テレ朝は、売上高は横這い若しくは微減となるが、最終黒字を予想している。
SANARI PATENT所見
 角川のように、メディアミックスを創出し続けることが必要であるが、角川においても、内部収支には凹凸が見受けられる。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月3日土曜日

Center of Excellence for Contents should be Established 

コンテンツ人材育成の方策:アナログコンテンツ人材とデジタルコンテンツ人材
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(17) (承前2010-04-02記事) わが国に、海外からも優秀なコンテンツ人材が集まる魅力的な本場を形成するよう、努力すべきである。わが国は、個人・ユーザーレベルの質は決して低くないが、ビジネスモデルに繋がっていない。コンテンツの基盤である人材育成は、これまで軽視されがちであったが、例えば映像分野では、制作費の減少等の構造変化のもとで、将来、わが国のコンテンツ人材基盤が弱体化することが懸念されている。
(18) このため、デジタル化を好機と捉え、新たなメディアの創出や、他分野のデジタル化等を通じて、制作機会を積極的に創出すべきである。また、ビジネス面も含めて、国際的に通用する人材育成を重視し、海外からの人材の受け入れを促進すると共に、裾野を拡大する「国民総クリエータ」の政策を展開する。(SANARI PATENT考察: 既にケータイ小説作家などが輩出しているので、政府は、著作権法のデジタル即応など、法制整備を先ず先行すべきである。)
(19) デジタルコンテンツの制作・発表の機会を積極的に創出するための施策としては、例えば、「観光促進も含めた地域発コンテンツ制作を支援すること」、「デジタル教科書の普及など、教育コンテンツのデジタル化を促進すること」、「NHKが、デジタルコンテンツの外注比率を高めること」、「モバイル放送・デジタルサイネージなどの実証実験や、規格策定を支援し、完全ブロードバンド化・ホワイトスペース活用を促進し、IPTVを普及して、新メディアにインフラを整備すること」(SANARI PATENT注:「ホワイトスペース」は特定周波数帯の電波利用が免許されているのに使用されていない周波数領域である。米国では、利用がないと判断されれば利用を許可する)などが考えられる
(20) 海外から人材を呼び込み、世界に通用する人材を育てるための施策としては、例えば、「コンテンツに関する人材育成だけでなく、研究開発機能を有し、中核的な役割を果たす大学、すなわち、Center of Excellenceのコンテンツ版を整備し、海外のクリエータが集まる拠点を形成すること」、「アジアからのアニメ・ゲーム等の人材を招聘するプログラムを策定・実施すること」などが考えられる。
SANARI PATENT所見
 デジタルコンテンツの人材と、アナログコンテンツの人材と、どのように相違するのか、明示すべきである。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.Com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月2日金曜日

Expanding Overseas Sales of Japanese Contents including Pop-Culture 

ポップカルチャーの総合的発進など、コンテンツの海外展開
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(7) (承前2010-04-01記事) コンテンツを核として、海外から利益が入る仕組みを構築する。2008年においてコンテンツを核とした海外収入は1兆円であったが、2020年には2兆5000億円に増大させる。上記2008年の1兆円は、わが国の現行の海外収入比率(SANARI PATENT注:「現在のコンテンツ売上高における海外売上高の比率」の意味と解する)は4% すなわち、6000億円で、これを2020年には10%、1兆5000億円とし、他の分野に対する経済的波及効果による海外収入2008年4000億円を2020年に1兆円に増大すれば、合計で、1兆円から2兆5000億円となる。
(8) 今後の国内市場の大きな伸びは期待し難いことから、これまでの国内指向を脱却し、特に伸長するアジア市場の海外市場を確保することが喫緊の課題である。
(9) 世界的な大ヒットに至らなくても、一定のニッチ市場を確保すれば、世界全体では相当程度の売上高を挙げることも可能であり、海外展開には大きな可能性がある。
(10) 一方、各国間においては、国際的競争が始まっており、わが国としては、海外展開を前提としたコンテンツに優先的に資金を投入する必要がある。
(11) 海外市場を獲得するためには、日本単独では限界があり、国際共同制作を促進して、海外から資金や製作を呼び込むと共に、海外の番組枠を確保することが重要である。
(12) 併せて、日本のポップカルチャーを総合的に発信し、わが国コンテンツと観光やファッションを結びつけて(SANARI PATENT考察:「原文は、「ファッションといった他分野を結びつけて」であるが、内閣知財戦略本部では、ファッションはコンテンツの一分野であって、コンテンツの他分野ではない)、波及効果を高めると共に、アジア市場のコンテンツに関する規制緩和を促すべきである。
(13) 海外展開資金を供給する仕組み(ファンドの迅速な設置、ファンドに対する投資減税)を創設する。
(14) アジアの海外チャンネルの番組枠の確保や、流通会社の買収により、流通経路を確保する。
(15) 海外支援にあたり、日本側による一定の権利の確保(出資を含む)や完成保証の活用を促すため、上記のファンドによる支援の条件とする。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

ラベル:

2010年4月1日木曜日

Overseas Development of Japanese Contents

コンテンツを核として海外から利益が入る仕組の構築
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
C Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
R Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
(5) (承前2010-03-31記事) 最近のわが国におけるコンテンツ政策は、制度的論議が中心で、国を挙げた大胆な取組を展開してきたとは言い難い。(SANARI PATENT考察: 「制度的に」議論しただけで、著作権法のFair Use論議など、全く進捗していない)。
(6) 韓国を始め各国は、様々なコンテンツ支援策を講ずるなど戦略的に展開してきており、わが国としても、中長期的観点からの明確な目標のもとで、その実現のため大胆な資源を投入する戦略的展開が必要である。ここに中期とは、今後3~4年かけて実施すべき事項をいう。
SANARI PATENT所見
 総合メディアグル-プを標榜する角川の角川歴彦科医長は、内閣知財戦略本部の委員としてコンテンツ政策を立案推進しており、その近著「クラウド時代とクール革命」は、iPad、Kind1eの登場で時代は激変する、と説き、いわばコンテンツ革命を予告するものとSANARI PATENTは解しているが、その角川の事業報告(2009-04-1~2009-12-31)が届いたので、政策と現実を対比する意味で、その下記内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 角川の今期決算は、前年同期比で減収ながら、増益とすることができた。しかし、市場環境は依然厳しく、さらに2010年はAll Digital時代への大転換期に突入し、数年のうちにメディア業界は劇的に変化すると予想する。
2. この危機をチャンスに変えるため、角川は、コンテンツのAll Digital化時代に対応した総合メディア企業グル-プを目指す。
3. 具体的には、映像事業を立て直すため、角川エンタテイメントを角川映画に吸収合併し、また角川書店の社長をその役員に加え、シナジー効果をそくしする。
4. One Contents Multi-Useを展開する。
5. 角川とNTTの合弁新会社「NTTプライム・スクウェア」を設立し(2010-02-10)、クラウド型コンテンツ配信サービスを事業化する。
6. 中国に合弁会社を設立し(2010-05)、角川から編集者を派遣して、日本のノウハウを活かした現地マンガ家作品の出版や、角川のコミックやライトノーベルを翻訳出版する。
上記角川の報告を見ると、業界が政策に先行している模様を了知できる。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com   にご送信ください)

ラベル: