2009年6月30日火曜日

Utilization Ratio of SaaS (Software as a Service) is Increasing 

情報処理実態調査結果を経済産業省が発表
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  日清食用油中国展開
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  大日本印刷と丸善等子会社

 経済産業省(担当:商務情報政策局情報経済課)が、平成20年情報処理実態調査の結果を発表した(2009-06-29)。SANARI PATENTの所感としては、もう少し迅速に調査・発表しないと、情報処理らしくないと思うが、取りあえず今次発表を要約・考察する。

1. SaaS (Software as a Service) 利用率は、前年度の6.6%から7.1%へ、規模の大きい企業を中心に上昇した。(SANARI PATENT考察: 発表の文脈から、この「前年度」は平成18年度と解されるので、この調査自体のSlow Motionぶりを感ぜざるを得ない。SaaSを包括するCloud Computingの進捗状況に調査を及ぼし、その一部として、SaaSの進捗状況を迅速に報告することが望まれる)。
2. SaaSの利用分野は、販売、財務・会計、情報セキュリティが中心であった。
3. 平成19年度の一社平均の情報処理関係諸経費は、前年度比6.7%増(7億5000万円→8億円)と、3年ぶりに増加した。しかし、IT投資の収益改善効果の後退(SANARI PATENT考察:「後退」の詳しい解説が望まれる)などから、規模の小さい企業を中心に減少傾向を辿った(SANARI PATENT考察: 不完全な表現であることは明白である)。
4. ED (Electronic Data Interchange):電子データ交換)利用率は、前年度の73.6%から68.4%へ、収益改善効果やコスト削減効果などの後退から、規模の小さい企業を中心に低下に転じた。また、EDI利用企業のうち、独自の企業コードを利用している企業は、67.3%であった。
5. 情報セキュリティトラブルの発生率は、前年度の24.8%から28.7%へ上場に転じた。内訳を見ると、システムの停止の派生率が大きく増加した。また、平成19年度稼働した情報システムにおける重大な不具合発生の主な原因は、テストミスおよび不足、および、ハードウェアの障害であった。
6. 情報セキュリティ対策の実施率は、前年度の85.6%から86.9%へ、内部統制の」整備強化を中心の上昇した(SANARI PATENT考察: 情報セキュリティ対策の中身が問題で、実施率100%は当然の前提である)。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

ラベル:

2009年6月29日月曜日

Denki Kogyo Co. in the Fields of Mobile Telecom and High Frequency 

移動通信および高周波部門における電気興業の業況
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  フジメディアの業況
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  永谷園による内食豊富化

 電気興業(東証1部)の今次株主総会決議報告が届いたので、現下の経済情勢における移動通信と高周波部門の動向を、同社の業況を通じて考察する。なお、電気興業の2009-03期業績は、売上高573億円(前年度583)、営業利益50億円(47)、経常利益52億円(51)、当期純利益22億円(24)と表示されている。会社四季報は「特色」などについて、「大型通信アンテナの製造・工事、地上デジタル放送関連で注目、高周波焼き入れ技術にも特色、鉄塔など放送関連は高水準を維持、移動体は第三世代ケータイ向け工事のピークアウト」など(要約)を指摘している。
 進藤社長の今次メッセージから先ず摘記する。
1. 移動通信関連では、第3世代向けの設備投資ハピークを過ぎたと捉えているが、通信紛失向上のための設備投資需要は高水準で推移している。2009-03期は、特にアンテナ関係の需要が堅調で、期初の見通しを上回る売上高となった。
2. 放送関連では、地上デジタル放送向けの設備投資が急速に進められ、中継局の規模は小さくなったが物件数が非常に多く、高水準で推移した。
3. 2009-03期の年度後半から自動車関連業界が失速し、高周波事業の環境は厳しくなった。
4. 2010-03期の見通しは、
4-1 高周波関連は自動車関連業界の設備投資急減に伴って大きく落ち込む。
4-2 放送関連は、設備投資の高水準が保たれ、2009-03期を若干下回る売上高を想定する。
4-3 移動通信関連は、通信品質向上のための需要は引続き見込まれるが、全体としてはLTE(Long Term Evolution:ケータイの高速データ通信仕様)等の新需要発生までの端境期と考える。
5. LTEは基地局アンテナを複数利用してデータ通信を高速化する方式が検討されており、電気興業製品への需要も増加が期待される。
6. また、2012年以降の800MHz帯の周波数再編に伴って、新周波数が移動通信向けに割り当てられる計画で、新たな需要発生が見込まれる。
7. 放送関連においても、アナログ放送終了後に空いた周波数等をテレビ放送以外の放送に利用することが計画されており、設備投資が見込まれる。
SANARI PATENT所見
 新たな高速無線通信規格であるWiMAXへの電気興業の対応にも注目すべきである。ADSL並みの高速が期待される。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

ラベル:

2009年6月28日日曜日

FUJI Media Holdings as an Authorized Holding Co. 

新制度の認定持株会社移行初年度、フジ・メディアHDの今次事業報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  味の素株主優待10品
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  御幸毛織→東洋紡

TV事業会社が逐次「認定持株会社」に移行しているが、今次フジ・メディアHDの報告書を見ると、その実質的業容を具体的に把握できる。SANARI PATENTが編集を加えつつ、これを考察する。
1. フジ・メディアHDは現在、主要会社3社(テレビ放送のフジテレビジョン、ラジオ放送のニッポン放送、委託放送事業のサテライトサービス)および次の5グル-プから成る。
1-1 制作グル-プ: 共同テレビジョン(「セレブと貧乏太郎」「メイちゃんの執事」など高視聴率)、フジクリエイティブコーポレーション(「バニラ気分」などレギュラ番組制作)、フジアール(テレビの「風のガーデン」、映画の「Baby Baby Baby」など制作、米国ABC・東海汽船・トヨタなどグル-プ外でも展開)、八峰テレビ(コンテンツ、イベント、システム)、フジライティング・アンド・テクノロジイ(照明技術)
1-2 映像音楽グル-プ: ポニーキャニオン(「羞恥心」のブレイク、「韓流ドラマ」など)、フジパシフィック音楽出版(「羞恥心」「陽はまた昇る」など)、Fuji Entertainment, Inc.
1-3 生活情報グル-プ:ディノス(インターネット事業)、サンケイリビング新聞社(総合女性マーケティング)
1-4 広告グル-プ: クオラス(クロスメディア)
1-5 出版・情報・その他グル-プ: 扶桑社(女性向け月刊誌)、フジミック(ソリューション)、エフシージー総合研究所、フジサンケイ人材センター、Fujisankei Communications International, Inc.
2 フジ・メディアHDの関連会社として、産業経済新聞社、サンケイビル、ビーエスフジ、フジランド、スタジオアルタ 他がある。
SANARI PATENT所見
 社長インタビュー中の、「現在、経済環境の急激な悪化により放送収入、広告収入が前年度を大きく下回っているが、今後ともテレビに代わるマスメディアは存在せず、テレビの広告媒体価値は変わらないと考える」という所見には、インターネットとのクロスメディア関係をも総合して、改めて同調する。生誕から臨終に至る人生の全過程にテレビ画面が存在し、集団視聴の場で意見と感性が交流し、知識を同時共有する場として、テレビの機能を更に高度化、再構築すべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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2009年6月27日土曜日

Trend of Plant-Engineering Export Reported by METI 

2008年度海外プラント・エンジニアリング成約実績の考察
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 住友化学世界4極体制
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  消費者金融大手4社

 経済産業省(担当:製造産業局産業機械課国際プラント推進室)が、2008年度海外プラント・エンジニアリング成約実績について発表した(2009-06-26)。概要(SANARI PATENT要約)は、
1. 成約実績全体: 2008年度の総額は157.9億ドルで、2007年度対比33.1%減。件数では707件で、19.0%減。
2. 地域別: 成約額上位3地域は、アジア(45.4億ドル)、北米(31.2億ドル)、アフリカ(31.1億ドル)。2007年度対比でアフリカ、北米の成約額は増加したが、中東、アジア、西欧、旧ソ連、東欧、中南米、大洋州が減少。
3. 国別: 成約額上位3国は、米国29.6億ドル、アルジェリア24.3億ドル、サウジアラビア18.5億ドル。
4. 機種別: 成約額上位3機種は、発電プラント70.0億ドル、化学プラント24.7億ドル、エネルギープラント23.6億ドル。2007年度と比べて、生活関連、環境プラントの成約額は増加したが、発電プラント、化学プラント、情報通信プラント、鉄鋼プラント、交通インフラ、一般プラント、エネルギープラントの成約額は減少。
5. 大型案件数: 成約額1億ドル以上の大型案件の成約は28件で、2007年度対比44.0%減。その金額は102.6億ドルで37.4%減。
6. 中小案件数: 成約額1億ドル未満の中小案件の成約は、679件で2007年度対比17.5%減。成約額55.3億ドル、23.2%減。
7. 機器・役務別: 全体で、機器輸出のみの契約が50.2%、役務を含む契約が45.7%、役務のみが4.1%。2007年度対比で、両者を含む契約のシェアが増加していることは好ましい傾向と、SANARI PATENTは考える。
8. 成約要因: 技術力76.4%、リピートオーダ63.2%、価格優位性57.7%、納期39.5%、プロジェクトマネジメント力14.3%と判断しているが、極めて注目すべき比率である。
9. 成約案件における競合相手先: 英仏独伊企業19.9%、日本の他企業15.0%、英仏独伊以外の欧州企業12.6%が上位
SANARI PATENT所見
 上記のほか、「成約案件におけるコンソーシアム形態」「役務の範囲」「客先の資金提供先」「貿易保険の活用状況」「「メンテナンス」など、知財活用の実務上、熟読すべきである。
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2009年6月26日金曜日

Minister of Science Delivers Statement on iPS Study Roadmap 

文部科学大臣が「iPS細胞研究ロードマップの策定」について大臣談話(2009-06-24)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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1. 「iPS細胞研究ロードマップの策定」について文部科学省は、次のような大臣談話を発表した(2009-06-24)(SANARI PATENT要約)。
1-1 本日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究ロードマップを策定しました。
1-2 iPS細胞は、再生医療のみならず、生命の仕組みの解明から、疾患研究や創薬など、幅広い活用が期待されるわが国発の画期的研究成果である。
1-3 この研究成果を、わが国の総力を挙げて育てるため、日本全体での研究体制を確立すると共に、研究資金を大幅に拡充し、平成21年度補正予算で100億円を措置した。
1-4 このような多額の国費の集中投入に対して、いつまでに、どのような研究成果の達成を目指しているのかを明らかにすることは、国民への説明責任を果していく上で重要と考えており、このロードマップは、iPS研究の第一線の研究者等の意見に基づいて、文部科学省が推進する研究の達成目標を明確にしたものである。
1-5 今後、このロードマップで設定した目標を確実に達成してゆき、iPS細胞研究の成果がすこしでも早く臨床応用され、難病に苦しむ世界中の患者の福音となるよう、研究者においては一層の主体性をもって研究に取組むと共に、文部科学省としては、必要な施策の実施に努める。

2.iPS細胞研究ロードマップの構成(SANARI PATENT要約)
2-1 策定の趣旨: 
2-1-1京都大学山中教授のチームによって樹立されたiPS細胞は、再生医療のみならず、生命の仕組みの解明から疾患研究や創薬等、基礎研究や産業応用まで幅広く活用が期待されるわが国発の画期的研究成果である。そこでこれまでに文部科学省は、iPS細胞ネットワークを構築し、日本全体での研究体制を確立すると共に、知的財産権の管理・活用体制を強化するなど、研究環境体制を強化し、また、研究資金の大幅拡充のため、2008年度本予算30億円、同補正予算15億円、2009年度予算45億円、同補正予算100億円を措置した。こうした多額の国費投入について、どのような成果の達成を目指しているのか説明することが必要である。
2-1-2 一方、iPS細胞研究は、国際的競争状態にあると共に、国際的協力も必要という機運にある。
2-2 目標と構成: 次の4分野について、おおむね10年後までの到達目標を設定した。
2-2-1 初期化メカニズムの解明(基礎・基盤的研究)
2-2-2 標準iPS細胞の作製と供給(標準化)
2-2-3 疾患研究・創薬のための患者由来iPS細胞の作成・評価、バンクの構築
2-2-4 再生医療の前臨床研究緒臨床研究

SANARI PATENT所見
 2007年度のiPS細胞研究関係予算が3億円であったから、2008年度45億円、2009年度145億円の予算計上は、ロードマップの政府策定を予算面からも必要としたと考える。
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2009年6月25日木曜日

Town Gas by LNG vs. Elec. Power Genaration by LNG 

アラスカLNG輸入開始後のガス供給体制
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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7(承前2009-06-24記事)わが国は、天然ガス需要量の95%以上を20年前後の長期契約に基づく海外からのLNG輸入に依存している。9ケ国との長期契約に加えて、短期契約・スポット調達を組合わせることで、供給源の多様化による安定供給を維持している。
 また将来的には、国産資源として、日本近海に埋蔵するメタンハイドレートの利用可能性もあり、海洋基本計画(2008-03閣議決定)および海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(2009-03経済産業省)に基づく技術開発が進められている。
8 欧米では古くから自国資源として天然ガスが開発・生産され、パイプラインが整備された事情もあって、一次エネルギー供給に占める天然ダスの割合は、わが国よりも高い。
9 次に消費エネルギーの供給事業としてのガス事業の展開を見る(SANARI PATENT考察: 一次エネルギーとしてのガス供給体制から消費エネルギーとしてのガス供給体制に飛んでいる。一次エネルギー知財の天然ガスを電力エネルギー・都市ガスエネルギーのいずれの消費エネルギー形態に変換すべきかの政策論が省かれている。従って、ホテルや集合住宅の全電化計画は発電事業者が専ら推進している。電気自動車の全国普及との整合も考えるべきである)。
9-1 1969年にアラスカからLNGの輸入開始以来、わが国のガス事業は現在まで、原料の天然ガス転換を進めながら発展してきた。自由化開始(1995)以降、都市ガス全体で1.8倍、産業用で3倍に増加している。細説すれば、
9-1-1 LNGによる高カロリー化により、ガス事業の導管輸送能力が向上し、消費機器の選択幅も拡大した。
9-1-2 高圧パイプライン、LNG基地は整備されたが、主要大都市間やLNG基地間を連携する導管の整備は、十分には進んでいない。なお、エネルギー基本計画においては、「諸外国に比し著しく遅れている国内のガス供給インフラの整備および広域的なガス流通の活性化の観点から、パイプライン投資にインセンティブの付与、関係行政機関の連携により、ガス導管網の整備とその相互連結や第三者利用を促進する」としている。

SANARI PATENT所見
 9-1-2のガス導管網拡大ではなくて、原料ガスの電気エネルギー変換(発電用エネルギーとしての使用)を集中的および分散的に行うインフラを整備し、国民生活の全電化を推進することが、電気自動車による輸送。情報流通の革新に寄与すると考える。エネルギー基本計画の上記部分が進捗していない現状を活用して、方針を転換すべきである。
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2009年6月24日水曜日

Policy for Smart Energy Network Discussed in METI Study Meeting 

経済産業省が「低炭素社会におけるガス事業の在り方研究会」を開催
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 経済産業省(担当:資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課)は、来る6月30日に「低炭素社会におけるガス事業の在り方研究会」を開催するが、現時点での結論の方向性は次のように要約できる。

1. わが国のエネルギー・環境政策を取り巻く情勢は急速に変化しており、エネルギーセキュリティの確保および地球温暖化問題への対応を図る観点から、低炭素社会における今後のガス事業の在り方について中長期のシナリオと適切な政策パッケージの提示が求められている。
2. 先ず天然ガスは、化石燃料の中で最も環境負荷が少ないクリーンなエネルギーであり、また、主成分がメタンであることから、水素の原料として、燃料電池などの省エネ・省二酸化炭素に資する技術への利用に適合する。
3. 天然ガスは、豊富かつ分散した供給源(埋蔵地域)を有し、各国で新規の液化天然ガスプロジェクトが計画されるなど、供給ポテンシャルが高い。特に、海洋上LNG生産方式など、中小ガス田の開発に適した新たな生産技術の開発も進められている。従って、今後アジア・中東地域を中心に、世界の天然ガス重要は大幅に増加することが、IEA(国際エネルギー機関)においても見込まれている。
4. また近年では、米国・豪州・中国等においてCBM(コールベッドメタン)やシェールガスの生産開発が急速に拡大するなど、非在来型天然ガス資源利用の取組が進められている。
5. 一方、天然ガス取引の形態については、米国・欧州大陸からのパイプライン輸送に加えて、東南アジアやアフリカ大陸からのLNG輸出が拡大し、過去10年間に世界のLNG取引量は倍増した。伝統的な長期契約取引に加えて、非伝統的なスポット取引が2割まで増加し、取引市場の構造が柔軟化して安定的調達を可能にする環境が整備されつつある。
6. 他方、金融市場動向による国際ガス需給需給バランスへの影響、ロシア・ウクライナ間のガス供給停止に代表されるガス供給セキュリティ問題など、他のエネルギーと同様に、世界の天然ガス市場に新たな不確実性も浮上している。(以下次回)
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2009年6月23日火曜日

Position of China in the After Financial Crisis World Economy 

知的財産権活動など、世界金融危機後における中国の国際的地位向上
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 WIPO(世界知的所有権機関)の2008年統計が未だ発表されていないが、2006年の世界約200国域の特許出願数167万件から、2008年は170万件と推算される。うち米国39.8万件、日本39.1万件、中国29万件である。

 人口13億人で世界60億人の構成国域の首位、2割を占め、外貨準備高も1位である。NRI(野村総研)の今次事業報告書において、同社藤沼彰久社長が、「中国において、もう一つのNRIを実現することを目標に、Solution and Navigation の提供を強化する」と、中国についてのみ特に強調している戦略の妥当性が理解できるが、NRI・此本臣吾執行役員は、「金融危機後の中国と日本企業」と題して次のように述べている(SANARI PATENT要約)。

(1) 中国の経済成長は、今後、二桁成長は難しいが今年も、7~8%の成長は可能である。
(2) 中国沿岸部大都市が輸出依存成長の反動で経済低迷に対して、内陸部は輸出依存度が低位であったから、沿岸部と異なる。
(3) 中国政府の4兆元公共投資も内陸部インフラ開発に多く投入される。
(4) 8本の新幹線建設計画のうち、2010に上海・南京間が時速250kmで新駅を10~20分間隔で結ぶ。
(5) 北京・上海の新幹線が2013に開通するが、内陸部を連ねる。
(6) 内陸部には2010年代半ばまでに中流世帯4800万が生まれる。これは日本の総世帯数と同じである。なお中流世帯とは、年間世帯所得5~20万元(75~250万円)の世帯である(SANARI PATENT注: 中国の物価水準を考える必要がある)。
(7) 中国中流世帯の外国製耐久消費財購買は、新規購入だから、買い控え現象が発生しない。

 G8サミットのほかに、G20およびBRICs首脳会議が重きをなしていくが、そのいずれにおいても、中国経済の比重は高まる。日中の知的財産連携にも、新たな構想が必要であると、SANARI PATENTは考える。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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2009年6月22日月曜日

Consumption Trend in China and ASEAN Surveyed by Fashion Media 

2008年度・アジア諸国のファッションメディアを通じた消費トレンド調査
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 世界経済危機の超克とその後の日本経済の発展は、アジア市場のトレンドへの即応に依存する。経済産業省(担当:通商政策局アジア大洋州課)はこのため、アジア消費トレンド分析報告書2008を発表した(2009-6-16)。その内容(SANARI PATENT要約)を以下考察する。

1. 要旨: わが国企業が提供する製品・サービスは、アジア諸国の消費者から注目されているものの、アジア展開は限定的であるとの問題意識のもとで、アジア諸国の消費動向を調査・分析し、アジア展開のための基礎インフラとして、わが国企業に業種・産業横断的なマーケティング情報を提供するための基礎的調査を行った。今後その報告書に基づいて、アジアの消費トレンドについて有識者と意見交換し、アジア各国、さらにはグローバルな消費トレンドの波及メカニズムや、このメカニズムの中での、日本発ファッション、アニメの活用策、および、アジアにおける流通・広告戦略を検討する。
2. 今次調査結果の例示として、携帯電話について: 先ず中国生活者の携帯電話の利用水準は極めて高い。おそらく世界で最も携帯電話に依存し期待する意識の強い国の一つであろう。クラスター別の傾向として、共存志向の強いクラスターでの極めて高い利用率と、イノベーター層での高めな利用率に二極分化しており、その間の層では、やや利用率が低いという傾向である。共存志向の強い層では、おそらくケータイメールの高頻度利用による友人や家族同士の密接な日常コミュニケーション利用であろう。一方のイノベーター層の利用は、高度なインターネット通信やゲームであろう。このような、様々な側面で観測される二極化構造が、中国消費社会の特徴とすれば、日本企業が中国市場に参入するためには、イノベーター層へのアピールが得策と思われる。
3. ベトナムの携帯電話利用率は未だ低い。従って、携帯電話が先端ハイテクであるのかどうか、という社会意識もまだ固まっていないという印象を受ける。NOKIAなどのローエンド機種から、ソニーエリクソンなどのハイエンド機種まで、それぞれのメーカーが様々な販売戦略を試行する段階にある。日本企業がこの段階で大規模に進出すれば、有利な市場環境を形成する可能性がある。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

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2009年6月21日日曜日

Patent Attorney Office of Korea Reports

Prominent Patent Attorney Office of Korea,KIM, HONG and ASSOCIATES Presents News Letter 韓国著名特許事務所の情報
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 韓国の著名な特許事務所、KIM,HONG and ASSOCIATESからNews Letter を贈られた。充実し、かつ有用な内容で、その要旨(SANARI PATENT要約)をここで考察すると共に、謝意を表したい。

1. 日韓中特許協力: 全世界の特許出願の46%を占める日韓中3国が、特許文書の自動翻訳システムの共同開発など、特許の共同協力に乗り出した。(SANARI PATENT考察: 世界の特許出願は経済のグローバル化と共に急増し、1997に115万件出願が、10年間に1.5倍になり、2006に167万件に達した。うち日本は408,674件。日本への特許出願件数は毎年40万件を超える高水準で推移したが、2006以降漸減し、2008は391,002件であった。特許出願の選別・重点化とノウハウ秘匿による。日本特許庁は五大特許庁、日米欧中韓について、2008に米国39.8万件、中国29万件、韓国16.8万件、欧州14.7万件と表示しているので、以上によって概算すれば日韓中の特許出願件数は世界の50.8%である。ただし世界全体を167万件として)。
2. 韓国特許庁は2009-05-12に、ソウルの知識財産センターにおいて、韓日中の特許庁長官会合を行い、3国は漢字文化圏という文化的・言語的類似性を基盤として、3国間の特許文書自動翻訳システムの共同開発事業を推進することとした。
3. 北朝鮮の朝鮮中央通信は、北朝鮮において、知的財産権を法的に保護し奨励するための事業が、国の関心の下で進められていると強調した。また、北朝鮮が朝鮮民主主義人民共和国発明法を採択し、「発明事業を積極的に奨励い、現実に導入する上で必要な投資が増え続けるよう力を注いでいる」としている。
4. 半導体およびTFT-LCD用ブランクマスク専門技術であるエスアンドエステックが、日本のHOYAとの3年4月にわたる特許無効訴訟で最終的に勝訴した。エスアンドエステックは、2009-06-01に、韓国特許法院の、Phase Shift Blank Mask特許向こう訴訟の判決に対するHOYA側の上告を、大法院が棄却したと明らかにした。
5. 韓国内の商標登録が100万件を突破した。
6. 韓国内外国人のマドリッドプロトコルを利用した商標出願が急増している。
7. 韓国の光技術院が、LEDの単価3割引き下げの工法を開発した。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル: ,

2009年6月20日土曜日

METI Minister Answers to Press Questions on Current Problems

 昨日(2009-06-19)の閣議後記者会見で二階経済産業大臣の応答
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 以下、SANARI PATENT要約。
Q1 北朝鮮との貿易は1億円弱の現状で、制裁効果はあるのか。
A1 全面禁止措置を政府全体として検討中だが、金額はたいしたことはなくても、厳重な対応を、速やかに行うことが重要である。わが国の姿勢が米国を含めて他国に影響するので、先ずわが国が厳しい決定をして他国にも同調を促すべきである。

Q2 今日の閣議で決定済なのではないか。
A2 今、党内調整等の準備を進めており、今日中ぐらいに手続完了して内外に公表する。

Q3 インフルエンザ対策の商店街支援策は、今回、関西地域限定か、九州等にも支援を拡げるか。
A3 対策に最初に火をつけたのが関西で、一時は集中して影響が及び、知事を先頭にして観光団体の上京、地元国会議員も活動し、近畿・関西地域に盛り上がった。他地域も、現地状況調査の上、平等に対応する。(SANARI PATENT注: 経済産業省所管としては、地域コミュニティの担い手であう商店街が実施するイベントに対して、支援・助成策を講ずる)・

Q4 鳩山前総務大臣の辞任について、少なからず内閣への影響が出始めていると思うが、所感はどうか。
A4 アンケートはマスコミの方が専門だが、閣僚など有名人を更迭、入れ替えした場合に、事のいかんにかかわらず、切った方にマイナスの結果が現れるのが常例である。しかし、そのようなものは1週間ないし10日で収まる。世の中の事で片一方が100%で、もう片一方が0%というような話はない。話し合いの上で対応と思っていたので、蓋を開けて意外ではあったが、それ以上でもそれ以下でもない。

 なお、質疑応答に先立ち、経済産業大臣から次の説明があった。
1. 経済危機対策として緊急保証が150日目になったが、55万7000件、11兆2000億円の実績を挙げた。
2. 緊急保証の対象業種見直しについて、インフルエンザの影響を受けている映画館・劇場、業況が悪化している産業用ロボットなど、26業種を追加する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
METI-Minister 北朝鮮 インフルエンザ 緊急保証

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2009年6月19日金曜日

Utilizing Light Catalyst For Preventing Influenza Virus

光触媒によるウイルス水際対策事業を開始
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 平成21年度補正予算は、世界経済危機対策を標榜して成立したが、単に急場対策にとどまらず、経済・技術の革新と成長を起動する機能を併せ持つことによって、財政規律の緊急逸脱を容認するものとなっている。
 そのような積極的側面の事例として、標記の実行予算も計上されている。

 経済産業省(担当:製造産業局化学課機能性化学品室)は、本件について次のように発表した(2009-06-17)(SANARI PATENT要約)。

1. NEDO(独立行政法人・新エネルギー。産業技術総合開発機構)は、光触媒によって、インフルエンザ等の感染症の原因となるウイルスを不活性化する技術の大規模実証実験を新千歳空港で行う。感染症の大流行等のリスクを水際で低減し、安心・安全社会の実現に貢献することを目的とする。
2. 事業費総額5億円は、2009年度経済産業省計上補正予算に計上された。
3. 感染症の感染経路には、飛沫感染、接触感染、および、空気感染があるが、このうち飛沫感染および接触感染の防止にはマスク、うがい、手洗い等が重要であり、空気感染の防止には、人が集まる空間における空気浄化が重要である。
4. 空気浄化については、光触媒技術が期待されている。光触媒の細菌除去への有効性に関しては実空間で確認され始めているが、ウイルス除去への有効性に関しては実験室レベルでウイルスの不活性化を確認している程度で、実空間での確認は未だ不十分である。本事業では次の2実験によって、光触媒を用いたウイルス対策の有効性を検証する。
4-1 光触媒によるウイルスの不活性化に関するモデル実験
光触媒による実験室レベルでのウイルス不活性化効果について、実生活空間での存在状態を想定したウイルスに対する不活性化効果を評価すると共に、一般細菌についても同様の評価を行う。
4-2 光触媒の実空間への導入に関する実証実験
 新千歳空港の国内線出発ターミナルで、エアーサンプラーによる空中浮遊菌のモニタリングやパーティクルカウンターによるエアロゾルの計測を行い、空港に存在する一般細菌の光触媒による低減効果を評価し、4-1の実験効果と組み合わせて、光触媒を用いたウイルス対策の有効性を検証する。
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2009年6月18日木曜日

Nano-Technology Headquarters Set in TSUKUBA 

つくばナノテク拠点運営最高会議発足(209-06-17)
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 今次金融危機対策としての補正予算は、緊急救済的であると同時に、新たな成長力を育むものであることを旨としたが、早速発足したつくばナノテク拠点は、平成20年度第二次補正予算と平成21年度補正予算における計311億円計上による、極めて積極的価値ある緊急対策である。経済産業省(担当:産業技術環境局研究開発課)は、次のように発表した(2009-06-17)(SANARI PATENT要約)。

1. 今回の補正予算により集中的な施設整備が予定されている「つくばナノテクノロジー拠点」の実現に向けて、この拠点形成の中核的位置づけを占める独立行政法人・産業技術総合研究所、同・物質・材料研究機構、筑波大学、さらに産業界代表としての経団連の4者の代表で構成される「つくばナノテクノロジー拠点運営最高会議」が2009-06-17に開催され、基本理念について確認するなど、世界的な研究開発拠点形成に向けて最初の一歩を踏み出した。
2. ナノテクノロジーは、ナノサイズの制御等を行うことで新領域を切り開く、学際・基盤的な技術であると共に、環境・エネルギー・健康・安全など持続可能な経済社会実現のため、計り知れない可能性を秘めた技術である。これまで日本が強みを保持してきた分野であるが、他方、近年、主要国において中核的拠点への集中的投資が行われ、国際競争が極めてきびしくなっている分野である。
3. このような状況下で、クリーンルーム、先端ナノ計測器等、ナノテクノロジー関連研究インフラが集積する「つくば」に世界的な研究開発拠点を形成すべく、経済産業省関連の補正予算において総額311億円(平成21年度補正予算256億円、平成21年度2次補正55億円)、更に文部科学省関連補正予算50億円の計361億円を計上し、集中的な施設整備を行うこととしている。
4. 2009-06-17、この拠点形成に向けて中核的位置づけを占める産業技術総研、物質材料研究機構、筑波大学、経団連の4機関の代表で構成される「つくばナノテクノロジー拠点運営最高会議」を経団連会館で」開催し、基本理念について確認するなど、第一歩を踏み出した。

SANARI PATENT所見
 今次緊急対策の50兆円超の予算が、単なる倒産・失業救済緊急対策にとどまらず、今後の新たな成長力の基盤形成に着手する予算ともなることに、全国民の期待を寄せるべきである。
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2009年6月17日水曜日

Agreement on Patent Procedure Highway Between Japan and Singapore

 日本・シンガポール特許庁間の特許審査ハイウエイ試行開始
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 新しい科学技術の発明で進歩性に富むものに特許権を付与し、排他権を与えて発明を奨励するという特許制度の必要性・有用性は各国とも認めて、それぞれの特許法に基づいて特許を付与しているが、内容が同一の発明については、一つの国で特許したらば他の国でも特許することとして、出願と審査の手間を省こうというのが、特許審査ハイウエイの基本的考え方である。

 2006年に、わが国は米国と、世界で初めて特許審査ハイウエイを開始し、既に、世界の特許出願の64%を占める主要8国の特許庁(米国、韓国、英国、ドイツ、デンマーク、フィンランド、ロシア、オーストリア)と特許審査ハイウエイの取組を行っている。

 このたび、シンガポールで開催された日シンガポール特許庁長官会合において両庁は、特許審査ハイウエイの試行を2009-07-01から開始することに合意した(2009-06-16)。シンガポールは、東南アジア地域では初めてのわが国との特許審査ハイウエイ締結国であり、これによって、それぞれの国の企業がより迅速・的確に発明を権利化するための特許審査ハイウエイの取組が、更に拡大されることになった。

 2002年の経済連携協定締結以降、日本とシンガポールとの経済的結びつきは益々強まっている。わが国特許庁は、企業活動を通じて創出される発明について、それぞれの国の企業がより迅速・的確に権利化できる環境の整備が、両国の経済関係を一層深めていく上で重要としている。

 一方シンガポールは現在、ASEAN諸国と審査結果を共有する取組(ASEAN特許審査プログラム)を進めている。この取組の中心であるシンガポールとの間で特許審査ハイウエイの取組を締結することにより、わが国で特許権を付与された発明については、審査内容がASEAN諸国で共有され、その結果、シンガポールのみならずASEAN諸国において早期に安定した特許権を取得できることが期待される。
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2009年6月16日火曜日

JPO Reports the Actual Conditions of IP Activities

JPO Reports the Actual Conditions of IP Activities in Various Fields 各分野における知的財産活動の実態
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3. (承前2009-06-15記事) 重点8分野における特許出願状況:
 政府は、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野を重点推進4分野として戦略的に技術開発する方針を定め、この4分野に加えて、推進4分野であるエネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアを含めた8分野については、重点分野として効果的・効率的な研究開発と、研究成果の権利化を促進し、戦略的に知的財産権を確保するものとしている(SANARI PATENT考察: 8分野筆頭のライフサイエンスが国民医療に直結する医療分野について、知的財産権確保の方策が漸進的であることを、米国特許制度との対比において、速やかに是正すべきである)。

4.重点8分野の日米欧比較:
 2006年に日米欧中韓で出願公開または公表された重点8分野の特許出願を分野別に集計すると、ライフサイエンス、フロンティア以外の6分野において、日本国籍による出願公開または公表件数の合計は、欧米国籍の割合を上回っている。

5.わが国における重点8分野の出願公開または公表件数の推移:
 わが国での全技術分野の出願公開または公表件数は、2007年・37万9560件、2008年・37万4019件と横ばいであるが、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、ものづくり、社会基盤の4分野の件数は、2007年から2008年にかけて増加している。また、全技術分野の件数に対する重点8分野の件数の割合は、2007年・45.6%から、2008年・47.4%に増加している。

6.三極コア出願の日米欧比較
6-1「三極コア出願」の定義:
グローバルな権利取得に向けた取組を測る指標として、日米欧いずれかの国になされた特許出願であって、その出願を優先権の基礎にして他の二極の両方に出願がなされたものを「「三極コア出願」と定義する。
6-2 三極コア出願件数の推移(以下次回)

SANARI PATENT所見
「三極コア」と共に中韓を加えた「五極コア」の考察が必要である。中韓の対日米欧出願増と共に、米国の対中国出願も著増している。
 中国の創新(イノベーション)、M&Aによるブランド獲得、引進来(外資導入)と走出去(海外進出)の結合による競争力強化などの、金融危機契機の政策の一環としての中国特許戦略が注目される。
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2009年6月15日月曜日

Innovation Policy of China in the IP Field

 各分野の知的財産動向
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 中国における特許出願の活発化が前述によって明確であるが、「イノベーション」を中国語では「創新」と表記していることからも、創造重視が窺われる。

2(承前2009-0614記事)わが国における知的財産活動
2-1 企業等における知的財産活動
2-1-1 2007年度のわが国企業等における知的財産担当者数は48万人で、2003年度から増加傾向にあるが、短期的には大きな変化はない(SANARI PATENT考察: 今次経済危機を契機とする企業合理化によって、弁理士等の知的財産要員を企業内要員とするか、特許事務所にアウトソーシングするかの選択がなされる。更に基本的に、知的財産の自社開発と、M&A、オープンイノベーションの選択が活発になり、企業が内包する知的財産要員数が変動する)。
2-1-2 2007年度のわが国企業等の知的財産活動費は、2006年度比0.6%増の8904億円である。
2-1-3 2007年度の特許権利用率(利用件数/所有権数あ
は50.1%と、初めて5割を超えた。

2-2 大学における知的財産活動
2-2-1 2008年の大学および承認TLOからの特許出願件数は7600件である(SANARI PATENT考察:わが国同年特許出願総数の1.94%に過ぎず、論文優位の学風と言えよう)。2002年には2000件弱であったが、2005年にかけて急増し、その後は横ばいで推移している。
2-2-2 2008年に審査結果が出たもののうち、特許付与されたのは6割で、全出願の平均値より高い。
2-2-3 大学および承認TLOにおける特許権の実施件数は、2007年に4400件、実施料収入は同年に7億7400万円である(SANARI PATENT考察: 特許出願やライセンスを行っている大学の数が少なく、また特定の大学に偏在している)。      
2-2-4 2008年のPCT出願(企業・大学全て)上位500中に、わが国の大学は3大学がランクインしている(SANARI PATENT考察: 500中に、カルフォルニア大学34位345件、マサチューセッツ工科大学86位189件、テキサス大学95位158件、海外8大学が有って、東京大学246位71件が見出せることを指摘しているのだが、上位3大学が全て米国であること、東大の格差が著しいことが却って目立つ)。
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2009年6月14日日曜日

Japan Patent Office Annual Report 2009 Edition 

特許行政年次報告書2009年版:イノベーションを促進する知的財産システムの構築
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 経済産業省(担当:特許庁総務部企画調査課)が特許行政年次報告書2009年版を公表した(2009-06-12)。ポイントは次の通りとしている(SANARI PATENT要約)。
(1) 日本企業の特許出願動向: 海外への出願は増加し、国内への出願は減少している。これは、量から質への転換を図る企業が増えていることに加えて、景気後退の影響も要因として考えられる。
(2) 一次審査件数の増加: 任期付審査官の採用、先行技術調査外注の拡大等によって、特許の一次審査件数は年間34.3万件に増加した。
(3) 海外の権利取得支援: 特許審査ハイウエイの対象国拡大によって、日本企業の海外での権利取得を支援している。
(4) 大学を支援: わが国の大学における知的財産活動は新たなフェーズを迎えており、出願件数の絞り込みが図られ、ライセンス件数が増加している。特許庁は、知財プロデューサ等の専門人材派遣等、これを支援している。

内容を次のように要約している。
1. 産業財産権をめぐる動向
1-1 特許出願
1-1-1 出願件数(2008)は39.1万件で、前年比1.3%減である。これは、事業展開上で必須の技術などに特許出願を重点化する企業が増加していること、開発した技術の内容によっては特許出願せずノウハウとして秘匿管理する考え方が浸透していること、および、景気後退などによると考えられる。
1-1-2 PCT出願(特許協力条約に基づく国際出願)は28万件で、引続き増加傾向にある(対前年比4%増。世界第2位)。
1-2 審査請求
1-2-1 審査請求件数(2008)は34.8万件で、前年比7.6%減である。いわゆる「請求のコブ」の解消に伴う。
1-2-2 一次審査件数は34.3万件で、前年比11.4%増である。
1-3 国際比較
1-3-1 2008年における世界のPCT出願件数は16.4万件で、前年比2.4%増である。
1-3-2 世界のPCT出願件数に占める割合は、米国が1位(32.7%)であるが、韓国4.8%、中国3.7%も増勢にあり、日中韓3国が占める割合は合計で26.1%に達した。
1-3-3 五大特許庁(日米欧中韓)では、中国の特許出願件数の増加が著しい(29.0万件。前年比18.2%増)。(以下次回)
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2009年6月13日土曜日

Activation of the “Set In Software Industry” Stressed by METI 

「組込みソフトウェア産業活性化プラン」(2009-06-11)を経済産業省が発表
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「組込みソフトウェア」は、自動車、携帯電話、情報家電、ロボット等の機器固有の機能を実現するソフトウェアである。組込みソフトウェアを組み込んだ機器を「組込みシステム」と呼ぶ。組込みソフトウェアは、製品の製造段階で、その製品の製造業者により実装(ROMなどに内蔵)され、その製品のユーザーによる追加・変更・削除が原則的に行えないソフトウェアである。

 経済産業省(担当:商務情報政策局情報処理振興課)は、わが国の製品輸出額の6割近くを占める製品に組込みソフトウェアが実装されていることから、ものづくりの基盤を成している組込みソフトウェア産業の特徴および位置づけを整理すると共に、現下の経済情勢を踏まえつつ、組込みソフトウェア産業が今後発展していくために求められる取組を検討し、その取組を支援する施策をまとめて、公表した(2009-06-11)。

 公表の標題は「組込みソフトウェア産業活性化プラン」で、副題を「受託型からプロダクト型の産業へ」としている。主文では次の4点を述べている(SANARI PATENT要約)。
(1) 組込みソフトウェアは、自動車のエンジン制御、安全制御、情報家電の通信制御、映像・音声制御等を担うソフトウェアで、中小企業が、その開発に重要な役割を果している。自動車の製造コスト中、組込みソフトウェアを含むエレクトロニクスは、15~50%を占めている。
(2) 国内組込みソフトウェア開発費は年間4.2兆円、2004~2009の平均成長率は15%で、規模の拡大が近年著しい。
(3) 組込みソフトウェア産業は、わが国が高い国際競争力を有する自動車、情報家電等を支える産業であることから、現下の経済情勢を乗り超えて今後益々発展することが求められる。
(4) 「組込みソフトウェア産業活性化プラン」では、組込みソフトウェア産業が、受託型からプロダクト型の産業へと発展し、グローバルにも展開していくために求められる取組について、技術開発や人材育成、ビジネスマッチングなどの観点から、幅広く検討し、その取組を支援する政府等の施策をまとめている。

SANARI PATENT所見
 このプランは、今後における重要な取組として「ビジネスマッチング」(組込みソフトウェア市場の拡大に向けた連携)、「技術・製品の開発」、「国際展開」(国際標準化)、「人材育成」、「経営の安定化」を掲げているが、国際市場での高シェアを国際標準化によって確立する戦略が強力でないこと、組込みソフトウェアの主要な部分を担う中小企業経営が安定を欠くことは、今後の国際競争熾烈化において致命的であり、本プランの早急かつ強力な実施が緊要である。
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2009年6月12日金曜日

G8 Finance Ministers Will Share World Economy Prospects 

週末G8財務相会合の論点と物資価格変動
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Q3(承前2009-06011記事)週末のG8では世界経済の現状認識について、どのようなメッセージが出てくるのか。世界経済も底を打ったのかとか、何らかの明るいメッセージを出せるのか、そういった点も注目されると思うが、その辺の、事実上の世界経済の底入れ宣言的なものを今回出す可能性はあるか。
A3 まだ、はっきり言えないが、それぞれの国がそれぞれの経済の見通し、自国が実施した経済刺激策について説明し、G8全体の現状が明確になろう。

Q4 株価と同様に最近、商品市場、特に石油なども漸騰しており、これ以上騰貴すると色々な影響が懸念されるが、どのように認識されているか。
A4 実需に支えられて商品価格が上昇している面があるが、やや投資家達に元気が出て、株式市場、商品市場に入り始めたということは、少し自信を取り戻した証左である。石油価格の妥当水準は分からないが、New Yorkの建値そのものが原油取引の契約価格ではないということも、一方ではある。

Q5 昨日(2009-06-08)の国会で、所得税率の最高税率の引き上げについて、与党も含めて大多数が賛成ということであったが、この点についてどう考えるか。
A5 税法の付則に、所得税の所得再配分効果を高めるためにも、最高税率については考慮すると定めており、考慮するというのは下げるのではなくて上げることと思う。税収確保よりも、シンボリックな意味で所得税の再分配効果を表すための改革と思っている。

Q6 シンボリックという言葉を使われたが、実際の税収確保となると消費税が不可欠であるという認識か。
A6 シンボリックというのは、最高税率が適用される人は実際に出てくるが、税収確保の金額的意味では、その人数から考えて決定的な人数はおらず、それでも、税の公平感についてシンボルとしての効果があるという意味である。

Q7 経済財政会議の骨太の方針は、どの辺に留意してまとめたか。歳出改革についての数値目標はどうか。
A7 全部が重要な点なので、ページ数を少なくして大事な事だけ明確に示した。

SANARI PATENT所見
 Q4A4の物資価格変動は、代替材料、新エネの技術開発を起動または停止する決定的要素であり、調整政策の有無・態様が知的財産の創出にも直接影響する。
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2009年6月11日木曜日

MOF Minister Answers to Press Questions

MOF Minister Answers to Press Questions After Cabinet Council (2009-06-09) 与謝野財務大臣の景気認識(対財務省記者応答)
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 日経平均株価が1万円に迫ったが(2009-06-10終値999.49円)、その前日、閣議後の財務省記者会見における財務大臣の応答(SANARI PATENT要約)を考察する。

Q1 景気ウオッチャー調査結果(2009-06-08) や最近の株価上昇を見ても、景況感の改善が明瞭になってきたと思うが、改めて与謝野大臣の景気認識を承りたい。
A1 先行指標である株価によれば、6カ月ぐらい先は日本の経済が回復しており、また、アジアの株式市場の回復率を換算すると(SANARI PATENT考察: 特に最近、インドの株価上昇が注目されている)、それに対しては出遅れているということで、日本株の割安感(SANARI PATENT注: 原文は「株安感」)を海外投資家は持っており、そちらの方からの買い意欲もある、ということで、株価水準が上昇したことが一つ。また、景気ウオッチャー調査結果 が5カ月間も上昇している。さらに様々な生産分野で在庫調整が終わり、生産活動が上昇しているという数字も幾つか見られる。加えて、1~3月に比べて4月の輸出減の幅は小さくなった。このように様々な指標が出てきているが、ぜひこういう傾向が続くことを私は望んでいる。
 一方、注意深く、日本経済が当面する下振れリスクについて、迅速に行動することが必要である。

Q2 週末のG8財務相会合(イタリアにて)においては、日本政府として具体的にどのような主張をするか。
A2 これは特段新しいテーマに取組むという会議ではないが、各国がそれぞれ、どういう財政刺激策を講じたか、あるいは中央銀行の金融政策はこうであるとか、互いに各国の事情に対して共通認識を築くということが最も重要である。
 また、IMFを始め、世界銀行、アジア開発銀行等の国際的金融システムに対して、日本は先導的に貢献策を決めたけれども、その後色々な国がそれら国際的組織に貢献することを発表し、あるおは考えているので、これら一連のことについて相互に意思を確認することが必要である。
  さらに、大事な時期に何時でも、こういう会合が世界的規模で開催されるということ自体が、非常に大事なことである。(以下次回)     
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2009年6月10日水曜日

Outline for the Reconstruction of National Finance 

Advisory Council on Economy and Finance (2009-06-09) Proposes Outline for the Reconstruction of National Finance 財務審議会と経済財政諮問会議の整合

 昨日の経済財政諮問会議で、「骨太の方針09」原案が示されたので、今月初の財政審議会部会(2009-06-03)で審議対象とした「2010年度の予算編成方針」は具体化ないし現実的修正の方向を示されることになったと、SANARI PATENTは判断するが、骨太の方針の決定は本月末であるから、データ整理の意味も含めて、財政審議会の案(SANARI PATENT要約)の考察を続ける。

16(承前2009-06-09記事) わが国財政は、将来に負担を先送りする構造にあり、国民の負担増を極力小さなものとし、国民の理解を深めていくためにも、、歳出改革を推進することが重要である。

17 2010年度予算については、税収減から公債依存度の大幅な上昇が見込まれる。従って、財政の持続可能性への信認を確保するためにも、経済状況にも対応しつつ、基本方針2006の考え方を踏まえた歳出改革を維持していくことが必要である。

18 先ず社会保障給付と負担のバランスの確保について。 今後わが国の65歳以上人口は、2005年の2割から、2025年に3割、2050年に4割を占める。従って社会保障給付は、経済の伸びを上回って増大するものと考えられ、社会保障給付に係る国税負担は毎年度1兆円の自然増が見込まれる。さらに、団塊の世代が2012年から2014年の間に基礎年金の受給開始年齢に達する。

19 こうした状況下でわが国財政は赤字が多額で、現在の社会保障給付に必要な税負担を、現世代負担の税源では賄い切れず、相当部分を将来世代への」つけまわし(公債発行)に依存するなど、給付と負担がバランスせず、現役世代および将来世代世代の負担感がますます増大している中で、世代間不公平を更に拡大する要因となっている。

20 従って、社会保障制度が経済・財政とも均衡が採れたものであるよう、制度全般にわたり給付と負担の普段の見直しが必要である。(以下次回)

SANARI PATENT所見
「中福祉」の内容を、単に税負担能力の限界から誘導するのではなくて、医療、生活費の自助・公共分担の適切な配分という「在るべき姿」から、明示すべきである。例えば、先端医療に関する発明に特許を付与することの可否も、医療費の患者負担率が極度に低い1割にとどめられているため、保険対象化できないことが実際上の高rと要因となって、決定が徒に延引されている。
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2009年6月9日火曜日

Current Status of Japanese Finance 

わが国財政の現状(「主要先進国中で最悪水準」という評価には疑問)と今後
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12(承前2009-06-08記事)わが国の国・地方を合わせた長期債務残高は、2009年度末には816兆円、対GDP比で168%に達する見込みである。わが国の財政状況は、一連の景気対策を講ずる以前から、主要先進国の中で最悪の水準(SANARI PATENT考察: 財政審議会ないしその事務局lの財務省が。「最悪」の算定方式を示さずに「最悪」という表現を用いることは、すこぶる疑問である)にあったが、今次景気後退に伴う税収減および一連の景気対策によって、更なる財政悪化が見込まれ、極めて危機的な状況にある。

13 またわが国では今後、少子高齢化の進展により、社会保障費は更に増加し、現状においてもその安定財源が確保されていないのに加えて、将来世代へのつけまわしに依存する結果となりつつある。

14 予て政府は、中期的な財政運営の基本的考え方として、財政規律の観点から、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(2006-07-07閣議決定)に基づいて、2011年度までに、国・地方を合わせたPrimary Balanceの黒字化を目標として、歳出の見直しに取組んできた。しかしながらこのBalanceは、2008年度のマイナス3.4%から2009年度にはマイナス4.2%よりも一層悪化することが確実である。

15 従って政府は第1に、景気回復のためとは言え、一連の財政出動により債務残高が累増し、財政再建のハードルが一層高くなっていることを先ず認識すべきである。第2に、経済状況に柔軟に対応しつつも、歳出・歳入いったい改革により財政健全化に取組むとの「基本方針2006」の基本的考え方の重要性は一層高まっていると認識すべきである。債務残高の累増は、利払費の増加による財政の硬直化を招くと共に、将来世代の負担の増加を意味する。財政の持続可能性を確保するため、国・地方の債務残高の対GDP比の発散を止め(SANARI PATENT注:「上昇」「増大」でなく「発散」と呼んでいる)、安定的な引き下げが必要不可欠である。(SANARI PATENT考察: 過去の大阪府のように、地方公共団体の起債が規律度外視の傾向にあったと考える)。さらに第3に、「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保の中期プログラム」(2008-12-24閣議決定)を実行すべきである。
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2009年6月8日月曜日

Financial Policies of G8 for Economy Crisis 

主要先進国の金融危機対策財政とわが国来年度(2010年度)基本方針
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6(承前2009-06-07記事)2008年秋の世界的な金融危機後、成長や雇用を支えるために財政政策が重要であることは、国際社会の共通認識となり、主要先進国においては、財政規律を一時的に緩和し、大幅な歳出増や一時的減税などの措置を講じている。(SANARI PATENT考察: 前述「3T」の「Temporary」が繰り返し強調されている)。本年(2009)4月の第2回金融・経済G20においても、現在行われている財政拡大が来年(2010)までに5兆ドルに上ることを確認し、成長回復のため必要な規模の継続した財政努力が合意された。

7 米国では本年(2009)2月、「米国再生・再投資法」が成立し、平成31年度(2019年度)までの10年間で7870億ドル(75.6兆円:うち歳出措置47.9兆円、減税措置27.6兆円)の景気対策を講ずることとされた。(SANARI PATENT考察: わが国の場合、2年度間(2008~2009年度間)に27.4兆円の財政措置と解する)。

8 英国では2008-11および2009-04、平成21年度(2009年度)までの総額200ポンド(3.1兆円)超の景気対策が発表され、これまでの財政規律は一時的に逸脱するとしている。

9 フランスでは2008-12にフランス経済刺激プラン、2009-02に雇用・中低所得対策が発表され、2009~2010の2年間で総額291億ユーロ(3.9兆円)規模の措置を講ずる。

10 ドイツでは2009~2010の2年間で総額800億ユーロ(10.6兆円)規模の措置を講ずる。            

11 翻ってわが国財政の現状は、景気対策に伴って2009年度一般会計予算の歳出が102.5兆円と、過去最大の規模になったが、税収は、法人税収の大幅減等によって46.1兆円にとどまっている。この結果、他の収入を含む歳入58.4兆円との差額44.1兆円(102.5-58.4)を国債で賄い、公債依存度(SANARI PATENT注:財政審議会原文が、「国債」でなく「公債」と称している)は43.0%と、過去最悪の水準にある。
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2009年6月7日日曜日

MOF Starts Formation of Fiscal 2010 Budget 

財務省、来年度(平成22年度)予算編成に着手
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 景気の底が見えたという発言が多くなってきたが、その確認を待たず、早くも来年度(平成22年度)予算の編成準備期に入った。今月初の財政制度等審議会に付議(2009-06-01)された「平成22年度予算方針の基本的考え方(案)」によって、現時点における財務省の見方(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 昨年(2008)秋から、わが国財政は急速に悪化し、国と地方を合わせた長期債務残高は、平成21年度(2009年度)末には816億円、対GDP比で168%に達する見込みであり、更に、税収減等から深刻化する見通しである。
2. 景気対策として政府は、第1次対策(事業規模75兆円、うち財政12兆円)および第2次対策(同上56.8兆円、15.4兆円)を策定した。この対策は、重点化されたもの(Targeted)、時宜を得たもの(Timely)、一時的なもの(Temporary)の視点に立って取りまとめられたものであるが、こうした「3T」の視点は、財政の持続可能性との整合性を確保する上で重要である。(SANARI PATENT考察:「3T」の語はマスコミには疎遠だったようである。「整合性」は要するに「国の財政が保つように」ということで、国民全て異議なしであろう)。      
3. 財政状況が極めて厳しいことにかんがみると、今回の対策は、あくまでも国際的な経済・金融の大混乱時における緊急避難的な一時的な措置(上記2のTemporary)であると認識すべきである。(SANARI PATENT考察: ここでこそ「百年に1回」の語が適切であろう)。
4. また、このように大規模な財政支出を行うからには、当然それにふさわしい効果が求められる。政府においては、この対策によって平成21年度の実質GDPが1.9%程度、押し上げられると試算しているが、しっかりとした検証を行う必要がある。
5. さらに、この対策には、多年度を視野に入れた措置として、基金を活用した施策が盛り込まれているが、国民からムダ等の指摘がなされないよう、適切かつ効率的な執行のために最大限の努力をすべきである。(SANARI PATENT考察: 現にマスコミを賑わせているのは、官僚の天下りの激増予測であるが、法規にはない「官僚」という用語自体を、撲滅すべきである)。(以下次回)
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2009年6月6日土曜日

Direction of Town Gas Administration  

資源エネルギー調査会の都市熱エネルギー部会(2009-06-12)が中間とりまとめ予定
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 消費エネルギーの形態を電力に統一する方向性について、政府部内に検討の兆しが見えないことは、佐成重範弁理士が予てより遺憾としてきたところである。一次エネルギーのエネルギー変換を電気エネルギーに統一し、その流通の簡便性と多目的利用性を総合活用することは、一次エネルギーの最も効率的な利用に帰着することを、早期に検証すべきである。

 しかしながら現状では、都市熱エネルギーとして、都市ガス依存も、地域によってその比率が不同であり、国民生活に直結した一次エネルギーの一翼を担っている。従って、都市熱エネルギー部会の検討も、原油価格の急激かつ大幅な変動への対応など、現行一次エネルギー供給構成を前提とする当面の問題点指摘にとどまっている。

 その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
1. 原料費調整制度は、原料費を外部化し、これを定期的に調整することにより、ガス事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化をできるだけ迅速に料金に反映させると共に、ガス事業者の経営環境の安定を目的として、平成8年初に導入された。その後の原料価格の変動は、適切には反映されてきた。
2. 他方、トン2万円前後で安定していたLNG価格は、原油価格に連動して、特に平成19年以降、原油価格急騰に伴って8万円以上に上昇した。このようなLNG価格に代表される原料価格の変動に機動的に対応可能なよう、原料費調整制度についての必要な見直しが求められている。
3. 見直しにおいては、「ガス使用者の利益の保護」と「ガス事業の健全な発達」を両立させる視点が重要である。
4. 論点の第一は、「料金反映のタイミング・方法である。料金変動の平準化という視点からどう考えるか。
5. 論点の第二は、調整上限を含めた転化ルールの在り方である。
6. 論点の第三は、今後の行政関与の在り方である。

SANARI PATENT所見
 一次エネルギーとしての化石エネルギーが、原則として電気エネルギーに変換され、規模のメリットを得ると共に、電気自動車の普遍化、電気通信インフラの遍在、新エネ等電源の多様化など、都市熱エネルギーも形態自体を先ず構想すべきである。
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2009年6月5日金曜日

METI Requests Public Opinions for the Industry Innovation Organization 

新設される産業革新機構が支援すべき特定事業活動の要件について経済産業省が意見公募
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 政府自ら、ないし政府関係機構が、経済危機による影響から積極的な変革構想をもって再建を意図する企業を支援する態様は、米国のGMの場合に見るように、各国多様である。
 わが国は今次国会で「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法(1999)を改正して「株式会社産業革新機構」を新設し、その支援基準に適合する企業を財政支出を伴う政府支援の対象とすることとした。
 上記の「支援基準」について経済産業省(担当:経済産業政策局産業構造課)は、その案を公表(2009-06-04)すると共に、本月17日を期限として意見を公募している。

 SANARI PATENTがこの案の内容を要約すれば、次のように解される。
1. 支援対象とするためには、次の1-1および1-2のいずれも満たすことを要する。
1-1 支援の対象となる特定事業活動が満たすべき基準
1-1-1 社会的ニーズへの対応
1-1-2 成長性
1-1-2-1 新たな付加価値の創出
1-1-2-2 民間事業者等の」資金供給
1-1-2-3 取得する株式の処分の高蓋然性
1-1-3 革新性
1-1-3-1 先端基礎技術の結集および活用
1-1-3-2 ベンチャー企業等の経営資源の結集および活用
1-1-3-3 技術等を核とした事業の再編・統合
1-2 特定事業活動支援全般について機構が努めるべき事項
1-2-1 投資事業全体としての長期収益性の確保
1-2-2 投資事業全体として分散投資となること
1-2-3 個別投資案件に関する規律の確保
1-2-4 個別投資案件に対する民間投資ファンド等との補完性
1-2-5 責任ある投資執行体制の整備
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2009年6月4日木曜日

The NTT Group Strives to Become a “Service Creation Group”

 ICT新サービス創出グル-プとしてのNTT
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1.(承前2009-06-03記事)今次日本電信電話事業報告書の冒頭には、電気通信分野における事業環境の変化を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1-1 ブロードバンド化、ユビキタス化の急速な進展に伴って、
1-1-1 固定通信市場では、光サービスの拡大と、それに伴う既存固定電話から光IP電話への移行が進んでいる。
1-1-2 移動通信市場では、サービスや端末が多様化・高度化すると共に、料金競争、MVNDの新規参入など、競争が激化している。
1-2 IP化に伴う「固定と移動」、「通信と放送」などサービスの融合・連携の進展、ネットワークを利用する様々な新事業の創出など、大きな変化が続いている。
2 上記について今次日本電信電話事業報告書が用意した用語解説のうちMVNDは昨日記事に既出したので、その他を先ず以下に備忘する。
2-1 LTE (Long Term Evolution): 更なる高速移動通信技術の次世代標準規格。NTTドコモが「Super3G」として提唱していた規格。
2-2 光ビットメモリー: 光信号で処理するメモリー。光ファイバを用いた高速ネットワークにおいて、光本来の高速性や、低消費エネルギーなどの特長を活かすために必要となる技術。
2-3 高電圧直流給電: 直流給電により、電力変換回数の削減による給電効率の向上や、蓄電池と直結できることによる高信頼化が容易となる。また、高電圧化することで、給電ケーブルを細くできるため、施工性の向上とコスト削減が可能である。
2-4 上位レイヤビジネス: インターネット接続、映像配信など、IPネットワーク上で提供されるサービスを行うこと。またはサービス提供に必要な検索、配信、料金回収代行などのサービス基盤を提供するビジネス。
2-5 光ビットメモリ: 光信号で処理するメモリ。光ファイバを用いた高速ネットワークにおいて、光本来の高速性や低消費エネルギーなどの特長を活かすために必要となる技術。
2-6 ひかりTV: 株式会社NTTぶららが提供するIPTVサービス。
2-7 MPLS (Multi-Protocol Label Switching): 伝送するデータに付与された「ラベル」と」呼ばれる目印のみを見て送り先を決める技術。
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2009年6月3日水曜日

NTT Illustrates 10.8 Trillion Operating Revenues

Financial Highlights of NTT Illustrates 10.8 Trillion Operating Revenues 日本電信電話の今次事業報告書
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 日本電信電話(NTT)の今次報告書(2008-04-01~2009-03-31)が届いた。日本電信電話株式会社は、持株会社としてNTTグル-プ戦略の立案や、事業環境の変化に即する経営資源の再配分を行い、グル-プ各社が自主・自律的に取組を展開することを基本としつつ、グル-プの方向性に沿った事業活動がなされるよう助言・斡旋し、基盤研究開発を推進し、その成果の事業化を図っている。
 従って、日本電信電話の報告書は、同社を含む企業集団、NTTグル-プの状況を記載している。その説明を理解するための「用語解説」を、SANARI PATENTが付した順序で先ず備忘記録する。ただし、電気通信業界、ICT分野で、用語の意味が統一されているとは限らず、日本電信電話は「用語解説」の冒頭に「専門用語などにつき、本文中で使用した意味に即して解説しています」と付記したことは適切である。

(1) NGN(次世代ネットワーク): 従来の電話網が持つ信頼性・安定性を確保しながら、IPネットワークの柔軟性、信頼性を備えた、次世代の情報通信ネットワーク。
(2) IP (Internet Protocol): インターネットを介して通信を行うために決められた通信手順
(3) MVND (Mobile Virtual Network Operator): 無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供している事業者。
(4) ソリューション: 顧客の抱える課題を抽出し、その解決を可能とするシステムなどを提供すること。
(5) SaaS (Software as a Service) : ソフトウェアをネットワーク経由で提供するサービス。
(6) ASP: インターネット経由でアプリケーションを提供するサービス事業者、またはその事業者の提供するサービス。
(7) SI (System Integration): コンピュータや構内交換機などの機器を結び付け、顧客が必要とする情報システムの構築、運用、保守管理などのサービスを一括して提供すること。
(8) VPN: ネットワーク上に、第三者が接続できない仮想的な私設網を設定して、特定ユーザーの専用網のように通信させるサービス。
(9) LTU (Long Term Evolution): 更なる高速移動通信技術の次世代標準規格。NTTドコモがSuper3Gとして提唱していた規格。

以上のほか約30の用語が、今次報告書を読むための解説として付録されているが、Cloudingが見当たらないので、SaaSとの異同、NGNにおけるNTTのNGNの特徴などに関心がもたれる。
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2009年6月2日火曜日

NOMURA HD Creates Change in the Capital Markets

Aiming to Further the Development of the Overall Markets 野村におけるリーマン承継の効果発現など
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 野村ホールディングスの事業報告(2008-04-01~2009-03-31)が届いた。重要な100%子会社として、野村證券(資本金100億円)、NOMURA Holding America(同44億3859万米ドル)、NOMURA Capital Markets PLC(同12億4000万英ポンド)など40社が列挙されている。
 報告書の内容(SANARI PATENT要約)は、当期純損失を詫びた上で、
1. 世界金融危機の環境のもとで、過去の負の遺産を積極的に整理し、資産の健全性を高め、成長の布石を打った。すなわち、この1年間に、約1兆円の劣後性資金の調達、本年3月に約2800億円の公募増資を行い、グローバルにビジネスを拡大するための財務構造強化を行った。
2. 投資銀行業務のグローバルな人材を確保した成果が出始めて、世界の証券取引所における株式取引額のシェア向上は顕著となり、クロスボーダの買収案件では、従来以上に大型案件でのアドバイザを手掛けることが可能になった。
3. 昨年度の証券総合口座の新規開設件数は、過去最高の60万口座を超えた。
4. 平成20年10月のリーマン承継後、組織・ビジネスラインを再編し、インフラ統合も年度内の概ね完了したので、内外の取引所等におけるシェア向上や為替トレーディングなどに成果が現れ始めている。
5. 株式引受業務が困難な環境にもかかわらず、三菱UFJフィナンシャルグル-プなどの大型案件を成功させた。
6. M&A関係業務は、期初から、第一三共―ランバクシー(インド)などの大型クロスボーダ案件が増加し、下期には、リーマン承継に伴う海外人材基盤強化の成果が出始めて、シノペック(中国)-タンガニカ(カナダ)、キリンホールディングスーサンミゲルビール(フィリピン)、アサヒビールー青島ビール(中国)などの大型クロスボーダ案件でアドバイザを獲得した。
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2009年6月1日月曜日

Relations Between GM and Japanese Makers 

「事前調整型」破綻スキームへの注目
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 6月1日になったばかりだが、産経の2009-05-31:22.56ニュースが、「GM破綻申請へ」「初の事前調整型破綻スキームも見切り発車」と詳報しているので、この際、米国における事前調整型破綻スキームの実際を考察することが、今後の参考にもなろう。ただし、「初の」の意味は厳密でない。クライスラーの場合も「事前調整型」と類型づけられている。GMの規模が、クライスラーの4倍に達することが、むしろ注目される。
 また当面、GMと提携関係にあるわが国自動車3社(トヨタ、スズキ、いすず)と、部品取引企業(デンソー、ヨロズ、曙ブレーキ、日立製作所、三菱電機、三菱重工業など)は、提携の維持や債権保全の対策を固め、経済産業省の支援を要請する局面も予想される。

 産経の報道を要約すると、
1. 米国大統領報道官が、クライスラーがGMにとって望みの持てる実例だ」と語るなど、GMもクライスラーと同様に事前調整型破綻スキームを採ることになる。
2. しかし、債権者が機関投資家にほぼ限定されていたクライスラーと違い、GMは債権者層も多様で、関係者の利害は複雑だ。特にGM社債を購入してきた個人や年金基金など、無担保債権者との交渉は難航を極めた。
3. 再建を迅速に進めるための事前調整型破綻スキームには、債権者の3分の2以上の同意が必要とされているが、現状では半数を超えた程度である。米国政府が求める「早期の経営再建」には、まだ不確定要素が多い。
4. 米国政府は、再建後の新GMの株式の72.5%を取得して国有化する。オバマ大統領は、1日、GMの再建を引続き支援すると表明する予定である。
5. 再建案の柱は、新GMと旧GMを分けて、新GMに優良ブランド。資産を移し、旧GMに不採算ブランド・不良資産を分離して清算する。
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