2009年4月30日木曜日

Integration of IP Resources Utilizing Innovation Organization 

産業革新機構の活用による知的財産の集約
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

日立製作所の川村粒会長兼社長が、新設される産業革新機構の「公的資金による企業への資本増強支援」を、日立製作所本体には受け入れないが、子会社である半導体大手ノルネサンステクノロジーについては「検討段階だが、受け入れがあり得る」と、朝日新聞インタビュー(2009-04-28)に応答するなど、産業革新機構に対する関心が高まっている。「産業革新」の核心が「知的財産の集約」であることが国会審議における政府答弁で明確に示されているから、Pro-Open-Innovationの知的財産開発を進めている先端分野の経営者が、これを活用することは当然である。

 そこで先ず成立(2009-04-22)した法文を考察する。産活法の第二章の次に、次の一章が加えられた。
 第二章の二 株式会社産業革新機構(以下本稿では「産業革新機構」)による特定事業活動の支援等
  第一節 総則
 (機構の目的)
第三十条の二 産業革新機構は、最近における国際経済の構造的な変化に我が国産業が的確に対応するためには、自らの経営資源以外の有効な活用を通じた産業活動の革新が重要となっていることにかんがみ、特定事業活動に対し資金供給その他の支援等を行うことにより、我が国において特定事業活動を推進することを目的とする株式会社とする。
 (数)
第三十条の三 産業革新機構は、一を限り、設立されるものとする。
 (株式の政府保有)
第三十条の四 政府は、常時、産業革新機構が発行している株式(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く)の総数の二分の一以上に当たる数の株式を保有していなければならない。
 (株式、社債及び借入金の認可等)
第三十条の五 産業革新機構は、会社法に規定する募集格式、募集新株予約権、募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換に際して株式、社債若しくは新株予約権を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。
産業革新機構は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

SANARI PATENT所見
今次金融危機を契機として、知的財産等の経営資源を集約することによりオープンイノベーションを達成しようとする企業に対して、公的資金による支援、特に出資による支援を行う機構を、株式会社の形態で設立する規定である。従って、産業革新機構の法的構成を先ず条文に即して把握すべきである。(以下次回)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月29日水曜日

Hitachi-soft Co. Will Catch Business Chance in the Current Global Change

Hitachi-soft Co. Will Catch Business Chance in the Current Global Change ソリューションニーズの高まりに即応する事業展開
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  SaaSとPaaSとHaaS→Cloud

 今次世界金融危機による産業活動低下に伴うITサービスの需要減と、危機打開ためのITソリューションニーズの高まりというビジネスチャンスが交錯する環境のもとで、日立ソフトウェアエンジニアリング(東証1部)が平成21年3月期決算(2008-04-01~2009-03-31)の短信を発表した(2009-04-27)。今次経済不況の底から反転して産業変革による拡大発展を起動するソフトウェアエンジニアリング分野の脈動をここに感知できることは、産業再活性化の確かな兆しとして共に認識べきであるとSANARI PATENTは考える。

 上記短信の内容(SANARI PATENT要約)は、
1.2009年3月期は、サブプライムローン問題に端を発した金融危機の発生、さらには実体経済への波及により世界同時不況が進行し、極めて厳しい経済情勢となった。情報サービス産業においても、景気悪化に伴う企業のIT計画の中断、延期、縮小などの影響を受けたが、一方で、ASP/SaaSなどの新しいサービス事業分野は好調であり、また、コスト削減に直接効果があるソリューションのニーズも高まっている。

2.日立ソフトグル-プも、高収益分野であるサービス事業とプロダクト&パッケージ事業の利益構成比を高めるべく事業構造改革に取組み、地方銀行向けインターネットバンキング、短期間・低コストで構築が可能なセールスフォース関連サービス、衛星画像提供サービス、コンサルティングなどのサービス事業の売上を好調に拡大した。
 また、最新のIT環境を月額制で提供するセキュアオンラインに注力し、在宅勤務サービス、遠隔保守サービス、指静脈認証連携などの品揃えを強化した。

3.情報処理機器部門では、日立ソフト製品のインタラクティブ電子)ボードを海外で拡販し、累計販売台数10万台を超え、衛星画像関連およびシステムインテグレーション案件に伴う機器販売が堅調であった。

4.上記の結果、2009年3月期の連結売上高は1658億2千万円で、前年度比3.3%減だが、連結経常利益136億4百万円(前年度比0.8%増)、連結当期純利益は73億1400万円(同85.6%増)となり、増配を予定している。

5.2010年3月期の見通しについては、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
5-1 ユーザーのコスト削減ニーズが高まり、ソフトウェアやハードウェアを所有せずインターネットを通じてサービスとして利用するCloud Computingが拡大していくなどの変動が予想される。これらの変化を新たなビジネスチャンスとする。
5-2 サービス事業およびプロダクト&パッケージ事業に経営資源をシフトする。
5-3 オフショア化による生産性向上、原価低減に取組む。
5-4 マーケットイン志向に基づく商品開発に努める。
5-5 事業のグローバル化を推進する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月28日火曜日

MOF and METI Reports on WTO Decision concerning USA Zeroing

米国のアンチ・ダンピング手続(ゼロイング)に関するWTO報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Hub Site http://sanaripatent.blogspot.com/
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  産業革新機構への期待

 世界経済不況の回復に際して、保護主義抑制と国内産業育成との調和がG7、G20の協調課題とされているが、関連事項として、外務省と経済産業省は相次いで「米国のアンチ・ダンピング手続(ゼロイング)に関するWTO履行確認パネルの最終報告について」発表した(経済産業省2008-04-24付、外務省04-25付)。外務省の発表の解説が、国民向けに懇切である。以下SANARI PATENT要約。

1. 日本企業の輸出品に対する米国の「ゼロイング」方式に基づくアンチ・ダンピング課税については、WTOにおいて協定違反が既に確定しているところであるが、日本は、米国が是正期限までに必要な措置を採らなかったと判断し、昨年4月、改めてWTOに提訴した。
2. アンチ・ダンピング課税は、輸出価格と、輸出国の国内価格等の正常価格とを比較して、輸出価格が正常価格よりも低い場合に、これを不当な廉価として、その差額(ダンピング・マージン)について関税を課するものである。米国は、従来から、1年間の平均のダンピング・マージンを計算する際に、輸出価格が日本国内価格より高い場合(ダンピング・マージンがマイナスの場合)の価格差を、マイナスではなくゼロとみなすことで、税率を不当に高くする手法(ゼロイング)を用いている。
3. 日本は、米国のゼロイング方式自体とその実際の適用がWTO協定に違反するとしてWTOに申し立ててきた。
4. WTOの履行パネルは、WTO勧告の実施状況について当事国間で見解の相違がある」場合に、勧告実施の有無等について判断するために設置されたパネルであるが、同パネルは、米国が是正勧告を履行しておらず、また、履行のために採られた措置はWTO非整合であり、WTO協定に違反していると認定した。

SANARI PATENT所見
 米国のゼロイング方式がWTO協定違反であるとして問題とされた時点は、今次金融危機顕在化に先立つが、米国がゼロイングを廃止した場合にはアンチダンピング税率は大幅に下がると考えられている。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月27日月曜日

Object of Investment by Newly Established Organization 

産業革新機構の投資対象たる要件
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

 産活法改正により新設される産業革新機構の投資対象の要件が国会審議の一つの中心となったのは当然で、業界の関心も高い問題である。

Q3(承前2009-04-26記事)経済産業省資料には、「投資対象のイメージ」の項にも、「組織の壁を超えて技術を集約し組合わせて」と示され、非常に「集約」に力点を置いている。集約というのは、技術や知的財産をひたすら集めて、場合によっては買い漁ってライセンスで回収するような場合も考えているのか。
A3 今回の機構が考えている投資形態は、3大別される。一つは、いわゆる一つの出口を想定して、例えば二次電池のようなターゲットを想定して、これに関連する知的財産権を集めてそれを事業化したいと考える会社にライセンスするタイプである。
 第二のタイプはセカンダリーベンチャー型といっているが、大学発ベンチャーなどが既にある程度技術を確立しており、それを幾つか組合せる、あるいは大企業の経営資源と組み合わせることによって事業化できそうな場合に、セカンドステージとして投資する類型である。
 第三の類型として想定しているのは、もっと後ろの段階になるが、ある程度企業と企業がそれぞれ事業部門を有し、それが統合することによりシナジーを発揮して大きな産業に発展することが予想される場合である。

Q4 今の答弁の一つ目の、出口を想定して知的財産を集めてきてライセンシングするという方法に関しては、買い漁って当たりが出ればラッキーというような、そういう集め方は絶対しないようにしていただきたい。大学ベンチャーを組合わせることが必要という答弁もあったが、これも、組合せただけで必ずしも巧くいくとは限らないので、出口がどうなっているからこう組合せれば巧くいくという、出口が何かを想定しなければ成功しない。
 国税を使う以上、市場や買い手のニーズを把握し、出口を想定しながら技術を事業に育てていくというマーケットアウトの発想、そして育てる投資というものが必要と思う。
A4 わが国には将来の産業の芽となり得る技術が多くあると把握しているが、残念なことに、それらが大学、大企業、中小企業、ベンチャー等に分散している結果、具体的な事業に繋がらないという実情にあると認識している。
 このような事態を打開するため、将来のニーズを把握し、これに対応できる製品やサービス、すなわちマーケットの出口を見据えて具体的に構想すると共に、その実現のため産業や組織を超えて技術や知的財産を集めるという発想が必要と考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月26日日曜日

Councilor Tamayo MARUKAWA Opines on Industry Revitalization Act

Councilor Tamayo MARUKAWA Opines on Industry Revitalization Act 産活法改正の参議院審議における応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  大企業資本金対策
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  イオン売上5兆円超の体系

 今次経済危機を「百年に一度」と評価して、諸国それぞれの金融産業対策が即応しつつあるが、わが国ではその一環として産活法改正の成立(2009-04-22)に引き続いてその再改正が議員立法により近くなされる。「百年」ではなく「アラフォー」の丸川珠代参議院議員(38歳、自民、東京都、東大経済卒、前職TV朝日アナ)は、どのような視点から産活法の問題を究明したか。(SANARI PATENT要約)

Q1 都内のハローワークでも4月に入って例年の1.6倍の混雑で、これから先の経済を、雇用吸収力ある構造に転換すべき場面にある。しかし、新しい産業の芽となるようなところに、なかなかリスクマネーが行かない状況になっている。リスクマネーが世界的に収縮している。ベンチャーキャピタルのみならず、あらゆるリスクマネーが市場から引揚げている。従って、今次改正法による株式会社・産業革新機構の成功に期待するが、改めてこのスキームの目的を経済産業大臣に尋ねる。
A1 産業革新機構は、産業や組織の枠を超えて、技術等の経営資源を組合わせて新たな付加価値を生み出す。いわゆるオープンイノベーションを促進するために、現在の金融危機の中にあっても特に不足している長期リスク資金を供給することを通じて、世界経済の構造変化に対応する事業を数多く創出していくことを目的としている。

Q2 事業化に先立つ研究開発の段階から投資するか。
A2 事業化段階について投資する。技術開発はいったん完結して知的財産権に既になっているようなものについて、関連する開発の成果をすべて知的財産権化して一つのグル-プを構成し、それをライセンスすることによって初めて事業化できるというケースがあるが、このような場合に、既に出来上がった成果をライセンスするためのプロジェクトカンパニーを作る、そのような場合に、このファンドが出資する。

Q3 経済産業省の資料によれば、「大企業、中小企業、ベンチャー、大学等に分散している結果、十分実力を発揮できない技術、事業を組合わせて」と、分散しているものを集約することが書かれている。その他の記述も含めて、「集約」を強調しているが、その趣旨は何か。(以下次回)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月25日土曜日

Scheme of Revitalizing Industrial Activities 

産業活力再生特別措置法(産活法)に基づく諸計画の実績と今後
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

  知的財産を核とする計画類型でも、支援対象として登場しなかった理由などが、参議院経済産業委員会で質疑されている。

Q2(承前2009-04-24記事)産活法の計画類型の評価:
 計画認定による支援の問題で、既存の計画の9割近くが事業再構築計画に偏ると共に、認定企業の多数が登録免許税の軽減措置を受けるにとどまっている理由、および、今後は全ての計画が効果的に機能することになるのか、疑問に思う。
 まず今次改正により廃止される共同事業再編計画は、平成15年に5件、平成16年に2件、認定されたが、その後の認定はない。この計画は過剰供給構造解消の手段として導入されたが、必要性が解消したのか。していないとすれば、今後はどのような手段で対処するのか。
A2 過剰供給構造は、平成15年ごろから解消に向かったが、今次世界的景気後退の中で、設備の過剰感が急速に高まっていることも事実である。一方、厳しい経済状況下で雇用を確保するには、設備廃棄と併せて、前向きな取組を行う事業者を支援することが重要である。
 従って、過剰供給構造にある事業者が前向きな取組を行わずとも設備廃棄を行えば支援対象となり得た共同事業再編計画は廃止し、何らかの前向きな取組を要件とする事業再編構築計画の中で過剰供給構造の解消に向けた取組を支援することとした。

Q3 技術活用事業革新計画は、現在まで1件の認定もない。ゼロ件のまま廃止になる。企業連携により獲得した技術や、知的財産を活用して著しい生産向上を目指すという、大変崇高な理念のもとに設けられた制度であって、これが全く活用されなかったのは、どういう事情か。
A3 他の企業が獲得した知的財産等を取得して事業革新を行うものであるが、最終的に認定に至るものがなかった。
 しかし、技術活用事業革新計画における外国関係法人を含めた組織再編成については、企業のグローバル再編のニーズの高まりに伴って、今回の改正で、事業再構築計画の対象として措置することとした。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月24日金曜日

Credit Default Swap Discussed at the House of Councilors 

産業活力再生特別措置法改正における参議院のCDS評価
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

 ものづくりの企業が、需要の激減など非常な苦難に直面している現状は、金融危機の原因となったCDS等について対策を講ずることなく、金融危機の再来防止への取組についても、明確な応答がない、産業活力再生特別措置法改正法案の参議院経済産業委員会審議(2009-04-14)は、このような質疑から始まり、先日可決成立(2009-04-22)に至ったが、この際、上記質疑に対する政府応答を考察しておく。
 なお、CDSの理解について、東京金融取引所がQ&Aを用意しているので、その一部を引用する(SANARI PATENT要約)。
問 Credit Default Swapとは、どのような取引か?
答 CDSとは、信用リスクを対象とする金融派生商品であるクレジット・デリバティブの最も基本的・代表的商品である。取引の外形は保証や信用保険に類似し、補償を受ける当事者(保証でいう被保証人)は、取引の対象となる信用リスクを、補償を提供する当事者(保証でいう保証人)に移転する。CDSを用いて、国家をも含めて、企業、証券化商品などに至る、幅広い種類の信用リスクの移転が可能となる。

 上記委員会では、
Q1(民主党・津田弥太郎委員)金融危機の原因となったCDSについて、予てより一部で危険性が指摘されたにもかかわらず、わが国政府として米国に対して警鐘を打ち鳴らし、有効な手立ての実現に結びつけ得なかったのは何故か、与謝野大臣に質問したが答えがなく、誠に遺憾である。
A1(谷本龍哉・経済産業副大臣)今次金融危機は、CDS等を用いた証券化商品に代表されるような新しいビジネスモデルが広がっていく中で、そのプレーヤー、市場参加者が十分にその新しいビジネスモデルのリスク管理ができなかった、そういう状況がこれだけ深刻な混乱に繋がったと理解している。
 その中で、CDSなどの金融商品が、まず各金融機関のヘッジ手段、リスク管理手段として利用された面がある一方で、その取引量が膨大になり、システミックリスクについて懸念があると、こういう指摘が確かに一部あったことは事実である。
 ただ他方で、その取引が実態を十分に把握することが困難な店頭取引等で行われれるなど、透明性が欠如していたというも事実であって、そういう状況の中で、懸念は一部あったけれども、その国の金融政策というものは元来、その国の政府が最もよく把握しているものであるし、それに対して他国から強く指摘し切れなかったことが現実にあったろうと思う。(以下次回)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月23日木曜日

Korea’s Prominent Patent Attorney, KIM, HONG ASSOCIATES 

韓国KIM特許事務所の金海中・代表弁理士が知的財産権判例新著
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  特許権の効力検討
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  大学の新学部著増


 韓国の特許事務所として著名なKIM, HONG & ASSOCIATESから、「韓国における知的財産権の判例」(金海中・洪淳雨両氏共著)を贈られた。東アジアでは、先日(2009-04-21)ロシアで開催された日露特許庁長官会合で特許審査ハイウェイの試行開始が合意されたが、韓国とは既に特許審査ハイウェイを開始し、両国審査の重複作業を削減して産業技術の発展に共進しつつあるが、その基盤をなすものは特許要件や明細書の記載要件に関する共通の認識である。

 贈られた著作はこの意味で、日韓の特許権に関する認識を明確に照合するため極めて有益に構成されている。例えば、「人体を必須構成要件発明の産業上利用可能性」と題して、「所定のステップを特徴とするケラチン繊維の永久的形成方法」の特許性に関する特許法院の判決要旨を、「人体を必須構成要件とする発明、すなわち、ヒトの疾病を診断、治療、軽減し予防したり健康を増進させる医療行為に関する発明は、産業にに利用できる発明と言えないため特許の対象となることができないと言えるが、人体に行われる手術または医療行為に該当しない限り、産業上利用が可能であり、特許として保護を受けることができると言える」と下線要約し、かつ、コメントにおいて、「人体を必須構成要件としてはいるが、美容行為に該当すること」などにより、上記判決の要旨を支持している。

 わが国内閣知財戦略本部でも、医療行為に関する特許性の検討が進行しているが、上記著作の記述はわが国における検討の現況と符号しているとSANARI PATENTは判断する。日韓双方にとっての共通の課題は、米国特許法が医療行為について特許付与を限定する規定を全く設けず、差止請求権の排除等をもって対人医療行為の人道的特質に対応していることと、いかに調和ないし整合させるかという問題である。

 進歩性の判断は、日韓共通の基準に基づいており、米国の非自明性判断とも共通と言えるが、具体的に容易想到性の有無を判断する局面において、各国の特許庁と知財高裁との間にも見解が相違し、審決取消などの判例が集積されている。しかし、「事後的判断の禁止」に関する金海中氏著作の記述は、日米韓共通の認識であるとSANARI PATENTは考える。

 その他、韓国における数多くの特許性判断基準が示されており、わが国産業人としても必読の書である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月22日水曜日

HITACHI Turns From General Elec. Appliances to Infra. Elec. Systems

「社会インフラ「社会イノベーション事業」の提供が日立の原点」と新社長
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  起業家教育ネットワークを経済産業省が開始  

 「新制度による政府の対資本支援の受容も選択肢のひとつ」という発言と共に、日立製作所川村 隆・新社長の就任挨拶と応答が注目されたが、ここでは挨拶のうち今後の日立製作所の方向性に関する言明(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 日立グル-プ全体のリソース配分を最適化し、事業ポートフォリオ再構築を加速する。
2. 日立グル-プの力の最大限発揮、アイデンティティ明確化の意味で、従来以上に「社会イノベーション事業」への傾斜を深める。それは、高信頼・高効率な情報通信技術によって支えられる社会インフラの事業であり、日立の強み・原点である。
3. 具体的には、情報通信システム、電力システム、環境・産業・交通システム、社会・都市システムなどのコンポーネントから成る。企業行動としては、「情報通信システムと電力・電機システムの融合」(SANARI PATENT考察: 電源の多様化に対応する電力ネットワークの制御、電気自動車のモバイル情報機器化に対応する有線無線融合などを含むと解する)、「真のグローバル企業への変容」、「環境ビジネスの拡大」という3つの観点から、社会イノベーション事業への傾斜を深める。
3-1 情報通信システムと電力・電機システムの融合   
情報通信システム事業で培ったプロジェクトマネジメントやシステム取りまとめのノウハウを、電力、鉄道などの社会インフラにおける大型プロジェクトに応用する一方、海外で展開している産業システムを契機として、情報ビジネスをグローバル化する。また発電システムと制御システムの融合によりSmart Grid Systemの対応力強化など、情報システムと電力・電機システムの融合により独自の付加価値を創出する。
3-2 真のグローバル企業への変容
発電プラントや交通システムなどの海外大型プロジェクトは、大きな可能性を秘めると共に、ビジネスリスクも小でない。従って、ローカルパートナーとの連携、地域事情に精通した外国人の登用、オペレーションの現地化を進める。情報通信システム事業では海外のコンサルティング事業を強化し、提案力とハードウェアの強さによりグローバルなソリューション事業を拡大する。さらに、欧州を含めて環境配慮型データセンタなど、社会イノベーション事業をグローバルに展開する。
3-3 環境ビジネス
クリーンモビリティ、再生可能エネルギー、省エネを開発し、高性能インバータ、リチウムイオン電池などのキーデバイスを強化する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)        

ラベル:

2009年4月21日火曜日

METI Opens Methane Hydrate Exhibition 

経済産業省本館ロビーでメタンハイドレートと海底熱水鉱床関係の展示を開始
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

 経済産業省は今週から、本館ロビーで「日本の海に眠る資源を求めて」「メタンハイドレートおよび海底熱水鉱床等に関するロビー展」を開始した。内容を次のように解説している(SANARI PATENT要約)。

1. メタンハイドレート
1-1 物性: メタンハイドレートには、天然ガスの成分であるメタンガスが含まれている。メタンハイドレートは、触ると氷のような冷たい物質だが、点火すると含有メタンガスが燃焼する。メタンハイドレートの分子構造は、水分子の篭の中に、メタン分子が入り込んだ形である。(SANARI PATENT考察: これは経済産業省の展示用記述だが、Wikipediaの次の記述の方が分かり易い。「メタンハイドレートとは、メタンを中心にして、周囲を水分子で囲んだ形になっている固体結晶である。低温かつ高圧の条件下で、水分子は立体の網状構造を作り、内部の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になっている」)。      
1-2 未来エネルギーとして期待: メタンハイドレートから得られるメタンガスは、都市ガスや発電燃料、天然ガス車、燃料電池など、様々なエネルギーとして利用できる またメタンガスは、燃焼時に排出する硫黄酸化物・窒素酸化物・二酸化炭素の量が、石炭・石油より少なく、クリーンな資源である。
2. 海底熱水鉱床
2-1 鉱床の分布: 海底熱水鉱床は、海底面から噴出する熱水から金属成分が沈殿してできた銅・鉛・亜鉛・金・銀等から成る多金属硫化物鉱床で、チムニーと呼ばれる煙突状の地形や、マウンドと呼ばれる丘状の地形をなしている。日本では伊豆小笠原海域や沖縄海域に分布している。(SANARI PATENT考察: これは経済産業省の展示用記述だが、Wikipediaの次の記述の方が分かり易い。「海底熱水鉱床は、海底のうち海嶺などマグマ活動のある場所に海水が染み込み、熱せられた海水によってマグマや地殻に含まれていた有用元素が抽出され、この熱水が海底に噴出して冷却されることにより沈殿し生成した鉱床である」)。
2-2 分布の形状: 海底熱水鉱床が分布する海底は、数mのチムニーが林立したり、マウンドを形成するなど、急峻な地形を形成している。

SANARI PATENT所見
 経済産業省の展示が、海底資源開発について様々な関心を喚起することに意義がある。例えばメタンハイドレートについては、二酸化炭素排出削減(地球温暖化抑制)との関係で、メタンハイドレートの活用を促進すべきであり、逆にこれを活用しない場合は、地球温暖化の進行によりメタンハイドレートのメタンが大気中に放出されるが、メタンは二酸化炭素の20倍の温室効果を有すると共に、大気中で分解されるには12年程度を要する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月20日月曜日

Complementary are G7 and G20, T.GEITHNER Answered to ASAHI 

米国財務長官T.GEITHNERが就任後、初の日本Media Interview (asahi.com)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

1. 朝日新聞主筆・船橋洋一博士の質問(Washington Apr. 16, 2009, at Treasury Ministry)(SANARI PATENT要約)と応答要旨(同)は、
1-1 Goldman Sachs is trying to return the money back to the government. But it could also destabilize that situation because the weaker one may become to be more vulnerable. How do you treat Goldman Sachs ?
 「いま、個別の金融機関についてお答する立場でない。米国も日本も同様に、銀行の状況は多様だが、銀行システムが全体として経済の回復を支える資金を持つことが、財務省の目的だ。」
1-2 Is there any danger or risk for us to see the second wave of the collapse of the banking ?
「仮に、銀行が市場から十分に資金を調達できない場合は、政府が供給するから、そのおそれはない。」
1-3 Is Japanese public debt ratio 156 percent of GDP a danger ?
「世界経済における現在のリスクの本体は、過度の成長よりも過少な成長である。しかし、各国にはそれぞれ特異の事情があり、今次危機発生時の状況も多様であった。各国民の多様な反応にも即応することとなる。
1-4 The president said that United States needs to spend less at home and export more abroad. How about this imbalance issue ?
「世界経済が米国の消費者に依存しない、均衡(内外需要の)のとれたものであることが、各国および世界経済の双方にとって有益である。」
1-5 You said that China is not manipulating currency now. What has changed between, in the past three months ?
「二つのドラマチックな変化があった。第一に、今次経済危機の強度が全世界に認識され、為替レートの実質的変動が、グローバルな危機対応により発生した。第二に、特に中国において、実質レートへの接近が実行された。
1-6 Do you think the G7 is still a very valuable vehicle ?
 「主要経済大国が共通の課題に対処する場として重要な機能を営み続けると思う。10年前に私が財務省に奉職した際、G20の設立を提案したが、それは世界の経済活動の均衡の変化を、よりよく反映させるためであった。現在、G7とG20とは相互に補完的に機能している。
1-7 What do you regard as the most important agenda of G20 in New York in September ?
「国内の金融システムとグローバルな金融システムの双方の回復を検証し、これを前進させることである。
1-8 Has Japanese lesson helped you addressing overcoming this issue ?
「日本の1990年代と今日の状況の間には多くの相違がある。あまりに単純化して比較することはできない。しかし日本は、金融システムの修復と財政出動によるチャレンジを機能させたのであり、米国も、銀行に働きかけるだけでなく、信用市場が健全な機能を営むよう他の多くの措置を講ずべきであるが、それは非常に複雑な課題でもある。
(注)G7=日米英独仏伊加 G20=G7・EU・アルゼンチン・オーストラリア・インドネシア・メキシコ・韓国・サウジアラビア・南アフリカ・トルコ・中国・インド・ブラジル・ロシア
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月19日日曜日

Innovation of Search Engine Technology in the Internet Society 

インターネット社会のイノベーションと検索技術
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  LSI企業合併
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  インドIT企業対日直接投資

  今後、インターネット社会のグローバルなイノベーションは、Cloud Computing(Saas+PaaS+HaaS)とMulti- Dimensional Search Engineの統合を基盤として実現してゆくものと、SANARI PATENTは考える。このうち「インターネット社会における検索技術」という視点から、特許庁の「特許出願動向から見た日本の技術競争力」(2009-04-15)の検索技術関係報告(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. 報告のポイント
1-1 検索技術の分野において、日米欧中韓への特許出願においては、米国勢(SANARI PATENT注:「勢」という用語は特許庁独特だが、「実質的に米国由来」と解しておけば良い )が最も高い出願件数シェアを有し、優位な状況にある。
1-2 日本勢は、米国勢の対日出願よりも多くの出願を米国に対して行っている。
1-3 米国勢は、日本への出願の約2. 5倍の件数を欧州に対して出願している。
1-4 米国勢からは、特にメディアデータ解析技術に関する出願が多いが、メディアの中で、画像・地理・地図データの解析技術については、日本勢が米国勢より多く出願している。
2 インターネット社会における検索技術
 インターネットを利用して検索式を入力することにより、情報を抽出する仕組みあって、インターネット上で流通する情報の中から収集した情報、またはインターネットを経由してアクセスできる情報を対象として、検索機能を実現する上で必要な技術(SANARI PATENT注:AND、OR、NOTのそれぞれ、またはそれらの組合せなど)をいう。
 
3.市場動向(Nielsen等の2008-4調査)
3-1 Google(米国)は、日本で31.3%、米国で63.0%、欧州で79.2%、中国で27.0%、韓国で1.7%のシェアを有している。
3-2 Yahoo(米国)は、日本で56.2%、米国で19. 6%、欧州で2. 0%、中国で2. 4%、韓国で4. 6%のシェアを有している。
3-3 Baidu(中国)が、中国で60.9%のシェアを有する。
3-4 Naver(韓国)が、韓国で72.1%のシェアを有する。
3-5 Daum(韓国)が、韓国で15.4%のシェアを有する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月18日土曜日

Eisai Co. Sign License Agreement for Urief for ASEAN Countries 

エーザイが経営戦略説明会(2009-04-17:ANA Intercontinentalにて)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  知財高裁審決取消判決(横浜ゴムの請求を認容)(2009-04-15判決)

 前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬として、ユリーフ(エーザイの商標)を常用している壮年・高齢者が著増しているとSANARI PATENTは推察するが、エーザイはユリーフのアセアン諸国、インド、スリランカにおけるライセンス契約締結について先日(2009-04-02)発表した。経済産業省がアセアン日本会合準備室を発足(2009-04-15)させたが(Sub Siteの2、04-15記事)、エーザイの新興国展開にも活用べきであろう。
 経済産業省といえば、同省はエーザイの内藤記念くすりの博物館を、近代化産業遺産に認定している(エーザイは2009-04-13発表)。
 これらの話題を掘り下げると、エーザイをめぐる知識の追求は限りないが、ここには標記の説明会の内容を要約するにとどめる。しかし、専門用語も多いので、野村証券・東洋経済の会社四季報のエーザイ紹介を先ず引用して、理解に資することとする。「エーザイの特色は神経系・消化器系に強み。認知症薬、抗潰瘍薬を世界展開。米国MGI買収でガン関連分野に注力。業績は堅調で、MGI買収で営業益約100億円上乗せ。海外比率62%」。

 昨日、内藤晴夫社長の1時間半にわたる説明によれば、売上高は2005年度6013億円、2008年度7800億円から2011年度1兆円を計画し、営業利益は各957億円、1225億円、2000億円としているが、「成長戦略については、一つの世界戦略では、もはや成長は望めない。日・米・欧・アジア、各々の地域特性に合わせた成長戦略が必要」と述べた。

 先ず国内について、売上高の国内比率は現在約43%であるが、4事業、すなわち、診断薬、一般用医薬品、医療用医薬品、ジェネリック(SANARI PATENT注:特許権期限後の後発医薬品)の全てにわたって、予防・疾病管理・最新治療の各段階に寄与し、日本における現代医療の流れの全てをカバーする戦略である。これは、Human Health CareがSelf Medicareを基盤として健康保険におけるジェネリック活用のグローバルな政策趨勢(医療経済)に即応すると共に先端医薬品の開発を並行させる戦略であって、わが国のみならず全世界の趨勢に適合するものと、SANARI PATENTは考える。

 米国事業については、MGIとの統合を軸として、ガン・クリティカルケア領域へのシフトを加速するとしている。また欧州事業については、欧州を一つの市場と捉え、地域本社(欧州ナレッジセンタ)に本部機能を集約し、高い効率性を確保するとしているが、これは他の大手製薬会社にも見られる方向性と、SANARI PATENTは考える。

 アジア成長戦略については、高成長を持続する新興国・中間所得層へのブランド品浸透を企図しているが、わが国の香港・中国旅行者にとっては、Tiger Baumの故事が想起されるのではないかと、SANARI PATENTは考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月17日金曜日

Foreign Direct Investment (METI Survey)

Concerns on Foreign Direct Investment Reported by METI(Apr.16) 平成20年度対日直接投資に関する外資系企業意識調査
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog  特許庁国際競争力報告
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat   APEC 議長国体制

1. 経済産業省(担当:貿易経済協力局貿易振興課)が標記報告を公表した(2009-04-17)。
1-1 日本経済の活性化に繋がる対日直接投資の呼び込み促進のため、日本に進出している外資系企業636社の投資環境。ビジネスの阻害要因た意識調査を行った。
1-2 併せて、日本経済の成長に資する外国企業・資本の進出事例を示した。
2 調査と報告書の概要
2-1 2008-01から2009-01にかけて、日本に進出している外資系企業2097社を対象としてアンケート形式で意識調査を実施し、636社から回答を得た。
2-2 今次世界不況の影響で、今後1~2年間の収支見通しについては、「良くなる」と回答した企業が大幅に減少し、全体として金融危機の影響が強く現れた。
2-3 親企業の意向を踏まえて、外資系企業が重視するアジアの国。地域は、「日本」と「中国」が大半を占めている。また、日本は「社会・政治の安定」、「有力な提携先がある」など、中国は「市場の拡大」、「生産コスト」などが評価されている。
2-4 日本については、ビジネス環境における阻害要因として、「ビジネスコストの高さ」がもっとも大きいと考えられている(SANARI PATENT考察: 今次経済不況による不動産価格などの低減傾向が、どの程度その緩和に寄与したか、中国なども同様傾向であるから、国際競争力としては同列でもあるが、エネルギーその他、コストへの政策配慮が十分に強調されるべきである)。
2-5 全体の約7割の外資系企業は、外資アレルギーがビジネスの阻害要因になっているとは感じていない。
3 外資系企業の進出事例
3-1 新たなビジネスモデルを日本市場にもたらした外資系企業 
3-2 対日直接投資の新たな潮流をもたらした外資系企業(アジア地域・サービス分野)
3-3 外国企業との積極的なアライアンスを活用した日本企業
3-4 日本企業との協働に取組む外資系企業   
(上記3の事例は、別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
2009-04-17ご参照)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
 

ラベル:

2009年4月16日木曜日

Sustainability of Bio Fuel Reported by METI 

資源庁「バイオ燃料持続可能性研究会」報告書
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

 化石燃料代替エネルギーとして、バイオ燃料の開発がグローバルに強調されたが、食料資源との競合、生態系への影響、原油価格の乱高下など、事業環境の変動に伴う問題点が多く、その持続可能性に関心が集中している。
 資源庁(担当:資源・燃料部政策課)の標記報告書(2009-04-14発表)は、この意味で極めて注目される。以下内容(SANARI PATENT要約)を考察する。

1. わが国におけるバイオ燃料の持続可能性
  持続可能な方法でバイオ燃料を導入するために、早期に持続可能性基準を策定し運用することが重要であり、その具体的検討に当たっては海外の動向を踏まえつつも、わが国特有のバイオ燃料形態に即した検討が必要である。ここでは、GHG(温室効果ガス:Greenhouse Gas)排出、土地利用、食料競合、供給安定性、その他の5項目に分けて、わが国における基準策定に際しての重要事項を整理し、今後取組むべき課題を抽出する。先ずその概要を記す。

1-1 GHG排出について: ブラジルからのサトウキビ輸入、東南アジアからのキャッサバ輸入、国産エタノール(多収量米、稲藁・籾殻)について、それぞれGHG排出削減率を試算した。土地利用の変化に伴う排出についても、IPCC(気候変動に関する政府間パネル:Intergovernmental Panel on Climate Change) ガイドライン等に準拠して算定した。その結果、EU指令と同レベルであるガソリン比35%削減の水準を満たすものは、一部のブラジルのサトウキビ(サバンナからの土地転換を除く)、一部の東南アジアのクアッサバ(草地および森林からの土地転換を除く)、一部の国産エタノール(残渣やリグニンを自家消費用燃料として活用したもの)に限られるという結果が得られた。

 バイオ燃料導入の政策主軸が温暖化対策である以上、同基準は重視すべきであり、今後は国産バイオ燃料、輸入バイオ燃料ともに実証データを収集・整理し、基準設定の検討や、制度運用を見据えた参考値の設定等を行う必要がある。土地利用の変化に伴うGHG排出についても重要視すべきであるが、基準年の設定方法や参考値の設定等については、国際的な基準と歩調を合わせつつも、わが国として最適な方法を検討し、国際的に主張してゆくことが必要である。

1-2(次回)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
 

ラベル:

2009年4月15日水曜日

Reduction of Donation Tax Discussed in Diet 

追加経済対策としての贈与税軽減について衆議院経済産業委員会(2009-04-03)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  Goldman Sachsの女性一万人計画
追加経済対策としての贈与税軽減案については、金持ち優遇などの批判が早くも出ているが、衆議院の経済産業委員会(標記)でも、「早くも」質疑応答されている。以下SANARI PATENT要約。

Q1 1500兆円のわが国個人金融資産の大半が、60歳以上の高齢者の所有と言われているが、高齢者が保有する金融資産の贈与を受ける子供が、住宅や自動車などを取得した場合に贈与税を減免するものと報道されている。
 経済産業大臣として、この贈与税優遇案についてどのように受けとめているのか、この策によって本当に日本の個人消費が回復すると思うのか。
A1 わが国の金融資産(SANARI PATENT注:ここでは「個人金融資産」の意味)1430兆円ということを言われておりますが、年代別には、60歳以上の方が多く保有していることは事実である。
 従って、生前贈与という形でこの資産を動かすことが、有効な政策手段の一つとして各方面から指摘されている。新たな需要を効果的に創り出してゆくために、与野党で十分話し合うことが大事である。

Q2 贈与税は、もともと相続税逃れの生前贈与を防ぐために創設されたと思うが、実際に今、相続税を払っている人は全死亡者数のうち4.2%という少数に過ぎない。残り96%の大多数にとって、相続税逃れの生前贈与をしようという動機は発生しない。
 そもそも高齢者の個人金融資産が消費に回らないのは、介護や年金、医療などの日本の社会保障が貧困で。将来不安が大きいからである。社会保障の抜本改革に手を付けず、贈与税優遇で消費を盛り上げようというのは、あまりにも小手先である。
 軽減措置は税制の不平等を拡大し、格差を拡大する。4%の富裕層が消費を引っ張るというが、百年に一度だからといって、何でもやってよいということにはならない。
A2 (時間切れで二階経済産業大臣の応答に至らなかった)。

SANARI PATENT所見
 高齢者の金融資産の大半は郵便局・銀行預金などとして預けられ、産業資金として活用可能な状態に在るのだから、それが景気回復に寄与しないのは、金融政策に起因し、高齢者の事情を論ずるのは筋違いである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月14日火曜日

METI Discloses Trouble on Nuclear Energy Power Generation 

「原子力発電所における焼鈍作業に係る記録改ざんへの対応」について経済産業省
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  知財高裁Walker商標判決

1. 標記について経済産業省は次のように発表した(2009-04-13)(SANARI PATENT要約)。
1-1 原子力安全・保安院(以下「当院」)(SANARI PATENT注:経済産業省のいわゆる外局)は、中部電力および中国電力より、日立製作所の調達先である日本工業検査株式会社(以下「日本工業検査」)が実施した浜岡原子力発電所5号機および島根原子力発電所3号機の配管における焼鈍作業(溶接後に溶接部を加熱し、その後、温度をゆっくり降下させる熱処理作業)の記録に、改ざんが確認された旨の報告を受けた。
1-2 日立製作所については平成9年に同様の記録改ざんが行われ、再発防止策が取られるとしていたにも関わらず、このような事案が確認されたことは誠に遺憾であり、当院は、本日(2009-04-13)、日立製作所等に対して厳重注意を行うと共に、このような事態が生じた根本原因分析と再発防止策について報告するよう指示した。
1-3 本件の経緯を以下に述べる。
1-3-1 本年3月、中国電力より当院に対し、建設中の島根原子力発電所3号機の配管について、日本工業検査が行った焼鈍作業が適切に行われず、焼鈍の記録に改ざんの可能性がある事案が1件確認されたとの情報提供があった。これは、中国電力が法令に基づいて実施した溶接事業者検査において発見したものであり、同社として焼鈍作業をやり直すこととしている。
1-3-2 これらを受け、日立製作所および電力各社において、日本工業検査による過去の焼鈍作業の記録を確認したところ、中部電力浜岡原子力発電所5号機においても、平成13年の焼鈍記録のうち1件に同様の改ざんが確認された旨の情報提供があった。
1-3-3 改ざんの態様は、焼鈍作業においては温度が所定の値より急速に下がらないよう管理することが求められるが、実際には下がったのに下がっていないように見せかけたものである。
1-3-4 安全への影響について、
1-3-4-1 建設中の島根3号機については、焼鈍作業を再度行う。
1-3-4-2 既設の浜岡5号機(定期検査で停止中)については、今後詳細に評価する。

ラベル:

2009年4月13日月曜日

Japan Brand Strategy (Soft Power Strategy) Announced

Japan Brand Strategy (Soft Power Strategy) Announced by IP Headquarters 「日本ブランド戦略」を内閣知財戦略本部・日本ブランド専門委員会が公表
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat
  
 内閣知財戦略本部はSoft Power 戦略としてブランドを強調しているが、SANARI PATENTは、Smart Powerの中核と位置づけ、Hillary米国国務長官と同調したい。

1 今次公表の性格(SANARI PATENTの見解)
  「日本ブランド戦略」と題し、「日本力」のデザイン表紙と「ソフトパワー)産業を成長の原動力に」を副題とするブランド戦略が、内閣知財戦略本部のコンテンツ・日本ブランド専門調査会によって、内閣知財事務局のサイトに公表された(2009-04-03付)。
 本来は、第3期・内閣知財基本計画の一部として、および、平成21年度の内閣知財推進計画の一環として構成し、両者の本部決定(総理以下全大臣が本部員)発表において公表されるべきものである。例年、全体の決定と公表が、年度開始後4月下旬になるのに先立って、ブランド戦略急務の観点から、専門調査会段階の発表にいたったものと解する。

2 表紙のデザインなど
 「日本ブランド戦略」の表紙は、上記専門調査会委員・宮田亮平東京芸大学長の著作で、「日本力」(にっぽんりょく)の文字を配しているが、その解説として、「日本が誇る『知力、感性力、人間力』を海を越え世界に」発信することを表現した」という。
 そこでこの戦略の冒頭に読み進むと、「1.総論」の「1.はじめに」が、「日本のアニメ、マンガ、ファッション等は、日本の文化的土壌の中で育まれてきたものであり、海が要でも高く評価されているにもかかわらず、日本人はこれらの持つ潜在力に必ずしも十分気づき評価してこなかった」と発想している。

3.戦略の内容(SANARI PATENT要約)
戦略1 ソフトパワー産業の振興
(1) ソフトパワー産業における中小企業支援策の活用の促進
(2) 地域ソフト資源の映像化を通じた地域ソフトパワー産業の育成
(3) コンテンツ関連技術の研究開発の促進によるイノベーションの創出
(4) デジタル・ネット環境の進展に伴うコンテンツ取引支援システムの構築
(5) 新しいメデォアを活用した新規サービス創出の促進
(6) ソフトパワー産業に係る基礎データの充実
戦略2 創造基盤の整備
(1) 文化資源のアーカイブ化の推進
(2) 若手クリエーターの育成
(3) 大学等における教育プログラムの充実
(4) 幼少期からの創造教育の推進
(5) 日本ブランドの海外への普及に貢献する人材の育成
(6) 文化発信に貢献した外国人などの顕彰制度の拡充
(7) 日本が誇る分野における表彰制度の充実(SANARI PATENT考察: ここでも「アニメ、マンガなど日本が誇る分野」と説明しており、日本の誇りの代表は何かを考えさせられる)。
(8) 農林水産品に対する地理的表示制度の導入
(9) 利用者の利便性を高めるための商標制度の見直し
(10) デザイン創作活動を促進する意匠制度の在り方の調査研究
戦略3 外に向けての発信力の強化
(1) コンテンツの海外展開の促進
(2) 流行発信地における販路拡大支援の強化
(3) サービス業の海外展開促進のための官民連携プラットフォームの設置
(4) 中小企業の海外展開に対する支援の充実
戦略4 訪日促進等を通じた認知度の向上
戦略5 推進体制の構築
(1) クリエータを中心とする懇談会の設置
(2) 官民構成の「日本ブランド戦略推進委員会」の設置
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月12日日曜日

Supporting the Regeneration of Small Companies 

中小企業再生支援の実績
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

Q2(承前2009-04-11記事) 中小企業の資金繰りという、その場しのぎの対策に追われているが、資金繰りを懸命に手当しても、中小企業のビジネスボリュームを増やさなければ前進しない。生産性を向上させ、中小企業の力をつけてゆくことが重要な課題である。その意味で、中小企業再生支援協議会の成果と課題について報告を求める。
A2 中小企業再生支援協議会のこれまでの成果は、平成15年2月に設置して同20年12月末までに16,526社から相談を受けた。その半数以上、8,805社については、経営改善あるいは資金繰りに関するアドバイス、関係機関の紹介ということで課題が解決されている。
 それから2次対応として、実際に再生計画の策定プロセスに進んだもので、これまでに1,971社について再生計画を策定している。破綻した場合のことを考えれば、約12万2718名の雇用が確保されたというように承知している。
 課題については3点、すなわち、金融機関の取組、スポンサーの参画、再生計画の策定促進である。金融機関の調整については、再生支援協議会でも、モデルとなる計画の策定、普及、あるいはその前提となる事業価値の評価の強化といった取組をしているし、スポンサーについては、中小企業基盤整備機構が中小企業再生ファンドの組成を支援して、あわせて、取引先や同業他社も含めて、こういったスポンサーとマッチングするような取組を支援協議会で行っている。
 仕組みの点について今回の産活法の改正において、いわゆる第2会社方式ということで、これは金融機関にとっては、債権放棄に係る手続がより容易であって、放棄に応じやすいというメリットがあるし、またスポンサーにとっても、想定外の債務のリスクが遮断できるというメリットがあるので、この第2会社方式による再生を促進するということで、今回、承継事業再生計画の認定制度を創設することとした。

SANARI PATENT所見
 中小企業の再生においては、適切な法技術の選択・活用がその成否を決定する場合がある。上記質疑応答において、「質問議員の地元の中小企業の中には、かっての債務をずっと引きずって、再生が容易でなかったが、第二会社方式により既存債務を切り離すことにより再生を果たした実例がある」と引用され、「ぜひ今次改正を活かして再生を加速させて欲しい」との要望が述べられた。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月11日土曜日

The House of Representatives Discusses Innovation Fund  

産業革新機構について衆議院経済産業委員会(2009-04-03)質疑応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  太陽光発電の民間構想

 今月初の衆議院経済産業委員会では、産業革新機構構想について次のように質疑応答された(SANARI PATENT要約)。

Q1 今次産活法改正による株式会社産業革新機構は、官民共同のファンドによって、長期リスクマネーの供給を通じて、企業や業種の壁を超えたオープンイノベーションの取組を推進し(SANARI PATENT考察:  オープンイノベーションはイノベーションの一つの態様であり、産業革新機構はこれを特に対象とするものではないから、「オープン」の用語部分は削除することが適当である)、持続的な経済成長を支える、新たな経済成長の芽を育んでゆこうということは、特に今、国際競争力強化の観点から公的な後押しをするニーズに応えるもので、高く評価する。
 このスキームでは、国からこの機構に対して2分の1の400億円の出資を予定している。今後これも総額2000億円規模の出資を目指すと説明されているが、多分、この制度設計をしたときと比べて、世界の経済情勢は大変悪くなっているおり、世界中が急速に信用収縮、またファンド資金の減少ということが進んでいるので、期待している民間出資がどれだけ確保できるか、大変難しいのではないか。
 私は、もう少し、政府としての出資金を増やすとか、資金調達に取組むべきであると考える。

A1 民間出資の見通しがしっかりと立っているわけではない。しかし、産業革新機構および、産業革新機構が出資する投資事業組合などに、民間出資を呼び込むことは、機構が規律ある投資を行うためにも大変重要である。
 従って産業革新機構が、分野別の投資事業組合に出資することなどによって関心のある分野ごとに民間が投資し易い仕組みとすること、また実績のある民間人材の活用により民間が信用し易い組織とすること、更に、民間資金にとっても魅力的な成長分野で案件組成を行うことにより、民間の投資意欲を高める。
 非常に厳しい状況の中であるから、経済産業省としては、わが国の成長の芽をしっかり育ててゆくことのために、今後とも財務当局と相談して、出資能力を強化する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月10日金曜日

Revision of Fair Trade Act and Foreign Exchange Act 

不正競争防止法と外為法の改正を参院経済産業委員会審議入り(2009-04-02)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

1. 二階経済産業大臣が趣旨説明
1-1 不正競争防止法改正案について:
1-1-1 わが国経済が知識集約型に移行する中で、事業者の経験や知恵の結晶である技術やノウハウ等の営業秘密は、競争力の源泉であり、その保護の重要性が高まっている。
1-1-2 ぉれまでわが国においては、不正競争防止法の改正によって営業秘密の保護を段階的に強化してきた。しかし昨今のグローバル化や情報化の進展により、営業秘密の侵害が容易になり、企業は瞬時にして致命的な損害を被る可能性に直面している。
1-1-3 その結果、営利や嫌がらせを目的とする営業秘密の開示行為や、従業員による機密情報の不正な持ち出しなど、現行制度では取締ることができない営業秘密の流出が相次いでいる(SANARI PATENT注:ここに「現行制度」は「不正競争防止法の」現行制度と解すべきである)。
1-1-4 このような状況を踏まえ、営業秘密の保護範囲を拡大し、事業者が保有する技術情報等のうち競争上重要なものの流出を防止することにより、事業者間の公正な競争を確保し、国際競争力を維持・強化すべく、今次改正法案を提出した。
1-1-5 この改正法案の要旨は、
1-1-5-1 営業秘密侵害罪が成立するために必要とされる目的について、その内容を拡大する。すなわち、これまで「不正の競争の目的」のものに限定していたのを変更して、営利目的や加害目的をもってなされた行為も処罰の対象に含める。
1-1-5-2 任務違反による営業秘密の不正な入手行為についても刑事罰を導入する。営業秘密を管理する者が、任務に違反して営業秘密が記録されている媒体を横領したり、無断で複製したりする行為などを新たに刑事罰の対象とする。

2 外国為替・外国貿易法の改正法案(SANARI PATENT要約)
2-1 わが国を始め主要国では、安全保障上機微な技術や貨物が国外に持ち出され、核開発等の懸念ある用途に用いられないよう輸出管理している。しかしながら、人の国際移動や情報化による技術取引の環境変化などにより、不正輸出の抑止と自主管理の強化が必要である。
2-2-1 今次改正により、わが国の居住者と非居住者間の取引のみを対象とする現行法を改め、居住者と非居住者の身分にかかわらず規制対象とする。
2-2-2 無許可輸出に対する罰則を強化する。
2-2-3 経済産業大臣の勧告・命令制度を新設する。
2-2-4 貸借取引を対象とする。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月9日木曜日

Revitalization Plan of Small Sized Enterprises 

産活法による中小企業事業再生の支援
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  知財活用の大臣賞

1-4-1-2(承前2009-04-08記事)事業者の資金調達の支援を強化する。金融危機により、事業者の資金調達が困難になりつつある。このため、産活法改正に基づいて計画の認定を受けた事業者に対し、融資や出資を行う金融機関の信用リスクを軽減する措置を講ずることにより、中小企業者の資金調達の円滑化を図る。
1-4-1-3 将来の成長の芽となる事業活動に対する支援を強化する。成長の著しい市場のニーズに対応してゆくためには(SANARI PATENT考察:「成長の著しい」市場の選択と集中が先ず課題である)、自社の経営資源のみならず、技術や知識など他社の経営資源も有効に組合わせてゆくことが重要になっている。また、金融危機により、リスクマネーの供給が大幅に落ち込んでいる。このため、株式会社・産業革新機構を通じて、このような事業活動に対して出資等の支援を行う体制を整備する。
1-4-1-4 中小企業の事業再生支援を強化する。経済情勢が著しく悪化する中で、雇用を始め地域経済を支える中小企業の再生は、重要な課題である。このため、財務状況が悪化している中小企業が、将来性のある事業を他の事業者に引き継ぎつつ再生する計画の認定制度を創設する。認定を受けた中小企業に対しては、営業に必要な許認可の承継や資金供給の円滑化のための措置を講ずる。あわせて、中小企業愛省支援協議会による支援体制を強化する。
1-4-2 鉱工業技術研究組合法、および、産業技術力強化法の改正
1-4-2-1 技術が高度化・複雑化する中で、鉱工業技術の分野に限らず、サービスを含む産業技術分野全般において、企業同士で協調して効率の良い研究開発と実用化を行う必要がある。このため、鉱工業技術研究組合法の技術範囲を拡大すると共に、技術研究組合の株式会社への組織変更を円滑にする措置等を講ずる。
1-4-2-2 産業技術総合研究所等による企業の研究開発の支援を充実するため、企業等との共同研究成果を産業技術総合研究所等が継承した場合の特許料の特例措置など所要の措置を講ずる。

 衆議院経済産業委員会は、上記に続いて参考人から意見聴取(2009-03-27)したが、その内容は次回。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月8日水曜日

Act for the Innovation of Industrial Activities 

我が国における産業活動の革新等を図るための、産業活力再生特別措置法等の一部改正法案
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  ダイマジックに知財大臣賞

1 産活法と略称
 標記の「我が国」から始まる長い題名の法案が、衆議院経済産業委員会で趣旨説明され(2009-03-25)、審議入りした。経済産業省では産活法と略称しているが、先ずその提案理由と趣旨を、二階経済産業大臣の説明(SANARI PATENT要約)により考察する。
1-1 現在、世界的な 資源価格の不安定化や金融危機など、国際経済の急激かつ構造的な変化が起こっており、わが国の経済雇用情勢も急速に悪化しつつある(SANARI PATENT考察: BRICs諸国において若干内需好転の兆しが報道されているが、わが国の経済情勢については、今後「悪化する」と日銀総裁が述べた(2009-04-07))。このため、現下の経済情勢への緊急対応として、中小・小規模企業の資金繰り支援や当面の雇用対策といったセーフティネットを整備しているところである。

1-2 しかし、この危機を乗り越え、わが国経済が持続的に発展するためには、あわせて、資源や資金、知的財産や技術などの経営資源の一層効果的、効率的な活用を促進し、わが国における産業活動の革新を図ることが必要である。これにより、現下の経済情勢のもとでの雇用を下支えすると共に、将来に向けた雇用を創出するため、この法案を提出した。
1-3 これらの措置は、昨年9月に閣議決定した新経済成長戦略改定版を実行に移すためのものである。

1-4 この法案の要旨は、
1-4-1 産業活力再生特別措置法の一部改正
1-4-1-1 事業者の資源生産性の向上を支援する。資源価格が不安定な今日、わが国産業がこれに左右されにくいよう、体質を強化することが必要である。このため、事業者がみずからの資源生産性を向上させるための計画や、資源制約のもとで新たな市場の開拓が見込まれる製品を生産する計画の認定制度を創設する。認定を受けた事業者に対して、設備投資や組織再編等に対する支援措置を講ずる。
1-4-1-2 (以下次回)
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月7日火曜日

METI Minister Answers to METI Press Club 

二階経済産業大臣の対記者説明・応答(2009-04-06最終更新記録): G20、北朝鮮、西松建設等
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

1 G20の成果(SANARI PATENT要約)
  G20は一応の成果を収めたということで、この会合における総理の発言に対して、閣僚も期待している。
 経済産業大臣としては、WTO担当の立場から、現下の経済情勢のもとで、自由貿易体制を堅持するためには、いささかでもこれを後退させることがあってはならないので、この点について今次G20で意見の一致を見たことは非常に評価できる。

2 北朝鮮への対応(同上)
  経済制裁については、直ちに対応できるよう措置している。

3 西松建設問題
Q 西松建設の関連で、一部報道で、9年間に関西新風会の事務所費を2500万円補填していたという報道があったが、以前から、関係者から説明を受けるとの応答であったが、今のところ、説明は受けたか。
A ときどき断続的に聞いているが、われわれは朝から晩までこれにかかわって、ずっと聞いているというわけにもゆかないので、そのうちにそうしたことは、きっちと聞きたいと思っているが、今のところは細かく私が承知しているわけではない。われわれはあくまでも、政治資金規正法に照らして、きっちと報告しているという報告をかねて受けていること、私はそれを信頼している。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月6日月曜日

Regenerating Industrial Vitality

 産業活力再生特別措置法について経済産業事務次官応答
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

 産活法について国会審議中だが、経済産業省記者会見(2009-04-02)における望月事務次官の応答を要約する。

Q1 国会では、「産活法で、出資による損失を補填する場合にも、その要件は大臣告示ではなく、法律に明定すべきであるとの意見が相次いでいるが、所見はどうか。
A1 およそ法律が有効に機能するためには、法律自体に明定すべき事項と、下位法令に委ねるべき部分があると考える。この見地から、産活法における出資についての大きな考え方は法律中に明定し、運用の予測を可能にすべきであるが、今次提出法には、そのような事項は明定されていると考える。
 具体的にどのような場合を想定して政策対象を考えるかについては、更に詰めた上で、詳細を下位法令で明らかにし、運用を開始することとなる。

Q2 まだ国会審議中ではあるが、実際、具体的に出資の時期は、早くて何時ごろと想定しているか。また、革新機構の仕組みも定めているが、革新機構が実際動き出すのは何時ごろになるか。
A2 緊急時対応的出資については、法律成立後できるだけ早く実行できるようにしなければならない。革新機構については、組織体制を創るために少し時間を要する。しかし、ニーズがあるので、可及的速やかに、数カ月以内にと考えるが、有能な人材を集める必要もあり、最低限、数か月オーダーで時間を要すると考える。具体的なタマになり得るような対象を、事務方では探して詰めているが、組織づくりは数か月かかる。

Q3 企業再生を担う公的組織について、どのような考え方か。
A3 今次産活法による組織は、バブル崩壊後の、雇用など3つの過剰を解消することを目的としている。その中で特に、債務の過剰をある程度劇的に処理するためには、それを調整する、ある種の機構が必要である。今次経済危機に対応する観点からは、むしろバブルによって生じた債務ではなく、売上減少によってその企業が困難に直面しているのであるから、このような面から言えば、過剰債務を先ず切るという対応を中心にする必要は必ずしもなく、着想が若干異なると考える。
 自己資本の毀損に対する所要の措置、緊急時の融資などの観点から、再生法の中でも政策投資銀行を活用する融資、さらに前向きに技術革新しながら企業再編する観点からは、革新機構の活用が想定される。

SANARI PATENT所見
 革新機構が「New Deal+Innovation」の機構であることを期待する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月5日日曜日

G20 Materials Presented by Japan Prime Minister 

今次G20で麻生総理が使用した資料等について望月経済産業事務次官説明
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat

1 標記説明(経済産業省記者会見2009-04-02にて)
1-1 総理用の資料は二つあるが、一つは今次G20で、わが国の貿易金融支援について表明するものである。世界的な信用収縮で、貿易金融の円滑な供給に大きな影響が及んでおり、各国の関係機関がそれぞれの機能を最大限発揮して、途上国の貿易金融の円滑化に貢献する必要がある。このためG20各国は、輸出信用機関や国際開発金融機関等を通じた貿易金融支援を行うことに合意する見込みのもとに、わが国の役割分担に関する資料を出した。
1-2 その内容は通常、年間900億ドル程度の貿易金融支援を行っているところ、追加的支援として、2年間で総額220億ドル規模の支援を表明する。具体的には、NEXI(日本貿易保険)については、バンクローンの活用や債権流動などの対策も講じながら、短期の貿易の引受強化によって、今後2年間で少なくとも100億円の追加的支援を行うとしている。
1-3 もう一つは、アジア向けに2兆円のODA拠出を表明するものである。現下の世界経済情勢でこの危機を脱するためには、途上国に対する支援が極めて重要であり、既に本年1月のダボス会議において総理は、アジアに対して1兆5000億円、170億ドル相当以上のODA支援を表明しているが、今次G20においては、アジアが開かれた成長センターとして世界お成長に貢献できるよう、日本がアジア支援で積極的な役割を果たすために、1月のダボス会議で表明した貢献策を拡充して、最大2兆円、200億ドル相当の規模のODAを拠出する旨を発表したものである。

SANARI PATENT所見
 記者団から、「アジア向けのODAは、主にどういう分野を支援する考えか」と質問があり、望月事務次官は、「環境とインフラについての支援」および「緊急財政支援の円借款」の2種類であると答えている。佐成重範弁理士はJTEC(電気通信放送分野のODA援助事業実施機構)の専務理事を8年余勤めた経験があるが、環境・電気通信放送等のインフラに関するODAは、相手国の持続的成長の基盤をなすものであり、危機対策を超える大きな意義を有するものと考える。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
 

ラベル:

2009年4月4日土曜日

Functions of Convenience Store in the Local Society 

コンビニの社会インフラ機能に対する行政支援の可能性
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  

5(承前2009-04-03記事)「社会インフラ」の定義
「社会インフラ」という言葉は様々な使い方をされているので、この研究会では、その定義を定めた上で議論を進めるべきである(SANARI PATENT考察: このような意見を持つ委員が、政府の各種委員会で多いと思われるが、経済産業省の諸委員会、また内閣知財戦略本部を見ても、定義を定めずに概念構成が自成するのに委ねている場合が多い。例えば内閣知財戦略本部の「コンテンツ」)。

6 店舗経営者の意見
 この研究会において、コンビニ本部のみならず、加盟店の意見を聴き、店舗運営上の問題を調べるべきである(SANARI PATENT考察: 当り前のことである)。
7 コンビニにおける地球温暖化対策(経済産業省)
 他業種・他業態に比べて消費者に近いコンビニが、温暖化対策の先進的な取組をすれば、消費者の意識啓発効果は大きい。環境に関しては業界全体で議論する場があり、意見交換や各社間の協力は可能である。初期投資のかさむ環境に対する取組は各社で協同するのに適するテーマである。
 現時点で投資コストを回収できない、最新の省エネ機器についても、業界全体で導入を促進していれば、コストを改善できる。そうすれば、コンビニ以外の業種にも波及効果がある。
 コンビニの環境への影響は、とかくイメージで語られ易いので、詳しいデータにに基づいて議論すべきである。

8 コンビニにおける安全安心・防犯対策
 タバコ・酒類の販売時の年齢確認について、客と従業員の間でトラブルが生じている。個々の店舗の取組のみでは解決できないため、身分証明書の提示をルール化してはどうか。また、このような業界の取組を支援することが行政の役割として重要である。
 コンビニが地域の防犯拠点として、深夜の女性の駆け込みや、強盗対策に取組んでゆく上で、コンビニの自主防犯対策が必要である。また、警察とのホットライン構築や防犯カメラ映像の警察への提供等の協力強化が必要である。

9 食品ロスの削減
 加盟店の協力による発注精度の向上によって食品ロスを抑制している。が、廃棄物処理のルールが制約となって効率化できない。リサイクル施設の共有化などを検討すべきである。

SANARI PATENT所見
 2009-03-03最終更新の資料であるが、このような事項まで中央官庁が計画しなければならないのか、コンビニ業界の自治能力はもっと強固で、行政の心配し過ぎではないかと思う。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)   

ラベル:

2009年4月3日金曜日

Convenience Store As Social Infrastructure 

経済産業省「社会インフラとしてのコンビニの在り方研究会」(2009-04-09予定)
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  知財人材の小中一貫教育

 経済産業省(担当:商務情報政策局商務流通グル-プ流通政策課)が昨年末に、この研究会を設立し、下記要約のような検討を経て、来週9日に中間的報告案を作成する。

1. コンビニの役割
 コンビニには、社会インフラとしての機能が期待されており、その期待を認識した上でコンビニの在り方を考える必要がある。コンビニには、環境問題への取組を他の業種や一般家庭に普及させてゆくリーダー的な役割がある。また、食の安全や地域経済活性化にも積極的に取組んでいる。

2. コンビニの街づくりへの貢献
 地方商店街の活性化が重要であり、その機能の担い手としてコンビニの役割が注目される。地域貢献の方法については様々な考え方があり、検討を要する。

3. コンビニは営利を目的とする民間企業であるという前提
 公的機関ができないことをコンビニが引き受けるという発想には無理がある。コンビニはそこまで負担できないので、結果として、不完全なサービス提供により顧客に迷惑を及ぼす。
 収納代行等、コンビニが提供するサービスについては、加盟店の経営者から、「十分な対価が得られていない」との声が寄せられている状況にある(SANARI PATENT考察: この業務は、代金振込による通販事業と密接に関連し、物流合理化の見地から極めて重要な課題である)。
行政料金の収納代行は、行政サービスの一部をコンビニにアウトソースするのだから、その費用を行政は適切に負担すべきである。

4. コンビニ業界として取組むべき課題
 コンビニの社会インフラとしての取組については、業界として共同で取組むべき課題と、各社が独自に取組むべき課題を整理すべきである。その際、利用者が店舗を選択できるサービスであるかどうかという点を考慮し、深夜の駆け込み寺のように、店舗を選択できないものについては、業界が共同で取組むと考えるべきである。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月2日木曜日

SSP Co.Contributes to CHC(Consumer Health Care)

SSP(Science and Society Pharmaceutical Co.) Contributes to CHC(Consumer Health Care) 改正薬事法施行(2009-06)を契機としてエスエス製薬の健康寄与拡大
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  Tesla MotorsのAuto-PC

 エスエス製薬(東証1部)の今次事業報告(2008-01-01~2008-12-31)が届いた。「継続的な成長戦略のもと、大幅な増益を達成できました」、「成長への基盤を確立しました」、「持続可能な高収益をもたらす体質改善と成長の2段階アプローチ」など、大衆薬大手として意気旺盛であるが、生活者の健康自己管理(Consumer Health Care)を支援するOTH医薬品(一般用医薬品)事業の増強は、地域格差なく国民の健康保全による生産性の維持向上に貢献し、医療費・介護費の合理化に寄与するものとして、その活用を促すこと(医師投与薬入手価格との差の縮小など)は、現下の経済危機対策の見地からも、高く評価すべきであると考える。

 医療保険における後発医薬品の使用比率増加と、上記OTH医薬品の販売体制増強は、国民の疾病・医薬品知識の涵養と相まって、国民医療費の節減と生活者の生産性向上の要めをなすものである。優秀な医師に適時接触できる居住地を得ることが最も望ましいことは勿論であるが、GDP世界2位のわが国ですら、これに遠い現状であることを率直に認識した政策を推進すべきである。

 エスエス製薬は、「2009年6月施行予定の薬事法改正により、の販売の在り方は大きく変化します」として、今次報告に次のように述べている。
1. OTC医薬品は、含有成分の安全性評価の観点から、次のように3分類される。
1-1 第1類医薬品: OTC医薬品として最も先進性があるが、安全性の観点から専門的知識・注意を要するもの。
1-2 第2類医薬品: 安全性の観点から注意を要するもの。特に注意を要するものを指定第2類医薬品とする。解熱鎮痛薬など。
1-3 第3類医薬品: 安全性の観点から、多少注意を要するもの。ビタミン剤など。
2 各分類ごとに、薬剤師または登録販売者が情報提供・相談対応する。
3 諸品パッケージ等に分類表示する。

SANARI PATENT所見
 ケータイを含めてインターネットによるQ&Aで医薬使用の指導をキメ細かく、必要に応じ動画も用いて、できる時代になった。エスエス製薬の例えばドリエルについて、「病院処方の睡眠薬との違い」「効果発現の所要時間」「晩酌の可否」「妊娠中の服用の可否」「医師処方薬に代替させることの可否」など、薬剤師の説明を補完するものであるが、その活用は生活者各自の健康価値認識のいかんに依存する。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

2009年4月1日水曜日

Auto Industry of NAGOYA Observed by METI Vice Minister 

望月経済産業事務次官の名古屋視察報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Sub Site http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  家庭用ゲーム機は活況

 経済産業事務次官の名古屋出張における所見について、記者会見(2009-03-30)質問は、
「自動車産業について、先ず足元の状況と今後の見通しについて、どのような認識か。関連して、政策面でハイブリッド車等の次世代自動車への買換えに、国の補助制度を作ってくれという希望が強いが、どう考えるか。」

A1 中部地方は、日本経済の長期安定成長時期においては突出して非常に良かった地域で、それが今回の世界経済危機の中で、逆にダメージが最大という、落差が大きい地域であるので、現地で情勢を視聴できたことは大変参考になった。
 特に自動車産業は裾野が広いというのは常識だったが、現実に4割ぐらいの減産が行われて見ると、想像よりも遥かに裾野が広く、部品・素材まで考えると、直ちにイメージしないような産業まで含めて、実は自動車産業に物をサプライしていたのだということを、改めて驚きと共に受け止めた。

A2 そこで今後の在り方についても、専門の方々と意見を交換したが、世界の金融恐慌が起こる前に期待されていた世界の自動車需要という観点から見ると、今後仮に今の瞬間的な過剰在庫が大幅減産によって解消されたとしても、旧来の需要に直ちに戻ることはないと思う。従って、現在4割、5割の大減産を行うことにより、その効果として、日本国内においても、今の生産に見合った在庫、いわば適正在庫に数カ月以内には戻ってくるだろうという予測は勿論あるが、その水準になった後、巡航速度としては、例えば昨年の自動車生産に比べて2割、3割低い生産をもって航行せざるを得ないという見方が多いと思う。
 そうであるとすると、この裾野の幅の広い産業が一応底を打ったとしても、かなり低いレベルで今後推移しなければならないということだと思う。

A3 上述の観点から、今次経済金融危機は、米国発ではあるが、そのもたらした影響は、日本経済のものづくりの現場でもかなり厳しいダメージを与えていると思う。今後の経済対策においては、需要に対する刺激策をも真剣に考えなければならない。刺激の与え方としては、三段ロケットの考え方で、今後の成長の基礎としてふさわしい対策という見地から、低炭素化に繋げることも考えられる。税制措置でも具体化されよう。

SANARI PATENT所見
 A2のような生産規模を前提とする雇用規模等の構造政策を、経済産業省の産業構造審議会で早期に検討することが望まれる。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル: