2009年4月28日火曜日

MOF and METI Reports on WTO Decision concerning USA Zeroing

米国のアンチ・ダンピング手続(ゼロイング)に関するWTO報告
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
Hub Site http://sanaripatent.blogspot.com/
Sub Site http://plaza.rakuten.co.jp/manepat  産業革新機構への期待

 世界経済不況の回復に際して、保護主義抑制と国内産業育成との調和がG7、G20の協調課題とされているが、関連事項として、外務省と経済産業省は相次いで「米国のアンチ・ダンピング手続(ゼロイング)に関するWTO履行確認パネルの最終報告について」発表した(経済産業省2008-04-24付、外務省04-25付)。外務省の発表の解説が、国民向けに懇切である。以下SANARI PATENT要約。

1. 日本企業の輸出品に対する米国の「ゼロイング」方式に基づくアンチ・ダンピング課税については、WTOにおいて協定違反が既に確定しているところであるが、日本は、米国が是正期限までに必要な措置を採らなかったと判断し、昨年4月、改めてWTOに提訴した。
2. アンチ・ダンピング課税は、輸出価格と、輸出国の国内価格等の正常価格とを比較して、輸出価格が正常価格よりも低い場合に、これを不当な廉価として、その差額(ダンピング・マージン)について関税を課するものである。米国は、従来から、1年間の平均のダンピング・マージンを計算する際に、輸出価格が日本国内価格より高い場合(ダンピング・マージンがマイナスの場合)の価格差を、マイナスではなくゼロとみなすことで、税率を不当に高くする手法(ゼロイング)を用いている。
3. 日本は、米国のゼロイング方式自体とその実際の適用がWTO協定に違反するとしてWTOに申し立ててきた。
4. WTOの履行パネルは、WTO勧告の実施状況について当事国間で見解の相違がある」場合に、勧告実施の有無等について判断するために設置されたパネルであるが、同パネルは、米国が是正勧告を履行しておらず、また、履行のために採られた措置はWTO非整合であり、WTO協定に違反していると認定した。

SANARI PATENT所見
 米国のゼロイング方式がWTO協定違反であるとして問題とされた時点は、今次金融危機顕在化に先立つが、米国がゼロイングを廃止した場合にはアンチダンピング税率は大幅に下がると考えられている。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム