2012年2月29日水曜日

マネーテク(MT)の内容究明と新活用の創出を提唱する

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リーマンショックは金融工学誤信の結果だったが、わが国独特のAIJ問題もファンド運用技術誤用誤信の結果であって、マネーテクに対する理解の未熟が目立っている。反面、マネー運用技術に関する精確な知識知見の重要性を、徹底的に再認識させることとなろう(マネー蒸発責任帰属の分散も含めて)。
工学の語は、「実用には懸隔あり」「効用現出の確実性」「多目的応用性」などの多様な側面を持つが、テク(テクノロジー)は純技術であって、特にマネーテクは、産業にも生活者にも、生死決定的な緊要性を持つ。東京センチュリーリースの説明会(C Site2012-02-28)資料は、マネーテクの対企業側面について、有益な情報を提供するものであった。
上記資料は例えば「リース利用の企業メリット(資金面・管理面)」を次のように解説している(SANARI PATENT要約)。
1. 設備導入時に、多額の資金が不要である(購入費用の一括払いに対して、リース料により、リース期間で均等支払い)。
2. 事務管理の省力化(購入による導入は、導入後の管理に負担が大だが、リースによれば固定資産税の申告・納付が不要、動産総合保険の付保・保険料支払い不要、廃棄不要など)
3. コスト把握の容易性
4. 設備の使用予定に合わせたリース期間の設定
5. リース会社にとっても、一般的な融資と比べて、貸倒れ発生時の債権回収率が高い。
特にマネーテク独自的な強みとしてSANARI PATENTの理解するところは、
1. ファイナンス事業と海外事業の強化で利益成長→母体銀行・総合商社の内外金融・為替取引機能に由来するマネーテク創出
2. 現下金融環境の、リース資金調達にとっての有利性→金融環境変化活用のマネーテク創出
3. 母体由来知財によるソリューション型ファイナンス→付加価値マネーテクの創出(不動産・自動車・船舶・航空機分野)、などである。
佐成重範弁理士所見→不動産・動産ともシェア所有・利用とその多様性・可変性が進むので、これとの関連でリースのマネーテクが更に新たに開発されると共に、企業集団の海外展開を支持するマネーテクの発揮を、東京センチュリーリース等が先鞭するよう期待する。
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2012年2月28日火曜日

エルピーダメモリの会社更生手続開始を契機としてコスト政策の見直し必須

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エルピーダメモリが「会社更生手続開始の申し立てに関するお知らせ」と題して次のように発表した(2012-02-27)(SANARI PATENT要約)。
1. エルピーダメモリは、2012-02-27開催の取締役会において、会社更生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地裁にその申立てを行った。この申立ては同日受理され、直ちに東京地裁から、弁済禁止等の保全処分命令、強制執行等に係る包括的禁止命令、監督命令兼調査命令が発令された。
2. 同時に、エルピーダメモリの連結子会社・秋田エルピーダメモリについても、会社更生手続開始の申立てを行っている。
3. 監督圏調査委員には、土岐 敦弁護士が選任されたので、エルピーダメモリは、同弁護士の監督のもと、役職員一丸となって会社事業の再建に尽力する。
4. エルピーダメモリは、1999-12に、国内唯一のDRAM専業会社として設立され、2000-04から製品の開発事業を開始した。その後エルピーダメモリは、国外における営業拠点法人の設立、国内外における販売事業の開始・他企業との間におけるエルピーダメモリへの事業承継・事業提携・子会社を通ずる広島工場における製造事業の開始等により事業を拡大し、2003-03以降は国内唯一のGRAM事業会社となった。また、2004-11には東証1部の上場し、事業を展開してきた。
5. しかしながら、パソコン出荷台数や、一台当たりDRAM搭載容量の増加による需要拡大期待を背景に、DRAM業界において、2006~2997にかけて積極的な設備投資による製造能力増強が行われた結果、供給が需要を大幅に上回り、2007年初頭から、DRAM価格は急落し、その後、需給バランスが改善されないまま、2008年秋に始まった世界経済環境悪化による製品需要の大幅減少の影響により、DRAM価格は更に下落した。
6. エルピーダメモリは、2009-06、世界においてもトップクラスのDRAMの開発・設計技術を有することが評価され、経済産業省から、「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法」に基いて事業再構築計画の認定を受けた。
佐成重範弁理士所見→技術優位のみならず、コスト・価格優位であることが国際競争生残の必須要件であり、企業戦略と政府政策の全てを、コスト・価格低減に集中すべきである。
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2012年2月27日月曜日

パナソニックとハイアール、白物家電の世界市場帰趨









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日経業界地図2012版の「業界動向網羅」と、ダイヤモンド世界マップ2012版の「一目でわかるグローバル企業の動き」を併用すれば、何でも分りそうだが、それほど簡単ではない。NHKTV(2012-02-27)が白物家電についてパナソニックとハイアールを対照的に放映したことは、「何でも分る」ことは、ない、ということだ。例えば日経業界地図は日本企業地図だから、白物家電の項目で日立・東芝・三菱電機・パナソニック・三洋電機。シャープの順に売上高(2010)を示しているが、この売上高は全社連結だし、パナソニックの6兆6927億円と三洋電機の1兆4895億円の合算8兆1822億円は、日立8兆3158億円と肩を並べる。中国のTCL集団・広東美的電器・米国キャリア・中国珠海格力電器・米国トレーン・中国海爾集団(ハイアール)、中国江蘇小天鶼集団(リトルスワン)スエーデンエレクトロラックスについては日本企業との連携関係が表示されている。一方、世界マップは、「総合電機」括っているので、韓国サムスン電子・日立・パナソニック・台湾鴻海精密工業・シーメンス・ソニー・東芝・富士通・韓国LGエレクトロニクス・三菱電機と、売上高序列している。
一方、NHKは、白物家電の日本市場進出展開に、ハイアールが実力と意欲を高揚している現状と趨勢を示唆し(日本白物家電量販店におけるハイアール製品引用写真下)、パナソニックが業容急変して、2011-04~12利益が、テレビ等・327億円赤字、電子部品等・173億円赤字に対して白物家電786億円黒字で(パナソニック関係引用写上)、同社社長の「白物家電に業容再建を託する」当面志向の発言を放映した。


佐成重範弁理士宅では、パナソニックのホームベーカリーとオーブントースターの最新製品と、ビッグカメラ新宿西口店で並展の日清製粉各種パン製造材料セットを、昨日購入、出来上がり高級美味だが、パナソニックは、白物家電でも、「まとめ売り」(関連商品一括提供)などの顧客利便ビジネスを開発急進と期待している。
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「子育て」の日中比較で、日本企業劣勢化の遠因を見る

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経済産業省は今、国内の企業空洞化や内需不足を潜在需要の喚起で補い、国際競争力の劣化を知財振興で反転使用としている。しかし、その原案を見ると、中国や韓国との総合的優劣においても、もっと根源的に深耕すべき課題があるというのが、佐成重範弁理士の見解である。
例えば原案の「社会における子育て支援」について見よう。その要旨は、「子供・子育て新システムの実現により、保育サービスの質的・量的拡充。2020年までに施設型保育サービスの国内市場規模は4.9兆円に拡大するが、利用者の多様なニーズへの対応を実現するため、学校法人・社会福祉法人とのイコールフッティングにより、株式会社等の多様な主体の参入促進を図る。」というものである。
ここには、日本の子育て対策がいかに国費公費依存と縄張り法制拘束的かが示されており、タイムリーな成果を挙げるとも、国際競争力上に有利とも、ほとんど考えられない。東洋経済誌(01-28)の中国・陣言ジャーナリストが「中国にベビーブーム到来?」と題して実情報告しているのを見ると、中国の一人っ子政策の弊害は機敏に、例外規定である「一人っ子同士の夫婦は、二人の子供を作ることを認める」ことが大活用され、「これまでは、一人だけの孫をめぐって双方の両親に余分な気遣いが必要だったが、これでバランスが採れる、と若夫婦は安堵して、それぞれ各一人の孫を各両親に預け、両親は大満足」ということだ。夫婦とも職域に励み世帯収入や老後設計を自立的に考えている、と佐成重範弁理士は羨望的にすらなるが、国の政策の遅滞や財政負担・立法渋滞の日本と正反対の即時性で、絆も濃厚にしつつ中国の経済発展を支えていると思う。
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2012年2月26日日曜日

「攻め」の空洞化対策で新産業分野を創出

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38.(承C Site2012-02-25)「攻め」の空洞化対策により、新産業分野を創出、新付加価値を創造し、「拡大する経済」に転換する。
38-1 潜在内需を掘り起こす新産業の創出→支援の新たなな枠組みとして税・金融・規制緩和の政策メニューを新産業分野に集中投入し、特に社会的規制を見直す(SANARI PATENT注: 何が社会的規制か、不明)。
38-2 グローバル需要の取込み→インフラ輸出やクールジャパン等の海外市場開拓、経済連携等によるグローバルなルール作り、海外収益の還流、中小企業の海外展開支援(SANARI PATENT考察: 空洞化をおせれつつも、一方でこのよに、海外展開の支援や海外収益の還流を志向しており、適切な志向である。)
38-3 イノベーション→未来開拓技術開発、アジア拠点化の推進、IT融合による新産業創出
38-4 中小企業の潜在力・底力の発揮→中小企業の海外展開支援、中小ものづくり技術の強化継承、中小・ベンチャー企業の創業促進
38-5 国民の貴重な金融資産の効果的活用促進→円高メリットを活用して海外M and A促進と資源権益確保、年金基金等からリスクマネーを供給
38-6 産業構造転換を支える人材育成→グローバル人材・中間層の育成・就職改革、雇用のミウマッチ解消の職業訓練拡大、新産業分野に適する柔軟な働き方の実現
39. 産業ごとの雇用誘発効果(生産が10億円増加した場合の雇用増加)うぃ見ると、ヘルスケア産業は、雇用効果は高いが波及効果が少なく、新エネルギー産業や高付加価値分野は、波及効果が大きいが雇用創出力は低いから、両者を共に伸ばすことが重要である。
40.潜在需要を開拓するイノベーションの重要性→
40-1 2000年代は、液晶テレビやデジカメなど画期的用品の登場で、飽和していた内需が活性化された。
40-2 1999年にビタミン含有保健剤のドリンク剤の一般小売店販売が解禁され、潜在需要が喚起された。
40-3 人口減少・少子高齢者社会では、元気な高齢者や働く女性向けの新たな製品・サービスなど、新たなな潜在需要が拡大した。
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2012年2月25日土曜日

「将来円安になっても容易に国内に戻ってこない」の「将来」が来たか?

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新産業構造立案の経済産業省資料に「「将来円安にあっても容易に国内に戻ってこないおおれ」と題する章があったが、その「将来円安」が今、やって来たのか。これからの推移に俟つが、経済産業省の論旨(SANARI PATENT考察: 東大大学院・伊藤元重教授との合作と解する)は、「急激な円高により国内中核企業が海外シフトした場合、将来、円高が是正されたとしても、再び国内で、産業集積のメリットを取り戻すことは難しくなること」「例えば、阪神大震災時には、神戸市に集積していたケミカルシューズの生産拠点が他地域に移転し、大震災後も以前の水準を回復しなかった」と述べている。(SANARI PATENT考察:「国内移転の例を示しているので、なんとなく違和感があるが。)そして、「2015年以降、貿易赤字構造に転換するおそれ」と書き加えている。(SANARI PATENT考察:今次貿易赤字が構造的になるのか、すこぶる疑問。)
29. (承C Site2012-02-24) 貿易収支の対GDP比の低下傾向は、産業の中間投入における輸入物品の増加(素材・部品産業の空洞化=製造業の付加価値の低下)が原因の一つとして考えられる。円高による国内生産のコストダウン要請から、海外調達が拡大し、素材部品産業の空洞化が更に進行するおそれがある。
30. 原発が当面再稼働できない場合、2012-05まで火力発電比率が上昇し、火力代替に伴う燃料輸入の増加で、貿易赤字が定着する。
31. 空洞化によるマクロ経済への悪影響で、ISバランス(SANARI PATENT注: Investment Savings Balance)が2010年代後半に赤字化するおそれがある。
32. また、2020年頃に、日本国債の国内消化が限界に達するおそれがある。現在、国債等残高の75%を個人の金融資産が消化し、残り25%を政府部門・中央銀行・海外が消化している。2020年頃には、政府の債務残高の75%が個人の純金融資産を超過し、日本国債の国内消化が限界に達するおそれがある。
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2012年2月24日金曜日

「製造業」対「非製造業」、一人当たり付加価値の増減背反

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提言の当否は別として、産業構造審議会い新産業部会の資料は、「考える」材料を提供している。
21.(承C Site2012-02-23)企業が生み出す一人当たり付加価値の推移を見ると、製造業の付加価値は穏やかに増加する一方、非製造業の付加価値は90年代以降低下している。この考察は、財務省の法人企業統計に基いて、付加価値額は、営業純益・役員給与・役員賞与・従業員給与・従業員賞与・福利厚生費・支払利息等・動産不動産賃借料・租税公課の合計額であって、一人当たり付加価値額は、付加価値額を従業員数で除して算出している。 わが国における一人当たり付加価値額は、1980年の製造業490万円、非製造業440万円から、1990年の各735万円・720万円まで共に上昇したが、2010年には760万円・640万円と開いている(SANARI PATENT要約)。
21. 我慢の経営の限界の、別の局面として、「借入金返済と国内投資の低迷」を見る。1998年以降、企業は借入金返済を優先する一方、期待成長率の低迷や、デフレによる実質金利の高止まり等を背景として、国内投資を抑制する「守りの企業経営」に入り、国内の潜在需要を開拓するための投資不足をもたらしている。
22. 民間の我慢は、家計では消費抑制で貯蓄プラスの継続となり、企業では国内投資低迷で企業の貯蓄超過となる。両者で、名目値の所得や売上が伸びないことが閉塞感の原因である。(SANARI PATENT考察: それでも、低価格化商品や工夫した商品には需要が好調である現象も、多く報道されていることにも付言すべきだ。)
23.「我慢は消費者も」で、雇用関係が悪化した。労働所得の伸び悩みの原因の一つには、非正規労働者の増加がある。(SANARI PATENT考察:  非正規労働者の増加と、製造業における収益確保・コスト低減努力との関係を究める必要がある。)
24. 非正規雇用者数は、 1990年の900万人から2010年には1700万人に増大し、非正規比率は20.2%から34.4%に上昇した。非製造業での増加・上昇が顕著である。
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2012年2月23日木曜日

「攻め」の空洞化対策とは何か?




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政権の帰趨に関わらず、「空洞化」への対処は大問題だが、経済産業省の産業構造審議会は次のように説明している。担当部会長は、WBSなどでお馴染みの東大大学院・伊藤元重教授(引用写真↑)。
9.(承C Site2012-02-22)「攻め」の空洞化対策により、新産業分野を創出し、新たな付加価値を創造し、拡大する経済へと転換を支援すべきである。
10.「攻め」の空洞化対策とは、グリーンやライフなど、国内の潜在需要を掘り起こす産業分野、および、為替変動に強く、グローバル需要を取り込める高付加価値分野である。
11. 国内潜在需要発掘分野としては、ヘルスケア産業(医療・介護・健康関連サービス)、新たなエネルギー産業(蓄電池・節電サービス)、クリエイティブ産業(農業・食品など地域資源)がある。
12. 対為替高強度のグローバル需要対応分野としては、総合力で高信頼性を得る分野(インフラ・次世代自動車)、高ブランド力を確保する分野、グローバル・ニッチトップ分野(高機能素材・部品)がある。
13. これらの分野は、雇用を生み出す新産業の創出・海外市場開拓・イノベーションに直結する。従って、新産業の創出については、新たな支援の枠組みの検討(税・金融・規制緩和の政策メニューを集中投入)、グローバル需要の取込みについては、インフラ輸出やクールジャパン等の海外市場開拓(SANARI PATENT考察: クールジャパンでは、由紀さをりさんのNew York公演が日本語の美しさを全世界に感銘させた)、経済連携等によるグローバルなルール作り、海外収益の還流が、イノベーションについては、未来開拓技術開発・アジア拠点化の推進・IT融合による新産業創出を促進すべきである。
14. 更に、中小企業の潜在力発揮、国民の貴重な金融資産の効果的活用、産業構造転換を支える人材育成が重要である。
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2012年2月22日水曜日

経済産業省の標語:「やせ我慢」から「価値創造」へ

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経済産業省は明日(2012-02-23)、産業構造審議会の新産業構造部会を開催するが、テレビ東京のWBSなどで国民にすっかりお馴染みの東大大学院経済科・伊藤元重教授が委員長だから、常識路線的な予想がしないでもない。昨年末に中間報告を出し“「やせ我慢」から「価値創造」へ”と副題しているが、既に電力節約で国民は、電力不足を電力節約で「やせ我慢」するのではなく、スマートハウスやスマートコミュニティで、新たな「価値創造」的・省電力社会を、と鼓吹されているので、結論にも馴染みやすいかも知れない。いずれにせよ、中間整理を要約・復習していくことは重要である。
1. 東日本大震災を契機として、エネルギー供給の制約や、円高など、新たな課題が発生し、立地環境の「6重苦」(SANARI PATENT注:改めて六つ、数えあげてはいない)の中で、産業の空洞化と国内雇用の喪失が懸念されている。
2. 更に中長期的には、人口減少や少子高齢化によって、わが国の潜在成長力が低下し、かってのような高成長の実現は困難となるとも想定される。
3. この厳しい状況下で、豊かな国民生活を維持するため、わが国は今後、何出稼ぎ、何で雇用するのかを明らかにした上で、新たな産業を創出するための仕組み等について検討することが必要である。
4. 先ず、事業の高付加価値化と新産業の創出について、現状は、縮小均衡が継続する「我慢の経済」である。名目値で所得や売上が伸びず、閉塞感の原因となっている。(SANARI PATENT考察: これは一方的ないし偏見的見方に過ぎない。輸入品等の円名目値低下は、購入可能な物・サービスを拡大し、活発感の原因となっている側面を、客観的に併記しなければならない。)付加価値の創出・拡大に転換しない限り、縮小均衡シナリオから抜け出せない。(SANARI PATENT考察: 付加価値を拡大しなくても、低価格化によって内外の需要を急拡大している多くの事例をも、見るべきである。)
5. 従来の低価格競争から高付加価値競争への転換を図り、新興国などのグローバル需要を取り込むと共に、国内潜在需要の大きい分野での新産業と雇用の創出により、」内需拡大の好循環を目指す。(SANARI PATENT考察:「転換」い
佐成重範弁理士所見→ 上記SANARI PATENT考察を括弧書きした箇所には、伊藤元信教授の常識性が発揮されていないと思う。
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2012年2月21日火曜日

レアアースの独占的価格対策にTDKの寄与と、TDK自体の技術構造

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Q8(承C Site2021-02-20) TDKの研究テーマと、半導体エネルギー研究所のそれとは、重なっているか。
A8 テーマは、それほど重なっていない。
Q9 熱アシストヘッドについて、2014-03期から市場投入するとのことだが、熱アシストヘッドを現在のPMRヘッドと比較した場合、競争環境にどういう違いが出てくるか。HDD業界の再編との関連はどうか。
A9 熱アシストヘッド技術は、次世代の2.5インチ1TB/Pクラスの製品の実現を可能にする技術で、HDDヘッドとしては、従来の磁石だけでなく、レーザーを使って加熱する機構が追加されることとなる。今後、ヘッドの前工程であるウェハープロセスに、レーザー光路を制御する機構を制作する工程を組み込む。また、このように複雑な機構や部品を高精度で組立て、ヘッドに作り上げる技術と生産プロセスを確立し、競争力を維持する。業界としては、今後再編が進む中で、それぞれの顧客と協力しつつ、記録密度を上げて攻めてくるNANDフラッシュに対して、HDDが常に優位を保てるようにする。
Q10 HDDヘッドにおけるTDKの中期的な市場シェアはどうか。
A10 アップできる。
Q11 具体的な数値目標は?
A11 現在の30%から、2~3年中に35%以上とする。
Q12 セラミックコンデンサのシェアが大幅に低落した背景は何か。今後、小型大容量化という技術開発競争から下りずに戦い続けるか。それとも、特定用途・製品に特化して収益均衡するか。また、インダクタンスを含めて東北生産拠点をどう再編するか。
A12 TDKのセラミックコンデンサ事業は、市場で非常に厳しいポジションにある。アプリケーヨンから見た対応と製品最適化が不十分だった。一方、小型化・大容量化は必至であり、分野を絞って展開する。更に、生産拠点再編についてインダクタ関連積層製品の整流化を含めて、拠点統廃合する。
Q13 セラミックコンデンサ生産における国内・海外バランスは?
A13 検討中(SANARI PATENT注: 1211末現在)。
今までのような緊急対策的なものと異なる持続的効果が、今次構造改革に期待できるか。
A13 目先指向と長期構造改革と、二段構えだが、拠点はできる限り少なくする。先ず出血を止めて、海外生産などを考える。
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2012年2月20日月曜日

TDKの省レアアース事業を枝野経済産業大臣視察の意義






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枝野経済産業大臣(引用写真↑)によるTDK成田工場視察(2012-02-18)は、全世界の先端産業発展に深く係っているレアースの代替技術に関連して、極めて注目されるものである。この分野にわが国が先駆することは、今後の国際競争力維持のため重要である。
TDKが示しているQ and Aは、下記(SANARI PATENT要約)のように、同社事業の意義を明示している。
Q1 マグネットにおける省レアースおよびレアースフリー磁石について、モーター・スピーカーに両用可能か。コスト的にはレアース値上がり前の価格で提供できるか。
A1 重希土類と呼ばれる、レアース中でも特に希少価値が高いジスプロシウムについて述べれば、これは現在、中国以外からは入手できない(SANARI PATENT所見: 中国に賦存が局限されているのではなく、開発をしているのが中国のみと解する)。ネオシウムもレアースだが、ネオシウムは中国以外の国からも、来年の中頃から入手できる見込みで、価格は中国のそれに、各国とも合わせると思う。最終的には価格は需要と供給のバランスで定まるが、産出量の増大で、ネオシウムは恐らく、一定レベルまで安くなると思っている。ただ、ジスプロシウムだけは安くならないと見ている。供給量が少ないため、入手が困難である。TDKは、このジスプロシウムの使用量を減少させるか、またはゼロにしたいと考えている。先ずOA機器から始める。OA機器は、温度特性が車載向けほど厳しくなく、これは現時点で、代替品を実用化レベルまで政策できている。OA機器用の磁石には現在、ジスプロシウムを相当量使用しており、先ずここからジスプロシウムをなくして、車載向けなどの絶対必要な分野に回していく。また、次の段階としては、自動車モーター用のジスプロシウムフリーな磁石も開発して市販したい。開発は、あと一歩のところまで来ている。量産可能時点いかんが課題である。ネオシウムの価格が安定に向かいつつある一方、ジスプロシウムの価格は高騰を続けているから、その代替技術開発は極めて価値が高い。
(Q2A2は、C Site2012-02-20に続出)
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2012年2月19日日曜日

来る4月1日に改正特許法施行、その背景

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特許法の一部改正法が、2012-04-01に施行されるが、特許庁は今次改正の背景を次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. グローバル市場における競争が、新興国を含めて激化し、わが国の国際競争力持続のため、イノベーションを促進し、新技術・新産業を生み出す環境の整備が急務である。
2. 知財制度をめぐる環境も大きく変化している。具体的には、技術の高度化・複雑化に伴って、社外技術も活用して研究開発・製品化を行うOpen Innovationが進展し、これが要因となってライセンス契約の重要栄が増している。また、技術革新の高速化に対処して、紛争を迅速・的確に解決すること、中小企業におけるinnovation促進のため制度の利便性向上が一層重要になっている。
3. 従って、今次改正では、「ライセンス契約保護のための通常実施権の対抗制度の見直し」「共同研究の成果に関する発明者保護のため、冒認出願に係る救済措置の整備」「紛争の迅速・的確な解決のための無効審判など紛争処理制度の見直し」「ユ-ザ-の利便性向上のため料金面・手続面の制度の見直し」を行った。
先ず、通常実施権等の対抗制度を見直し、「当然対抗制度」を導入した。現行制度では、特許庁に登録されていない通常実施権を、第三者に対抗することはできず、登録を備えていない通常実施権者(SANARI PATENT注:「登録を備えていない事情・理由については後述)は、特許権の譲受人等の第三者から、差止請求や損害賠償請求を受けるおそれがある。しかし、通常実施権の登録制度については、「実務では、一つの製品の開発や製造に当たり、複数のライセンス契約に基いて多数の通常実施権が許諾されていることが多く(SANARI PATENT注: 多目的複写機やパチスロなどの普遍的電子機器の分野で、包括的相互ライセンスが多い)、その全てを登録するには膨大な手間とコストを要すること」「登録な共同申請主義であるが、特許権者が協力する義務が定められていにため、特許権者の協力が得られない場合があること」などの理由から、ほとんどその利用がなされてこなかった。
佐成重範弁理士所見→特許権者が、ライセンス先などの情報を秘匿しておきたいとすることも理由の一つである。登録費用も阻害原因だった。
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2012年2月18日土曜日

電力政策の変革における「ピーク対策」

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大震災の前後で日本のエネルギー政策、特に電力政策が大変革を必要としていると、国民全てが実感しているものの、どのような大変革あるいは中変革が必須なのか、政府を含めて国全体で決める時機に際会している。しして先ず、何故、どのような変革が必要なのかを、明確に認識するため、経済産業省は電力政策を中心とするエネルギー政策について意見を公募しているのだが(2012-02-23期限)、そもそも、大地震の前後で、政策が異なる要素は何か、その一つが「ピーク対策」である。今、ピーク対策がトップ対策として登場している理由を、経済産業省が次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 今後のわが国エネルギー基本計画においては、中長期的には原発への依存度低減が基本的方向である。従って、新規火力発電設備建設に伴うコスト増や、燃料代替に伴う化石燃料依存度の増大が予想され、これら課題への対応として、需要側においては、ピーク対策を行うことにより、供給側の設備投資に伴うコスト増を抑えることが、わが国産業の国際競争力強化に繋がると考えている。(SANARI PATENT考察: マスコミ的には電力会社にとおての合理性を、需要側のピーク対策に押し付けているという受け取り方にもなるし、ピーク対策を適切に行ってpp時電力使用の増大を国際競争力強化に直結させる局面もある筈である。例えば、日本製品の世界市場シェアが高い部材について、ピーク時にも増産することが国益に適する場合なども想定すべきである。)
2. また、ピーク対策を行うことで、省エネを通じたわが国のセキュリティの向上や、地球温暖化対策に貢献することが可能である。(SANARI PATENT考察: ピーク対策と省エネをイコールとしていることは短絡的だし、地球温暖化対策は一つの政策に過ぎないから、大政策である国際競争力確保との連関を、もっと深く考えなければならない。)
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2012年2月17日金曜日

復興需要に管工技術発揮を期待、オーテック

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第四次補正予算も国会成立し、復興工事関連企業の活躍が期待される折柄、野村IRの紹介でオーテック(JASDAQ)の資料が届いた。「オーテックは、高度な技術とネットワークで、快適な建物環境を創造します」と題して、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 1934年に創業以来、「信頼・進取・創意」を経営理念とし、建物設備のスペシャリストとして事業を展開してきた。主要事業は、建物インフラである配管資材・バルブ・住宅設備機器を販売する「管材事業」、空調設備の制御を始め各種設備機器の制御・監視・管理を行う「システム事業」、環境機器により新たな事業分野を展開する「環境機器事業」で、この3事業の相乗効果をオーテックの技術力としている。
2. 近年は、大規模公共施設、大型ショッピングモール、超高層ビル、文化財展示施設、交通施設、空港、病院、研究施設、半導体工場、自動車工場など、多岐にわたる施工と納入の実績を有する。
3. 従って、例えばシステム事業は、衛生設備制御(給湯、給排水など水廻り設備の監視・制御等)、空調制御(センサによる調整)、セキュリティ制御(指紋照合など)、熱源制御(空調に関連する冷温水ポンプなど)、動力制御、電気設備制御の各分野にわたる。
4. また、例えば環境機器事業では、熱交換器の細管をスポンジボールで洗浄するノンケミカル法(ボール循環式熱交換器洗浄装置)、電気分解式スケール除去装置などを提案・販売している。
佐成重範弁理士所見→オーテックの蓄積知財と次世代IT知財とを融合させ、Smart House、Smart Building、Smart Communityを包括する「スマート建物群事業」を、オーテックが展開されるよう希望する。
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2012年2月16日木曜日

富士フィルムのデジカメ関連発明の特許性について知財高裁が否定判決の事例

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冨士フィルムは、その「画面表示部を有する機器の操作装置およびデジタルカメラ」発明についての特許出願に対して拒絶査定されたので、特許庁に対して不服審査請求したが「請求不成立」と審決され、知財高裁にこの審決の取消を訴求した。知財高裁は富士フィルムの請求を棄却し、特許庁長官が勝訴した(判決言渡:2012-02-07:平成23年行ケ10105審決取消請求事件)。
主たる争点は、上記富士フィルム発明に、特許法所定の「進歩性」を認め得るか否かで、従来技術として引用された「メニュー方式」発明などと対比して、従来技術からの進歩性を、特許庁査定および審決は認めず、知財高裁もこの審決に誤りなしと判断したものである。知財高裁は、
1. 富士フィルムの本件発明は、画面表示部を有する機器の操作装置に係り、特にデジタルカメラ等に適用される表示部に設けられたタッチパネルを介して所望の操作を行う装置に関すること
2. 従来のデジタルカメラは、筐体にリレーズボタンやズームレバー等の操作部を有し、この操作部を操作することでカメラを動作させることができること
3. 富士フィルムの本件発明は、全ての人が操作し易い操作装置を提供することを目的とし、特に、カメラの小型化および表示部の大型化を図ることができるデジタルカメラの提供を目的とすること、などを述べ、この課題を解決する手段について、
1. 富士フィルムの本件訴訟における主張は、審決の内容を正解していないこと
2. この技術分野における技術常識に照らせば、メニューの表示可能範囲として、最大限の広さである全体の領域を充てることは、引用物の記載に接した当業者が当然に想到することであること、などを説示し、
3. 「以上のとおり、本願補正発明は引用発明および周知技術に基いて当業者が容易に想到できるから独立特許要件を欠くとした審決の判断に誤りはなく、原告(富士フィルム)主張の取消事由はいずれも理由がない」として、原告の請求を」棄却した。
佐成重範弁理士所見→「配置形態」の語義、「想到阻害要因」の認定、「タッチパネルの領域」の範囲の特定、などについて知財高裁は、詳細な論証を示しており、この分野の当業者が熟読すべき内容である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)富士フィルム デジカメ 知財高裁

2012年2月15日水曜日

世界の晴舞台で特徴発揮、帝人と東レの機能繊維




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機能繊維の「機能」も益々多様化・先端化しつつあるが、世界の様々な晴舞台で国産機能繊維が晴れ姿を賞賛される時機を今や、迎えたようである。帝人は、「横峯さくら選手(引用写真↑)が帝人ナノファイバーのゴルフグローブを着用:SRIXONがツアープロ使用にナノフロントを採用」と題して先ず、次のように発表した(2012-02-13)(SANARI PATENT要約)。
1. 帝人ファイバー株式会社が展開するポリエステルナノファイバー「ナノフロント」が、SRIスポーツ株式会社より2012-02-14に発売される「SRIXON」ブランドのツアープロ使用モデルのゴルフグローブ素材に採用された。
2. ナノフロントが持つ「滑り難さ」「ソフトな風合い」「吸水・拡散性」などの特性が高く評価され、このたび、ツアープロ使用モデルに採用されることにより、横峯さくら選手を始め、SRIスポーツが契約する多数のプロ選手がナノフロント使用のゴルフグローブを着用することになる。
3. ナノフロントは、繊維1本の直径が700ナノメートルと非常に細いため、それによって製造されたゴルフグローブは、しなやかな感触と共に、繊維表面のナノサイズ凹凸による摩擦力が、強力なグリップ力を発揮する。
一方、東レ機能繊維によるユニクロの新製品については、錦織圭選手の着用晴れ姿が、グローバルの注目を集めることとなる(B Site 2012-02-14ご参照)。
佐成重範弁理士所見→ ナノフロントの「吸水・拡散性」は、吸汗即発散性の機能とも解されるから、世界スポーツ界で愛用される可能性が高いと見る。東レの炭素繊維は米国始め航空機製造の機体主材料として地球上空の晴れ舞台に在るが、東レの「ナノ凹凸構造による指紋付着防止フィルム」(2012-02-14発表)が世界のスマホ等タッチパネルに愛用されることは必至である。味の素と東レが「バイオベースナイロン共同研究契約締結」を発表したが(2012-02-14)、これは「植物由来ナイロン」として、強度・耐熱性が石油化学由来ナイロンと同等ながら、肌触りが優れ、綿に近い吸放湿性を、世界市場で愛玩されるものと予想する。
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2012年2月14日火曜日

東京スカイツリー以上に、そのイーストタワーに注目

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立地している四谷3町目のビル東窓・防衛庁越しに東京スカイツリーを、南窓に東京タワーを眺めながら、防衛庁のバルコニーで自決した東大法の同期生・三島由紀夫、二つのタワー生成の時代背景に想いを馳せつつ過ごしている。更に強烈な想いは、出身高校・旧制武蔵の創立者・東武鉄道初代社長・根津嘉一郎氏から3代目に至って、東京スカイツリー構造の建設・所有・運営を東武鉄道の子会社が行い、更に、そのイーストタワーを来る5月に開業することである。
まだ華々しくマスコミに登場していないが、イーストタワーは貸主が東武鉄道で、住商マネジメントが運営する。東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄浅草線・京成押上線・東武伊勢崎線の4線が新たな「とうきょうスカイツリー駅」に会するが、その「とうきょうスカイツリー駅」(現・業平橋駅)・押上駅から直結で羽田空港へ42分、成田空港へ59分である。両空港の、国内国際のLCC、ハイブリッドLCC(LCCのビジネスクラス版)多数が行き交う5月に、「新たなビジネスステージが広がるロケーション」として、イーストタワーは、「1フロア約150坪、合計年間7700坪のオフィス空間」を提供する。(坪で表示しているが、佐成重範弁理士が学んだ頃の武蔵高校・山本良吉校長は、科学振興を強調すると共に、日本文化の尺貫法を尊重し、やや偏向視された人物である)。
東武鉄道と住商ビルマネジメントが、「世界のランドマークに、世界のビジネス拠点が誕生します」と、武蔵同窓会名簿の裏表紙に述べているのは、正真正銘と信ずる。
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2012年2月13日月曜日

経済社会課題対応事業促進法案を国会に提出

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経済社会課題対応事業促進法案が昨週末に閣議決定され、国会に提出された(2012-02-10)。正式名は、「経済社会課題対応事業の促進に関する法律案」だが、SANARI PATENTは「課題対応事業促進法案」と呼ぶことにする。課題対応事業促進法案は、エネルギー利用の制約への対応や、生産年齢人口減少下での就業者数に維持増加など、日本経済の持続的発展のため、課題対応の製品サービスの開発製造を促進すべく、円滑な資金調達や、これら製品サービスの需要開拓の措置を講ずることを目的としている。
大震災や円高進行で空洞化リスクが高まっているが、この危機を攻めに転じ、痩せ我慢縮小経済に陥ることなく、新産業分野を創造し、拡大経済への転機を掴んで需要開拓・雇用創出することが急務である。そこで、エネルギー利用制約への対応、就業者数の維持増加など新課題対応事業促進のため所要資金調達の円滑化、対応製品サービスの需要開拓を、この法律案で図る。
法案の構成は、「特定事業に対する支援措置」(日本政策金融公庫の業務の特例、中小企業基盤整備機構の業務の特例、中小企業信用保険法の特例)、「特定製品特定役務の需要開拓措置」である。
経済産業省の担当は、経済産業局産業再生課。
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2012年2月12日日曜日

経済産業省が支援するレアアース・レアメタル削減代替事業の企業群

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地球上採掘が偏在するレアアース・レアメタルの価格高騰は、先端分野での、その必須性から、使用の削減やリサイクル、代替物質発明への期待が大きく、従って、今次経済産業省助成対象とされた諸事業についても、関係会社群と事業内容の指向性に関心が集まる。なお冒頭に「地球上採掘が偏在」と書いたが、埋蔵自体の偏在と、採掘対象化の偏在を区別する意味である。
今次発表で三井金属鉱業は、「インジウムロスを削減する回収設備の導入」「白金リサイクル原料を使用する磁性ターゲットの事業化に向けた実証事業」「円筒型ITOターゲット製造設備の導入」が採択された。
三菱マテリアルは、「タングステン等の削減に資する難削材加工用工具の開発と事業化」、三菱電機は「DyおよびNd使用量削減のためのエアコン用モータの研究開発設備の導入」が採択された。三菱マテリアルはTDKやパナソニック等と共同の「市中リサイクル品を原料としたネオジム磁石製造のシステム実証」も採択されている。
山洋電機(東証2部)は、「ジスプロシウムおよびネオジムの削減に資する産業用制御モータシステムの事業化に向けた実証事業(既存モータのレアアース削減)」「ジスプロシウムおよびネオジムの削減に資する実装機用モータを新規に開発する事業」「ジスプロシウムおよびネオジムの削減に資する産業用制御モータ事業化に向けた実証事業(既存モータのレアアース削減)」「レアアースを使用しない産業用制御モータシステムの事業化に向けた研究事業(IPMモータを代替する誘導電動機システムの開発)」が採択されている。
住友電工と大阪府立大学共同で「脱Dy圧粉磁石の開発およびそれを用いたモータ実用化」が採択された。富士電機の「過熱蒸気によるネオジム磁石の消磁・分離装置の開発」、日本特殊陶業の「セラミック切削工具の希土類酸化物の削減実用化研究」など、上記を含めて今次採択は49件である。
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2012年2月11日土曜日

通商における日本の相対的地位低下という構造変化への対応

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来る2012-02-16に経済産業省は、産業構造審議会通商政策部会を開催し、通商政策をめぐる現状と主要課題、新興国市場をめぐる変化と課題について審議するので、前回(2011-06-07)、委員から提起された問題を要約し、現時点での経済産業省回答に注目したい。
1. 日中韓FTAの重要性について、官民で更に認識を高める必要がある。日本の最大の貿易相手国である中国へのアクセスという観点で見ると、日本の強みである中間財の多くの分野で日本の競合国になっている台湾は、既に中国とECFAを締結しているし、韓中FTAも近く本格交渉開始という情報がある。このままだと、韓国や台湾とイコールフッティングで戦えない。
2. 原発事故による風評被害について、海外市場でMade in Japanということだけで契約キャンセルというケースが散見される。繊維製品についても、衣類やタオルなどの最終品だけでなく、生地についても放射線量の計測を求められ、企業体力のない中小企業が苦慮している。風評被害の収束が急務である。
3. 通商白書は、「震災を越え、グローバルな経済的ネットワークの再生強化に向けて」と副題しているが、通商貿易分野でできることは、エネルギー問題・風評問題を解決して外資を呼び込むことと、海外市場へのアクセスを改善することである。
4. 外資を呼び込む政策について、他国では、研究開発拠点の誘致活動を積極的かつ大胆に行っている。日本が高度な技術開発の拠点を本当に目指すには、産学官連携拠点事業等を絡めたクラスター形成の仕組みの中で、外資の積極的な誘致や、優秀な研究者が日本に定住して研究するためのインセンティブを高めるべきである。(佐成重範弁理士所見→逆に、アジア諸国から、日本の中小企業に対して「人と技術」が来てくれれば、施設などたの要素は全て提供するという、現ナマ的ひと・技術資源誘致の、質的に遥かに優位な拠点誘引政策が既に実施されつつある。)
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2012年2月10日金曜日

知財権国際協調の多極外交展開、第一回・日アセアン会合

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「TPPの交渉分野は、モノの貿易だけでなく、投資や知的財産など20を超え、日本の利害は複雑に絡み合う」と、朝日の社説(2012-02-09)は「知的財産」の側面を特記している。「TPPを米国による中国包囲網とする見方もあるが、そういう地政学的な理解は正しくない。米国としては、自由貿易圏が広がることの利点は大きい・米国は、知的財産保護などで中国に多くの課題を突き付けるだろうが、ハードルを上げ過ぎて中国が参加しないのでは、米国にとってTPPの値打ちが半減する」と、東洋経済誌(2012-01-14津上俊哉氏)でも知財問題が特記されている。他方「経済効果がたかいのは、TPPより日中韓FTA」と、多様化する多国間外交の各スキームの比較論評も活発である。
経済産業省は、「日本国特許庁とアセアン各国知財庁、「東京知財声明を採択~第一回・日アセアン特許庁長官会合の結果について」と題して発表(2012-02-08)したが、知的財産権のような専門性の高度な分野では、このような実務官庁間の多極間交渉が、TPPやFTAで成果を収めるための基盤をなす、と佐成重範弁理士は評価する。
上記会合(上記発表と同日開催)では、日本のリーダーシップのもと、アセアンが今後成長を遂げていくために知的財産権保護の強化が必要であること、そのために日本が協力することを確認し、「東京知財声明」を採択した。今後、アセアン各国の条約加盟の支援や、審査・行政能力の向上、普及啓発活動などについて、具体的なアクションを定めて協力し、アセアンのニーズに即応することが期待される。
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2012年2月9日木曜日

原告新日鐵「高強度部品」発明の特許性、知財高裁で特許庁が敗訴

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本件知財高裁判決は、鋼板を使用した、自動車の構造部材や補強部材似」使用されるような強度が必要とされる部材、特に、高温成形後の強度が優れた部品の製造方法に関するものである。
本件原告新日鐵は、その発明「高強度部品の製造方法」について特許出願したが拒絶査定されたので、特許庁に不服審判を請求したが、請求不成立と審決されたので、この審決の取消を知財高裁に訴求した。知財高裁は原告新日鐵(訴訟代理人:影山秀一弁理士ほか)の請求を認容し、特許庁の上記審決を取消し、訴訟費用は被告特許庁長官の負担とすると判決した(言渡2012-02-06:平成23行ケ10134審決取消請求事件)。
新日鐵の上記発明の要旨は、「質量%で、炭素、シリコン、マンガン、アルミニウム、窒素、クローム、ホウ素の請求項所定各%を含有し、残部鉄と不可避不純物からなる鋼板を用い、水素量が体積分率で所定%以下、かつ露点所定値以下の雰囲気で、所定融点まで鋼板を加熱後、所定変態が生じる温度より高い温度でプレス成形を開始し、成形後に金型中で冷却・焼き入れし、高強度の部品を製造する際に、下死点から10mm居ないで剪断加工することを特徴とする「高強度部品の製造方法」である。
特許庁の拒絶査定および請求不成立審決は、上記新日鐵の発明が、周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、非容易推考性という特許付与要件を欠くという判断による。
しかし知財高裁は、「本件審決は、引用発明の技術的思想の認定を誤っている」と判断し、引用発明と新日鐵の本件発明の相違点を指摘して、それを看過して容易推考性の有無を判断したことは許されず、この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるとして、原告新日鐵の審決取消請求を認容した。
佐成重範弁理士所見→周知技術と本件新日鐵発明の相違点解明の手法を、熟読し参考とすべきである。
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2012年2月8日水曜日

知財関連人材としての士業者等の現況

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10年ほど前、内閣知財戦略本部が発足した当初に、知財立国のためには先ず知財人材の増員が必要であるとして、本部資料「知的財産関連人材の状況」と題する資料が示された。この資料は、知的財産関連人材数が当時、「多く見積もっても5万人程度」に過ぎないから、早急にこれを先ず倍増すべきであるという戦略の基礎資料とされたものであるが、上記5万人の内訳は、知財の創造・活用に関わる人材として、企業知的財産担当者(知財部門等)約2万人と大学等(知的財産研究者、知的財産本部・TLO等)約800人、知財の保護に関わる人材として弁理士約5700人、弁理士補助業務者・数千人規模、行政(特許庁職員・著作権担当職員・税関担当職員ほか)約2700人、先行技術調査業務従事者(サーチャー)IPCC約1300人・民間は人数不明、司法の、東京高裁・地裁および大阪地裁の知財専門部の裁判官・調査官・専門委員約200人、弁護士約2万人(うち弁理士登録者約300人)、その他の知財関連人材として特許翻訳者(人数不明)と知財関係団体職員数千人規模、が列挙されていた。
上記職種のうち先ず弁理士は、2011-12-31現在9146人に達し、10年足らず前の6割増(1.6倍)である。弁護士は約3万人に達し、5割増(1.5倍)だが、弁護士資格の新規取得者の就職難が叫ばれており、真相は不明である。
上記内閣知財戦略本部資料は、法曹人口についてのみ国際比較を示しているが、弁護士数は、日本の19,552人に対して米国981,590人、英国93,211人、ドイツ121,420人、フランス33,540人で、日本社会の訴訟的平穏性を顕わしている。米国の特許トロール業者現象は未だ顕現していないのである。
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2012年2月7日火曜日

シャープの想定外業績下方修正と、来年3月期向け業務改善

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テレビ機など電機業界の軒並み売上高著減による業績下方修正が想定を超えて発表されているが、今後の対応が知財面からも関心の的である。シャープの場合は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 財務体質を改善する。在庫の圧縮、総経費の削減、設備投資の抑制、固定資産の圧縮の4重点項目に取組む。
2. AV事業と国内営業体制を構造改革する。国内液晶テレビ市場の急減により、AV事業と、これを核とする国内営業体制の変革が不可欠である。人員などを、成長分野・新規分野にシフトし、収益力を強化する。大型液晶テレビやプラズマクラスター関連商品は海外で高成長を期待する。対新興国、および、健康環境・BtoBなどのビジネス領域に経営資源をシフトする。
3. 太陽電池の事業構造を改革する。極めて厳しい事業環境にあるが、国内では2012-07に電力買取制が開始されるから、シャープが高シェアを有する国内市場は、従来の住宅用に加えてメガソーラ等の発電事業を成長させる。従来取組んできた「地産地消」に加えて、発電事業の強化を含む「川下領域でのビジネス展開」を強化し、事業構造と収益構造を転換する。
4. 液晶事業構造を改革する。「モバイル液晶におけるIGZO(SANARI PATENT注:インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物半導体)液晶の開発・売上の大きなズレ」、および、「大型液晶における売上減少と稼働率低下」が大課題であると認識する。シャープは従来、「独自技術によるモバイル液晶の強化」と「60型以上の大型液晶へのシフト」による液晶事業構造改革を進めてきたが、2012-03期をボトムとして、その後の収益向上を確実にするため、「IGZO液晶の事業拡大と、この技術を活用するアプリケーションの拡充」「60型以上の超大型液晶えのシフト」「この両者の安定稼動のための生産体制最適化」に取組む。具体的には亀山第二工場では、IGZO技術導入によるモバイル結晶に転換し、これによる量産出荷を2012-02に始める。また、アプリケーションをタブレット端末向けから、高精細の液晶モニターなど、より画面サイズが大きいものに拡大し、収益を向上する。堺工場では、液晶のグローバル需給悪化で外販が低迷したので、今後は内需にほぼ特化し、稼動を半減して在庫を適正化する。
佐成重範弁理士所見→60型以上の大型TVは、従来と異質な需要に対応するが、その用途と価格(製造コスト)が、この需要と、国内外でどのように整合できるか、期待をもって注目する。
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2012年2月6日月曜日

知財立国から知財救国へ! 弁政連の具体的挙例に要注目

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弁政連(日本弁理士政治連盟)の「弁政連フォーラム」最新号が届いた。回顧的にも感慨深い記事満載だが、知財救国に向けて、政官民が広く精読すべき具体的事例の記事を先ず要約しておきたい。
1. 関西国際空港の4000m滑走路を含む2期工事の当初予算は1兆円だった。当時、関空は1期工事の返済も不随な状況で、2期工事コスト削減が必須だった。国際空港整備は通常国が管轄し全額国費負担である。従って、総受注元の大手ゼネコン業者あせ、あせは、入札で決定される。しかし、いずれの大手ゼネコン業者が落札しても、驚くことに、その下に入る下請け業者は、例えば電気設備であれば必ずT社と決まっている。すなわち、機器・部品レベルでは1社独占状態で、従ってT社は、わが社の製品が空港設備では規格品だと言い、古い技術のものを、空港会社に長年高いコストで供給し続けている。
2. ところが、コスト削減緊急の状況に陥って関空は、T社製品の採用を見合わせ、コスト削減に繋がる発明を自ら行い、特許権化も行った。また、地元業者を採用し、発明もさせながら特許技術による高事業を行い、従来より優れた発明品を業者に製造させながら、30%のコストダウンに成功し、2期工事は当初予算から3000億円も削減できた。
3. その後、羽田国際空港でも、4本目の滑走路と、新国際空港ビル建設予算として7000億円計上されたのに対して、関空は特許ライセンスの提供を羽田空港に申し入れたが、採用に至らず、予算7000億円を全額使い切った。関空の技術を使っておけば、おそらく5000億円で済んだはずで、2000億円の血税が、実質ムダに投入されてしまった。
佐成重範弁理士所見→現政権の「事業仕分け」の実質実効(財政支出の削減)に、国民が大きな疑念を抱き始めている。知的財産権活用の、上記のようなコスト削減効果を弁政連が明確に指摘し、国会議員等に配布し周知させたことは、誠に意義深い。
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2012年2月5日日曜日

パブコメ、来月3日期限「ヒトゲノム・遺伝子解析研究関連指針」

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ヒトゲノム遺伝子解析倫理指針は、経済産業省・文部科学省・厚生労働省の共管だが、その見直しについて意見を公募している(期限2012-03-03)。
ゲノム研究は、研究の過程で得られる遺伝子情報が、提供者および血縁者の遺伝的素因を明らかにするおそれがあることから(SANARI PATENT注:「明らかにするおそれ」というのは「個人情報が漏洩するおそれ」の意味と解する)、人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、研究の適正な推進が図れることを目的として、ヒトゲノム遺伝子解析倫理指針が策定されている。
近年、ヒトゲノム遺伝子解析研究については、疾患等との関連性を明らかにするため、大量の遺伝情報を取扱う研究が実施され、また、解析技術の進展に伴って、より高速かつ簡易に遺伝情報を解読できるようになった。おのため、主として次の事項について指針を見直す。
1. 既存資料の取扱について、臨床研究指針や産学研究指針の取扱との整合性に配慮する。
2. 連結可能匿名化され対照表を有しない試料c、個人情報に該当しないから、より利用し易くする。
3. 既存資料を他の研究機関に提供する場合、および、提供を受ける場合、新たな要件・手続を規定する。
4. 他の研究機関から試料を収集して他の研究機関に分譲する機関について整理すると共に、既存試料を凍結可能匿名化の状態で提供することにより、研究に必要な情報を追加で取得することを可能にする。
5. 将来、他の研究機関に試料を提供する場合や、他のゲノム研究に利用される場合を想定し、インフォームドコンセントにおける説明事項を見直す。
6. ゲノム研究において得られる遺伝情報については、精度や確実性に欠けている場合があることなどに配慮し、開示しないことができる要件として「研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」を追加する。など。
佐成重範弁理士所見→遺伝子情報の精確性を絶対視する一般認識もあるから、上記6、精確性欠如の場合の配慮が必要であると共に、このような、遺伝子情報の現時点における精確性についての認識を周知すべきである。
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2012年2月4日土曜日

電子レンジのマイクロ波利用関連発明、特許性の有無、知財高裁判決

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男性料理やホームパーティが流行って、電子レンジの使い方も多様化かつイノベートされている折柄、標記電子レンジ知財高裁判決(2012-01-31言渡:平成23年行ケ10142先決請求取消請求事件)にも関心が持たれる。
本件知財高裁訴訟の原告(X1、X2:は、発明の名称を「電子レンジのマイクロ波を利用し、陶磁器に熱交換の機能性を持たせ、調理・加熱・解凍を行う技術」とする発明(以下「本願発明」)について、特許出願したが拒絶査定され、特許庁に不服審判を請求したが、「請求不成立」の審決を受けたので、知財高裁にこの審決の取消を訴求し、知財高裁は、原告の請求を認容して審決を取消し、特許庁長官が敗訴した。
知財高裁は、次のように判断している(SANARI PATENT要約)。
1. 原告主張の審決取消理由すなわち、「本願発明の、周知技術(引用発明と引用刊行物)との相違点に係る容易想到性判断に誤りがあり、これは審決の」結論に影響を及ぼす。
2. 引用発明には、「フェライト材とセラミック材が併存するように被調理物質加熱層を構成し、外部加熱と誘電加熱を併用する」ことを要素とし、また引用刊行物には、「マイクロ波の素材への直接照射を遮断する」ことを要素とするなど、解決課題・解決手段において大きく異なるものがあるから、引用発明を出発点として、引用刊行物記載の技術事項を適用することにより、本願発明に至ることが容易であるとする理由は存在しない。
3. すなわち、容易想到性を理由とする審決は誤りである。
佐成重範弁理士所見→判断対象技術の課題とするところは、「調理品の味覚を損なわないようにすること」であって、「加熱または解凍を行う場合に、マイクロ波を直接照射すると対照物に組成の違う物質が混在すると、温度ムラが生ずるから、磁性体シートを透過したマイクロ波をアルミ箔等の遮断層で遮断すること」などを解決手段とし、一般家庭でも関心の深い課題およびその解決手段に係るももである。今次知財高裁判決を熟読し、今後の、この分野イノベーションに活用することが望まれる。
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2012年2月3日金曜日

「メルク」と「メルクス」、知財高裁における称呼類否論






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本件知財高裁訴訟における原告メルク コマンデイトゲゼルシャフトフト アウフ アクチエンは、化学品・薬剤・医療補助品を指定商品とする「Merck」商標権、染料・顔料・印刷インキほかを指定商品とする、別書体のMERCK商標、上同指定商品のメルク商標等(以下「引用商標」)の商標権者である。被告・株式会社ミスターマックスは、第35類に属する役務の一部を指定役務とする「MERX」「メルクス」(写真↑)商標(以下「本件商標」)の商標権者である。
原告は、本件商標の登録無効審判を請求したが、請求不成立の審決を受けたので、この審決の取消を、知財高裁に訴求したが、知財高裁は原告の請求を棄却した(判決言渡2012-01-30:平成24年行ケ10190 審決取消請求事件)。
知財高裁の判断内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 被告は、「MERX」の文字部分を、ギリシャ神話のオリンポス神中の、商業と情報の神であるマーキュリーの略称としているが、「MERX」の語が日本で親しまれている外国語とは言えないから、本件商標から特定の観念は想起されない。
2. 引用商標は、Merck、MERCK、メルクの字と図形で構成され、いずれも「メルク」の称呼を生じ、原告の創業者であるドイツ人一族の姓から採られたが、日本では馴染みあるドイツ語と言えず、特定の観念は想起されない。(佐成重範弁理士考察:健康意識の高揚で医薬品・医薬業界知識がわが国民に急速に普及し、メルクが著名になっていることも認めるべきではないか)。
3. 「ス」文字の有無が外観全体に与える影響は大きい。「メルク」の文字部分が独立して看取されるものではない。
4. 「ス」(su)の子音(s)は、比較的響きの弱い音として聴取されるとしても、「ス」の音の有無の差異は、本件商標と引用商標のように短い構成音から成る称呼においては、与える影響が大きい。など。
佐成重範弁理士所見→特許庁の査定・審決・知財高裁判決が結論を一にしており、わが国のカタカナ発音からも、納得され易い結論と考える。
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2012年2月2日木曜日

漢字文化圏におけるブランド・商標の称呼と漢字

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日中韓を始め漢字文化がコンテンツの源流をなす国域では、ブランドや商標の称呼の類似性が、その漢字表記の非類似性を超克して、盛大に拡販される場合がある。ホンダとかソニーとか、中国語読みで発音される漢字ブランド・商標が、漢字国で全く異種の漢字表記で登録されると、漢字では全く非類似だが、市場では全く同じ呼称で、法の保護のもとに、流通することになる。
これは海外でのみ起こる問題ではないことが、知財高裁の特許庁審決取消判断(最近の例が本B Site2012-02-01記載の商標事件)で、この場合は、発音表記の重要性評価が、特許庁と知財高裁で異なった場合と、認識すべきである。
以下に知財高裁の判断を要約しておく。
1. 蒲鉾販売営業の称呼について、本願商標「海葉」と引用商標「海陽」から生ずる称呼は、いずれも基本的に「カイヨウ」であり、基本的に同一である。
2. 海の母音である「あい」も、葉や陽の母音である「おう」も、漢字の音読みとしては、ありふれた読みであり、これに「K」と「Y」の子音を組合せた「KあいYおう」との称呼は、2文字のありふれた読みからくるもので、両商標の外観・観念の相違に比較すると、識別力が弱いものである。
3. 本件において、この判断に反して特に考慮すべき取引の実情は認められないから、外観と観念の相違が、称呼の共通を凌駕するものというべきである。
4. 被告特許庁長官は、蒲鉾など本件指定商品を取扱う業界の取引の実情では、称呼が極めて重要な要素となる旨、主張しているが、確かに、日常の買い物が困難になっている高齢者等に対処するため、蒲鉾等を取扱うネットスーパーなどで電話注文を受け付けているものがあるが、他方、これらの電話注文の多くは、事前に配布されたカタログに漢字表記が含まれている。CMソングにも取扱業者の商号が、歌詞にふくまれるのが通常である。
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2012年2月1日水曜日

「蒲鉾」関連商標訴訟で特許庁審決を知財高裁が取消:特許庁長官が敗訴



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株式会社白樺蒲鉾店は、標準文字「海葉」で指定商品「蒲鉾、鰹節、寒天など限定列挙」の商標登録を出願したが(本願商標写真←)、拒絶査定されたので、特許庁に対して不服審判を請求したが、これも「請求不成立」と審決されたので、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は白樺蒲鉾店の請求を認容して、この特許庁審決を取消した(判決言渡2012-01-30 平成23行ケ10252審決取消請求事件)。
本件被告・特許庁長官の主張は要するに、既に登録されている株式会社・杉本利兵衛の商標「海陽」(引用商標写真→)と、指定商品は同様で、類似の商標であるから、商標登録を受けることができない商標に該当する、というものである。
知財高裁は、本願商標と引用商標は、それぞれを構成する漢字2文字のうち、「海」が共通するが、「葉」と「陽」の相違は大きいこと、本願商標からは「海草の葉っぱ」「海に浮いた葉っぱ」程度の観念が生ずるが、引用商標からは、「海に昇る太陽」「海に沈む太陽」程度の観念が生ずるから、観念において大きく異なること、称呼「カイヨウ」は、2文字の漢字のありふれた読みからくるもので、外観・観念の相違に比較すると識別力が弱く、外観と観念の相違が、称呼の票通を凌駕するものというべきであって、指定商品において共通のものがあるとしても、両商標は類似するものではないというべきである、と判示し、白樺蒲鉾店の請求を認容し、訴訟費用は特許庁長官の負担とすると判決した。
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