2012年2月2日木曜日

漢字文化圏におけるブランド・商標の称呼と漢字

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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日中韓を始め漢字文化がコンテンツの源流をなす国域では、ブランドや商標の称呼の類似性が、その漢字表記の非類似性を超克して、盛大に拡販される場合がある。ホンダとかソニーとか、中国語読みで発音される漢字ブランド・商標が、漢字国で全く異種の漢字表記で登録されると、漢字では全く非類似だが、市場では全く同じ呼称で、法の保護のもとに、流通することになる。
これは海外でのみ起こる問題ではないことが、知財高裁の特許庁審決取消判断(最近の例が本B Site2012-02-01記載の商標事件)で、この場合は、発音表記の重要性評価が、特許庁と知財高裁で異なった場合と、認識すべきである。
以下に知財高裁の判断を要約しておく。
1. 蒲鉾販売営業の称呼について、本願商標「海葉」と引用商標「海陽」から生ずる称呼は、いずれも基本的に「カイヨウ」であり、基本的に同一である。
2. 海の母音である「あい」も、葉や陽の母音である「おう」も、漢字の音読みとしては、ありふれた読みであり、これに「K」と「Y」の子音を組合せた「KあいYおう」との称呼は、2文字のありふれた読みからくるもので、両商標の外観・観念の相違に比較すると、識別力が弱いものである。
3. 本件において、この判断に反して特に考慮すべき取引の実情は認められないから、外観と観念の相違が、称呼の共通を凌駕するものというべきである。
4. 被告特許庁長官は、蒲鉾など本件指定商品を取扱う業界の取引の実情では、称呼が極めて重要な要素となる旨、主張しているが、確かに、日常の買い物が困難になっている高齢者等に対処するため、蒲鉾等を取扱うネットスーパーなどで電話注文を受け付けているものがあるが、他方、これらの電話注文の多くは、事前に配布されたカタログに漢字表記が含まれている。CMソングにも取扱業者の商号が、歌詞にふくまれるのが通常である。
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