シャープの想定外業績下方修正と、来年3月期向け業務改善
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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テレビ機など電機業界の軒並み売上高著減による業績下方修正が想定を超えて発表されているが、今後の対応が知財面からも関心の的である。シャープの場合は、次のように述べている(SANARI PATENT要約)。
1. 財務体質を改善する。在庫の圧縮、総経費の削減、設備投資の抑制、固定資産の圧縮の4重点項目に取組む。
2. AV事業と国内営業体制を構造改革する。国内液晶テレビ市場の急減により、AV事業と、これを核とする国内営業体制の変革が不可欠である。人員などを、成長分野・新規分野にシフトし、収益力を強化する。大型液晶テレビやプラズマクラスター関連商品は海外で高成長を期待する。対新興国、および、健康環境・BtoBなどのビジネス領域に経営資源をシフトする。
3. 太陽電池の事業構造を改革する。極めて厳しい事業環境にあるが、国内では2012-07に電力買取制が開始されるから、シャープが高シェアを有する国内市場は、従来の住宅用に加えてメガソーラ等の発電事業を成長させる。従来取組んできた「地産地消」に加えて、発電事業の強化を含む「川下領域でのビジネス展開」を強化し、事業構造と収益構造を転換する。
4. 液晶事業構造を改革する。「モバイル液晶におけるIGZO(SANARI PATENT注:インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物半導体)液晶の開発・売上の大きなズレ」、および、「大型液晶における売上減少と稼働率低下」が大課題であると認識する。シャープは従来、「独自技術によるモバイル液晶の強化」と「60型以上の大型液晶へのシフト」による液晶事業構造改革を進めてきたが、2012-03期をボトムとして、その後の収益向上を確実にするため、「IGZO液晶の事業拡大と、この技術を活用するアプリケーションの拡充」「60型以上の超大型液晶えのシフト」「この両者の安定稼動のための生産体制最適化」に取組む。具体的には亀山第二工場では、IGZO技術導入によるモバイル結晶に転換し、これによる量産出荷を2012-02に始める。また、アプリケーションをタブレット端末向けから、高精細の液晶モニターなど、より画面サイズが大きいものに拡大し、収益を向上する。堺工場では、液晶のグローバル需給悪化で外販が低迷したので、今後は内需にほぼ特化し、稼動を半減して在庫を適正化する。
佐成重範弁理士所見→60型以上の大型TVは、従来と異質な需要に対応するが、その用途と価格(製造コスト)が、この需要と、国内外でどのように整合できるか、期待をもって注目する。
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ラベル: IGZO 液晶テレビ シャープ
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