2012年2月3日金曜日

「メルク」と「メルクス」、知財高裁における称呼類否論






弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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本件知財高裁訴訟における原告メルク コマンデイトゲゼルシャフトフト アウフ アクチエンは、化学品・薬剤・医療補助品を指定商品とする「Merck」商標権、染料・顔料・印刷インキほかを指定商品とする、別書体のMERCK商標、上同指定商品のメルク商標等(以下「引用商標」)の商標権者である。被告・株式会社ミスターマックスは、第35類に属する役務の一部を指定役務とする「MERX」「メルクス」(写真↑)商標(以下「本件商標」)の商標権者である。
原告は、本件商標の登録無効審判を請求したが、請求不成立の審決を受けたので、この審決の取消を、知財高裁に訴求したが、知財高裁は原告の請求を棄却した(判決言渡2012-01-30:平成24年行ケ10190 審決取消請求事件)。
知財高裁の判断内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 被告は、「MERX」の文字部分を、ギリシャ神話のオリンポス神中の、商業と情報の神であるマーキュリーの略称としているが、「MERX」の語が日本で親しまれている外国語とは言えないから、本件商標から特定の観念は想起されない。
2. 引用商標は、Merck、MERCK、メルクの字と図形で構成され、いずれも「メルク」の称呼を生じ、原告の創業者であるドイツ人一族の姓から採られたが、日本では馴染みあるドイツ語と言えず、特定の観念は想起されない。(佐成重範弁理士考察:健康意識の高揚で医薬品・医薬業界知識がわが国民に急速に普及し、メルクが著名になっていることも認めるべきではないか)。
3. 「ス」文字の有無が外観全体に与える影響は大きい。「メルク」の文字部分が独立して看取されるものではない。
4. 「ス」(su)の子音(s)は、比較的響きの弱い音として聴取されるとしても、「ス」の音の有無の差異は、本件商標と引用商標のように短い構成音から成る称呼においては、与える影響が大きい。など。
佐成重範弁理士所見→特許庁の査定・審決・知財高裁判決が結論を一にしており、わが国のカタカナ発音からも、納得され易い結論と考える。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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