2012年2月16日木曜日

富士フィルムのデジカメ関連発明の特許性について知財高裁が否定判決の事例

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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冨士フィルムは、その「画面表示部を有する機器の操作装置およびデジタルカメラ」発明についての特許出願に対して拒絶査定されたので、特許庁に対して不服審査請求したが「請求不成立」と審決され、知財高裁にこの審決の取消を訴求した。知財高裁は富士フィルムの請求を棄却し、特許庁長官が勝訴した(判決言渡:2012-02-07:平成23年行ケ10105審決取消請求事件)。
主たる争点は、上記富士フィルム発明に、特許法所定の「進歩性」を認め得るか否かで、従来技術として引用された「メニュー方式」発明などと対比して、従来技術からの進歩性を、特許庁査定および審決は認めず、知財高裁もこの審決に誤りなしと判断したものである。知財高裁は、
1. 富士フィルムの本件発明は、画面表示部を有する機器の操作装置に係り、特にデジタルカメラ等に適用される表示部に設けられたタッチパネルを介して所望の操作を行う装置に関すること
2. 従来のデジタルカメラは、筐体にリレーズボタンやズームレバー等の操作部を有し、この操作部を操作することでカメラを動作させることができること
3. 富士フィルムの本件発明は、全ての人が操作し易い操作装置を提供することを目的とし、特に、カメラの小型化および表示部の大型化を図ることができるデジタルカメラの提供を目的とすること、などを述べ、この課題を解決する手段について、
1. 富士フィルムの本件訴訟における主張は、審決の内容を正解していないこと
2. この技術分野における技術常識に照らせば、メニューの表示可能範囲として、最大限の広さである全体の領域を充てることは、引用物の記載に接した当業者が当然に想到することであること、などを説示し、
3. 「以上のとおり、本願補正発明は引用発明および周知技術に基いて当業者が容易に想到できるから独立特許要件を欠くとした審決の判断に誤りはなく、原告(富士フィルム)主張の取消事由はいずれも理由がない」として、原告の請求を」棄却した。
佐成重範弁理士所見→「配置形態」の語義、「想到阻害要因」の認定、「タッチパネルの領域」の範囲の特定、などについて知財高裁は、詳細な論証を示しており、この分野の当業者が熟読すべき内容である。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)富士フィルム デジカメ 知財高裁

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