2012年2月9日木曜日

原告新日鐵「高強度部品」発明の特許性、知財高裁で特許庁が敗訴

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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本件知財高裁判決は、鋼板を使用した、自動車の構造部材や補強部材似」使用されるような強度が必要とされる部材、特に、高温成形後の強度が優れた部品の製造方法に関するものである。
本件原告新日鐵は、その発明「高強度部品の製造方法」について特許出願したが拒絶査定されたので、特許庁に不服審判を請求したが、請求不成立と審決されたので、この審決の取消を知財高裁に訴求した。知財高裁は原告新日鐵(訴訟代理人:影山秀一弁理士ほか)の請求を認容し、特許庁の上記審決を取消し、訴訟費用は被告特許庁長官の負担とすると判決した(言渡2012-02-06:平成23行ケ10134審決取消請求事件)。
新日鐵の上記発明の要旨は、「質量%で、炭素、シリコン、マンガン、アルミニウム、窒素、クローム、ホウ素の請求項所定各%を含有し、残部鉄と不可避不純物からなる鋼板を用い、水素量が体積分率で所定%以下、かつ露点所定値以下の雰囲気で、所定融点まで鋼板を加熱後、所定変態が生じる温度より高い温度でプレス成形を開始し、成形後に金型中で冷却・焼き入れし、高強度の部品を製造する際に、下死点から10mm居ないで剪断加工することを特徴とする「高強度部品の製造方法」である。
特許庁の拒絶査定および請求不成立審決は、上記新日鐵の発明が、周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、非容易推考性という特許付与要件を欠くという判断による。
しかし知財高裁は、「本件審決は、引用発明の技術的思想の認定を誤っている」と判断し、引用発明と新日鐵の本件発明の相違点を指摘して、それを看過して容易推考性の有無を判断したことは許されず、この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるとして、原告新日鐵の審決取消請求を認容した。
佐成重範弁理士所見→周知技術と本件新日鐵発明の相違点解明の手法を、熟読し参考とすべきである。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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