2011年8月31日水曜日

株式会社ミゾタが、対特許庁長官の知財高裁訴訟で勝訴

弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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ポンプ(高速ゲート、超低水位運転ゲートなど)・除塵機・水門開閉機など公共事業に不可欠の事業分野で永い業歴と多数特許考案を有するミゾタが、発明の名称を「ポンプ」とする特許を出願したが、特許庁から拒絶査定(2009-09-16)を受け、これに対する不服審判を請求した(2009-12-03)。特許庁は「この請求は成り立たない」と審決した(2-10-11-24)ので、ミゾタは、特許庁長官を被告として、この審決の取消を知財高裁に訴求し、知財高裁は、ミゾタ(訴訟代理人・富崎元成弁理士、富崎 曜弁理士)の請求を認容して、特許庁の審決を取消すと共に、訴訟費用は被告特許庁長官の負担とすると判決した(平成22行ケ10408審決取消請求事件・判決言渡2011-08-25)。
特許法29条2項は、「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、産業上利用することができる既知の発明に基いて容易に発明することができたときは、その発明については、特許を受けることができない」と定めており、本件訴訟の争点は、ミゾタの本件発明が上記「特許拒絶要件」に該当するか否かであって、特許庁の審査と審決は、拒絶要件に該当すると認め、知財高裁は「該当しない」すなわち、特許付与の要件を満たすと判断した。
このような場合、既存の技術の内容と出願技術の内容の異同が先ず問題となるが、原告・被告とも詳細に立証論述した結果、知財高裁は、「ミゾタの本件発明は、水と共に吸い込まれ、ポンプ内に流入した異物を捕捉するための具体的に特徴を有する発明であり、その異物捕捉体は、羽根の先端部に絡み付いた異物を引っ掛け、絡み付かせる点に意義を有するものである」などと認め、従来技術と本件発明の異同について、一部、特許庁の認定を是認しつつも、相違点について、「ミゾタの本件発明における上述相違点に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものということはできない」と判断し、特許庁審決を取消さるべきものと判決した。
SANARI PATENT所見
諸企業の業務報告にも、特許権に関する法的不安定性をリスク要因として掲げるものが見られるが、そのような認識は必要である。
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