2009年7月12日日曜日

R and D Competition Model in the New Generation 

新たな価値観に基づくコンセプトの創出
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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 経済産業省産業構造審議会の「次世代研究開発論」に進む。
3(承前2009-07-11記事)研究開発投資の冷え込み:
 今次世界経済危機により、2008年来、世界規模で景気が急速に落ち込んだ結果、わが国の民間企業による研究開発投資はおの維持すら危うい状況を生じ、今後大幅に抑制される可能性がある。イノベーションを経済成長のエンジンとすることにも大きな支障を来すことが懸念される。
4.景気循環要因と構造的要因
4-1 (景気循環要因)わが国大手民間企業に対するアンケート結果によれば、2009年度の研究開発投資は、2007年度比7%程度抑制されると示唆されている。2007年度13.8兆円から1兆円削減される試算となり、イノベーションに与える影響が大きい。現在の民間研究者48万人の維持の困難化も予想され、特に、将来の研究開発を担う若手研究者の採用が抑制され、また、技術の伝承を担う中高年技術者が他部門に配置転換されることが懸念される。
 新素材の研究開発など、基礎的探究的なレベルから中長期的視点で行われてきた研究開発ほど、これまでの技術蓄積を一度に散逸してしまう惧れがある。
4-2 (構造的要因)研究開発の競争モデルの変化への対応が遅れる惧れがある。これまでのわが国の強さは、目標モデルが明確な技術改良型の研究開発に存した。欧米の先行事例を構成する要素技術について独自に改良・高度化することで競争力を発揮してきた。デジタル化やネットワーク化が現在ほど進展していない社会においては、単品の製品・サービスをある程度独立して研究開発することが可能であり、企業や組織に閉じた研究開発システムの強みを発揮できた。
4-3 (新たな価値観に基くコンセプト創出の重要性:コンセプト創出型の研究開発システム)近年、モノの消費意欲の減退や価値観の多様化に伴い、自動車や家電における「より高い性能」という物理的充足よりも、「低炭素」「健康・安全」など、これまでの延長線上にない価値観の製品・サービスが求められている。従って、次世代のコンセプトを明確に捉えるコンセプトドリブン型の研究開発が求められる。米国のGreen New Deal政策、欧州のCreating Innovative Europeなどがこの型に属する。
5.技術の高度専門化・高度化における自前主義の限界
 現在、人・モノのグローバルな移動や、デジタル化ネットワーク化による情報流通の進展によって、個人と産業の活動を支える経済社会諸システムのニーズ側の課題は高度化複雑化し、一方で、量子力学に基づく新材料技術や遺伝子技術の発展を背景として、技術シーズ側の可能性も高度化複雑化している。
 従って、次世代の経済社会の主導権を握るための研究開発の競争モデルは、これまでの一つの企業や組織内に閉じ込められた研究開発競争から、新たな価値観に基づく社会ニーズの実現に向けて、専門技術領域を担う多様な研究開発主体が競争と協調を繰り返す研究開発モデルに転換しつつある
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)

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