Competition and Cooperation in the Open Innovation Practice
オープンイノベーションにおける競争と協業
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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現在、世界の最先端の研究開発モデルは、競争モデルの変化に伴って、外部との戦略的協業を前提とし、多様な要素技術の組合せの中で競争と協業を織り成す重層的なモデルに変化していると認識して、経済産業省の技術政策立案が進められている。
6.(承前2009-07-12記事)自前主義の限界から「競争と協調」へ:
自前主義の限界は、「新たな価値観に基くコンセプトの重要性」と、「技術の高度化複雑化」の二つの要因から現出し、次世代の経済社会の主導権を握るための研究開発の競争モデルは、これまでの一つの企業や組織内に閉じられた研究開発競争から、新たな価値観に基く社会ニーズの実現に向けて、専門技術領域を担う多様な研究開発主体が競争と協調を繰り返すモデルに転換しつつある。例えば、ナイロンの開発において、基礎から一貫して社内で行う中央研究所方式のモデルになったデュポンにおいても、燃料電池の実用化開発では台湾ベンチャーを活用した。また、次世代半導体の世界的研究拠点の一つであるIMEC(ベルギー)では、材料メーカー、製造装置メーカー、半導体デバイスメーカーの3異業種がグローバルに最先端技術を持ち寄る研究開発の協業システムを実現している。
7.Open Innovationにおける主導権をめぐる競争と協調:
上記のように、研究開発の競争モデルが大きく変化する中で、「欧米を中心に」(SANARI PATENT考察: この語は不要不適切で、わが国でも夙に強調)必要性が叫ばれているのが、オープンイノベーション型の研究開発システムである。次世代新製品・新市場の開拓の主導権を巡って競争と協調を繰り返す研究開発が背景となっていることから、このオープンイノベーション型の研究開発は従来の企業間の技術提携や産学官連携に多く見られた、従来技術や非コア技術の」外部による補填や研究開発コストの削減のためではなく、将来の新製品・新市場のコアを握るキーテクノロジーの創成を巡る外部との協業である(SANARI PATENT考察: このように限定する必要はない)。
従って、このオープンイノベーション型の研究開発システムとは、実現すべき新たな価値観に基く社会システムのコンセプトを明確に提案することを出発点とした上で、そのコンセプトに向けて、「専門化高度化した要素技術のいかなる組合せ新たな製品。サービスを創出するのか」「その組合せの中でいかに主導権を握る要素技術を確保するのか」という競争が行われる。この結果、競争を効率よく推進するための、「共通基盤気の確立・標準化」「要素技術の柔軟な組合せを可能とするためのインターフェイスの共通化」についての協調も重要である。
(コメントは sanaripat@gmail.com に御送信下さい)
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