Demand-Pull Type Strategies with Open Innovation Systems
今後の研究開発の諸特徴
弁理士 佐成 重範 Google検索 SANARI PATENT
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産業構造審議会の以下の記述案は、業種分野の区別なしに述べられているが、企業間の「協調」「協創」については、例えば電子機器業界と医薬品業界との様相の相異を先ず指摘すべきであろう。
12-2(承前2009-07-15記事)分野融合への対応:
重点推進4分野の枠組みは、個別の技術分野の高度化に重きを置くため、分野間の融合によって新しい価値を創出する面が不備になり易いという問題をも内包している。すなわち、従来の枠組みは個別Seeds-Push(シーズプッシュ)型戦略であり、今後は、わが国が直面する喫緊の課題解決に向けて重点化するというDemand-Pull(デマンドプル)型戦略に転換すべきである。出口(Mission、Vision、Goal)の例は、人口減少、環境・エネルギー制約、水・食料問題の解決である。
12-3 新たなコンセプト(課題解決)を実現する製品・サービスの想定:
そこで、課題解決という新たなコンセプトに基づく社会システムの実現に必要となる製品・サービスを想定する必要がある。例えば、従来治療困難であった疾病の新しい医療方法であるが、これらは可変的に探究され、多様なイノベーションが可能である。
12-4 競争を効率的に行うための戦略的協調
これまでわが国では、研究開発の自前主義が強く、「協調」は標準化のための技術情報の公開など、公共財を作るための行為の範疇に受けとめられることが多かった。「協調」を、自身の競争優位を築くための土俵として戦略的に位置づける認識が、欧米に比して低かった。しかし、研究開発の競争モデルが変化し、今後は競争に勝つため協調への取組を政策的観点から強化する必要がある。また、標準化活動におけるRAND条件や、協調の成果に関する知的財産への優先的アクセス確保など、フリーライドを防止し、かつ私益と公益をバランスさせる仕組みづくりによって、協調への参加者が適正な利益を得られることが必要である。
12-5 市場を「協創」するための「協調」
共通基盤技術の開発や、共通のロードマップ策定が重要である。高度で複雑な課題を解決するための技術課題は、複雑多岐にわたるから、一社による個別技術要素の研究開発だけでは限界がある。従って、多様な研究開発主体が優れた要素技術を持ち寄って新市場を創造する「協創」が重要である。具体的には、次世代の共通基盤技術の開発、最新の技術情報共有のためのロードマップ策定、知的財産の円滑な利用の仕組みなど、多様な研究開発主体の協創環境の整備が重要である。
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