2008年7月10日木曜日

Partnership of Finance and Industry, Reported by METI

Partnership of Finance and Industry, Reported by METI: 経済産業省の「産業と金融の両立を通じた経済成長」中間報告(2008-7-9発表)
別サイト http://patentsanari.cocolog-nifty.com/blog 沖電気の新検索技術開発(20080709記事)
別サイト http://d.hatena.ne.jp/SANARI/ リチウムイオン電池の安全性措置(20080709記事)

 「産業と金融の両立」という標題自体に違和感を持つ国民が多いと思われるが、例えば英国について、その日本を上回る経済戦略お蝶の現状が、「産業重点から金融重点に移行したことによる」というような論説は、近年多く見られた。短絡的に言えば、新製品の特許発明による世界市場展開よりも、世界金融市場を制覇してゆくことが、国の経済成長を現実的に高めたという見方である。

 わが国について、「産業と金融」という表現のもとで、経済産業省の産業構造審議会産業金融部会が中間報告をまとめ、昨日発表した。その内容(SANARI PATENT要約)を考察する。
 なお報告をまとめた同部会には、金融業界から、三菱UFJキャピタル、みずほコーポレート銀行、大和証券SMBC、J.Pモルガン証券、クレディスイス証券、メリルリンチ日本証券、さわかみ投信、野村資本市場研、東京証券取引所など、産業・商事業界から、トヨタ、新日鐵、住友商事、オリックスなどの経営・専門の役員・幹部が参画している。

1. 産業と金融の関係の変化
1-1 今世紀に入って産業と金融の関係が変化し、世界的に金融の拡大が進んでいる。米国や英国では金融を推進力として高い経済成長を実現するなど、世界の経済システムが変化している。
1-2 また、最近の金融動向として、金融危機による景気減速の一方、投機資金による資源価格高騰など、両者の関係が複雑化すると共に、企業レベルにおいては、国際的な事業再編の拡大、新技術・新製品をめぐる熾烈な競争などをめぐって、金融が産業に対して果たすべき役割が益々重要になっている。
2 「産業と金融の両立」の必要性
2-1 わが国は不良債権問題を脱し、金融システムが安定化して経済が回復基調にはあるが、経済成長は低迷し、世界経済に占めるわが国のプレゼンスは低下しつつある。
2-2 一方、米国・英国は金融改革によって金融産業を軸とする持続的経済成長を実現している(SANARI PATENT注:この報告立案時と、現状の経済成長の米英・米欧相違はかなり顕著と、一般に認識されている)。米国・英国において金融産業が成長を牽引している背景として、グローバル化による世界的な金融経済の拡大、これに伴うアジア諸国等の貿易黒字が国際的資金として、米英に還流していることが挙げられ、金融産業発達の背景としてはIT化の進展が挙げられる。
2-3 翻ってわが国の輸出競争力は、アジアに対して相対的に低下している。国内市場を中心とする企業の生産性は停滞する一方で雇用は増加し、一部のグローバル企業のみだわが国経済全体の生産性向上を牽引することは困難になりつつある。
3 金融的課題と金融的解決策
3-1 M&A
3-2 選択と集中
3-3 国際展開
3-4 研究開発投資
3-5 事業再生
3-6 事業リスクの低減
3-7 資金運用
3-8 ベンチャー企業の成長
3-9 不動産担保等に過度に依存しない資金調達

4.SANARI PATENT所見
  この報告は、当面の政策課題として、「年金積立金管理運用独立行政法人の組織変更・運用改善」、「企業金融調査」、「SWF(SANARI PATENT注:政府系ファンド:Sovereign Wealth Funds)からのリスクマネー受け入れ」、「政策投資」を、中長期的検討課題として「金融産業の国際化と投資銀行機能の強化」、「中小企業金融」、「個人の株式投資」を掲げており、それぞれ、これまでも政治局面を含めて議論が重ねらてきたところではあるが、この報告立案中には登場していなかった原油市場への投機資金とその今後の動きおよび影響に対する政策関与の可能性が検討対象外であり、再度中間報告を構成することが適切である。
(記事修正のご要求・ご意見は sanaripat@gmail.com に送信下さい)
SWF、産業構造審議会、三菱UFJ、みずほ、大和証券、モルガン、新日鐵、住友商事

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