2007年12月12日水曜日

SANARI PATENT IP Policy for Info-Telecom

IP Policy for Info-Telecom: 情報通信の共通基盤・インフラについて相互利用・オ-プン化の推進、パテント・トロ-ルの権利濫用性不明確な場合への対応
弁理士 佐成 重範 sanaripat@nifty.com Google検索SANARI PATENT
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  先ず、内閣知財戦略本部・情報通信プロジェクトチ-ム報告(2007-10-30)の「対応策」の章を要約し考察する。
1. 共通基盤に対する知的財産制度の在り方
(要約)当面の重要課題「情報通信技術に関する権利者の分散と権利関係の錯綜化」に対応するため、次のモデルが提案されている。
1-1 相互運用性を確保するため、共通基盤・インフラについて相互利用・オ-プン化を進める。
1-2 個別技術の部分では知的財産権による差別化・囲い込みにより利益を確保する。
(考察)共通基盤の「共通」、「インフラ」の受益範囲の広狭によって対応策が異なる側面がある。例えば、国際電気通信のようにグロ-バルな範囲にわたるインフラについては、国際標準化と、それを基盤とする個別差別化による競争が並存することが望ましい。
2. 技術の相互利用の取組方法
(要約)クロスライセンス、パテントコモンズ、パテントプール、国際標準、OSS等の枠組みを活用する。
2-1 パテントコモンズ
ソフトウェア分野を中心として、パテントコモンズという新概念が欧米で導入され始めた。相互接続に不可欠なエッセンシアル・ファシリティとして広く使用すべき基盤技術のパテントは共用すべきであるという制度論である(SANARI PATENT 注:「共用」であって、「共有」化ではない。特許権者が特許権を保有しつつ、一定条件下でその自由使用を認める)。
2-2 パテントプール
複数権利者が、ライセンス権限を特定の企業・組織に委託する枠組みであるが、非参加者との排他的独占関係や参加者間の関係(SANARI PATENT 注:有力特許権を有する特定参加者への特別対応など)が、不公正取引に該当する場合がある。
2-3 国際標準化
「共通パテントポリシ-の実施ガイドライン」(ISO/IEC/ITU 2007-3)の具体的化が課題である。
(考察) わが国企業が、デファクト国際標準を樹立できるよう、特許戦略を強化し、内外の市場制覇を達成することが必要であり、諸般の共同化形式は、この前提が実現されなければ、いずれも意義がない。

3. 知的財産権濫用への対処
(要約) パテント・トロ-ルについては、「権利行使の態様が、明らかに知的財産権の濫用である」という見方と、「どのような態様を想定し、どのような措置を講ずるのか、詰めることが困難である」という見方がある。換言すれば、濫用性が明確な場合と、線引き困難な場合がある。
(考察) わが国にも、パテント・トロ-ル的現象が発生する可能性に対処し、米国最高裁判決(2006-5-1 MercExchange・eBay事件判決)が示した差止請求認容の4条件、すなわち、「差止を認めないと、原告(実際上パテント・トロ-ル業者)が回復不能な損害を受ける」、「損害賠償だけでは救済できない」、「原被告双方の損害バランス」、「(差止めても)公共の利益に反じない」を準用するなど、対応を平成20年度内閣知財計画に予定すべきである。
(この記事の修正ご要求は、sanaripat@nifty.comに送信下さい)
国際標準化、パテントプール、包括ライセンス契約、パテント・トロ-ル

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