2010年3月7日日曜日

SHOEI as an Investment Company Underpinned by Real Estate 

知財とビジネスメソッドの変遷を経た昭栄の現況
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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 昭栄(東証1部)の事業報告(2009-01-01~12-31)が届いた。証券コード3003が示すように、生糸事業を中心とする繊維業界の名門であったが、電子機器業界での知財発揮を経て、不動産賃貸事業に新たなビジネスメソッドを展開している。その業績を考察することは示唆に富む。先ず今次報告の内容(SANARI PATENT要約)は、
(1) 2009年度の日本経済は、輸出増加などに底入れの兆候は見られたものの、デフレ、円高、経済政策の息切れ懸念など、多くのリスク要因を抱える厳しい状況が続いた。
(2) 昭栄の中核事業である不動産賃貸市場では、都心オフィスビルの空室率が約6年ぶりに8%を超えるなど、一段と不況色を強めた。また、不動産投資市場では、2009年初の極端なCap Rateの上昇(SANARI PATENT注:還元利回り、すなわち、資産による収益から資産価格を元本化算定する際に用いる利率)が落ち着きを取り戻すと共に、2009年末にかけてJ-REIT(SANARI PATENT注:Japan Real Estate Investment Trust:上場不動産投資信託)による物件取得再開の兆しが見られたものの、総じて低調なまま推移した。
(3) 昭栄は、2005~2007年の景気回復期に、開発プロジェクトを中心として不動産投資を進め、借入金が増加した。その後、リーマンショック以降の、予想を超える資産デフレ進行により、収益水準の低下、減損リスクの増大を来した。よって財務リストラに本格着手し、新規プロジェクトの中止に加えて、当面収益を生まない開発プロジェクトを圧縮することとした。
(4) 最大の開発案件であった千代田区四番町プロジェクトについては、あらゆる角度から再検討し、売却して借入金を圧縮する。すなわち、このプロジェクトは、2007-12-20に、取得価格377億円で、旧東亜建設本社ビル跡地を取得し、隣地との共同開発を企図したが、隣地との一体開発は昭栄の開発スケジュールと対比して時間を要すること、単独開発は当初の期待利益を大きく下回ること、売却して金融費用を圧縮する方が昭栄にとって得策と判断したこと、減損のみでは無税化ができないことのため、譲渡価格231億5000万円で、2009-12-16に売却契約した。
SANARI PATENT所見
 三菱商事の都心5区データによれば、2009-12現在で東京オフィスビル市場の空室率は8.09%だが昭栄のそれは2.43%であり、平均賃料(SANARI PATENT注:平方メートル当たり月額)は、市場1万8978円に対して昭栄は2万0078円であるから、企業努力の成果と考える。
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)

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