Prospects of Patent Rights Legal Stability Suggested by PATENT Essay
日本弁理士会論文が示唆する特許権の法的安定性
弁理士 佐成 重範 Web検索 SANARI PATENT
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わが国特許庁が受理する特許出願件数が年間40万件で、その内にはいわゆる防衛特許出願も含まれ、特許査定により早期に独占排他的立場に基く技術革新の利益を得ようとするもののみではないが、少なくとも建前として、付与された特許権が法的安定性を持ち、対象技術による生産・販売が所定期間は独占利益の根拠となることを、特許権者が期待することは当然である。
しかし、この期待を覆す可能性があるのが、特許権を付与した特許庁自体の審判であり、更に知財高裁の判決である。内閣知財戦略本部の論議のうちには、特許庁査定により付与された特許権がこれらの後段階で覆されることがない状態を「特許権の法的安定性」として政策目標とするかのような発言が多い。
丁度、佐成重範弁理士が所属する日本弁理士会の機関誌パテント最新号が届いたが、特許庁審判部審判企画室の佐藤智康室長が、「審判制度の概要と最近の動向」と題して、貴重なデータとご所見を示されたので、SANARI PATENTの「現行制度支持論」の立場から考察する。上記記事の内容(SANARI PATENT要約)は、
1. 特許・実用新案・意匠・商標(以下本稿では「特許等」)の出願に対する審査の結果、すなわち、拒絶査定または許可・登録査定が出た場合に、それに不服な出願人または第三者は、審判を請求できる。
2. 審判官の人数は387名である。(SANARI PATENT考察: 特許庁の査定と知財裁判の2段階にすれば、この人数を査定に回して、審査能力増進と特許権の法的安定の双方に有利だという、主張があり得る。SANARI PATENTは、審判により査定結果の否定がなされ得ることこそ法的安定であると考えるので、上記の主張は採らない)。
3. 審判事件の種類について、拒絶査定不服審判は、審査官が出願に対して拒絶査定した場合に、これに不服ある出願人が請求するもので、審判の結果に不服ある者は知財高裁に審決取消訴訟を提起できる。
4. 補正却下不服審判は、意匠と商標に限って、審査段階での補正却下の決定を争う場合に請求される。
5. 次に、権利設定後の審判について、無効審判は、権利設定後に、その特許等は本来特許等とすべくものではないと考える人が請求することが一般的である。(以下次回)
(コメントは sanaripat@gmail.com にご送信ください)
ラベル: 特許庁 特許権 審判
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